961. ライトニング・イン・ア・ボトル ~ラジオシティ・ミュージックホール 奇蹟の夜~
2003年2月7日、ブルーズ生誕100年を記念して開催されたコンサートイベントのドキュメントです。いろんなブルーズミュージシャンが入れ替わり立ち替わりステージで演奏する、の一言でまとめられてしまうのですが、一方でMCはほぼ全カット、インタビューやステージ裏の様子などもほとんどないため、つまり、ライブクリップの総集編を見ているような気にもなってしまいます。そんな中でも私にとってのハイライトは、ボニー・レイット様。歌もギターも立ち姿も、とにかく格好良すぎ。ベテランの名だたる爺様方に交じってのこの存在感も凄い。 [DVD(字幕)] 5点(2019-06-25 00:15:05) |
962. グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
《ネタバレ》 素材としてこの伝説の人物に挑んだ意気は良いんだけど、構築の部分がまったくついていっていないというか・・・ニコール・キッドマンもティム・ロスも、公国の大公や大公妃の威厳や気品を纏うにまでは至っておらず、これではその辺の貴族のカップルと変わりがない。描写の方も、途中からは完全にB級サスペンスのノリになってしまっていて、これはむしろモナコ公国に対して失礼なのではないだろうかと思ってしまう。素材の特殊性に助けられて、一応最後まで興味をつなぐ水準にはなっていますが・・・。その辺の停滞感に風穴を空けているのは、時空をねじ曲げんばかりに割り込んでくるヒッチの存在。彼が絡んで衝突を感じさせるシーンのみ、緊張感が漂っている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-06-12 00:23:13) |
963. コッチおじさん
こういう、老人が今まで経験したことのない環境に身を投じて、接したことのなかった人と接することで、いろいろ変わっていき・・・という形の話って、もう、最初から次の展開が見えてしまうんですよね。その中でも、この作品は、落ち着いた撮り方のトーンで全体が統一されていて、まだ良い方なのですが。あと、本題に入るまでがやたら長いのが気になりました。 [DVD(字幕)] 5点(2019-03-26 01:30:33) |
964. ハクソー・リッジ
あえてライフルを拒否し、衛生兵を志願しながら戦場へ赴いた主人公・・・なんですが、一番まずいのは、肝心の衛生兵としてのトレーニングが何も描かれていないし、知識や技術についてもふれられておらず、主人公が何を身につけたのかが分からないということ。なので、そもそも何をしに戦場に行ったのかが分からない。したがって、いきなり覚醒して仲間を助け始めても、説得力がなくて、何じゃそりゃという感じなのです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2019-03-11 00:32:01) |
965. 殺しのドレス
ここまでの単なるB級サスペンスを、ここまでの手間とアイディアのあれこれをつぎ込んで真剣に映画的に撮ろうとするデ・パルマは、やはり偉大だ。ただ、脚本はやはり最後で息切れしちゃったかな・・・。それまでの(無駄な部分も含む)力の入れ方に比べ、ここぞというときのネタ割りは異様に早いし、その後の一幕はまったくの蛇足でした。 [DVD(字幕)] 5点(2019-01-06 22:36:28) |
966. ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
今回の中心テーマは、青春映画ばりの「4人の団結!」ですな。そこはそれで丁寧にやっている気配は見受けられるんだけど、一方で敵の強さとかそれに対する作戦のあれこれとかそれに伴うスリルといった部分は、前作より落ちます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-04 22:26:55) |
967. E.T.
意外だったのは、とても「暗い」作品であること。冒頭から夜の屋外のシーンが続くし、家の中でも灯りがついている場面はあまりない。E.T.を追ってくる集団は、意図的なくらいに顔を見せなくしている。この辺が、押し入れの奥でも洞窟に見えるみたいな子供視点からの冒険心を確保し、作品に落ち着きを与えているし、ワーワー騒ぐだけのSFファミリー作とは一線を画している。一方で、E.T.自身の生態や能力といった点については、あまり作り込みがされていないのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 01:55:36) |
968. 張り込みプラス
《ネタバレ》 とても続編を作るほどの前作とは思えなかったので、ものすごくつまらなくなるのでは?と危惧しつつ見たのですが、案外悪くありませんでした。中盤、隣宅に盗聴器を仕掛ける(およびその後処理)という一点で延々と引っ張っているのが、テンションを維持しています。敵の悪キャラは前作のエイダン・クインほどには全然怖くありませんが、この作品ではむしろその方がよいのかも。ただ、まあ、途中まではお約束の「裏がばれそうになるのを思いつきと口先だけで何とか乗り切る」ネタが面白かったのに、最後はやはりカーチェイスと肉弾戦になってしまいましたね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-24 23:54:23) |
969. 張り込み(1987)
設定からしてもっと笑えるコメディになるはずなのですが、ジョン・バダムらしく一つ一つを妙に真面目に撮っているため、何か笑えないというか、むしろ真剣なハラハラの方が先に立ってしまうのです。ところどころ、ここはもっとネタとして引っ張ってもいいのに、という箇所はあるのですが。エンディングテーマにMr.ミスター"Is It Love"を使っているのはポイントが高い。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-24 01:31:40) |
970. 去り行く男
《ネタバレ》 牧場主に拾われたガンマンの主人公が、牧場主の妻から迫られる。が、その妻は牧童頭とも微妙な関係になったことがあって、主人公はその牧童頭から反発される。と、つまりは、ウエスタンの皮を被ったドロドロのメロドラマです(笑)。ヒロインたるべき牧場主の妻には、貞操観念のかけらもありません(まあ、そうなるに至った釈明じみたものは一応ありますが)。で、途中から脇役もいろいろ増えてきて重層的なドラマになりそうな気配もあるのですが、残り時間が気になってきたところで、最後に5分強で全部片付けてしまいます。中盤まではそれなりに期待できたのですが、このあっけなさは何だったのでしょうか。あと、デビュー直後のチャールズ・ブロンソンがさりげない脇役で登場していて、なかなか堅実な存在感を見せています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-10-30 20:28:14) |
971. フェンス
《ネタバレ》 冒頭の20分以上にわたる会話の応酬に舞台劇の香りを感じていたら、やっぱりそうでした。しかし、全体としては映画表現にきちんとリニューアルされているとはいいがたく、脚本優先(というか台詞優先)のままでとどまっています。台詞を刈り込む勇気がなかったのか、結局2時間20分もかかってるしね。役者のテンションが高いのと、演技が完成されているのとは別です。 [DVD(字幕)] 5点(2018-10-25 00:05:55) |
972. トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
映画史に名を残すこの人を、あえて映画で表現しようとした時点で、かなりの覚悟が窺えますし、実際に緊張感も窺えるのですが・・・それは制作側としての緊張であって、映像としての緊張ではないのです。むしろ、萎縮してます。実際にトランボが関わった作品やその関連の映像を惜しみなく提供する一方で、それ以外の登場人物の動きの部分は、一つ一つのシーンの突っ込みや引っ張りが甘く、驚くほど単調です。家族描写のところもありきたりで、あれならあの辺はむしろカットした方がよかったかも。結局、一番強力だったのは、ヘレン・ミレンの怪演でした。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-08 01:46:45) |
973. テレフォン
キーワードによる後催眠効果でテロを実行させるという設定は面白すぎるのですが、それが全然生かされてないかなあ・・・。被催眠者が単に「狩られる対象」にしかなっていなくて、いつ、誰にそれが起こるか分からない恐怖とか、実生活の中でいきなりそれが起こるギャップとかが表現されていないのです。したがって、主人公カップルがあれこれやっていても、何に向かっているのかが不明なのです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-07-16 13:43:06) |
974. アメリカ アメリカ
《ネタバレ》 エリア・カザンのルーツ自伝的作品だということなのですが・・・モノクロの映像パワーをはじめ、あちこちで力が入っているのはよく分かるのです。しかし、びっくりするほどに、前と後がつながっていない。そうすると、主人公が何も考えているように見えないし、また内面に一本の筋があるようにも見えない。結果、一番大事な最後のアメリカ到達のシーンが、予定調和にしか見えないのです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-06-28 00:04:04) |
975. から騒ぎ
《ネタバレ》 ドタバタ恋愛劇なんだからみんながそれぞれ大騒ぎしていたらそれなりの形になるはずなんだけど、それでも何かかみ合わない印象を与えるのは、ブラナーが自分の出番を増やしすぎて、バランスが崩れちゃったからでしょうね。エマ・トンプソンの舞台系台詞言い回しはなかなか新鮮。最後の長回しには、ちょっとびっくりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2018-06-09 20:47:08) |
976. ハムレット(1996)
4時間超えでこの戯曲を再現しようとしたケネス・ブラナーの根性は大したものですが、根性だけではやはり中身は伴わないわけで。まず、自分で主演してしまったのは失敗でしょう、全部先回りして考えているように見えてしまい、迷っているようにも悩んでいるようにも見えません。豪華に並べられた役者陣も、形を整えるのに精一杯で、芝居の本領発揮にはおよそ至っていません。まあ、ケイト・ウィンスレットの舞台風芝居が見られるのは、今となっては貴重でしょうか。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2018-06-04 23:54:22) |
977. トゥルー・ロマンス
やっぱり、せっかくのタランティーノ脚本が、監督が別の(そして一般人の感性を持った)人がやっているため、角が取れている感が漂っているのです。バイオレンス描写とかは別としても、根本のところで、登場人物がみんな分かりやすく一直線なのです。あと、肝心のクリスチャン・スレーターが、真面目で純朴な雰囲気がどうやっても醸し出されていて、作品の感覚と合ってないのだな・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-05-31 01:32:31)(良:1票) |
978. ハムレット(1990)
やっぱりメル・ギブソンにはちょっと無理があったかな-、台詞回しに演技が全然ついていっておらず、ボソボソ喋るだけになってしまっています。グレン・クロースも、登場しただけで五癖も十癖もあるように見えて、流れに翻弄される王妃としての悲しさとか儚さが出てきません。こういった役者の個性を生かす方向で行けば、それはそれで独自の作品にはなったでしょうが、ゼフィレッリはあくまでも路線を外さずに正統的に忠実に作り上げようとする。結果、いろいろ中途半端に終わってしまいました。 [DVD(字幕)] 5点(2018-05-22 02:50:59) |
979. 馬上の二人
《ネタバレ》 前半はですね。話が進んでいるようでちっとも進まず、スチュワートとウィドマークのどうでもいいようなグダグダ会話が繰り広げられ、救出劇のはずなのにいつになったら行動するんだ?という感じが、かえって心地よかったりするのです。しかし後半は、グダグダを通り越してぐしゃぐしゃどころか、ほとんど崩壊しちゃってるのではないでしょうか。それまでもっともらしく出てきていた脇役の処理はものすごく適当で、話をどこに持って行こうとしているのかがさっぱり分からない。そもそも収拾しているのかも分からない。監督または脚本家が途中で投げ出す何かがあったのかと思うくらい、強烈に雑です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-04-21 00:48:01) |
980. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 この作品の最大の功績は、ビル・パクストン先生に最後の一花を咲かせてあげたことです。一応の前置きが終わって、いよいよ本題に入ったところで、ジャーン!とばかりにアップで登場。よっ!パク先生!その後、世界的スターのトム・クルーズを、いかにも小役人的に上から目線で馬鹿にしまくる描写。よっ!パク先生!で、何か意外に出番多いな、とか、まさかこのままチームトップとして活躍を!?とか思っていたら、トムがタイムリープに突入して以降は、加速度的に出番が減っていく。挙げ句、中盤以降は、「あいつは本当に新入りなのか?」とか、「小隊はどこへ行った!」とか、何とも情けないシーンがごく一部にあるだけ。これぞまさにパク先生。この作品の3年後に彼は天に召されますが、あなたは最後まで偉大でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-03-22 21:13:45) |