<ネタバレ>気の滅入る映画には近年消極的だ。
ましてやトランプ大統領へ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>気の滅入る映画には近年消極的だ。
ましてやトランプ大統領への抗議票による作品賞に違和感はあったが、鑑賞後、これ以外にありえないと思った。
描かれる物語は、貧困、麻薬、売春、育児放棄、イジメとネガティブイメージが並ぶ。
それでも思った以上に暗澹な気持ちにならなかったのは、主人公の美しくも繊細な精神世界にシンクロされたから。
同性愛の映画とは思えない、むしろ自分みたいに生き辛さを抱えた者たちの映画かもしれない。
重要な部分をあえて省いたのも、誰もが人に知られたくない秘密を抱えているように思える。
どこにでも起こりうる普遍的な現実。
フアンとケヴィンがいなければ、彼は異端者を排除する社会に立ち向かえなかったかもしれない。
たとえドラッグディーラーに身を落としても彼の人生はこれからも続くだろう。
残酷な世界でも強く生きていく。
華やかな世界とは程遠い日蔭者でも月光に照らされるだけで生きていると実感できる価値がそこにある。
本作はウォン・カーウァイに強い影響を受けており、元ネタの作品群を見るきっかけになったことを感謝する。