341. ちはやふる 結び
《ネタバレ》 「しのぶれど」と「恋すちょう」の二首を試合のクライマックスに 持ってくるとこなど、本当に勉強になったし、面白かった。 昔の歌合わせが、紅白歌合戦みたいに、お互いの意地とプライドをかけてやったという 話は、それだけでもストーリーが一本できそうなほどエキサイティング。 (ちょい昔、邦画に「恋は五七五」という名作がある!) 若い俳優たちがみんな好感もてるのがいい。 特に女優。 無駄に美人という設定のちはや役を広瀬すずが体を張って演じてる。素敵だと思います。 「舞妓はレディ」の上白石萌音も、いかにも日本の伝統を知っている女性という感じがよく出てて、はまり役。 松岡茉優もどこかコミカルな才女役を存在感たっぷりに演じている。 男優役も好感持てるし、こんな連中との高校生活は楽しかろうと思いました。 高校時代の青春燃焼物の傑作です。 [DVD(邦画)] 8点(2018-12-23 18:56:18) |
342. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 涙が出るくらい好き! 正直に言います。 DVDで鑑賞したので、最初の映画で、酔ってしまったところに、 現場の連中がまとまらず、好き勝手いうとこにブチ切れしてしまい、観るのを中断してしまいました。 船酔いで、自分が定まらない時に、あのような現場に出会い、怒り心頭になったからです。 なんでこの映画が高評価なんだろう?と思い、再度観始めたら、面白くて、最後はうるっと来てしまいました。 (正当な評価にならないですね、スイマセン・・) 映画愛がたっぷり入ってて、現場こそ映画じゃないか、と思ったんでしょうね。 フェリーニの「8・1/2」ですね。 でも映画愛のこんなにある人がゾンビを扱うなんて、ゾンビってそんなに面白いのかなぁ? 「桐島、部活」もそうだけど・・ 自分もゾンビ観てみます(笑) [DVD(邦画)] 10点(2018-12-17 01:30:12) |
343. エンドレス・ポエトリー
《ネタバレ》 自伝的映画「リアリティのダンス」に次ぐ続編である。 前作が家族のことを強く描いてたのに対し、本作ではホドロフスキーの女性関係が描かれている。 まぁ許される(?)クズであったということか・・ ホドロフスキーのキーワードは、厳しい父親、サーカス、小人などである。 「サンタサングレ」も自伝的要素が強い。 「エルトポ」「ホーリーマウンテン」あたりが彼のぶっちぎり世界観を楽しめる。 若きホドロフスキーにとって、アート(この映画では詩)が癒しだったのだ。 ラスト、旅立った先の業界が、映画界やバンドデシネだったということだろう。 リアルタイムで、映画を通して、彼という彷徨える詩人の旅に付きあえれたことは幸運だった。 どの作品も見応えがあって面白かった。 ご苦労様というしかない。 [DVD(字幕)] 9点(2018-12-07 01:13:36) |
344. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 この映画を観ていて、「蠅の王」を思い出した。 無人島で子どもたちが行き抜いていくという話である。 本作は、まさに都会という中で、子どもたちが生き抜いていく映画だった。 この映画は現実はこうだ!という映画ではない。 ただ子どもたちだけの世界を、静かな時間を描いている。 ドキュメンタリー手法で、大人が大事にする世間というもののない世界を我々に体験させてくれる。 いつこの幸せな時間が奪われるだろうと思っていたが、この映画はそこまで描かない。 社会への怒りなども描かない。 作者の主張の薄い映画だった。 それでも、とても作家性のある映画だった。 音楽も良かった。 ゴンチチの音楽が、都会の孤立を表してるようで、胸にスッと入ってきた。 救いのようなコンビニの女性店員さんが、ラストの曲のシンガーソングライターだと知ってビックリ。 [ビデオ(邦画)] 8点(2018-12-06 17:14:33) |
345. 友罪
《ネタバレ》 あの衝撃的な事件を思い出す。 確かに、あれからどうしているのか・・ この映画では、本来の話の序章みたいな形で終わる。 できれば、瀬々監督には、この話を最後まで撮り続けてほしい。 本編では、ラスト瑛太演じる鈴木君は心から泣けなかった。 彼が心から泣くまで、ドラマを観ていたい感じだ。 でも、救いとして、友達ができた。 これはこれでハッピーエンドである。 だけど、闇を抱えた人間は周囲も闇に引きずり込む、もしくは同類を引き寄せる。 映画の中の鈴木君は、そして少年Aのこれからは、まだまだ波乱に満ちているだろう。 心から泣ける日の来ることを願うばかりだ。 [DVD(邦画)] 8点(2018-12-01 18:19:41) |
346. 美しい星
《ネタバレ》 吉田大八はいいなぁ。 ズレてる人(じゃぁ何が「フツウ」なんだよって怒られそうですが・・)たちの 世界観を壊さずに、現実との軋轢を描いて、ラストに持っていく、この力技。 今までの作品、全部そうだもんね。 いや、中々いないですよ、こんな映画監督。 観ている側を混乱させつつ、映画として引っ張り、ラストは観客も登場人物もハッピーな話を 創り続けてる監督って・・ 三島由紀夫が原作なんだってね。 どんな話だったんだろ?(読めって言われそうだけど、私は映画が好きなのだ) 宇宙との交流を言う方々いますよね。 でもきっとこんな幸せになってくれるといいな。 [DVD(邦画)] 8点(2018-11-23 18:38:03) |
347. 水のないプール
《ネタバレ》 若松孝二は、法とかそんなものでは人間を裁かない。 最後に女性が警察への訴えを止めるとこなど、いかにも若松監督である。 普通の映画なら、クロロホルムを用いた犯罪がエスカレートして、粗くなって、 捕まって、日本の治安は守られた、めでたしめでたしで終わるとこなのだが、 若松監督はそう来ない。 守られて当たり前の平成の世には、まずありえないラスト。 昭和の、キチンと枠にはめぬ人間のものの見方が伺えられる。 そんな若松監督も今はこの世にはいない。合掌。 [DVD(邦画)] 7点(2018-11-23 14:45:13) |
348. 鬼畜
《ネタバレ》 清張映画。 これ、子どものときに放映当時に何かでCMやってて、それが強烈に自分にインパクトを与えたんだよね。 子どもが3人ブランコ乗ってて、小さな子からいなくなっていくというCM。 子供心にぞ~っとした。 この年になって、ようやくその気になる映画を観た。 邪魔になった子どもを一人ひとりいなくなるようにしていく映画。 実話なんだってね。 一番ひどいのが、長女の女の子。 東京タワーで一人きりになってから、どうなるんだろう? 出てくる女性が二人とも怖いくらい人の血が流れてない。 お金の問題やら、旦那の浮気した子どもだからとか・・ 情けないくらいダメ男の緒方拳。 でも理由があるんだよね。 この男も子どもの頃にあちこちの家を押し付けられてたという過去が・・ 清張映画は、事件を起こす人間にも理由があるということを最後の方で言うんだよね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2018-11-06 17:30:28) |
349. 風の視線
《ネタバレ》 清張映画。 いや~、清張の映画ってはまるね。 聞き取りやすいセリフに、分かりやすい展開。 昭和の女は、どこか影をひきずっているのだ。 その裏には、不倫などのいけない関係があるからだ~。 面白い。 エリートが身勝手に振る舞い、最後まったく恋愛と関係ない犯罪でつかまる。 清張はこんな風にして、昭和の格差社会に溜飲を下げていたんだろうね。 大人の知恵だ。 また演技もなかなか浮いてなくて良かった。ま、話題づくりかな?(笑) [ビデオ(邦画)] 7点(2018-11-05 21:49:58) |
350. 影の車
《ネタバレ》 清張映画。 6歳の子どもに殺意はあるか? まぁ芦田伸介演じる刑事が頭固すぎかもね。 子どもって環境によっては心の底で残酷なことを考えてるかもしれない。 天使ってほど可愛いもんじゃない場合もあると思う。 この映画の場合、大事なお母さんを奪った男に対して、素直な感情抱けるわけないでしょ。 不倫を子どもの前でやっちゃいかんッス。 に加えて、加藤剛が自分の幼いころにおじさんを殺してたんだね。 よく出来てるサスペンスだね。 お母さん役の岩下志麻が超きれい。 篠田正浩と結婚して2~3年の映画だから、私生活の充実が顔に出てんでしょうね。 いや~、不倫に走っちゃう気持ち、抑えるの大変だよね(笑) [ビデオ(邦画)] 7点(2018-11-05 00:58:08) |
351. 眼の壁
《ネタバレ》 清張映画。 聞き取りやすい口調で、話が無駄なく、進む。 パズルのピースがひとつひとつはまっていく快感はあるが、 ストーリーを追うのに必死で、主人公に感情移入しづらい。 なのでラストのロマンスは、付け足しに感じた。 ある大企業が、手形パクリ(?)詐欺にあい、 ついには自殺者まで出て、真相追求に乗り出すのが、佐田啓二。 政界とのからみがイマイチ描けてなかったが、面白かった。 もっと大物が出てくるかと思えば、陶芸の町のある親族が中心になって やっていたという日本ならではのサスペンス。 最後の硫酸風呂はすさまじい。 こんなん世界の映画を見渡しても見たことないよ〜。 [ビデオ(邦画)] 7点(2018-10-29 11:47:42) |
352. 探偵はBARにいる3
《ネタバレ》 大泉と松田龍平のコンビも捨てがたいっすね。 瑛太とのコンビも好きだけど、どっちかといえば、 こちらを上げます。 レイモンドチャンドラーみたく話はすすんでいきます。 アメリカの安宿とススキノと共通点あるのでしょうか? 娼婦の哀しい身上を話しの幹にすえるのは一緒ですが・・ 地元映画の手本ですね。 地元密着型の魅力的な人物。 話のネタがヤクというのは古臭い手わざ。 もっと新しい話のモチベーションが欲しいとこです。 でも大泉と龍平のかけあいは、今の邦画界の宝です。 いつまでもシリーズを続けて欲しい。 でも今回の彼女を待っているという大泉の独白にシリーズ化は無理かと 思ってしまいました。 昔、草刈正雄と藤竜也の探偵もの「プロハンター」という テレビドラマがあったのですが、探偵ものは掛け合いです。 間違いない! でもって、本シリーズは最高です! [DVD(邦画)] 7点(2018-10-21 00:06:48) |
353. ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜
《ネタバレ》 見応えあったなぁ。 さすがベテラン滝田洋二郎。 前半1時間と後半1時間がまったく違ったニュアンスの、贅沢な映画。 前半はレシピ作りへの格闘の日々。 そして後半は軍の野望と仲間への苦悶。 そこに現代の二宮くんが謎解きをしていくという本当に豪華な内容。 あまり美味いものなど食わないのだが、豪華な料理とはこんな映画のようなものかもしれない。 最後、舌にじわ〜と広がる味のように、感動の涙がじわ〜と頬をつたわる。 この映画が事実かどうかはともかく、秋山徳蔵さんというモデルがいたらしい。 このレシピが本になっているという。 早速、図書館で借りてみよう。 [DVD(邦画)] 7点(2018-10-14 13:11:05) |
354. 火花(2017)
《ネタバレ》 菅田将暉は本当にいい役者になった。 「あぁ荒野」でも見応えがあったが、彼のこれから演じる映画が楽しみだ。 芸においても自分を見失わないことが大事なのだ。 慕われている後輩から追い越され、大事なものを失ってしまった桐谷演じる漫才師。 彼の笑えない笑いが、ボインであった。 テレビで華やかな漫才師たちの現実がわかった。 やはり大変な世界だった。 ニヒルな又吉の「怒り」が伝わった。 [DVD(邦画)] 7点(2018-10-13 20:56:36) |
355. 顔(1957)
《ネタバレ》 北九州の松本清張記念館に行ってきた。 清張の映画コーナーでは、名場面の紹介があった。 この「顔」も紹介してあった。 そこでちょっと観てみたくなったので鑑賞。 こういう役って男に多いけど、女性の場合もあるのかな? 貧しさと戦いながら、東京の闇と光の両方にかかわる彼女。 第2、第3の殺人が起きるのではとヒヤヒヤした。 切ない女を岡田茉莉子が凛と演じる。 むぅ、これを機会に清張映画も観なくては・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2018-10-09 13:39:20) |
356. 中国の鳥人
《ネタバレ》 これは素敵な映画だった! 本木君は最近でこそ、善人になりきれぬ役も演じているが、 この頃は真面目な役が多かったので、観るのにためらってた。 でもさすが三池監督。 話の中盤でうなるような展開が! 鳥人とはこのことだったか!と思わず身を乗り出した。 それから娘の歌う歌。その意味。 そしてロマンチックな場面のときに最悪のことが起こる話の展開の巧さ。 今の中国でも、こんなこともあるのかな? 2000年以前の中国のイメージってこんなんだったよね。 ホント、時代錯誤の感もあるけれど、今の人たちにも観てほしい一本! [ビデオ(邦画)] 8点(2018-10-08 21:27:38) |
357. DESTINY 鎌倉ものがたり
《ネタバレ》 素直に楽しめた。 山崎監督のは、素直に楽しめますね。 ただ小栗康平監督が映画は痛切が大事だ、と言ってるんだよね。 難しいことだろうけど、心に残る映画って観るのが辛い映画が多いのも事実。 パティシエの創ったケーキみたいな映画だったけど、山崎監督には 生きてる辛さみたいな映画も撮って欲しい。 それをVFXで撮るとどんな映画か、観てみたい。 ギレルモ・テル・トロみたいな味わいも欲しいなぁ。 [DVD(邦画)] 7点(2018-09-28 12:30:57) |
358. まほろ駅前多田便利軒
《ネタバレ》 面白かった。 松田龍平の「捨てられた子犬」ようでいて、実は奥さんもいるし、大きな実家もあるというのが平成風でいい。 瑛太の人情家のようでいて、実は子どもを亡くしてる辛い過去があることも・・ まほろとは、町田市がモデルのよう。 東京にいたとき、確かに町田市の知り合いは懐かしいにおいがしてた。 うなづけてしまう。 面白い着眼だと思う。 東京に近いながらも、地元密着志向の町が舞台とは、東京でも地方でもない、新しい世界を見せてくれる。 「探偵はBARにいる」とは、また違う平成日本の顔を見せてくれる。 [DVD(邦画)] 7点(2018-09-24 23:50:47) |
359. 夢売るふたり
《ネタバレ》 女性監督ならではの、松たか子の描写だろう。 松たか子って美人なんだけど、暗さを乗り越えた美人っていうか、 場面によっては、どす暗い表情も見せるので、とてもこの映画にマッチしてる。 若くして店を持つ夫婦の健気な奥さんが、店が焼けてから、旦那がひねて「過ち」を犯し、 そこでどんどん陰険になっていく女性役にまさにピッタシ。 最後、刑を終えて、魚市場で夫婦で働くその姿に、救われる感じだ。 フォークリフトから食堂の旦那を見つめる彼女の表情は、もう陰険ではない。 いい映画でした。 でもこの夫婦にふりまわされた女性たちも気の毒な話だよなぁ。 [DVD(邦画)] 8点(2018-09-24 18:51:59) |
360. Dolls ドールズ(2002)
《ネタバレ》 幸せ薄いカップルを三組、人形浄瑠璃の悲恋もの「冥途の飛脚」(※自分はよく知らない話です) とかぶせて、現代アートとたけしさんのセンスがブレンドされ、 不思議な映画になっている。 最後の崖にひっかかって陽がさしてるシーンが美しかった。 菅野美穂の最後の方のネックレスを持っての表情が次々変わるシーンが 印象的。 きれいな映像と、それに似合わぬ暴力的なシーンもあり、 そこを久石さんの音楽がつないでるといった感じか。 [ビデオ(邦画)] 7点(2018-08-26 17:53:53) |