21. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 クリント・イーストウッド監督は一神教の善悪の世界で育った西洋人でありながら、東洋的な陰陽思想を持ち得た稀有な監督、この監督だからこそこの硫黄島2作品が撮れたんでしょうね。名も無い一兵卒がヒーローとなる米国と将校・仕官が美しく散っていくのが英雄となる日本。国と国民の生命を守るために自らが盾となり、負けると分かっていながら巨大な米国に立ち向かう。当時の日本の軍人としては世界を知り、合理的でグローバルな視点で物事を考えられる栗林中将やバロン西。こういった考え方をする軍人が主流派になれなかったことが日本の悲劇でしょうか。ただのパン屋の二宮くんは「私は貝になりたい」のフランキー堺ですね、出来ればパン屋じゃなく米屋か饅頭屋くらいにして欲しかったかな。この映画の一番の肝はラストで軍人として美しく散るために栗林中将が介錯を望んだにも拘らず、願いかなわず死んでいった事。米国のヒーローが国家と国民のピエロとなりやがて忘れされていく最期、日本の英雄が自ら望んだ死とは程遠い最期。戦争には英雄は存在しない、敵も味方もただ家族を守りたいだけ、戦争は所詮そんなもの、戦争なんて如何に無意味なものかを教えてくれる。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-14 00:37:32) |
22. プロデューサーズ(2005)
露骨で下品な笑いが肌に合わず辛かった。この手のセンスはまったくダメ。 [DVD(字幕)] 1点(2006-12-13 21:08:25) |
23. ユナイテッド93
私的にはユナイテッド93便は空軍にミサイルで撃墜されたという”ウワサ”の方が圧倒的にリアルに感じられ、この真実と言われる物語には”フィクション”の匂いが強すぎて説得力をまるで感じられないんです。どのシーンも緊迫感の演出でしょうが、アップやズームのコマ切れカットばかり、物語も映像も全体像を捉え切れていないのはどうなんでしょうか。この映画で見せる映像はTVで見る事件の再現フィルムと同等、これならウィークエンダーの再現フィルムの方がよほどリアルさを感じる。 [DVD(字幕)] 2点(2006-12-07 20:25:30)(良:1票) |
24. M:i:III
1は古典的な面白さ、2は”ジョンウー”ワールド、それぞれ見所はあったのに、これは何だ???ただ派手にドンパチ繰り返し、アイディアはシリーズの2作と宇宙戦争から頂いたのか?目新しさが全然無いじゃん。上海の街中あんなにスイスイ走れないって!渋滞当たり前、ぶつけたって平気の車優先・上海じゃトム様何度ひき殺されてる事か!犯人側には特殊部隊みたいなのいたのにどこいっちゃったんだよ、犯人アッサリやられ過ぎ!ラストのイーサンのかみさんのガンアクションだけ笑わせてもらったわ。頼むから脚本もっと練れよ、練って練って練れまくれ! [DVD(字幕)] 0点(2006-12-05 23:57:07) |
25. マンダレイ
《ネタバレ》 白人で美人で鼻に付くほどの甘い理想主義者、二コールがハマリ過ぎていただけにパワーダウンした感は否めない。先人の知恵を無視し、自らの理想に邁進し、時には使いたくない権力をも行使したのにもかかわらず、やがて現実は破綻していく。コントロールしていたはずの”バカな黒人たち”に騙され、駒として利用される。そんな”バカな白人美人”が似合うのはやっぱり二コールだ。 [DVD(字幕)] 7点(2006-11-29 23:25:57) |
26. 父親たちの星条旗
戦争の光と影、英雄の光と影、人生の光と影。国と国民に望まれて生み出された英雄は、国と国民にその人生を弄ばれ、戦争の本当の真実を墓場まで持っていく。戦争の真実を隠したまま今日も米国は戦争を続け、戦争がある限り英雄を生み出し続ける。スピルバーグが絡んじゃってるから戦闘シーンが迫力あるけど、ノルマンディも硫黄島も一緒。不謹慎と言われても右より日本人な私ですから米兵がやられるの見て「いてもうたれ~」ってちょっぴり爽快な感じでした。この映画が光と影のどちらなのかは見る人間のスタンスで変わるんだろうが、もう1本を見て2本が本当の光と影のコントラストが出てから評価を下すべきなんじゃないだろうか。 <追記>「硫黄島からの手紙」を観終えてこの映画で兵士の顔の判別がし難かった理由や擂鉢山の頂上を目指す米兵と地下壕に立て篭もり持久戦を展開する日本兵などのコントラストの面白さ等、新たな面白さも感じられたので加点。単体で観るよりはやはり2部作で1本の映画。 [映画館(字幕)] 7点(2006-11-15 20:04:47) |
27. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
《ネタバレ》 1が思っていたより面白かったので、今回は過剰に期待しすぎたのがいけなかった。他の映画の美味しいシーンをアレコレと引っ張って貼り付けただけだよねコレ。真っ先に思ったのはRPGゲームをやっているような感覚と言う程度でした。ウィルのフィチャーはともかくとして、大好きなジャック・スパロウの毒気が薄くなってしまったのが残念。続編へという流れ自体は悪くないんだけど、もう少し2としてのストーリーの完結感が欲しかったです。もっと端折れば2,3まとめられるんじゃないんだろうか。 [映画館(字幕)] 4点(2006-07-26 00:12:37) |
28. ダ・ヴィンチ・コード
《ネタバレ》 ラングドン教授本出版して講演会後にサイン会までしてるじゃん!完璧にアリバイ出来上がってんのにファーシュ警部なんで追いかけてんだよ???ファーシュに凄み全然ないし、ラングドンの存在意義もあまり感じない。間があまり無くポンポン場面が流れていくし、原作読んでいないとついていけないのでは?原作だけでは分からない、ルーブル内部や絵画などの映像を補うのみの映画でしょうか。 [映画館(字幕)] 1点(2006-05-25 20:24:28) |
29. ソウ2
前作からさらに開き直ったほどのCUBE+SEVENなテイスト。ジグソーの名前までジョンと被せる徹底ぶり。がやっぱりこのジョンの魅力の無さ、ポリシーの無さにゲンナリ。彼と彼女が一生懸命ワナ仕掛けてる姿を想像するとバカバカしくて・・・ [DVD(字幕)] 1点(2006-05-07 11:23:38) |
30. ハリー・ポッターと炎のゴブレット
前作は割と楽しめた気がしたのだがまたつまらなくなった。CMではハリーの初恋?みたいな売りをしていたが何も起きていないし(次回のお楽しみなの?)親友との友情が壊れかけた割にはアッサリ解決?ヒーロー・ハリーじゃなく人間ハリー・青春の苦悩と挫折をもっと描くべきだよ。 [DVD(字幕)] 0点(2006-04-29 20:55:12) |
31. Mr.&Mrs. スミス
薄っぺらで安っぽいマンガでガッカリでした。夫婦がアッサリ殺し合いに行き過ぎででは面白くないんじゃないのかな。夫婦がセリフで激しく罵りあい殺しあうようなドラマが見たかった。 [DVD(字幕)] 1点(2006-04-29 20:40:57) |
32. スリーパー
ずっとレヴューしたものと思い込んでいたらまだだったとは・・・兎に角バカバカしさとチープさ満載で下らないんだけど、1回目より2回目と見れば見るほどドンドン好きになってしまうw。何十年後にも見て普遍的なバカバカしさとチープさにくだらねえなあと思いながらニヤニヤ見てるんだろうな。その頃には10点つけちゃうのかな。 [DVD(字幕)] 8点(2006-03-01 23:13:30) |
33. 僕のニューヨークライフ
《ネタバレ》 基本的なストーリーとしては、いかにもウディアレン的な匂いの映画ですが、若く恋も人生も作家としても未熟な若いジュリーと年老いながらも個としての己を信じるがままに活きるドーベル。その生き方は年齢に比べとても若く過激であり、そんなドーベルに大きく影響され、パートナーとして組む事を決意する。この2人がともにウディアレン自身に見えるため、ひょっとしたら多重人格ストーリーじゃないの?と思えるほどです。ポーラやハーヴィをもう少し絡めて欲しかったのが少々不満ですが、オチは上手くオチていたので善しとしましょう。ウディアレンのニューヨークにしてはやけに絵がキレイに撮れていると思ったら、撮影はダリウス・コンディどうりでと納得、音楽もオープニング~ラストまでイイ感じで良かったです。 [映画館(字幕)] 7点(2006-03-01 23:00:47) |
34. ブロードウェイのダニー・ロ-ズ
物語はなかなか面白いんだけど、ダニーロイズのような仕事に対する思い入れが空回りして間の悪い人って普通にいるんだよね、特別な共感もないし、アレンだからこそ面白いというほどでもない。素人衆あなどるなかれ、もっとオモロイ男はいっぱいいる。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-02-16 22:43:27) |
35. スターダスト・メモリー
パロディを盛り込みながら、自分自身の現在の状況そのものの苦悩をもコメディにしてしまう映画な訳ですが、ハズしてる感も強い。ダイアンキートンからミアファローへ移る間の中継ぎ的な一作。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-02-16 22:33:27) |
36. アリス(1990)
満たされた生活でありながら倦怠期主婦の中にある心の空虚さを描いたファンタジックコメディ、倦怠期夫婦必見かな。ミアファローが最初は神経質な鬱な感じでありながら、ドンドン女らしく、可愛らしくなってくる様は「カイロの紫のバラ」同様とても好きです。女性は恋をすると綺麗になっていくんですねえ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-02-10 23:09:49) |
37. ウディ・アレンの重罪と軽罪
神の法と人の法、人の法では罪に軽重があるが全てを見通す神の前では、罪は信仰の有無や信仰の軽重でもなく、罪はただ罪として人の心に宿るものでしかない。愛は人を救いもするが、深く強い愛が人によっては重く、人によっては疎ましく、愛の深さこそが人に罪を犯させるとするならば、愛こそが重罪なんだろうか。 [ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-10 22:50:38) |
38. ミュンヘン
《ネタバレ》 先日、若松孝二監督の「時効なし」を読みミュンヘンを見たくなったのですが、てっきりミュンヘン事件を描いたものだと思って見に行ったら違ってました。70年代っぽいフィルムのトーンの中で見せられるものは、陰謀に次ぐ陰謀で一体何が真実なのかがまるで見えない世界、何をもって正義と呼ぶべきかすら分からない混沌とした世界。復讐の連鎖の先には何もなく、憎しみしか生み出さない。そんな簡単な事は誰しも解っているが、神の存在が、民族として、国として、何より自らのロイヤリティやアイデンティティが業として彼らは闘わざるを得ない。岡本公三や重信房子がパレスチナの英雄であり、辛光洙が北朝鮮において英雄であるように、彼もまたイスラエルで英雄としてあり、どんな英雄であろうと殺らなければ殺られるという恐怖、家族の存在が彼を人間でに引き戻す、天涯孤独の殺人マシーンでなく人間であるところがスピルバーグのやさしさなのかな。ラストは時代からすると当然、あのビルがある存在している画な訳ですが、敢えて今のマンハッタンの画でも良かったのではないでしょうか。 [映画館(字幕)] 7点(2006-02-06 20:42:43) |
39. 間違えられた男
《ネタバレ》 背筋が寒くなるような怖さを感じる一作、チョッとした人違い、すぐに家に戻るつもりが拘置所へ、冤罪事件を扱った映画の中ではNo.1じゃないでしょうか。真犯人が捕まりやがて彼が戻った場所は、妻も家庭も変わり果て、失った時間も取り戻す事は出来ない。映画が終わってもここから彼らが空白の時間を埋めるために費やす労力は途轍もない。そして冤罪事件で一番恐ろしいのは無責任な市民1人1人であることを痛感する。 [DVD(字幕)] 9点(2006-02-02 22:41:03) |
40. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 殺人者と同じ屋根の下に生活をしなければならない恐怖のみで、リトル・チャーリーとアンクル・チャーリー、この名前によって何か間違いが起きる訳でもなく、最初から最後までドンデン返しがあるわけでもない。彼は自分が気付いた事に気付いているのか?居ないのか?この辺の攻防くらいしかないので、もう一つ物足らなさを感じてしまいます。 [DVD(字幕)] 4点(2006-02-02 22:22:39) |