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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2594
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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741.  ワールド・オブ・ライズ
中東を主舞台とした“対テロ戦争”における情報戦を描いた今作。 敵を欺き、ある時は味方さえも欺き、生と死の狭間での戦いは、決して安直な派手さはなく、その痛々しさのみが様々な側面で突き刺さる。  それは、この映画が今この瞬間も繰り広げられている「現実」の一側面を描いているからに他ならないと思う。  ディカプリオ演じる主人公が、自らの命をさらしながらも感じ続ける葛藤。 それは、“対テロ”の名の下に突き進めるこの「戦争」が、果たして正真正銘の「正義」なのかということに他ならない。  「異文化」への排除行為の先にあるものは決して「平和」などではなく、愚かしく、絶え間なく続く「報復」の螺旋である。 ということを、痛々しく見せつけてくる作品だった。   それにしても、リドリー・スコット監督作品は、「アメリカン・ギャングスター」に続き今年2本目である。 時間を空けず、これほどの骨太な大作映画を連発してくるこの巨匠のパワーに感嘆する。
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-23 18:56:48)
742.  彼が二度愛したS
サスペンス映画が好きである。 鑑賞者の思惑を大いに覆すストーリーに惹かれるものだ。  が、今作の場合は、ストーリーに驚くべき起伏があるわけではない。 もちろん、ただ平坦なだけではサスペンス映画として成立しないので、程よい緊張感と“二転”くらいのエスプリは持ち合わせている。  ただこの映画の面白さは、そういうストーリー展開にあるわけではなく、映画を構築する他の要素の質の高さによるところが多いと思う。 最近は、とにかくストーリーに「衝撃」を押し出そうとする作品が多いだけに、今作のようなサスペンス映画は少し珍しい。  では何が良いのか?  ユアン・マクレガー、ヒュー・ジャックマン、ミシェル・ウィリアムズら出演者たちのキャラクターに即したビジュアルの美しさ。 高級ホテルに高級スーツなどから発せられる洗練されているからこそ、同時に醸し出されるある種の“禍々しさ”。  そういった主人公の感情と、ストーリーを彩るラグジュアリーが、映画を魅惑的に仕上げているのだと思う。  「驚き」には欠けるが、たまにはこういうオールディーさを感じるようなサスペンス映画も悪くない。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-19 14:12:49)(良:2票)
743.  最高の人生の見つけ方(2007)
“最高の人生の見つけ方”、この邦題自体は気に入らないが、そのために必要なのは、自分が既に得ている「幸福」をきちんと見出すことだと思う。 Bucket Listに書かれた“死ぬまでにやりたいこと”をこなしていくプロセスは、あくまでそのためのきっかけに過ぎなかった。 残されたリストの項目が、ひとつずつ、必然的に消化されていく様がとても感慨深く、上質な余韻として残っていく。  ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが、老人の悲哀をそれぞれ演じるという時点で、思わず「ずるい」と言いたくなるくらい安心できる。 そして思惑通りに、二人の大俳優はキャラクターの全く違う老人の哀愁を演じて、魅せる。  それにしても、すっかり“爺さん”になってしまったジャック・ニコルソンには、どうしても少し寂しい感じがしてしまう。だけれど、ふいに見せる相変わらずの“悪ガキ”っぽい目つきを見て安心した。 
[インターネット(字幕)] 7点(2008-09-23 23:35:22)(良:1票)
744.  ノーカントリー
2007年のアカデミー賞を席巻したコーエン兄弟監督作品。  2001年の「バーバー」を観て以来、この兄弟の映画は、とりあえず観ておかないと損をするという感覚がこびりついている。  世界観が独特なだけに、好き嫌いの触れ幅が激しく、主観的な感想として当たり外れも多いのだが、今作はアカデミー賞の主要部門を確実に抑えた作品だけあって、またエライ映画世界を生み出したものだと思う。  正直なところ、一度観ただけでは、この映画の本質と染み込んだ味わいの深さを堪能しきれていないと思う。  3人のまったく異なる登場人物たちが暗示するアメリカという国の凶暴性と、不条理さ、虚無的な絶望感。 それらが、絶妙な台詞回しや、奇妙な緊迫感を終始携えた演出の中に垣間見えはしたが、鑑賞者としてそのすべてを確実に捉えきれたかというと、自信はない。  ただそれでも、この映画が持つ深みと、説明がつかない濃密さは感じ取ることができたし、初見としてはそれでいいと思う。  トミー・リー・ジョーンズの哀愁を携えた演技は渋かった。 しかしこの作品の中で圧倒的だったのは、やはり助演男優賞を獲得したハビエル・バルデムの超絶な怪演だろう。 “ぬぼ~”とした風貌から滲み出る奇怪さと、圧倒的な恐ろしさは、悪役史上に残る存在感だった。  自分自身の読解力の低さで、問答無用に「大傑作」と断言できないことは情けない限りだが、それは再び観る時の楽しみとしてとっておこうと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-08-30 02:39:05)
745.  スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
暗黒のロンドンで暗躍する理髪師の殺人鬼“スウィーニー・トッド”を、ティム・バートン+ジョニー・デップの盟友コンビで、「ミュージカル」というスパイスをドギツク加えて相変わらずの“特異世界”の中に息づかせた。   鑑賞後まで“スウィーニー・トッド”というキャラクターを知らず、今作はティム・バートンの完全オリジナル作品かと思っていた。 実は創作の殺人鬼キャラクターとしてかなり有名で幾度も舞台化、映画化されていることを知り、ティム・バートンらしからぬ最後まで深い闇を秘めたラストにも頷けた。   全編通して悪趣味かつクオリティの高いビジュアルは、ティム・バートン監督ならではで、そこで惜しげもなく歌声を披露しながら、またもやアクの強いキャラクターを体現してみせたジョニー・デップと合わせて、作品から醸し出される雰囲気に反して安心して観られた。 ティム・バートン監督のパートナーでもあるヘレナ・ボナム・カーターも内にまがまがしい狂気を秘めたパイ屋の女主人を、妖しい魅力で表現してみせたと思う。   狂気に溢れた殺人鬼の物語をミュージカル調で映像化してみせたティム・バートンの力量にはもはや隙はなく、ジョニー・デップの魅力も合わせて概ね満足度は高い映画であると言える。 ただ、今作で6作目の監督&主演コンビとなる彼らの化学反応に、安心感を覚えつつもそろそろ新たな“爆発”を見せてほしいというのも映画ファンとしては正直な心情だったりする。   そういう意味では、題材の強烈さに反して今ひとつ“驚き”はない映画だったかもしれない。   
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-19 21:25:42)(良:1票)
746.  アイ・アム・レジェンド
ウィル・スミスは一体何回地球を救えば気が済むのか。 と、もはや“はまり役”とも言える”救世主役”をウィル・スミスがいつものように陽気にこなすエンターテイメント大作だろうと気軽に構えていたのだけれど、想像以上に「恐怖」に溢れた作品だった。  この映画での最たる「恐怖」。それは、全世界を滅ぼす細菌の恐怖でも、闇の中から急襲してくるゾンビ化した感染者たちの恐怖でもなく、たった一人世界に残されたという「孤独」に対する恐怖だ。  愛する家族を皮切りに、周囲の人間が次々に失われていき、ただ一人世界に残された男に与えられたものは、果てしない絶望と、愛犬のサム、そして「残された世界を救う」という盲目的な使命……。  悲壮感に溢れつつも、決していつものノリも忘れないウィル・スミスは、主人公としてバランスがよく安定感があった。 映画の大半を一人で立ち回ることができるのも彼の俳優としての実力があればこそだろう。  エンターテイメント大作として申し分はない完成度は保っており、主人公が悪戦苦闘するアクション性と共に、孤独に対する悲哀にも溢れ、一辺倒ではない映画として仕上がっていると思う。 ただ、ゾンビ化した感染者についての伏線が中途半端に張られたままで解消されていなかったり、そもそもの原因となるウィルスについてやや説明不足な感も残ったのは、残念。  まあ、とにもかくにも、今後ともウィル・スミスには地球を救っていってもらいたいと思う次第。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-30 19:07:41)
747.  オーシャンズ13
前2作の時にもそれぞれ結論付けたことだが、このシリーズについてはキャスティングの強引さだけで、もうすでにエンターテイメント映画として“勝っている”。 「キャスティングが豪華なだけ」だとか「キャスティングに対して深みがない」とかいう声もチラホラ聞こえがちだが、はっきり言ってそういう観点はナンセンスだ。 豪華過ぎるキャストが問答無用に“娯楽性”を繰り広げる。ただそれだけで、もう問題は無い。 演出力、脚本力、撮影力……そういう映画製作において欠かせない要素の一つとして“キャスティング力”というものは確実に存在し、それが秀でているということは充分に評価に値する。  とまあこうやって“ごたく”を並べることこそまさに無意味。 スティーブン・ソダバーグ監督独特の映像感覚と、このシリーズならではの“オサレ感”を存分に感じながら、エンターテイメントをただ楽しめばそれでいいというもの。
[DVD(字幕)] 7点(2007-12-29 18:42:37)
748.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は、現実か妄想か。  まず自分の想像以上に、痛々しく悲劇的展開が衝撃的だった。 悲劇的な運命の中で主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み光を見出していくという展開を想像していただが、決してそんな生易しいものではなかった。 どこまでも暗い闇の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。  物語が始まった時点で、少女の精神は崩壊していたのかもしれない。 少女が迷い込んだのは、光に溢れたファンタジー世界ではなく、闇の中の限界の淵で辿り着いた、幻想世界だったのだろう。  戦渦の薄暗い山村とその中で見え隠れする妖しい幻想世界を、独特のビジュアルで描き出した映像美が素晴らしい。 時に痛々し過ぎるほどの描写も、確固たるビジュアルセンスによって作品の中で違和感なく溶け込んでいる。  基本的に「悲劇」は苦手で、出来ることなら見たくない。 だが、残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-02 21:55:21)
749.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
ジョニー・デップは昔から大好きだし、なんだかんだ言ってもエンターテイメント大作は嫌いではない。加えて、ディズニーランドで一番好きなアトラクションは「カリブの海賊」だし、パート1も凄く面白かったと思う。 なのに、このパート2はなんだかなかなか観る気になれなくて、結局パート3を観る直前にやっと観ることになった。  まあ結局のところ“面白かった”とは思う。 特にストーリー性は無いし、前作にも増した映画全体の“ドタバタ感”(特にジョニデのそれ)は、やややり過ぎな印象を受けなくもなく、長い尺も手伝って間延びする感覚は否めない。が、それでも娯楽映画としてまとめ上げているところは、映画として一定の“質”を保っているからだと思う。  個人的には、娯楽映画シリーズ特有の「次作への余韻」に弱いので、ラストシーンでジェフリー・ラッシュが登場した時点で一気にパート3への期待は高まってしまった。  「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに代表されることだが、もうこういう映画の場合、その世界自体が好きな人は問答無用に「OK」だろうし、別に何の愛着もない人にとっては圧倒的に「NG」になり得ると思う。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-26 11:58:07)(良:1票)
750.  ブラック・ダリア
ブライアン・デ・パルマ監督らしい作り込まれたフィルム・ノワールの映像世界に引き込まれる。  一人の女性の惨殺死体にまつわる数奇な運命たちが複雑に絡み合い、謎が謎を増幅させる展開力は、この監督ならではだろう。 が、同時に、「結局何だったのだろう?」という払拭されない“モヤモヤ感”が残るのも、デ・パルマ監督作品ならではで、ストーリー自体は理解できるが、映画として一抹の「消化不良」が残ってしまったことも事実ではある。 まあ、もはやそれすらも“味”としてしまえば、問題ではないと思ったりもする。  出演俳優がそれぞれしっかりしているので、彼らのやり取りだけでも結構見せる。 個人的に最近「良い」と思わされることが続いているのは、ジョシュ・ハートネットだ。甘い風貌に反した、こもった声とどこか屈折した感じが漂う存在感が、良い味を出し始めていると思う。そういった彼の特徴に合った役柄が続いていることも、彼の俳優としての存在価値を高めていると思う。  本当は昨夜(土曜の深夜)に観たかったのだが、眠たくて叶わず、結局日曜の寝起きに観てしまった。もちろん日曜の朝っぱらから観るような映画ではない。 晴れ渡る青空がイヤに眩しい。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-20 12:44:32)
751.  スパイダーマン3
サム・ライミという映画監督が描き出したこのスパイダーマンシリーズは、「ヒーロー」が必ずしも“完全無欠”ではなく、主人公のピーター・パーカーをはじめ登場人物たちがそれぞれ“未完成”であるということが、何よりも映画としての価値を高め、量産されるアメコミヒーロー映画の中で頭一つ抜け出した存在位置を確保し得た要因だと思う。  「スパイダーマン」というどこからどう捉えてもヒーロー映画的なタイトルを掲げながら、実のところは、ピーター・パーカーを中心とした成長映画であり、青春映画だったのだ。 そして、サム・ライミのシリーズとしては「完結編」であろう今作は、そういったこれまでの要素にふさわしいキャラクターたちの“葛藤”をとくとくと描いた作品に結した。 “ヒーローであることに対する慢心”、“ヒーローが恋人であることによる嫉妬”、“ヒーローに傷つけられたことに対する憎悪”、それぞれの人物たちが未完成だからこそ起こり得る心の乱れと苦悩。それらはまさに「スパイダーマン」で監督が描きたかった本質だと思う。  とまあ、概ね満足感は高い映画だったが、完結編の性なのかどうにも“詰め込み過ぎ”な印象もあった。 “ハリーとの対決”、“サンドマンとの対決”、“ベノムとの対決”、“MJとの確執”、そして“自分自身との対決”と、何せ今作のスパイダーマンは忙しすぎた。そのせいか、前作までと比べると明らかにテンポの悪さを感じてしまったことは否めない。ピーターが壊れていく様など、もちろん必要な描写ではあるけれど、少々くどかったのではないかと思う。  が、しかし、ヒーロー映画に不可欠な“テンポの良さ”やそれに伴う単純な“爽快感”に負荷を与えてでも、キャラクターたちの描写に力を入れたことこそ、このシリーズがただのヒーロー映画に留まらなかったことの「証拠」であろう。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-13 13:43:27)(良:1票)
752.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
いわゆる「SF超大作」という娯楽大作にここのところ“当たり”が少なく、もはやネタ切れ状態なのか、“よくあるパターン”の作品が多い。 この「サンシャイン2057」にも、そういう不安はあった。真田広之が宇宙船の船長役で出演していることはとても興味深かったが。観ようか観まいかウロウロと悩みつつ、ふとポスターを見ると重要な要素を見落としていた。 「監督 ダニー・ボイル」。 さすがに一筋縄ではいかない作品に仕上がっていると思う。  脆弱化した太陽を再活性化するための決死のミッションに臨む多国籍編成の8人のクルー。ストーリーとしては何となくよくある感じもするが、出演陣の誰もが“主人公面”していないことが、この映画に用意されている“混沌”を暗示していた。 日本人としてはどうしても船長役の真田広之に注視してしまう。が、存在感と責任感のある日系船長に用意されるプロットはわりと容易に想像できるだろう。  「アルマゲドン」系の地球セービング映画でないことは、冒頭から地球でのシーンを廃し、密室の宇宙船内のみで展開されることからも明らか。映画はふとすればミッションの内容すら忘れてしまうほどに、クルーたちの“精神的”なサバイバルへと突入する。「使命」と「希望」、「生」と「死」の間で混乱していく人間模様に、主題である「太陽」に対する観念的な要素も入り混じり、殊更に映画は混沌としていく。  SF娯楽超大作を期待して観に行くと面食らってしまうことは間違いないが、宇宙での極限状態における人間たちのインサイドをさらけ出そうとした試みは面白かったと思う。 タイトルが示すとおり、ひたすらに太陽の熱に“焼かれる”映画である。
[映画館(字幕)] 7点(2007-04-15 17:33:51)(良:4票)
753.  ディパーテッド 《ネタバレ》 
香港ノワールの大傑作「インファナル・アフェア」を、ハリウッドを代表する映画人たちがそのプライドをかけてどうリメイクしてみせるのか。やはり、この話題作の焦点はそこだったと思う。  スコセッシ監督のドライな映画世界も、ディカプリオの苦悩に溢れた表現力も、ニコルソンの流石の存在感も、この「ディパーテッド」という映画がまったくのオリジナルであれば、もう手放しで評価しても良いクオリティーは随所で見られたと思う。 しかし、これが香港映画のリメイクである以上、オリジナル作品と比べないわけにはいかず、結果として「ディパーテッド」の惨敗、「インファナル・アフェア」がどれだけスバラシイ映画であったかということを改めて知らしめるための作品となってしまったかもしれない。  映画として、ストーリーとしての「美意識」という観念において、今作はオリジナルに対し大きく引けをとってしまっているように感じた。 やはり主にはラストの顛末についてのことになるだろう。アンディ・ラウ(警察に潜入したマフィア)が結局最後まで生き残り、複雑な感情が入り混じる苦渋の表情で締める「インファナル・アフェア」に対し、今作の顛末にはあまりに節操が無く、余韻が残らない。 クライマックスの流れまでほぼオリジナルに沿っているわけだから、最後まで通した方が良かったのではないかと思う。  前述しているように、映画としてクオリティの高い箇所はいくつもあるし、面白くない映画では決してない。 ただあらゆる面において、オリジナルである「インファナル・アフェア」の圧勝であることは、否定できない。  
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-28 23:10:59)
754.  アンダーワールド/エボリューション
「吸血鬼VS狼男」という構図も、圧倒的に美しく強い女ヒーローという要素も、もはや「ベタだ」と言えてしまうほど、ありふれたアクション映画の“ジャンル”である。 しかし、この映画のシリーズには、他を寄せつけない唯一無二のポイントがある。 それは、「闇の美しさ」である。  タイトルが示すとおり、この映画はほぼ全編通して“闇”の中で繰り広げられる。主人公が吸血鬼なのだから仕方がない。 闇を描き連ねるあまり、ただただ画面が“真っ暗”になってしまっている駄作は多々ある。 しかし、今作は、見事に闇の世界の美しさを革新的なほどの映像美で映し出す。  藤子・F・不二雄の短編漫画で、吸血鬼に支配された世界における暗闇の美しさと素晴らしさを描いた作品があるのだが、まさにそれを思い出した。 吸血鬼から見た闇の世界は、これほどまでに美しさに溢れているのか、と思わせる。 そして、その美しい闇の中に、前作から引き続きケイト・ベッキンセールのまさに透き通るような美しさが映える。(実はもうそれだけで、及第点)  ただ、往々にしてよくあることだが、前作の大ヒットによって、製作費が潤沢になり過ぎ映画全体がやや「大味」になってしまっていることは否めない。ストーリー自体も、前作ほどスマートではない。  しかしまあ、ヴァンパイアたちによる悪趣味なほどに美しい、文字通り“血で血を洗う”戦いには、充分に見応えがある。 
[DVD(字幕)] 7点(2006-09-13 18:24:11)
755.  X-MEN2
超人勢揃いの娯楽映画を何故こんなにも陰気に描き出すのか?” “どうしてこんなタフさだけが売りの荒々しい爪男が主人公なんだ?”  というのが、初めてこの映画を観た時の感想だった。 原作コミックの持つ世界観や諸々の設定を情報としてまったく知らなかったので、表面的な娯楽性の乏しさに不満が先行し、個人的に駄作というレッテルを貼ってしまっていた。  しかし、映画シリーズにおける“新章”と言える「ファースト・ジェネレーション」「フューチャー&パスト」、そして“爪男”の出自を描いた「ウルヴァリン」を見終えて、すっかりこのアメコミシリーズのファンとなってしまった今となっては、かつて駄作と決めつけた今作の印象も一転した。  特に今作の場合、スピンオフ作の「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」と連なる描写が多々あり、ようやく今作におけるヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの主人公性が理解できた。(ストライカー大佐のビジュアルが違いすぎるのはいただけないが……)  アメリカン・コミック映画に総じて言えることだが、原作コミックには日本の漫画とはまたひと味違った“深み”があるんだろうと思う。「X-MEN」はもとより、「スパイダーマン」も「バットマン」も原作を一通り読んでみたいものだ。 
[CS・衛星(吹替)] 7点(2006-09-10 23:36:49)
756.  Vフォー・ヴェンデッタ
環境設定や登場人物たちの関係性で入り組んで見えるが、結局は“革命”をもってして自らの思いを貫き通す真っ当な「復讐劇」ということだろう。 そして、この映画のそのストーリー構築は間違っていない。主人公たちが歩んできた運命の悲劇性から“痛快ヒーローアクション”とは程遠いが、それでもこの暗く悲しい運命を背負ったヒーローの生き様には、異質ではあるがヒーローにふさわしい「解放感」があったと思う。 映画の視点をヒーロー本人ではなく、彼の最後に多大な影響を与える一人の女のものにして、物語を綴っていったことも、映画における現実を客観視させる上で効果的だったと思う。 その重要な役どころを体を張って演じきったナタリー・ポートマンは見事だった。 惜しむらくは、ヒューゴ・ウィービングの顔が一度も出なかったコト。まあキャラクターの特性上仕方ないコトだけれども…。
[映画館(字幕)] 7点(2006-05-01 18:10:19)(良:1票)
757.  ロード・オブ・ウォー
実在の武器商人の半生をシニカルに描きつつ、根本として示されたテーマは、もはや「悪」ではなく、この世界の「常識」となってしまった武器流通の実情だった。 “戦争王”と呼ばれた彼の生き方は、決して肯定されるべきものではない。だが、この世界の現状を示されれば、彼の言い分に対して一方的に否定はできない。それが、世界の現実であり、絡みついた蜘蛛の糸のように決して容易に逃れることができない人間全体の問題だと思う。 絶対に否定すべきだが安易に否定できないものを、ひとりの男の人生を通して、彼自信に肯定させることで、強く否定してみせた挑戦的な映画だった。
[映画館(字幕)] 7点(2006-02-02 19:09:41)
758.  セックスと嘘とビデオテープ
掻い摘んで言ってしまえば、セックスレスの夫婦がいて、夫は妻の妹と浮気していて、それを薄々気付いている妻がふいに現れた不思議な男に惹かれ、夫との別れを決意し、夫は妻も愛人も失い、妻はその男と結ばれるという、なんとも平凡な「昼ドラ」である。だけれど、そこに、各人のとても繊細な心理と動揺を独自の目線で描きつける。 俊英スティーブン・ソダバーグのデビュー作にふさわしい奥深さがそこにはある……のだと思う。ただ24歳の僕には少々そのテーマ自体を、まだまだ捉えきれないところがある。登場人物たちのセックスに対する微妙な感情をそのままに汲むには、経験が無さ過ぎるのが事実。 でも、今作を撮ったソダバーグ、若干26歳。……うーむ、すごいなあ。 
[DVD(字幕)] 7点(2006-01-10 01:38:21)
759.  キング・コング(2005)
この映画は紛れもなく1933年の「キング・コング」のリメイクなわけだが、実のところ肝心な部分が大いに違う。それは、劇中の登場人物、そして映画を観る観客の“コング”に対する感情の相違だ。1933年版には、コングに対する“情”はほとんどない。終始「空想冒険活劇」が貫かれ、それが結果として製作者らも含めた人間の素のエゴイズムを表現している。 逆に今作には、コングに対する情が溢れている。いやむしろそれメインに描いていると言っていいだろう。そのこと自体は別に良いと思う。現代の時代性を考えても、コングをただの“怪物”として描くことは、良識的に不可能であろう。 ただしかし、あれほどまでにコングが、動物的な愛らしさを携えているのはどうなのだろう?あそこまで感情豊かに描かれては、そりゃどうやったって感情移入するし、悲劇を迎えればジワリと涙腺はゆるむ……。 果たしてそれでいいのか?やはりもう少し、“キング・コング”という“怪物”に何故か生まれてくる“情”を巧く描き出してほしかったように思う。 まあそれでも、これだけの容量で大スペクタクルを見せられては、娯楽映画として満足するしかない。ただ、ある種仕方のないことかもしれないが、全体的に“大味”な感が残ってしまったことは否めないだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2005-12-22 19:05:10)
760.  刑事コロンボ/死の方程式<TVM> 《ネタバレ》 
どんなに周到な犯行計画を立てていても、それを犯行後まで平常心で貫けるかが犯人にとっては最大の課題なわけ。コロンボという刑事が優れているのは、犯行後の犯人が垣間見せる一瞬のスキを見逃さないことだと思う。スキがスキを呼び、犯人は自らを追い込んでいくのだ。それが、このコロンボシリーズの醍醐味だろう。 ラスト、ゴンドラに乗り込んだ時点で、犯人が自白に追い込まれることは明白だが、そのある種の予定調和がたまらないのだ。 ちなみに英語に明るくなくて知らなかったのだけれど、原題の“short fuse”とは“短気”“かんしゃく”という意味で、犯人の性格を表している。それと同時に、“fuse”は爆薬の“導火線”“信管”という意味だそうで、非常に巧いタイトルだと思う。
[DVD(吹替)] 7点(2005-11-21 11:30:11)(良:2票)
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