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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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201.  ディア・ハンター
何があっても自分を絶対に故郷に戻らせてほしいと頼むウォーケンのセリフとそれを実行したデニーロのオトコの友情が熱い。 田舎で仲間と馬鹿なことをやって過ごした延々と続く前半と戦争という狂気に巻き込まれる中盤、田舎の元の世界にはもう戻れなくなってしまい、馬鹿騒ぎも鹿狩りも出来なくなってしまった後半という創りは対比的でよりリアルで分かりやすい。 前半の普通の日常生活のくそ長さが計算でやっているのか偶然なのか分からないが、見終わった後に深く響く。 戦争というのがいかに人と人生に影響を与えて変えてしまうのか考えさせられる。 ロシアンルーレットを通して人間の命が賭け事として軽く扱われることによって、逆に命の重さを感じずにはいられない。
8点(2004-02-22 02:37:05)
202.  塔の上のラプンツェル 《ネタバレ》 
3D吹替え版を鑑賞。 ディズニーらしく夢のある作品に仕上がっており、大人でも子供でも誰でも楽しめることができるだろう。 アドベンチャー、ラブストーリー、親子愛などの要素を盛り込み、“自由”や“夢”や“成長”などのテーマを3Dを活かした圧倒的な美しさや迫力で描き込んである。 鑑賞する前には想像していなかったが、ミュージカル要素が多数含まれており、いい裏切りが嬉しいところ。 ミュージカルをアメリカ版でも聞いてみたいとも思ったが、逆に吹替え版だからこそ楽しく聞くこともできたとも思える。 歌のパートは別の人だったようだが、中川翔子が彼女のカラーを全く感じさせない、良い仕事をしたようだ。 目的もなく、ぼんやりとしていたユージンが最後に良い仕事をすることもいい裏切りとなっている。 “自由”を求めるラプンツェルの“夢”、“自由”を謳歌するラプンツェルの楽しそうな“姿”を見て、彼自身も変わっていったのだろう。 自分自身を犠牲にして、彼女自身の大切な宝ともいえる“呪縛”から開放させることには、男としての強い勇気を感じさせた。 仲間ではないはずの荒くれ者たちやライバルのマキシマスの手助けなどの、いい裏切りが嬉しい作品。 盗賊であれ、動物であれ、赤の他人であれ、どのような関係であっても仲間ハズレにせずに、手を取り合うようなシーンには心を打たれる。 ディズニーらしく大人でも子供でも楽しめる、甘いスイーツのような作品であり、自分には少々甘すぎたところもあったが、それが目的のような作品であり、もちろんその点が本作において問題になることはないだろう。 甘いケーキを食べに行って、甘すぎると非難するのはナンセンスと分かっている。
[映画館(吹替)] 7点(2011-05-03 12:53:28)(良:1票)
203.  SOMEWHERE 《ネタバレ》 
ソフィア・コッポラ監督はそれほど好きではないので、ベネチア映画祭で賛否両論の本作を気に入ることは難しいかと思っていたが、これはこれで意外とアリということが正直な感想だ。 ハリウッドスターの日常や、父と娘が過ごすたわいもない日常が綴られているにすぎないので、ストーリー映画のような面白みを得ることはなかなか難しい。 しかし、無味乾燥な日常の中にみえる“空虚さ”、平凡なやり取りの中で父と娘が心を通わせる“穏かさ”が本作には欠かせないので、このようなアプローチは悪くはない手法だ。 ハリウッドスターが過ごす物足りない日常の生活や、父と娘が過ごすたわいもない日常の生活を、ソフィア・コッポラが極めて繊細に描いているため、自分はそれほど飽きることはなかった。 このようなストーリーがほとんど存在しないような映画を、一定の水準に保つには、監督としての技量を問われるはずだ。 ハリウッドスターとして全てを手に入れて、パーティーやレセプションをこなし、多くの女性とともに過すジョニー・マルコと、一人の父親として娘とともに過すジョニー・マルコの対比がうまくできている。 ポールダンスを見て飽きて寝てしまう姿と、娘のアイススケートを見て惜しみのない拍手をおくる姿をみるとまるで別人のようだ。 オチの付け方が難しく、中途半端な終わり方になると予想していたが、前向きになれる意外と良いオチを付けてくれた。 暮らしていた高級ホテルをチェックアウトして、高級車を降りて、何もかも捨て去り、自分の足で歩く男にはかすかな笑みがこぼれており、空虚な生活を送り、何も手にしていない男が再生し、再スタートを切る姿は美しい。 娘との再会で幕を閉じるわけでもなく、具体的な事象を描くことなく、曖昧なイメージのままで仕上げており、本作にとっては最良の仕上げではないか。 このようなラストにすることにより、自分はハリウッドスターでもなければ、子どももいないが、マルコの姿と自分自身をやや重ね合わせることができたので共感しやすかった。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-03 12:39:53)
204.  シリアスマン
面白いけれども、何が面白いのかよく分からない映画。 捉えどころが難しい映画であるが、不思議な魅力のある映画といえるかもしれない。 理不尽な出来事の全てがシリアスなものではあるが、癖のあるユニークなキャラクター、シニカルな内容のためかシリアスになれないようになっている。 映画自体は実は相当に深いのかもしれないが、「シリアスマン」はシリアスに見る映画ではないだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-02 21:42:33)
205.  ウォール街 《ネタバレ》 
人間の野心、金の魔力・重力、師弟関係、親子の絆、恋愛関係、企業に対する愛着など、様々な要素が描かれている良作といえる。 労働者層と富裕層を分ける大きな壁、その壁を乗り越えるために、超えてはならない一線を超えて、戻ることができなくなった男たちの生き様が描かれている。 ゲッコーは、ブルースターの資産に目をつけていたが、バドを騙す気はそれほどなかったのではないかと思う。ゲッコー流の思考から考えると、再建させるよりも資産整理した方が、楽に金が儲かるというジャッジを下しただけのように思える。その思考にはもちろんバドの気持ちや組合や従業員のことなどは含まれてはいないことは確かだろう。 ゲッコーはブルースターを整理することで、自分はもちろんのこと、バドもバドの父親も多少儲けることができるから問題ないと踏んだのだと思うが、金では買えない長年積み重ねてきた時間が企業には蓄積している。金を儲けるという“欲”の対抗軸として、本作にはフォックス家の家族の絆や恋愛感情、企業に対する愛着や連帯感のようなものを盛り込んでいる。これらについては、ゲッコーが持ち合わせていない事柄であり、持ち合わせていないからこそ、彼が計算できなかった事柄だろう。 ゲッコーももちろん家族持ちだが、その気になれば母親をも売り飛ばすと罵られたように、金>家族という考えに間違いはなさそうだ。『友達が欲しかったら、犬を飼え』というゲッコーのセリフも良い。 ただ、ゲッコーも機械ではなく人間であるためか、感情があるようだ。野心のために限界を超えるバドにのめりこみ過ぎたような気がする。ゲッコーは自分に似ているところがあるバドに、自分を投影してしまったのだろう。問題は、彼はバドであり、ゲッコーではなかったということだろう。 バドとダリアンの二人の関係の危うさも面白いところだ。金と恋愛感情というものを天秤にかけた時、ストーン監督は単純に恋愛感情の方が勝るという描き方をせずに、貧乏時代には戻りたくないと破局させていることは面白い。愛があれば金がなくても大丈夫とキレイごとで片付けに、やっぱり金の魔力の大きさ、金の重力という重さが見え隠れしている。父親はその日に生きる金があればよいと言えるが、贅沢を知った女性にはそれは無理ということのようだ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-02-28 00:11:40)(良:1票)
206.  ザ・タウン 《ネタバレ》 
緊張感に溢れ、重々しくかつ渋めの作風となっており、自分好みの作品に仕上がっている。監督としてのキャリアが浅いこともあるのか、あまり変なところに凝ることなく、オーソドックスで分かりやすい構成ともなっている(リアリティにはこだわっているようだが)。クライムサスペンス、アクション、ラブストーリー、ヒューマンドラマという要素をバランスよく、重厚かつリアルに描き込んでおり、エンターテイメント作品としても人間ドラマとしても、どちらの面からも楽しめられる。アフレックは役柄的にぼんやりしたところはあったが、ジェレミー・レナーが“街”とともに生きるという決意が表れたような演技をしている点も評価できるところ。 父親との関係、幼なじみとの関係、元恋人との関係、現在の恋人との関係、街を仕切るボスとの関係など、自分が住む“街”、自分と切り離すことができない“街”について、あまり多くを語らずに必要最小限に留めているところも好感がもてる。 獄中にいる父親に会って、母親の話をするだけでよい。 幼なじみとは罪を犯し、むかつく奴を殴り、昔話をするだけでよい。 元恋人とはヤッて、泣きつかれるだけでよい。 街に仕切るボスとは交渉して、逆に脅されるだけでよい。 それぞれを詳細には描き込んでいないが、しがらみに絡みつかれていることがよく分かるようになっている。 幹と枝の部分をしっかりと描き、葉っぱのような部分をカットしていることはなかなかの思い切りの良さを感じられる。 エピソードも効果的に使われている。 母親に関するエピソード、自分のために獄中に入ってくれた幼なじみのエピソードなど、実際に描くよりもエピソードとして挿入することの方が心に響き、大きな効果を生んでいるように感じられた。 スケートリンク、土いじり、恋人との会話などもさりげなく描き、それらを効果的に使っている。 ただ、ラストのヒゲ面は多少蛇足かもしれない。 彼が警察に捕まったのか、野垂れ死んだのか、幸せに暮らしているのか、罪を償っているのかといったことはそれぞれの観客の判断に任せてもよいのではないか。 あまり描かないことが効果的だったので、手紙のナレーションだけでもよかったかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-08 23:32:17)(良:1票)
207.  RED/レッド(2010) 《ネタバレ》 
かなり面白く感じられた。アメコミ原作ということもあり、画面を使って上手く遊んでいる。コメディ的な要素をベースにして、シリアス的な要素も取り入れているので、他の監督作品とは違うような独特の“味”のある作品に仕上がった。 ただ、「フライトプラン」を撮っている様に、基本的にはマジメなタイプのようであり、完全に遊び切れていないイメージも受けるが、マジメに遊んでおり、これはこれでアリのような気もする。遊び一辺倒やシリアス一辺倒よりも、バランスはそれほど悪くはない。主要キャラクターが一人亡くなるだけではなくて、かなり追い込まれているにも関わらず、ギリギリしたような緊迫感には欠けているが、そこまで本格的に仕上げる必要もないだろう。ただ、テンポの悪さや冗長感もあるので高い評価はしにくいところもある。 ストーリーはどこかで見たような政府による陰謀的な展開ではあるが、一応はしっかりとしている。サプライズはなく、平凡な黒幕や落としどころといった難点もあるが、『この先どうなるのだろうか』と感じられることが重要だ。 それだけではなくて“恋愛”を中心に添えているので、他のアクション作品とは異なり、若干引き締まった。「ナイト&デイ」など、巻き込まれタイプのアクション作品は多いが、彼女の天然さや美人ともいえない容姿も本作にはプラスに働いた。 ブルース・ウィリスは相変わらずのブルース・ウィリスではあったが、クールな仕事人であり、無理をしてキャラクターを作る必要もない。彼の代わりに、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレン、ブライアン・コックスが良い演技をしており、非常に良い味を発揮してくれた。彼らの存在感も本作には大きなプラスをもたらしただろう。ジョン・マルコヴィッチはセリフを喋らない場面でも、きっちりと演技している。モーガン・フリーマンはスケジュールの都合だろうか、出番があまりなかったことは残念だったが、ブライアン・コックスの出番が想像外に大きかったのでカバーされている。ブルース・ウィリスとメアリー=ルイーズ・パーカーだけではなくて、ブライアン・コックスとヘレン・ミレンという熟年カップルを登場させており、歳を取っても活躍することはできる、恋愛することもできるというメッセージを送っているのだろうか。 遊びもかなりあるが、全体的に落ち着いた作品にも仕上がっており、大人向けに仕上げているのかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-02 22:28:20)(良:1票)
208.  デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~ 《ネタバレ》 
「ハングオーバー」が面白かったので、ある程度期待していたが、期待どおりの面白さだった。この監督とはやはり相性があいそうだ。誰にでもススメられる良質のコメディ作品だ。ただ、「ハングオーバー」の際も同様の現象が起きていたが、近くにいたアメリカ人は大爆笑しているにも関わらず、日本人は静かにしているところが多々見られた。恐らくセリフと字幕には多少のニュアンスの違いがあり、微妙な面白みを伝え切れていないところがあるようだ。 コメディ作品は非現実的な事象が巻き起こり、それが不自然に感じられることが多々ある。本作も同様に非現実的な事象が多く生じているにも関わらず、意外とナチュラルで無理がない仕上りとなっている。ロバート・ダウニーJr.の演技力の賜物かもしれないが、演出・演技にわざとらしさがなく、全体的に自然体のように感じられた。 また、テロリスト、児童虐待、イラクからの軍人の帰還、メキシコからの不法移民、ドラッグなど、かなり際どい題材を盛り込んでいるにも関わらず、これらに関しても嫌らしさを全く感じられない。アメリカ人にとってはどのように感じるかは分からないが、これらを上手く笑いに転じさせている。 トリップモノ、バディモノとしても悪くはない。イーサンはバカではあるが、バカ正直でもあり、裏がなく憎めないキャラクターになっている。父親を亡くして孤独になったイーサンは一人ぼっちになりたくなかっただけなのかもしれない。ピーターはただのつまらない大人ではあったが、イーサンとの出会いにより、徐々に変わっていっている。その象徴的なものは、グランドキャニオンへの立ち寄りだろう。あれほどキレやすかったのに、終盤は財布の件以外は比較的穏やかだ。 イーサンにとっては、ピーターは孤独を癒すかけがえのない相棒なのかもしれないが、ピーターにとってイーサンの存在とはどうなのだろうと考えてしまう。大嫌いでやっかいな相手から、どうしてかけがえのない相棒へと変わったのか。メキシコで拘留中に無謀な手段によって助けられたことが、ピーターにとってイーサンが相棒へと変わったポイントなのかと思われた。妻の出産に立ち会えないという“絶望”から彼を救ったことによって、イーサンに対する想いが大きく変わったのだろう。 これらのように、ただ単に笑えるだけではなくて、ちょっとだけ相棒のことを考えられる点も評価したいところだ。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-02 22:14:06)(良:1票)
209.  ソーシャル・ネットワーク 《ネタバレ》 
スピード感や疾走感があり、レベルは高い作品かもしれないが、賞レースの首位に立つような作品なのかという気もする。確かに面白い映画だとは思うが、感じ取りにくい作品でもある。心に訴えてくるものはあるが、心の中で整理しにくく、味わいにくいところもある映画だ。 本作の難しさは、多くのアメリカ人が知っている実在の人間であり、現役バリバリの人間を描いているという点だろう。悪人あるいは善人に偏って映画を構成することはしにくい。あくまでも事実をベースになるべく中立的な立場にたちながら、観た者に「ザッカーバーグとはどのような人間か」を考えてもらう“問題提起”をしている。成功者なのか、失敗者なのか、どちらでもないのか、観た者によって、ザッカーバーグの印象というものは180度異なるかもしれない。そのような視点からは優れた作品といえるだろう。 また、実在の人間を描きながら、人間の本質的な部分が描かれている点も優れた点といえる。ネットやビジネスや法律の世界を扱った映画ではあるが、それらよりも友情の崩壊などの“人間関係”を中心に描かれている。人間と人間を繋ぐシステムを構築したにも関わらず、親友を失い、仕事仲間を失い、恋人も失っている様が皮肉的・象徴的でもある。莫大の大金を得て、莫大の登録者数を得て、成功を収めていくにつれて、どことなくザッカーバーグの影が薄くなっている点が印象的でもある。 冒頭の会話からザッカーバーグの性格や思考パターンが読み取れるようになっていることも面白い作りとなっている。彼に欠落しているのは、他人の気持ちなどを考える“想い”ということではないか。誰かの気持ちを一切考えることなく、自分に付いて来れば、それでハッピーになれるという驕りがある。論理的・合理的に考えれば、それで良いのかもしれないが、人間関係というものはそれでは成り立たない。 しかしながら、ネットの世界に入り込み、他者と壁を作って、自分の世界に閉じ篭もるだけではなくて、弁護士の女性を食事に誘うような“複雑さ”をも兼ね備えている。他者との関わりを絶っているのではなくて、他者との関わりをもちたいという気持ちは彼には確かにあるのだろう。そうでなければ、フェイスブックという世界を構築したりはしないが、関わりを持ちたくても、それが上手く構築できないというのも人間社会の常でもある。ネットの世界と人間社会の世界とは違うのであるから。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-17 22:46:44)(良:1票)
210.  マチェーテ 《ネタバレ》 
ロドリゲスやタランティーノの信者でもなく、正直言うと「グラインドハウス」にもそれほど乗り切れていなかったので、自分が観て楽しめるのか、そもそも自分に観る資格があるのかなど、鑑賞前には不安はあったが、そんな不安は杞憂だった。 冒頭、敵のアジトに突入する際に、隣にいた相棒が1秒程度で死んだシーンをみて、『あぁ、この映画俺の好みかも』と感じさせてくれた。アジトに突入して次々に敵の頭が吹っ飛ぶシーンをみて、『これは楽しめそうだな』とほぼ確信に変わった。さらに裸の女性で出てきたシーンをみて、『…』。 R18指定作品となっており、暴力的な映画とも思われるが、グロさもエロさもほどよい仕上りとなっており、嫌悪感なく楽しめる作品になっている。 多数の出演者も自分の役柄を理解して、ノリ良く演じている。中でも、デ・ニーロもノリ良く演じており、タクシーを強奪して乗り込んだときには何故か笑えてくる。ローハンも自己が置かれている立場を逆に利用して、あらゆる面でナチュラルな演技をみせており、出番は多くないものの我々を驚かせてくれる。 ラストの展開がかなりグダグダしている部分もみられるが、これもB級映画っぽいテイストを狙っているのだろうか。ロドリゲス監督がそこまで計算して製作しているとも思えないが、見ようによっては、このグダグダなラストは本作とマッチしているかもしれない。 また、スティーヴン・セガールがラストでは乗り切れていないと思ったが、彼の三文芝居も同様に本作には合っているのかもしれない。 好意的に解釈すると、素晴らしいクライマックスや、ラスボスとの壮絶なバトルや、感動的な盛り上がりを用意するような映画ではないということか。 そのような凝ったことをしなくても、次回の予告画面だけ見せてくれれば、それだけで盛り上がれる。 ストーリーに関しても、くだらない復讐劇が繰り広げられていると思いきや、アメリカでのヒスパニック系問題や、メキシコからの不法入国、麻薬問題など、リアルな問題を放り込んでおり、決してバカには出来ないストーリーに仕上がっている。 詳しくは分からないが、アメリカ国内を占めるヒスパニック系の割合は相当なものとなっており、彼らの影響力の高さは重要視されているところである。 グロさやバカっぽさ前面に出して押し切るのではなくて、それらを含んだバランス良い仕上りとなっていることは評価できる点だ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-11-11 23:42:21)(良:3票)
211.  ナイト&デイ 《ネタバレ》 
鑑賞後は『楽しかったな』程度の感想しか抱かない深みのない作品ではあるが、本作のような何も考えずに気軽に見られるアクション作品もアリだと思う。 トム・クルーズのカッコ良さや、キャメロン・ディアスのキュートさが前面に押し出されており、それらを十分に堪能することができるという点は評価したいところ。 トム・クルーズ+キャメロン・ディアスという図式よりも、トム・クルーズ×キャメロン・ディアスという図式となっており、単純な足し算ではなくて、掛け合わさってお互いがお互いの魅力を引き上げている最高のコンビに仕上がっている。 このコンビならば、大して意味がなく全世界を駆け回っても、何でも許してしまえるほどだ。 また、「ミッション・インポッシブル」のような本格的なスパイアクションモノと、「オースティン・パワーズ」のようなスパイコメディモノの間を取ったようなバランス感覚も悪くはない。80年代の007シリーズを見ているような、いい意味でのユルさは逆に新鮮にも映る。 銃弾を浴びせられている最中にキスをするというようなあり得ない展開を、もっと要所要所に入れ込んでも良かったかもしれない。 ラストの展開もユニークであり、いい意味での裏切りを味わうことができる。 あの展開がなかったらもっと評価が下がったかもしれない。 全てが前フリのように使われており、『なかなかやるな』と後味の良い楽しい気持ちにさせてくれる。 傑作という評価はしにくいが、全体的にクールさやセンスの良さが目立つ作品に仕上がっている点も評価できる。 住む世界が違う二人ではあるが、相手に気付かれないように気遣うトム・クルーズのクールなカッコ良さ・スマートさと、キャメロン・ディアスのポジティブさが、二人を変えていったという面白さも本作にはある。 トム・クルーズとキャメロン・ディアスの絶妙なコンビに対して焦点を当てており、FBIのような組織やスペインの犯罪組織は基本的にはオマケという構造となっている。 二人の最高のコンビネーションを堪能できたので、その方針自体は間違っていないが、FBIのような組織やスペインの組織にも、きちんと焦点を当てていたら、もっとスリリングな作品に仕上がったかもしれない。 難しい判断ではあるが、完全に置き去りにはしなくてもよいのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2010-10-12 21:38:13)(良:2票)
212.  特攻野郎Aチーム THE MOVIE 《ネタバレ》 
オリジナルについては放送されていたのは知っていたが、あまりに子ども過ぎていて記憶がない。 オリジナルとの比較はできないが、単品で見ると結構面白いと感じられた。 スタートからエンディングまでクライマックスのノリが続いていき、ハリウッドアクション大作をお腹いっぱいに堪能できる。 大胆かつ緻密な計画は見ていても飽きることがなく、頭脳的にも視覚的にも十分満足できるデキとなっている。 ストーリー的には、彼らがなぜ濡れ衣を着せられたなどは深く考えない方がよいだろう。 訳の分からない理由でハメられて、とにかく汚名を晴らす、そんな展開でもこの仕上りならば、全く気にならない。 各人の個性はバラバラではあるが、チームワークについてはある部分でしっかりとまとまっているという面白さもある。 バラバラの4人の個性や長所も十分発揮されていたと思われる。 『人を殺せなくなった』という訳の分からないモヒカンの告白があったが、ああいう展開もチームを結束されるには必要なネタと思われる。 あのエピソードが上手く機能したとは思えないが、チームの誰かが悩みを抱えて、それをリーダーの言葉などで吹っ切って、復活するという流れは、ストーリーを盛り上げるためには必要不可欠だろう。 このような訳の分からない展開も全体的な仕上りの良さがあるからこそ許されるものであり、プロデューサーのスコット兄弟や監督のジョー・カーナハンの手腕の高さが窺われる。 難をいえば、CIAのリンチを上手くハメたようには感じられないところか。 『奴の本性を明かす』といっていた割には、なんとなく奴が捕まってしまい、完全にスッキリしたようには感じられなかった。 CIAにはリンチのような奴がゴロゴロしているオチは面白いが、もうちょっとラストの作戦が上手くハマれば評価もアップしたかもしれない。 ラストの作戦はハンニバルではなくて、フェイスの作戦だから仕方がないともいえる。 いずれにしても、細かいことには気にしないで楽しんだ方が良い映画でもある。
[映画館(字幕)] 7点(2010-10-09 23:37:38)
213.  或る夜の出来事 《ネタバレ》 
ありきたりのただのラブコメかと思って鑑賞していたが、山アリ谷アリと意外と盛りだくさんに描かれており、今観ても十分楽しめた。  わがままな富豪の娘をきちんと教育していくクラーク・ゲイブル演じる新聞記者の姿が印象的だ。 「(金もないのに)チョコレートに金を使うな」「ヒッチハイカーにメシをたかるな」と無計画さや他人に依存する姿勢を正していく辺りはどこか父親的であり、人間的な厳しさを感じ取れる。 そのような人間的な教育によって野生のニンジンをかじる姿から、彼女の成長が見て取れる。 また、「バスの中で彼女が目を覚ますまでずっと待っており、かつ自分の衣類をかけてやる」「ジェリコの壁を作って、一線を守る続ける」「人妻には手を出さない」という辺りはとても紳士的な態度が感じ取れる。 さらに、「夫婦の演技によって他人を欺く」「ヒッチハイクのやり方を講習する」辺りにはユーモアかつ頭の良さが感じ取れ、太平洋辺りの島に暮らしたいと語る姿からは今までのイメージを覆すような夢や愛も感じられる。 このようにクラーク・ゲイブルが非常に魅力溢れる男性に描かれており、彼女が彼に惹かれていく理由は、十分すぎるほど本作からきちんと読み取れるようになっている。 懸賞金は要らないが、旅費はきちんと貰うという、筋は通す態度から、彼女の父親もそのような人間的な資質を容易に見抜いたのだろう。  逆に、ゲイブルがわがままな富豪の娘である人妻に惚れる理由は深く感じられないが、魅力的な相手からの素直な告白を受ければ、男として応じざるを得ないか。 ヒッチハイクが出来ずに困っていたときに自分の足をみせて止める辺りには彼女の魅力も垣間見られる。 「ドーナツ」や「肩車」などで二人の距離が徐々に縮まっていくこと感じられるので十分といえば十分か。  また、娘の本当の幸せを祈っている彼女の父親や、ゲイブルの本気を見抜き、恋が上手くいかなかったことを悟る新聞記者の上司もいい味を発揮しており、非常に人間味の溢れる作品に仕上がっている。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 15:34:11)
214.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
1930年代のアメリカの南部を知るには、面白い教材となっている。 当時の田舎町での暮らしぶり・子ども達の遊び、当時の黒人に対する偏見、当時の法廷の在り方など、興味を引かれる。  それらを子どもの視点から捉えられている点も面白いところであり、本作の個性となっている。 近所への冒険、黒人や貧困に対する偏見や考え方、父親に対する見方、正義と法など、子ども目線で捉えられているため、非常に分かりやすく、感じ取りやすい。 正義のため、そして子ども達ときちんと向き合うために、誰にも何事にも屈せずに戦う父親の姿は、普通の視点から描くよりも、より光ってみえる。 黒人のメイドに対して父親が紳士的に接し、黒人のメイドが自分の娘でもないのに、普通のことを厳しく教育しているところも、この一家の教育方針が見て取れる。 父親のいない少年に対する息子の態度、貧乏人の息子を自宅の夕食に招待する息子の姿、父親と共に黒人の家を訪ねようとする息子の決意からも、父親からの影響が強く感じられるようになっている。 しかしながら、子どもの視点からまとめ上げているためか、全体的にややまとまりを欠いたような気もするが、個性であることを踏まえれば目をつぶれるところではあるか。  当時には“正義”だけでは越えられない壁があったというのも、現実を色濃く反映されており、映画というフィクションとは異なる一面も垣間見える。 「単純に正義が勝ってよかった」という作り物の世界とは異なり、正しいことが素直にまかり通ることのできない世の中の不条理感などを表している。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 15:31:16)
215.  アフリカの女王 《ネタバレ》 
昔の映画は単純で面白いと素直に感じさせる作品。 ボガートとヘプバーンの息のあった演技が素晴らし過ぎる。 男性と女性のコンビなので本来の意味とは違うが、優秀なバディムービーに仕上がっている。 かなり距離があった二人の関係がナチュラルな形で惹かれ合う姿も印象的だ。 お互いの気持ちを確認し合った後は、驚くほど親密になっていくがそれもまた微笑ましい。 道中において、つかの間の幸せを感じたときに、このまま復讐なんて忘れてどこかで静かに暮らしたいというような切ない雰囲気も感じられるようになっており、心の内側もきちんと描かれている。  船の上だけのシーンで構成されているにも関わらず、全く飽きることがなく、これだけ集中力や緊張感を保てるということは、俳優の演技だけではなくて、監督の技量も相当のものではないか。 想像もつかないような困難が待ち受けていたり、意外と地味な展開があったりと、緩急のついた展開も優秀だ。 さすがに、プロペラがぶっ壊れたときにその場で溶接するという発想はなかったが、そういう突飛な展開も本作を豊かにしている。  最後の展開も、“映画”らしいハッピーエンドを迎えている。 昔の映画ということもあるかもしれないが、ご都合主義というよりも単純に楽しめてハッピーになれるような展開となっており、好感がもてた。 はっきりいってメチャクチャといえるようなストーリーなのだが、なぜだか悪いイメージを全く受けなかった。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 15:28:35)(良:2票)
216.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
訳あって、2D字幕版を鑑賞。3D版を観られなかったことが残念と思えるぐらい、迫力ある映像に圧倒される。2D版でももちろん迫力はあるが、ドラゴンとともに大空を駆け巡るシーンや、ラストのスーパードラゴンとのバトルシーンなど、3D版ならばどうなっているのだろうかと考えてしまうほどだ。自己都合で2D版を鑑賞したにも関わらず、このようなことを言うのは変な話だが、3D版ならばもっと評価は高かったかもしれない。 全体的な流れは、ありがちなハリウッドアニメらしくもあるが、単純さを排されており、細部を上手く表現しているため、他のハリウッドアニメとは一線を画する作品に仕上がりとなっている。ラストの見習いバイキング達による救援活動にはアニメらしい単純さも見られるが、この辺りは大目に見てあげたい。 「敵との関係」「父親との関係」「仲間との関係」など、もちろんその他の作品でも描かれているが、他の作品とは異なるほど“深み”のある作品となっている。他のアニメ作品が勇者のバイキングならば、本作はヒックともいえる。勇者のバイキングが出来ないことを本作はやってのけた。ドラゴンや父親の気持ちを変えたように、本作を観た者の気持ちを変えてくれるだろう。 主人公も死なず、ドラゴンも死なずというありがちなエンディングだが、キャラクターを殺す以上にさらに効果的なエンディングをチョイスしている。傷ついた者同士が寄り添い、協力して歩もうとする姿は「共生」というまさに本作のテーマに合致したものである。どちらかが誰かをかばって死ぬよりも、本作のエンディングの方がより感動的ではないか。一人では飛ぶことができないドラゴンと、一人では走ることができない少年という、何かを無くした者同士が補い合い、マイナス同士が掛け合わさってプラスのチカラへと変えていく姿には希望を感じる。 ただ、ラストにペットがどうのこうのというセリフは余計か。ペットだと飼うもの、飼われるものという支配関係が生じるので、共生というテーマを考えるとあまり好ましくない表現ではないか。「ペット」という言葉に対するアメリカ人との感覚の違いかもしれないが、字幕では工夫しても良かっただろう。 また、個人的には、ヒックとドラゴンの関係を日常生活に置き換えてみても面白いとも思った。苦手としている誰かや、声を掛けにくい誰かにも、手を伸ばせば応えてくれるかもしれないと感じさせる。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-12 22:17:15)(良:7票)
217.  クレイジー・ハート 《ネタバレ》 
本作によりアカデミー賞主演男優賞を獲得しているが、「どうせ功労的なものだろう」とそれほど期待はしていなかった。 しかし、本作を観れば、決して功労的なものではなくて、100%実力で勝ち取ったものだと分かる。 架空のキャラクターを演じているというよりも、そういうシンガーが存在しているとしか思えないほどナチュラルな演技をみせている。 「アイアンマン」でロバート・ダウニーJr.と戦った人とは思えない。 本作で共演しているコリン・ファレルに同情してしまうほどだ。 コリン・ファレルも名優だとは思うが、ジェフ・ブリジッスに比べれば、まだまだ“格”が違うと感じさせる。 キャリアや熟練度はダテではないようだ。 本作は劇的なストーリーが存在する作品ではないが、ジェフ・ブリッジスの演技によって映画が引き締まり、緊張感溢れる作品にも仕上がっている。 監督はジェフ・ブリッジスの良さを最大限に引き出したようだ。 映画らしい演出や展開がない点は物足りないと感じるかもしれないが、非常にナチュラルな仕上がりともなっている。 本作のストーリー展開ならば、劇的な展開を設けて、過剰な“感動”を盛り立てたりすることもできただろうが、監督は全体的に“落ち着いた”仕上がりを目指したようだ。 ジェフ・ブリジッスの演技を踏まえれば、本作のようなナチュラルな演出が向いていると思う。 現実の大人の男と女の関係はあのようにドライであっさりとしたものであることは、分かる人には分かるだろう。 テーマには“深さ”も感じられる。 過去の栄光に逃げ、酒に逃げ、近寄って来る女に逃げ、大成功した弟子からも逃げて、“現実”から逃げまくっている。 その結果、彼は“全て”を失っている。 息子を失い、愛する者を失い、希望を失い、未来を失い、何もかもを失っている。 全てを失って、大切なものに気付いたときには既に手遅れなのかもしれない。 しかし、大切なものを失っても、人生はそれでも続いていく。 “自分”に向き合い、“現実”に向き合い、自分に残された“何か”にすがって、人は“再生”していくのかもしれないと感じさせる深みのある作品だ。 感動とはやや異なるが、少し前向きになれる作品ともいえる。 “カントリーミュージック”についてはよく分からないが、ジェフ・ブリッジスとコリン・ファレルが普通に聴けるプロ並の歌を披露している。 このような点も評価したいところ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-06-29 23:18:52)(良:1票)
218.  プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 《ネタバレ》 
7点という評価は高いけど、6点というほど悪くはない作品。観終わった後には特に深いものは残らないが、鑑賞時間分は楽しめる作品に仕上がっている。ディズニー系の「パイレーツ」「ナショナル・トレジャー」「アリス」よりも、本作には単純な面白さがある。 とんだりはねたりとアクションが満載。中東の雰囲気をやや堪能できアドベンチャー感覚にもひたれる。ユニークなキャラクターが意外と様々に登場してくるので、それほど飽きることもない。 時間が戻るという砂入りのダガーもまあまあ効果的に使用されている。全体的に訳の分からない設定や、ご都合主義、まわりくどい方法での王座獲得など、すっきりしない部分も多いが、特に気にする必要はあるまい。 ラスト付近のやり取りがやや急ぎ足で、物足りないところはあるだろうか。あまりじっくりと描き込む部分ではないが、突然『大量破壊兵器はなかった』と言い出して、敵国を倒した後にも関わらず、『そうだね、もうちょっと調べてみようか』という訳にもいかない。時間の砂を上手く利用して、明確な“証拠”を突き出して、観客を完全にすっきりさせて欲しかったところ。この辺りのオチの付け方は、ディズニー&ブラッカイマーらしい部分ではあるが、それほど憎みたくなるシーンでもない。 本作には、血の繋がった本当の兄弟と、血の繋がらない兄弟たちの二組の兄弟が描かれている。この関係を上手く対比することができれば、観客や本作を見る子ども達に何かいいメッセージを送れたのではないか。血の繋がった兄弟が王座のために憎しみを感じているので、逆に血の繋がらない兄弟たちはもっと協力したり、信頼し合ったりして、“兄弟愛”のようなものをアピールしてもよかったか。“兄弟が協力して強くなれ”というような父親からの家訓のようなものが強調されてはいたが、言葉ではなかなか伝わりづらい。時間の砂を利用して兄からの信頼を勝ち取ったものの、“兄弟愛”のようなものはそれほど濃密には描かれていないといえる。 動機が何もない弟を単純に犯人扱いする流れは仕方がないが、もうちょっと兄弟関係を丁寧に描けば、より良い作品に仕上がったかもしれない。 アクションヒーローのイメージはなかったが、ギレンホールもそれほど悪くはない存在感を発揮している。ゲームを題材にしている作品であり、ネタはまだまだありそうなので、シリーズ化しても良いのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2010-06-26 12:17:00)
219.  フロム・ヘル 《ネタバレ》 
改めて観てみると映画としてのレベルが意外と高いのかもしれないと感じさせる作品。当時の雰囲気はきっちりと伝わっており、製作者の熱意が込められている。アヘンや殺人など退廃的又はグロテスクなものではあるが、美的なセンスや映像に対する哲学もなかなか優れている。全体的に説明不足な感はあるが、画面によって大部分を上手く説明している。あまり押し付けずに、観客の解釈力などに委ねている部分があり、ハリウッド映画らしくない特異な作品に仕上がっている。 ラストではジョニー・デップ演じるアバーライン警部が死ぬシーンが描かれているが、なぜ本編と直接関係のないシーンをわざわざ描く必要があったのか当初は分からなかったが、今となっては少し分かった気がする。あのシーンは、あの事件のすぐ後ではなくて、デップの姿がかなり老けていることから、かなりの年月が経っているように思える。警部は孤独ではあるものの、彼なりのやり方でメアリと娘の成長を長年見守っているということが想像でき、必須のシーンであると考えられる。 アバーライン警部は訳の分からない特殊能力を備えているが、興ざめにならない程度に抑えられている点も悪くない。しかも、事件の解決というよりも、その能力を娼婦との恋愛に振っている辺りもなかなかセンスが良い。“海辺の家にいる君がみえる”というセリフだけで女が男に恋をする訳が分かる。また、娼婦でありながらも自分を卑下しないメアリに惹かれる警部の心理も感じられる。恋愛要素を過度に描く必要がない映画だが、“会いたいけれども命の危険に晒すこととなるので会わない”など、恋愛映画の要素も必要最小限の範囲できっちりと描かれている。警部と娼婦の恋愛を描くことで、王家の者が娼婦と恋愛に陥ることへの理屈付けの面もあるのではないか。なぜ王家の者が娼婦に対して本気になったのかということも一応納得できるだろうか(ただの女好きなだけかもしれないが)。 “切り裂きジャック事件”の真相についてはよく知らないが、大胆にユニークに脚色されている点が面白い。王室やフリーメーソンを絡めて、壮大な“復讐劇”として描かれている。実際の事件とは恐らく関係のないストーリーが展開されれているとは思うが、これはこれでフィクションとしてアリではないか。原作が「ウォッチメン」のアラン・ムーアによるグラフィックノベルとのこと。なかなか才能がある人物のようだ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-06-23 23:30:52)(良:1票)
220.  ジュリー&ジュリア 《ネタバレ》 
ユニークな構成かつハートウォーミングなテイストに仕上がっており、思ったよりも楽しめる作品だ。劇的なストーリー展開や驚くような感動的なオチもなく、不満な部分も多々あるが、二つのストーリーを上手く編集し組み合わせることで、それほど飽きることなく鑑賞することができる。 女性が書いた原作作品を女性監督が監督したことで、女性が女性らしく描かれている。 単調な仕事の中で自分の人生に疑問を持ち、何かで埋めようと必死になる姿や、時にはポジティブに、時にはネガティブに振舞う姿や、わがままで自己中心的、負けず嫌いで自分勝手な姿など、作り物ではない等身大の女性の姿が描かれているように感じられた。女性の観客は彼女たちをより身近に感じられて、自分も頑張ろうという気持ちになれるのではないか。 そのような妻たちを支える夫たちにはそれほどスポットが当てられていないが、要所要所で彼らの優しさが垣間見られるように製作されている。料理に没頭する姿にそれほど文句も言わずに、ひたすら付き合い、甘いケーキにはつまみ食いをして無言の励ましや賞賛を与えつつ、時には適切なアドバイスを送るという夫の鑑のような存在だ。 逆に、落ち込む妻たちをなんとか励まそうと努力しても、夫たちの苦労も知らずに“ピザ屋の2階”“パリに戻りたい”というような無神経なわがままを言ったりもする。 しかし、この辺りが個人的には非常に上手いと感じられた。 現実の人間は“聖人”ではなくある意味では“自分勝手な存在”なので、よりリアリティ度が増すように計算されている。 ジュリーに対するジュリアの誤解の件がやや尻切れになっているが、完全に美談にしたくはないという想いもあったのだろう。途中で彼女をネタにするようなコメディアンのシーンを盛り込んでおり、このような類と彼女が誤解したのではないかという想像させるようになっている。コメディアンのシーンも計算して盛り込んだように思われる。 それにしても、ジュリアの書物がジュリーに影響を与えて、ジュリーのブログが読者に影響を与えて、読者となった新聞記者の記事が出版業界に影響を与えて、出版物が映画界に影響を与えて、そのようにして出来た映画を我々が鑑賞するという流れは非常に不思議な気持ちになる。時間や空間を超えて一つに繋がっているということを改めて認識させられる。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-11 22:47:02)(良:1票)
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