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<ネタバレ>"All That Jazz"(なんでもあり)なシカゴに咲く悪の華。登場人物全員がほぼ悪人で共感性ゼロ。ロキシーの夫は唯一の善人であるが、あまりに情けなくて妻に不倫されても仕方ない気がする。無実の罪で縛り首になってしまった移民の女性もそう。この悪で華やぐシカゴでは善人が生きていくにはあまりに熾烈だ。そう、ひたすら強かで狡猾で悪を愉しんだものだけが生き残れる。我々もそうやって"愉しむ"のが本作の唯一の観賞法だ。ミュージカルは普段虚構として描かれ、夢が叶うや否や、現実のミュージカルで偽の機関銃をぶっ放すロキシーとヴェルマ。現実の悪と虚構の悪は表裏一体の鏡のよう。歪なアメリカンドリームを風刺した、アメリカらしいエンターテイメントの快作。