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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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581.  ワイルド・スピード/EURO MISSION
アクション映画史上に残る傑作だった前作を越えるべく本作も特盛状態なのですが、老舗アクションシリーズの宿命か、本作は盛りすぎの域に達しており、お話も見せ場もインフレ状態となっています。。。 前作からのヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソンに加え、ミシェル・ロドリゲスの復活に、女性格闘家ジーナ・カラーノ、『ザ・レイド』のジョー・タスリムの新規参戦と、本作ではアクションの出来る人間が随所に配置されているのですが、まずこれがマズかった。いろんな人がいろんな場所で戦っていて、話が分散しているのです。このことがアクション映画に必要な求心力を奪う原因となっているし、さらには物語をムダにややこしくしています。本作の観客は頭空っぽにして楽しめるアクション映画を観に来ているのだから、ムダに頭を使わせる話にすべきではありませんでした。。。 さらに、アクションも懲り過ぎ、やりすぎです。確かに前作もやりすぎではありましたが、あちらはシンプルなカーチェイスをやたらド派手にやったもので、第一作から続く『ワイルド・スピード』のDNAは確かに継承されていました。一方本作は、戦車を走らせたり輸送機を落としたりと、カーチェイスに付随する破壊ではなく、破壊そのものが見せ場となっており、前作までとはかなり毛色の違うアクションとなっています。もはや『ワイルド・スピード』の新作ではなく『トリプルX3』だと考えた方がしっくり来るほどであり、『ダイ・ハード』や『リーサル・ウェポン』同様、シリーズを重ねる毎にアイデンティティを失っていくというアクション映画の典型的な衰退サイクルに入ったように見受けられます。また、カーチェイス以外の要素が加わったことで見せ場は複雑になり、さらにはカット割の異常な速さとも相まって、目の前で何が起こっているのかよく分からないという状況にも陥っています。本作の方向性は、今一度見直すべきだと思います。。。 以上、本編には少なからず不満があったのですが、それでもラスト1分には大興奮させられました。『ワイルド・スピード』シリーズは我々の想像を越えた領域を目指しているのではないかという、そんな熱い期待感を抱かせるほどのインパクト。今回は不十分な出来でしたが、これはこれ。次回も絶対観ます!
[映画館(字幕)] 6点(2013-07-06 23:20:18)(良:3票)
582.  アウトロー(2012)
『ユージュアル・サスペクツ』のクリストファー・マッカリーが脚色したとは思えないほど平凡なお話には少なからずガッカリさせられたのですが、それでも作品を貫くハードボイルドな雰囲気には魅了されたし、スリルとユーモアのバランスも絶妙なものでした。かつて『誘拐犯』を撮ったマッカリーだけあってラストの銃撃戦には見応えがあったし、全体としては、程よくまとめられた低脂肪の娯楽映画と評価できます。。。 ただし、ジャック・リーチャー役をトム・クルーズが演じたことについては、やはり賛成できません。トムは相変わらず頑張っています。カースタントは自らこなし、銃の扱いや格闘技も一通りマスターしており、必要な努力はすべてしてきているのですが、それでもジャック・リーチャーに必要な“凄み”や“神秘性”というものが致命的に欠けているために、彼がしばしば口にする「俺を怒らせると死ぬぞ」という脅し文句が空回りしています。これは20年前のスティーブン・セガール、現在ならジェイソン・ステイサム辺りのゴリゴリの強面が演じるべき役柄だったように思います。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-30 02:00:42)
583.  ロード・トゥ・パーディション
二人の息子のうち可愛がっている方を殺され、気難しい方との逃避行を余儀なくされた父親の物語。基本的にはヤクザ映画なのですが、そこに普遍的な父と子の関係性を持ち込んだ脚本は非常によく練られています。本作を構成する二つの要素が、何の違和感もなく見事に融合しているのです。また、キャスト・スタッフともに一流のメンバーが顔を揃えているだけに、映画としての安定感も抜群。最初から最後まで充分に楽しめる作品に仕上がっています。。。 ただし、その安定感が時としてアダにもなっています。トム・ハンクスの演技は相変わらず素晴らしいものの、街のチンピラが怖気づくほどの武闘派ヤクザにはどうやっても見えません。本作の重要な要素のひとつとして、父親の二面性という点が挙げられます。世の父親は誰しもが、家庭では見せない戦う男としての顔を持っています。そんなたくましい男の姿を垣間見ることで息子は成長するわけですが、パブリック・イメージが固定され過ぎているハンクスでは、この二面性を表現しきれないのです。また、演出が上品すぎる点も気になりました。このテーマであれば、父親はあらゆる殺人スキルを行使して息子を守るという内容にすべきだったのですが、バイオレンスについてはかなり腰が引けています。バイオレンスの絶対量が不足している上に、様式美で誤魔化して本当に惨い部分は隠してしまうというヘタレぶり。身内に対する愛情の深さと、外敵に対する容赦のなさ。この二つを描いてこそ本作のテーマが引き立つはずなのに、後者がお留守になっているのでは不完全だと言わざるをえません。
[DVD(吹替)] 6点(2013-06-22 01:46:47)
584.  スカイ・ハイ(2005) 《ネタバレ》 
みなさんご指摘の通り、『ハリー・ポッター』と『X-MEN』を『Mr.インクレディブル』風に料理した映画なのですが、ディズニーらしい丁寧な脚本が光っており、90分間充分に楽しめる娯楽作となっています。適度に笑わせ、適度に感動させ、適度に燃えさせる。合間に挿入される「ヒーローあるある」も楽しくて、誰もが見入ってしまうほど面白い映画ではないでしょうか。。。 と、娯楽作としては文句なしに面白いのですが、構成には首を傾げざるをえない部分が多々ありました。【目隠シスト】さんがご指摘の通り、主人公が能力を発現させるタイミングがあまりに早すぎるのです。この映画はヒーローもののパロディという体裁をとりながらも、その内容は現実の高校生の実態を描いたものです。優秀な両親の息子として周囲からの期待を集めながらも、それに見合った器に成長できない主人公の葛藤がドラマの骨子であったはずなのに、中盤で早々と学園最強クラスの能力を開花させてしまったのでは、この映画がやろうとしたことが見えなくなってしまいます。また、本作はスクールカーストを描いた映画でもあります。子供達は大人によって「ヒーロークラス」と「サイドキッククラス」に分けられ、そうした大人による選別がスクールカーストという形となって子供達の人間関係にも深刻な影響を与えています。少なくとも前半では、その問題をかなり真面目に扱った映画だったように見受けたのですが、やはり主人公が強くなりすぎたことで、この点も中途半端になってしまいます。このテーマであれば、「ヒーローかサイドキックかという選別に何の意味があるのか?落ちこぼれが役に立つ時だってあるのだ」という展開とすべきだったのに、主人公がスーパーサイヤ人化してしまったことで、物語に意味付けができなくなってしまいます。主人公は最初から最後までダメな奴だが、苦しんだ挙句に両親とは違うヒーロー像を確立するという物語にすべきだったのです。また、かつてヒーローになる道を断念したバス運転手が、最終的にヒーロー化するというオチなどは最悪で、結局は「みんなヒーローになりましょう」という、作品全体の方向性とは正反対の結論を導き出すに至っています。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-17 01:34:42)(良:1票)
585.  デイズ・オブ・サンダー
『俺たちに明日はない』『チャイナタウン』などで知られる巨匠・ロバート・タウンが脚本を書いたとは思えないほど安っぽい話で驚いてしまいました。天才的な才能を持つ青年の挫折と再生を描いた物語はまんま『トップガン』だし、かつてのライバルと友情を結び、新たなライバルとの対決に向かうというクライマックスは少年ジャンプのノリ。他の映画と差別化できるような新基軸も打ち出せておらず、この脚本では批判を受けて当然だと思います。さらには、『トップガン』『ハスラー2』に続いて横柄な天才役を演じるトム・クルーズはいい加減ハナについてきたし、この頃のニコール・キッドマンは演技がイマイチ。当時、「トム・クルーズの嫁」という以外に売りがなかったことにも妙に納得がいきました。この二人が演じるラブシーンはまさに悪夢であり、ラブシーンの演出を不得意とするトニー・スコットの不手際とも相まって、見ているこっちが気恥ずかしくなる代物となっています。。。 とまぁ内容的にはまったくダメなのですが、レースシーンが突出してかっこよかった点は素直に評価できます。この辺りはマシーンの描写を得意とするトニー・スコットの独壇場だったし、クリス・レベンゾンによるドライブ感溢れる編集も作品に大きく貢献しています。さらに、本作はハンス・ジマーが関与した初のアクション大作となるのですが、やはりこの人の音楽は最高にかっこいいのです。クライマックスのレースでは燃えまくりました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-17 00:50:55)
586.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
ブラッド・ピットやキアヌ・リーブスが世界的な人気を獲得する以前、ハリウッドはトム・クルーズのものでした。90年代前半のトムはまさに絶頂期にあり、派手な見せ場のない本作も、アメリカ国内だけで1億3千万ドル(2013年現在の貨幣価値に換算して2億5千万ドル)という規格外の大ヒットとなりました。さらには、アカデミー作品賞ノミネートというオマケまでくっつき、このジャンルの映画としてはかつてない大成功を収めた作品となったのです。。。 上記の通りビジネス面では大ホームランだった本作ですが、トム様の全盛期も今は昔、現在の目で見ると、それほど高評価を受けるような映画ではないというのが率直な印象です。頭は良いがグータラな男と、地味だが真面目一直線の女、そして家庭を愛する地味な男がチームを組んで巨悪に立ち向かうという構図は面白いものの、重要な場面は必ずと言っていいほどトム様の独壇場で、チーム戦としての面白さがまったく追求されていません。劇中、やたらと野球の話が出てくるのでチームワークを描いた映画になるのだろうと思っていたのですが、それは私の思い過ごしだったようです。さらには、彼らに対する悪人達のキャラ造形は非常に薄っぺら。ジャック・ニコルソンとキーファー・サザーランドというカリスマ的な俳優の力によって何とか帳尻は合っているものの、ここまで単純な悪人にはあまり面白みを感じませんでした。。。 本作の原作と脚本を書いたのは、後に『ソーシャル・ネットワーク』を手がけるアーロン・ソーキンです。ソーキン印の勢いある会話劇としてはよく出来ているのですが、証拠を追いかけながら真実に達するという法廷ものの醍醐味はほとんど追求されていません。事実や論理の積み重ねなどはなく、相手の手落ちを誘導する法廷での舌戦のみで話が進んでいき、知的興奮を求めると少なからず裏切られます。ジェセップ大佐が若造の仕掛けた罠にまんまと引っかかって罪を白状するクライマックスなんて、あまりに単純すぎて白けてしまいました。。。 とまぁ悪口を多く書きましたが、スタッフも役者も一流の映画なので、2時間はきっちり楽しめる娯楽作には仕上がっています。全盛期のトム・クルーズは本当にキラキラで、彼を見ているだけでもテンション上がるし。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-12 02:05:00)
587.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
鑑賞前には「『果てしなき想い』って何だよ。日本の配給会社は相変わらずセンスのない邦題を付けるなぁ」などと思っていたのですが、実際に本編を見ると、このダサイ邦題に負けず劣らずの安っぽい内容にガッカリしました。まるで昼ドラです。物語を進めるために人が死にまくる安直なストーリー展開に、「私が私が」ばかりで感情移入の余地のない登場人物達。3兄弟を渡り歩くスザンヌは自己憐憫に浸る身勝手女に見えてしまうし、本能のままに生き、家族や社会に対する一切の責任を放棄して自分探しの旅に出るトリスタンも無責任男でしかありません。ラドロー大佐も、ただの偏屈なオヤジだし。必死に頑張って社会的地位を築き上げた長男・アルフレッドを邪険に扱い続けるラドロー一家には、なかなか感情移入しがたいものがありました。。。 さらには、シチュエーションの作り方も巧くなくて、妻を殺されたトリスタンが泣き寝入りせざるをえなかった理由がよく伝わらなかったために(目撃者が大勢いた上に、犠牲者は下院議員の親戚。常識的に考えれば汚職警官もヤクザも一巻の終わりでしょう)、ラストの復讐劇に感情がうまく乗っかりませんでした。さらには、戦場で弟を殺された際には悪鬼の如く暴れ回ったトリスタンが、妻を殺された際には意外と大人しく振舞っていた点にも納得がいかず、作品内での整合性の点でも問題を感じました。。。 以上の通り、決して出来の良い映画ではないのですが、オスカー受賞の素晴らしい撮影に、ジェームズ・ホーナーによる壮大な音楽、スター俳優の共演によって見られる映画にはなっています。さらには、エドワード・ズウィックの演出は映画の肝どころをきちんと押さえており、2時間はきっちりと楽しめる作品となっています。
[DVD(吹替)] 6点(2013-06-11 01:41:31)
588.  ハード・ソルジャー 炎の奪還
今回のヴァンダムは、元傭兵で奪還のプロ。「なにが『今回の』だよ、いつものヴァンダムじゃねぇか」とも思うのですが、本作の設定はもう一歩踏み込んでいます。一人を救うために大勢を犠牲にすることが問題視され、引退にまで追い込まれた老兵役なのです。とにかく派手だった90年代アクションの後始末とも言える設定、ヴァンダムのキャリアを総括するような物語となっています。そのような内容を反映してか今回のヴァンダムは老いを隠さないのですが(今やヴァンダムも52歳、ショーン・ペンやジュリアン・ムーア、黒木瞳と同い年です)、この人は基本的に演技が下手ではないので、時代から取り残された殺人マシーン役を実に哀愁たっぷりに演じています。時代や社会からのけ者にされた彼が再び銃を取るまでのドラマには、なかなか熱いものがありました。。。 一方、アクションの方はかなり控えめです。上述した作品内容とのバランスをとるためにドンパチは最小限にとどめられているのですが、ヴァンダムのアクションを見に来た者としては、少なからず物足りなさを覚える配分でした。さらには、今回のヴァンダムは回し蹴りも封印。これも作品内容を考えれば致し方ないのですが、それにしてもヴァンダムの回し蹴りはジャイアント馬場の十六文キックや森光子のでんぐり返しに相当する名物であり、これを見られないのはファンとしてとても寂しいことでした。。。 全体としては力作であるとは思うのですが、90年代アクションの破壊と同時に新たなスタイルのアクションを提示してみせた傑作『ユニバーサル・ソルジャー/殺戮の黙示録』などと比較すると、アクション映画としての着地点を見出せていない点が映画の勢いにブレーキをかけているように感じました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-05-27 01:59:40)(良:1票)
589.  アイアンクラッド
ジョン王といえば、英国史上でもぶっちぎりのバカとして名を残す人物。そんなジョン王がマグナカルタを覆すために北欧人の傭兵を雇い、自分に楯突いた諸侯を殺して回るという事件が発生。その王に対抗するは、十字軍への従軍経験を持つ騎士を筆頭とした7人の戦士達。なぜ7人なのか?それは黒澤明が決めたから。戦局は南イングランド制圧の拠点となるロチェスター城へと絞られ、7人の戦士が1,000人の傭兵に立ち向かうという熱い構図が用意されます。タイトルの『アイアンクラッド』とは鉄壁の防御のことであり、主人公達が籠城するロチェスター城の守りを意味していると思われます。同時に、アイアンクラッドには【破ることのできない規律】という意味もあり、こちらはマグナカルタや宗教上の掟のことを指していると思われます。。。 この映画、アクション映画としてはなかなか手堅くまとめられています。リドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』を意識したと思われる戦闘シーンは予算以上の迫力を見せているし、過剰なほどの残酷描写も映画の雰囲気に合っています。クライマックスに向けてどんどん盛り上がっていくというペース配分もよく、娯楽策としては十分に楽しめる内容となっているのです。。。 ただし問題もあります。まず、戦闘シーンでは寄りの画が多すぎる上にカットも割りすぎで、見ていてストレスを感じました。また、主人公の扱いが非常に悪く、肝心な場面に限って気絶しているという扱いはいただけませんでした。「よし、やってやるぞ!」とフルアーマーで敵の大軍相手に討って出るも、ロクな見せ場もなくすぐにボコられるという無様な展開などは必要だったでしょうか?さらには、愛のない結婚生活を送る城主の妻と、禁欲の誓いを立てた主人公との禁断の愛にも感動的なものがなく、このサブプロットは丸ごと不要だったと思います。。。 もうひとつの大問題は、英国史についての知識がないと何が何だかわからないということです。ジョン王とは一体何者なのか、マグナカルタとは一体何なのかという知識が最低限必要だし、ノルマン・コンクエストを知らなければ、なぜフランス人やデンマーク人がイギリスの内乱に干渉してきているのかも分かりません。英国人にとっては常識であっても外国人にとってはよくわからない部分が丁寧に説明されていないため、予習が必要な映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 01:02:57)
590.  デス・レース2<OV>
OVだし役者やスタッフの格も下がっているものの、前作と同等のものを作ってきた監督の頑張りには感心しました。なかなか丁寧に作られた良作です。ただし、前作における武装トラックのような、バカバカしくもオリジナリティに溢れた仕掛けを作り損ねている点は残念でした。ひとつでもいいから前作を上回るものを作ってくればなお良かったのですが、そういったものがないので、本作独自の印象は薄くなっています。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-21 01:29:04)
591.  インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
アン・ライスは5歳の娘を病気で亡くしたことの絶望から『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の執筆を開始しましたが、その際には、生きる目的を失い、死人同然となった当時の自分の姿をルイに、厳しい運命を受け入れた上で自由奔放な生き方を選択するという、自分にとっての憧れの姿をレスタトに反映させたと言います。この点に注目して本作のキャスティングを見ると、なかなか意義深いものを感じます。ルイを演じるブラッド・ピットはレスタト役のトム・クルーズとたった1歳差であるにも関わらず、キャリア的には10年の遅れをとっていました。仕事がない時期にはストリッパーの運転手までして食い扶持を得ていた苦労人であり、厳しい下積みを経てようやくキャリアに日の目を見はじめたのが本作製作当時のピットの状況だったのです。対するクルーズはデビュー直後からヒット作に恵まれ、さらにはオスカー受賞作への出演も多いという正真正銘のスターでした。当時の状況を比較すると、両者はまさに陰と陽。ルイとレスタトを演じさせるには最高の組み合わせだったと言えます。クルーズが企画に参加する以前にはダニエル・デイ・ルイスやルトガー・ハウアーがレスタト役の候補として上がっていましたが、彼らではクルーズとピットのような微妙な関係性を見せることは出来なかったはずです。。。 以上、本作はキャスティング面では成功を納めているのですが、残念ながら肝心の内容はイマイチでした。美青年ヴァンパイア達の美しいお姿と、彼らのホモっぽい日常を見せることに全力を投入しているために、ホラーとしてもドラマとしても突っ込みが甘いのです。前半においてルイは、自分が生きるためには他人を殺さねばならないという宿命に心を痛めていましたが、後半部分ではその話題は映画から完全に姿を消します。数百年間、彼は人を殺しながら生き続けてきたわけですが、そのことに対する後悔や反省というものがまったく描かれないのでは、前半と後半でドラマが断絶していると言わざるを得ません。また、数百年を生きるヴァンパイアのドラマでありながら、時代の変化を目で見せる工夫がなされていないために、設定の美味しい部分が死んでしまっています。基本的な演技も演出もしっかりしていただけに、設定を煮詰めきれなかった脚本の不出来が悔やまれます。
[DVD(吹替)] 6点(2013-04-19 22:30:48)
592.  インシディアス 《ネタバレ》 
『ソウ』のチームが手掛けた作品なのですが、露骨な暴力や残酷描写は皆無に等しく(バイオレンスに厳しいアメリカ国内においてもR指定を免れている)、「見えてはならないものが見えてしまった」という雰囲気もののホラー映画です。『ソウ』とは正反対の方向性に挑んだ作品だったわけですが、これが実によく出来ており、この監督は意外と引き出しの多い人なんだなぁと感心しました。ショックシーンのタイミングや見せ方はほぼ完璧だし、ドラマパートの演出も実に丁寧で好感が持てます。謎の引っ張り方や伏線の織り込み方は『ソウ』で披露した通りの手腕であり、全編に渡ってほぼ欠点が見当たりません。本作はアメリカにおいてかなりのヒットとなり、最終的には製作費の60倍を超える興行成績をあげるに至った作品なのですが、確かに客を引っ張ることのできるクォリティに達していると思いました。。。 ただし、日本人にとってはわかりづらい恐怖であったこともまた事実。『エンゼルハート』を観た時にも感じたのですが、「敵が悪魔でした」というオチは、日本人にはなかなかピンときません。霊能者のおばさんが謎の核心に触れ始めた辺りから、急激に冷めてしまいました。映画としての完成度は評価しつつも、感覚的に理解できない部分が多かったので6点が妥当かなと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2013-03-04 01:09:04)(良:1票)
593.  THE GREY 凍える太陽 《ネタバレ》 
ジョー・カーナハンは本質的な構成力や演出力は高いものの、直近2作(『スモーキン・エース』『特攻野郎Aチーム』)においては練りすぎ、余計な要素を加えすぎという印象がありました。サービス精神に溢れた娯楽作を作りたいという思いを持った監督さんのようなのですが、残念ながらその路線には向いてないように見受けます。。。 そこにきての本作ですが、”文明から切り離された人間vs狼の群れ”という、徹底的にムダを削ぎ落とした内容としており、『NARC/ナーク』で見せた荒削りのドラマがここに復活しています。自殺願望のあった男が重大な危機に直面して生存本能を剥き出しにするという物語には燃えさせられるし、登場人物の過不足ない配置にはカーナハンの構成力の高さを実感させられました。大自然の容赦のなさを充分に描ききった演出力にも脱帽であり(これが出来ていない映画は意外と多いのです)、『NARC/ナーク』以降の作品の中では、間違いなく最高の出来だと思います。少なくとも、前半部分は。。。 後半部分では、作品が叙情的になりすぎます。90分で一気に描くべき内容を120分に引き伸ばしているため、クライマックスに向けて畳み掛けるべき部分が妙にチンタラしているのです。しかも、クライマックスをぼやかすという構成にも首を傾げます。この映画の骨子は伝統的なマンハントものであり(『プレデター』とまったく同じ構成をとっている)、ならばクライマックスの直接対決にアクションとドラマのすべてが集約されるはず。そこをぼやかしてしまったのでは、映画全体がまったく締まりません。素材は良かったのに、またしても味付けで失敗したようです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-02-14 22:03:39)
594.  こわれゆく世界の中で 《ネタバレ》 
終末SFを連想させる邦題は意味不明ですが、原題の”Breaking & Entering”は作品の内容を端的に示しています。「相手の心に入り込むためには、まず目の前の壁をぶち壊せ」、本作はコミュニケーション不全に陥ったカップルの再生の物語です。。。 美男美女であり、富にも名声にも恵まれたウィルとリヴは、表面的には完璧なカップルです。しかし、リヴの連れ子であり、軽度の精神疾患を患う少女・ビーの存在が、二人の関係を難しくしています。ウィルはリヴとビーを愛しているものの、血縁がないためビーとの関係に遠慮があって、家族に入っていけないもどかしさを抱えています。一方リヴは、自分とビーから一定の距離を置き、ひたすら仕事に打ち込むウィルの態度に不満を持っています。両者とも互いを思いやり、幸せな家庭を築きたいという共通の目的を持っているものの、表面的な均衡を重視して本音を言わないために関係が破綻寸前となっているのです。そこに降りかかったのがウィルの不倫騒動。これが、関係の危うくなったカップルを崩壊させるダメ押しの一手になるかと思いきや、普段は完璧なウィルがみっともない姿を晒して平謝り&「不倫相手の力になってやって欲しい」と図々しいお願い事をするという展開が、煮詰まったカップルにとっての代謝の役割を果たします。互いに気持ちをぶつけあって、最後はめでたし、めでたし。変わった切り口の話ですが、一定の真理を突く鋭さも持ち合わせています。。。 ミンゲラは、この物語に社会性もトッピングします。同じ移民であっても、北欧出身のリヴや日系人のルビーは裕福な身分であるのに対して、ボスニア出身のアミラは貧しい生活を余儀なくされているし、アフリカ出身のエリカは掃除婦にしかなれません。ウィルが任されているのは下町の再開発プロジェクトですが、それには中産階級が安心して暮らせるよう、治安の悪い貧民街から犯罪の元(=貧民街の住人)を追い出すことが伴います。ロンドンが抱える人種的混沌を、個人レベルの物語にまで落とし込んだミンゲラの構成力は驚異的なレベルに達しています。。。 ただし、良くも悪くも綺麗に整いすぎているのがミンゲラの欠点であり、言いたいことは理解できるものの、心に染み入るものがなかったのも、また事実。特に、ウィルがリヴに不倫を白状する場面なんて、もっと激しい言い合いがあってもよかったように思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-02-06 18:32:37)
595.  THE DAY ザ・デイ
2009年に製作された『ザ・ロード』は傑作ではなかったものの、思いがけずSF映画史を変えた作品となりました。従来、終末モノの映画は砂漠と廃墟が定番の光景でしたが(同時期に製作された『ザ・ウォーカー』は、まさにそのイメージを引きずっていた)、『ザ・ロード』はそういった記号を排除し、どの国にもありそうな普通の野原や山林で終末の風景を作ってしまったのです。手の込んだ視覚効果も、砂漠でのロケも必要なくSFが撮れるというコロンブスの卵的な発想には世界中のB級野郎達が飛びつき、今やレンタル屋の棚は終末モノで溢れかえっています。。。 本作も、そんな中の一作。理由はよくわからないが人類の生産能力がゼロになった世界で細々と生きる人々が主人公であり、食人行為が物語のキーとなるという、まんま『ザ・ロード』の設定をいただいたお話です。ローランド・エメリッヒ製作の『HELL』もそうでしたが、パクリと言われても仕方がない程のオリジナリティのなさには呆れてしまいます。本作は、SF映画としては完全にダメダメです。前述したオリジナリティのなさに加えて、ディティールもあまりに適当。食うものがなくなって食人行為をはじめた連中のことはよくわかった。では、食人をしていない主人公達は、世界が破滅して以降の10年間をどうやって生き延びてきたのか?「食べること」がテーマの作品であるにも関わらず主人公達が飲み食いする場面が一切なく、それどころか飢餓感の描写すらかなり希薄。これでは世界観を理解しようがありません。30年前に製作された『マッドマックス2』には主人公がうまそうにドッグフードを食う場面があって、たった数十秒で世界観を伝えることに成功していました。本作においても、そういう気の利いた描写が欲しいところでした。。。 他方、バイオレンスとしてはなかなかイケます。中盤以降、本作は一軒家での籠城戦となるのですが、これが『アイ・アム・レジェンド』と『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を足したような素敵な完成度。低予算ゆえにボリューム感には欠けるものの、頼りになるバトルヒロインの登場や味のある敵の親玉など、この手の映画に必要な点はきっちり抑えられています。やりすぎなほどのゴア描写、無情過ぎるラストの展開も主題に合っており、ツッコミどころは多々あれど観て損のない映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-02-01 22:18:59)
596.  ザ・レイド
インドネシア映画ではあるものの、監督には英国人を雇ってきたという『燃えよドラゴン』方式で撮られたアクション映画。評判通り、アクションはキレまくりです。通常のアクション映画では銃撃とカンフーはどちらかに偏りがちなのですが、本作ではその両方がバランスよく盛り込まれており、見せ場のレイアウトの良さにまず感心しました。横方向に展開していたアクションが、突如縦方向にシフトするという変化の付け方も面白く、カンフーのみに頼らない緻密な見せ場作りは大いに評価すべきでしょう。同様に、マンションへの突入前、特殊部隊がスクラムを組んで移動する場面にはトニー・スコットやマイケル・ベイの映画のような美しさとかっこよさがあって、アジア映画ならではの荒削り感が軽減されている点も好印象。わざわざ外国人監督を雇ってきたことの効果は、確実に表れています。。。 問題は、基本設定があまりに荒唐無稽だったことでしょうか。犯罪者の要塞と化したマンションから脱出するためには、ボスを倒さなければならないという理屈が意味不明だったため、私は中盤で戦いの目的を見失ってしまいました。異常に強い敵のシラット使いを相手にするくらいなら、極力戦いを避けて脱出経路の発見に全力を注いだ方が合理的に思えて仕方なかったのです。マンションなんていくらでも脱出方法があるでしょうに。そして、戦いの目的が不明瞭となったために、素直に感情移入して映画を楽しむことができなくなりました。観客が要らんことを考えなくても済むようにもうひと知恵入れてくれれば、見違えるような傑作になったと思うんですけどね。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-02-01 21:09:06)(良:1票)
597.  リンカーン弁護士 《ネタバレ》 
自分の依頼者が真の悪人だとわかった時、弁護士はどうするのか?、、、これは『ザ・ファーム』や『真実の行方』等でも扱われた命題であり、弁護士モノにおける王道といえば王道の物語なのですが、主人公であるハラー弁護士の作り込みが素晴らしいため、全体として求心力のある映画に仕上がっています(ハラー弁護士があまりに良すぎるので、TVドラマ化も決定しているとか)。現在では西海岸のチャラいサーファーみたいなイメージで固まりつつあるマシュー・マコノヒーも、キャリアの初期には若きエリートを得意としていました(『評決のとき』『コンタクト』『U571』)。本作では、そんな彼の両極端の個性が絶妙に混ざり合っており、生涯ベストとも言える当たり役となっています。さらには、マリサ・トメイやウィリアム・H・メイシー、ジョン・レグイザモら、一流の脇役達が彼をグルっと取り囲み、万全の布陣を作り上げています。20年ほど顔を見ていなかったマイケル・パレの登場にも嬉しくなり、キャストの充実ぶりには感心しました。二転三転する物語も面白く、勢いのある演出も手伝って最後まで飽きさせません。娯楽寄りのサスペンス映画としては、上々の完成度だと思います。。。 以上、娯楽映画としての完成度の高さは認めるのですが、どうしても気になったのが守秘義務(本作風に言うと秘匿特権)の扱いです。弁護士ではないものの、一応は守秘義務の絡む仕事をしている者としては、かなりの違和感を覚えました。守秘義務とは絶対のものではなく、公益性が認められる場合には解除されることが法律上明記されているのです。そして、容疑者に再犯のおそれが高い上に、過去の冤罪事件にまで話が及ぶ本件であれば、まず間違いなく守秘義務の解除が認められるでしょう。実際、レイプ犯の弁護人を辞退した後、その弁護士が検察側の証人として法廷に現れ、職務上知り得た秘密を法定で証言してレイプ犯を実刑に追い込んだという事例も存在しています。さらに現場寄りの話をすると、守秘義務云々以前の問題として、この弁護士が捜査当局に耳打ちすれば済んだ話でもあります。「実はこういう話があるんだ。俺から聞いたってことにはしないでね」。犯人をぶち込みたい警察・検察はこの話に喜んで飛びつき、万事解決ですよ。娯楽映画に目くじら立てても仕方ないのですが、もう少しリアリティのある設定にして欲しかったという気持ちは残ります。
[DVD(吹替)] 6点(2013-01-31 01:20:42)(良:2票)
598.  キラー・スナイパー
テキサスのDQN一家が保険金目当てに母親殺しを計画するというロクでもないお話。奇抜な登場人物に、適度に捻られた展開にと、脚本はよく作り込まれているのですが、二転三転した末に結局何が言いたかったのかはよくわからないという不思議な感触の映画となっています。。。 本作で注目すべきは、一応はオスカー監督であるウィリアム・フリードキンの大暴走で、御年72歳の巨匠が20代の若手監督をも凌駕するどえらいパワーを見せつけています。何が凄いって、高尚なことは一切なしで、エロとグロに特化した内容としているのです。フリードキンは95年に『ジェイド』という『氷の微笑』の出涸らしのようなエロサスペンスを撮って笑いものになったことをまだ覚えているようで、本作においてはやりすぎなくらいにエロを追求しています。何も履いていないジーナ・ガーションがいきなり姿を現す冒頭にはじまり、ジュノ・テンプルを現実と妄想の両方の世界で脱がせまくったり、マシュー・マコノヒーを脈絡なく全裸にしたり、フライドチキンを思いもよらぬ用途に使ったりと、エロに関しては凄まじい創意工夫を発揮しています。さらには、通常の着衣の場面だって胸の谷間や揺れ、乳首のポッチが気になるようなねっとりとした撮り方をしており、72歳の老人がやることとは思えない演出を続々と披露。念を押しますが、オスカー経験者です。。。 そんな感じで大張り切りだった巨匠からの要望を断り切れなかったのか、俳優達もかつてない怪演を披露。ジーナ・ガーションは49歳にして脱ぐわ殴られるわ、最終的にはあんなことまでさせられるわという大変な役柄を全力でやりきっているし、マシュー・マコノヒーに至っては、一体何の得があってこれを引き受けたのだろうかと思うほどの汚れ役を熱演しています。前半こそ、タイラー・ダーデンのようなダークヒーローの風情を漂わせていたものの、結局はただのヘンタイだったことがわかるというとっても損な役回り。監督のキャスティングセンスの賜物かマコノヒーのハマり具合が絶妙だったため、この役は彼のパブリックイメージに影響を与えかねないほどのインパクトを持っています。。。 観終わった後、特に残るものはないのですが、監督や俳優達のパフォーマンスを観る映画としては、十分なレベルに達していると思います。
[DVD(吹替)] 6点(2013-01-20 03:21:04)(良:2票)
599.  ハンガー・ゲーム 《ネタバレ》 
【TANTO】さんが詳しく述べられていますが、とにかく設定に穴が多すぎます。指摘事項の多さたるやトンデモ映画の域に達しており、本サイトの字数制限内ではひとつひとつを挙げきれないほど。そもそもの問題として、地区代表の未成年に殺人甲子園をやらせることが、なぜ国家の統治に役立つのかという理由がサッパリわかりません。深作欣二監督は、殺人ゲームに合理的な説明を付けることは不可能だとして『バトルロワイヤル』の背景説明を放棄し、いきなりゲームを開始するという英断を下しましたが、一方本作はゲーム開始までにたっぷり1時間もかけ、挙句に設定を伝え損ねているのだから話になりません。また、本筋においても、「権力者vs民衆」「金持ちvs貧乏人」「虚構を垂れ流すメディアvsメディアの情報を鵜呑みにする愚かな大衆」等々、多くのテーマが提示されるのですが、そのどれもが上っ面ばかりで煮詰めきれていません。これじゃあ21世紀の『バトルランナー』ですよ。。。 肝心のバトルも、これまたヌルくて参ってしまいます。生き残るのはたった一人、嫌いな奴を殺すことは容易くとも、最終的には仲間と殺し合いをしなければならないことがこの設定の最大のキモだと思うのですが、主催者側からの度重なるルール変更によってこの点がボケボケになっています。さらには、登場人物達の戦力設定もいただけません。弓を得意とする以上、主人公が参加者中もっとも有利であることは火を見るよりも明らかなのです。他には格闘に優れた者や、ナイフの名人もいますが、飛び道具を得意とする主人公に狙われたのではひとたまりもありません。そして、主人公が有利すぎるゲームなど、面白くなるわけがありません。そこで監督が考え付いたのが、主人公に弓を使わせないというシナリオ(笑)。見晴らしの良い広場のど真ん中に敵集団が突っ立っていても、この主人公は彼らを狙ったりしないのです。得意技を封じられた主人公の戦いには、当然のことながら緊張感は宿りません。なぜ、こんなにもバカバカしいシナリオが通ったのでしょうか。。。 以上、さんざん悪口を書きましたが、観ている間は不思議と楽しめたことはきちんと明記しておきます。スターなし、製作費も控え目ながら全米だけで4億ドルも売り上げた作品だけあって、娯楽作としてはそれなりにまとめられているのです。ツッコミどころも含めて愛せる映画だと感じました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-01-19 18:37:43)(良:1票)
600.  ディヴァイド 《ネタバレ》 
余計な説明は一切なしでいきなり核戦争という景気の良い導入部が終わると、以後の舞台は狭苦しい地下室のみ。閉鎖空間での心理サスペンスに主眼が置かれた作品なのですが、全体の構図はよく考えられています。舞台はマンハッタンの高級マンションであり、その住民達はバリバリのホワイトカラー。対して、(きっかけは意に反していたとはいえ)彼らをかくまってやるのは、そのマンションの地下室に住みこんで働いている貧しい用務員さん。常日頃、身の回りの世話をしているにも関わらず住人達からはロクに挨拶もされず、名前も顔も覚えられていない用務員さんが、金持ちやエリート達の生命を握るという捻じれた階級闘争の構図となっているのです。そして、物語はどんどんおぞましい方向へと転がっていくのですが、「他人に対してもっとも惨い仕打ちをしたのは誰だったのか?」という点についても、本作特有の結論が準備されています。これはかなり優れた企画だと思います。。。 問題なのは、脚本力や演出力が上記の企画意図に追い付いていないということ。まず、時系列の整理がヘタくそで、ほんの数カットで何十日も話が飛ぶこともあれば、逆に、いろんな展開が詰め込まれてさぞや時間が経過したのだろうと思いきや、じつは数日の話でしたということもありました。閉鎖空間に長時間閉じ込められた人間のストレスがテーマとなっている作品だけに、劇中の時間経過は作品の重要なファクターであるはず。にも関わらず、それを観客に伝え損ねていることは問題だと思います。また、設定のディティールにもあまりこだわりがなく、大人8人が何カ月も生存するために必要な水と食料、長期間の自家発電を行うための燃料とは膨大な量になるはずなのですが、あの地下室にそれだけの備蓄ができるようには到底思えません。さらには、相当な量となるであろう排泄物、おまけに生存者達は何カ月も入浴できず地下室の衛生状態は最悪になることは容易に考えられるのですが、そういった想定しうる設定が掘り下げられていないので、映画全体から説得力が失われています。あと、序盤に登場した謎の集団は一体何者だったんですか?彼らに連れ去られた少女はどうなったんですか?謎の集団から奪ったはずのライフルやテーザー銃が中盤以降、劇中から姿を消すのはなぜですか?設定を投げっぱなしにした製作側の姿勢には感心しません。
[DVD(吹替)] 6点(2013-01-14 02:52:00)(良:2票)
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