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飛鳥さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1679
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自己紹介 今まで観た映画の記録を整理したくなり、レビュー開始。
物忘れが良いのでメモを残しておかないと、印象薄めのものは内容をすっかり忘れていたり、前に観た映画も初見かと思って後半にようやく気づくなんてことも。
備忘録を兼ねているので、ほとんどのレビューはネタバレで書いてます。

10 至高の殿堂入り
9 心に残る傑作 
8 もう一度観たい佳作
7 面白い
6 そこそこ面白い
5 普通
4 それほど面白くはない
3 面白くはないが見どころがなくはない
2 全然面白くない
1 酷い駄作
0 呆れ果ててもはやネタレベル

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1.  ウエスタン 《ネタバレ》 
これぞ西部劇。 165分の長尺なのに、漂う緊張感とサスペンス性で、珍しく長さが気にならなかった。 長いとダレてイライラするのが常なのだが、この作品にはたっぷりした間の演出が合っているということだろう。 三人組が出迎えるブロンソンの登場シーンからもう心を持っていかれる。 「俺の馬は?」「おかしいな。一頭足りないようだ」「いや、二頭余る」 笑っていた三人組が、ブロンソンの返しに顔色を変える。 セリフがいちいちキザだけど、含みがあって唸らされるカッコよさ。 子供も平気で撃ち殺す悪玉ヘンリー・フォンダの存在感が、対決を一層盛り上げてくれる。 フランツが死に際にハーモニカの正体にやっと気づく、ドラマティックで印象的な決着。 一対一のガンファイトは、西部劇の醍醐味だ。  悪玉だか善玉だかわからないシャイアンが、ハーモニカとフランクの戦いに絡んで良い味を出している。 その登場シーンも秀逸で、何者かまったくわからない状態で、酒を飲み干すときに両手の手錠が露になる演出が憎い。 それが直前の外での銃声と合わせて、警備を撃ち殺して逃げてきた囚人とわかる。 そんな男と主人公に芽生える友情が、いかにも漢っぽくて良い。 ジルも従来の西部劇での清純なヒロイン像とは違って、美しくて強かな娼婦上がりの女というのも面白い。 レオーネ監督の演出、セリフが冴え渡って、彼の西部劇の中では一番良かった。
[DVD(吹替)] 10点(2014-11-24 00:39:22)
2.  アマデウス ディレクターズカット 《ネタバレ》 
観終わった後、完成度の高さにうなってしまう。 通常版もすばらしかったが、さらにそれを補強。 コンスタンツェに謝礼を要求したり、金策を申し込むモーツアルトに屈辱的な仕事を紹介したり等、モーツアルトを貶めるシーンが加わった。 3時間もの長尺をまったくダレることなく鑑賞できる。  凡人サリエリと天才モーツアルトの描写が見事。 特にサリエリの苦悩と葛藤が残酷なほどにえぐり出される。 モーツアルトの才能を最も理解する能力を与えられた皮肉。 音楽以外の才を持たないモーツアルトは、策士のどす黒いワナになす術もない。 前半はカンに障るモーツアルトの高笑いが、後半は哀れでならなくなる。  失ったものの大きさを正確に実感できるのはサリエリだけ。 最も忌み嫌ったはずのモーツアルトを葬り去ることで、最も愛すべきモーツアルトの音楽を失った。 その罪の深さに狂ったサリエリの姿が、ラストを完璧に締めくくっていた。 男の嫉妬は女の嫉妬より深くて複雑なのかも。
[DVD(字幕)] 10点(2013-06-17 22:25:04)
3.  街の灯(1931)
チャップリンの最高傑作で、チャップリンの才能がいっぱいに詰まった作品。 演技、間合い、ストーリー、すべてが計算尽くされ、オシャレに洗練されている。 セリフなしでこの表現力はまさに芸術品。 酔うと別人格になる金持ちとチャップリンのからみがおかしい。 そして、切なく余韻のあるラスト。 コミカルでハートウォーミングな名作で、後のコントやドラマ、映画にどれだけの影響を与えたかがうかがえる。 パイオニアとしての凄さも加味して満点で。
[DVD(字幕)] 10点(2013-02-16 19:51:06)
4.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
ビリー・ワイルダー監督の代表作。 非常に完成度の高い作品で、隙がない。 特に、脚本が秀逸で、伏線がうまく張られている。 説明はなくても、心の動きがはっきりと伝わる描き方がうまい。  例えば、バドが昇進で与えられた会社の個室にフランを招きいれたシーン。 部長の正体を元愛人から教えられた直後で、フランはショックを受けている。 そんなことも知らないバドは、フランに部長からもらったクリスマスカードを見せる。 部長と親しいことを誇示したいバドの意図が見えるが、フランには部長が家族と楽しげに写っているのがつらいだけ。 昇進で浮かれるバドは、役職にふさわしくするために買った帽子が似合うかどうか尋ねる。 その時、フランが貸してあげた割れた手鏡は、部長の情事の後にバドの部屋にあった忘れ物。 これで、バドは部長の情事の相手がフランだと気づき、浮かれ気分から一気にどん底に――。 この何気ない短いやりとりの間に、二人の隠された感情の動きやすれ違いをはっきりと表現している。 わからない人はわからなくていいという芸術家ぶった姿勢ではなく、さりげなくきちんと伝えるプロの業がいい。  鍵、帽子、手鏡、シャンパンなど小道具の使い方が絶妙だし、セリフはウィットに富んでいる。 登場人物のキャラクターもいい。 なんといっても、シャーリー・マクレーンがとびきりチャーミング。 余談だが、後に『アウト・オン・ア・リム』でベストセラー作家になったのは驚いた。 容貌がすっかり普通のおばさんになっていたのが寂しかったけど…。 主人公のジャック・レモンもいい味を出している。 身も蓋もなく言ってしまえば、冴えない男とバカな女のお話なのだが、だんだん引き込まれていく。 そして、女を思う男の純粋さに、カッコよく見えてきてしまう。 笑えて、切なくて、心温まる、お手本のような映画。 モノクロ映画でラブストーリーの古典としては、『ローマの休日』と肩を並べるかも。
[ビデオ(字幕)] 10点(2012-12-23 01:05:24)
5.  スティング 《ネタバレ》 
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのコンビが最高。 愛すべき詐欺師を演じきっている。 音楽も含めて、とってもオシャレな映画。 ストーリーも気持ちよく騙してくれる。  騙し方にも、反則技を使うような映画やドラマもある。 例えば『24』のように、敵側のスパイのくせに、誰にも見られていない状況下で、敵に脅えて追い詰められたような表情のカットを平気で入れたりする。 いやいや、そんな観客の騙し方は禁じ手でしょう。 『スティング』にはそれがないから、正々堂々と一本とられたように、騙されて心地よい。 ラストのどんでん返しで唸った映画としては、本作と『ユージュアル・サスペクト』が頭に浮かぶが、本作のほうが後味が爽やか。
[ビデオ(吹替)] 10点(2012-12-09 18:36:02)
6.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
久しぶりに見直してみたが、やっぱりすごい。 脚本の素晴らしさにうなってしまった。 無駄なシーンが一つもなく、伏線もうまく張られてラストまで緻密に構成されている。 聖書の話、ポスター、架空の人物の創造、ブルックス老人の自殺など、実にうまくストーリーに絡んでくる。  アンディの希望になっていたトミーを、自分の利益を守るために殺した刑務所長のクズっぷりは見事なほど。 それがアンディとレッドの友情を一層引き立てる。 『大脱走』とは対照的で、黙って地味に一人での脱出がアンディらしくていい。 どんな試練にも取り乱したりせず、希望を見失わずにコツコツと前に進んでいた。 そんなアンディの生き様に、レッドと同じように心を動かさずにはいられない。  ラストでこれほどのカタルシスが感じられる映画は他にないかもしれない。 散々押さえつけられモヤモヤしたものが、汚物の排水管をくぐり抜けて一気に解放される感じ。 キラキラ輝く青い海の見える浜辺で再会を果たしたアンディとレッド。 そのたまらなくいい笑顔に、その後の会話が想像されてニヤけてしまう。
[ビデオ(吹替)] 10点(2012-12-06 17:50:15)(良:2票)
7.  ローマの休日 《ネタバレ》 
何度も見返している大好きな映画。 不朽の名作と呼ばれるにふさわしく、数々の名シーンが挙げられる。 オードリー・ヘプバーンは決して美人だとは思わないが、この作品のアン王女はハマり役でとてもキュート。 まるで無垢な子どものようで愛おしくなる。 新聞記者が大スクープを放棄するなんて本来リアリティのないことだけど、このアン王女は絶対裏切ってはいけないと思わせる存在。 お洒落で後味の良い映画なので、多くの人から愛されるのも納得。 ラストシーンの切なさが心地よい余韻を残して、「ああ、いい映画を観た」と思わせてくれる。
[DVD(字幕)] 10点(2012-12-04 20:49:52)(良:1票)
8.  ゴッドファーザー 《ネタバレ》 
フランシス・コッポラ監督の名声を不動のものにした不朽の名作。 吹き替え版、字幕版と、何度か観たが、やっぱりすごい。 裏切り、駆け引き、家族愛、葛藤、怨恨、報復…。 ギャング映画は数々あれど、ただのドンパチには終わらず、これほど重厚な人間ドラマとして完成されたものは他にない。  一代でマフィアのボスに君臨するようになったドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)。 対立組織の罠にはまって殺害される長男ソニー。 父の跡を継ぐことになることになったのは、マフィアとは無縁の世界で生きていこうとしていた三男マイケル(アル・パチーノ)。 根底に流れるのは、ファミリーを守るという強い思い。 3時間の長尺映画だが、ストーリーにぐいぐい引きつけられて、まったく飽きさせないのは見事。
[ビデオ(吹替)] 10点(2012-12-04 18:41:54)
9.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
ジョージ・ロイ・ヒル監督によるアメリカンニューシネマの最高傑作。 ブッチ(ロバート・レッドフォード)とサンダース(ロバート・レッドフォード)の強盗コンビが、たまらなくカッコイイ。 この2人と絡むエッタ(キャサリン・ロス)もたまらなくキレイ。 主題曲「雨に濡れても」とともに、自転車で戯れるシーンが癒される。  緊迫した場面にも、思わず噴き出してしまうようなコミカルなシーンがいい。 追っ手に追い詰められて、崖から谷川に飛び降りるシーンで、サンダースが「俺は泳げないんだ」とブッチに告白するところ。 ボリビアの銀行で、ブッチが強盗のセリフを忘れて、カンニングペーパーを取り出しもたもたするところ。  そして、ラストの包囲された警官隊に、飛び出していくストップモーション。 蜂の巣にされる場面を描かなかったのが、この作品にふさわしい。  何度も観たので、セリフまで覚えてしまうくらいだが、やっぱり面白い。 かっこよくて、笑えて、切ない映画。 エンターテイメントの要素がいっぱい詰まっている。 本作と同じヒル監督、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードで描く『スティング』も負けず劣らぬ傑作。
[地上波(吹替)] 10点(2012-12-04 16:56:40)(良:1票)
10.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
クイーンのことは詳しくないのでけれど、聞き覚えのある曲がいっぱいで、音楽の力の大きさを感じた。が、それだけではなく、俳優や制作チームもとてもいい仕事をしている。 実話の映画化は、実話をなぞりすぎて淡白で散漫なものになったり、下手な演出で感動の押し売りになったりもして、これならドキュメンタリーのほうがいいのにと思うケースも少なくない。でも、この映画は素直に最後まで惹きこまれた。  もっともクイーンのことをあまり知らなかったので、実話との違いもわからず、違和感なくストーリーや役者を受け入れることができたのかも。フレディのイメージといえば、白いレオタードにいかつい髭面でスタンドマイクを持って歩き回るということしかなかったので、出だしの出っ歯の青年で面食らった。後で昔の映像を確認してみると確かに出っ歯で、どうでもいいようなことだけど、髭面にするとその印象が前面に出て出っ歯が隠れることを知った。 ゲイでエイズに罹って死亡したのは薄っすら記憶にあったけど、知らないことが映画に多く出てきて関心がどんどん湧いてくる。映画を見終わって、早速ネットでクイーンの動画や情報を漁ったくらい。  フィクション部分についてはメンバーも許諾していたようで、伝記映画ではなくアートだということが貫かれていて、その世界に気持ちよく浸ることができた。 フレディの出自や、闘病から死亡まで等、広げようと思えば広げられるところを大胆に省略して、クイーンの始動から全盛期を経て対立からの和解に絞ったのは良かったと思う。
[DVD(吹替)] 9点(2020-10-17 22:53:56)
11.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 
悪名高いメキシコの麻薬カルテルの抗争。ネット上でも思わず目をそらせるようなものもある。その世界が現実感を持って迫ってくる。 そんな修羅の世界ではケイトのような正論は通用しない。あくまで正論を通そうとするケイトにイライラし、手段を選ばず復讐相手の妻子まで皆殺しにするアレハンドロに感情移入してしまう。良い悪いは別にして、修羅の中で生き抜く凄味に圧倒される。 ラストでアレハンドロに銃口を向けながら結局引き金を引けなかったケイトが印象的。 最近観た映画の中では一番面白かった。
[DVD(吹替)] 9点(2017-08-30 00:20:45)
12.  奇跡の人(1962) 《ネタバレ》 
ヘレン・ケラーの伝記を読んだことがあるのでどういう話なのかは十分わかっているはずなのに、それでも上回る感動があった。 大竹しのぶ主演の舞台もすごかったが、この映画でもサリバン先生とヘレンのぶつかり合いがすごい。まさに格闘。でも、そこには愛と信念がある。 親が娘への情に流されて結果的に足を引っ張るも、それを跳ね返す芯の強さ。 こういう教師に巡り合えた生徒は幸せだ。
[DVD(字幕)] 9点(2017-01-18 06:05:41)
13.  ブラッド・イン ブラッド・アウト 《ネタバレ》 
白と茶と黒、刑務所での三つ巴の抗争、勢力争いが熾烈を極める。メインとなるのは、パコ&クルス兄弟と従兄弟のミクロの三人の男たち。 悪ガキグループのリーダーだったパコが刑事となり、一番まともそうだったミクロが骨の髄までマフィアに染まっていく。幼い弟をドラッグで死なせたことで家族から見放されてすさんだ生活を送るクルスも、最後に家族から許され救われる。かわいがってくれたボスを裏切ったミクロは、メキシコ系マフィアの首領に成り上がっても、この先救われることがあるのだろうか。  仲間に入るには血を流さなければならない――アメリカ人との混血で、見た目は白人、中身はメキシコ人ということで、どこからも爪はじきにされがちな境遇の中で、必死にしがみついたのがメキシカンマフィアとの血の結束。 肉親とのつながりか、組織の仲間とのつながりか。パコ&クルス兄弟とミクロでは、ファミリーとする拠り所は異なるが、ミクロのいうファミリーには危うさが付きまとう。  香港ノワールに通じるようなベタな男臭さと熱さを持った映画。ハリウッドのマフィア映画とはまた違った面白さだ。クールでドライとは反対側にある、むんむんするような蒸し暑さ。 『ゴッドファーザー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』以来、タイプは違うけれど久々に見応えたっぷりのマフィアものに出会えた。単なる抗争ものではない、濃厚な人間ドラマがある。3時間もの長尺も、2時間ものくらいに感じて退屈しない。
[DVD(吹替)] 9点(2015-04-16 20:40:30)
14.  クリムゾン・タイド 《ネタバレ》 
「潜水艦映画にハズレなし」と言われる中でも一番おもしろかったかも。 みなぎる緊迫感で釘付けにされる。 敵の攻撃から母国を守るために一刻も早く先制核を撃ちこもうとする艦長と、もう一度命令を確認するまで自重すべきとする副艦長の激しい攻防。 どちらも自分が正しいと信じての行動だけに妥協の余地はなく、自分の信じる最善を尽くすなら妨げとなる相手を潰さなければならない。 結末はなんとなく早くから予想はついたし、結局その予想通りではあったけれど、それでも息詰まる緊迫感にしびれた。 ジーン・ハックマンとデンゼル・ワシントンのせめぎあいが魅せてくれる。  ただ、ラストはちょっと物足りない。 裁判もあやふやな灰色決着で、艦長は退官するもののお咎めなし。 愛国から出た行動なら、規則を破って全面核戦争に陥ったかもしれない危機を招いたことにも目をつぶる。 そんなハリウッド映画らしいハッピーエンドに、少し腑に落ちないものは感じる。
[DVD(吹替)] 9点(2015-01-25 18:35:06)(良:1票)
15.  ブロードウェイと銃弾 《ネタバレ》 
登場人物が個性的で、キャラや台詞が生き生きとしている。 プライドが高くて我がままばかり言う落ち目のベテラン大女優。 頭が空っぽで演技もど素人なくせにスターを夢見るマフィアの情婦。 情婦のご機嫌を取るため無理難題を突きつけるマフィアのボス。 スポンサーであるマフィアのボスに何も言えないプロデューサー。 そんな連中に芝居をめちゃくちゃにされていく脚本兼演出家の姿がおかしくて哀れ。  ずっと芝居を見せられてきたギャングの監視役チーチが、思わぬ名案を提案する展開は実に愉快。 そこにプライドを傷つけられてへそを曲げる主人公も、可哀想な被害者という面だけでなく弱点を持った人間として描かれている。 才能もチーチに劣り、出演者と男と女の関係になってしまう。 主人公よりもチーチが完璧な作品を求めていくようになるのが面白い。 どっちがプロの作家なんだかわからなくなる。 自分の作品のためには人も殺すほど鬼になれるなんて、究極のアーティストともいえる。 一方、主人公はアーティストよりも平凡な人間たることを選んだ。 それぞれみんな人間味があって血が通っているので、ドラマが躍動的に映る。 もったいなかったのはラストで、ちょっと安直なハーピーエンド。  三谷幸喜がこの作品を好きだというのもわかる。 『ラジオの時間』は明らかに本作にインスパイアされている。 予定調和気味にまとまった三谷作品より、角があって予測のつかない面白さ。 ウッディ・アレンの作品の中では、クセもなくて一番楽しめる。
[DVD(吹替)] 9点(2014-10-24 22:39:18)
16.  ルディ/涙のウイニング・ラン 《ネタバレ》 
ルディの執着は身の程知らずで諦めが悪く危うくも見える。 自分に都合良く解釈するようなところもあり、対象が女性だとしたらストーカーになりそうなタイプ。 その言動が途中まではうっとうしく感じられる。 ところが、あまりにもひたむきで恥も外聞も関係ない情熱に、周りの人間の見る目が変わっていく。 ヘッドコーチにルディの出場を直訴するメンバーは感動もの。 でも、ラストチャンスに出場して、敵の司令塔にタックルを決めるのは、あまりにもできすぎと感じてしまう。 スポーツには感動の実話も多く、事実は小説よりも奇なりというような奇跡もあるのだけれど、映画にしてしまうとなんだか嘘っぽく見えてしまうのが残念。 実際の試合映像も見たが、映画ではルディが一人でQBを倒したように描かれているが、リアルでは二人がかりのタックルで倒している。 実話ベースとはいえ、そうした類の映画的演出はあるのだろう。 それでもルディのあくなき情熱と不屈の魂、果敢な行動力は観る者の心を揺さぶらずにはいられない。 諦めなければ夢は叶うというエネルギーを与えてくれる。  ただ一点、ルディがヘッドコーチ室を訪れて、家族や友人に証明したいからと出場を陳情したのは冷める。 アメリカではプロでも選手が監督に出場を直訴するのはよくあることだが、日本では見苦しく出しゃばりすぎの印象を与えかねない。 結局、そのヘッドコーチが辞任して約束が反故にされたため、最後は自分の力で(仲間の後押しがあったとはいえ)出場できたとも言える。 それでもこれは悪い言い方をするならお情け出場。 そこに賛否両論あるだろうけど、プロの世界ならそんなのありえないものの、大学スポーツを教育の一部と考えるならこういうのもアリかもしれない。  余談だが、ルディ・ルティガーは後年、株価を上げるために虚偽の情報を流したとしてアメリカで話題になった。 目的のためには手段を選ばない。 それが純粋にフットボールの夢だけなら良かったが、金銭が絡んでくると途端に胡散臭い話になってしまう。 光と影。夢のある話が一転せちがらい現実を見せられたようだが、ルディのキャラクターなら十分ありえることに思えてしまう。
[DVD(吹替)] 9点(2014-09-24 19:27:20)(良:1票)
17.  ステラ 《ネタバレ》 
これは泣ける。 ベッド・ミドラーがハマっていて、何ともいえない哀愁があって切ない。 憎まれ口を叩くけど情の厚い大阪のオバちゃんのような役が本当によく似合う。 男の援助を一切断って、一人で子どもを育てる覚悟が潔い。 なんといっても泣かせるのが、娘への無償の愛。 ベタなストーリーで展開もまったく予想通り。 にも関わらず、そこに普遍的なものがあるから深い感動が生まれる。
[ビデオ(吹替)] 9点(2014-04-04 00:12:14)
18.  フィールド・オブ・ドリームス 《ネタバレ》 
昔みたときは全然ピンと来なかったが、年を経て見直してみると良さがわかってきたような。 ファンタジーは好きなジャンルではないけど、親父とのキャッチボールは胸に迫るものがある。 自分の父が健在かそうでないかで受け止め方がかなり違ってきそう。 重なる部分があれば自然と感情移入することに。 夢を叶えた若きグラハムが少女を助けるためにフィールドから老医師に戻るシーンはなんとも切なくて美しい。 天の声に従って夢の叶う場所を目指して遠くまで連なるヘッドライトが印象的。 童心に戻って古き良き時代に浸る観衆の姿が目に浮かぶ。 泣けるファンタジー映画の傑作だ。
[DVD(吹替)] 9点(2013-11-23 19:10:40)
19.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
孤立無援のビルの中、一人でテログループと対決するブルース・ウィリスはヒーローものの基本スタイル。 息もつかさぬ攻防に、主人公に感情移入して思わず力が入る。 主人公の敵はテログループだけでなく、無能で的外れな指揮官、浅はかな人質社員、配慮の足りない報道陣にもことごとく足を引っ張られる。 唯一力になっている相棒のパウエル巡査にしっかりしろと声援を送りたくなる。 自然とそういう気持ちにさせるストーリーの運び方が実に巧い。 ジョンの妻が怒り狂う犯人の一人を見て「人をあんなに怒らせることのできるのはジョンしかいない」とジョンの生存を確信するくだりはおもしろい。 緊張感の中にチラリとユーモアをのぞかせるのがいい。 パウエルが全然役に立ってないなと思いきや、ラストでお約束通りの活躍。 勧善懲悪のわかりやすい映画だけど、ジェットコースターのように最後までスリリングな起伏が楽しめる。 アクション映画のお手本のような作品だ。
[ビデオ(吹替)] 9点(2013-07-17 21:04:01)(良:1票)
20.  天使のくれた時間 《ネタバレ》 
コンビニでトラブっていた黒人と関わった次の朝、まるっきり人生が変わっていた。 人生の分岐点で別な決断をしていたらとふと考えることが誰にだってある。 愛する家族と過ごすごく平凡な生活が、一番幸せな人生。 よくあるテーマなのでストーリーの流れも予測がついて意外性はないけれど、普遍的なテーマで感情移入しやすいのと役者がいいので引き込まれる。 ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ、それに子役もすばらしい。 こんなチャーミングな奥さんと愛らしい子供がいるなら、大抵のことなら我慢できそうで、価値観が変わっていく男にも共感できる。 ラストの空港でのシーンは感動的で、コーヒーを飲みながらの会話が想像できて楽しい。 はしゃいだりふざけたり、お茶目でセクシーなティア・レオーニに魅了されて+2点。  コーヒーを飲みながら会話が弾むラストが絶妙。 突然元彼が現れてヨリを戻そうとしても、成功しているキャリアウーマンなら簡単に翻意するわけがない。 その後やっぱりそれぞれの道を歩むのが一番現実的だけれど、この映画はファンタジーなのだからもしかしたらと夢を持たせるラストがふさわしい。 「素晴らしき哉、人生!」を彷彿させるような後味の良い映画。
[DVD(吹替)] 9点(2013-06-29 23:43:43)(良:1票)
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