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《ネタバレ》 ある土曜日、エマニュエルはいつも通り、娘のエリーズに会いに前妻リリの家へ。かつては自分も住んでいたその家には、未だに彼の書斎が残っていた。
何となくよそよそしい娘に、彼は車で旅に出ようと提案する。 このように、毎週土曜日に面会する父と娘は、二人とも、人を愛すること、人から愛されることに不器用だ。 互いに会う日を楽しみにしているはずなのに、いざ顏を会わせると、何とはなしにギクシャクとして素っ気ない二人。 相手と打ち解けたいと思いながら、それをどう表現してよいか判らずイラ立って、逆に距離を置こうとさえしてしまう。 そんな二人が、ある週末、南仏からスペインへドライブへ出かける。娘が書いたシナリオをもとに映画を撮ろうと、ビデオ・カメラ1個を携えて。 ジャック・ドワイヨン監督は、そうした父エマニュエルと娘エリーズの愛情の機微を、ビデオ・カメラを媒介にして、淡々と、だがエモーショナルに映し出していく。 フィクションを撮ろうと言いつつ、エリーズそのものを、彼女の素顔を、撮ろうとするエマニュエル。 だが、エリーズは笑ったり怒ったり、泣いたりして、父親の企みから巧みに身をかわし、決して本音を見せようとはしない。 まるで、カメラを介さなければ娘を直視できない父親の臆病を非難するかのように。 「機械がなくても話し合えるわ」と言うエリーズのつぶやきが妙に心に残る。彼女はまた、「よそよそしさはパパから教わったの」ともささやく。 そして、カメラに微笑みかけるエリーズのよそよそしい幼い顔。 この映画でのビデオ・カメラの存在は、父と娘の間に知らぬ間に出来てしまった、どうしても越えられない"深い溝"の象徴なのだろう。 小さなモニターにリアルタイムで流れる、多分、手持ちカメラのせいだろう、小刻みにブレ、揺れ動く映像が、父と娘それぞれの言葉にならない思いを反映しているようだ。 一方、エマニュエルと彼の義理の娘ナターシャとの関係も微妙だ。何かというと敵対し、いがみ合う彼らの間に行き交う、いわば潜在的な近親相姦。それを鋭く見抜く、エマニュエルの妻であり、ナターシャの母であるラマ。 こうして、「家族生活」は、エマニュエルが持つ二つの家族、前妻リリとエリーズ一家、ラマとナターシャ一家を通して、現代における"家族"とは何かを見つめた、新しい形のホームドラマなのかもしれない。 【dreamer】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2019-04-16 11:26:13)
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