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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2598
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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21.  ハート・ロッカー
イラクの戦場、日々尽きることの無い爆弾処理の最前線を描いた今作が、アカデミー賞を勝ち取ったことに対して、個人的には若干穿った見方をしていた。 果たして、本当にアカデミー賞にふさわしい映画なのかどうかと。  その理由は、この数年のアカデミー賞作品賞受賞作品には、手放しで賞賛を贈れる映画があまりに少ないということ。そして、9.11以降、アメリカという国の価値観は、人間の混迷や混沌を描いた映画を安直に崇拝する傾向が強すぎる気がしてならないからだ。  もちろん、世の中の数多の「不安」に対して、それを批判したり、影響を受けた映画が作られることは必要だろう。が、それがイコール「良い映画」であるかどうかは、当然別問題だ。  なので、元夫婦対決を制し、「アバター」をかわして、キャスリン・ビグローが女性監督として史上初のアカデミー賞受賞を果たしたこの戦争映画にも、素直に期待出来ないものがあった。  映画は、最前線の爆弾処理チームの3人を中心に、仰々しい展開を廃し、ドキュメンタリータッチに淡々と展開していく。端役でレイフ・ファインズやガイ・ピアースが登場するものの、主要キャストは無名俳優ばかりで安易な盛り上がりは一切無い。  少々疲れ気味の休前日の深夜の鑑賞で、さて眠気が耐えられるかどうか。という危惧は一瞬生まれた。が、そんな危惧は即座に消え失せた。  盛り上がりも、娯楽性もほとんど無い。あるのは、あくまで淡々と過ぎていく戦場の気持ちが悪くなるほどの緊張感だった。  その緊張感は、単に“いつ死ぬか分からない”というものだけではなく、「戦争」という日常に身を置く兵士たちが、静かに静かに精神が蝕まれていくことに対する“あやうさ”のように思えた。  決して、面白味に溢れた映画ではないと思うし、観る人によっては誤解を受けやすい映画であるようにも思う。 それはこの映画が、今この瞬間の「戦争」の表面的な狂気や悲劇を描いているのではなく、まだその実態さえも検証されていないリアルタイムの“混沌”を表現しているからに他ならない。  観終わってみて、「映画」として面白かったのは断然「アバター」なので、アカデミー賞の受賞はやっぱりジェームズ・キャメロンがふさわしかったと思わなくはない。 ただし、この濃厚すぎる程の戦争映画を撮り切った女性監督の“力量”は、間違いなく半端ない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-23 02:03:14)(良:1票)
22.  パブリック・エネミーズ
自分の生きる“術”として、銀行強盗を続ける男と、その男を追い続ける男。 それぞれの信念を持って自らの人生を全うする二人の姿は、熱く、同時にとても脆い。 その「脆さ」こそ、この映画が描く本質だと思った。  この映画は、二人の男同士の対決を描いているのでもなければ、悪と正義の攻防なんてものを描いているのでもない。 一人一人の男の人生におけるある種の「無様さ」を描いている作品だと思う。  主人公の強盗を演じるジョニー・デップも、それを追跡する捜査官を演じるクリスチャン・ベール。 二人とも円熟期を迎え、人気と実力を兼ね備えた俳優だけに、抜群の存在感と巧さを見せる。 しかし、演じるキャラクターは、それぞれ決して格好良くはない。  自らの運命に葛藤し続け、苦闘し続ける。 そして両者ともが、最良の結果を得られない。  その両者の渦巻く内情こそが、この映画の核心であり、濃密なドラマ性だと思う。  マイケル・マンという監督は、相変わらず男の深い葛藤を描くのが巧い。 
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-30 15:52:14)
23.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
もうこういう娯楽大作シリーズというものは、「好きな人はとことん面白い」、「嫌いな人はとことん面白くない」という二通りしかなく、どちらにしてもそれ以上のことは求められない。 クセっけたっぷりの海賊をジョニー・デップが心底に揚々と演じ、これでもかというほどに製作費をつぎ込んでつくり上げた「海賊世界」に没頭できるかそうでないか、詰まるところそれが全てだ。 そして、個人的には充分に“没頭できた”。それはとても幸福なことだろう。  前作はトリロジーの“つなぎ”的な性格もあったので、今ひとつ盛り上がりきれない部分もあったが、完結編である今作はもう本当に遠慮がなく仰々しすぎるほどにパワフルに創り上げられ……。  ……ああ、やはりこういう映画はもう言葉で評する意味などナンセンスだ。 3時間という時間を何も考えずに楽しむことができた。ほんとうにただそれだけのことだ。 
[映画館(字幕)] 8点(2007-05-27 18:15:31)
24.  バッドサンタ
12月に入るのを待って満を持して手持ちのDVDを観た。「ゴースト・ワールド」のテリー・ツワイゴフ×コーエン兄弟×ビリー・ボブ・ソーントン、この組み合わせだからこそ成立するブラックなクリスマス映画☆☆☆どこまでも下品で、どもまでも破滅的なのに、しっかりと「心温まる」映画なのが、スゴイ。 やはり、僕はビリー・ボブ・ソーントンを推したい。とことんまでグダグダでクタクタの文字通りの“バッドサンタ”を見事に体現し、そのくせ、たまらなくセクシー。彼のその希有な存在感がなければ、この映画はこれほどまでの完成度を見なかったであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-03 03:05:27)
25.  バットマン ビギンズ
“バットマン”がその他のアメコミヒーローに対し明らかに異質であることが一つある。そうそれは、バットマンは“超人”ではないということだ。極限まで鍛錬はしているのだろうが、ヒーローとしての活躍はありとあらゆるアイテムによるところが大きい。そうなってくると益々重要になってくるのが、彼が超が付くほどの大富豪であるということである。そのキャラクター性のおかげで明らかに高級そうな様々なアイテムに不自由しないのもうなずけるというものだ。ではなぜ、そんな大富豪が夜な夜な闇に紛れ、己の身を呈してまでヒーローに徹する必要があるのか?しかもご丁寧にコウモリのコスプレまでして…。 と、つらつらと考えていくと、いくらダークヒーローだと言っても、これほどまでにその“出生”と“理由”自体が闇に紛れてきたヒーローはいない。近年のヒーロー映画ブームの流れの中で製作された作品であることは間違いないが、この“誕生秘話物語”はまさに描かれるべきして生み出されたと思う。 これまでのシリーズ作品とは一線を画し、ひたすらにダークに、ひたすらにブルース・ウェインの精神の底へ底へと掘り進んでいく映画世界、ストーリーが素晴らしい。その反面、バットマンという稀代のヒーローが持つ類まれな“高揚感”もしっかりと表現され、ストーリーの深さ同様、奥深い娯楽性を携えたヒーロー映画が完成した。
[映画館(字幕)] 8点(2005-06-19 02:07:34)(良:1票)
26.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
ディズニーランドに初めて行った小学生の時から、最も好きなアトラクションは「カリブの海賊」だった。 毒々しいほどの海賊たちが、飲めや歌え、そこかしこで銃や大砲をぶっ放す乱痴気騒ぎぶりは、子供には特に印象的で、他のメジャーでファンシーなアトラクションとは一線を画した独特な高揚感を覚えた。  その「カリブの海賊」が映画化され、その主演が大好きなジョニー・デップだと知っても、「あの乱痴気騒ぎを一体どうやって映画化するのだ?」と疑心暗鬼なまま映画館に足を運んだ。 ふたを開けてみると、ディズニーランドのアトラクションそのままの「カリブの海賊」の世界観が繰り広げられ、そこにジャック・スパロウというオリジナル性の高いキャラクターが所狭しと立ち回り、唯一無二のエンターテイメントに仕上がっていた。  久しぶりに観直してみても、面白さはまったく色褪せていなかった。それはこの映画が、正真正銘に優れた娯楽映画である証拠だろう。 月明かりの明暗の中でこまめに切り替わる“呪われた海賊たち”のビジュアルだったり、脇役はもちろん端役に至までしっかりと存在感を持たせる演出だったり、聞いていて飽きない台詞回しだったりと、細部に至るまでとても丁寧に作り込まれていることに気付かされた。  この映画が自分の好きな映画だということを再確認した反面、この後に製作されたシリーズ作に対してはそれほど愛着が無いことにも気付いた。 後のシリーズ作も、それぞれ決して面白くないわけではない。むしろエンターテイメントとしてのパワーは確実に膨らんでいる。 ただそこには、ストーリーが壮大になりすぎて、あのディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」の世界観が無くなっていた。  大人気娯楽大作シリーズのオリジナルの価値を確認した一方で、「カリブの海賊」に乗りたくなった。
[映画館(字幕)] 8点(2004-02-05 18:59:20)
27.  バニラ・スカイ
「結局はすべて夢」と言ってしまえる話かもしれないが、それもこれほどまでに上質な難解さをもって描けば映画としての深みがでることは必至であり、決して明瞭な映画ではないがそこに面白味を感じることは確実である。スペイン映画「オープン・ユア・アイズ」の完全なリメイクでストーリー的にはまったく同じだが、今作の方が映像的なクオリティには優れているので物語の世界に没頭しやすいと思う。
8点(2003-12-24 01:30:21)
28.  ハンニバル(2001)
「羊たちの沈黙」の続編である以上、観客が前作と比較して今作を観るのは仕方ないし、そういう見方をすればやはりマイナス点は多いと言える。だが、もし前作から距離をおいて観ることができれば、今作は非常にクオリティの高いサイコサスペンスと位置づけられるはずである。何と言っても、リドリー・スコットのよる崇高なまでの映像美は流石である。ヨーロッパの街並みを悪魔が暗躍していそうな怪しい美しさで包み上げている。そしてそこをまさに悪魔であるハンニバル・レクターが闊歩するシーンは怖ろしいまでの完成度の高さである。
8点(2003-12-16 19:52:15)(良:1票)
29.  ハルク
アメコミのヒーローものを映画化した作品は数多いが、この「ハルク」ほど実写で撮る、生身の人間で描くという行為にふさわしいキャラクターは他にないと思う。それはやはり、このキャラクターの深く斬新な人間としての葛藤に他ならない。己の中での多大な苦悩と怒りと共に文字通り体を爆発させるその様は、映像化にふさわしいインパクトとドラマ性に溢れている。哀しいまでに膨れ上がり、超越した緑色の体が大地を疾走する姿は、衝撃という娯楽性をも超越し感動的ですらある。
[DVD(字幕)] 8点(2003-12-08 16:42:34)
30.  パーフェクト ストーム
災害パニック映画は大好きな私であるが、今作の完成度の高さは数ある災害映画の中でも随一でなかったかと思う。神の意志さえ感じそうな荒れ狂う高波のCGは圧倒的なクオリティの高さだった。何よりも私が感心したのは、今作のラストである。このラストこそ、最も災害を真摯に描いた結果だと思うのだ。
8点(2003-12-05 16:15:11)
31.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
チープに見える映像とストーリーの中に、人間に対する本質的なブラックユーモアを巧妙に仕掛けている。ナンセンスな演出の中に潜む絶対的な問題意識が素晴らしい。鬼才の名にふさわしいスタンリー・キューブリックの傑作。
8点(2003-11-28 17:57:33)
32.  ハムナプトラ/失われた砂漠の都
娯楽映画はハリウッドを中心に毎年大量に量産されているが、近年においてはもっとも「娯楽映画」という名にふさわしい映画ではないかと思う。もちろん広く見れば、今作よりも優れたエンターテイメント映画は数多いが、あえて娯楽映画という言い方に限定すれば、そのノリの良さ、展開の小気味良さを考慮して今作は極めて秀逸である。
8点(2003-11-25 14:22:29)(良:1票)
33.  バウンド(1996)
「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟監督作の異色サスペンスで、極めて抑えたトーンで仕上げられているが、各シーンの映像的センスは流石に群を抜いている。映像だけでなく、ストーリーも非凡なものがあり、全編に渡るサスペンスフルな雰囲気は秀逸だった。個人的には、ジーナ・ガーションのセクシーさにマイってしまった。
8点(2003-11-08 01:55:42)
34.  バックドラフト
ロン・ハワードという監督は、実に真実を映画的に映し出すことが巧い人だと思う。真実をリアルなままに描くことも簡単とは言えないけど、映画的に描き出すからこそ面白いし、感動する。そういう技術に秀でた映画監督だと思う。今作においては主役はカート・ラッセルではなく「炎」と言わせるほど、燃え盛る炎にキャラクターとエンターテイメント性を持たせていて見事と言うほかない。
8点(2003-10-11 15:58:17)
35.  バットマン・フォーエヴァー
個人的に初めて観た「バットマン」の映画は、本作の直接的な続編である「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」だった。1997年に映画館で鑑賞したあの映画は、イロイロな意味でどうかしている作品で、当時高校一年生だった僕に、偏ったバットマンのイメージを植え付けてしまった。 その結果、前作であった本作はおろか、ティム・バートン版の2作品も観ることなく、2005年のクリストファー・ノーラン監督作「バットマン ビギンズ」が公開されるまでバットマンに触れることは無かった。 そして更に時が経ち、ティム・バートン版に触れつつ、ノーラン監督の三部作を終え、ベン・アフレックがバットマンとなった「ジャスティス・リーグ」を経て、今年また新たなバットマン映画が公開される矢先に、ようやくこの「フォーエバー」の鑑賞に至った。“Mr.フリーズ”から実に25年、無駄に感慨深い。  僕の中では“残された”バットマン映画だったが、率直な感想としては、今まで鑑賞に至らなかったことを少し後悔するくらいに、魅力的な娯楽映画だったと思う。 クリストファー・ノーランが描いたバットマンや、サム・ライミが描いたスパイダーマン以降のアメコミ映画ファンとしては、良い意味でも悪い意味でも極めて“マンガ的”な本作のテイストは、一周回ってフレッシュで、ヒーロー映画の原点を観たような感覚さえ覚える。  監督こそ異なるが、一応はティム・バートン版からの流れを汲むシリーズ3作目という位置づけもあり、余計な説明描写は差っ引いて、冒頭からいきなりメインのヴィランとの攻防を描く展開が、アクセル全開という感じで小気味いい。 各アクションシーンを彩るケレン味たっぷりの美術や装飾も90年代のヒーロー映画の味わいを象徴しており、シンプルに観ていて楽しい。  そしてなんと言っても、キャスト陣がみな良かったと思う。 先ずは、トミー・リー・ジョーンズ&ジム・キャリーが演じるヴィランズのイカれっぷりがサイアクでサイコー。それぞれのキャラクターがヴィランに落ちた経緯やバックグラウンドなんてそこそこにして、名優二人が嬉々として狂人を演じるさまが素晴らしかった。 ヒロインを演じるのは、こちらも大女優ニコール・キッドマン。当時既にスター俳優だったとは思うが、その風貌はまだまだ瑞々しく、麗しいヒロイン像を体現していたと思う。  そして、個人的に最も不安視していたのは、バットマン役に抜擢されたヴァル・キルマーだったけれど、想像以上にバットマン=ブルース・ウェインというキャラクターにマッチしていたと思う。 本作では、ヒーローとヒロインのキスシーンが繰り返し映し出されるけれど、それも納得のセクシーな口元が印象的だった。何故次作の「Mr.フリーズの逆襲」ではバットマン役が交代になったのか、少々疑問が残る。  と、想定外の満足感と共に鑑賞。この流れで「Mr.フリーズの逆襲」も25年ぶりに観てみようかな。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-03-13 01:07:03)
36.  ハンターキラー 潜航せよ
昔、ある高校の同級生に好きな映画のジャンルを聞くと、「原子力潜水艦モノ」とピンポイントな返答が返ってきた。こちらとしては、“アクション映画”だとか、“ホラー映画”だとかの大別したジャンルを聞いたつもりだったので、一笑に付してしまったが、今思い返してみると、とても潔く、的を射た返答だと思える。  詰まるところ、“原潜モノ”というジャンルに区分けされる映画には、一定の娯楽性が担保されていて、大ハズレが少ない。 1981年生まれの自分の世代だと、ショーン・コネリーの「レッド・オクトーバーを追え」を皮切りに、ジーン・ハックマン、デンゼル・ワシントン競演の「クリムゾン・タイド」、そしてキャスリン・ビグロー監督の「K-19」などの骨太なエンターテイメントを孕んだハリウッド映画の印象が強い。 どの作品も、それぞれの時代背景を踏まえて、必然的な閉鎖空間の中で、艦長をはじめとする乗組員たちが選択と決断を迫られる様がスリリングであると共に、決死の覚悟で任務遂行を果たそうとする姿に極上のドラマを感じられる。  潜水艦内という空間には、物理的にも、状況的にも、そもそも緊張感や緊迫感が付随していることに加え、極めて限られた空間描写で済むという点において製作費的な負担も少なくて済むので、映画との相性が良いのだろうとも思う。 ただ状況設定が限定的な分、映画として描き出せるストーリーとしても限られていることも事実。“ネタ切れ”のためハリウッドでは長らく大作映画が作られてこなかった。  そんな中で満を持してのハリウッド産原子力潜水艦映画に対しては、“原潜モノ”ファンでなくとも、高揚感を覚えずにはいられなかった。 そして主人公の艦長役にはジェラルド・バトラー!こりゃあ暑苦しいまでの男のドラマを見せてくれるに違いないと身構えて鑑賞に至った。  まず言いたいのは、「これはしっかりと良い原子力潜水艦映画だ」ということ。 前述の定義にもれず、久しぶりに観た“原潜モノ”はやはり映画娯楽との相性が良く、全編通して存分に楽しむことができた。  ただこの映画には“想定外”の要素がいくつかあり、その点もより一層映画としての娯楽性を高めていたと思う。  まずは、ジェラルド・バトラー演じる主人公が思ったよりも「冷静」で、ちゃんと優れた艦長だったということ。 主人公のそのキャラ設定が想定外だったというのがおかしな話だが、昨今の彼の主演映画での無頼漢ぶりを見るにつけ、今作においても原潜艦長であるのをいいことに、常軌を逸した豪胆さで危機を弾き返すのだろうと高を括っていた。 しかし、今作の主人公は極めて冷静で、我慢強く、圧倒的な精神力の強さで絶体絶命の危機を回避してみせる。 驚くことに、彼がこの映画の中で、明確な“暴力”を行使することは直接的にも間接的にも只の一度も無く、ひたすらに我慢と、対話を繰り返す。(そういえば冒頭のハンティングシーンでも彼は鹿を殺していない) そのキャラクター描写は、この映画が描き出す危機に対する姿勢として極めて真っ当であり、映画としての魅力にも直結していると思う。  そしてもう一つ想定外だったのは、陸上の潜入作戦を描く“特殊部隊モノ”の要素がどーんと並行して展開されるということ。 下手を打てば、完全な蛇足ともなり得たその陸上シーンだが、これまた娯楽性が存外に高く、嬉しい“大盛り”だったことは間違いない。  原潜映画に限らず、過去の様々なミリタリー映画の要素を盛り合わせていると言えなくは無く、「傑作」とは言えないかもしれないが、はっきり言ってこれだけのものを食らわせてくれれば申し分は無い。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-10-26 21:18:03)
37.  バーニング・オーシャン
人間が、「地球」を削り、築き上げてきた文明の上で被る災害のすべては、何がどうであれ「人災」と言えるのかもしれない。 この映画で描かれる実際に起こった“災害”にしても、もし人間以外の者が傍から見ていたならば、「自業自得」と断罪されても致し方あるまい。 ただ、たとえそうだとしても、生き抜くことに執着して、妻子の元へ戻ろうとする権利は誰にだってあり、そのために力を尽くすことこそが、我々人間の正しい在り方だと思う。 炎が燃え盛る海の上、ほんの数十分の間、それをやり遂げた“普通”の人間たちの、良いも悪いも人間らしい姿に胸を打たれた。  2010年にメキシコ湾沖で実際に発生した原油流出事故を描いた作品なので、良い意味でも悪い意味でも映画世界の表現は制限されている。 前述の通り、登場する人物は石油採掘施設で働く作業員をはじめとするごく普通の人々であり、絶体絶命の危機を奇跡的に打開するスーパーヒーローなどは存在するわけもない。  休暇が明け、至って日常的に現場業務に戻り、普通に就労する中で突如として事故が発生する。 マーク・ウォールバーグ演じる主人公は、献身的な言動をするけれど、決して過度ではなく、あくまでも現場の責任者の一人としての一般的な救出作業に留める。 一方、一応の悪役として存在するジョン・マルコヴィッチ演じる発注企業側の責任者も、分かりやすい悪人などではなく、自社の利益とその達成を任されている企業人としての役割を全うする“嫌われ役”程度に描かれる。 そういう展開的な派手さや、極端な人物描写が全くない分、事故そのものの原因と現実的な危険性が明確になり、とてもリアルだったと思う。 当たり前の光景を描きつつも、吹き出す炭酸飲料や、車のエンジントラブル、不吉な色のネクタイなど、ささやかな描写を連ねて、これから起こるであろう“不穏さ”をさり気なく表現した冒頭シーンも巧かった。  一方で、当然ながら特筆すべき劇的な展開が訪れないことも事実。 もしこの映画を、「災害パニック映画」として観てしまったならば、大いに肩透かしを食らうだろう。 冒頭からのストーリー展開はまさに災害パニック映画的だけれど、事実を描いている以上、似て非なるものと理解すべきだ。  故に、果たして商業映画として成立するほどの題材だったのかという疑問符は生じる。 マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチとスター競演のスペクタクル映画として宣伝したのであれば、物足りなさが残ることは否めない。  事実を歪曲する必要は全く無いけれど、例えばクリント・イーストウッドが旅客機の不時着事故を映画化した「ハドソン川の奇跡」のように、事故後の当事者たちの葛藤や人生模様まで描きこまれていたならば、今作はもっと良い映画になっていたと思う。 まあそういう“行儀のいい”ドラマ描写を極力避けて、石油プラントの大爆発炎上シーンに心血を注ぐあたりに、ピーター・バーグ監督の“らしさ”を感じるけれど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-11-04 23:10:19)
38.  パシフィック・リム:アップライジング
「東京」の大都心を舞台にした白昼の“巨大ロボット”VS“大怪獣”激闘シーンには、前作同様に、日本の「特撮」への愛とリスペクトを感じる。正直言って、もうそれを感じられただけで、今作を非難するつもりはない。 ストーリーは前作以上にチープだし、大スペクタクルの“魅せ方”も決して上手くはない。 でも、いい歳した特撮好きのおっさんたちが、わらわらと集まって、この映画を作っていることは伝わってくる。個人的には、それで満足だ。  ギレルモ・デル・トロが製作に回った時点で、大傑作だった前作を超えることはないだろうということは想定していた。前述の通り、その想定は当たっていた。 大傑作だった前作を決して超えず、観終わった瞬間に前作を再鑑賞したくなった。 ただし、それは決してこの映画楽しくなかったわけではない。むしろ、しっかりと楽しく、痛快だ。  「初体験」だった“4DX3D”での映画鑑賞が、想像以上にアトラクションとして楽しかったこともあり、色々な意味で丁度いい塩梅の続編だったと思える。 大傑作の続編として、そして更なるパワーアップを目論む次作に向けたブリッジとして、充分な仕上がりだったと言っていい。  土曜出勤で疲れた状態での初体験のアトラクションムービーの“揺さぶり”は、肉体を確実に鞭打ったけれど、この疲労感は新しく、むしろ心地よい。
[映画館(吹替)] 7点(2018-04-14 23:26:02)
39.  ハードコア(2015)
新宿バルト9、上映終了が0時近くのレイトショー。 クライマックスを“走り抜ける”につれ、自身の脳内メモリが激しく消費されていくのを体感。 誤解を恐れずに言うと、刺激的な映像世界に対する高揚感に相反するように、特に終盤、“欠伸”が止まらなかった。 無論、退屈だったわけではない。脳内メモリが尽きかけ、思考が停止しかけていたのだと思う。  きっと世界中の映画人たちが一度は思いついたものの実行には移せなかった“全編FPS視点”でのアクション映画。 今作のつくり手たちは、その禁じ手とも言える破天荒な映画企画を、時に緻密に、時に強引に、見紛うことなき“新しい”エンターテイメントとしてまかり通している。  何はともあれ、「映画」として成立させたことがまず見事だと思う。  前述の通り、鑑賞者のタイプやタイミングによっては、“メモリ”のキャパオーバーで、映画としての許容範囲を越えてしまうことも致し方ない文字通りに「不安定」な作品であることは間違いない。 ただし、決して“全編FPS視点”というアイデア一発に頼り切った映画ではないことも確か。  ある意味「主人公不在」の映画であるため、その分周囲のキャラクターを演じた俳優たちがそれぞれ印象的である。  まず主人公の愛しき妻(?)としてファーストカットで映し出されるヘイリー・ベネットがいきなりエロい。 はっきり言って悪趣味なエログロ映画でもある今作において、この女優が醸し出す善悪を超越した淫靡さは必要不可欠な要素だったと思う。  そして何と言ってもこの作品を語る上で外すことが出来ないものは、実は特異な撮影手法などではなく、シャールト・コプリーその人。 彼が扮する“ジミー’s”の縦横無尽、奇々怪々、魑魅魍魎な存在感こそが、今作の最大の見所だと言っていい。 盟友ニール・プロムカンプ監督の「第9地区」で鮮烈なデビューを果たして以降、一気に“怪優界”のトップに躍り出たこの人の俳優力はやはり本物だ。   途中、喋ることが出来ない主人公を指して「チャップリンだったとはな」という台詞があるが、これは言い得て妙な巧い台詞である。 完全なる主人公視点により、まさに映画世界を「体感」する今作の体験は、映画の黎明期に“チャップリン映画”を観た当時の観客たちの「体感」に通じるものがあるのではないか………。 とまで言ってしまうと流石に大袈裟だけれど、つくり手たちの意欲そのものは、映画史の偉人たちに対しても胸を張っていいと思える。
[映画館(字幕)] 7点(2017-04-20 07:50:38)
40.  パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間
劇中、“二つの棺”が運ばれていくシーンが、序盤と終盤に対比的に描かれる。 一つは、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの棺。そしてもう一つは、“JFK”暗殺の実行犯とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドの棺だ。 両者の棺を運ぶ者の心情は大いに異なるはずだが、その様はどちらもややぞんざいに扱われているように見える。 そこには、「この棺を運びたくなんてなかった」という、同じ言い回しだけれど全く真逆の意味合いを持つ、それぞれの死に関わった人々の感情が漏れているように見えた。  英雄の暗殺と、その実行犯とされる者の暗殺。この二つの死が人々に与えた影響はいかなるものだったのか。 今作は、偶然にもそれに関わってしまった人たちの心の損失を描き出している。 「JFK暗殺」を描いた映画は多々あるが、この作品の視点は意外にも新しく、それでいて真っ当だったと思う。 他の多くの作品が暗殺にまつわる陰謀説を主軸に描いているのに対して、今作はあくまでも事件現場となった街に居合わせた市井の人々の様を描いている。 そういう意味では、JFKの実弟であるロバート・ケネディ上院議員の暗殺事件を描いた作品「ボビー」にとても良く似た映画だったと思う。  稀代の英雄の死を目の当たりにした人々にとって、本当の犯人が誰かなんて追求する余裕はなかっただろう。 自分たちが住んでいる場所で、世界で最も重要と言って過言ではない人物が殺されてしまった。 ただひたすらに、その悲しみとショックに打ちひしがれるしかなかったのだろうと思える。  その人々の動揺と混乱の中で、もう一人の男が“真相”と共に闇に葬られた。 その男にも勿論家族がいて、市井の人々以上の動揺と混乱を強いられていた。  彼らの死から50年が経過した。 数多くの疑惑と陰謀説は渦巻き続けるが、いまだ真相は闇の中。 いつの日か時代は真実をさらけ出すことが出来るのだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-13 00:35:40)
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