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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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781.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 
【猛烈にネタバレします】5年以上前に見たものの、さっぱり意味のわからない映像がダラダラと続く(ファンの方ごめんなさい)中盤で眠くなってしまい途中でリタイア。今回久し振りに再チャレンジし、無事完走しました。要するに、自分を裏切った恋人カミーラを殺してしまったものの、その罪悪感に耐えきれず自殺した女優ダイアンが断末魔に見た妄想ということですね。妄想の世界でダイアンはベティという名の別人となり、一方カミーラは殺し屋襲撃から生き延びるも記憶喪失、ふたりの関係はリセットされ、出会いを一からやり直すこととなります。妄想の世界は、ダイアンの願望が具現化されるパラダイス。現実世界でカミーラを寝とった憎き映画監督は、理不尽なスポンサーに企画を潰されるわ、家に帰れば奥さんが堂々と浮気してるわ、浮気相手から殴られるわのさんざんな仕打ちを受けます。また現実世界でダイアンの演技をまったく認めなかった別の映画監督は、妄想の世界ではベティ(=ダイアン)を絶賛。しかしキャスティングの担当者は「あの監督は老いぼれだから、別の映画に出なさい」とその監督の悪口三昧なのです。意中のカミーラとも結ばれ(誘ってくるのはカミーラの方!)、ダイアンは至福の時を過ごしますが、その後カミーラに連れて行かれた劇場で「ここで起こっているすべてはウソ、幻」ということに気付かされ、これは空しい夢だと認識します。。。この映画の面白いところは、本来はシンプルな話を真ん中でぶった切り、前後を入れ替えたために難解なルックスとなっているところ。何が起こってるのかわからないが、画面で起きていることすべてに何かの意味がありそうな前半の「引き」のうまさはさすがリンチ。話の前後を入れ替え、観客を突如物語のド真ん中に放り込むという荒業の効果がよく出ています。また、謎がつながる後半部分も興味深く見ることができました。しかし問題は、中盤があまりに退屈なこと。ひとつひとつの場面が猛烈に長くて飽きてしまいました。それに、さっぱりわからない伏線がいくつかあって、ファミレスの裏に潜む魔物とか、監督に無茶な要求をするカウボーイなどの意味がいまだにわかりません。丁寧に見てもサッパリわからない謎で感心を引くのは、ちょっと反則じゃないかという気もします。
[DVD(吹替)] 5点(2009-09-04 22:29:34)(良:1票)
782.  ドミノ(2005) 《ネタバレ》 
ここ10年のトニー・スコットは、「スパイゲーム」や「デジャヴ」など並の監督では手出しできないような困難な企画を器用に作り上げており、リドリー以上にその手腕には注目しているのですが、ここ最近で唯一のハズレ映画がこれでした。大して難しい企画ではなく、普通に撮ってれば面白い映画になっていたのに、どうしてこんなことになってしまったのかと。前作「マイ・ボディガード」(ヘタレなタイトルからは想像もつかない残酷バイオレンスの傑作)で効果を発揮したチラチラ映像を全編でやってしまい、まったく落ち付かないビジュアル。ドミノの生い立ちなどではその効果を感じたものの、全編に渡ってこれはさすがにやりすぎでしょう。また、話を複雑にしすぎていることも問題でした。この映画の核はあくまでドミノ・ハーヴェイという実在の人物であり、彼女の数奇な生き様を堪能することがもっとも大事なことのはず。にも関わらず、タランティーノも呆れるような複雑な犯罪を後半に持ってきたことから、見ている私達の集中力はドミノから犯罪へとシフトすることを余儀なくされます。これにより、せっかく面白かったドミノと仲間たちの物語が中断される形となってしまいました。ラストの銃撃戦も、相変わらずのチラチラ映像のために燃えるような大アクションとなっていません。スコットの手腕があれば余裕でかっこいい銃撃戦を撮れるのに、必要とされていない工夫をしてしまったことが完全に裏目に出ています。良い題材に、良い役者(ミッキー・ロークの最高ぶり!)を得ながら、要らない工夫のために映画をつまらなくしてしまった珍しいケースだと言えます。。。なお、DVDに収録されている眞鍋かをりによる吹き替えはよく出来ていました。ここ数年のユニバーサルはよくタレントを吹き替えに起用し、その大半は恐ろしくダメな仕上がりなのですが(DAIGOによる「ウォンテッド」には倒れそうになりました)、これだけは例外。決してうまくはないものの、その不安定さがお嬢様育ちの賞金稼ぎというキャラクターと偶然にも噛み合っており、作品の意図と一致しているのです。彼女が汚い言葉を吐く時の無理しているような感じなど、完成されたプロの声優では出せない妙な味が出ています。キーラ・ナイトレイのルックスと眞鍋かをりの声質にも不思議な統一感がありました。
[DVD(吹替)] 5点(2009-08-14 11:42:07)
783.  スリーピー・ホロウ
特殊メイク界の大御所ケビン・イエーガーがなぜか脚本を担当し、「セブン」のアンドリュー・ケビン・ウォーカーがさらに手を加えたという極めつけの脚本だけあって、この映画の残酷ぶりはすさまじいものがあります。拷問で断末魔の母親と目が合うイカボッド少年(直後、大量の血を浴びるという徹底ぶり)、ご丁寧にも妊婦のおなかの胎児にまで剣を突き立てるホースマン、枝を折り、表皮をはがすと血を流す「死人の木」を掘っていくとゴロっと現れる生首、ホースマンに体を真っ二つに引き裂かれるキャスパー・ヴァン・ディーン等々、枚挙に暇がありません。この凶悪な脚本を得たことで、性根が残酷なティム・バートンの演出が水を得た魚のように冴え渡ります。残酷描写を包み隠さずバンバン見せてくるのです。残酷絵巻を明るい色調でやって顰蹙を買った「マーズ・アタック」の反省もあってか、本作は残銀処理により色調を抑え、芸術的なルックスにすることで残酷シーンに対する観客の抵抗感を軽減しています。一流スタッフを動員して残酷描写を芸術的に見せるのはスピルバーグのお家芸ですが、本作においては「トゥモロー・ワールド」も担当した撮影監督のエマニュエル・ルベッキ、及び美術監督のリック・ハインリックスがバートンの共犯者でしょう。とにかく本作のルックスは美しく、世界中でバートンにしか作れない映像をたっぷりと堪能できます。しかしここぞという時は真っ赤な血の飛び散る地獄絵図。無名スタッフが低予算で作るのが相場の残酷映画を、メジャー監督が潤沢な資金と優秀なスタッフを率いて作るとどんなことになるかという興味深い見本市となっています。また、剣と斧の二刀流で暴れ回るホースマンの殺陣のかっこよさにも(相手にとどめを刺す際の一瞬の決めポーズは最高)、良い意味で子供っぽいバートン演出の良さが出ています。首なし状態よりも首のある時の方が怖いクリストファー・ウォーケンの怪演もあり(オスカー俳優なのにセリフなし!)、ホースマンはキャラ立ちした素晴らしい悪役となっています。ただし本作で残念なのは、ビジュアルに集中しすぎたためか、謎解きやロマンス部分がまったく面白くないことです。村の秘密や陰謀などは大して難しい話でもないのになぜか頭に入って来ず、「で、今は誰の話をしてるんだっけ?」と何度も話を見失いそうになります。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-07 21:17:10)
784.  もしも昨日が選べたら
人生をDVDのメニューのように自由に操作できるリモコンというアイデアは秀逸です。このアイデアにアダム・サンドラーの腕前も加わり、コメディ部分は非常に楽しめました。時間を止めている間に気に入らない相手をビンタしたり股間を蹴り上げたりとサンドラーらしいギャグが多くあって、志村けんのバカ殿様を見ている時のような抜群の安定感を感じました。ただし人情話になると途端につまらなくなったのが残念。「ブルース・オールマイティ」などもそうでしたが、独特のアイデアを活かしたコメディ部分は面白いのに、どうしてオチは毎回「日常こそ得難い幸福。家族を大切に」というありきたりな説教になってしまうのか。アメリカ人はこういう説教が好きなのでしょうか?最後まで人を食ったような話にしてもよかったと思います。また説教映画にするならするで、もう少しやりようがあったと思います。ルックスも性格も最高の奥さんと、素直でかわいい子供が二人も家にいるのですから、サンドラーが家庭に不満を持つ背景がイマイチ弱く感じました。ケイト・ベッキンセールが家にいれば幸せだろ!と誰もが感じたはずです。また、仕事が悪として描かれている点も、何か倫理感がズレているような気がしました。お父さんは家族を養うために仕事をし(職場は決して楽しい場所ではありません)、奥さんも子供もお父さんが頑張って仕事をしてくれているおかげで豊かな生活を送れているのですから、仕事は悪、家族のために何が何でも時間を持つべきという価値観にはあまり賛同できません。本作におけるサンドラーの仕事ぶりは決して極端なものではなく、家族を養うための範囲を逸脱しているように感じなかったため、このメッセージを伝えたいならもっと極端な仕事中毒にすべきだったでしょう。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2009-07-21 19:49:15)(良:1票)
785.  アミスタッド
脚本はよく作り込まれています。奴隷商人、アメリカ海軍、スペイン王室らの利益が複雑に絡み合い、さらに国際条約や国家間の力関係、アメリカ国内の対立までが影響を及ぼすかなり厄介な裁判をテーマとしながら、事件を取り巻く環境の交通整理がうまくなされています。マシュー・マコノヒーに「この裁判の本質は所有権争いである」と言わせ、どうすれば黒人奴隷達が裁判に勝てるのかを観客に対して事前に提示したことで、話がグっとわかりやすくなっています。このようなストーリーテリングの工夫には好感が持てます。証拠や論理を積み重ねていき、裁判を有利に導く様は小気味よく、法廷ものとしてなかなかのレベルです。しかし残念なのは、当のスピルバーグが本作を法廷ものとして描く気がなく、法廷で論理を積み重ねることよりも、いかに感動的なセリフを言わせるかを重視したこと。感動過多というスピの悪い癖がここでも出ています。また、アフリカ出身で西洋文明には馴染みがないはずの黒人奴隷が聖書に関心を持ったり、西洋の価値観である「自由」を叫んだりと、黒人の白人化が目に付きました。「奴隷制度に反対を叫んで、奴隷達そのものに無関心な人間」という印象的なセリフがありましたが、本作の作り手達にもこれを自問していただきたいところです。一方、スピお得意の残酷スペクタクルのインパクトは絶大で、本作の壮絶さはシンドラーのリストをも超えています。言葉でのみ語られてきた歴史を、迫真の映像で見せられるとここまでショッキングなものかと驚きました。ロスト・ワールド、プライベート・ライアン、そして本作と残酷描写が際立つ作品を3つもほぼ同時に作り上げたスピの絶倫ぶりは、さすが巨匠なのです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-18 21:22:05)
786.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 
伝説的アウトローを撃ち殺した男の物語という着眼点の良さ、撮影の美しさ、俳優の演技の良さ等見るべきものの多い作品となっていますが、いかんせん長い。シンプルな話なのにどうしてここまで長くややこしい映画になったんだろうかと、テレンス・マリックの映画を見ている時と同じ感覚を味わいました。映像は綺麗だし、役者は良い表情してるし、何かを感じ取るべき場面なのはわかるけど、いくつかのシーンでそれを見せてくれれば十分伝わるわけで、映画の最初から最後までずっとその調子でやられるとさすがに飽きてしまいます。また長い割に話の整理が出来ておらず、前半などはさほど登場人物が多いわけでもないのに「で、今は誰の話をしてるんだっけ」と何度も話を見失いそうになりました。時間配分も適切とは言い難く、ジェシーが疑心暗鬼になるきっかけとなる仲間内のトラブルや隠し事を必要以上に丁寧に描く一方で、このテーマにおいて重要であるはずの、ジェシーを殺した後のロバートの人生や彼の葛藤については駆け足のナレーションで説明され、それまでイヤというほど見せられた冗長なカットもここにはありません。憧れの対象にいざ出会うと幻滅し、最終的に殺すに至ってしまうというテーマはすごく良いので、もっとストレートな映画にすべきだったと思います。本来わかりやすい話をわざわざ回りくどくすることは、「俺たち芸術的なもの作ってるぞぉ」という監督やプロデューサー(インディーズ作品を好むブラピ)の自己満足のような気がします。映画の外見にこだわって話を難しくする中で、一体何を見せたいのか、見た人に何を感じ取って欲しいのかという意識が薄くなっていったのではと思います。映画の流れを観客の生理に合わせることや、主張を浮き立たせるために映画全体のバランスを計算することは、娯楽作でなくとも重要なことです。
[DVD(吹替)] 5点(2009-06-13 22:11:49)
787.  ザ・シークレット・サービス
70点ぐらいの映画を撮り続けるハリウッドの職人さんウォルフガング・ペーターゼンが送る70点ぐらいのサスペンスアクションでした。見せ場の作り方や話のまとめ方は当時の娯楽作の標準的なレベルだし、主人公の努力が報われるハッピーエンドも、バッドエンドを好まなかった当時のハリウッドらしい終わり方。この題材であれば後味を悪くしてもよかったように思うのですが、やはりそこは空気を読む男ペーターゼンの本領発揮というところでしょうか。脚本は面白いアイデアを内包しているものの、そのほとんどが作品を盛り上げることなく、映画を構成するパーツに終わってしまっているのが残念。「ザ・シークレット・サービス」というタイトルながら、大統領警護ではなく偽札捜査から映画がはじまるところで「おっ」と思わせたものの、その後の展開は事実のリサーチに基づいた緻密な話というわけでもなくただのサスペンスアクションとなります。暗殺者ミッチの人物像は秀逸で、予算削減でCIAをリストラされた元殺し屋で、特殊な訓練で人格が完全に曲げられた結果社会に適応することができず、夜な夜なイーストウッドへのイタ電とプラモデル制作に精を出す腹の出た中年という、他に類を見ない悪役像を構築しています。存在自体が最高機密のこの男に対しては、シークレットサービスとは別にCIAも独自捜査をしているという燃える設定も準備されているものの、CIA絡みの話は映画の本筋には特に絡んできません。イーストウッド扮するいかにもやり手そうな老練の捜査官と、マルコビッチ扮する異常かつ頭のキレそうな暗殺者を準備した以上は、互いに裏をかき、相手を出し抜こうとする頭脳戦を期待しますが、「マルコビッチがイーストウッドにイタ電→逆探知で通話場所を特定→現場へ急行するも逃げられた後」これを何度か繰り返すのみです。その一方で、当時63歳のイーストウッドが、当時39歳のレネ・ルッソを真剣に口説くという、誰も見たくない展開をしつこいくらいに見せられるので困ったものです。ここで時間を割かれたためか、イーストウッドの相棒君がいてもいなくても変わらないくらい影が薄くなっています。イーストウッド作品にはおなじみの後輩教育ですが、今回はあまりに影が薄いので彼は必要なかったと思います。レネ・ルッソも不要。ヘタなドラマ要素など入れずひたすら追っかけに終始した「逃亡者」はやっぱり偉大だったんだなと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2009-05-25 03:29:07)(良:2票)
788.  ジャンパー
陽気な『インビジブル』とでも言いましょうか、まったく悩まない主人公が斬新な映画でした。能力が発現すれば、その日の夜にはさっそく家出。ただひたすら私利私欲のために能力を浪費し、社会正義などはまったく気にかけないという潔さは見ていて気持ちがよくなるほどでした。確かに、10代の若者が特殊能力を身につければ、その能力を専ら金と女に向けることは自然なことです。正義のあり方についてあれこれ悩むピーター・パーカーのような殊勝な青年はむしろ例外であり、本作はアンチアメコミものとしてなかなか興味深い姿勢で製作されています。。。 問題だったのは、ジャンパーとパラディンの戦いに緊張感がまったくなかったこと。特殊能力を持つ主人公が圧倒的に有利なことは誰の目にも明らかであり、その戦力差は憎まれ役であるはずのパラディンが気の毒になるほどでした。また、主人公が大馬鹿野郎のバカボン君だったことも、映画のテンションを大きく下げる原因となっています。パラディンの襲撃から命からがら逃げ出した直後であるにも関わらず、高校時代のマドンナをナンパしてローマ旅行に向かい、案の定、パラディンに追跡されてしまうというバカさ加減には呆れました。意図的にライトさを狙った作品であることは理解できるのですが、主人公がここまで愚かでは活劇として成立しません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2008-11-22 03:02:27)
789.  GODZILLA ゴジラ(1998)
よく言われることですが、日本人の描く怪獣は人間では対抗することのできない神に等しい存在で、一方ハリウッドのモンスターはやがて人間の力によって命を奪われてしまう存在。これをはじめて見た時は、ヘリや潜水艦からの攻撃、果ては歩兵の撃つ自動小銃からも逃げているゴジラの姿が印象的でした。最近公開された「クローバーフィールド」は日本の怪獣映画を参考にして作られたと言われますが、結局あれも軍隊の力でモンスターに対抗していたので、やはり怪獣の捉え方は日本独特のものだと思います。そんな特殊な文化的背景を持つ「ゴジラ」の製作ですから、エメリッヒも相当苦労したと思います。例えばゴジラの出自ひとつとってみても、不思議なことに日本人はあれが一体何者なのかということに説明を求めません。ゴジラが水爆実験によって復活した太古の恐竜という設定を知らない人は意外と多いのではないでしょうか?キングギドラの基本設定がコロコロ変わったり、最後のつがいが死んで絶滅したはずのラドンが次作に登場したり、ゴジラに息子がいたりしても何となく受け入れてきたのも、やはり「怪獣は人智の及ばない存在」という捉え方から来ているのだと思いますが、ハリウッドで映画化するとなればそれなりに納得できる説明が必要となります。批判の多い巨大イグアナという設定にしても、さすがに太古の恐竜という話を世界マーケットでそのまま押し通せるものでもないので、あれはあれで仕方のない方便だったと思います。そんな難しい映画化でしたが、前半は非常に巧く作られていて感心します。主人公が局地的な異変を辿りながらゴジラの存在に行きつく展開はこれまで製作されたどの続編よりも1954年版に忠実で、かつ退屈になりがちな序盤の前振りをここまで面白く撮っているのはさすがです。ミミズの突然変異を研究してる学者、テレビ局に勤める野心家の元カノ、愛妻家のカメラマン、保険調査員と称して事故現場に現れるフランス諜報部員と、普通ではちょっと思いつかない登場人物を配置してるのも面白く、かなりよく考えて作られた映画だと思います。ただしエメリッヒ作品毎度のことですが後半になるにつれ演出がグダグダになっていくし、ゴジラが軍隊から逃げ回るという同じような見せ場を何度も見せられたのでは飽きてくるし、せっかくの登場人物を活かしきれていないしと、明らかな問題点も指摘できるので、ここは5点という評価で。
[DVD(吹替)] 5点(2008-06-22 03:51:00)(良:2票)
790.  L.A.大捜査線/狼たちの街 《ネタバレ》 
この時期はなぜかポリスアクションが流行ってましたね。そんな時代の1本ですが、70年代に頂点を極めた監督の作品とは思えないほど珍妙な仕上がりとなっています。当時はかっこよく見えてたのか知りませんが、気の抜けるようなダサダサのスタイリッシュが画面を席巻。全裸のウィレム・デフォーが偽札を燃やすシーンには爆笑してしまいました。「新しい信仰 ”気にしない”という宗教」という意味のわからない歌詞の主題歌がいかにもかっこいいでしょってタイミングで流れたりと、フリードキンが柄にもないことやってんの丸出しで、見てる私が照れてしまう程です。とにかくこの映画で使われる曲はどれも意味不明で、サントラが欲しくなってしまいました。ただしそんな無様なスタイリッシュを除けば、フレンチ・コネクションの血を引いた無骨な刑事アクションとなっています。たまたま刑事やってるだけで根は悪人と変わらない主人公が、どんな手段を使っても標的を追い詰めるという漢の物語。主演は「ビースト/巨大イカの大逆襲」でおなじみのウィリアム・ピーターセン。「ビースト~」の時は胡散臭いおやじという印象だったピーターセンも、本作ではマシュー・マコノヒーを思わせるイケメンとして登場します。本当にかっこいいので女性方は驚いてください。そんなピーターセン演じるチャンス捜査官、彼女に対しては常に冷たく当たり、捜査についてもルール違反はへっちゃらな男の中の男なのですが、いかんせん弱いのが難点。すぐに敵の反撃を受け、準備してた捜査プランがどんどん悪い方向へと転がっていくバカっぷり。そしてラストでは、主人公なのにあんなことに…。リッグス刑事かアクセル刑事に弟子入りすることを強くお勧めしたい逸材です。それに対するはウィレム・デフォー。怪優のイメージの強い御仁ですが、本作ではミステリアスなイケメンカリスマ犯罪者として登場します。本当にかっこいいのでこちらも女性方必見です。そんなふたりの対決ですが、脚本の出来がいまひとつで話があちこちへ飛んでいってしまうので、対決という一番おいしい部分に焦点が合っていないのが残念。役者のハマり具合や話自体は悪くないので、もう少し整った脚本であればよかったと思います。冒頭の爆弾魔だとか明らかに必要のないエピソードが混じってるわりに、描くべき部分が端折られたりしていましたから。
[DVD(字幕)] 5点(2007-04-08 02:20:43)(良:1票)
791.  エネミー・オブ・アメリカ
トニー・スコットならではのテンションの高い映像が楽しく、掴みは上々。トニー・スコットの手腕はもはやの名人芸のレベルで、チェイスシーンにおいてはただ細切れアクションを見せるだけでなく、NSAの操るハイテクの実力や、追う者と追われる者の位置関係等の情報を実にスムーズに見せてきます。こういう巧い映像を余裕で作ってしまう辺り、マイケル・ベイなんかにはまだまだ負けない娯楽アクションの王様の実力が感じられます。ただし作品自体は、そんなトニー・スコットの手腕におんぶにだっこの状態で脚本が致命的なまでに弱いのが残念。最初こそ盛り上がったチェイスも、同じような構図を何度も何度も見せられては飽きてしまいます。テンポをぐっと上げていかねばならない後半になると、逆に話のテンションまで失速気味に。諜報機関による殺人を隠蔽したいというそもそもの目的がありながら、街中でヘリを飛ばすはカーチェイスするはの大騒ぎという本末転倒な内容自体が、最後までテンションを引っ張っていく求心力に欠けていたように思います。こういうアクションのためのアクション映画って、見た目こそ派手でも最後まで緊迫感を保つことは難しいですね。またザ・ロック、アルマゲドン等、ジェリー・ブラッカイマーはプロの集団が寄せ集めや素人にしてやられる映画をよく製作しますが、こういうのも敵がバカっぽく見えるのであまり感心しません。機転を利かせて逃げるウィル・スミスよりも、あれほどのハイテク機器を駆使しながら標的を追い込みきれないNSAの間抜けぶりの方が目立っていました。そう思うと、本作と同じ巻き込まれ型映画であっても視点を主人公に絞り、追跡する側をほとんど描かなかったヒッチコックはやはり偉大だったなと思います。事情も知らない素人相手にミスを重ねる間抜けな姿をさらさないことで、恐怖を十分に維持できていましたから。ジョン・ボイド、バリー・ペッパー、ガブリエル・バーン、ジャック・ブラックと悪役にやたら豪華なキャスティングをしても、見せ方を間違えると役は引き立たないということがよくわかります。
[DVD(字幕)] 5点(2007-04-03 20:59:45)
792.  ステルス
いまだにこういう映画を作ってる人たちもいるんだな~ってしみじみしてしまいました。低脳の極致を行くこの映画は80年代にスタローンやシュワルツェネッガーが出まくってたのと同じにおいがします。敵を殺しまくり、悪い国を成敗しまくって最後に主人公が生き残るこのパターン。アクション映画好きな私はこういうノリも大好きだったんですが、今の時代にいきなりこういうのが現れても素直には盛り上がれない、時代は変わったんだなと実感しました。単純な勧善懲悪を「痛快」の一言で片付けられる時代でもなくなってるんですね。例えばテロリストを殺すためなら当然のように他国を領空侵犯し、ミサイル攻撃してビルひとつを崩壊させる。こんな行為が英雄的に描かれ、「巻き添えは出ませんでした。成功です。やったー!」と手をたたいて喜んでる場面。思えばトップガンのクライマックスも領空侵犯して他国と非公式に交戦するという似たようなものでしたが、80年代には素直に盛り上がれたこの展開も、今の時代に見せられては素直に興奮できなくなってしまっています。「いくら悪いやつがいるからって、よその国を勝手に攻撃しちゃいけないよ」という感覚が常識となっているためですが、一方この映画を製作した人たちは、世間の人たちがこんな単純な話に素直に盛り上がると本気で思ったのでしょうか?これを製作したのはソニーピクチャーズという会社ですが、ソニーが製作する娯楽作はスパイダーマン以外ロクなのがありません。バーティカル・リミット、SWAT、ティアーズ・オブ・ザ・サン、バッドボーイズ2、アンダーワールド、パニッシャー・・・爆破さえ見せてれば盛り上がると勘違いした映画に大金を投入し続けているようです。エアフォース・ワンが思った以上に稼いでくれた97年以来、方針がまったく変わっていないような気がします。もうちょっとよく考えて映画作りましょうね。
[DVD(吹替)] 5点(2006-10-21 19:06:17)
793.  ボーイズ・ドント・クライ 《ネタバレ》 
あまりに救いのなさすぎるラストに対する拒否反応は私にはないのですが、どうにも高評価を与えづらい作品です。題材の重大さに対して演出力が追いついていないのがその原因でしょうか?あまりに衝撃的な作品なので見ていて退屈することはないのですが、どうにも感動の伝え方が稚拙なような気がしました。ありのままの自分を社会は受け入れてくれない、またそんな社会にウソをつき続けねばならないというブランドンの背負う重荷、そしてようやくありのままの自分を受け入れてくれるララというパートナーができた喜び、そのどちらも結局肌で感じることはできませんでした。この映画の意義は、恐らくそういうものを観客に共感させることにあると思うのですが、そんな肝心な部分を伝え損ねたまま、話は凄惨なラストへと突入していきます。あのラストは誰が撮ったって、誰が見たって衝撃を受けるものであり、そういう意味ではある種の一発芸のような印象を受けました。そこに至るまでのドラマがあまり良くなかったこともあり、「これを見せれば誰だってショックを受けるはずだ」的な作り手のあざとさまで感じてしまったのです。悪名高きセカチューのように、感動しそうな記号を適当に配置する的ないやらしさが見えました。いや、製作したみなさんは恐らく真摯な姿勢でこれを作ったとは思うんですよ。でもまぁ性同一性障害という繊細なテーマの本質を十分に描くことなく、かわりにそれに対する実にわかりやすい偏見をクローズアップしすぎたために、どうにも感動を押し売りする即物的な映画に感じられたんです。もしこの映画がより高度な演出を持って、性同一性障害の本質を私たちにも感じさせることのできるドラマであれば、ラストの意義はより大きなものになったはずです。ただただ「悲しい」「かわいそう」で終わらないものとなったはずです。オスカーを受賞したヒラリー・スワンクの頑張り(本作は演技力というよりも頑張りを感じました)をはじめ、良い友達なんだけど同時にいやらしさも感じさせるというジョンとトムの絶妙なうまさ、美しすぎないクロエ・セビニーの田舎ヤンキーのハマり具合など、キャストは実にうまく配置されているだけに、実にもったいない気がしました。
[DVD(吹替)] 5点(2006-04-24 02:48:45)
794.  ホステージ 《ネタバレ》 
いやぁ残念、残念。ひねりのある展開はなかなかよかっただけに、もっと腕のいい監督がやってれば、それだけでサスペンスアクションの佳作になってたかもしれません。刑事の暗い過去、家族との確執、人質事件、サイコな犯人、ふたつの兄弟、親子の情愛、犯罪組織、警察同士の主導権争い・・・、描くべき要素は山ほどあったにも関わらず、そのどれも浅い部分でスルーしてしまってるのはもったいない限りです。とくに、ブルース・ウィリスの行動に迷いが感じられなかったのが致命的。事件を解決せねばならない、人質になってる子供たちを救いたい、しかしバックの組織の指示にも従わねばならない、ミスれば自分の家族が殺される。この「すべてにおいてミスが許されない」という状況では、ひとつひとつの行動をデリケートに扱うことがサスペンスにつながるにも関わらず、ブルース・ウィリスは基本的に勢いだけで行動してしまいます。これが決定的に話から緊迫感を奪い、せっかく用意された設定まで台無しにしています。犯罪組織の影も薄く(白い携帯電話も大して活用しないし・・・)、もっとブルース・ウィリスを苦しめてくれれば話のスパイスになったんですけどね。人質姉弟の命を救おうとするブルース・ウィリスに向かって、「人質の命はどうでもいいから、朝までには絶対DVDを奪って来い」くらいのことは言って欲しかったです。そして極めつけはラスト。最後はピストルで決着では、「今まで見てきたサスペンスはどうなんの?」って感じですよ。もっと頭を使いましょうよ。黒幕の正体もよくわからなかったし・・・。この監督、同じ娯楽サスペンスでも「エグゼクティブ・デシジョン」や「交渉人」を見て勉強して欲しかったですね。これだったら、ジョン・マクティアナンやアンドリュー・デイビスにでも撮らせた方が、よほどいい出来になったでしょう。
[映画館(字幕)] 5点(2005-06-11 21:41:14)(良:1票)
795.  ターミナル 《ネタバレ》 
正直、微妙でした。やっぱりオチが中途半端だったのがイタかったですね。缶の秘密はどうでもよかったし、恋愛の落とし方はヘンだったし、グプタの自己犠牲はとってつけたようだったし、あれだけお堅い警備主任の突然の心変わりは不自然だったし。それぞれにじっくりとした描写が必要なシーンなのに、ほとんど説明なしで流されてるんですよ。おかげで、実に印象に残らないクライマックスになってしまったのが残念です。この後半って、実はスピルバーグ自身も手を抜いてたんじゃないの?とも思います。だって、念願のサインをもらいに行くシーンのあまりのこだわりのなさには驚きましたよ。話のすべてが収斂される重要な締めだと言うのに、タクシーでホテルに行き、本人に会い、サインをもらって、はい終わり。そんだけですからね。グプタおじさんの人生まで賭けさせた選択だったわりに、あまりに呆気なさ過ぎて参ってしまいました。それに、普通ならあそこでジャズの名曲をフルコーラスで見せるもんです。その音楽をバックに各登場人物の姿や、そこに至るまでのエピソードがフラッシュバックされ、最後には涙ぐむ主人公のアップ。それで感動を高めるもんですよ。しかし、主人公があれだけこだわったジャズの扱いはあまりにぞんざいで、スピから「はい終わりですよ」って言われてるような気がしました。そんなスピが見せたかったのって、やっぱり小ネタ満載の前半だったんでしょうね。前半は本当におもしろかったんですよ。強引に話を進めるのではなく、細かいエピソードを重ねてドラマを育むやり方って、実に好感が持てます。スピのコメディ演出の巧さには唸らされました。シリアスなわりに小ネタ満載の「マイノリティ・リポート」では「なんでこんなに悪趣味なの?」と笑うのをためらったものの(緊迫の追跡中、ロケットパックの炎でハンバーグが焼ける等)、今回の笑いはほのぼのしてて、実に気持ちが良かったですね。監視カメラVSトム・ハンクスや、グプタの曲芸などなど。この巧さが後半の感動にまでつながってれば、本当の傑作になったと思うんですけどね。
5点(2005-01-17 21:20:09)(良:2票)
796.  ダイ・ハード3
「ダイ・ハード」のレビューで述べたのですが、傑作「ダイ・ハード」のアクションのよさは、その凝り具合にあるんです。大味なようで実は細かいところまでよく配慮して作ってあるので、おかげで荒唐無稽なアクションにも味が出るんですね。その後のアクション映画は基本的に「ダイ・ハード」の影響下にありますが、それらがことごとく本家を越えられていないのは、派手さのみが先行して細部の作りが杜撰になったためです。で、同じ俳優、同じ監督で作られた「ダイ・ハード3」ですが、皮肉なことにこれもダイ・ハードシンドロームにかかってしまっています。わざとらしく並べ立てられた危機また危機には緊迫感のかけらもなく、安心して見られる作りに。いかに派手な見せ場を作るかのみに腐心したために、アクションから説得力が奪われたためです。ナンバーくじやダンプの盗難など、冒頭でわざとらしく並べられる伏線は細かい配慮とは言いませんよ。ちなみにこの映画で私的に一番おもしろかったシーンは、テロリストが手際よく金塊を強奪していくシーンです。このシーンだけはテロリスト側の周到な計画を流れるように見ることができ、やはり見せ場に流れは必要なのだなと感じました。その他のシーンはどんなに派手でも全然ダメ。アクションが話と連動しておらず、スポットのみになっています。話があちこち飛ぶのもよくなかったと思います。いい例が爆弾のタイムリミットで、これが演出上のスパイスになる予定だったんでしょうけど、話に焦点を絞り込めていなかったためにまったく効果をあげていません。ま、サービスに気を使いすぎたのが悪かったんです。あと細かい邪推を少々すると、ジョン・マクティアナンは「2」がかなりお気に召さないようです。「3」では「2」の話がなかったことにされてるのがいい証拠です。さらにマクレーンのキャラ設定にしても、「1」では脚本の時点ではタフだったマクレーンを、マクティアナンは意識的に普通の中年にしようとしたのですが(大正解!)、一転して「2」のマクレーンはアクションヒーローに。そして「3」ではその反動か、「1」とは比較にならないほどしがない刑事となっています。あそこまで情けない男にしなくてもよかったような気が。 
5点(2004-09-13 03:10:53)
797.  アルマゲドン(1998)
【2011.12.16レビューを変更しました】 本作を最後に見たのは10年以上前のことで、一度見ればわかるバカ映画なので特に再見する気にもならなかったのですが、脚本家としてトニー・ギルロイとJ・J・エイブラムスがクレジットされていることに気付いたことから、今回もう一度見てみることにしました。。。 その結果なのですが、印象は相変わらずのバカ映画でした。科学考証のいい加減さには、この際目を瞑りましょう。科学考証をまともにやったSF大作は「コンタクト」と「サンシャイン2057」くらいで、大半のSF映画は適当なものですから。マイケル・ベイの演出にも、特に問題点は見当たりません。銃撃戦やカーチェイスといった得意のアクション演出はほぼ封印され、見せ場のほとんどをVFXが占めるSF超大作という自身初体験の企画ではあったものの、これに対して意外にも器用に対応しているのです。ベイは力押しのバカ監督だと思われがちなのですが、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」でも初体験の3D技術を見事に使いこなしていた辺りを見ると、実は相当な勉強家なのだと思います。ドラマパートも無難にまとめていて、この企画に要求されている仕事は十分にこなしています。 問題の中心は、その脚本のデタラメさにあります。スタンパー親子の確執が物語の横軸であったにも関わらず、シャトル打ち上げ前に二人が和解してしまったり、人類滅亡の危機なのに冗談ばかりで誰も焦っておらず、挙句に「訓練で疲れたから休暇をくれ」とまで言い出す始末。宇宙に飛び出してからは危機の連続なのですが、それらの大半が人災であって、ミッションそのものの困難性に起因する危機は皆無。中盤では、通信が途絶えることに焦った役人が遠隔操作で核爆弾を起動させようとする展開があるのですが、この危機を乗り切った後にもシャトルとヒューストンの通信は普通に続いており、だったらあのひと悶着は何だったんだろうかと呆れてしまいました。こうした脚本上の問題点は、数十人の脚本家に分業で書かせるというブラッカイマーの方針に原因があります。反乱シーンはロバート・タウン、大統領演説はトニー・ギルロイ、全体のセリフはJ・J・エイブラムス、アフレックとブシェミのセリフはスコット・ローゼンバーグといった具合に執筆作業を細分化してしまったために、全体でみると支離滅裂な内容となったようです。
[DVD(字幕)] 5点(2004-09-07 10:33:40)(良:2票)
798.  ハルク
正直、展開がちんたらしてて面白い映画ではありませんでした。しかしVFXは非常に素晴らしかったです。ただ技術レベルがすごいというだけでなく、細かいところにまでトンチが利いていて、実に凝った映像になってるんですね。「GODZILLA」や「スパイダーマン」と比較しても、ハルク大暴れの圧倒的なボリュームや密度にはまったく及びません。というのもこの映画、VFXにはものすごい準備期間があったんです。ユニバーサルの目玉企画として期待されていた映画版ハルクは、製作開始どころかメンバーすら決まっていない98年の段階でVFXのテストに2000万ドルを注ぎ込んでおり、映像が段違いなのは当たり前。しかしその準備期間があだとなってる場面もいくつかあって、ハルクがピョンピョン跳び跳ねるシーンは完全にやりすぎだし、ニック・ノルティが電気や水とまで融合するシーンに至っては理解不能でした。脚本レベルでも「練りすぎ」というのが私の印象です。登場人物たちの抱える苦悩はしっかり描かれているし、人物同士の関係もよく整理されていて混乱を起こしていないのはさすがで、こうして振り返って見ると「実はいい映画だったの?」などと思うのですが、ただし練りすぎたせいで、頭で理解させる部分では成功していても、アクション映画としての高揚感が決定的に欠落してるんですね。もっと素直に作ってくれれば、十分に面白い映画になったと思います。
5点(2004-09-02 17:17:29)(良:1票)
799.  キング・アーサー(2004)
ブリテン島には紀元前5世紀頃からブリトン人が生活していましたが、西暦43年にローマ帝国は島の大半を占領し、支配地域をブリタニアと呼びました。しかし支配地域外に住むブリトン人による攻撃が続いたため、ローマ帝国は本作に登場する長城を建設。5世紀になるとゲルマン系のアングロサクソン人による侵入がはじまり、ローマ帝国はブリタニアを放棄。アングロサクソンは先住民族たるブリトン人を征服・同化し、現在のイギリスに至ります。。。という歴史を知らずに本作を見ると、誰が何のために戦っているのかよく分かりません。ブラッカイマー作品にしては珍しく歴史学上の大胆な仮説をベースにした知的好奇心に訴える物語なのですが、こうした作品を扱い慣れていないためか企画の魅力が発揮されていません。アーサー王はローマ帝国の役人(実在の人物アルトリゥスがモデル)、円卓の騎士は騎馬民族サルマートの傭兵、イングランド王家の始祖にあたるサクソン王セルディック(日本で言えば神武天皇)を極悪非道な悪役とするというトンデモない企画なのですが、もったいないことにその面白さが伝わってきません。観客に対する情報提供が不足しているのです。また、伝説とリアリティのバランスの取り方が中途半端で、史実に近い人間ドラマとしようとする一方で、たった7人の騎士でサクソン人の大群の前に立ち塞がる荒唐無稽な場面があったりするため、映画の空気感がイマイチ掴みづらく、素直に興奮することが出来ませんでした。これらは、作品の方向性を決めかねたプロデューサーの失敗でしょう。また、監督も本作には向いていなかったと思います。肝心の合戦シーンの演出がヘタで、大人数が入り乱れるスケール感を表現できていません(史劇においてはスケール感が重要だというのに)。また、かねてより女性の描写を不得意とする監督でしたが、グィネヴィアがキーパーソンとなる本作ではその弱点がモロに出てしまっています。せっかくナイトレイが演じているにも関わらずグィネヴィアは魅力的ではないし、アーサー、ランスロットとの三角関係もまったく印象に残らないほど淡白。。。その他細かい点では、クライマックスに騎士達が着る鎧がカッコ悪いのも難点で、いよいよフルアーマーを披露するからにはかっこよくないとダメでしょ。また音楽もイマイチで、何十回と聞いてきたジマー節が本作でも炸裂。彼はちゃんと仕事してるんでしょうか?
[映画館(字幕)] 5点(2004-08-14 02:38:37)
800.  グリマーマン
このあたりから、セガールの暴走が本格的になったと思います。変な服着て数珠をジャラジャラさせ、財布にはカミソリの刃を忍ばせ、漢方の知識が豊富で、CIAのエライさんともお知り合い。実際に大阪に住んでたわりに、並みのアメリカ人など比較にならないほど東洋をカン違いしてるのが、さすがセガール。こんなのと組まされる相棒は悲劇ですが、なぜかお友達になってるのが、この映画最大のご都合主義です。
5点(2004-08-06 12:24:49)(笑:1票)
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