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プロフィール
コメント数 2431
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 《ネタバレ》 
正直なところ、ジョニー・キャッシュやジューン・カーターはかろうじて名前を聞いたことあるぐらい、ジェリー・リー・ルイスに至ってはこの映画で初めて知った程度の予備知識でした。この当時のヒットソングは、カントリーミュージックなのかロカビリーなのか区別しにくい感じのサウンドで、自分がイメージするロックンロールよりも泥臭い感じがします。そんな50年代からのレジェンド・シンガーであるジョニー・キャッシュとジューン・カーターの伝記映画なのですが、ホアキン・フェニックスとリース・ウィザースプーンという癖が強いキャスティングですのでけっこう胃もたれがするような映画になったかなと思います。なんせあのホアキン・フェニックスですから、観ていていつキレだすかドキドキしてしまいますが、かえってこれが妻との不和や薬物中毒に溺れるエンターテイナーとしての迫真の演技につながっています。リース・ウィザースプーンはその癖のある顔つきで日本では人気があるとは言い難いし自分にも苦手な女優の一人ですが、オスカーをゲットするのは納得の熱演です。そして演技以上にすごかったのは二人の歌唱力で、これがプロ歌手の吹き替えじゃないってのは信じられないぐらいです。ほんとにハリウッド俳優たちは、音楽については芸達者な人が多いですね。ホアキンが演じるキャッシュは幼いころに兄を事故死で失ったトラウマや父親との不和など根性がねじ曲がりそうな要素があることは判りますけど、あまりに自己中的な言動が目立ってとても感情移入できるキャラではなかったですね。実話なのかは知らいないけど、コンサート中に途中で歌唱を中断して「結婚を承諾してくれなければ、もう歌わない」とジューン・カーターにプロポーズするなんて、いやこれはプロとしてはやっちゃいけないことでしょ(笑)。劇中にも登場するキャッシュの最初の妻との娘は、自分の母親の描き方が酷いと激怒したそうですが、たしかに前妻ヴィヴィアンは夫に理解のない嫌な女という観方になってしまう撮り方でした。関係者が存命なうちに製作する伝記映画には、いろいろと厄介なことが付きまといますね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-09-15 22:49:59)《更新》
2.  オール・ザット・ジャズ 《ネタバレ》 
巨匠・名匠と呼ばれるぐらいの映画作家は大なり小なり自分なりの『8 1/2』を撮る傾向があるけど、これぞまさにボブ・フォッシー版の『8 1/2』でございます。ぶっちゃけて言うと、フェリーニの『8 1/2』を知らなかったり好きではない人には響かない作品なのかもしれません。 この種の映画はその時の監督自身が抱える悩みや迷いがテーマになるけど、本作ではずばり“死への恐れ”だと言えるでしょう。実際フォッシーはこの後8年しか生きれなかったし、すでに自分の健康状態に不安を持っていたんじゃないかな。その他にも劇中で完成に苦労する映画『スタンド・アップ』は明らかに『レニー・ブルース』のことですし、女性関係のイザコザも赤裸々にぶっこんでいます。あのケイティを演じたアン・ラインキングに至っては実生活でも劇中通りのフォッシーの愛人(の一人)であり、いわばセルフパロディみたいなもんです。オードリーは妻のグウェン・ヴァードンで娘のミシェルはニコル・フォッシーがモデルであり、ほとんど私小説みたいな感じです。 やっぱ圧巻なのはラスト三十分の“Bye, Bye Love”のミュージカル・シークエンスでしょう。このキレッキレッのパフォーマンスはボブ・フォッシーのミュージカル集大成という迫力を感じます。自虐的なネタも光っていて、毎朝目薬さしてヤクでキメて「イッツ・ショータイム!」と気合い入れするのが繰り返されたり、ギデオンが入院して舞台制作が危ぶまれたときにプロデューサーたちが保険会社を呼ぶと、実は手術が失敗してギデオンが死ぬ方が彼らは儲かると判明するところなんか強烈な皮肉になってます。そうは言ってもショービジネスの非情さを糾弾するのではなく、どっぷりとショービジネスの世界に浸ってきたフォッシーのショーを創る喜びの方が強く感じられました。 人間は死ぬときには過去の人生が走馬灯のように流れるとよく言われますが、わずか六十歳で他界したフォッシーが見た走馬灯はきっと本作のラスト30分だったんじゃないだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-09-12 22:18:39)
3.  リトル・ミス・サンシャイン 《ネタバレ》 
ロードムービーではその物語の根幹を造る旅の目的が重要なプロットになるけど、ドン詰まってバラバラな関係となってしまった家族と親族の六人がおんぼろマイクロバスに乗ってカルフォルニアのチャイルドミスコンを目指すというというのは、よく考え抜かれた脚本だと思います。実質この六人だけで進行するストーリーだけど、六人が皆で素敵な演技のアンサンブルを見せてくれます。アメリカと言う国は異常なまでに勝者と敗者に拘る社会なんで、人々は”敗ける”ということには屈辱と恐怖を持ってしまう傾向が見られます。日本のようにいわゆる判官贔屓というような感情はアメリカ人には無さそうですね。本作のオリジナル脚本家は、知事時代のシュワちゃんが「私がこの世で一番嫌いなものは負け犬だ、私は彼らを軽蔑する」と高校生相手にドヤったことに腹がたったのがこの脚本を執筆するきっかけだったそうですが、その後のシュワちゃん自身がケネディ一族の妻から離婚されてからは転落していまや負け犬になってしまったのは皮肉なことです。 やっぱこの家族の中でいちばん光っていたのはエロ・ヤク中爺さんのアラン・アーキンであることには異論がないでしょうが、それでも特定のキャラに重点を置かずに個性派俳優たちの演技の化学反応を愉しませてくれる演出が秀逸です。とくにミスコン会場に到着してから家族総出で舞台に上がってダンスするクライマックスへの流れは脚本が上手過ぎて感心しました。2000年代以降に撮られたロードムービーとしては、今のところ最高傑作なんじゃないかと思う次第です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-09-06 23:08:44)(良:1票)
4.  戦争の犬たち(1980・アメリカ) 《ネタバレ》 
未読だが、原作は緻密な背景描写とフォーサイス自身が係わった闇社会の武器取引をリアルに落とし込んだいかにも彼らしい作品らしいが、本作はそのドンパチ要素以外をかなり端折っているので、成功した映像化とは言い難いらしい。どこまでが明かされているのかは真偽不明だけど、本作の様な独裁者打倒のクーデターをアフリカで実行しようとしたなんて、こんなぶっ飛んだ作家はもう現れないことでしょう。 監督がジョン・アーヴィン、これが劇場映画デビューでこの人は後に『ハンバーガー・ヒル』や『プライベート・ソルジャー』などの戦争映画の良作で名を残す人です。やっぱ本作ではクリストファー・ウォーケンの存在感が光っていて、彼を引っ張ってきたのは脚本のリライトに係わったマイケル・チミノだったそうで、やっぱこの頃はウォーケン&チミノは名コンビというか腐れ縁だった感じですね。彼がこの映画で使用するまるでおもちゃみたいなグレネード・ランチャーXM-18は実在の銃なんだそうでですが、確かチャック・ノリスもなんかの映画で使っていた記憶があり、出てくるとB級映画っぽくなるのは困ったもんです。端折り過ぎてクリストファー・ウォーケンのクーデター計画が判りにくいしロマンスめいたエピソード余計だったとしか言いようがないけど、サクサクとストレスなしに観れるのは良いんじゃないかな。フレデリック・フォーサイスの作品は、どれも映画化するには尺が最低三時間は必要ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-30 23:33:41)
5.  ドッペルゲンガー/憎悪の化身 《ネタバレ》 
ドリュー・バリモアにはソフィー・マルソーばりにかつては脱ぎまくってた女というイメージがあるけど、実は意外と脱ぎを見せていた時期は短くて、本作が撮られた当時の三年間ぐらいの数本だけだったみたいですね。それでも当時はなんとまだ18歳!まったく「お前の人生は何回あるんだよ!」と叫びたくなる成熟ぶりです。 『氷の微笑』もどきのエロチック・サスペンスなのかなと思っていたら、終盤になると全く理解不能なホラーと化してしまう脚本の酷さは特筆ものでしょう。割と早い段階でドリューのドッペル話を同居人の脚本家志望の男が信じてしまうのですが、ここでいわばネタバレしちゃうんならこの後のサスペンス要素はどうするつもりなの?となってしまうよね。途中でやたらと夢オチが使われるのも、イラつかせてくれます。ラストのドッペルの正体が明かされた時には、「もう、ふざけんじゃねえぞ!」と怒鳴りたくなりました。ネタバレが過ぎるので詳しくは触れませんが、これでは前半のエピソードとの辻褄が全然合わなくなるんですよ。製作陣も「こりゃヘンだ…」と気が付かないもんですかね。 こんな出来損ないのホラーもどきで頑張るなんてムダ脱ぎもいいとこで、おまけにグチャグチャの化け物に変身までさせれて、いまや女優・プロデューサーとして才能を発揮している彼女にとってはまさに黒歴史なんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-08-18 21:39:15)
6.  勝利なき戦い 《ネタバレ》 
朝鮮戦争はイメージと異なり後期の三分の一ぐらいの期間は北緯38度線を挟んでの塹壕戦に陥っており、両軍ともに休戦協定に有利になるように戦略的価値のない土地を取り合う闘いになってしまいました。そんな中で53年の休戦協定交渉中に起こったポークチョップ・ヒルの争奪戦の実話に沿ったストーリーです。監督が『西部戦線異状なし』のルイス・マイルストンで、塹壕にこもっての戦闘を描くことは昔取った杵柄という感じでしょう。全体的に淡々としたストーリーテリングで戦闘シーンはそれなりに撮れていますが、中隊長グレゴリー・ペックを始めとしてヒーロー的な派手な活躍を見せるキャラは皆無で、戦争映画としては地味としか言いようがないです。テーマは“価値のない土地を取り合う意味がない戦闘”だったというのが適切で、米軍上層部の指揮にもグダグダ感が目立ち、後のベトナム戦争まで続く米軍のコマンド・カルチャーの劣化ぶりが伺えます。音楽担当がレナード・ローゼンマンなので、『コンバット!』風味があるのが良かったです。 実は『トコリの橋』と『M★A★S★H マッシュ』そして本作と、ハリウッドで製作された朝鮮戦争を題材にした映画はたった三本しかないんですよ。米国では朝鮮戦争を“忘れられた戦争”と呼ぶそうですが、これじゃ米軍戦死者も浮かばれないですね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-08-06 23:32:31)
7.  サンクスギビング 《ネタバレ》 
『グラインドハウス』のフェイク予告編の長編映画化の第二弾は、イーライ・ロスと来ましたか。あの予告編群の中ではイーライ・ロス編が個人的にはなんか不条理感がマックスだった感じがしてたんだけど、いざ映画化されると王道的なスラッシャー・ムービーになったんでちょっと肩透かしを喰らった気分です。出演者も予告編版ではティム・ロビンスなんかも出てたのに、有名どころではジーナ・ガーションぐらいになったのはやはり予算の関係かな。まず冒頭の感謝祭セールで起こる事件が、ほとんどシュールなコメディにしか見えないところがイーライ・ロスらしいところです。登場する高校生グループやその家族などの犠牲者たちが皆感情移入できなさそうな奴らでしたが、余りに無造作な犯人フラグを始めに様々な登場キャラに立てるけど、そのフラグが次々に倒れちゃうので犯人の正体はぼんやり観ていても目途が付きます。まあイーライ・ロスの魂胆はそんな謎解きじゃないので、気にもなりませんが。お得意のスプラッター描写は今回もフルスロットル状態ですけど、あの人体丸焼き感謝祭ディナーは『グリーン・インフェルノ』の再現というか、私には『コックと泥棒、その妻と愛人』を思い出させてくれました、もっともあんな耽美性は皆無ですけどね。 振り返ってみれば、ストーリーとしてはやり過ぎ感は薄目でスラッシャー・ムービーとしては可もなく不可もなくという感想ですかね。調子に乗って続編が製作されるそうですが、やめといた方が良いと思いますがね。こうなるとこのフェイク予告編シリーズ、次回作はロブ・ゾンビの『ナチ親衛隊の狼女』にしてほしい、ニコラス・ケイジやウド・キアーなどのオリジナル・キャストを変えずにね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-07-30 23:00:05)
8.  ワンダラーズ 《ネタバレ》 
ジョージ・ルーカスが『アメグラ』で1962年のカリフォルニアの高校生たちの青春を描いたのに対して、フィリップ・カウフマンは翌年63年のNY・ブロンクスの高校生不良グループをテーマにしている。劇中でも印象的に挿入されているけど、63年はケネディ大統領が暗殺された米国社会の大転換が始まった年でもあり、それは能天気なストーリーテリングながらもその前触れみたいなものが織り込まれた脚本でもあります。やはり劇中で、リッチーが明らかにボブ・ディランを模したシンガーが“The Times They Are a Changin'”を歌っているところで足を止めて聞きほれるところなんかも印象に残ります。フォーシーズンズはじめオールディーズばかり流れるこの作品の中では、唯一異質な楽曲なので強いメッセージ性を感じてしまいました。 観るまでは『ウォーリアーズ』の様な硬派な展開なのかと思っていたら、実際にはどちらかと言うと『グリース』に近い様なコミカル要素が強い映画でした。冒頭で颯爽と登場してジョーイとターキーをボルティーズから助けるペリーがてっきりこの映画のキーマンなのかと思ったのにその後は活躍せずに影が薄くなってゆき、ボンクラなイタリア系高校生の群像劇みたいな感じでストーリーが進みます。色男のリッチーが恋人を孕ませたら、実は娘の親父はどう見てもマフィアの関係者という展開には笑ってしまいます。強面親父が実は愛すべきキャラだったというのも定石通りでしたがね。不気味だったのは幽鬼のごとくに現れるダッキー・ボーイズの面々、こいつらがアメフトの試合中に大挙出現して大乱闘を繰り広げるシークエンスは、シュールと言うか訳が判らんというのが本音です。 冒頭でワンダラーズの面々が通うクラスの担任がシャープ先生、生徒の人種出自を申告させると、イタリア系18人で黒人が15人。人種融和のつもりなのか互いのグループに相手方の侮蔑的な呼び名を言わせて列挙すると、教室内で乱闘騒ぎになってしまう。いやー先生、思いっきり外してしまいましたね、そりゃケンカにならないわけないでしょ!それにこの先生“すべての人間は平等に造られている”と言ったのは誰かと問題を出し、「その答えはエイブラハム・リンカーンだ」と言いますが、先生そりゃ違いまっせ、トマス・ジェファーソンですよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-07-27 22:18:43)
9.  ヒッチコックの ファミリー・プロット 《ネタバレ》 
これがヒッチコック御大の遺作というか白鳥の歌かと思うと、なんか複雑な感情があることは否めないかな。出演者というか実質的にはどちらも主役である二組のカップルのキャスティングは地味と言うか華がない、往年のヒッチコックならもうちょっとビッグなスターが出ているもんだったから寂しいよな。ブルース・ダーンが演じたジョージ役にはアル・パチーノやエドワード・フォックス、ウィリアム・ディヴェインが演じたアダムソン役にはバート・レイノルズやロイ・シャイダー、カレン・ブラックのフランにはフェイ・ダナウェイやキャサリン・ロス、ブランチ役にはなんとゴールディ・ホーンが検討されていたとのこと。ハリウッド俳優ならヒッチコック御大からお声が掛かれば喜んで出演しそうなもんだけど、ハリウッド界隈のヒッチコックに対する冷遇ぶりが判っちゃいます、まあ単純に予算と言うかギャラの問題なのかもしれませんけど。それでもバーバラ・ハリスのインチキ霊能者ブランチは傑作でした、彼女のことは不覚にも全然知らなかったけど、受賞こそなかったけど本作も含めオスカーとゴールデン・グローブ賞に合わせて5回もノミネートされた名女優だったみたいです。あと音楽がジョン・ウィリアムズなのがヒッチコック作品にしては珍しい、なんかいつもと全然違う雰囲気がありました。 どちらも脛に傷持つ接点がない二組のカップルが、妙なきっかけで段々と交わるようになってゆく過程が、軽いタッチながらも適度なサスペンスを織り交ぜてちゃんとヒッチコック映画になっているところは高評価でしょう。ジョージ&ブランチのカップルの方はケチな詐欺師なので二人の掛け合いが面白いが、アダムソン&フランの方は殺人も含めてけっこうシビアな犯罪カップルなので対照的。でも一見成功して店を構える宝石商であるアダムソンが、なんで誘拐を生業としているのかが理解し難いところがあります、しかも身代金がキャッシュでなくてダイヤモンドですからね。これならレインバード夫人に自分が養子に出された甥であることを名乗り出て全財産を相続する権利を確保した方が割が良くないんじゃないですかね、まあそうしたら養父母が火事で焼死した件が蒸し返されてしまうかもしれないか… 恒例のヒッチコック御大のカメオ出演ですが今回はすりガラスに映った影でした、これが今生の別れだったかと思うと感慨深いものがあります。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-07-24 22:53:55)
10.  パニック・イン・スタジアム 《ネタバレ》 
70年代パニック映画ブームに乗って『パニック…』と邦題も便乗したおかげでどうも安物のTVムービーの様なイメージがあって敬遠していたが、私の中では本作はいわゆるパニック映画とは違う種類の映画だったと思います。でも実際にも40分も追加撮影をしたTVムービー版(これがまた酷い駄作になってしまったそうです)もあるみたいで、『ミッドウェイ』も同じようなバージョンがあり当時のユニヴァーサルの営業方針だったんじゃないかな。 パニック映画的な要素としては互いに全く交わらない数組の観客の薄いドラマを挟んでいるところですが、余りに薄すぎて群像劇の出来損ないみたいになっちゃった感じです。犯人が何者でどんな意図があったのかはその容姿を含めてナゾのままで通していたところは好感が持てる、ある意味で『ジャッカルの日』以上だったのかもしれません。主役はもちろんビッグスター・チャールトン・ヘストンですが、どう見てもジョン・カサヴェテスのSWAT隊長に喰われてしまってます。前半ははっきり言って退屈気味でしたが、ハーフタイム過ぎてからはけっこう盛り上がる展開だったと思います。フィールド上で繰り広げられるLAとボルチモアの両チームとも、NFLから拒否されたため架空チームで、試合の映像もカレッジ戦のものだったそうです。それでも大観客がパニックになって逃げ惑うシーンは大量のエキストラを使っていて、さすがメジャーが製作した映画でした。 前半のテンポの悪さはありましたが思っていたより見応えがあったと思います。ラストのジョン・カサヴェテスの虚無的な独白も良かったが、ラストカットで暮れなずむスタジアムでハラハラと涙を流すマーチン・バルサムも印象に残りました。監督はラリー・ピアースで、あの『ある戦慄』を撮った人です。どおりでボー・ブリッジスが出演していたわけですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-07-18 22:29:10)
11.  Smile スマイル(2022) 《ネタバレ》 
これは完全に『ファイナル・ディスティネーション』や『イット・フォローズ』と同系列のホラーですね。思えばこの系列の始祖とも言えるのが『リング』ですから、Jホラーがハリウッドに与えた影響の強さを再確認させられます。 ヒロインである精神科医のローラが怪異現象に悩まされるようになってからの言動、それを見たり彼女の話しを聞かされる人間にとっては、「この女は完全に狂った…」としか思えないのはほんと無理ないかなと思います。その言動で実姉・婚約者・セラピストとの人間関係を壊したり絶縁されたり、あんなことされたり言われたりしたら誰だった怒りますよね。ここまで魅力的じゃなく不快にさせてくれるヒロインも珍しいけど、演じているソシー・ベーコンはケヴィン・ベーコンとキーラ・セジウイックの娘なんですね。“娘は父親に似た顔になる”とは言いますが、たしかに彼女の顔立ちにはケヴィン・ベーコンのDNAが感じられます。観る者をこれだけ不快に出来るということは、彼女の演技力がやっぱ高いレベルにあるとも言えるでしょう、これもやはり父親譲りなのかな。 本作は典型的な出落ち映画と分類できる感じで、類似作品と違って派手なスプラッター描写もほとんどなく、低予算だったんだなと思います。監督はこれが初の長編映画で、自作の短編映画をブローアップさせた企画らしい。前半のシメントリーに拘った室内シーンや、所々で挿入される天地が逆転してる風景ショットなどにはセンスを感じます。『イット…』や『ファイナル…』シリーズと同じくいわゆる“悪霊の謎ルール”がネタなんだけど、それら元ネタ群と違ってそこまで妙な理屈をこね回すまで至っていないのは好感が持てました。ホラーとしての怖さはさほどではないけど、偽セラピストがヒロインの自宅に来るシークエンスにはゾワッとさせられました。 最近つくづく思うのは、ホラー映画で舞台となる住宅は、なんで間接照明しか着けず室内があんなに薄暗いのかね?まあ雰囲気づくりを重視しているのは判るけど、あれじゃあまりにも不自然だと思いますがね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-07-15 20:44:36)
12.  さらば冬のかもめ 《ネタバレ》 
原題は“The Last Detail”、まあ“最後の任務”とでも訳すのが妥当かな。それを『さらば冬のかもめ』という詩情を感じる邦題にした配給担当者のセンスは素晴らしい、どう考えても水野晴郎じゃないよね(笑)。70年代の名邦題ベスト3を選ぶとしたら、私は迷わず選出いたします。たしかに“冬”の物語だったけど“かもめ”はまったく登場しませんでしたけどね。 募金箱からわずか40ドルを盗んだだけで8年の懲役を喰らった若い水兵を軍刑務所に護送する任務を命じられた二人の下士官、題材はちょっと変わっているけど展開自体は典型的な70年代ニューシネマお得意のロードムービーです。ジャック・ニコルソンが演じる“バッド・アス”ことバタースキー、葉巻をふかすこの映画のポスターはニコルソンのアイコンの一つになっているぐらいで、きちんと口髭を生やして実にダンディーです。40手前の中年男のセーラー服姿がこれほどカッコよくなるとは意外です。この反抗的で自由奔放な男が、生真面目で「俺とお前は海軍に一生務めるんだぞ」が口癖の黒人同僚を翻弄するさまは観ていて可笑しい。護送される水兵はランディ・クエイド、ガタイはいいけどガキっぽいというかちょっとおつむが足りないんじゃないかという感じが良く出ていました。同じ東海岸に位置する基地と刑務所を往復するのに一週間近くかけてもイイなんて、雑というかいかにも70年代の弛んだ米国の軍紀が垣間見れます。お題目を唱えることを布教する謎の日蓮宗若者集団、これはやっぱり例の学会なんでしょうね。ランディ・クエイドは彼らと交流した後は「ナムミョウホウレンゲキョウ」がすっかり口癖みたいになっちゃうのも可笑しい。彼を折伏しようとする女信者、どっかで見たことあるなと思ったら、若き日のナンシー・アレンでした。 すっかり二人と意気投合して友情関係を育んだと思わせたメドウズ=ランディ・クエイドでしたが、公園で突然脱走しようとするところはいかにもニューシネマらしい展開。でもそこでジャック・ニコルソンが銃を撃たなかったところは、明らかにそのパターンからは外れていました。メドウズはけっきょく予定通り収監されてしまうのでハッピーエンドと言えるのかは微妙なところですけど、なんかホンワカな気分になる味のある作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-07-12 22:14:32)
13.  トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男 《ネタバレ》 
二度もオスカー受賞したのに、どちらも借名や架空名義にするしかなくて自身の名前を出すことが出来なかったダルトン・トランボ、ある意味この映画は“名前を消される”“社会から存在を否定される”ことの恐怖が主題だった様な気がしました。トランボは言わずと知れた“ハリウッド・テン”のリーダー格だった人、実際にも共産党員だったけどただの一般党員でとっくに離党しており、別に過激な政治活動をしていたわけでもなく俗に言うところのリベラルという分類に当てはまるんじゃないかな。このいわゆる赤狩りの恐ろしいというか雑なところは、議会の公聴会の様な衆知の場で自分が党員だったことを告白しなければならないところ。FBIに監視はされていたけど非合法だったわけではなくて、証言を拒否すると偽証したわけではないのに議会侮辱罪なるヘンな法律でムショにぶち込まれるという恐ろしい話しです。実際にスパイ活動をしていたというなら話は別だけど、スターリン時代のソ連だって北朝鮮だって頭の中で考えるのは自由で、止めさせることは不可能でしょ。 監督があの世紀のおバカ映画『オースティン・パワーズ』シリーズのジェイ・ローチなんでちょっと訝しかったんだが、観てみると実に見応えがある正統的な映画でした。ブライアン・クラストンの演技は素晴らしくて、実際はどうだったんだが知らないがトランボの誠実な人柄が印象に残ります。非米活動委員会側の映画人たちの陰険さはたまらなく不快感を催すけど、中でも“蛇の様に嫌らしい女”としか言いようがないヘッダ・ホッパーを演じたヘレン・ミレンがこれまた強烈。こんな憎まれ役でも軽々と演じてしまうのが彼女の凄いところです。ロジャー・コーマンと並ぶ50年代B級ムービーの帝王であるキング兄弟、その兄であるフランクを演じたジョン・グッドマンには笑っちゃいました、だってこの人は過去にも『マチネー』や『アルゴ』で映画プロデューサーを演じていて、もう太っ腹の映画プロデューサーは彼の専売特許のようです。そんなクズ映画を量産していた彼が、トランボの書いた『黒い牡牛』でオスカー受賞してしまったのは皮肉としか言いようがないですね。そして『スパルタカス』製作時のカーク・ダグラスのカッコよさにも惚れ惚れしましたね。できればダグラスがトランボの名前を脚本クレジットに出すべきか悩んだときに、キューブリックが「だったら俺の名前にすりゃいいじゃん」と提案して来て「スタンリーよ、君は才能があるけど実にクソったれな奴だ!」と激怒して言い返したというエピソードも入れて欲しかったな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-07-06 23:21:03)
14.  スケアクロウ 《ネタバレ》 
やたらと重ね着をしたがるムショ帰りの粗暴な大男=ジーン・ハックマンと、妻子を捨てて5年も船員として放浪していた気はイイんだがちょっとおつむがたりなさそうな小男=アル・パチーノ、この若かりし頃の二大名優が最初で最後の共演をしたロードムービー。クレジットの人名をすべて小文字にするという、典型的なアメリカン・ニューシネマの一編です。この当時のアメリカ国内は見るも無残な状態にまで堕ちていましたから、ロケで見せられる風景もわざと荒んだ場所を選んでるんじゃないかと思わせるような感じです。はっきり言って中盤まではダラダラした展開なんだけど、ハックマン&パチーノの組み合わせが妙な化学反応を起こしているような感じで、やっぱ引き付けられるものがあります。刑務農場での体験を経てからは二人のキャラが入れ替わっちゃうのが面白い、とくにハックマンのストリップは強烈でした。デトロイトにパチーノの妻子に会いに行ってからラスト三十分には、観ていて胸が締め付けられる感がありました。亭主が生死不明の失踪ということにして他の男と再婚した妻の心境は判らんでもないが、息子は八ヶ月で流産したなんて大嘘をつくところはいくら何でも…って思いますよ。これでパチーノのメンタルは完全に崩壊してしまうんですから、なんちゅう残酷なことをしてくれたんだ、と思います。思うにアメリカン・ニューシネマに登場する女性キャラにはロクでもない女が多い様な気がします、まあ女性が主人公というニューシネマ自体がパッと思いつかないぐらいですからねえ。まだアメリカですらそういう時代だったのかな。
[DVD(字幕)] 7点(2024-06-28 22:52:30)
15.  ハッド 《ネタバレ》 
テキサスの老牧場主とその息子の確執を描いていてこのモチーフは『エデンの東』を彷彿させるところもあるけど、冷徹極まりないストーリー展開と救いのない結末は一線を画しています。ポール・ニューマンが演じるハッドは倫理観が薄く享楽的な男で、問題児がそのまま大人になったような感じ。メルヴィン・ダグラス演じる父親ホーマーは律儀で頑固で真面目一徹、ハッドを激しく嫌っていてハッドの酒酔い運転のせいで死んだ長男の遺児ロンに目をかけて可愛がっている。そんな男所帯を住み込みの家政婦パトリシア・ニールが世話しているが、実質この四人だけで展開する物語です。牧場では口蹄疫が発生して全頭を殺処分しなければならなくなるが、その裏ではハッドは牧場の代替わりというか乗っ取りを画策していて、親子の対立は激しさを増してゆく。そんな小悪党じみたハッド、ポール・ニューマンは思わずハッドのキャラに感情移入してしまいそうになるところを突き放してくる様な見事な演技を披露しています。思えばニューマンは監督のマーティン・リットのアクターズ・スタジオでの教え子、彼の演技の上手さと凄みを引き出すには適任だったと言えるんじゃないかな。また撮影監督のジェームズ・ウォン・ハウの神がかった様なカメラが凄いんです。広角カメラで撮った広大なテキサスの地平線を捉えた冒頭のシーンなどで見せてくれる風景ショットには、ハッドと彼を取り巻く殺伐とした人間関係の心象が溶け込んでいたような気がします。また“ローキー・ハウ”の異名を授けられる彼の照明への拘りは、モノクロ映画ながらアップショットではニューマンのトレードマークである“ブルー・アイ”が見えたように感じるほどです。 死にゆく父親に「俺が長生きしたらお前は迷惑だろう」と言われるハッド、最後まで一ミリも理解し許しあわなかったこの悲劇的としか言いようがない父子関係は、リアルではあるけどなんか悲しくなりますね。そんなテイストの作品でしたが、当時勃興し始めていたアメリカン・ニューシネマとは明らかに一線を画す一編だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2024-06-22 21:50:26)
16.  ギャンブラー 《ネタバレ》 
『ビッグ・アメリカン』 (個人的にはこの作品はウエスタンと括ってしまうのは疑問) もあるけど、ロバート・アルトマンの最初で最後の西部劇映画でしょう。製作年代はアメリカン・ニューシネマの全盛期、西部劇自体が瀕死状態になりつつある頃ですが、いかにもアルトマンらしいタッチのウエスタンに仕上がっています。ラスト近くなるまで何か起こりそうで起こらない展開は現在ではよくあるストーリーテリングなんですけど、雪が降り積もる様な地を舞台にしていることなんかも当時は斬新に受け取られたんじゃないでしょうか。プロのギャンブラーで僻地に売春宿兼ホテルを建設して事業家になろうとするのがウォーレン・ベイティ、このキャラがまたちっともヒーローらしくなくて商売の駆け引きも下手、おまけに銃の腕も大したことがなくてラストの銃撃戦も隠れて敵を撃つタイプ、挙句には敵弾をくらって致命傷を負う始末。つまりいかにもニューシネマ・ウェスタンらしいヒーロー像なわけです。彼らが死闘を繰り広げているところにカットバックされる燃える教会を消火しようと奮闘する町民や娼婦たち、ここはいかにもアルトマンらしい感じがありましたね。 本作は公開時にはアカデミー賞ではジュリー・クリスティー以外は完全にスルーされましたが、『死ぬまでに観たい映画1001本』に選出されたりアメリカ国立フィルム登録簿に登録されたり後年に評価が高まってきているそうです。でも自分にはウケはイマイチだったというのが率直な感想で、やっぱアルトマン作品とは相性が悪い傾向があるみたいです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2024-06-19 21:31:42)
17.  波止場(1954) 《ネタバレ》 
当たり前ですけど、マーロン・ブランド、若いですよね。こうやって彼の顔をしげしげと眺めると、彼が当時の普通のハリウッド二枚目俳優とはかけ離れた面構えだったことが強く認識できます。彼が演じるテリーは元プロボクサーだった港湾日雇い労働者、腕っぷしは強いはずなのにレース用の鳩の飼育が生きがいで野心もなく日々を流されてゆく男、つまりとてもヒーローになるとは考えられない男なんです。この映画の醍醐味は、そんなどこにでもいそうな凡人をリアルに演じたブランドの演技力とエリア・カザンの演出力にあるんじゃないでしょうか。今じゃすっかり機械化・省力化されているので港湾貨物の積み下ろしが全て人力に頼っていた時代があったなんて想像できませんね、現代ではせいぜいクレーン・オペレーターぐらいしかいないんじゃないでしょうか。この日雇い労働者たちを喰いものにしているボス=リー・J・コッブは実在のマフィアのドンであるアルバート・アナスタシアがモデルなんだそうですが、現在日本最大の勢力を築いているあの組織ももとは神戸港で似たような事をしていたのがルーツであることを想起させられます。カザンの演出は極力リアル指向で、悪に立ち上がる単純なヒーローのストーリーにはせずに、最終盤になるまで仲間の労働者たちが誰もブランドを助けようとしないところがまたリアルです。まあブランド自身も兄=ロッド・スタイガーが殺されるまでぐらついてたから、無理もないのかもしれませんが。タクシー車内でブランドがスタイガーに言う「違う、タイトルは獲れたんだ。そしたら多少は大きな顔もできる身になれた、見ろ、今の俺はただのゴロツキだ!」というシーンは、“アメリカ映画の名台詞ベスト100”の選出で第三位にランクされているそうです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-16 22:39:38)
18.  リプレイスメント 《ネタバレ》 
アメフトのことは全然判らない自分ではあるが、力士をアメフトの選手にしたら最強なんじゃないかと思ったことがありました。もちろんある程度走ることが出来たらばという前提だけど、相撲取りは実はけっこう短距離ならダッシュ力が凄いんだそうです。そんな妄想がまさか映像として観れるとは、でもそいつはフミコという名前で「ナンデスカ!」というのが口癖のヘンな奴でした(笑)。 もうこの映画は誰が観たって『メジャーリーグ』のアメフト版なんですけど、80年代青春映画の巨匠ハワード・ドイッチェが監督ですから実に爽やかな仕上がりとなっています。コメディ度合いは『メジャーリーグ』ほど強くはなくて、所詮代理選手なので正規メンバーに席を譲らなければならないほろ苦さもきちんと描くところが、さすがドイッチェらしいところです。プレーオフ進出を果たしたのに翌日には元の生活に戻ってゆく代理選手たちが、ラストで懐かしの“恋のサバイバル”に合わせてダンスするところでは、ちょっとジンときました。アメフトに詳しかったらもっと愉しめただろうなと感じましたが、そんな門外漢でも楽しめるということはこの映画が良作だということでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-06-13 21:25:28)
19.  イコライザー2 《ネタバレ》 
前作を観たのは5年前、細かい設定などはすっかり忘却していましたが、たしかホームセンターの店員だったデンゼル・ワシントンはLyftの配車サービスの運転手が世を忍ぶ姿なんですね。この種のサービスは日本では認可されていないんのでいまいちピント来ないけど、Uberのタクシー版というイメージなんでしょうね。この配車サービスの運転手という設定はけっこうストーリーでは重要な要素で、Lyftがスポンサーになっているのかもしれませんね。デンゼル・ワシントンも前作の仕事人的な活躍ではなくて旧友メリッサ・レオ殺害に対する復讐がメインになっていますが、ホームセンター店員の時の様なトリッキーな殺しの技が無くて、なんか物足りなかったです。誘拐された少女の救出や絵描き志望の黒人少年を善導したりしていますがなんかとってつけた感があって、これじゃ“イコライザー”と称する意味が薄いんじゃないかな。でも、最近はトム・クルーズやマット・デイモンなどが元凄腕エージェントとして活躍するシリーズものが多い感じがするけど、やっぱオスカー俳優であるデンゼル・ワシントンが演じると、ストーリーは大したことなくてもなんか深みを感じてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-06-10 22:23:42)(良:1票)
20.  マッシブ・タレント 《ネタバレ》 
最近のニコラス・ケイジの持ち芸である自虐ネタが炸裂しているしプロデューサーにも名を連ねているので、彼がまたヘンな思い付きで撮った映画なのかなと思いきや、外部から持ち込まれた企画だったらしい。一応は彼が演じているのはニック・ケイジというハリウッド俳優ということにはなっているが、これはニコジー本人がモチーフだというのは言うまでもないです。所々でニック・ケイジの別人格であるニッキーが登場してニック・ケイジと論争しますが、ニッキーの見た目やコスチュームが若き日に演じた『ワイルド・アット・ハート』のセイラーそっくりなのが面白い。特殊メイクやAIを駆使したんだろうと思うけど、すっかりふやけてしまった現在のニコジーから良くあそこまで再現できたなと感心します。彼の主演した過去のヒット作からの小ネタが満載なのはファンには嬉しいところですが、なんかこの脚本にはハッチャケ具合が足りないんだよな。基本的にはニック・ケイジがCIAエージェントに仕立てあげられる典型的な巻き込まれ型ストーリーなんだけど、後半になるほどコメディ要素が薄くなってストーリーももたついてきちゃうんですよ。そういう点では段々と正統的なアクション映画っぽくなっているとは思うんだけど、この映画をチョイスして観始めた人はそんなこと期待してないんじゃないかな。そういう点ではなんか中途半端感が拭えなかったというのが感想です。 デミ・ムーアも出演しているらしいけど、いったいどこにいたの?ラストの映画上映後のスタンディングオベーションの中にいたのかな?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-24 23:03:51)
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