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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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221.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
この映画はまず「戦国時代の姫君と三人の悪人が、黄金を背負って敵中を突破する」という筋を知っていないといけない。 何故なら、肝心の主役格の悪人と姫君が登場するまでに30分も時間がかかるからだ。 それまでは戦場で手柄を立てて出世しようと勇んで出てきた太平(何やってんの平八)と又七(万造、侍を目指す)たちの愉快なコンビによる波乱万丈な場面を追うことになる。 予備知識無しで見た人は「そうか又八たちのユニークな物語なのかー」と勘違いするだろう。 いや実際そうなんだけどさ。 最初から太平たちを主人公として見るか、宣伝通りに雪姫と真壁六郎太を主人公として見るかでかなり見方が違ってくる。 そしてようやくメインの六郎太と雪姫の御登場だ。 メインディッシュとデザートが次々出るように流れがガラッと変わる。 又八たちは脇を支える漫才コンビとして立ち位置を変えてくる。 宣伝を見てきた人は「待ってました!」と思い、予備知識無しの人は「悪そうなサブキャラが出てきたなー」と思う。 そしてようやくジャケットの人物が誰なのかが判明する。 別のDVDの雪姫と六郎太のツーショットのジャケットならともかく、又八たち4人が居並ぶジャケでは判断がしにくいだろう。むしろそれが狙いの一つなのかもしれない。 泥にまみれながら懸命かつ愉快に生きる又七たち、利用しつつも結構思いやりのある六郎太、そして泣きっ面が最高に怖いが、本当は心根が優しく芯の強い、寝顔が可愛い太股のエロゲフンッゲフンッ男前な雪姫。 個性豊かだ。 特に六郎太の馬上での迫力満点な追撃、無駄に長いが見応え充分の決闘(あまりに長かったので「椿三十郎」のような一瞬の決着が生まれたのかも)。 しかし、ラストはどうなのだろう。 前には処刑台、後ろには脱出口! 兵衛の槍の唸りで二人を解放。 「志あるならば続け!」 颯爽と駆け抜ける雪姫、雪姫の侍女をヒラリと乗せ駆ける六郎太。そして兵衛の「裏切り御免!」 普通こういう場面は最高にカッコイ筈ずなのだが、好敵手との決闘を咎められて顔を鞭打たれた兵衛。 元々気遣いがある男ではあるが、「おまえの上司はカスだ!あたしそんな事しねーし!あーあー、どうせ死ぬんだ、直前まで遊べて良かったー!」なんて言われて同情してしまう兵衛。それでいいのか兵衛。何故だろう、何処か釈然としないのだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 18:44:00)(良:1票)
222.  夜の女たち 《ネタバレ》 
口×田中絹代と聞くだけで絶望するような人もいるかも知れないが、今作の田中絹代の凄味は他の溝口作品には無い気合を感じられる。  戦後の混乱を女性から描こうとする執念に満ちたタッチ、目を背けたくなるようなシーンの連続で時代に翻弄された女性の現状と力強さを訴えかけた。  女性たちを蝕む厳しき時代の波、家族を失い娼婦としてしか生きられなくなった女の哀しみ、その中で図太く生きようとする女性たちの強さ。  ラストは救いが無いと言わんばかりの畳み掛けだが、それでも彼女たちは辛い現実を真正面から生きていくのだろう・・・そんな映画。 そう、溝口の鬼畜の如きシゴキに耐えた女優たちの気高さのように・・・!
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-13 18:38:06)
223.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
本人は不本意な胸中だったかも知れないが、実際に零戦に乗って激戦をくぐり抜けたパイロットたちは愛機と死線をくぐる事をいとわなかった。 零戦に愛情を注いだ二郎の魂に、パイロットたち空に生きる人間の魂が共鳴していたからだろう。 だからこそ二郎は「諸刃の刃」の犠牲よりも、自分の飛行機を愛してくれた男たちの命を何とか助けてやれんかと叫ぶ。 座席の裏側に防弾の鉄板を設置できていたら、一体どれだけ多くのパイロットを生還させられたのだろうか。そんな二郎の願いは、物資の不足と軍部に握りつぶされる。 やり場の無い怒り、戻ってくる零戦の残骸に心を打ちのめされる日々(劇中では描かれないが、そういう虚しさがひしひしと伝わる)、そして最愛の人である菜穂子を蝕む病。 二郎の心は渇いていく。 まるで二郎に声を充てる庵野のように、仕事に対する冷静かつ、冷徹な「執念」だけが研ぎ澄まされていく。 憧れのカプローニのような飛行機をいつか作りたい。 夢と情熱を執念にかえて生きる二郎。 その強すぎる思いが、時に人を傷つけ、自身でも気づかない内に空回りする時もある。 そんな次郎を、菜穂子はただ黙って見つめる。 病に苦しむ菜穂子の横で、二郎は遠慮なく煙草を吸う。他人を思いやる余裕が心に無い次郎を、菜穂子は黙って許した。「いいわ」の一言で。 戦争が嫌いな男が戦闘機を作っている。そんな矛盾に満ちながらも、自分のやりたい事に真っ直ぐに生きる男に惚れてしまった、そんな女の「覚悟」でもある。 他人は「どうしてそんな事ができるの?信じられない?」と思うかもしれない。 解る人は解り、解らない人は一生解らない。 二郎と菜穂子の目に見えない「絆」は、その域に達してしまっていた。 戦争は終わりを迎える。 菜穂子は先にあの世に旅立ってしまったが、二郎は後に民間機の「YS-11(オリンピア)」を作った。武器も無い、多くの人々を安心して乗せられる旅客機だ。 彼の念願が自由に形にできる時代がやってきた。 二郎は本懐を遂げられたのだろうか。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-13 18:33:47)
224.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 
放送当時は真昼間の一回だけ。 それでも視聴率が二桁いったとか。 やっぱりジブリは凄い。 放送内容も凄かった。 「おもいでぽろぽろ」の高校生バージョン? と思ったら、ジブリ映画にはまずいないビッチすぎるヒロインの話でした。 取り敢えずそんな彼女を許してくれる友達の心の広さに感動したねー。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-13 18:28:03)
225.  踊る大捜査線 THE MOVIE 《ネタバレ》 
最初で最後の「青島殺し」。 ドラマの劇場版なんて所詮ドラマの延長・・・だが本作は少し違う。 何故なら本気で「青島殺ろうぜ」という気概に溢れていたからだ。 「太陽に吠えろ」のジーパン殺し並みの勢いで。  ドラマは織田裕二と柳葉敏郎のピリピリした空気が魅力だった。 そこに警察の鬱憤やら汚職やら何やらをユーモアたっぷりに添える。 「逮捕しちゃうぞ」や「パトレイバー」のゆるい空気とシリアスな空気の両立。  ストーリーはいつも通り、 湾岸署に本部ー、 所轄はダメー、 青島どこ行くのー、 キャー窃盗ー! 一見すれば予定調和・・・だが、本作はそれほど生易しいものではない。  自分の死の運命が迫る青島。 犯人を見つけ、深手を負いながらもホシを逮捕する青島。  青島は、逝った。 この期を逃したらもう二度と殉職は出来なかっただろう。 いやあの瞬間だけでも逝っとけ。 だってあの血の量だぜ? 横でグーグーじゃねえよ馬鹿野郎・・・よくぞ生き残った青島。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-11 08:36:25)
226.  折鶴お千 《ネタバレ》 
溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。 ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。 まずファースト・シーン。 機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。 その駅から神社を見つめる一人の男。 一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。 その女性もじーっと同じ神社を眺めている。 実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。 そこから主人公の目を通して過去が語られていく。 山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。 男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。 そこに走り込んできた一人の女。 これがこの二人の出会いだ。 女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。 男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。 エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。 その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。 口に刃物を添えるところは色っぽいね。 まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。 ただそこは溝口。 簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。 いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。 小津とは違うパターンの天才。 女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。 ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。 その山田五十鈴が良いねえ。 折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。 ただ運命は彼女を追い詰める。 そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。 いい女だなぁ・・・。 それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。 我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。 まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。 まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。 そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)! 溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。 溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。 泉鏡花あああっ
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)
227.  稲妻(1952) 《ネタバレ》 
成瀬巳喜男のやるせないドロドロ全快な傑作「稲妻」。  登場する兄妹は全員父親がバラバラ。 この時点で「(゜д゜)」である。流石成瀬初っ端から残虐だ(褒めてる)。  更には突然落雷が起こるように次々と家族に不幸が訪れる。 拍車をかけるフラストレーション・・・爆発した怒りの「叫び」は雷雨の如く家族を嬲り合う。  ただ稲妻は同時に恵みの雨をもたらす。 暗闇を一瞬でも照らす稲妻は希望の光でもある。 そして嵐で生き残った者には肥沃な大地が待っている。 嵐で荒れた大地を人の手で豊かにしていくように、彼らもまたそれぞれの希望を胸に新しい人生を初めていくのだろう。 清々しい作品だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 04:37:06)
228.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 
オーソン・ウェルズの「マクベス」には及ばないが・・・あの怪奇幻想的な雰囲気が登場人物たちのドロドロした情念みたいで面白いんだけどさ、霧の中突っ走る場面は長いし、盛り上がりも少ない。 淡々と一つ一つ事を片付けていく感じだな。 一人の男が栄華を極め、そしてあっけなく滅んでいく。 こんなところに住みたい民はいねえだろうな。 だって城下町が無いんだもん。 夜逃げでもされた?  ただラストシーンは壮絶! もうそこだけは何回も見たくなるね。 動くはずがない森が動き出し、絶望に暮れ始める鷲巣たち。 円谷英二の怪獣映画さながらの技法が、このおどろおどろしい映画を一気に盛り上げる! いままで散々上司や仲間を裏切ってきた男に、真の忠誠を示す部下は一人もいない。 一方で、苦楽を共にしてきた小田倉と義照には心で結ばれた部下を率いる。 いつも対照的な役柄を演じる三船敏郎と志村喬が魅せる光と影が如実に現される。 そして矢の雨が横から降り注ぐ凄まじい絵! マジで本物の矢をドカドカ撃ちまくる! 矢が首に刺さって苦悶の表情をする鷲巣。 まるで往年のサイレント映画さながらだ。 映画は鷲巣が崩れ落ち、強者どもの夢の跡を映す城跡が映り幕を下ろすが、撮影後に三船が本気でブチギレて散弾銃を武装して押しかけた話はあまりにも有名である。  いやあ、本気で監督を殺しにかかれる俳優、今の時代にいるかい?(何を言ってんだ俺は)
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 04:32:11)
229.  あなた買います 《ネタバレ》 
「人間の條件」以降の小林正樹は苦手だが、それ以前の「この広い空のどこかに」や「黒い河」「三つの愛」といった庶民的でコンパクトなドラマはかなり好きだ。 小林正樹が苦手という人も、初期の作品を見てから判断しても遅くはないだろう。  この「あなた買います」もまた、そんな好きな映画の一つだ。 当時のプロ野球界の選手獲得問題を巡って、ドロドロかつシュールな奪い合いを描いていく。 いつもの堅苦しく窮屈な感じはしないし、何より利用する側と利用される側の立場が徐々に入れ替わっていく駆け引きが面白い。無垢な人間を“演じて”いた事が発覚する瞬間が怖い。   まず冒頭のシークエンスからして素晴らしい。 駅に着いた機関車から車、新聞とシーンが繋がっていく。 新聞に掲載された野球選手の写真、運転手と男の会話。これだけでも彼が「野球と何か関わりがある」と想像させてくれる。 男は山から海まで誰かを探しまわり、ビルの事務所らしき場所に“戻り”、またすぐに野球場へと“出掛けて”行く。 車が轢きそうになった女性が、野球場で活躍するある選手に笑みを送る女性として再び姿を現す。  とここまで、短いショットを繋げたスピーディーな演出で一気に引き込まれてしまった。  佐田啓二の演技も良いし、何より伊藤雄之助の存在感!  後期の小林正樹が好きな人は物足りなさを感じるかも知れないが、俺のように後期よりも初期の小林正樹の方が惹かれるという人にこそこの映画を見て貰いたい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-10 08:11:22)
230.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 
未熟な母親の成長と挫折。 冒頭から「美女と野獣」が一線を超えたようなストーリー展開。  セリフを省いて絵だけで物事を語る演出は素晴らしかった。  愛した者と死に別れ、女で一人で二人の子を育てる彼女の力強さ。 田舎の屋敷を一人でキレイにしてしまうなど、全国の主婦は見習いたい体力だ。 母親の無欲なひたむきさは村の人々も突き動かす。 文太のオジキ!ついて行きます!  ただ、脚本家の強引なフルスイングで引っ張るような内容である。 若さに溢れる「花」と「おおかみおとこ」の恋愛は、その後に待ち受ける苦労の道を考えない軽薄さで溢れていた。 「おとぎ話」でリアルな子育てをするという無茶振り、子育てにしても多少描写不足で危うい。 「聖母マリア」のような言葉で片そうとする母親像は危険でもある。 最愛の夫の突然の死が、彼女に早急な覚悟を決断させたのかも知れない。 そんな未熟さが、「雨」に父の跡を追わせてしまった。 むしろ「雨」のような野生の世界でしか生きられない者はそれで良かったのかもしれない。 ただ「雪」は人間として生きていく覚悟を決めた。 「雨」が「おおかみおとこ」と同じ道を辿るのかは解らない。 けれども、そこには「花」から貰うことが出来た愛情が宿っていると信じて。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-09 21:55:59)
231.  日本の悲劇(1953) 《ネタバレ》 
よく木下恵介の事を「お涙頂戴のクソ野郎」と言う人もいるが、「風前の灯」や「お嬢さん乾杯!」といったコメディを撮っている木下が好きな俺は褒め言葉の一つだと思っている。 ただ、今作に限ってだけは「お涙頂戴のクソッタレ野郎がっ!!!」と声を大にして同意したい。 子供の前だけで泣くのは立派に見えるかも知れないが、流石に何回もグチグチ泣き出されたら誰だって「あざとい」と思うわ。 あのクソ板前も言ってるだろうが「めそめそしないでしっかりしろよ」って。大事な涙は子供が出世した時にとっといてくれません?弟が観客の声を代弁してくれてるぜ「すぐに泣くんだ」とよ。 「二十四の瞳」は滅多に泣かなかったというに。 歌に始まり歌に終わる本作は、どんなに絶望的な状況でも情緒を忘れない木下が完全に情緒を投げ捨てる。 まずは強烈なファーストシーン。 ドラムの連打にニュースフィルムでも見るような戦後の混乱の様子。 青空教室、バラック、マッカーサー、うどんの食べたくなる情景。 そして画面を支配する重苦しさ。戦争によって全てを失い、残った子供たちを食べさせるために自ら闇に堕ちていく母親。だが皮肉にも彼女の頑張りは様々な屈折を経て失望と憎悪の対象に変わってしまう。冷めた親子関係、女の悲劇、男の悲劇、日本の悲劇。 徹底したリアルな会話がさらに拍車をかけて母親と視聴者の心を追い詰める。 母親はどんなに辛い目に遭おうと耐え続ける。そこには希望とも言うべき子供たちがいたからだ。尊厳が無くとも子供たちがいれば生きていける。ただその希望が離れてしまう時、彼女の体を支配するのは生存本能ではなく死だ。ヒロイン達に辛く当たる人々も、日々のストレスを誰かに吐かないとやりきれない。殴ったことを一応謝った板前はまだマシ。 サイレント映画のような魅せる事にこだわった描写も凄い。 男に体を辱められた様子を割れたガラスで表現する徹底ぶり。 ヒロインのストーリーと同時進行で娘の危険な恋も描いていく。 母に失望した娘、嫁に失望した夫、世の中に失望した者同士の情事。三つ巴の電話越しでのやり取り。親が親なら子も子供。飛び出した塾の外で一瞬笑みを浮かべふっと失望したかのような表情をする女の顔。 俺はこういう徹底的に暗い話は大嫌いなのだが、この恐ろしい出来栄えは評価しなければならないだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-09 00:03:54)
232.  銀嶺の果て 《ネタバレ》 
「隠し砦の三悪人」の原型そして三船敏郎のデビュー作。 つうかデビューしたてでこの「雄」の匂い・・・! 野性的なエネルギーで画面を引っ張る。 デビュー初っ端で悲惨な最期って・・・黒澤三船殺し過ぎバロス。 こりゃ散弾銃もって監督殺しに行きたくもなるわ。  三船敏郎、小杉義男、高堂国典、そして志村喬と黒澤映画の常連三人が早くも居並ぶ。 悪のまま滅び行く三船たち、人の優しさに気づき改心する志村。 二人の「光と闇」の図式は既に完成していたようだ。 さらに伊福部昭の音楽! 明るいスケートの場面で流れる悲しきホルンの音色・・・主人公の顛末を物語る。 谷口千吉と黒澤明の脚本、伊福部の音楽が光る隠れた逸品。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-08 23:53:55)
233.  座頭市と用心棒 《ネタバレ》 
倒産寸前の大映を立て直すべく、勝新太郎と三船敏郎、若尾文子、嵐寛寿郎、寺田農、監督に岡本喜八など最高に豪華でアクの強い俳優陣を揃えた。 特に勝新太郎と三船敏郎のピリピリ具合が凄い。 実際に酒を飲んで撮影に参加、セリフも不明瞭で動きでだけで演技を押し通す。 役者として三船敏郎にブチ切れる勝新! 勝「何でこんな奴と一緒にやんなきゃなんねーんだよ。ふざけやがって・・・ブチ殺すぞ大根野郎」 三船「面白え。やれるもんならやってみやがれドめくら」 共に多くの修羅場を潜って来た者が出せる殺気に満ちた二人のやりとり。 視聴者はワクワク、制作陣は心臓バクバク。 流石に最盛期ほどのキレが無い三船だが、その存在感とユニークで油断ならないキャラは中々のもの。 勝新も機嫌を取りながら「いつか殺す。ぜってー殺す」と虎視眈々と隙を狙うような眼光がたまらない。 とにかくファン必見の映画。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-08 23:50:32)
234.  座頭市千両首 《ネタバレ》 
この映画の見所と言えば、やっぱりあのシーン。  投げた賽銭の位置を耳と空気のゆらぎで把握し、落ちた瞬間一閃! 真っ二つ。  凄えよ・・・。話は相変わらずと言えばあいも変わらずだが、数を重ねるごとに勝新の居合抜きが凄くなってると感じるのは俺だけ?
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-08 23:41:09)
235.  ホーホケキョ となりの山田くん 《ネタバレ》 
「ののちゃん」はジブリで知った。 そして「味噌汁に飯ぶっ込む奴もいるのか」と不思議に思った映画だった。 今じゃそこに納豆混ぜて食ってる自分の食習慣を時折疑う(しかも朝飯)。  絵がどうのこうの言っている奴は、新聞に連載されている「ののちゃん」を見た事あるわけ? でも、ジブリだったらもっと動く絵で「ののちゃん」を描いても良かったとは思うけど。そういう意味じゃ物凄くもったいない映画。その変を気にしない人にこそもっと評価されるべき作品。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-08 22:20:05)
236.  朝日は輝く 《ネタバレ》 
溝口健二の初期のサイレント作品。  これは元のフィルムの四分の一しか残っておらず、「東京行進曲」同様ダイジェストみたいな作品だ。  光の洪水から始まるオープニング、 電光掲示板でタイトルを出す斬新さ、 新聞と地球儀の数で月日を表す、 当時としては珍しい空撮映像、 新聞を製造する機械のうなりが聞こえるよな映像とかなり凝った実験的な作りだ。 完全に朝日新聞の宣伝ですハイ。そっちの「朝日」かよ!  溝口健二も結構職業監督というか、国の政策で幾つか映画作ってたんだな。 こういう映画と他のサイレント映画もいっしょくたに国が管理してくれていたらよかったんだがなー・・・残念だ。  戦争みたいな映像や関東大震災後の東京をチラリと映す。 それを新聞の記事として執念で追う記者たち。 記者にとっては大事な仕事、ただ一般人には邪魔だよな。 それでも記者は命懸けでネタを追う。 船の事故の時も「後でたらふく助けるから先にネタをくれ」だ。 図太いんだか白々しいんだか。  あっという間の25分だった・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 21:20:33)
237.  さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅 《ネタバレ》 
機械化帝国は滅びなかった。 戦争は全てを倒さなければ終わらないのか? どうすれば終わるのか? 際限なき戦いの中で出会う新たな仲間、新たな敵。 より多くの死を乗り越えてまた一つ成長していく鉄郎の物語。 銀河を駆けるレールの如く鉄郎の旅は続いていく・・・いつか再び故郷に戻ると信じて・・・。  前作と同じようでいてまったく違う最終決戦の迫力も見所。  ハーロックとエメラルダスも相変わらずカッコイイ。  ミャウダーと「ダースベイダー」みたいな黒騎士ファウストがお気に入り。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 20:19:05)
238.  銀河鉄道999 《ネタバレ》 
松本零士の夢と希望が詰まった銀河鉄道999。 りんたろうの手腕、ネームバリューだけと言われるが市川崑もカットの繋ぎをテンポ良くしたり無駄なシーンを徹底的にカット等、りんたろう以上に編集をしたらしい。その結果かどうかは知らないが、本作の流れるようなストーリー展開は素晴らしい。  パラレルワールドであるが、原作よりもシリアス色の濃いストーリー、機械化の波に抗うため人間として生きるハーロック、エメラルダス、アンタレスたち。  遠く離れた仲間や家族に会いたいと願うトチローとメーテル。  機会に憧れる鉄郎の顔立ちも、幼い子供から成長した少年の表情となっている。  徹底的に無駄を削いだストーリー、次々と散って行く仲間たち。  それでも「引き金を引く覚悟」を決めた鉄郎に同調して散って行くのだ。 無駄死にでは、ない・・・!  ラストに流れるゴダイゴの「The Galaxy Express 999」。 全ての血を洗い流すように、穏やかにラストを締めくくる・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-07 20:18:01)
239.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
常に陰鬱な空気が包み込む「金田一耕助シリーズ」の第一弾。 原作以上にエログロナンセンスをねじ込む市川崑の世界観が拡がる。 オープニングの斬新なクレジットの入れ方はカッコイイ。けど、このシリーズが市川崑の代表作と言われるのは何だかなあ。本当は海外で評価が高い「東京オリンピック」や「ビルマの竪琴」「野火」といった作品が代表と言えるものなのだけど(何故コッチの評価は日本で低いのか謎)。 俺としては「木枯し紋次郎」といった時代劇をオススメしたい。  個人的にこの手の大量殺戮を敢行する推理ものは嫌いだ。 金田一という探偵は事件を止められない(もはや止める気がない)。 事の成り行きを傍観し、頭を掻いてフケを撒き散らし、そして事件の真相を暴く。 まるで殺された魂を待ち受ける死神(轟警部にとっては厄病神か)のように・・・。 毎回金田一の事を忘却する轟警部、いつも金田一と鉢合わせする宿場の娘など、個性豊かなキャストがドラマをさらに盛り上げる。 そして権力とか何やらに溺れる欲深い大貴族とか大家族とかを虐殺レベルで殺しにかかるのがこの映画シリーズ。 おまえら全シリーズを見てみろよ! 「名探偵コナン」よりよっぽど死神だぞコッチの方が!! そんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-06 19:43:29)
240.  機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛 《ネタバレ》 
カミーユがハッピーエンドで何が悪いんだ!これがアニメだろうがっ!  シャアがカッコ良すぎ&TVより活躍しててバロス。 ハマーンが貫禄ありすぎて20歳とか冗談だろwwwアニメは時々眼が可愛くなってまあ解ったけどさ・・・声にドス効き過ぎ。そこに痺れる憧れるう。  コロニーレーザーでの死闘が熱い、あのサイコミンキーモモと強化型島田兵相手にポンコツの百式だけでコロニーレーザー死守するとかやっぱ凄いは。逃げ足は6倍(ry  俺はラスト擁護派です。セイラさんの声も入ってたし。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-05 19:22:49)
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