<ネタバレ>狙撃に失敗した殺し屋が婚約者を襲われ、報復で刺客と依頼者を淡 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>狙撃に失敗した殺し屋が婚約者を襲われ、報復で刺客と依頼者を淡々とじわじわと追い詰めていく。
まるで商品をただ消費するかのように、ルーティンワークの如く。
『セブン』の監督&脚本家の28年ぶりのタッグにしては非常にシンプルなストーリー。
その分、ストイックな空気感とソリッドな映像センスが際立っており、
立体的なサウンドデザインも合わさり、テレビの画面では堪能できないと思われる。
自己暗示をかけるが如く独り言が連なり、完璧な殺し屋になり切れない男のあがき。
最後の晩餐になってしまったティルダ・スウィントンによる熊と狩人の噺が象徴するように、
プロの矜持として後始末を全うしようとすることを建前に、
復讐という本音が僅かながらに彼を人間たらしめている。
婚約者とビーチで戯れる平穏なひと時も、殺し屋の宿命から逃れられないジレンマ。
アラン・ドロンの『サムライ』の系譜に近い、矛盾だらけの人間の美学を覗き込む。