241. スター・トレック(1979)
TV版から大スクリーンに展開される宇宙スペクタクルはさすがに迫力十分で、そのスケール感は序盤の宇宙空間に浮かぶ巨大ドックでのエンター・プライズ号の大幅なチューンアップ・シーンで如実に示される。噴射推進装置を背負ったスポックが敵艦のメモリー・バンクで、ヴィージャーの経験した全ての記憶である、例えば故郷らしい惑星や様々な星群、そして消滅したクリンゴン戦艦等々を次々と体験していくという素晴らしいシーンが忘れられない作品である。 7点(2001-11-09 23:50:35) |
242. ブラインド・デート
この作品まではB・ウィリスはコメディアンだとすっかり思い込んでいて、その後「ダイ・ハード」なるアクション映画に主演すると聞いて、意外に感じたものだった。それからと言うもの、彼はアクション路線をひた走るわけだけれども、コメディ的な演技にセンスを感じるのも、本来の彼の資質に合ったこういった作品を経てきているからなのだろう。彼がミュージシャンだったことも思い出させてくれる。 7点(2001-11-04 00:18:09) |
243. エド・ウッド
いつも陽気で楽天的なE・ウッドは、嘘とお世辞とその場しのぎのごまかしを使い分けながら、映画と映画作りを愛し、自分の脚本と登場人物たちを愛し、ひたすら安っぽさを愛すという人物。このほとんど無駄とも思える程の凄まじいエネルギーを、駄作という形で発し続けた映画史上最悪の監督を、愛すべき人物として我々観客に知らしめたT・バートンと、見事に演じきったJ・デッブに敬意を表したい。 8点(2001-11-04 00:02:06)(良:1票) |
244. フォレスト・ガンプ/一期一会
“昔々、ガンプという愉快な男がいました・・。”という、まさにアメリカ現代史を駆け抜けた一人の主人公の数奇な運命を描いた大人のお伽噺。何をやってもよい方向に結果がでるという強運の持ち主には快感を覚えるほどで、この作品あたりから“癒し系”という言葉が出現したような記憶がある。またデジタル合成技術をこれほど巧く物語に溶け込ませ成功させた作品も、かつてなかったのではないだろうか。とりわけ歴史上の人物とガンプとを同一画面に登場させたシーンなどは、まさに説得力があふれている。 8点(2001-10-28 17:59:15) |
245. めぐり逢えたら
この作品を観ていると、男と女、いや人と人との出逢いとは遠く離れていても、まさに赤い糸で結ばれているのだと妙に納得してしまう。これを運命と言うべきか、偶然と判断すべきか。見知らぬ相手に恋心に近い感情を抱いてしまう、言うに言われぬその気分を本作は実に上手く描けていたと思う。こういった作品は、甘ったるいからラブ・ロマンスなのであって、その事を殊更とやかく言うのは妥当性を欠いていると言わざるを得ない。 8点(2001-10-28 17:31:13) |
246. 情婦
ひと昔もふた昔も前に見た作品なので細かい記憶は実に曖昧だが、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、数ある裁判ドラマの中でも特筆ものの面白さ。予想外のラストも感動的だ。 10点(2001-10-28 17:03:22) |
247. ブレインストーム
人間の思考・記憶・肉体的な感覚などを、他人がまったく同様に追体験できるというマシーンが発明される。映画は、マシーンの驚くべき性能とその面白さと迫力を体験する人々や、さらにそれを狙う軍部の動きなどを織りこんで、スリリングに描いてゆく。D・トランブルの監督作品だけにストーリーそのものよりも、映像のスペクタクル性に重点が置かれている。とりわけ35mmの通常のシーンから、追体験シーンになると70mmのスーパー・パナビジョン画面に変わり、その驚異の映像と音響効果の迫力には圧倒されるし、また、同時に我々観客自身も実際に追体験したような不思議な感覚をもたらす。人間が昇天していく死後の世界を、トランブル流SFXでファンタスティックに披露してくれるラストも素晴らしい。 7点(2001-10-28 16:55:10) |
248. エアポート’77/バミューダからの脱出
よくこんなアイデアが思いつくなぁと感心する程、毎回違った趣向を凝らしてくれていて、そこがこのシリーズの面白いところ。又、キャスティングの魅力についてもそれは言えるが、本作はオールドファンには懐かしいスターたちがずらっと顔を揃えて渋い演技を魅せてくれるのがなんとも楽しい。この人がいれば絶対助けてくれるみたいな、お馴染みのパトローニ氏(=J・ケネディ)の相変わらずの頼もしさも嬉しい。あえて評価を高くしたのは、先日惜しまれながら亡くなった名優J・レモンに弔意を表して・・・。 8点(2001-10-28 16:14:30) |
249. 大陸横断超特急
長距離列車を舞台にしたサスペンスやアクションは映画の格好の材料だが、それが全編に渡ってとなると案外数えるほども無い。それは例えば「オリエント急行殺人事件」のような原作があるか、そうでなければ余程しっかりとした脚本がなければ一本の映画として成し得ないからだろう。本作はそういう意味で言うと、よく練られた脚本と洗練された演出、そしてH・マンシーニの名人芸のようなスコアの軽快なテンポに乗って、エンターティンメントとして見事なアクション・コメディに仕上がっている。ブレーキがきかない状態で暴走する列車を、本来なら危機一髪でストップさせるところが、この作品では駅構内を破壊して、悲鳴をあげて逃げ惑う群集の真ん前に土煙と共に轟然と姿を現し、やっとの思いで(まるで息絶えた生き物のように)止まるというド迫力のシーンがラストに用意されている。 8点(2001-10-26 23:50:49) |
250. アポロ13
月に到着・征服するはずが機械の故障で不可能となった時点から、この極限状態におかれ生命さえ危険にさらされる三人の宇宙飛行士という物語は、たちまち帰還がテーマとなってくる。人知の及ばない神的な宇宙にいながら、結局、人間の知恵と技術によって助けられるという、宇宙に対するロマンというよりも、むしろ実話としての重みを感じざるを得ないし、またアメリカ映画の基礎とも言える“フロンティア・スピリッツ”と“ゴーイング・ホーム”というテーマをも見事作品に生かされている。 8点(2001-10-20 23:41:26) |
251. ドラキュリア
ドラキュラをテーマにした作品は数多く作られているが、本作は現代に甦った吸血鬼との壮絶バトルを、まさに最新SFXと今風の味付けで描いた作品。これはアクション映画なんだと割り切って観ればそれなりに良く出来てはいるが、それならなにもドラキュラでなくてもいいんじゃないかなと思ったりもする。かつてのF・F・コッポラ版ほど凝らなくてもいいけれど、やはりドラキュラ映画の神秘性やロマンの香りといったものをもう少し意識して作って欲しかった。 6点(2001-10-20 23:03:06) |
252. マイ・フレンド・メモリー
S・ストーンとG・ローランズという新旧の“グロリア”がこの作品で共演していたということを、ずっと後になってから気がつきました。共演者としては他にもH・D・スタントン、G・アンダーソン、J・ガンドルフィーニ等々。何と魅力的な出演者たちだろうか。その彼らを向こうに廻して、頭抜けた演技力と的確な表現力で、この作品の主人公である二人の少年を、共に見事に演じきるE・ヘンソンとK・カルキンは、この感動的なストーリーにまさに相応しい。キャスティングの勝利とはこういう事を言うのだろう。 9点(2001-10-19 23:00:52) |
253. 飛べ!フェニックス
飛行機で砂漠に不時着した男たちが、如何にして脱出に成功するか。この絶望的な状況から藁をも掴む思いで脱出を試みる、強さと弱さを併せ持つ男たちの人間ドラマを、R・アルドリッチ監督が骨太でダイナミックな作品として、見事な職人芸を見せてくれる。様々な個性的なキャストの中で、プライドの高いドイツ人の技術者を毅然とした態度で演じきった、H・クリューガーの強烈な個性がとりわけ印象的だ。(その彼の本当の正体がさり気なく発覚したときには、唖然としてしまう。)不時着した飛行機が双胴機であるところがミソで、またプロペラが廻るという事を、これほど感動的に描いた作品も珍しい。痛快作とは、まさにこの作品のことを指す。 9点(2001-10-13 11:00:28) |
254. インサイダー
科学者としての良心と家族を守りたいという保身との板挟みになり、しかも決断した後も迷いがあるという複雑な内面を、終始押さえた演技で魅せるR・クロウ。一方、その男に決断を促すという働きかけにひたすら執念を燃やすいかにも行動的なジャーナリストを演じきるA・パチーノ。まさに静と動の、この新旧の名優の競演は見応え十分だ。二人の男の対立というのはM・マン監督の前作「ヒート」の流れをくむもので、その骨太で重厚なドラマは、まさに彼の独壇場。ただ、いつもながらの長尺はもう少し何とかならないものか。 8点(2001-10-12 00:19:11) |
255. マイ・フェア・レディ
ミュージカルの傑作が続出したこの時代の代表作の一つであると共に、A・ヘップバーンが最も美しく輝いていた作品でもある。後の「プリティ・ウーマン」など、これをベースにしたシンデレラ物語は数多いが、この作品を超えるものは未だに出ていない。ストーリーや多彩な出演者のみならず、例えば大画面いっぱいに広がる花々が美しく印象的なタイトルや、劇中の「踊り明かそう」「スペインの雨」「君住む街で」等のお馴染みのナンバーは終生忘れる事はない。束の間の夢を見させてくれるという、ミュージカルならではの本来の楽しさを存分に味あわせてくれた名作だが、昨今こういった作品にお目にかかれないのは寂しい限りだ。 10点(2001-10-11 00:45:09) |
256. ラッシュアワー2
あの手この手と次から次へと繰り出すアクションも、既にJ・チェンの過去の作品で観てきたようなものばかり。しかし、それもこの二人のコンビにかかるとむしろ新鮮にさえ見えるから不思議だ。それは香港製と異なり、ハリウッド型スペクタクルの見せ方の工夫で、印象をより違ったものにしているからかも知れないし、C・タッカーの強烈な個性に負うところが大きいからかも知れない。それにしても本編以上にNG集のほうが楽しいというのも困ったものだ。 7点(2001-10-07 18:21:32) |
257. ロスト・イン・スペース
「宇宙家族ロビンソン」の劇場版で、しかもSFXバリバリの作品という事もあって大いに期待したものだったが・・・。途中まではそれなりに面白く観てはいたんだけど、後半、謎めいた登場人物により話が急に釈然としなくなってくる。SFXがしっかりしたものであるだけ余計ストーリーの曖昧さが気になるところで、最近の宇宙を舞台にしたSFモノはこういった作品が多いのは実に困ったものだ。その為か、興行的に大ヒットとはならず、続編の話も消えてしまったようだ。 6点(2001-10-07 18:04:15) |
258. クイルズ
この作品は、世の中の常識や道徳といったものが人間の想像と表現の自由を奪うという、このサド公爵の時代から現代にまで延々と続いている問題を、芸術的かつ官能的に描いていく。人々に影響を与え続ける為に書くことに執拗に拘るサドは、衣服まで剥ぎ取られるが、それでもあらゆる手段を講じて諦めようとはしない。極めて貴族的・紳士的であるものの自らの死をもってでも抵抗し続けた、狂気というよりは偏執狂的な難しい役どころを、J・ラッシュが貫禄の演技で見せてくれる。一方で正常と狂気の間で苦悶する神父という役どころは、まさにJ・フェニックスのハマリ役で、右に出る者なし! 8点(2001-10-07 00:44:29) |
259. スコア
M・ブランドとR・デ・ニーロとの共演に、今、ノリにノッてるE・ノートンとくれば、観にいかない訳にはいかない。まさに、三者三様のキャラ通りの役どころで、ストーリーも実にオーソドックスな金庫破りモノとしてほぼ予想通りの展開で進行していき、それなりに良く出来ていて面白い。が、しかし終盤になるに従って細かい設定に無理や疑問を感じるのと、クライマックスの金庫破りはいくらなんでも大胆で強引すぎる。さらにラストのどんでん返しにも、もうひと捻りあっても良かったんじゃないだろうか。何かツメが甘いという印象は拭いきれない。 7点(2001-10-06 16:08:14) |
260. シャドウ・オブ・ヴァンパイア
ドイツ表現主義の傑作「ノスフェラトゥ」の当時の撮影現場をそのまま再現してみれば、スタッフは全員、白衣にゴーグルといった出で立ちで、 それがまるで科学の実験場のようであるのは、いかにも当時のドイツの雰囲気が伝わってきて興味深い。しかしやはりこの作品の命とも言えるW・デフォーの特殊メイク冴えわたる吸血鬼ぶりには感嘆せずにはいられない。傑作を撮るには手段を選ばないJ・マルコヴィッチ演じる天才肌のムルナウと、本物の吸血鬼との丁々発止のバトルの構図が面白く、とりわけギャラとして約束された女優の血を待ちきれず、ついにクルーの血を吸ってしまい監督にたしなめられるといった、お茶目で可愛らしい反面、いかにも時代遅れの吸血鬼といった感じをデフォーが水を得た魚の如く嬉々として演じてくれる。これはまさにキャスティングの勝利と言える作品だ。 8点(2001-10-06 15:32:32) |