1. 夕陽のギャングたち
《ネタバレ》 正直なところ、見ている最中は“なんて長いんだ。回想シーンは全て省き引き延ばしもしないで早く進めて終わってくれ”などと思っていたのですが…、ラストの暗闇にコバーンが一人で動き出すと、いよいよ閉幕感が漂い出し、ロッド・スタイガーと目が合い互いに笑顔で合図を交わした瞬間、“ああ、早く終わってくれなんて思って御免なさい。ずっとずっと続けばいいのに”と思い直したのです。それは2人がアメリカに行けないと半ば承知していたことが確信に変わる瞬間であるからです。瀕死のコバーンは急にしおらしくなりスタイガーに謝る。それに無言で応えるスタイガー。騒がしい戦場にふいに訪れる2人だけの空間に泣けてしまうのです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-01 18:33:06) |
2. トッツィー
《ネタバレ》 男が女になりきるコメディ映画としては消化不良を覚えます。例えば、ジェシカ・ラングの実家へ訪れた時、一つのベッドで眠るドキドキなどではなく、明朝ヒゲ面で飛び起きるパニックの一つや二つ見せてほしいですし、あるいはセクハラ役者はキスを迫るのではなく、体を求めるスキンシップ型変態でないと男女の身体的差異を活かしているとは言えません。結局、女装して女性に近づいたことで、分かち合えたという精神的な恋愛話に留まっているのです。 また、せっかく同一人物という問題も発生しているのですから、男のホフマンと女のホフマンと両方と知り合い、男女間の仕草の違いなどでバレるバレないのサスペンスだって盛り込んでほしいと思うのです。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-15 18:01:02) |
3. 大列車強盗(1973)
《ネタバレ》 面白くなりそうな感じを維持しつつも面白くなることなく最後までいってしまっていて、登場人物たちも、その設定を活かすことなく終わってしまっています(と思ったら、やっぱり“大列車強盗”が始まる前に終わってる!)。 例えば、ジョン・ウェインへの反発が心酔へと変わっていく若者はウェインと殴り合いでもしてほしかったですし、修羅場を共にくぐり抜けたらしい旧知の仲の3人には連係プレーの一つや二つ用意してほしいものです。あるいは、アン=マーグレットの実は娼婦という設定もただのどんでん返しに過ぎず、映画には活かされていません。また、線路や列車、20騎の敵などの登場シーンも工夫が足りないと思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-04-27 18:45:29)(良:1票) |
4. プラトーン
《ネタバレ》 これは初めて見た時に非常にショックだったことを覚えています。しかし曲りなりにもその後、数々の作品を見て、その怪しげな眼力が一進一退を繰り返している今、改めて見てみると、あの時のショックは映画的なショックではなく筋書きの政治的なショックだったのだと思い至りました(ここでは政治的なことは棚上げするが、その側面も今考えると胡散臭い)。 確かに力業ではあるのですが、単純に言って一人一人の兵士の顔ですらボヤけて見えますし、いくつかある見せ場のシーンにしても、それ自体ではかなりつまらなく失敗しているとすら思います。…ただそれでも、今が初見だったら不満だったであろうウィレム・デフォーが天に手を掲げ散ってゆく様や、トム・べレンジャーの悪役っぷりは出会った当時の衝撃的な映画の記憶として既に脳のどこかにしっかりと焼き付いてしまっているので、あのシーンを迎える度に身震いしてしまうのです。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-26 18:33:49) |
5. 狩人の夜
《ネタバレ》 恐怖映画としては、もはや風化し古臭い印象を拭い去ることはできません(悪夢的幻想としては素晴らしい)。しかしながら本作は、脳裏にバッチリ焼き付くような陰影に富んだ映画的な場面の連続なのです。例えば、川に沈む母親の死体の奇妙な美しさは特筆すべきものですし、ロバート・ミッチャムと子供たちの食卓と地下室での攻防やボートでの脱出劇(移動感も良い)、あるいは馬でゆっくり追跡する不気味なミッチャムを目撃する納屋のシーン、そしてミッチャムとリリアン・ギッシュ!との対峙等々、設計も実に見事です。あざとい監督だったら、ミッチャムが家庭に入り込み母親が消されるまでの不毛な心理劇に時間を割いていたでしょうが、そんなことはせず常に転がし続けたところに面白さがあるのです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-02 18:38:18)(良:3票) |
6. ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 本編の謎解きサスペンスは面白くなりそうで突き抜けてはいきません。それなりの要素をちりばめながらも、例えば、一癖も二癖もありそうな一族たちの人物描写が乏しいですし、ミスリードするようなトラップも無く、あるいは橋だけで繋がれた島というシチュエーションも携帯が圏外という精神的孤独感を示すだけで機能し切れているとは言い難いです。 ・・・しかし、リスベットの魅力が集約されているエピローグには参ってしまいました。リスベットがダニエル・クレイグの敵を葬るため(方法論が分からないがそんなことはどうでもいい)、上品なブロンド美女へと変身し、かと思えばカツラをパッと脱ぎ捨てドラゴン・タトゥーの女へと戻りタバコをスパッとやる…。この繰り返しがしばらく続くのですが、ここで初めて彼女の快活さを垣間見て格好良いと思い心を動かされたのです。しかも全て片付けば、威圧感たっぷりの風貌とは裏腹に純真な恋する乙女の姿まで見せる。雑誌社の表通りでクレイグのクリスマスの予定を尋ねるリスベット、ビルに配された大きな窓からクレイグの愛人がその様子を堂々と目撃するのに対し、クリスマスにリズベットは影から彼らの仲睦まじい様子を目撃し、用意したプレゼントを投げ捨て走り去る…。いじらしい彼女に胸がキュンとしてしまったのです。フィンチャー監督、恋愛映画もいけそうです。 [映画館(字幕)] 7点(2012-02-24 18:48:16)(良:3票) |
7. 陰謀の代償
《ネタバレ》 ほとんど顔面どアップのショットで切り返されているだけで、やっつけ仕事の様にすら見えます。例えば、チャニング・テイタムの階段付きの自宅や娘のベッド、アル・パチーノと少年とが対話する光差し込む室内、ジュリエット・ビノシュが殺害されてしまう駅構内、あるいはラストの一同が会する屋上などのシーンは、せっかく面白くなりそうな場面設定と装置を用意しておきながら効果的に働いておらず、緊張感もありません。パチーノ御大やレイ・リオッタまで召集してこれではガッカリです。 [DVD(字幕)] 5点(2012-02-07 18:26:13) |
8. ミスト
《ネタバレ》 扇動された人々が兵隊さんを生贄にしてしまうシーンは確かに恐怖を覚えましたし、〝怪物に殺させないで〟という妙な言い回しの約束から息子を殺さなければならないという展開はショックを受けますし(あざとくもある)、登場人物たちの生死が予測できないのもドキドキさせられますが…いかんせん肝心のミスト(霧)の描写がいただけません。人間の集団心理の怖さなどは何もこの異次元の題材で選択すべきものではなく、霧で閉ざされた視界の恐怖をどこまでも追求すべきであったと思います。例えば、シャッターを開けると襲ってくる触手のCGの粗さや、あのシーンの緊張感の無さはよろしくないですし、ラストの霧中にただ一人取り残された主人公も〝息子を殺してしまった〟という状況が衝撃的なだけであり、車外を取り巻く霧の恐怖が蔑ろにされています。詰まるところ展開としての〝驚愕のラスト〟を狙っているだけとしか思えないのです。 [DVD(字幕)] 5点(2012-02-03 18:36:00) |
9. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 冒頭、遠隔操作のロボットは頼りなく壊れ、連携のとれたチームから頼りになりそうなガイ・ピアースが直に爆弾処理に向かうが失敗し、彼は死ぬ。この仕事はチームの力量など関係なく常に死と隣合わせのなのだと物語っている説得力のあるシーンです。しかし、主人公のジェレミー・レナーが登場してからは物語もカメラも焦点がいささかブレているように見えます。 例えば、爆弾処理班の物語なのに狙撃戦闘の方が面白くなってしまっていたり、暗がりの追撃シーンはどこで何が起こっているのか良く分かりません。そして何より思うのは、これはまだ序章に過ぎないのではないかということです。極めて危険な仕事であると説明し、平和で退屈な日常に生き甲斐を失い虚無感に駆られ、戦場へ舞い戻っていく…。これは〝戦争とは麻薬〟と最初にわざわざ言ったことそのままであり、物語が始まっていません。防爆スーツに身をつつみ爆弾処理に向かうここからこそが、むしろ本題ではないのかと思うのです。 それからもう一つ、ガイ・ピアースやレイフ・ファインズが登場するにもかかわらず、彼らスターの命も無名の役者同様あっさり奪われるのは、おそらく戦場ではあらゆる者の命が同等であるということなのでしょう。しかしこれは現実を装っているだけで〝映画〟なのです。もちろんリアリティは必要ですが、例えばスピルバーグの「プライベート・ライアン」ではトム・ハンクスご一行の命の方が無名の兵士たちの命よりも重要なのは、映画が虚構であるからです。スターを敢えて退場させるのも一つの方法ではありますが、映画である以上、私はスピルバーグの方を支持します。 [DVD(字幕)] 6点(2012-01-17 18:42:46)(良:1票) |
10. ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
《ネタバレ》 冒頭、逃走中のエージェントが一瞬トム・クルーズかと見間違うほどカッコいいアクションを決めながら退場していくまでがクライマックスではないかと思うほどドキドキしてしまいました。そこからは徐々にパワーダウンしていき、ラストが駐車場での、アクションに説得力も魅力も甚だしく欠く敵キャラとのバトルではガックリきてしまいましたが(女の殺し屋の使い方がもったいない)、いくつかの欠点は目をつぶってもいいと思えるぐらいの面白さです。 特筆すべきは超高層ビルにおける部屋への帰還シーンでしょう。トムの信じられないダイブに加えジェレミー・レナーらが文字通り手を貸し救出する。トムの個人技だけでなく飽くまでチームプレーで困難を乗り切っていくということなのです。 [映画館(字幕)] 7点(2011-12-28 18:47:24)(良:1票) |
11. 折れた矢(1950)
白人よりも先住民族の側から描かれた珍しい西部劇ですが、物語を別にしても、信念を貫く男ジェームズ・スチュワートでさえも先住民族の酋長コーチーズ(演じるのは白人だが違和感はない)を前にするとかすんでしまっているということが、白人側からの一方的な西部劇ではく先住民族によっているという何よりの証でしょう。同じくスチュワートが恋するソンシアレイの美しさも雄弁ですし、あるいはスチュワートが初めて一人でコーチーズのもとへ交渉に行くシーンは秘境へ向かう様で、彼らの領域に神秘性すら感じさせます。 ただ、クライマックスの銃撃戦は重要であるのにやや緊張感に欠けています。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-20 18:34:55) |
12. 黒い罠
《ネタバレ》 力が入り過ぎているくらいの冒頭の長回し、爆発が起きてヘストンとウェルズの事件解明の物語かと思いきや…そうはならず、お次はメキシコのギャング一家とヘストンの全面対決かと思いきや…そうはならず、ならばジャネット・リーが罠にハメられていくのが主軸かと思いきや…そうでもなく、結局は杖を置き忘れるというボーンヘッドにより注目もしていなかったウェルズと部下の絆関係に、登場せずとも良かったディートリッヒが花を添えて終わる…という焦点がぶれまくりの筋を羅列すればかなりお粗末でありますが、そんな怪しげな筋書きでも映画は十分に面白くなるという好例です。 例えば、ジャネットがモーテルで襲われてしまう場面や(彼女が付け狙われているシーンは全てドキドキしてしまう)ウェルズが殺人を犯す場面の禍々しさは圧巻です。あるいはラストのウェルズとヘストンの対決の緊張感、盗聴器を持って追いかけていく実に間抜けな作戦ですが、つまらない自白のシーンを移動と橋と川により見事な活劇にしています。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-14 18:40:09)(良:3票) |
13. ディック・トレイシー
ヒーローものとしては誰かの命の危険が感じられないことが緊張感を阻害していますし、マドンナの役は設定以上に魅力的に描き切れておらず、全体的に面白さが突き抜けていきません。 それでも、ハッとさせられるシーンもありますし、車の後ろ窓から顔を出すキッドの愛嬌や、奇妙でカラフルな世界はしっかり確立されていますが、結局のところ一番面白かったのはショーの稽古シーンで、街を牛耳ることよりも一層熱心に必死になってマドンナ達にレクチャーしまくるアル・パチーノのお茶目な姿は笑えます。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-07 18:41:25) |
14. BROTHER
《ネタバレ》 たけしの舎弟である寺島進は〝命を張ってきます〟などと宣言せず〝ちょっと用が…〟とまるでトイレにでも行くかのように、たけしに別れを告げる。だが彼を置き去りにし走り出したリムジンはどんどん小さくなっていき、次に見送る寺島進の精悍な面構え、そして車中のサングラスを掛け表情は分からないがたけしの無言のアップとなる。これは交わした言葉とは裏腹に、見事に紛れもない今生の別れのシーンとなっています。通じ合った者同士の間には無粋な言葉は存在しない。これぞ真の〝Brother〟なのです。 [DVD(邦画)] 8点(2011-11-30 18:46:03)(良:1票) |
15. ベスト・キッド(2010)
《ネタバレ》 物語に対しての尺の長さであるとか、修行において成長を見せる反復シーンやジャッキーのアクションの物足りなさであるとか気になる箇所はあるのですが、肝心のジャッキーとウィルジュニアの師弟関係の描写がとても素晴らしいです。 初めて両者が会った時からジャッキーはジュニアを遠くから見守っており、歯磨き粉のキャップをぶつけるシーンはまるでアンソニー・マン監督の西部劇で見られる銃撃戦のように両者が画面におさまっています(とは過言だが)。さらに、ボコボコになっているジュニアを救うシーンではジャッキーの背後から光が差し込め救世主の登場を確信させるもので(カンフーについて諭す場面もしかり)、両者の距離が徐々に近づいていく様子をしっかり見せ、逆にジャッキーをジュニアが励ます場面では涙を拭いてあげるのを影絵で見せる繊細さで、ベタベタで希薄なエピソードであるにもかかわらず感動させられてしまいます。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-22 18:40:28)(良:1票) |
16. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 始まりの西部劇のパートが予想を越えて素晴らしかったので、その後、予想の範囲内で紋切り型の魅力に欠けるエイリアンが登場してきた時は正直言ってガックリきてしまいました。“全編が西部劇であったら良かったのに”と思うところもありますし、欲を言えば“あれもこれも”となってしまうのですが、結局のところ軽過ぎるものの、お約束はおさえていますし面白かったです…と言うよりもハリソン・フォードが70近いとは思えぬほどカッコ良かったです。活躍シーンが意外と乏しいにもかかわらずその存在感は圧倒的で、少年に語り掛けるシーンや、部族の?部下との擬似親子関係など(じっくり見せられたら泣いてた)、実に魅力に溢れていて、もっと登場シーンを増やせよと思ってしまうくらいです。 ただ、予算を下げてジョン・カーペンター監督あたりが撮っていたら大傑作になっていたかも…。 [映画館(字幕)] 7点(2011-11-02 18:50:42) |
17. マチェーテ
登場する姐御たちが一人残らずセクシーで魅力的ですし、マチェーテがボディガードたちを庭掃除の道具で撃退するシーンは笑ってしまうのですが…、どうしてもダニー・トレホが主役はないだろと思ってしまいます。あのイカツイ顔のシワはなかなかのもんですが、動きが鈍重で、例えばストリートファイトで物を食いながら身をかわすだけで勝利するシーンのつまらなさは如何なものかと。 悪党たちもお腹いっぱい出てくる割りに誰もがパッとせず、セガールは冗談にしか見えないですし、常に落ち着き払ったドン・ジョンソンが一番強そうに見えますが登場シーンが少ないです。 しかし何と言ってもロドリゲス監督としては、アクションに…と言うよりも期待してしまう滑稽なアイデアにいささか芸を欠いています。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-24 18:42:23) |
18. 死刑執行人もまた死す
《ネタバレ》 いつの間にか極めて不幸な事態に追い込まれていく感じは、かのヒッチコック監督ですら“参りました”と諸手を挙げて降参するのではないかと思うくらい凄まじく、ヒロインが退っ引きならない状況に陥ってしまうのに心を痛めるのはもちろんのこと、後半に一転して裏切り者のチャカが嵌められていく姿ですら可哀相になってくるぐらいです。 その恐怖の演出は巧みで、集団に一人取り囲まれていくリンチはもちろん、八百屋のおばさん?が拷問にかけられるシーンの地味な過酷さまで圧倒的で、常に被害者側の立場に感情移入させられハラハラドキドキしてしまいます。 しかしその一方で、例えばゲシュタポ側ながら探偵の如く推理するグリューバー刑事のキャラクター造型は魅力的で面白く、銃の引き金を引くことなく指をパッチンと鳴らしたりしていると愛嬌すら感じます(むしろ彼を殺してしまう側の方が恐ろしい)。 シュプレヒコールがあるところなど政治的なシーンは別の意味で怖くなってしまいますし、ウォルター・ブレナンの登場シーンの深刻さは(どのシーンも素晴らしいが)厳しく、決して無視することはできないのですが、単純に娯楽サスペンスとしても超一級の作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2011-10-12 18:46:14)(良:1票) |
19. ゼイリブ
《ネタバレ》 全てが見通せるサングラスの原理であるとか侵入者であるエイリアンの設定であるとか、もっともらしい説明をすることなく完全に省き、その代わりに肉弾戦の乱闘を永遠と見せる(さすがに長過ぎる気がするが;)。ここまで極端だと、〝映画〟においては何が不要で(説明だ)何が重要であるのか(アクションだ)を宣言しているようにすら見えます。 それにしても、こんなチープな作りで面白くなってしまうのはカーペンター監督の個人技としか言い様がありません。やたら腕っ節が強くて頭のよろしくない主人公が、“とにかくこれは許せんことだ”と深い考えもなしに躊躇なく暴れ回るところなんか最高です。マンションの階上からワインボトルで頭殴られて突き落とされても、エイリアンじゃないからオーケー!と美人のお姉さんは信じてしまう悲しい男のサガ(彼女は冷たい瞳してるのに!)。これも全部TVや広告のせいかもね。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-27 18:07:48) |
20. シェーン
《ネタバレ》 例えば、冒頭のシェーンがスターレットの家へやって来て、さらにライカーたちがやって来る場面の緊張感の無さなどを見てみても、とても退屈に思えるのですが…、それでも本作を気に入っているのは、アラン・ラッドの男っぷりとジャック・バランスのニヒルさもさることながら何より肉体的な映画であるからです。 シェーンとスターレットは巨大な切り株を馬を使わず協力し合って取り除き、一緒に酒場で乱闘を繰り広げ、最後には過剰に素手で殴り合う(銃で殴れば少年に「嫌いだ」と言われる)。ライカー側の手下がシェーンに罠であると知らせに来るのも、シェーンと彼が素手で殴り合いをしたからに違いなく、ここにおいては肉体を駆使することがコミュニケーションであるかのようです。ラストで少年が自宅から酒場までの長距離を走ってやって来るのも、シェーンとの仲直りに必要な肉体的労働であったとすら思えるのです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-12 18:48:45)(良:1票) |