1. ルームメイト(1992)
《ネタバレ》 童顔で可愛らしい外見なのに中身は…!な女の話。何度かテレビで放送しているのか、主人公の恋人に夜這いかけるシーンは覚えがあった(余談だが主人公に対してサイコちゃんが「彼は私の中で○ったのよ」的な台詞を放つのだが、ああそういうことだったのか!と驚いた。未遂かと思っていた。だって、あまりに早い…。テレビ版の編集のせいだろうか…)。しかしなあ、終盤はさすがに主人公、負けるな!という気にはなるけれど、そこに至るまでに結構かかってしまった。すぐ裏切る主人公のほうが嫌な奴に思えて仕方なく、むしろサイコちゃんのほうが可哀想なくらいだったから。ルームメイトに対する感覚が、何でも契約契約というお堅い日本とはちょっと違うのかもしれないが。ところで、この手の主人公がやばい奴に追い回される話は、周りの関係ない人が大量に巻き込まれて死んで、原因となった主人公が生き残ってしまうのが黄金パターンなのが、本当にたまらない。私はいつも、自分は意味もなく殺されちゃう側の人間だろうと考えてしまって、そのあたりもぞっとするのだった。ただ、この映画に関してはガチで死ぬのがクズな一面のある方々なので、まだまだ良心的なほうなのかな…。と思ったが、犬を忘れるな、私。 [地上波(吹替)] 7点(2015-08-23 10:20:07) |
2. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
《ネタバレ》 中盤、空を飛ぶかつてのバードマン。でも実際はタクシーで夢を見ていただけだった(かのような描写がある)。全てを懸けた舞台の終わりに文字通り命を懸け、それでも生きなければいけないと知り、彼は、もう一度、飛ぶ。その姿は画面上には見えないけれど、彼は内なるバードマンに別れを告げ、バードマンの仮面のような湿布をはずし、何にもすがらずに、飛んだ。今度は本当に飛べたのだと思う。生き恥を晒しながら、笑われながら、ズタズタになっても、やめない。それが執念なのか、挑戦なのかわからないけど、とにかくしぶとくいることで人はもっと遠く、高いところまでいけるということだと私は解釈した。情けなくて馬鹿みたい、でも、すごくかっこいい、そんな映画だった。 [映画館(字幕)] 8点(2015-05-03 13:49:21) |
3. 6才のボクが、大人になるまで。
《ネタバレ》 この作品に対する高い評価は、意欲的な試みに対して向けられたものであるだろう。個人的な意見を言えば、母親の奔放さにより子供たちが振り回されるという要素が不快(しかもそのことが作品内で特に断罪されることもなく進んでいく)なので、そこでもう置いていかれていた。このような性質の作品、たとえば数年かけて続いた連続ドラマなどを考えてみても、キャラクターに対し愛情がもてるかどうかは重大な要素だ。見知らぬ家族の変化だの成長だのどうだっていいし、逆に言えば、好きな人間の日常は、終着点がなくてもずっと見ていたいと思うものだし。3時間足らずの尺を長いと感じるかまだまだ足りないと感じるか、人によってバラバラだろう。面白いと感じた人は続編も観たいかもしれない。私はもういいよという感じ。監督の娘さんの表情がよかったから、そこが見所だったかな。 [映画館(字幕)] 6点(2015-03-07 11:33:18) |
4. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 3Dで観た。ありふれた言い方をするならハラハラ、ドキドキがたくさん詰まった映画。しかしその楽しさは、映画的でない。よく言われているが、遊園地のジェットコースターのようなもの。とても珍しい体験だったと思うが、映画としてこれがどうだったのか、と問われると、正直評価はしづらい。状況は理解できても、キャラクターに接近できないからだろうか。登場人物の紹介はなされてはいるが、たとえばジョージ・クルーニーのあの勇敢さがどこからくるのか、私にはよくわからなかった。とはいえ、これだけのものを作り上げる技術は絶賛されて然るべきか。 [映画館(吹替)] 8点(2014-01-23 18:18:12) |
5. ブラック・スワン
《ネタバレ》 終始何かに怯えた表情のニナが、凛とした余裕の表情を浮かべるラストシーンで、ようやくナタリー・ポートマンの顔になったことが印象的。私は鑑賞前、ストーリーはおろか監督すら把握してなかった(後から知って納得した)。前評判から何となく想定していたのは、主人公が役を奪い取るために色々策をめぐらしていく、舞台裏での黒鳥への変貌を追ったという物語。おかげで良い意味で裏切られた。とはいえ、無垢な存在のニナが自分を黒く染めていったのは私が想定した部分と重なる。ただ、母を裏切ったり、悪い遊びを覚えたり、突き刺したり、対象はライバルではなく、全て自分。「自分との戦い」というのはありふれた言葉だが、真実そうなのだろう。だが、それは高いところに到達した人にしか噛み締められない言葉である。プレッシャーや孤独に耐え、自分のなかの弱い部分を削ぎ落とす過程はライバルを蹴落とすことより苦しいはずだ。自分はどこまでも自分に添うものだから。だからこそ、自分に打ち勝ち「perfect」を手に入れたとき、何物にも代えがたい恍惚感を得る。当たり前のことだが、あの美しい表情はニナの表情であり、それを演じた、成功者ナタリー・ポートマンの表情でもある。俳優陣の名演は言うまでもないが、客観的にみたらベタな成功者の物語を、主人公の内面に肉薄することで下手なホラーよりよほど恐ろしく、禍々しい演出で描き、観客の感情をわしづかみにする監督のセンスはさすが。近年稀にみる大傑作だと個人的に思う。 [映画館(字幕)] 10点(2011-06-13 12:48:21)(良:5票) |
6. 恋するポルノ・グラフィティ
《ネタバレ》 ケヴィン・スミスという人は、根底にあるものが全く変わらない。ちょっと変わったラブコメ、オタク、エロ、多弁、下品。本作を象徴するキーワードは十年以上も前に制作した「チェイシング・エイミー」と同じある。監督としての世間的な彼の地位が、この十年~十五年くらいでどのように推移しているのか私は把握していないが、こんなに(勿論いい意味で!)成長しない人は、業界にあまりいないのではないか。盟友?ジェイソンも相変わらずの馬鹿キャラで堂々の登場。ファンとしては嬉しい限りだ。私の感覚では、ずっと居心地のいい関係(幼馴染以上恋人未満、とでもいおうか)だった男女が、事務的なセックスをきっかけに意識しあうようになるというストーリーは理解・共感できないのだが、全体的にグダグダでリアリティがないために完全に自分と切り離して楽しめた。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-23 01:34:03) |
7. アメリカン・クライム
エレン・ペイジの悲痛なる表情がいつまでも胸に焼き付いている。本作も「ボーイズ・ドント・クライ」「乙女の祈り」などのいつまでも記憶に残る不快映画の類だが、一番怖いのはこれらが実話という点だ。惨い。下手なホラーよりよっぽど怖い。こういったことが惨いとか怖いと思えるうちは自分も健康なんだと思うが、人間は慣れていく、麻痺していく生き物だから、自分だけは絶対にこんなことをしないと思っていても、壊れる瞬間があるのじゃないかという疑いがある。それも結構怖い。人間(自分も含め)不信になりそうだ。観たくなかったが、大切なことを知る、考えるため、或いは現時点での自分の感覚を試すという意味でも、観るべき映画だと思う。余談だが、エレン・ペイジは誰かに似ていると思っていたが、大路恵美に似ていることに気づいた。別作品では大竹しのぶに似ていると思ったし、要するに日本人的な顔なのだろう。目に馴染みやすい女優さんである。 [DVD(吹替)] 7点(2010-07-03 23:35:38) |
8. キング 罪の王
《ネタバレ》 ティーンエイジャーのヒロインがおばさんにしか見えないと思ったら、制作時女優さんが二十代後半って…そりゃ無理あるわ。老け顔の彼女を起用した意味がよく分からない。ガエルさんが童顔なので尚のこと違和感を覚えた。ストーリーとしては要するに父親に捨てられた青年の復讐物ってことなんだろうが、キャラクターに魅力が全くなく、共感できないので全てが唐突に感じる。ところでうちの近所のTSUTAYAではこれが伝記物コーナーにおいてあったのだけども、完全にタイトルだけで分類しちゃった感じかな。歴史を動かす、壮大なスペクタクルを期待した人は完全に肩透かしをくらうに違いない。誰が王様じゃ。 [DVD(字幕)] 5点(2010-04-26 23:08:11) |
9. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 何か観たことあるぞ、この感じ…と思ったら、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」と同じ原作者なのか。どちらの映画にも胸糞悪い少年暴行の表現があり、さらにどちらも「選択」或いは「仮定(もしもあのときああだったら…)」がキーになった作品である。特に「選択」はこの映画の大きなテーマであると私は感じた。本作では見事にキャラクターたちが選択を誤り、結果、とても後味の悪いラストを迎える。ティム・ロビンス演じるデイヴの報われない人生を思うと、あまりに哀しい。三分の一のハズレを引いた彼と、助かった二人。振り分けられたのは単なる運としか言いようがない。その無慈悲さにはぞっとする。それが現実なんだと、分かっているから尚更だ。ちなみにデイヴがいつも人の車に乗りこみ、不幸な目に遭うというのは意図的なんだろうか。徹底的に救われない話だが、人間や人生というものの一つの真理を描いている傑作だ。作品全体を通して翳った画面と設定された年齢の割に老けた俳優二人(無論ケヴィン・ベーコン以外の二人)が見事にストーリーの陰惨さを増幅させている点も高評価である。 [DVD(字幕)] 8点(2010-04-04 21:01:37)(良:1票) |
10. 世界中がアイ・ラヴ・ユー
実に軽快。突然人が歌い踊りだすという、ミュージカルという設定そのものの荒唐無稽さと、上流家庭の人々の暢気な生活ぶりを描いた、どことなく浮世離れしたストーリーが実にマッチしている。全体的に軽いが、随所に政治・社会的アイロニーやブラックユーモアが織り交ぜられる、良くも悪くもちょっと鼻につく感じはいかにもウディ・アレンらしい。この作品のキャラクターたちの、人生にあまり危機感のないお金持ちならではの緩い価値観は、私のような庶民からすれば羨ましい半分、少し滑稽であり可笑しかった。愛の形は様々だが、単純に「アイ・ラブ・ユー」と言える相手がいることの幸福を噛み締めたい、そんな後味の良さが魅力的な一作。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-28 13:18:51)(良:1票) |
11. ラースと、その彼女
要するにダッチワイフの話という点で本作は「空気人形」と似ている。しかし、心を持った空気人形が、「心なんか持ったら面倒だ」と言われるのに対し、本作は心がないはずのビアンカが、さも心を持っているかのように周囲から生かされているという話で、全く正反対である。不思議なことに、人形が動き出すという設定上、ファンタジー要素は前者のほうが強いはずなのに、本作のほうがよりファンタジックである。多分、現実ならば、この映画の登場人物たちのようにラースを温かく見守る人は皆無で、どちらかといえば、大多数の人間がラースを気味悪がるはずだと思うから。そういう意味では、「空気人形」の登場人物たちのドライさが私にとっては現実的で、ラースの周囲の温かい人たちは何だか出来すぎた感じがした。だが、虚構ゆえに、と切り捨てたくない気持ちがあるのも確かだ。「ビアンカの存在は我々の勇気を試した」という神父の台詞があったが、そのまま私自身にも投げかけられたような気がしている。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-08 20:19:05) |
12. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 ヒラリー・スワンクという女性を知ったのは私のなかでは史上最強の鬱映画「ボーイズ・ドント・クライ」である。この映画で彼女が演じたのは(ネタバレになるので仔細は語れないが)、孤独を抱えながらも、強く美しく生きる女性の役であった。本作と「ボーイズ…」では役柄の印象は結構近い。彼女のような、野性的な美人という形容では物足りない、とかく凄味がある女優は、そうしたハードな役でこそ活きる。映画自体の出来に言及する以前に、彼女の仕事ぶりだけでもどちらも一見の価値はあるだろう。このままでは「ボーイズ…」のレビューと兼用になってしまうので、本作について。驚くほど単純明快に、素晴らしい作品だ。スポーツは観るもやるもてんで興味のない私だが、本作は何しろただのスポ根モノではない。ボクシングという飾りを纏った、実に深遠な人間ドラマなのである。マギーとフランキーの間にあるのは、親子のようにイノセントではあるが、親子のようにおんぶに抱っこではない、あくまで互いを尊敬しあう、男女としての愛である。ラストは賛否あるようだが、私は自然に思えた。人生はいつだって理不尽なもので、突然の不幸に見舞われることもあるが、そのなかで最良の選択をしていくしかない。愛は刹那であるがゆえ、永遠に美しい形で留めておきたかった二人の決断(正確には一人の意志と、その意志に従ったもう一人の判断)は、あくまで二人の関係においては正しかった。それでいいのではないか。ありきたりなシンデレラ・ストーリーも悪くはないが、不幸や悲壮のなかに一縷の望みや喜び、自分なりの救いを見出す人々の物語のほうが、ずっとリアリティがあるし、胸に響く。本作はあちこちで賞賛を浴びるイーストウッド監督の力量がよく分かる、重厚な映画である。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-26 21:07:17) |
13. ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習
下品さややり過ぎ感がこの作品の魅力なんだと力説されたとしても、やっぱり下品だし、やり過ぎ。ある国の文化(それも、全世界的には「メジャー」とされているような?)を他文化の視点から俯瞰してみたとき生じる可笑しさを描いているという点では、文化人類学の要素が詰まった作品だと思うが、何しろ絶対に教材としては使えないから意味がない。それならばとただ単にエンターテイメントとして観ようとすると、楽しませられるより、不快感が勝る。フェイクドキュメンタリーは個人的に好きだが、だからこそ(多分)素人さんたちのガチ困惑が辛かった。うん、発想はいいと思う。ただ何事もほどほどが一番。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-18 18:44:48) |
14. スリーサム
《ネタバレ》 やりたいならやりたいでいい。ただ、おまえらは本能のままの猿なんだから、感傷にも自己憐憫にも浸るなと言いたい。特に同じ女として、自分より美しく魅力的な(このあたりは私の主観?)女の子に対して、侮蔑的な振る舞いをするアレックスに嫌悪感を抱いた。いるんだよな、こういう女。そのコミュニティー内では女王なんだけど、傍から見るとただの勘違い女。それが薄々自分で分かっているから、殊に自分の地位を脅かしかねない闖入者にはやたら排他的な態度になる。男たちも負けず劣らずだらしない。何だかいろんな意味で感情逆撫で映画だけど、こういう、「自分たちだけドラマティック状態」を盲目的に楽しんでいる奴らって、大学というところには結構多い。ちょっと極端なテーマではあるが、この年頃の度を越した所謂「リア充」のイタさの描き方は純粋に上手いと思った。 [DVD(字幕)] 6点(2010-02-16 20:26:23) |
15. レザボア・ドッグス
《ネタバレ》 とにかくもう、オープニングにしびれた。タランティーノ作品は実はそんなに観ていない自分も、彼のファンが多いのには妙に納得させられたこの映画。シリアスながらも何となくおかしみのある会話やシチュエーションに、スタイリッシュな音楽、グロ。Mrホワイトの口癖で字幕に何度も出る「大殺りく」の文字、血がジャンジャン流れて人が死にまくっているのに、その言葉選びのセンスに思わず笑ってしまった。これはタランテーィノが悪趣味なのか、自分が悪趣味なのか(っていうか、普通に考えたら翻訳者が悪趣味か)。時間軸がぐちゃぐちゃだけどつぎはぎも上手でなんかもうお見事としか言えない。私はバイオレンス系の作品が正直苦手なので、この映画も食わず嫌いというか何となく避けてきたが、実際に観てみると、流血と暴力は飾りで、本質は人間ドラマというか群像劇的な部分なんだなと感じた。ハーヴェイ・カイテルとティム・ロスの友情?、Mrブロンドのサイコっぷりと意外な忠誠心、そしてやっぱり卑怯で小物なブシェミ、その他諸々。犯罪者だからって冷徹・理不尽一辺倒ではなく、筋を通すところは通すし、彼らにもそれぞれの個性や考え方がある(当たり前といえば当たり前だが)。演技以前に、俳優それぞれが役柄にマッチしているというキャスティングのセンスも凄いと思う。というわけで何もかも素晴らしい映画だが、自分としては人質の警官があまりに可哀相過ぎて満点にはできなかった。このへんはあくまで好みの問題なので…映画としては文句なしの大作。 [DVD(字幕)] 8点(2009-12-13 14:06:29)(良:2票) |
16. ステラ
《ネタバレ》 下品な女に、鼻につく吹き替え。観始めた瞬間、これは個人的にいけ好かない作品だろうなと感じたものの、途中で止めるのもなんだし…と、半ば「もったいない」の精神で鑑賞し続けたわけだが、中盤以降~終盤、終始涙が止まらなくて、作品の素晴らしさに正直驚かされた。初めはステラに不快感を覚え、こんな品のない女にひっかって…と医者の卵に同情を寄せていたのに、いつの間にか印象が逆転していたのも凄い。結末は報われないが、それはあくまで観ている者の感想であり、ステラは娘が幸せになったことを心から喜んでいるため、結局はハッピーエンドである(それまでステラがどう生き、また、その後どう生きていくのかはちょっと考えたくもないが…)。たまたま母子家庭に育った自分には、母と娘特有の冗談を言って笑い合うようなシーンに殊更共感したこともあり、ちょっと忘れられない一作になりそうな予感。ちなみに、他のレビュアーさんには不評な、本作のやたらシーンが飛ぶ構成は、個人的にはテンポが良くて好きだ。 [地上波(吹替)] 8点(2009-09-27 12:45:43) |
17. マーティ
《ネタバレ》 恋をして舞い上がり多弁になるかと思えば、些細なことで急に冷めることもある。身近で起こる、誰かのありふれた恋愛模様をつぶさに観察したら、本作のような光景が多々見られるはず。そういう意味では物凄くリアルで、それが狙いならば大成功。しかし、なんだかなあ…純粋に心温まるとは思えず、どちらかというと私にはとても皮肉っぽい作品に思えた。ひとたび恋愛→結婚→家族という風な、人生のオーソドックスな軌道に乗るか、それが見えてくるかすると、人は結局同じ台詞を吐いてしまうもんなんですよ、というような作者の意図が見えたから。ところで、気になったのは、マーティの相手役の女性のブス設定。今までどなたもレビューにてツッコまれていないし…もしかしてどこからどう見ても美人に見えた私の美意識はズレてるんだろうか。困った困った。 [地上波(字幕)] 6点(2009-09-15 17:59:35) |
18. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 2001年の映画にしてはどこか古めかしく、それでいて鮮やかで、いつまでも心に残るであろう一作。謎解きは謎解きで楽しみだが、不可思議な世界を不可思議なまま捉えていても魅力的なストーリー。哀しくて、儚い。ところで、とにかくナオミ・ワッツが褒めそやされる本作だが、私は妖艶なローラ・ハリングにやられた。美人女優とはかくあるべきという、気品と色気が漂い、圧倒される。こんな人なら、訳ありで怪しくても助けてしまうし、こんな人に捨てられたら、私もきっと暴走してしまうだろう(ちなみにノンケですが。笑)。女性同士のラブシーンでこんなにうっとりしてしまったのは初めて。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-17 20:50:45) |
19. ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
ラスト数分間の集中力は凄まじかったが、そこまではなかなか入り込むことができず。オチはびっくりというより、ぞっとしたという感じ。色んな主義者がいると思うが、自分の主義のために文字通り命がけになれる人は今の世の中そう多くはないだろう。そういった人を作品として描いたとき、リアルと感じるかまったく共感できないかは話の運び方その他諸々にかかっていて、作り手として非常に苦心するだろうが、それでもこの作品に関しては、主人公の心情が分からなくもないという程度のレベルには達している。それどころか、基本的に死刑廃止論に反対の自分にもそこそこ響いたということは、もしかしたらすごく構成が上手なのかもしれない。ただ、なんだかなあ。全体的に何か気持ち悪い。それも狙った後味ではなく、予想外に出ちゃった感じ。胸やけがするようで好きにはなれない。ビデオを観たときのケイト・ウィンスレットの無駄な嘆きっぷりばかり思い出しそう。しかし、邦題で無理にタイトルを訳したりひねったりしなかった潔さは素晴らしい。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-17 20:11:07) |
20. エリン・ブロコビッチ
《ネタバレ》 もし本作が完全なるフィクションだったとしたら、甘めに5点つけられるか迷うところ。サクセスストーリーなのにあまり痛快じゃないのが致命的。エリンが必死に子どもたちを育てて生きているシングルマザーというにはあまりにふてぶてしいし、客観的にみて人から敬遠されるような性格でありながら、それでも認められ、住民に支持され、成功していくというのは、あまり説得力がない。でもこのストーリーは誰がなんといおうと事実に基づいているわけだから、説得力もくそもないんだな。しつこいようだが、フィクションだったらご都合主義すぎて評価できないような話。雇用主や上司に暴言を吐き散らしたり、仕事でこれからパートナーになる人を貶めたりする女は全く格好良くないし、いい女でもない。これを観て、ジュリアロバーツだから様になっちゃう(ように見える)というまやかしに気づかず、影響受けちゃうイタい女性が増えていないか心配だ。映画の構成自体は確かにスマートなので、あとはエリンのキャラをどう捉えるかで評価がわかれる作品かと個人的には思う。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-28 02:21:58) |