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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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241.  俺物語!! 《ネタバレ》 
原作・アニメとも見ていない。題名とポスターの顔からして視野狭窄の自己中男による一途というより手前勝手な恋物語といったものかと思って敬遠していたが、実際見るとそうでもない。序盤でいきなり主人公の人物像が強力に印象付けられてしまい、以降は男の立場としても躊躇なく完全に主人公の味方になる。 人格的に自己中の対極なのは非常に共感できるものがあり、また屋上に放置していた握り飯をその後に全部食ったところなどは素直に出来た男だと褒めたくなる(食器をどうしたか不明だが)。こんな奴は実際あまりいないだろうが、男子の理想形の一つとして正直憧れるところはある。その親友も悪い奴ではなかったようだが少し都合のいい人格設定に見えた。  前半はとにかく主人公の顔を見ているだけで大笑い続きで、見当違いのことを言っているのにわけ知り顔の場面などは爆笑した。 事前に映画紹介の文章をまともに読んでいなかったため、この男が愚かにも女子に惚れられたと勘違いして恥ずかしいことをやりまくるのかと思っていたら、実は違っていたというのは非常に意外な展開だった。それ自体は大変いいことだが、しかし最終的に相互片思いの状態が解消されるまでがかなり迷走状態で、なんでそうなるのか???という極端なすれ違いの繰り返しには少し呆れた。原作の最初の方だけで映画1本としてまとめたということだろうが後半どうも間延びした感がある。 終盤の種明かしが慌しいのはいいとして、最後の野外パーティーなどはいかにもマンガっぽいので少し引いたが、そこは少女マンガ原作映画だから仕方ないか。こういう終わり方自体を悪くはいえないのでよかったということにしておく。  ちなみに撮影は仙台市が中心(一部は柴田町)だったようで、あまり仙台ならではの風景というのはなかったが、丘陵地に広がる住宅地というのはそれらしいといえなくもない(丘陵地に囲まれる形で伊達家が城下町を造ったため、近代以降の都市の拡大により隣接の丘陵地が市街化したということ)。背景には太白山も見えていたようである。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-05-03 08:21:01)
242.  伊藤潤二恐怖コレクション/顔泥棒<TVM> 《ネタバレ》 
2004-05-16に作品登録されていながらレビュー数0だったので見た。伊藤潤二の同名のホラーマンガを原作とした実写ドラマで、自分の顔を他人と同じに変えられる少女の話である。「伊藤潤二恐怖コレクション」というシリーズの一つとして、2000年8月にテレビ朝日で放送されている。 同じシリーズの「長い夢」も見たが、原作に忠実にドラマ化するのがこのシリーズの方針だったようでもある。このドラマも変に遊んだところのない堅実な作りで、かなりじっくり見せられてしまうものになっている。  原作に忠実とはいえ元が短編のため、このドラマも全体を膨らませて72分に拡張しており、全3章あるうち原作に由来するのは後の2章分だけである。追加した第1章では、原作の開始時点以前の事情を遡って掘り下げて、劇中の日比野という男がなぜ責任を問われるのかを説明している。この男は原作でも全ての元凶だったように詰られていたが、このドラマでは実際に責任を取るところまで行かされてしまうのが理不尽である。普通に考えれば女の論理はともかく客観的観点からこの男に責任などないだろうと言いたくなるわけだが、そう言えなかったところがこの男の悲劇ということか。 顔を盗む女子が終盤で受ける仕打ちも原作同様だが、より喜劇的かつ残酷に描写されており、その後の顛末も加えた形で男女2人の悲劇という印象を強めている。ラストのシチュエーションでは笑う視聴者もいるだろうが(通行人も笑っていたが)、ここは笑うに笑えない状況というべきではないか。教訓的にいえば、自分の個性を磨こうともせず、見栄えのする誰かの姿を盗もうとする行動様式が破綻してしまい、盗んだ外面が剥がれて初めて男が本気で心を寄せてくれた、という皮肉な状況と取れる。 改変を加えたことで辻褄が合っているのか怪しくなっているところもあるが、もともと原作段階でも少し設定が甘いのではという気がしていたので、その点を突っ込む気にはならなかった。  キャストとしては、当時の若手女優3人(山口あゆみ・安藤希・坂本三佳)が顔を盗む女子1人を次々に演じる形になっている。個人的に注目していた坂本三佳という人は、役柄のせいもあってかあまり可愛く見えないが、後半はほとんど出ずっぱりで熱演している。ほか不運な日比野役の役者は「リリイ・シュシュのすべて」(2001)より前の状態ということになるが、今回も内面の弱さを感じさせながらも意外に誠実な人物役だった。
[DVD(邦画)] 6点(2019-04-13 13:30:43)
243.  青夏 きみに恋した30日 《ネタバレ》 
少女マンガ原作映画だが、このポスターデザインでは写る方も見る方も恥ずかしくなる。 夏休みの話なので青空と雲・緑の山・渓流・海・ヒマワリといったそれらしい映像が満載で、主な撮影場所は山村とリアス式海岸が近接する三重県度会郡から志摩にかけてだったらしい。「ハートの入江」(度会郡南伊勢町)に近い山頂で主人公を捉えたカメラが引いて、後に隠れていた友人や周辺の山河が視野に入って来るところは映像的な見所だったかも知れない。  物語としては、序盤からいきなり感情問題で角を立てるので気分が引いてしまう。田舎の純朴な少年にしてもまるで本物のガキのようなのは呆れたが、よくある完全無欠のイケメンよりはリアリティがあるといえなくもない。少し感心したのは期間限定なのでキスしないという真面目な態度で、これはこの男の純朴さがいい方向に出たということか。2週間程度のラブラブ期間中もそれほどベタつかず、ラストで決着がついて初めてキスを一回だけというのがいわゆる爽やかな青春ラブストーリーの雰囲気を出している。 また最初に「運命」という言葉が出ていながら自分で未来を作る方に重点があり、特に主人公が自分だけでなく、相手の男まで引っ張って2人の未来を作ってしまう展開はなかなかいい。こうなるともう運命という言葉自体が意味を失う気もするが、そもそも若い連中にとっての運命など不確定な未来に対する不安の表れでしかないところを、この物語では未来への意思を固める補強材として使ったということかも知れない。 若手女優に引かれてまたしょうもない少女マンガを見てしまったかと思っていたら、けっこう正統派の青春物語だったようで悪くなかった。  キャストについては、葵わかなさんはさすがに少し大人っぽいが16歳の印象も出しており、制服姿は可愛らしいがすっきり整った顔の美しさが見えるところもある。またライバル役の古畑星夏さんは、最近見たのは制服女子高生ばかりだったが今回は本来の年齢に近い役で、くっきりめのメイクが大人っぽく、夏ということもあって露出の多い服装だった(胸とか脚とか)のが刺激的で新鮮に見えた。ちなみに古畑星夏さんのお母さんがこの映画を見て、あんたいつも可哀想ね、と語っていたというネット上の記事には笑った。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-02-02 09:29:44)
244.  わたしに××しなさい! 《ネタバレ》 
少女マンガ原作映画で、基本的にはラブコメらしい。 まずは題名に目を引かれるが、英題のMISSIONS OF LOVEというのが内容の端的な表現になっている。簡易なものから1、2と順に任務が課せられるが、3がこれだと最後はどこまで行くのかと思っていたら完遂しないまま放置され、その後は終盤で出た99が究極のミッションかと思えばそうでもなく、最後にまた3が復活していたのはお約束だろうが一件落着の印象を強めている。その後さらに99から桁がランクアップして一段上のステージに上ったようで、原作がどうだったのかわからないが(かなり省略があるようだが)これはこれでまとまった構成になっている。  物語としては、まず前半はテンポよくユーモラスに展開する。女子中高生向けに刺激的な要素を小出しにしてはぐらかして焦らして面白がる感じのようで、ポスタービジュアルもそういう趣向の一環と思われる。マンガっぽい映像表現も違和感がなく、主人公の部屋で机上に出現する少女(小説の主人公らしい)も楽しい。 後半になると男の暗い過去が明らかにされたりしてまたこういうやつかと思わされるが、終盤を珍しい感じのイベントで盛り上げて、ここで主人公の正体を皆に見せつける展開になるのが気分を高揚させる。続くラストのハッピーエンド感にもかなり嬉しくさせられてしまい、年齢性別としては明らかに対象外ながら、意外にも見てよかったと思わされる映画になっていた。 ちなみにweb小説原作の映画など素人レビュアーにクソミソに書かれそうだが、主人公にはくじけないで頑張ってもらいたい。  ところで主演女優はこれまであまり何度も見たことはなかったが、今回は洋風の顔立ちを生かした人間離れした美少女で、その上に冷徹な策士と恋に揺れる乙女とコメディエンヌの諸相を見せつけるので、結果的に玉城ティナという名前がかなり強烈に印象づけられた気がする。主人公はいつもこんな格好で外出しているのかという服装ばかりだったが、着ている本人の体型も含めて見栄えのする人物になっていた。 また「可憐なライバル」役の山田杏奈さんは、もっと内に秘めた黒いものがしみ出してくる感じかと予想したがそうでもなく、結局は素直で純粋な人物だったらしいと思わされたので大変結構である。「バッカみたい」のあたりは可愛らしい。 ちなみに高田里穂さん(編集者・川渕エリカ役)も長身で美形の人なのでもっと目立ってもらいたい。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-02-02 09:29:43)(良:1票)
245.  夏ノ日、君ノ声 《ネタバレ》 
映像的に見栄えのするところはある。乳白色がかった海辺の風景などは独創的ともいえないだろうが嫌いでない。場所は基本的に静岡県牧之原市だったようで、海の向こう(左手)に陸地が見えたのは伊豆半島だったということか。主題歌が書き下ろしだったらしいのも悪くない。  物語としてはありがちな難病物のパターンで、かつ素直に共感できる話にもなっていない。全体的には、主人公の男が地元に帰って昔の記憶を清算した上で結婚の決意を固めた話だろうが、本当にこれでふっ切れたといえるのか疑問が残る。昔の少女を抱き締めたと思ったら現在の幼馴染だったというのでは、最初から相手のことをまともに見ていたのか怪しいことになり、そこでいちいち殴られなければ目が覚めないのでは困ったものである。また箱に花マルを描いたのは昔の記憶への評価を示すものではあるだろうが、これが最終的に決着をつけたことの証拠だとも言いがたい。幼馴染は人生の選択を誤ったのではないか。 加えて主人公の男が全く好きになれない。古畑星夏さんに向かって何という口のきき方をするのかと腹立たしい場面が多く、それは幼馴染で遠慮がなかったからというニュアンスも最終的には出ていたようだが、自分としては幼馴染も病院の少女も両方の気持ちを大事にしてもらいたかったのに、うまくいったように見えないのはこの男がバカだからだと全部この男のせいにしたくなる。 そのほか、わざわざ批判的な観客向けに突っ込みどころを大量に用意したかのように見えるのは大変よろしくない。一応の社会人として気になることを書くと、看護師というのは出血して倒れている人間に手当もしないで帰れというのが普通なのか。かつては主人公同様の不良だったのかも知れないが、主人公が不良という設定自体がストーリー中で浮いて見える。  登場人物に関しては、病院の少女が変に顔を近づけて来るのが蠱惑的で、これで男がその気になってしまったのかとは思った。それまで人付き合いがなかったために距離の取り方がわからないのかも知れないが、あるいはネコがコミュニケーションで顔を寄せる習性を思わせるところもあり、そうすると無音で近づいてきて人を驚かす場面があったのもそういうことだったのかも知れない。主演の荒川ちかという人は子役時代からの経歴がある人で、今回は年齢なりの素朴で純粋な少女役になっている。終盤で初めて声をあげて泣いたところは少し泣かされた。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-19 08:58:24)
246.  おろち 《ネタバレ》 
監督・鶴田法男、脚本・高橋洋といえば明らかに邦画ホラーの構えだが、実際見るとふざけた怖がらせなどはなく、人間の心の闇を描き出そうとする極めて真面目な映画になっている。ただ白黒フィルムに写った女優の顔とか、少女が床に落ちた様子が「女優霊」(1995)を思わせるものはある(笑う女はいない)。 また開始時点が昭和25年で次は昭和44年頃かと思うが、映像面のほか人物の言動などでも年代がかった感じを出しており、舞台になった古めかしい洋館は昭和(戦後)の怪奇映画を思わせる。ちなみにまた後の時代に飛ぶのかと思っていたら最後までその時代で止まっていたが、原作の発表年代がそもそもこのあたりだったらしい。 そのような雰囲気はいいとして、物語的には昔のいわゆるメロドラマでも見ている感じでそれほど心を動かされない。まともな役者が熱演しているにもかかわらず心が痛いと思うこともなく、そうですかそれは大変でしたねとお愛想を言って終わりになるような感覚だった。また題名の主人公が意外に活躍しなかったのも不満だが、「やめなさい」と言ったところはかろうじて格好よかった。 その一方、エンディングで出た主題歌(柴田淳「愛をする人」)が少々古風ながら妙に心に刺さる曲で、これで映画全体の印象がかなり底上げされた感はある。映画に関しても、年代がかった物語のようで実際は人間の本質的なところを捉えていて、いつの世にも変わらないものが表現されていたのかも知れないと思い直したのはこの曲のせいである。監督は楽曲のタイアップがお嫌いかも知れないが(cf.「POV〜呪われたフィルム〜」(2012))、これを見れば必ずしも悪いことばかりではない。  なおキャストに関しては、まずは谷村美月嬢が可愛らしい(当時18歳くらいか)。この人も演技派だろうがナレーションは少し素人っぽく感じた。また姉妹対決では、個人的な好みの問題から中越典子さんを応援していたが、結局どっちがいい人ということもないわけである。この人には一瞬ほんのわずか色っぽい場面がある。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-12 18:59:15)
247.  死にぞこないの青 《ネタバレ》 
まず前半で重要なのは、理不尽な仕打ちにはしっかり対抗する構えを見せないと、相手がどこまでもつけ込んで来る恐れがあるということである。主人公はもともとコミュニケーション能力が不足だったのか、三度続けて適切な対応を怠ったことで集中攻撃されたようだが、しかしその後は焼却炉での反撃で迫害側の一部に打撃を与え、同時に教員の弱味も衝いた形になっていた。これを一定の勝利と捉えて、あとは川原で青いのが言ったことを心にしっかり持てばそれでもよかったと思われる。  しかし後半に入ってからは不満が多くなる。原作がどうなっているのか一応読んだところ(年少者向けなので読みやすい)、原作の筋立てを比較的忠実に追いながらも巧妙にアレンジを加えていたようだが、その変えた部分が不満の原因だったようである。 まず映画では、教員の家族関係の話を加えることで、教員もまた救われるべき者として位置づけていたらしい。しかしそのように同情を引く扱いにされてしまうと、そもそも教員たるものが児童を監禁し暴行を加えた上に殺そうとまでしておいて、本当は怖かったなどと泣きを入れれば許されるのか、という怒りがかえって誘発される(お前が死んで妹を泣かせろ)。 また映画では、主人公と教員が対等な立場で和解したかのような演出になっており、これで父親の言った“話せばわかる”式の綺麗事がそのまま通った形になっているのが気に食わない。もし相手が単純に他人を虐げたい性癖の者であったりすれば和解しようなど有害無益であり、ここは実力で対抗したからこそ要求が可能になったというように、あくまでパワーバランス的な解釈でなければ納得できない。愚直に理解を求めていれば願いが天に通じるとでもいいたいようなのは戦前の発想か。 そのように、いわば“製作側の良心”のような改変を加えたことで、かえって自分としては毛嫌いするタイプの映画になってしまっていた。ちなみに主人公の姉を死なせたのはかわいそうだ。  なお出演者では谷村美月嬢が青い顔で迫力を出しているが、背景色との調和に配慮されていたようで特に違和感もなく、最後には清潔感のある姿もちゃんと見せていた。また子役では三吉彩花という人が出ていて、明らかに美少女だがかなりの変顔をしている場面があったりする。ほか知っている範囲では近藤真彩という人の顔も見えたが、広瀬アリスは誰がそうなのかわからなかった(目立っていたはずだが)。
[DVD(邦画)] 6点(2019-01-12 18:59:13)
248.  一週間フレンズ。 《ネタバレ》 
まず前半は年少男子向けライトノベルのような感じで、愛すべき善良な男によるほのぼの系の物語になっている。友人男女も善人でコメディ部分も素直に笑えるので、主演の名前だけ見てまたこれかと敬遠しなくてよかったという気にさえなった。ちなみに自分としては幼馴染の女子(演・高橋春織)が大好きだ。 しかし後半になって邪魔な転校生が現れると、なぜか少女マンガ原作映画っぽくなって気分が引いてしまう。心地よかった世界に何でこういうドS王子のようなのを出さないと気が済まないのかと呆れるが、ヒロインもあっさりそっちの方になびいてしまい、もともと好きなタイプでない(女優が)こともあって見る側の気持ちも離れてしまった。  さらにラストの展開も全く納得できるものではない。返却図書には確かに大泣きさせられたが、もともと主人公の男が友達友達と言い続けていたのはあくまで恋人関係を目指してのことだったはずで、ここであらためて友達になったとしても元彼=今彼が存在する限り、いわゆるこれからもいい友達でいようねというような意味でしかない。こんな結末では屈辱的だろうが、あるいはこれはもしかして恋愛感情などより男女間の純粋な友情が尊いと訴えている映画だったのか? それは幼馴染の女子を悲しませてまでやるようなことなのか。 個人的感覚でいえば、ヒロインなどはもうあっちの世界に行ってしまった人物でしかなく、卒業とともに記憶の底に押し込めてしまえばいい相手である。返却図書は墓標のようなものとして、いわば故人を偲ぶ感覚でヒロインを泣かせておけば済む。主人公の男には今回の件を、努力が成果につながらなかった失敗体験、または「無理」な状況でも相手を動かした成功体験として整理して今後に生かしてもらいたい。悪い奴ではないのでこれから必ずいいことがあるはずだ(数学の教員もそう思っていたはずだ)。ちなみに幼馴染の女子にもこれからいいことがあるに違いない。  そういうことで最後に残念感を残す映画だったが、ちなみにキャストに関しては、古畑星夏さんが今回はかわいい感じで出ていて、結果的に悪人でなかったのも安心したが、最後にどうなったのかわからないのは不満が残る。また伊藤沙莉という人はどこに出ているのかと思っていたら、忘れ物を取りに来た声でやっとわかった(「リア充」のところは聞き逃した)。さすが端役でも重要なところを押さえている。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-01 16:21:49)
249.  オオカミ少女と黒王子 《ネタバレ》 
少女マンガ原作映画なのでストーリーにはほとんど乗れない。口の悪い男が心に隠している優しさをわかってあげられるのは自分だけ、という状況に憧れる女子中高生が世間には多いのだろうが、個人的には最後まで男が横柄な口のきき方を通していたのが不快で、素直にものが言えずにぶっきらぼうなのと侮辱的な物言いとは話が違うだろうと言いたくなる。キスも「好きだ」も形式でしかなく、男が主人公に首輪を与えたのも犬から人間の奴隷に昇格した程度の意味としか取れなかった。  しかしそれとは別に、見た目としては動的な映像表現とか色彩感とか見栄えのする景観とかに目を引かれるので意外に退屈しない。特に最初のタイトル直前のところで、主人公がどこかの街中(建替工事前の渋谷パルコ南側)で男を追いかけて写真を撮って逃げて来るまでの流れが印象的で、ここは何度も見返してしまった。すれ違う人々の中には一瞬顔を向けて見る人物のほか、カメラの手前で急に横に方向転換した女性(後の人物も続いた)、バッグの中を手で探りながら歩いて来て役者とカメラの間を困惑気味にすり抜ける女性などもいたが、例えば壁面表示を見るふりをした役者の後に何気なく同じように立った男女は仕込みではなかったのか。また後の場面で「鬼!」の直前に、前方の橋の上を歩く人々の姿が途切れたのも意図したことではないかと思った。 キャストに関しては、2016年の製作当時にこの主演女優(とその親友役)が少女マンガ原作映画の女子高生役などやるような状況だったかと思うわけだが、主演女優はもとが童顔なので外見的にそれほど違和感もなく、また登場人物としても人格に一定の深みのある愛すべき人物像ができている。これが否応なくストーリー展開に説得力を加える方向で作用しており、最初から批判的な目で見ていた立場としてはちょっとやられた感があった。  そのほか雑感として、恭也という名前をチョーヤの梅酒と同じアクセントで言っていたが最近こういうのが東京で流行っているのか。また神戸の場面で川崎重工業の造船所が見えたのは少しよかった(だから何だということはない)。ちなみに個人的に最近注目している武田玲奈さんが同級生役で出ていて、明らかに端役だがそれなりの顔をしてみせていた。
[インターネット(邦画)] 6点(2019-01-01 16:21:48)
250.  生きてるものはいないのか 《ネタバレ》 
舞台劇のように見えるが実際そうだとのことである。初演が2007年というわりに、マサヒコという男がマッチと呼ばれていたのはかなり古い時代のものに見える。 背景設定について真面目に考えるのは無意味かも知れないが、人々が次々死んでいく状況自体は原発事故を思わせるものがある。しかし死に方は放射線障害のイメージではなく、そもそも元になった戯曲は震災前からあり、映画の撮影も2010年だったようなので関係ないらしい。また劇中の都市伝説の真偽に関してもよくわからなかったが、それより結局、入院患者の期待が実体化した形で終わったのではないかという印象が強い(少し前に見た別映画の「だからみんなも死んでください」のような感じ)。  内容的には序盤の女子3人と三角関係の3人の会話が単純に面白いが、特に三角関係の男はこういうのが近場に本当にいるので他所事とは思えない。この男の人格や風貌が役柄に全くそぐわないのも不条理で、ここはコメディにふさわしい茶番感を出している。ただしそういう流れで見ようとすると、後半はそれほど可笑しいところもないようで退屈になる。 その後半では、死に際して人は何を思うのか、ということが描写されていたらしい。皆さんそれぞれこだわりがあったようだが、生きていること自体に執着するものがいないのはあまりにも軽薄な印象だった。人が死ぬのは当たり前だから今死んでも同じこと、というのは間違っていないにしても、それは現時点で何も背負っているものがなく、かつ今しか見ていない人々の発想である。劇中最も生きることに執着していたのは入院患者だったはずだが、この人物の存在が“生きろ”的なメッセージにつながっていたようでもないのがあくまでとぼけた感じを出していた。  なお登場人物では(女子限定でいえば)、個人的には序盤の女子大生3人(高橋真唯・田島ゆみか・池永亜美)に好意的なのと、掃き溜めに鶴という風情の病院スタッフ(青木英李)が目を引いた。どうせ最後と思えば付き合ってくださいくらいは言ってみたくなるが、断固拒否だったのも最後だからこそのこだわりがあったということか。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-22 18:54:25)(良:1票)
251.  テツワン探偵ロボタック&カブタック 不思議の国の大冒険<OV> 《ネタバレ》 
東映特撮番組「テツワン探偵ロボタック」(1998~1999)の特別編である。当時は当然見ていなかった。 見た目は1970年代の「がんばれ!!ロボコン」のようでいかにも小学生向けの番組だが、宇宙刑事に始まるメタルヒーローシリーズに属するという考え方もあるらしい。確かに、いつもは呑気なロボコン風ロボットでも、危機が迫ると少し格好いい戦闘形態に変化して(CGで)アクションをこなして火薬も爆発するのは東映特撮ヒーロー物のパターンになっている。また現在もあるように、前作の「ビーロボカブタック」(1997~1998)との共演形式になっており(いわゆる「クロスオーバー」)、本編とは全く違う異世界設定にしてあるらしい。  物語としては、悪徳国家の悪徳大統領が隣国の王女(美少女)を「キャワイイ~」という理由で拉致して嫁にしようとした(これは許せない)のを、正義の主人公が阻止する話になっている。主人公にとっては切ない恋物語だが、同時に正直者が馬鹿をみる類のありがたい教訓を残す話である。全般的に見る者を笑わせるように作ってあり、「おれの妻になるのだ」との横暴な発言に対し、健気な王女が決然と「身体を奪うことはできても…」と真顔で答えたのは(申し訳ないが)爆笑してしまった。当時から大人の目を意識しながら作っていたということか、あるいは小学生向け番組を見て笑っている大人はおれだけか。 またこの特別編ではレギュラーが普段と全く違う役柄で出ていたようで、本編を知っている人ならそれ自体が面白かったかも知れない。岡っ引きの親分をやっていたのは後の黒川芽以(当時から黒川芽以)で、「番屋でゆっくり話を聞こうか」という台詞はいわゆるタイホしちゃうぞという意味と思われる。ただこの当時は普通の小学生女子のように見えて、顔もほっそりして黒川芽以らしくない。 ゲスト出演者では、ほとんど同時期の「がんばっていきまっしょい」(1998)で“ヒメ”役だった清水真実という人が出ている。このビデオでは本物のお姫様役で、「がんばって…」のようなあか抜けない地方の女子高生ではなく正規の美少女になっている。そのほか国王役で出ていたのは、1980年代に「夢見るぞ」で一世を風靡した赤星昇一郎という人物だった(知っている人は知っている)。
[DVD(邦画)] 6点(2018-12-16 17:29:21)
252.  トウキョウ・リビング・デッド・アイドル 《ネタバレ》 
「1000年に1度の童顔巨乳」浅川梨奈主演のアイドル映画で、劇中グループのメンバー2人も同じ「SUPER☆GiRLS」のご同僚だったようである。冒頭とエンディングで主題歌の「Hero」というのが出るが、かなり耳について離れなくなるタイプの曲である。 まず社会批判の面からみると、主に全米ライフル協会か何かを皮肉っているのかと思ったら、製薬関係(政府と業界)を皮肉る発言もあり、さらに死刑存続論への皮肉らしいものも出て来ていた。特に中心テーマがあるわけでもなく単に皮肉を言い散らしていたようで、何だかんだ言ってみたくて仕方ないお年頃ということらしい。ちなみに自分としては住んでいる場所の関係で、日本の猟友会(なんと「大日本猟友会」という名前)を悪くは言えない。うちだけでなく、そういう場所は全国にかなり多いはずだ。  そういう社会派風味はいいとして娯楽映画本来のところでいえば、全体的にあまり飽きさせずにどんどん話を進めていくが、特に各種オマージュだかパロディだかに笑わされるのが大きな特徴になっている。自分としては食パンをかじりながら走って来た人物とか、「おまえらはもう」の後が続かなかったところは爆笑した。また意外にアクション関係の見せ場があり、この面では居合斬りの女子高生(演・星守紗凪)が注目される。 アイドル映画として見た場合には、いわば“アイドルの価値は全てを超える”という事実をこれでもかこれでもかと徹底的に表現していたのが感動的だった。男2人が捨て石になったようなのは物悲しい印象もあったが、彼らにとっては身をすり潰してでも好きなアイドルを守るのが本望だったに違いない(泣かせる)。グループの仲間を大事にしたいという気持ちも(実際どうかは別にして)描写されていたのが心に染みる。 そのほか、主人公が一人で伴奏なしで歌う場面では、本来こういう分野の人だったのだと感心させられた。いろいろあるにせよ結果として、各種制約のもとでけっこう高水準の娯楽映画ができていたというしかない。  なお余談として、奇跡の美女ゾンビの血液を入れると不死身になるという設定があったと思われるが、それを主人公がこれからどう生かす見通しなのかは不明瞭に終わっていたようである。さらに完全に雑談だが、劇中で高架の鉄道が新宿方面に向かって合流している特徴的な景観は、この映画の制作会社が入っている建物から撮影したものらしい(わざわざ探したわけではなく)。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-11-24 18:57:01)
253.  放課後戦記 《ネタバレ》 
NMB48を今年卒業した市川美織(みおりん)の初主演映画である。同名の舞台劇をもとにした映画で、舞台の方は2016/10/5~10/10の6日間で10回の公演があり、主演は市川美織(この映画の主役)と、りりか(この映画の準主役)がそれぞれ5回ずつ務めたとのことである。なおその舞台版もDVDで見た(市川美織主演の方)。 どうせよくある殺人ゲームだろうと思っていると完全に騙されてしまう。実際はかなり重苦しいテーマで、それほど派手なアクションもないまま沈滞ムードで話が進む。またかなり複雑な構成で、難解すぎる内容を細切れの映像や台詞で表現しようとしているが、見ている側としては完全に置いて行かれてしまう。特に、舞台版のW主演をこの映画でも実質的なW主演にしようとしたからか、わざと両者を区別しにくくした(あるいは区別できなくした)ように見えるのが問題で、これが観客の理解を困難にするというよりほとんど不可能にしている。極端に独りよがりな印象があって一般人には全く勧められないが、みおりんファンにも勧めない(勧めなくても自発的に見たはずだ)。  ところで、途中のわけのわからない展開は放っておいて結果的にどうなったのかを考えると《以下ネタバレ》、 まず最後はハッピーエンドだったと思うことにする。主人公の「瀬名」は、これまでずっと別の「瀬名」に助けられてきたが、危機に際して初めて主体的に行動したことで、今度はその別の「瀬名」を助けた形になったらしい。 最後の言葉は「瀬名」が自分で自分を肯定できる人間になったことを意味している。人が自分を肯定できず、かつ周囲からの肯定も得られなければいつ死んでもおかしくない危険な状態になるだろうが、この映画では最後に2人の「瀬名」が互いに肯定し合う関係ができており、これが自己肯定の表現だったと取れる。2人いるから二重人格ということでもなく、2人が統合された状態がこれからの「瀬名」であり、また死んだように見えた連中も「瀬名」の中に統合されているはずで、例えば絵本はこれからも(暗黒系でないのを)描き続けるのだろうと思われる。 以上のようなことを一応考えたが、物語の論理的帰結としてこうなっていると断言できないのがこの映画の腹立たしいところである。  キャストとしては主演以外にも若手女子が多数出ているが、個人的に知っていた人では秋月成美さんの守護天使役(「養護」)が似合っており、また生徒会長役の小宮有紗という人は最も普通の意味での美少女で、本来の登場人物(「支配」)よりもかなり可愛い方に寄っている。大野未来さんがまとめ役(「親和」)のようなことをしていたのが大人びた感じで少し嬉しい。 しかしここで問題なのは、主演の人が低身長かつ小顔のため、この人と比べると普通の体形でも大女で顔も大きく見えてしまうことである。ただこの映画では他の出演者にも小柄な人を出しており、少なくとも身長に関しては意外に目立たなかった。 最後に、市川美織さんの今後ますますの活躍を期待します。
[DVD(邦画)] 6点(2018-11-24 18:56:59)
254.  学校の怪談 《ネタバレ》 
なるほどお化け屋敷のような映画に見える。花子さんはいいとして、屋外にいるはずの口裂け女や洋画風モンスターなど、「学校の怪談」というのにふさわしいかどうか怪しいものまで詰め込んで、着ぐるみから視覚効果からストップモーションアニメから何だかんだを次々出して子どもらがギャーギャー騒いでさぞかし楽しそうだと思わせる映画になっている。昔からいた用務員が子どもの習性にさんざん悪態をついていたが、これはいつの時代も子どもというのは変わらないことの表現だったかも知れない。それにしても、大事な紙を引っ張り合って破いた2人のうち片方が教員だったというのは呆れた(おまえはガキか)。  登場人物としては、親しみやすい風貌のボーイッシュな女子(男子かと思った)と、今年が最後の夏休みになったらしい美少女の両ヒロイン体制だったようである。一つ年上のお姉さんと少年との間で、ちゃんと小学生向けらしい恋物語(片思い)ができていたのは微笑ましい。 大人の方の物語も一応あったようで、かつて教室に閉じ込めた女子が脱出した方法は不明瞭だったが、要は教員が思い切って真似したことで心の傷も解消できたということか。また人物設定がよくわからなかったが、教員の幼馴染だったヤンキー女は18歳くらい?で出産して現在は11歳の子を持つシングルマザー?だが、今回の事件のおかげで教員との距離が急接近したと思えばいいのか?…よくわからないが、とにかく最後がハッピーエンドだったのは子ども向け映画らしく清々しい。 今回のことは大事件に見えても、子どもらにとっては1学期が終わって最初の出来事に過ぎなかったことになる。夏休みの本番はこれからだ、という期待感を持たせて終わる、大変楽しい(騒がしい)映画だった。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-11-09 19:41:41)
255.  魔女っこ姉妹のヨヨとネネ 《ネタバレ》 
よくわからないがマンガの原作を受けた特別編のような形らしい。物語の本体部分がファンタジー世界に属していて、そこから現世との関わりが生じるところは「聖戦士ダンバイン」(1983)を思わせるものがある(当時ろくに見ていなかったが)。発想が古いか。 全体として、何も考えずに見ている分には普通に面白いアニメだが、しかしそれほど独創的なところもないようで、また個人的にはキャラクターでも事物でも特に好きになれるものがないのが困った。強いていえば石の研究家のおねえさん(お母さん)が感じのいい人だったというくらいで、結果的にはどちらかというと微妙な印象のアニメだった。  物語的な面でいえば、魔法世界と現実世界に接点を持たせた上で、その魔法世界との対比で現実世界の特性と特長を明らかにしようとしたと取れる。しかしそのようにして示された現実世界の本質のようなものは、大人の立場としては今さら教えてもらうほどのものでもない。この話が何かの役に立つとすれば、日頃から本気で魔法に憧れている人物(例えば年少女児)に、絵空事の魔法などに夢中にならなくても現実の人間社会に素晴らしいものがたくさんある、と気づかせることかも知れないが、しかし本当にそういう低年齢で純真な観客に見せるにしては話が面倒くさく、子どもが素直にわかるように作ってあるとも思えない。対象層と内容の間に齟齬があるように見えるのはよくあることかも知れないが、そういうところが対象限定のオタクアニメらしく感じられる原因かも知れない。 そのほかいいところを挙げるのは難しいが、ネコのようなのが死にそうになったのは哀れで少し悲しくなったので、ここは年齢問わず心に訴える場面になっていたと思われる。またあからさまな少女嗜好が出ていない(見ても見ないふり可能)ので、親子で見ても構わない作りにはなっている。
[DVD(邦画)] 6点(2018-11-01 19:56:19)
256.  祈りの幕が下りる時 《ネタバレ》 
予備知識なしで見たが、序盤で警視庁の刑事が地方に出かけて、テロップで事情を説明していたのが「砂の器」っぽいと思っていたら、その後もほとんど「砂の器」をなぞった感じの話になっていたのは呆れた。逃避行のところで感動を盛り上げる音楽が鳴り続けるのも「砂の器」に似せているようだが、この音楽も本家よりさらに薄っぺらい。 物語としては、本家の方は病気の問題が扱われていて注意がそっちに向いてしまうのと、犯人が全く共感できない男のため感動が削がれるところがあったが、この映画では父子の境遇に素直に同情でき、最後はそれでも逮捕されなければならないのか、という思いが残る結末になっている。ただ主人公の事情を同時並行的に語るストーリーのためか、2時間ではかなり込み入った話になってしまったようでもある。自分としては残念ながらそれほどの大感動もなかったが、この後に主人公は元の職場へ復帰するという話だったので、このシリーズ的にはハッピーエンドになったらしい。なお看護師との関係の進展は不明に終わった。 出演者としては、ヒロインの少女時代の悲痛な顔と、現在の凄味のある顔が印象的だったのと、老人ホームにいた母親がかなり強烈な人物だったのは笑った。また捜査本部の上司のわざとらしい口調と顔はやめてもらいたかったが、老人ホーム職員の一人漫才のようなのは嫌いでない。そういう面での娯楽性もある映画だった。  ちなみに社会的な問題提起という面で、本家「砂の器」での病気に当たるものは、この映画では原発のように見えたが残念ながら半端な感じに終わっている(原作を読むともう少し突っ込んで書いてある)。また序盤で岡の上からアパートを遠望したのはどこの風景かと思っていたら、石巻市の日和山から北上川の河口付近を見た映像だったと後でわかった場面は少し衝撃的だった。ただし2001年の時点ではすでに日和大橋ができていたはずなので、現実の石巻を想定していたのでもないらしい。 ほか映像面では、窓から海(湖)の見える居室というのが印象に残った。また原作段階からのことだが、地域行事の「橋洗い」を紹介していたのは少し見どころだった。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-10-25 20:42:03)(良:1票)
257.  At the terrace テラスにて 《ネタバレ》 
舞台劇の映画化で、話の内容もキャストも舞台と同じとのことである。ほかにムササビが出るが、これは仕込みではなく単にその場にいただけのことらしい(飛ばなかった)。 紹介文には「富裕層の生態」とあるが、生まれながらの富裕層がいたとすればK大生くらいのもので、専務夫人などこの家に入る前はどこにいたのかわかったものではなく、ほかはたまたま仕事がらみで来たその辺の人間が表面だけ取り繕っている状況に見える。専務夫人を除き、深入りしない限りは普通に付き合える人間ばかりである。 当然ながら笑いを期待して見たが身をよじるほど可笑しいものでもなく、何となくニヤニヤしながら時々失笑(少し爆笑)するくらいのものだったが、話自体はすでに作り込まれた感じで退屈することはない。とりあえず石橋けいさんの谷間と平岩紙さんの腕(とか脚とか全体像)は見ておく必要がある。 その他の登場人物では病弱な男が物悲しい印象を残していた。この男だけ身内もおらず職業もわからず正体不明の人物に終わったが、ラストの破局を見届けたようで見ていたわけでもなく、一人だけ煩わしい世界から自由になったようでもある。それでもやはり寂しかったと取るべきか。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-10-13 16:54:43)
258.  にがくてあまい 《ネタバレ》 
原作マンガは読んだことがない。イケメンで料理上手な同性愛者とヒロインが同居する、という設定にどういう必然性があるのかわからないまま進んでいくが、恐らく女子の人々にはこういうシチュエーションが心地よく感じられるのだろうとは思った。また自分は何とも思わないが、野菜料理の映像面でそそられる観客もいたかも知れない。ブロッコリーの茎の部分まで刻み始めたなと思っていたらそこが重要なところだったらしい。 一応のドラマらしきものもないではないが話が薄いので、まずはこの状況自体を楽しむことの方が大事なのだと思われる(連続TVドラマ向きか)。男女関係の方は進展しないままで焦らす感じになっているが、男同士の関係も濃密にはならず、キュウリの件などで気を引いておいてはぐらかすのは女性向けの刺激的サービスか。バカバカしいので笑ってしまうところもあり、キノコの件は発想の原点がどこにあったのか聞きたい(ある程度以上の年齢なら昔の記憶を呼び起されるものがある)。また個別の場面としては、元同居人のシャツをヒロインが直球で投げたところは悪くなかった。 自分としては主な対象層に含まれているとは全く思わないが、見れば意外に悪くない雰囲気だったのでそれなりの点にしておく。男女関係のラブコメよりもかえって単純に面白がれる話ができている。  なおキャストに関しては、主演女優が好きで見たわけではないので、どちらかというとその母親(さぞかし昔は可愛かったろうと思わせるおっ母さん)に見とれてしまった。また途中で登場した美少女タレントは半端な存在感を出して終わってしまったので、出したからには最後にもう一場面くらいフォローを入れてもよかったと思う。ほかバーのマスターの出番は妙に心地よく感じた。
[DVD(邦画)] 6点(2018-10-07 20:25:51)
259.  脳内ポイズンベリー 《ネタバレ》 
原作マンガは読んだことがない。「インサイド・ヘッド」も見ていない。 ラブコメとのことだが大笑いするのは脳内世界のやり取りの方で、現実世界の三角関係は特に笑えるものではない。若い男には全く共感できないが、その場で怒ってくれなければわからない、という発言だけはそうだそうだと支持してやりたくなった。また編集者の男が変にいい人なのは怪しく見えたが、本心を小出しにしておいて信頼感を出すという手法は嫌いでない。終盤でキレたのを見ると普通にまともな男だったようで、ここは普通に感動的だった。 しかし問題なのはヒロインが全く好きになれないことで、序盤でこそ少し可愛げがあると思っていたが、一体何をどうしたいのか本人にもわからないというのが非常に苛立たしく、こんな面倒くさいのに惹かれる男連中の気が知れない。後に改善されたのだろうが、ラストの顔など見るとまた同じことを繰り返すのではとしか思われず、どうもあまり深入りしたくない(やるだけ損する)人物像のまま終わってしまった。ちなみに最後に鉢合わせした男の靴は編集者と似た感じだったが、こんなのに関わるのはもうやめろとこの男には言いたい。  そのほか脳内キャラクターでは、ネガティブの人(この人が「吉田」ではないのか?)が強烈なのは期待通りとして、「衝動」を子役がやっていたのも説得力がある。最後に子どもらしく泣くのを周囲の大人が慰めている図は、作中でいわれる「衝動」の本質を表現していたようで、ここも何気に感動的だった。また黒い女は「本能」というのが定説らしいが、自分としては脳内会議の不得意な「断行」だけをして結果は度外視、または単に「暴発」という感じに見えた。ちなみにこの役は主演女優の二役だったようである。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-10-07 20:25:48)
260.  呪いの館 血を吸う眼 《ネタバレ》 
「血を吸う人形」(1970)に続くシリーズ第2作である。個人的な記憶として、この映画が地元で上映されていたときに街中にあった立て看板を見て怖くなり、それ以来、この題名と岸田森氏の顔が忘れられなくなってしまったことがある。その時は当然見なかったが、その後のDVDの普及のおかげで、耐性ができてからの状態で見られたのは幸いだった。ちなみにDVDで予告編を見ていたら最後に「お待ちしています」とキャプションが出たのは笑った(行きたくない)。  内容としては第1作より本格的な吸血鬼映画になっており、最初に棺が送られて来たのがいかにもそれらしい。終盤で主人公男女が能登半島に出かけたのは小説「吸血鬼ドラキュラ」を真似たもののようで、つまり能登は日本のトランシルバニアということになる。東欧の伝承にある吸血鬼なら、家系に伝わるというより何らかの条件に合った個人が死後になるものだろうが、この映画では家系という要因と、死んでから蘇るという特性を組み合わせた形にしてある。また日本に西洋風の吸血鬼が出る理由に関しては、要は日本在住の外国人だったという適当な理由付けでごまかしている。 吸血鬼が好色というのは普通のことだろうが、この映画では何と5歳の少女に目をつけて、年頃になるまで待つならまだしも(それも執念深いが)5歳のままで「花嫁」というのがとんでもない幼女趣味で、こんなケダモノは早目に滅ぼしておかなければ駄目だと思わされる。この吸血鬼がクールな容貌ながら、終盤でステンドグラスか何かを破って出て来たところとか、断末魔のわめき声はものすごい迫力で唖然としてしまった。ここはさすがの岸田森氏といったところである。  そのほか姉妹間の確執を絡めたのは物語に一定の深みを加えており、またその姉妹の間で翻弄されそうな位置にいる男が極めて理性的で、一貫して恋人たる姉の方を信頼しているのは頼もしく見えた。この男が医師であり、ヒロインとともに吸血鬼退治に尽力する役割だったのも基本を押さえている。また鏡に写らなかったので気づいたのでなく鏡に写らなかったので気づかなかったとか、死んでいた男の手が机に張り付いていて半端に剥がれたといった細かい見どころもあった。 ちなみに劇中の台詞で、戦後にイギリスで吸血鬼が処刑されたと言っていたのはロンドンの吸血鬼として知られた事件だろうが、これは吸血鬼だから処刑されたのではなく、連続殺人犯だったから普通に死刑になっただけのようである。
[DVD(邦画)] 6点(2018-08-25 17:22:23)
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