61. パフューム/ある人殺しの物語
《ネタバレ》 まあ確かにグロい表現が多いので万人には勧められないが、予想外に面白い話だった。臭い・匂いを映像で表現する演出が秀逸。人生の目的が自分の天分を全うすることだとしたら、主人公はその僥倖を得た勝者とも言える。罪悪感なんて全く感じることなく、動物が本能のまま獲物を狩るように、目的のために淡々と人を殺していくグルヌイユ。ナレーションがまた妙に淡々としているのが主人公に欠けた人間性を象徴しているようで面白かった。たぶん、罪悪感や倫理観以前に、突き抜けた天才には本人にしか分からない至上命題のようなものがあって、それに気が付いた瞬間からもうその宿命から逃れようがないのかも知れない。つまり、いい年こいて自分探しだの生きがいだのウダウダと優柔不断なことを言っていられるのは凡人の証拠(笑) [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-07-25 22:13:28)(良:1票) |
62. フライトプラン
サスペンスにしてはあまりに雑な作りでツッコミどころ満載。まるで自分のプロモーションビデオみたいな薄っぺらい作品に何故フォスターが出演をOKしたのか疑問に思ったが、マンフロントさんのレビューを読んで納得。モンスターペアレントの暴走になぞらえて米国のお家芸「我こそは正義」の滑稽さと危うさを表現しているのだとしたら、フォスター演じる主人公の誇張された「強い母」像にもうなづける。レビューを読んでいて、自分の正義を全うする為ならどれだけ他人を侮辱し恐怖に陥れようともお咎め無しの主人公に疑問を感じる人がこれだけいるということに、日本人としてちょっとホッとした。あえて駄作を作った制作陣の真意を信じて8点献上。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-07-21 13:33:59) |
63. フィッシャー・キング
露悪的に描き出される主人公ジャックの利己心・卑しさと対照的なバリーの純粋さ。お互いの個性を際だたせていてストーリーに艶を与えている。ギリアム作品だと、どんなに非現実的な展開になろうと「そーいうもんだ」と安心して(?)観てしまう。ストーリーの完成度うんぬんより何よりも印象に残ったのがM・ジェッター演じるオカマ歌手のオフィスでの絶唱シーンだというのも、ギリアム作品だから、それでいいのだ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-06-06 11:24:10) |
64. リトルショップ・オブ・ホラーズ(1986)
それぞれの役者が持つ強烈な個性を生かしきったキャスティングが素晴らしい! 街角ガールズ(?)と食人花の歌唱力にうっとり。「どうしようもなく使えない、でも憎めない男」を演じさせたら右に出る者のいないリック・モラニスの愛すべきダメ男ぶりも個人的にかなりツボだが、S・マーティンの突き抜けた怪演にとどめを刺される感じ。最初に見たときは笑いすぎて呼吸困難になった。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-06 02:54:37) |
65. ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
《ネタバレ》 グラムロック時代のD・ボウイが好きだった自分には、世界観もセンスも音楽もツボをついている感じで、予想以上に分かりやすい展開の映画だった。愛のためにモンスターとなった自分と葛藤しながら生きる苦悩、それでも結局は愛に救いを見いだし、ありのままの自分を受け入れて生きる純粋なヘドウィグは美しい人間だと思う。一見安っぽいドタバタな演出でも伝えているメッセージはとても深い。歌も素晴らしいです。それにしても、ここのレビューを見るとホモやオカマは生理的に受け入れられないと言う人が多くて残念。異文化を通して世界を見れば思いがけないところで目からウロコが落ちることもあるのに、自らその機会を放棄しているようなもんです。もったいない。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-04 04:18:01) |
66. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
トム・クルーズには中世ぽいコスプレは似合わないと思う。白塗りもいつもが健康的なイメージだけになんだか違和感があったが、悩まず宿命のままに分かりやすい行動をとるキャラ、という意味ではぴったりのキャスティングだったと思う。逆に悩みまくり役のブラピはもともと線が細い印象もあるので美しくハマッて見えた。デビルマン同様、闇の眷属でありながら自己の存在意義に苦しんで生き続ける姿が美しいのよ~。でも最後にちょっと疑問が残ったので原作を読んで確認したい。結局レスタトとの腐れ縁が切れてないってこと? 8点(2004-10-26 13:18:47) |
67. マイ・プライベート・アイダホ
焚き火の前でスコットに思いを告げるマイクの姿がなんとも切なかった。痛々しい姿を晒しつつ、それでも愛して欲しいと言わずにはいられないマイク。でもスコットを始め、彼をとりまく世界のクールさこそがこの映画の神髄。強者は自己欺瞞に目を背け過去を切り捨てて階段をのぼっていき、弱者は淀みに留まり美しく野たれ死んでいく運命の対比を描いた作品だと思う。 8点(2004-10-10 11:12:38) |
68. ニューヨークの恋人(2001)
悪者が出てこないラブコメはストレスなく観られるので疲れているときに最適。白馬の王子様を地でいくレオポルドのキャラクターには何度か爆笑させられた。品のあるジャックマンは侯爵役にぴったりだったけど、乗馬できないのがバレバレでちょっとがっかり(^^;) キャリアファッションに身を包んでもやっぱりメグはかわいい。なにげにチャーリーとレオポルドのからみに味があってよかった。可愛い弟だ! 8点(2004-10-09 14:20:30) |
69. 抱擁(2002)
地味ながらストーリーも映像も音楽も美しく後味もとてもよい良作。G・パルトロウは芸術家の血を引くインテリ女性の役にぴったりだが、相手のA・エッカートはちょっと若すぎ明るすぎ?でもそのやんちゃなところがなければこの話は成立しなかったわけでこれでいいのか。最後の「誰も知らない」エピソードも◎。 8点(2004-10-09 12:08:14)(良:1票) |
70. 小さな巨人
大法螺吹きだがストーリーテリングに長けた爺が若き日の武勇伝を語るというドン・キホーテさながらのストーリーで、想像以上に色んな要素の詰まった映画だった。若いホフマンがなんともキュートで、その類まれな演技力が若い頃から発揮されていたことに驚く。老ジャックが語るその奇想天外な生涯はまさに武勇伝に次ぐ武勇伝なのだが、冷静に見れば彼の行動は常に行き当たりばったりでモラルも信条も感じられず、小さな巨人どころかただ悪運強いだけのちっさい男だったりするところが、この映画の味わいどころのような気がする。 [DVD(字幕)] 7点(2015-04-28 15:34:58) |
71. ミーン・ストリート
《ネタバレ》 常識の通じないヤバイ人間を演じさせたらピカイチのデ・ニーロ。その原点がここに。正直言って、いつになったら主題に入るのだろうと若干退屈気味に観ていたが、途中からこの切ないほどのどうしようもなさこそが主題なのだと気がついて姿勢を正し、祈るような気持ちで最後まで観た。スタインベックの「二十日鼠と人間」を思い出したのは私だけだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-10 15:33:23) |
72. 或る夜の出来事
《ネタバレ》 古~い映画ですが、退屈せず楽しめた。米国版ローマの休日?でもヒロインが同じ世間知らずでも何でもお金で解決しようとする俗人セレブ的なところがアメリカ娘っぽい。根っからの悪人が出てこないところに古き良き時代を感じる。そしてラストは金持ち父さんが良い味出してた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-07 08:30:01) |
73. いつか晴れた日に
オースティンと言えばイギリスの田舎貴族の山有り谷有りの婚活物語、こちらも腰を落ち着けてじっくり楽しめる作品。とにかく風景を眺めるだけでもううっとり。ヒュー・グラントはどうにも甘ったるい二枚目顔が鼻につき、知性がドレスを着ているようなエマとお似合いとはとても思えない。が、役のお陰でこの作品での彼は普段より印象が良かった。つい微笑を誘うマーガレットの可憐さにもにっこり。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-10-24 12:57:58) |
74. リリィ、はちみつ色の秘密
《ネタバレ》 もっと小さい頃からやたら小賢しそうなダコタ・ファニングが私はどうも苦手だったのだが、成長しながらも結局彼女はそんな役どころをきっちりこなしていくらしい。リリィがオーガストに過去を告白するシーンだけは泣けたけれど、それまでずーっと好感持てなくて、正直アンタさえいなければ…!と何度思ったことか・・・。それよりこの映画でなんとも魅力的だったのは、大好きなクイーン・ラティファをはじめ、それぞれにキャラが立ってる黒人三姉妹。ラティファおばさん印のパンケーキ・シロップなんてものが実在していてもおかしくない!それぐらい違和感ないキャスティング(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-26 15:11:45)(笑:1票) |
75. 熱いトタン屋根の猫
舞台劇風でほぼ進行は会話のみという作風は、内容によっては鑑賞が苦痛になってくるのだがこれは重いテーマの割に最後まで引き込まれ面白かった。でもその面白さは、なにかと腹立たしい煩い兄嫁が最後には反撃され痛い目を見るところ是非見届けたいという思いに支えられていた感も強い(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-18 12:52:34) |
76. イースタン・プロミス
100分でこの濃さはすごい。クローネンバーグと言えばエログロドロドロ系をつい想像してしまうが、この作品は全編を通じバイオレンス色は強いものの何故か端正な印象。それぞれの人物描写もストーリー展開もよく練られていて、100分まるまる濃密な描写が続く緊張感が心地よい。ところでヴィゴのスーツ姿はとんでもなく美しい。それだけでも眼福なのだが、サウナでの全裸死闘シーンというおまけ付き。やっぱりこの中味があってこそ衣装も決まるのだなぁと妙に感心。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-03 14:51:14) |
77. マイ・フェア・レディ
《ネタバレ》 イライザの親父の「運が良けりゃ」はチキ・チキ・バン・バンの「栄光のバラに」を思い出させるコミカルさが楽しい。こういうスーダラ節的なおやじキャラって万国共通なんだろうか…。それよりもまたか!と思ったのが、うら若き純粋無垢な乙女が同世代のイケメンをさしおいてかなり年の離れたのオッサンに熱を上げる、というオードリー得意のファザコンベースな役どころ。かの時代の流行りだったのか、いやいつの時代も「若い生娘にモテモテなチョイ悪な俺」が妄想激しいオヤジの夢であることに変わりはないが、かつてはいわゆる玉の輿こそが女性にとって成功人生の王道として広く社会的に認知されていたということだろうか。それにしても長かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-01 23:56:34) |
78. サンシャイン・クリーニング
丁寧とは言い難い出来ではあるが、思うようにならない人生を、汚れ仕事をしつつも地道に歩む人を描くこういった作品はとても好きなジャンル。エイミー・アダムスは某ディズニー映画では若作り空回り的な痛さがやや鼻についたが、こういう役どころだと素直にその不器用さを応援したくなってくる不思議。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-30 23:11:47) |
79. ジェイコブス・ラダー(1990)
《ネタバレ》 マリリン・マンソンのPVばりの異形系幻覚に捕らわれる恐怖感がヒシヒシと伝わってきて背筋が寒くなった。普通ならガックリくるオチで逆にホッとしたのはこれが初めて。この手の吐き気催す系の映像は常に1回でお腹一杯になるのに、もう一度じっくり観たいと思えた珍しい映画。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-29 00:02:26) |
80. ブルーラグーン
パクリと言われようが二番煎じと言われようが、私は綺麗な人間を鑑賞したいだけなので全然OK。ミラのすらりとした身体と透き通るような瞳にうっとりー。小6の娘に性教育の一環として見せようかと一瞬思ったが、色々と肝心なことがうやむやになってて誤解を招きそうなので、むしろ百害あって一利無しと判断しもうちょっと先まで封印(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-15 15:19:41)(笑:1票) |