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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  ザ・コア
はっきり言って、いいとこなしの映画ですね。展開は「アルマゲドン」の完コピ、しかも質は落ちてるし。キャラも平凡。設定はマイルール多すぎ。でもでも、私は嫌いになれないんです。「ボルケーノ」を見たときの感覚に近いですね。作りがなんだか不器用で、でもサービスしようと必死な姿が目に浮かぶんです。キャストの地味さのおかげで、「金に物言わせた大作」ってよりも「がんばって作りました」みたいな感じだし。なんだかダサいメカデザイン、微妙にチャチなVFXは東宝特撮映画を彷彿とさせます。こんなバカ映画、私が好きにならなきゃ誰に愛されるってぇーのって感じですよ。なので大甘の7点です。
7点(2004-08-04 16:26:00)
22.  サウスポー
『ナイトクローラー』ではヒョロヒョロに減量していたジェイク・ギレンホールが、今度は筋肉モリモリマッチョマンになっていました。ギレンホールの役者魂もさることながら、最近のハリウッドの肉体改造技術は本当にすごいことになっています。監督もギレンホールの肉体こそが最大の見せ場であることをちゃんとわかっており、冒頭から出し惜しみなし。また、MTV出身の監督だけあって画作りはお手のものであり、もしテレビで放送されていたら本当のボクシング中継かと勘違いしてしまいそうな見せ場を作り上げています。こちらも見事でした。 物語はスポーツ映画の王道通り「栄光→没落→再起」のフローで推移し、ほとんど変化球なし。ロートルトレーナーとの出会いや、周囲の人々とのドラマなどテンプレートから1mmも離れることがなく、だからこそきっちり感動させられるものの、残念ながら水準作以上にはなっていません。 さらには、作りが粗い部分も目立っています。あれだけ人目が多い場での発砲事件だったにも関わらず、奥さんを誤射した犯人が逮捕されないという点はさすがに不自然。また、対戦相手となるボクサーは「ビ○チはもうお前を助けてくれないぜ」とか言って傷心の主人公を煽ってきますが、いくらヒールであってもここまで言ってくる奴はいないでしょ。さすがにイジれないネタというか。しかも、あんたの子分が誤射したことへの罪悪感はないのかと。急に娘が反発し始めたことも不自然であり、何か重要なエピソードを見落としたかと思ってしまいました。 もうひとつの問題点は、前述した通り現実のボクシング中継に極めて近いルックスを作りながらも、オーディエンスの存在が描かれていないことです。主人公は一度没落しますが、彼はアルコールやドラッグで自滅したのではなく奥さんの急死という同情すべき背景があったのだから、世論は彼に味方するはず。あれほど急激な没落は不自然に感じました。また、主人公が金づるではなくなった途端に相手ボクサーに寝返ったプロモーターやトレーナーはバッシングを受けるはずなのに、そうしたオーディエンスの反応がまるで描かれていません。こうしたディティールの面で失敗しているため、本作のドラマには乗りきれませんでした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-01-10 18:59:35)(良:2票)
23.  ザ・ガンマン 《ネタバレ》 
これまで娯楽作への出演を避けてきたショーン・ペンが、突如ジョエル・シルヴァー製作、ピエール・モレル監督というコッテコテのアクション映画に主演。しかも自分で脚本を書くほどの熱の入れようということで、事前にはどんな映画になっているのか見当もつかなかったのですが、雰囲気だけはメチャクチャによくできています。『ブラッド・ダイヤモンド』や『ザ・バンク』のような重い社会性を帯びた娯楽作であり、本編はB級アクションらしからぬ重苦しい雰囲気に覆われています。また、ひとつひとつの仕草にまでこだわり抜いたと思われるほどアクションシーンにおける主人公の行動は洗練されており、きちんとプロの傭兵に見えるだけの説得力があります。それを演じるショーン・ペンの肉体改造は凄まじく、体脂肪率の低そうなバッキバキの肉体を披露。『エクスペンダブルズ』の面々ですらここまで体を作ってきている者はおらず、御歳55歳にしてアクション俳優としてのキャリアが開花しそうな勢いなのです。 ただし、お話しの方がまるで面白くありません。主人公は8年前の暗殺事件を発端とした国際的な陰謀に巻き込まれて命を狙われ、その黒幕を探し始めるのですが、イマイチ観客の興味を引くような流れを作り出せていません。怪しい奴を捕えると、こちらが聞きもしていないことまでベラベラと話してくれる。本編はこれを何度か繰り返すのみなので、面白いわけがありませんね。ラストの展開などは噴飯もので、主人公が持つ証拠動画と、敵に囚われたヒロインを交換しようという取引がなされるのですが、いくらでもコピーできる動画ファイルをわざわざ受け取りに現れる敵一味が間抜けにしか見えません。また、犯罪を首謀した行為の隠蔽がそもそもの目的だったにも関わらず、追い込まれたラスボスは公衆の面前で銃を振り回して女性を追い駆け回すというアホな行動をとり始める始末であり、仮に過去の犯罪行為を隠蔽できたとしても、新たな罪状で逮捕されるだろと呆れてしまいました。 主人公とヒロインの悲しい恋愛や悪人との三角関係、主人公の重病設定も本筋のサスペンスを盛り上げることには貢献しておらず、無駄な枝葉になってしまっています。ショーン・ペンを含めてオスカー受賞者が3人もいるにも関わらず高いレベルでの演技合戦を楽しむことはできず、専ら不自然な展開を誤魔化すために彼らの演技力が費消されているという点も残念でした。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-08-10 20:36:34)
24.  ザ・エージェント
本作の脚本はかなりの変化球です。例えば、やり手ではあるが人間味に欠けていた主人公が、己の仕事の不毛さを知って改心するというドラマティックな展開。通常の映画であればクライマックスに持ってくるべきパートを、なんと冒頭に据えているのです。もしくは、苦難をともにしたシングルマザーへのプロポーズ。これもクライマックスにあるべきパートですが、これを中盤に据えています。本作がやろうとしていることは、通常のドラマが描く綺麗事のその後。「こうして、主人公は新しい道を歩み始めるのでした。めでたし、めでたし」といくほど、人生は甘くない。美しい決断の後には厳しい現実が待ち構えているというひとつの真理を突いた内容としています。こうしたキャメロン・クロウの着眼点の鋭さには、心底恐れ入りました。。。 以上の通り、基本的に本作はビターな内容の映画なのですが、観客にストレスを与えすぎないよう、あくまで王道を装っている点が本作の良いところであり、悪いところでもあります。トム・クルーズは抜群の安定感だし、レニー・ゼルウィガーは爽やか、キューバ・グッティング・Jrはコメディリリーフとして申し分なく、非常に口当たりの良い仕上がりとなっているのですが、その完成度の高さゆえに、ドラマの核心部分に重みを感じないという点が引っかかりました。確かに主人公は人生のどん底にいるが、トム・クルーズが演じている以上、最終的には何とかなってしまうだろうという安定感は、本作に必要だったのか?小綺麗なレニー・ゼルウィガーで、シングルマザーの苦境を描ききれるのか?人の良さが滲み出るキューバ・グッティング・Jrが、素行不良でチームから敬遠されるアメフト選手に見えるのか?見終わった後に、多くの疑問符がつきました。演出と演技のレベルの高さが、この脚本のポテンシャルを奪っているように感じます。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-12-23 02:17:52)
25.  ザ・マスター
貫禄を見せるフィリップ・シーモア・ホフマンと、彼に全力でぶつかっていくホアキン・フェニックス。そして、影の実力者らしき静かな存在感を見せつけるエイミー・アダムス。確かに、彼らの演技合戦は素晴らしいレベルに達しており、見て損のない映画に仕上がっています。その一方で、この映画が一体何を言いたかったのかという点については腑に落ちない点が多く、アカデミー賞で演技部門には複数ノミネートされたものの、作品内容に係る部門でのノミネートがなかったという評価には、非常に納得がいきました。。。 本作はサイエントロジーの設立から拡大までを描いた作品だということで、本国では大きな論争を生みましたが、実際には、宗教や信仰というものはそれほど大きく扱われていません。教祖様の教えは科学と宗教を折衷したインチキ臭いものだが、アル中の主人公・フレディは、そのデタラメな教えによって人生を救われてしまう。この点を深く掘り下げれば、「信仰とは何か?」という哲学的な映画になったはずなのですが、勿体無いことに、本作はその点を見事にスルーしているのです。では本作で何が描かれているのかというと、インチキ教祖と信者の間に生まれた謎の友情。暴力に訴えてでも教団と教祖様を守ろうとするフレディは完全にイカれており、教祖様の周囲でも、「あの人はヤバいから切ってしまおう」という声が根強いものの、なぜか教祖様はフレディに対して特別な思い入れを持ち、決して切りません。フレディもフレディで、教祖様の巻き添えを食って留置所に入れられた時には、「なんだよ、この教え。インチキじゃないか!」と信仰をはっきりと否定するものの、その後も教祖様と行動を共にするという意味不明さ。本作は信仰の物語ではなく、異常者同士の歪んだ友情を描いた物語なのです。。。 しかし、二人の間の友情がどうにも消化不良。監督が言わんとすることは頭で理解できるものの、ドラマチックではないので心に響いてこないのです。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の仮想的な親子関係や、『マグノリア』の憎んでも憎みきれない肉親への愛情物語などと比較すると、PTAの演出は随分落ちたなと落胆させられました。撮影技術や役者への演技指導といった表層的なスキルについては熟成を感じさせられるものの、主題の煮詰め方については、寧ろ退化しているように感じました。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-11-10 02:41:42)
26.  THE GREY 凍える太陽 《ネタバレ》 
ジョー・カーナハンは本質的な構成力や演出力は高いものの、直近2作(『スモーキン・エース』『特攻野郎Aチーム』)においては練りすぎ、余計な要素を加えすぎという印象がありました。サービス精神に溢れた娯楽作を作りたいという思いを持った監督さんのようなのですが、残念ながらその路線には向いてないように見受けます。。。 そこにきての本作ですが、”文明から切り離された人間vs狼の群れ”という、徹底的にムダを削ぎ落とした内容としており、『NARC/ナーク』で見せた荒削りのドラマがここに復活しています。自殺願望のあった男が重大な危機に直面して生存本能を剥き出しにするという物語には燃えさせられるし、登場人物の過不足ない配置にはカーナハンの構成力の高さを実感させられました。大自然の容赦のなさを充分に描ききった演出力にも脱帽であり(これが出来ていない映画は意外と多いのです)、『NARC/ナーク』以降の作品の中では、間違いなく最高の出来だと思います。少なくとも、前半部分は。。。 後半部分では、作品が叙情的になりすぎます。90分で一気に描くべき内容を120分に引き伸ばしているため、クライマックスに向けて畳み掛けるべき部分が妙にチンタラしているのです。しかも、クライマックスをぼやかすという構成にも首を傾げます。この映画の骨子は伝統的なマンハントものであり(『プレデター』とまったく同じ構成をとっている)、ならばクライマックスの直接対決にアクションとドラマのすべてが集約されるはず。そこをぼやかしてしまったのでは、映画全体がまったく締まりません。素材は良かったのに、またしても味付けで失敗したようです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-02-14 22:03:39)
27.  THE DAY ザ・デイ
2009年に製作された『ザ・ロード』は傑作ではなかったものの、思いがけずSF映画史を変えた作品となりました。従来、終末モノの映画は砂漠と廃墟が定番の光景でしたが(同時期に製作された『ザ・ウォーカー』は、まさにそのイメージを引きずっていた)、『ザ・ロード』はそういった記号を排除し、どの国にもありそうな普通の野原や山林で終末の風景を作ってしまったのです。手の込んだ視覚効果も、砂漠でのロケも必要なくSFが撮れるというコロンブスの卵的な発想には世界中のB級野郎達が飛びつき、今やレンタル屋の棚は終末モノで溢れかえっています。。。 本作も、そんな中の一作。理由はよくわからないが人類の生産能力がゼロになった世界で細々と生きる人々が主人公であり、食人行為が物語のキーとなるという、まんま『ザ・ロード』の設定をいただいたお話です。ローランド・エメリッヒ製作の『HELL』もそうでしたが、パクリと言われても仕方がない程のオリジナリティのなさには呆れてしまいます。本作は、SF映画としては完全にダメダメです。前述したオリジナリティのなさに加えて、ディティールもあまりに適当。食うものがなくなって食人行為をはじめた連中のことはよくわかった。では、食人をしていない主人公達は、世界が破滅して以降の10年間をどうやって生き延びてきたのか?「食べること」がテーマの作品であるにも関わらず主人公達が飲み食いする場面が一切なく、それどころか飢餓感の描写すらかなり希薄。これでは世界観を理解しようがありません。30年前に製作された『マッドマックス2』には主人公がうまそうにドッグフードを食う場面があって、たった数十秒で世界観を伝えることに成功していました。本作においても、そういう気の利いた描写が欲しいところでした。。。 他方、バイオレンスとしてはなかなかイケます。中盤以降、本作は一軒家での籠城戦となるのですが、これが『アイ・アム・レジェンド』と『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を足したような素敵な完成度。低予算ゆえにボリューム感には欠けるものの、頼りになるバトルヒロインの登場や味のある敵の親玉など、この手の映画に必要な点はきっちり抑えられています。やりすぎなほどのゴア描写、無情過ぎるラストの展開も主題に合っており、ツッコミどころは多々あれど観て損のない映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-02-01 22:18:59)
28.  ザ・レイド
インドネシア映画ではあるものの、監督には英国人を雇ってきたという『燃えよドラゴン』方式で撮られたアクション映画。評判通り、アクションはキレまくりです。通常のアクション映画では銃撃とカンフーはどちらかに偏りがちなのですが、本作ではその両方がバランスよく盛り込まれており、見せ場のレイアウトの良さにまず感心しました。横方向に展開していたアクションが、突如縦方向にシフトするという変化の付け方も面白く、カンフーのみに頼らない緻密な見せ場作りは大いに評価すべきでしょう。同様に、マンションへの突入前、特殊部隊がスクラムを組んで移動する場面にはトニー・スコットやマイケル・ベイの映画のような美しさとかっこよさがあって、アジア映画ならではの荒削り感が軽減されている点も好印象。わざわざ外国人監督を雇ってきたことの効果は、確実に表れています。。。 問題は、基本設定があまりに荒唐無稽だったことでしょうか。犯罪者の要塞と化したマンションから脱出するためには、ボスを倒さなければならないという理屈が意味不明だったため、私は中盤で戦いの目的を見失ってしまいました。異常に強い敵のシラット使いを相手にするくらいなら、極力戦いを避けて脱出経路の発見に全力を注いだ方が合理的に思えて仕方なかったのです。マンションなんていくらでも脱出方法があるでしょうに。そして、戦いの目的が不明瞭となったために、素直に感情移入して映画を楽しむことができなくなりました。観客が要らんことを考えなくても済むようにもうひと知恵入れてくれれば、見違えるような傑作になったと思うんですけどね。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-02-01 21:09:06)(良:1票)
29.  最後の誘惑 《ネタバレ》 
イエスを題材とした映画は数多くありますが、1973年にノーマン・ジュイソン監督の『ジーザス・クライスト=スーパースター』が製作されるまで、ハリウッドはイエスの顔をはっきり映し出すということを控えてきました。それほどまでにイエスとは恐れ多い存在ということなのですが、そんな歴史的経緯を踏まえて本作を観ると、この企画がいかに破天荒で罰当たりなものであるかがわかります。イエスは大工としての腕前を活かしてローマに楯突いた同胞の処刑に使われる十字架をせっせと作り、マグダラのマリアが働く売春宿にもフラフラと姿を現します。神の子としての使命に目覚めた後にも弱気は抜けず、「贖罪のためとはいえ、痛い思いをして死ぬのはイヤだなぁ」と延々悩み続ける始末。一方で、従来は卑劣な裏切り者とされてきたユダが実に男らしく、弱気になったイエスや、イエスを信じきれなくなった他の使徒たちに対して助言と励ましを与える重要な立場を担っています。本作におけるユダは、イエスからの信頼の厚さゆえに彼を十字架に送る重要な役回りを任されたという解釈となっており、キリスト教圏の人達にとっては天地がひっくり返るようなお話となっています。。。 以上の通り、本作はかなり意欲的な内容であり、宗教画の再現を狙ったという美しい撮影にも一見の価値ありなのですが、とはいえ聖書の内容を知っていることが前提条件となる映画なので、われわれ日本人にとっては少々厳しいものがありました。映画としてのポテンシャルの高さや、反発を覚悟の上で製作に踏み切ったスコセッシの志は評価しつつも、6点が精一杯かなと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2012-11-10 15:34:50)
30.  サイコ(1998)
公開当時は散々な評価を受けた本作ですが、DVDに収録されているメイキングドキュメンタリーを観て納得がいきました。各文化には、シェイクスピアや忠臣蔵のように時代を越えて演じられ続ける”古典”というものが存在します。まだまだ歴史の浅い映画という文化においても将来的にはシェイクスピアに匹敵するような古典が登場し、それは同じ形を保ったまま何度も何度も演じられ続けることとなるに違いありません。本作の監督はその古典の第一号として「サイコ」を選び出し、他の文化では当然に繰り返されている”再演”という行為を映画にも持ち込んだのです。公開当時、本作は「完璧なものをなぜ作り直すのだ?」という批判に晒されましたが、その疑問は見当違い。完璧だからこそ「サイコ」を再映画化したのですから。。。 本作の製作にあたっての監督のこだわり方は異常で、脚本・装置プランどころか撮影スケジュールまでをオリジナルに合わせるという只事ではない執着を見せています。安易な改変を加えないことこそがオリジナルに対する最大の敬意であると考えたわけです。一方で必要性を感じる部分に対しては適度な修正が加えられています。例えば、オリジナルでは曖昧にされていたノーマンの性的倒錯が本作でははっきりと説明されていて、これによって話の通りが良くなっています。ノーマンのキャスティングに至っては大幅な修正が加えられていますが、これについてはリメイクならではの事情が反映されたようです。オリジナルのキャスティングは、好青年のイメージの強かったアンソニー・パーキンスにノーマンを演じさせることで後に明らかになるその正体の衝撃度を高めるというサプライズ的な意味合いが大きかったのですが、話のネタがとっくに割れているリメイク版ではそうした狙いは不要。そこで異常者っぽい風貌のヴィンス・ヴォーンにノーマンを演じさせることで、早い段階から彼の心の闇にフォーカスするという作りに変更したのです。この変更は”あり”だったと思います。。。 カラーになったことで画面は見やすくなったし、サラウンド化されたことでテーマ曲はシャープに蘇りました。こういった点でも再映画化のメリットは発揮されていて、今の中高生がサイコを見ると言い出したなら、私はオリジナルではなくリメイク版の観賞を薦めると思います。。。 とはいえ、本作のどこに6,000万ドルもの製作費が使われたのかは謎ですが。
[DVD(吹替)] 6点(2012-05-19 04:55:38)(良:1票)
31.  ザ・タウン
「ヒート」が好きで好きで仕方がないベン・アフレックが撮ったクライムアクションは、案の定「ヒート」そっくりでした。とにかくディティールにこだわるマイケル・マンの長所を本作も引き継いでおり、大胆でありながら頭の良い犯罪計画はなかなかの見応えがあります。床屋で街中の男の頭髪を集めてきて、犯行で使用した車にそれをばらまくことでDNAによる追跡を不可能にするというアイデアなんて、「その手があったか!」と犯罪者でもない私も大興奮なのでした。ひとつひとつのアクションもしっかりと作りこまれていて、こちらもマイケル・マン作品に匹敵する仕事ができていると思いました。 ただし、ドラマパートはもうひとつかなという印象です。「ヒート」には”静かな緊張感”というものがありましたが、本作はただ静かなだけ。中盤はかなり退屈します。最重要容疑者としてFBIに面が割れた後のFBI捜査官とのやりとりや、恋人に自分の正体をどう明かすのかといった点にドラマやサスペンスがあったと思うのですが、勿体ないことにそういったおいしい点に限って軽くスルーされています。パッと見は冴えない中年だが恐ろしく頭が切れるというFBI捜査官も、主人公との絡ませ方が巧くなかったために作り手が意図したほど面白いキャラクターになりえていませんでした。これらについては、作品全体の取捨選択に問題があったのだと思います。ウダウダ悩む主人公という観客がさして見たいわけでもない要素に目一杯フォーカスしてしまい、クライムアクションを見に来た観客がもっとも関心を持つ点(FBIとの攻防、ヤクザ者としての仁義etc…)を捨ててしまったために、中途半端な仕上がりとなってしまったようです。とはいえアフレック監督の手腕は本物なので、彼の次回作には大きく期待しています。次のイーストウッドになるのはアフレックですよ。
[DVD(吹替)] 6点(2012-04-30 00:49:48)
32.  サブウェイ123 激突
トニー・スコット+ブライアン・ヘルゲランド+デンゼル・ワシントンといえば燃えるバイオレンス大作「マイ・ボディガード」のトリオですが、今回は一転してアクション控え目で会話によるやりとりが中心となっています。にも関わらず宣伝において「クライム・アクション超大作!」と煽られたため、ガッカリされた方も多いようです。しかし、犯人との息詰るやりとりは悪くありません。さすがはヘルゲランドだけあってセリフにはキレがあるし、ビジュアルの巨匠スコットは単調になりがちなこの手の作品に視覚的なアクセントを入れています。ワシントン、ガンダルフィーニ、タトゥーロは相変わらずお上手。オリジナルはコミカルな要素を多分に含んだ作品でしたが、今回は芸達者なガンダルフィーニがコメディパートを引き受け、その役割を見事に果たしています。そして意外にも良かったのがトラボルタで、前述の3人のように器用なタイプの俳優ではないものの、この人は善人役にも悪人役にもハマるスターであり、かつ彼の演じる役柄には適度な大物感が漂います。彼が演じるライダーの素性や犯行の動機は謎となっており、ワシントン演じるガーバーと私たち観客はライダーの言葉や行動から彼が何者であるかを推測することとなるのですが、ここでトラボルタの個性が活きてきます。社会に対する正当な憤りから大それた犯罪を計画した「ザ・ロック」のハメル准将タイプの同情すべき悪役なのか、純粋に金のためにハイジャックを起こした知能犯にして、計画遂行のために錯乱状態を装っているだけの「ダイハード」のハンスタイプの冷徹な悪役なのか、社会を逆恨みして暴れているだけの単純バカなのかの判断がつかず、彼が次に何をしでかすかが読めないのです。このキナ臭さが作品前半の面白さに大きく貢献しているのですが、この味はトラボルタでなければ出せませんでした。善人と悪人を演じ分けられる俳優は多くいるものの、基本的に役柄を演じ分けていないトラボルタの個性がなければ、ライダーをここまでミステリアスには出来なかったのです。。。というわけで本作の脚本は謎の悪人ライダーによってNY市と観客が振り回されることが核となっているため、彼の素性が明かされる後半以降は話が急激につまらなくなってしまいます。彼についての謎解きをもっと引っ張り、素性が明らかになったところで映画を終わらせた方がよかったのではないでしょうか。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2010-08-25 00:56:21)(良:1票)
33.  ザ・セル 《ネタバレ》 
映像美は圧巻でした。グロいんだけど独特の美しさがあり、斬新なアイデアに満ちた精神世界はもちろんのこと、SWATが出動し、ヘリが飛び回る現実世界の描写もリドリー・スコット作品のようで非常にかっこよかったです。ジェニファー・ロペスもかつてないほど美しく撮られており、この監督のビジュアルセンスはスコットやフィンチャーをも超えているように思います。ただし脚本のツメが甘く、作品全体としてはもうひとつ及ばぬ出来なのが残念。本作は「羊たちの沈黙」と「マトリックス」を比較対照とすると弱点がよくわかるのですが、事件に対する登場人物たちの思いや姿勢があまり描かれていないこと、また「煽り」が不足していたことが問題だったと思います。他人の精神世界にダイブするという非現実的な仕事を観客に受け入れさせるには、それに従事する人々がどのような覚悟や姿勢を持ってこれにのぞんでいるかを掘り下げる必要がありますが、まずこれをやっていません。また、生死の危険を冒してまで被害者を救おうとするキャサリンの、事件に対する思いや覚悟も描き方が甘かったように思います。同時に、彼女が行おうとする「リバース」と呼ばれる処置がいかに危険であるかの煽りが不足していたため(「それは危険だ」と同僚の研究者が警告するのみ)、これを断行する際の緊張感や、「いよいよ最後の禁じ手を使うか」という高揚感が出ていませんでした。また精神世界へのダイブにおいて、彼女の個性のどんな面が強みとなっているのかが明確に説明されていないため、スターガーの悪の面と対決する際の彼女の武器が観客に伝わっておらず、戦いにメリハリがありませんでした。さらに、タイトルにもなっている「セル」によるタイムリミットも作品の面白さにはほとんど貢献しておらず、せっかくの設定を一刻を争うような緊張感につなげていなかったのは残念でした。
[DVD(吹替)] 6点(2009-07-26 18:25:42)
34.  ザ・ブリザード
IMAX3Dにて鑑賞。 『ラースと、その彼女』のクレイグ・ギレスピー監督ということでドラマ寄りの作品かと思っていたのですが、ドラマパートが薄味で特に感動も興奮もなくてガッカリさせられました。  “based on true story”が裏目に出た作品であり、米国沿岸警備隊においては半ば神格化された事件だけあって脚色の余地がほとんどなく、さらには登場人物全員を良い人として描く必要があったためか、ドラマに起伏が生まれていません。主人公・バーニーの引っ込み思案な性格についても、1年前の失敗によるトラウマが原因なのか、本質的な気質なのかがはっきりとしないため(恐らくその両方なのでしょうが)、彼の成長譚として微妙な出来映えとなっています。もう一方の主人公シーバートについても、どうやら彼は他のクルーとの間で確執を抱えているようなのですが、そういった従来の人間関係が明確に描写されていないために、事故後に彼が生き残ったクルーをまとめ上げる際の苦労が伝わってきません。 本作はリーダーシップ論を描いた作品でもありますが、自分がリーダーになるしかないと腹を決める瞬間や、リーダーとして苦渋の決断を下す場面など、このテーマでの定番の盛り上がりどころをことごとく外しているため、なんだかボヤっとした印象となっています。 他方、見せ場の迫力はなかなかのものでした。VFXの凄さも然ることながら、大海原に投げ出されることの恐怖や、真冬の海の寒さをきちんと表現できており、海難事故を扱うにあたって必要な描写を外していないのです。ディズニー製作なので痛々しい描写や明確な人の死の描写が控え目であることは不満だったのですが、生存者たちがどれほど大変な目に遭ったかという点を掘り下げることで観客の感性にはきちんと訴えられています。 ただし3D効果は微妙であり、それどころか夜の場面が多いため3Dメガネをかけていると画面が暗くて見づらく、これだったら2D版を選択すればよかったと後悔しました。
[映画館(字幕)] 5点(2016-02-27 13:48:33)
35.  ザ・ファーム/法律事務所
飛ぶ鳥を落とす勢いだった若きトム・クルーズを中心とし、その周りをジーン・ハックマンやエド・ハリスといったベテラン勢で固め、さらにその外側にはゲイリー・ビジーやトビン・ベルといった個性派を配置するという層の厚いキャスティングは魅力的でした。本作はパラマウントにとって相当気合いの入った企画だったようで、スタッフ、キャスト共に最高のメンバーが名を連ねています。しかし、そんなパラマウントからの期待とは裏腹に、映画の内容は平凡の域を脱していません。不吉な前兆の積み重ねでイヤな汗をかかされる前半部分はそれなりの面白さだったものの、後半部分で映画は完全に息切れしてしまうのです。監督も脚本家も複雑な話をまとめあげることでいっぱいいっぱいになってしまい、この膨大な情報量が観客に伝わるかどうかとか、クライマックスで観客はカタルシスを味わえるかどうかということは二の次にされています。直し屋として有名なロバート・タウンが脚本家に名を連ねている時点で察するべきだったのですが、それにしても、思いの外低い完成度には驚かされました。トム・クルーズ以外のキャストを完全に持て余すという名優の無駄遣いぶりもかなりのもので、本作よりも2ランクも3ランクも劣るメンバーで製作された『逃亡者』に批評面でも興行面でも及ばなかったことにも納得がいきます。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-17 01:53:35)(良:1票)
36.  サンダーハート 《ネタバレ》 
午後のロードショーにて鑑賞。いかにも午後ローらしい可もなく不可もなくな内容で、なかなかの豪華メンバーが顔を揃えながらも日本では劇場公開されなかったことにも納得がいきました。。。 ネイティブ・アメリカンの霊媒を捜査に活用するという斬新すぎる試みは空回りしているし、ヴァル・キルマー扮するレイ捜査官が己のアイデンティティを辿るドラマとしても感動が不足しています。根本的な問題として、ミステリー映画であるにも関わらず序盤から悪い奴がモロバレになっているのはどうかと思います。「ネイティブ・アメリカン=被害者、白人=加害者」というありがちな図式を避けるために、ネイティブ・アメリカンの社会内にも対立があるという構図を持ち込んだアイデアは評価できるのですが、映画後半になるとその構図がすっかり忘れ去られ、白人の悪事を糾弾するいつものネイティブ・アメリカン映画に落ち着いてしまった点にはガッカリでした。。。 コーエン兄弟作品でお馴染みのロジャー・ディーキンスによる撮影は美しく、ヴァル・キルマーは精悍でカッコいい、ハリウッド映画としての体裁はしっかりと整っているので、2時間を飽きさせない出来となっていたのが救いでした。
[地上波(吹替)] 5点(2012-09-07 22:10:37)
37.  ザ・ウォード/監禁病棟 《ネタバレ》 
10年も監督業をサボっていただけにカーペンターの演出力が落ちているかもという不安があったのですが、嬉しいことにB級映画の巨匠の腕前は健在でした。飛び上がりそうになるほど驚かされる場面がいくつかあるし、脱走シーンにはハラハラさせられます。舞台となるウォード(病棟)には適度なキナ臭さが漂っており、サスペンスホラーに必要な空気作りもばっちり。ここまで来ると職人芸であり、80年代にはホラー映画の先頭を走っていた御大の"技"を大いに堪能しました。 ただしこの映画、オチがバレバレだったのが苦しいところ。他作品のネタバレは禁止されているためはっきりとは言いませんが、お話は数年前のアノ映画とよく似ています。結末は10年前に公開されたサスペンス映画とまったく同じだったし、多少映画を観ている人ならば遠の昔に見飽きた題材です。復活作でなぜこの脚本を選んだのだろうかと、作品選びのセンスのなさにガッカリさせられました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-05-05 00:32:31)
38.  ザ・フライ2/二世誕生
それほどつまらなくはないのですが、圧倒的な完成度だった「1」と比較するとあらゆる面で完全に劣っており、いわゆる蛇足の部類に入る続編です。視覚効果マンに監督を任せたのが最大のミスで、クローネンバーグのような天才監督の後を継ぐには荷が重すぎました。「1」は特殊メイクの映画だと思われがちですが、実際にはクローネンバーグの才能があの作品の大部分を支えており、その柱を失ってしまったのはかなりの打撃です。「1」と同様の技術、そして3倍もの予算を駆使したにも関わらずビジュアル的な衝撃度はかなり下がっており、気持ち悪いが怖くはない、生涯忘れられないほどのショックも受けない、監督の演出力の差がはっきりと出てしまっています。脚本も平凡となっています。モンスター映画の外見をとりつつ実は切ない愛情の物語だった「1」に対して、本作は勧善懲悪の物語となっているため、ただのモンスター映画に退化したという印象です。モンスター映画にするならするで、エイリアン2のような直球勝負の大アクション映画に転換するという道もあったのですが、そこまでも振り切れていないために本当に中途半端。また「1」は科学的にも練り上げられていたのですが、本作では「悪者にハエ遺伝子を擦り付ければ、主人公は人間に戻ることができる」というハッピーエンドのための意味不明な設定が付け加わったため、話全体が妙に安っぽくなってしまっています。
[DVD(字幕)] 5点(2010-02-13 20:24:42)
39.  ザ・シークレット・サービス
70点ぐらいの映画を撮り続けるハリウッドの職人さんウォルフガング・ペーターゼンが送る70点ぐらいのサスペンスアクションでした。見せ場の作り方や話のまとめ方は当時の娯楽作の標準的なレベルだし、主人公の努力が報われるハッピーエンドも、バッドエンドを好まなかった当時のハリウッドらしい終わり方。この題材であれば後味を悪くしてもよかったように思うのですが、やはりそこは空気を読む男ペーターゼンの本領発揮というところでしょうか。脚本は面白いアイデアを内包しているものの、そのほとんどが作品を盛り上げることなく、映画を構成するパーツに終わってしまっているのが残念。「ザ・シークレット・サービス」というタイトルながら、大統領警護ではなく偽札捜査から映画がはじまるところで「おっ」と思わせたものの、その後の展開は事実のリサーチに基づいた緻密な話というわけでもなくただのサスペンスアクションとなります。暗殺者ミッチの人物像は秀逸で、予算削減でCIAをリストラされた元殺し屋で、特殊な訓練で人格が完全に曲げられた結果社会に適応することができず、夜な夜なイーストウッドへのイタ電とプラモデル制作に精を出す腹の出た中年という、他に類を見ない悪役像を構築しています。存在自体が最高機密のこの男に対しては、シークレットサービスとは別にCIAも独自捜査をしているという燃える設定も準備されているものの、CIA絡みの話は映画の本筋には特に絡んできません。イーストウッド扮するいかにもやり手そうな老練の捜査官と、マルコビッチ扮する異常かつ頭のキレそうな暗殺者を準備した以上は、互いに裏をかき、相手を出し抜こうとする頭脳戦を期待しますが、「マルコビッチがイーストウッドにイタ電→逆探知で通話場所を特定→現場へ急行するも逃げられた後」これを何度か繰り返すのみです。その一方で、当時63歳のイーストウッドが、当時39歳のレネ・ルッソを真剣に口説くという、誰も見たくない展開をしつこいくらいに見せられるので困ったものです。ここで時間を割かれたためか、イーストウッドの相棒君がいてもいなくても変わらないくらい影が薄くなっています。イーストウッド作品にはおなじみの後輩教育ですが、今回はあまりに影が薄いので彼は必要なかったと思います。レネ・ルッソも不要。ヘタなドラマ要素など入れずひたすら追っかけに終始した「逃亡者」はやっぱり偉大だったんだなと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2009-05-25 03:29:07)(良:2票)
40.  サドン・デス(1995)
柄にもなくいいお父さん役にトライしてた我らが兄貴。久しぶりに同窓会にでも行ってきて、同級生に影響されたんでしょうか?
5点(2004-08-05 16:31:19)
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