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<ネタバレ>ミュージシャンにとって聴力を失うということは死んだも同じで、
追体験するような音響効果が否が応でも恐怖を与える。
環境音のみでBGMは一切なく、まるでドキュメンタリーのようである。
聾者のコミュニティはたいへん興味深かった。
当事者の誰もが自分を見失い、少しずつ受け入れて、
それでもまた迷っての繰り返しだっただろう。
再起のため楽器もキャンピングカーも売り払い、高額の手術も受けたが、
機械音が混ざった音しか拾えない絶望。
そして彼は人生の全てだった音楽を捨てた。
果たして障害を持つことは不幸なのか?
他人事とは思えず、一切の甘さもない結末だが、
健常者視線のモノサシと依存からの解放でもある。[良:1票]