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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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41.  怪猫謎の三味線 《ネタバレ》 
戦前の古い映画だが無声映画ではなく台詞も音楽も入っている。 江戸の芝居小屋(中村座とのこと)をめぐる復讐談で、劇場付きの三味線奏者や役者、及びこれに関わる武家の人々が登場する。昭和に入ってからの映画だが、現代で見る時代劇よりは本物に近い江戸文化に触れた気にさせるところがある。  怪猫といえば、役者の扮した化け猫が出て恨む相手を取り殺すのかと思うが、この映画ではそういう化け猫は出ない。復讐の主体は人であり、公演中の舞台上で憎むべき相手に復讐(仇討ち)する場面がクライマックスになる。 化け猫というより題名の三味線が物語の進行に関わっており、怪しい因縁のある三味線が一度失われてから方々を転々として、最後に本来あるべき場所に戻ってから復讐に参加する展開になる。なお三味線というのはネコの皮を使うことから、皮を取られたネコの怨念が籠っていたりするのではないかと昔から思っていたが、この映画では三味線奏者が愛猫の形見にするため愛用の三味線をあえて張り替えたとのことで、なるほどそういう考え方もあるかと思った。 特殊効果としては当時なりの技術だが、二重露光か何かで半透明の手が三味線を掴もうとする映像は悪くなかった。また幽霊と話したと思っていたら実は眠っていて目が覚めた、という場面は夢オチのようだったが、やたら生々しい心霊現象よりは奥ゆかしく見える。 ユーモラスな場面もあり、怪しい三味線を捨てようと思った人物が、なかなか捨てられずに途方に暮れた様子は微妙に笑わせる。また広間にいた人々が、あっちを向けと大名に言われて一斉にあっちを向いた場面も笑いを狙っていたかも知れない。 困ったのは終盤の部分が映像表現だけではわかりにくいことだったが、ラストの場面の天気を見れば明らかにハッピーエンドなのでまあいいかという感じだった。  人物関係では、後に「日本のおかあさん」と言われた森光子という役者の18歳頃(1920年生まれとして)の姿が見られるのは注目点である。絶世の美女でもないが役柄にふさわしく可憐で可愛らしく、まだ若いのに台詞も動きもちゃんとした印象で、昔の役者はさすが違うと思わされた。また劇中の三味線弾きの男(常磐津清二郎)に対し、その同門の女性(常磐津文字春)は秘めた思いがあったようでいて不明瞭なまま終わったようなのは変だったが、ちなみにこの役者2人(浅香新八郎・森静子)はこの時点で夫婦だったらしい。
[DVD(邦画)] 6点(2023-01-14 14:42:20)
42.  きさらぎ駅 《ネタバレ》 
今どきまた「きさらぎ駅」など持ち出して来たかと思ったが、話によれば今でも人気の都市伝説として扱われているとのことで、舞台とされた遠州鉄道でも迷惑がらず営業に生かしているらしい。郊外の撮影は別の鉄道会社の駅を使ったそうだが(上田電鉄別所線八木沢駅)、遠州鉄道に関しては政令指定都市の都市内交通の印象を出していて、新浜松駅近くの超高層ビルも見えていた。  もともと単純な話なので、この映画でも原話の各種要素をほとんど取り入れた上で登場人物も増やしている。それでも単純すぎて映画にならないので、後半を探求心旺盛な大学生による実地検証パートにしてサイズを倍加している。都市伝説の真否を探るなど民俗学でやることかと思うが、「異世界エレベーター」という別の話と組み合わせての解釈は、民俗学というより都市伝説自体の愛好者だからこその発想と思われる。実際そういう学生も多いだろうという気はする。 物語としては、最後に少し捻ったところはあるが軽い感じで、エンドロール後の追加場面も含めてあまり深みは感じない。しかし難解ならいいわけでもないので、劇場公開映画として多くの人々が楽しめるようまとめたのは制作側の見識と思われる。 なお原話のイメージと全く違うのは現地がほとんど昼間だったことだが、これはどうせ異世界だからどうでもいいということなのか。一回目は映像を青くしてお手軽な異界感を出していたが、二回目になるとそれはなく、一方で場面ごとに天気が全く違ったりして、これは同じような風景を二度見せないこだわりがあったのだと思っておく。  キャストに関して、恒松祐里という人は今どきこんな映画で映画初主演だそうで、「くちびるに歌を」(2015)などは主演でなかったのかと改めて思った(本当の主演が誰だか忘れた)。本田望結という人は個人的には久しぶりに見たが、2004年生まれなので原話の発祥と同年ということになる。また「牛首村」(2021)で見た莉子という人も出演していたが、あまり可愛く見える場面がないのは残念だ(地は可愛い人だ)。 永江監督に関しては、「真・鮫島事件」(2020)に続くネット発祥怪談の映画であり、本当にこういうのが好きでやっているように見える。ちなみに助監督は「廣瀬萌恵里」といういかにも若そうな名前の人で、主人公と似たような趣味だから手伝ったのかと勝手に思ったら違うようだった。美大を出て少し経ったくらいの人らしい。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-01-07 13:37:38)
43.  N号棟 《ネタバレ》 
映画紹介で「考察型」と書いてあるのがいかにも面倒臭そうに見える。実話をもとにしたとされているが、もとの事件から取ったのは場所と騒霊現象が起きることくらいで、他はほとんど創作だろうという気がする。 12月の話とはいえ雰囲気は確かに「ミッドサマー」だろうが(見てないが)、死への恐怖を扱ったという点では高橋洋脚本・監督の「恐怖」(2009)に近いかと思った。要は登場人物の発言のとおり、霊も死後の世界も存在するので死ぬのは怖くない、という考えが根底にあるようで、確かに自分が存在しなくなると思うと底知れない怖さを感じるというのはわからなくはない。 死んだら何もなくなるという信念を持つ人は多いのかも知れないが、しかし現実問題として古今東西の伝統社会で死後の世界はあると信じられてきており、これは根拠がどうとかいうよりも、そう思いたがるのが人類共通の心理だからと取れる。それならそれを素直に受け入れても構わないのであって、主人公が何の義理で頑なに死後の世界を認めないのか個人的には全くわからない。どうせ死ぬときはみな一人なので、客観性も合理性もなく気持ちの問題と割り切って、自分が安心できる適宜の考え方を選べばいいではないか。その考えに他人を巻き込もうとしなければいいだけのことである。 死への不安を解消するためには、例えば劇中人物も若干触れていた(多分)ように、臨死体験をした人々が死を恐れなくなったと言っていることを知るのはいい。向こうへ行ってしまった家族や知人が迎えてくれると思うのも安心できる要因と思われる。また無難なのは既成の大宗教に合わせることで、例えばキリスト教徒の人々なら天国へ行こうと思うのだろうし、また仏教一般でいう輪廻転生を想定すれば少なくとも今回だけで終わりにはならない。あるいは阿弥陀如来を信じて称名念仏していれば西方極楽浄土に行けるとか思えばとりあえず安心できる。 そこで大事なのは当然ながら、死への恐怖を悪用する変な教団に取り込まれないことである。劇中では登場人物にカップで何か飲ませる場面があったので、薬物で精神を操作するか何かしていたと思われる。そういう面ではカルトを扱った映画だろうが、実は教祖と信者(住人)のほとんどがすでに心霊だったというのが特色ではないか。人を集めていた動機は不明だが、来世へ行けない寂しさを紛らわすためというようなことかも知れない。 真面目に作ってあるのは認めるが、娯楽としての面白味は特に感じない。映像が全体的に茶色がかっていて、薄汚れたしょっぱい印象(醤油が染みついたような)だったのも好きになれない理由だった。点数は前記「恐怖」を5点にしたのでそれより下げておく。  なお登場人物の関係では、若手女子が可愛く見える場面は特にない(アイドルホラーではない)。個人的には山谷花純さんと飯田祐真さんのキスシーンがあったのが意外で、一般向けの見どころともいえないが自分としては注目点だった。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-01-07 13:37:36)(良:1票)
44.  カルメン故郷に帰る 《ネタバレ》 
日本初の総天然色映画として百科事典で特記されていたので大昔から名前は知っていたが、子どもが見るものではないと思っていた。今回デジタルリマスター版というのを見ると、浅間山を背景にした牧草地に登場人物の華やかな衣装が映えている。山から噴煙らしいものがずっと出ていて、まともに構図に取り入れている場面もあったが、気象庁の記録によれば1950~51年に火山活動があり、噴火で死傷者が出た事件もあったらしい。実は危険な撮影現場だったのではないか。 それはそれとして基本的には喜劇のようで、深刻そうな場面もユーモラスで笑ってしまうところがある。父親はやたらに主人公をバカ扱いしていたが、特に知能に問題があるわけでもなさそうで、これは当時の社会通念から自由なことをそう言っていただけではないか。昔バスガールをしていた(婿を連れて帰った)姉はどちらかというと主人公の価値観の理解者だったようだが、父親の方は(妻を亡くして?)娘たちに十分手をかけてやれなかったという悔いがあり、その自責の念がバカの木に象徴されていたと思われる。  物語の中心テーマは芸術文化に関することだったように見える。 まず、金儲けが目的なら芸術文化ではないという趣旨の発言があったが、それをいうなら映画も似たようなものといえる。実際に今どき映画を芸術の部類に入れる人々も多くないだろうが、しかし芸術性皆無の映画というのもあまりなく、芸術では絶対ないともいい切れない。また劇中例でいえば、観客の色欲を刺激するのが目的なら芸術とはみなされにくいが、しかし例えば食欲を満たす場合は生の食材そのままでなく調理するところに文化性があり、また主人公についても生のものをただ見せるのでなく歌や踊りの技量、さらに衣装を含めてどう見せるかで価値を高めようとしていたはずである。その点で、目的が不純であっても芸術性・文化性を伴うものはあるといえる。 また興行収入の使途に関する校長の発言には、裸芸術と本物の芸術は隔絶したものではないという認識が示されている。本物の芸術というのも実は範囲が明瞭でなく、元教員が作った歌は芸術寄りではあろうがシューベルトの歌曲と同列ではない。そういったものを全部まとめた、いわば芸術文化連続体の中に裸芸術も本物の芸術も含まれているということだ。 ラストでは、さんざん色々やらかした主人公と同僚が悪びれることもなく去る一方、それとは別に元教員が元のとおりにオルガンを弾いていて、両者の出会いで何か変化がもたらされたようでもなかったが、これは新奇/古風、都会/田舎、高尚/卑俗で良否を分けず、それぞれが併存していて構わないという大らかさの表現に思われる。結果的には、世界の様々なものが持つ芸術性や文化性を広く認め、みながそれぞれにアーティスティックな創意を発揮または評価する時代を志向する映画なのかと思った。 なお主題歌(主人公が歌う方)は結構耳に残る。芸術とまでいうかは別にして華があってモダンだ。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-01-01 22:58:41)
45.  シン・ウルトラマン 《ネタバレ》 
ゴメスで始まりゼットンで終わる。映像面が旧作と段違いなのは当然として、そもそも荒唐無稽な怪獣モノに各種突っ込みを入れておいて「理に適ってる」とか言いながら言い訳していたのが微妙に可笑しい。巨大生物が繁殖もせず単体で生息しているかに見えるのは、もともと生物兵器だからということらしい。 また宇宙人(外星人)が組織的な動きでなく、単独行動で侵略しに来たようで小スケールに見えるのは、宇宙では個体で活動するのが普通だからということのようで、それで××星人という名前でないのかと思った。ちなみに個体で活動する宇宙人から見た地球人は、例えていえば人間から見たアリの群れのようなものかと思った(旧作のメフィラス星人がアリと言っていた)。  この映画では人類の特性として「群れ」を作ることを挙げていたが、別にそれが悪いのではなく弱いからこその事情であって、その群れの内部で支え合い、時には他人のために自分を犠牲にすることもある、ということだと思われる。また人間はウルトラマンに頼っていればいいのかという問いは旧作でも出ていたが、さらにこの映画では無力感が依存/服従につながることへの懸念を示し、求められるのが自律/自立であることを明瞭にしていた。 最終的に人類の未来は人類自ら担うことになったようで大変結構だが、それにしても劇中政治家が心許ないのはまことに困ったことで、ザラブというのが日本に来たのも世界で最もちょろい国だからでないのかと思った。どうもこの映画では最初から「国」という群れの単位を当てにしておらず、代わりに地球という「星」の人々に期待をかけていたようで、これは元の子ども番組に由来する考え方かも知れない。「シン・ゴジラ」が「この国はまだまだやれる」なら、今回は地球が”やればできる子”くらいの扱いではあった。 結末はよくわからなかったが最低限、ウルトラマンが仲間や相棒を大事に思ったというのは共感ポイントかも知れない。あまり楽観的に語ってしまうと現実味が薄れるが、あえていえば地球の人間と他星の人間が、史上初めて同じ群れの仲間になった物語ということか。あるいは遠い未来において、「光の星」にとっての地球という星が、挑戦者でも脅威でもなく対等な「バディ」になる日を夢見る映画だったとも取れる。 そのようなことで、古きよき怪獣特撮のリメイクということだけでなく、旧作のメッセージを踏まえて現下の内外情勢も反映し、現代なりの希望を語る映画に見えなくはない。またけっこう可笑しい場面が多いので娯楽性も高い。特に期待していなかったが悪くなかった。  以下その他雑記: ・劇中日本の対米関係は笑えない。/「鼓腹撃壌」という言葉に特定のニュアンスを込めていた可能性がある(不明)。/zero-sumが領土切取りのイメージとすれば、それとは違うwin-winの関係を目指すべきという考え方でもあったのか(不明、断片的)。 ・職場に趣味関係の雑多なものを持ち込んでいる奴がいて、サンダーバード・スタートレック・マイティジャックとSRIのトータス号は見えたがウルトラシリーズは存在しない世界になっていた。 ・山中に怪獣が出現する風景はウルトラマンらしい。「虫が多くてやだ」という台詞があったが、都市部にもいるハエ程度を嫌がるようでは甘い。山間の農地が破壊されていたのは痛々しいが、上手の水田は既に耕作放棄地だったようでもある。 ・子どもを保護すると言い出して山道を走る後姿は、何でお前が行くのかという突っ込みを誘うが、これはこれでお約束というか開き直りのおとぼけと見える。 ・特にザラブ編では、もとの番組の場面や展開がまともに生かされている。 ・「河岸を変えよう」というのが古風で粋だ。ここだけは「ウルトラセブン」第8話を思わせる場面で、オチも含めて圧巻の印象だった。これほど複雑に表情を作る宇宙人など怪獣モノにかつてあったか。 ・ウルトラマンの超能力として、1キロ先(だったか?)の針が落ちたのを聞き取るとは言われていたが嗅覚も犬並み?犬以上?だったのか。意識の高い宇宙人に悪態のネタを提供してしまっていた。 ・公安調査官役の人が好きになって来た。生物学者役の人もいい感じを出している。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-12-31 10:12:24)(良:3票)
46.  金門島にかける橋 《ネタバレ》 
1958年の「金門砲戦」を題材にして、当時国交のあった中華民国の映画会社と日活が共同製作した映画である。 ちょっと深刻味のある恋愛ドラマ程度かと思って見ていたが、「中華民國國軍」が協力しただけあって意外に戦闘場面の扱いが大きい。高雄から金門島に向かう艦船は結構な大艦隊のように見えたが、そこへ中共軍の砲撃や航空攻撃があって、やたらに水柱が立ったりして登場人物が危険にさらされていた。ちなみに5隻くらいいた背負い式の単装砲の戦闘艦は、アメリカに貸与されたベンソン級かグリーヴス級の駆逐艦かと思った。 本筋の恋愛物語については微妙だったというしかない。日本側ヒロイン役の芦川いづみという人は個人的に馴染みがなかったが、笑顔の口元に可愛らしさのある人だと思った。中華民国側ヒロインは怖い顔の場面が多かったが、脚がすらりとしてきれいなのはさすがと思った。  当時の国際情勢を背景にした映画のため、当然ながら現在とは世界観が違っている。中華民国側の人物が日本語を話すのは日本統治時代の影響かと思えばそうでもなく、ヒロインの養父は戦時中に日本と戦った大陸出身者だった。また島の人々が自分らを「中国人」と言う場面があったのは、中華民国=中国だったので当然としても、現在のような台湾アイデンティティとは無縁な世界と思わせる。それは金門島という場所柄(台湾省でなく福建省)からしても当然か。 戦って故郷を取り返したいと願う人物に対し、戦争以外の方法は考えられないのか、と主人公が言ったのは戦後日本的な平和主義だろうが、実際はその後年数を経て両岸の往来も容易になったので、結果的に主人公の願いが実現したとはいえる。しかし現実問題として平和を願えば平和になるわけでもなく、次にまた何かあった時は日本も他人事としては見ていられないという気にはなる。  その他の事項として、劇中出た「そうじゅうせつ」とは重要行事らしいが何なのかと思ったら、中華民国の建国記念日である「双十節」だとわかったのは少し勉強になった。 またこの映画とは別に少し前、日本の高校のマーチングバンドが台湾に招かれて大歓迎されたという記事をネットメディアで見た気がしていたが、これも実はこの記念日のゲストとして参加したのだそうで(2022/10/10)、日本と台湾の友情のかけ橋として期待されていたらしい。何か大昔の映画を見たような気がしていたが、現在にちゃんとつながったのが意外で少し感動した。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-12-03 12:03:20)
47.  未成仏百物語 AKB48 異界への灯火寺 《ネタバレ》 
AKB48メンバー8人が寺の本堂で怪談を語り、最後は住職の読経と皆の焼香で終わる。わざわざ映画館で見るものでもないが、実話の再現ドラマや怪談語り、心霊スポット探訪や有識者?との対談といった多彩な内容でTVの心霊特番のような趣がある。 個人的に関心があったのはAKBよりも実話怪談の映像化という点である。これの原作として売られている怪談集の全21話のうちドラマと語りで5話が採用されており、それぞれ名の知れた怪談作家の作なので実話怪談としての質は確保されている。 以下、メンバー8人がそれぞれ1話を担当する。  〇ドラマ「見逃し」 原作 黒木あるじ 原作本を読んでからだと表面的なレベルで止まって見えるが、これはこれで正解。深入りしなくていい。 〇対談 part1 実在の事故物件を訪ね、その筋の権威である大島てる氏の解説を聞く。ちなみに東京都某区東××にある物件の写真が出るが、ストリートビュー(2020.1月)で見ると現在は改装して外観を一新している。 〇ドラマ「宇宙人」 原作 松村進吉 そもそも宇宙人だと思い込んだ理由が不明。原作では当人が不思議ちゃん的人物だからということで大らかに納得したが、ドラマでは人物像が微妙に違うので単に意味不明になっている。なおヒロミ役の濱崎優姫という人はいい感じ。 〇心霊スポットツアー 毎年恒例の「心霊スポット巡礼ツアー」で知られる三和交通タクシーで八王子市内の2か所を訪ねる。この会社は応援したい。 〇ドラマ「お泊まり」 原作 松村進吉 話を作り過ぎ、教訓は不要。本来は実話とされていたはずのものがこのようにしてウソっぽくなる。 〇対談 part2 part1に引き続き、別の事故物件で大島てる氏が語る。 〇語り「見初められる」 原作 小田イ輔 何の感慨も残さずに終わってしまうが、原作では最後の一言が締めの納得感をもたらしており、逆に怪談作家はそういう点に気を使っていることがわかる。 〇ドラマ「あそぼう」 原作 黒木あるじ 単純化が過ぎる。原作ではもう一段の展開がある(座敷童ではない)。  原作とは別に映画としての独自性を出すのは普通かも知れないが、一つひとつにAKBメンバーのトークで安易な解釈をつけるとか、いい悪いの区別を簡単にしたがるのは、怪異をあるがままに受け入れようとする気構えに欠ける気がする。この企画ならこのやり方で妥当だとしても、原作もこういうものだと思ってもらいたくはない。 ただし、こういう企画自体は実はそれほど嫌いでない。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-11-05 10:11:47)
48.  杉沢村都市伝説 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の3つ目で、主演は伊藤寧々という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「死の実況中継 劇場版」「デスブログ 劇場版」と同じである。 シリーズ3作はみな都市伝説を扱っているが、この映画の「杉沢村伝説」は本当にあった都市伝説であり、看板とか鳥居とか岩など結構忠実に見せている。もとの話では青森県にあったとされているが、それをこの映画では「噂で終わった」ことにしていたので別の場所ということになる。ちなみに登場人物が村へ行く途中で見えた看板の「高山・市民の森」は静岡市葵区の山間部にあり、山の斜面に茶畑らしきものが見える場面もあった。近年いわれるオクシズ(奥静岡)での撮影だったかも知れない。  内容的には、ホラーとしての密度はあまり高くない。主人公が村に行くまで全体の半分くらいが経過し、その間に怖さの演出もあるが雰囲気だけである。 村に行ってからの出来事は、もとの都市伝説に「津山事件」(1938)のイメージが含まれているので似た感じになるのは仕方ないとしても、殺人鬼の扮装まで「八つ墓村」(1977)や「丑三つの村」(1983)だったのはどうかと思う。同じく昭和初期の事件が廃村の原因だったという意味かも知れないが、しかし昭和初期にしては民家の柱にエアコンか室内照明のリモコンが取り付けてあったりして、撮影に使ったお宅の様子がそのままなところが見えたりする。屋外でも道がタイル張りだったりカーブミラーがあったりして、この世のものでないはずの村も時代に合わせて変化しているのかと思わせた。基本的に真面目に作ったようではあるが、何かと突っ込みどころの多い映画だった。  なお少しよかったのは女性2人が村へ行く途中の雰囲気で、道の近くに少し険しい山がそびえる風景は異界に踏み込む緊張感を少し出している(送電線は邪魔)。と思ったら交通量の多い道路に行きついたりして、現実との境界が入り組んだ様子を見せていた。 登場人物としては、主演の人は149cmとのことだが、同行した兄の彼女(演・美紀乃)もそれに合わせたのか小柄な人で、この可愛らしい女性2人が馬鹿な男連中のせいで危険に晒されるのが痛々しく見えた。兄がいなくなれば妹の自立が促されるはずとの発言もあったが、優しいお姉さんが一緒にいてくれれば全てうまく行ったのではと思うと少し悲しい。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:53)
49.  デスブログ 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の2つ目で、主演は中田花奈という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけではないらしい。監督はTVで「熱いぞ!猫ヶ谷!」「もっと熱いぞ!猫ヶ谷!!」といったものを撮っている人で、キャスト配列順の2番目にいる秋月三佳という人(ミキティ役)はこの番組との関連で出たものと思われる。 内容としては、当初はコメディ調でガールズトークが面白く、また登場人物の超素朴なやり取りに爆笑させられたりもするが、短い場面をあまり掘り下げないで次々つないでいくうちに、これはやはりホラーだったのだと思わされる展開になっている。ほのぼの感の中に微妙な不安を織り交ぜながら進める形になっており、これで途中までは結構面白いと思って見ていた。 しかし中盤以降、疑惑の対象が次々変わっていくようなのはいいとして、最後の収めどころがどこだったのか全くわからないのは困る。加えて主人公の感情表現が延々と続く場面が多く、特に呼吸が荒いのと、よろつく演技がくどいのには閉口した。これはさすがに演者のせいとばかりはいえないだろうと思われる。 そういうわけで、決して嫌いではないが褒められない映画になっている。  なお前記2人以外の出演者は宮原華音、高橋優里花、青木梨乃、森田桐矢といったところであり、自分としては知らない人ばかりだが(主演も同様)、このうち誰かに関心があれば見てもいいかも知れない。個人的には高橋優里花という人(「まど」役)が、やかましいがなかなか面白かった。  [2022/9/24追記] 8年も経って見返すようなものでもないが、同シリーズの「死の実況中継 劇場版」「杉沢村都市伝説 劇場版」を見たついでに再度見た。ほとんど初見時の印象そのままだが、学園ラブコメの雰囲気から入るホラーというのはユニークかも知れないと改めて思った。 事件の元凶が絞り込まれず拡散して終わったように見えるのは、当面のストーカーが逮捕されたとしても、似たようなのがそこら中に蔓延しているので全く安心できない世の中だという意味か(??)。それだとネットで個人情報を晒すことの危険という、当初の問題提起から逸れた形で終わったようでもあるが、しかしそんなことはこの時点で既に常識だった気もするので、それだけでは不足と思ってヒトコワ要素を補強したということか。何にせよ最後はひどい締め方で、主演の人はお疲れ様だった。
[DVD(邦画)] 3点(2022-09-24 09:44:49)
50.  死の実況中継 劇場版 《ネタバレ》 
乃木坂46のメンバーが主演するホラー映画シリーズ3作の1つ目で、主演は能條愛未という人である。「劇場版」とあるが、ほかにOV版とかTV版とか小説版があるわけでもないらしいのは、同シリーズの「デスブログ 劇場版」「杉沢村都市伝説 劇場版」と同じである。 劇中の都市伝説は架空のもののようで、映画の冒頭から主人公(が演じる劇中ホラーの登場人物)が殺されるまでの一連の部分がそうだとすると、①まず人が死ぬ映像を見たことで呪われ、②その後に来たメールのアドレスを開くと「メリーさんの電話」風の展開になる、という順序になる。うち②で本人が普段使う道を何かが走って来る動画付きなのは悪くない。また“あなたの後にいるの”的な演出は少し怖かった。 ただ①②がスムーズに融合しておらず、題名の「死の実況中継」と、別の“赤い服の女”とでもいうべき話を無理に接合したように見える。またラストでこれが別の形で再現され、観客のところにも“赤い服の女”が来るという感じにしたかったようでもあるが、途中のメール受信が省かれていたのが半端な印象だった。動画チャンネルに貼られたリンクをそのままクリックする形ならよかったか。  当方としては気楽に見られる安手のアイドルホラーを期待していたわけだが、ストーリーは意外に面倒くさく作られている。理屈がよくわからないので適当にまとめると、主人公は進学後の新しい友人と先輩のおかげで高校時代の記憶の呪縛から逃れられるかと思ったが、旧友のせいで先輩と友人を失ってしまい(多分)、改めて自分の意志で立ち向かおうとしたにもかかわらず、結局は旧友との「共依存」関係に引き戻されて終わったように見える。呪縛はかえって強まってしまい、主人公が憎んでいた「理不尽」が続いたまま今生も来世も生き続けなければならなくなった、ということか。かなり真面目に作ったようで、同監督の「デスブログ 劇場版」よりはいいかと思ったが、褒めるには微妙な印象の映画だった。 キャストとしては、主人公役のアイドルは悪くない。序盤で錯乱する場面などはいきなり経験不足にも見えたが、登場人物の息を荒くして変な印象になるのはこの監督の特徴のようでもある(前記「デスブログ 劇場版」と「黒蝶の秘密」(2018))。なお劇中の映像サークルの人物像を結構作り込んでいたようだが、申し訳ないが見る側にとっては関心ない(全員まとめてバカ)。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-24 09:44:46)
51.  4/猫 ねこぶんのよん 《ネタバレ》 
「一匹の猫が住みつく、とある駅を利用する市井の人を描く」という条件で若手監督4人が作ったオムニバスである。製作は「埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ」とのことで、前に見た「埼玉家族」(2013)と同様の埼玉映画ということになる。なお「とある駅」とは明らかに西武秩父駅であって、撮影場所も秩父が多かったように見える。 登場する「駅猫」は同時期の映画「猫なんかよんでもこない。」(2015)に出演したのと同じネコとのことだが、結果的にネコ成分は薄いので、ネコ映画としては期待しない方がいい。  【ねこぶんのいち/猫まんま】 突然終わるので困惑する。ここで思い切りよく清算して決別したというだけでは単純なので、次の展開に向けて仕切り直しと仕込みをしたのかと思ったがそうでもなかったか。木南晴夏という人がかなりいい感じに見える。 【ねこぶんのに/ひかりと嘘のはなし】 意味不明で終わってしまう。変な男と話が通じた(物語を一緒に作った)体験をもとにして、自分の人間関係を主体的に構築していく気になった、と思えなくもなかったがそれでわかった気もしない。柴田杏花さんはこの少し前から役者として出ていた人だが、この映画では“いいこと思いついた!”の顔がよかった。ネコは後姿がよかった。 【ねこぶんのさん/一円の神様】 制作目的が不明瞭な終わり方だが、要は母の愛が信じられれば子は育つということ自体を表現したのかも知れない。終盤で母親が逃げるのは、同じ監督の「口裂け女VSカシマさん」(2016)を思わせたが関係ないか。役者としては山田キヌヲ+栞那(かんな、子役)のペアで見せているが、朝倉あきさんはあまり顔の見えない役で残念だった。 【ねこぶんのよん/ホテル菜の花】 結末がありきたりに見える。夫の考えはそれ自体として間違っておらず、「可哀想」とは確かに言い過ぎだが、しかし別にこの映画として正しい結論を決めていたわけでもなく、夫婦が真剣に悩んで納得したことの方が重要だったと思っていいか。ちなみにどうでもいいことだが夫は埼玉りそな銀行にでも勤めているのかと思った(根拠なし)。  時間は全部同じくらいなのでそれぞれ1/4ではある。理解困難なものが多いが雰囲気は悪くない。最終話だけそれらしい結末をつけたのは全体構成上の意図かも知れないが、個人的には菜の花畑の演出が過剰に見えて、前の3つが投げっ放しだったことの方がかえって清々しく感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2022-08-06 09:41:04)
52.  亡霊怪猫屋敷 《ネタバレ》 
ホラー映画というよりは、予告編に書いてある「怪談映画」がふさわしい。個人的感覚としてはそれほど怖いところはなく、ネコもそれほど邪悪な感じではなく、気楽に見られる大衆娯楽映画になっている。 劇中年代としては昭和30年代と20年代、さらに江戸時代(17世紀初めか)の三段階で、時間を遡ってからまた帰って来る。江戸時代がカラーなのは意外感もあったが、ここからがメインの物語だという雰囲気も出していた。現代部分も単純な白黒ではなく、青みをかけた深みのある色調なのがいい。  江戸時代パートは有名な鍋島化け猫騒動をもとにしていたようで、大村藩(実在の藩名)という設定は場所が若干ずれているが、殺された若侍の「竜胆寺」という家名はそれらしさを出している。囲碁の勝負で喧嘩するなどは大人気なく、また飼いネコに向かって末代まで祟れと言い聞かすのは荷が重そうで無理があると思った(そもそも人の話を聞いていたように見えない)が、これは原話からしてこういうものだったらしい。なお壁の死体は有名なエドガー・アラン・ポーだった。 悪役の家老が好色なのはお決まりの設定だろうが、若い腰元はともかく若侍の母親(眉を剃ってお歯黒をつけている)から手籠めにしたのは意外感があった。凌辱場面では刺激的な描写を避けていたようだが、帯を解いて着物を脱がすという定番の展開を別の場面で見せていたのは代替措置のようなものか(?)。化け猫の犠牲者が曲芸のような動きをさせられていたのが目についた。 伝統怪談の部分は当然救いのない感じで終わったが、現代に戻ってまた新たな展開があり、終盤は一気に文明世界の話に戻ったようでほっとさせられる。最後の最後にまた新手のネコが出現したのも悪くない。ちなみに悪気のなさそうな看護師の人がやられ役にならなかったのもよかった。  以下は個人的感想として、300年にもわたる呪い疲れでもうネコも人も成仏を望んでいたところ、子孫が来た機会にやっと供養してもらえて感謝したのではないか。最初のうちは、わざわざこんな屋敷に来て療養するなど意味不明と思っていたが、終わってみればちゃんと療養の効果が上がったらしいのは「猫の恩返し」だったのかも知れない。最終的にはネコ嫌いの人もネコ好きになる映画で大変結構だった。
[DVD(邦画)] 6点(2022-08-06 09:41:00)
53.  犬鳴村 《ネタバレ》 
地元PRに使えるネタではないはずだが、現地の自治体が実名を出して特別協力していたのはかなり驚いた。県警名と車のナンバーも実在であるのに電力会社だけ架空になっているが、ちなみに現実の犬鳴ダムは県営である。 ストーリーはかなり説明不足に見えるので、欠落部分を勝手に補うと次のようになる。 ***** 村人は昔から周辺住民に忌避され恐れられてきたと想像される。ダム建設なら金と脅しで立ち退かせれば済むはずが、皆殺しにまで至ったのは会社の意向というよりも、この機会に忌まわしいものを一掃したい、という周辺住民の集団意志があったからではないか。その先頭に立った旧家に主人公の母が嫁に来たのは、憎むべき家系の廃滅または乗っ取りの意図が背後にあったと思われる。また今回の事件がきっかけで、それまで知らぬふりをしていた周辺住民も、まるで全てが旧家のせいだったかのように責任転嫁を始めたようだった。 事件のあと、旧家は家庭崩壊を免れたようでもあったが、しかし村人の子孫は確実に社会に紛れ込んでおり、その異能はやがて周辺住民の脅威になっていく恐れもある。そうするとダム建設時の虐殺も、社会の多数派たる周辺住民にとっては一理あったことになるか。あるいは大した脅威でもなかったものを、脅威のように言い立てて差別し迫害した多数派への復讐が始まるということかも知れない。 ***** 家単位で見ると憑物筋の特徴も出ていたようだが、村単位ではネット発祥の怪談「コトリバコ」や、欧州でのポグロム(イェドヴァブネ事件など)を連想させられた。ちなみに実在した犬鳴谷村はこれとは全く違うものであり、上記はこの映画限りでの解釈である。 個別の場面としては、若年女子が股間を黄色くして歩くのが衝撃的だった。白い服に映る映像を振り払おうとする演出も悪くなかったが、終盤のトンネル内の揉め事は早く終わらせろと言いたくなった。なおラストのトンネル映像が本物だったとすれば、ここが一番怖かった。  人物関係では、三吉彩花嬢は長身で美形の医師かと思ったら臨床心理士だそうで、女性っぽさは抑えていたがすらりとした姿には終始見とれていた。ちなみに劇中の子役はこの人の子役時代とは似ていない。また村娘役の宮野陽名という人は撮影当時まだ中学3年生だったとのことで、若いのにプロ根性があるようなのは感心した。ほか突撃バカ役の大谷凜香という人は、「ミスミソウ」(2017)でも悪役だったが今回またひどい役だったので、今後もどうか頑張って演技者として大成してもらいたい。逆さになった一瞬の表情は輝いていた。 [2022/7/23変更] 突っ込みどころの多い映画だが、「牛首村」までのシリーズ3作の中では最も総合的なエンタメホラーになっていて悪くないと思ったので点数を+1にしておく。エンディングの空撮とテーマ曲が心に残る。
[インターネット(邦画)] 6点(2022-07-23 09:49:17)(良:2票)
54.  牛首村 《ネタバレ》 
「恐怖の村シリーズ第3弾」である。 今回は「坪野鉱泉」と「牛首トンネル」という2つの心霊スポットを取り上げているが、題名のとおり牛首関係の方が中心で、廃ホテルとはエレベータなど“落ちる”場面で本筋とのつながりをつけている。「村」に関しては実在の地区名があるようだが(江戸時代は牛首村)、八坂神社(祇園社)の祭神である牛頭天王に由来するのであれば別に呪われた地名などではない。ほかに牛首つながりとしては“そんな怖い話は誰も聞いたことがない”という「牛の首」説話とか、予言獣「件」(くだん)とかいうネタを出しており、また「七つまでは神のうち」など各種要素を積極的に(やたらに)取り込んでいるのが特徴的ともいえる。 この映画に何かまともなテーマがあるとすれば牛というより双子に関することのようで、昔あった「畜生腹」という言葉と、具体的な動物としての牛を無理やり結び付けた形かと思われる。現代日本で双子を忌み嫌う風潮などはさすがにないだろうが、それでも多胎児家庭は虐待リスクが高まるため支援が必要という声もあり、また世界的にはなぜか多胎児の多い地域があるようで(食物の関係?)、それが人権問題につながっている場所や時代もあったのかも知れないが、そういう社会的な問題提起のようなものがこんな映画に込められているわけもなかろうという気はする。 以上に関して無理にいえば、関連性の曖昧な各種要素を逐次投入して観客を眩惑させておき、最終的に真のテーマに導く意図だったと取れなくもないが、単にまとまりがないだけのようでもある。さらに今回は邦画ホラーらしい怖さも特になく、適度にふざけた部分もないので真面目に見えるが面白味がない、というのが素直な感想だった。  ほか今回は地元PRにも気を使っていたようで、Aクラスの蜃気楼が出た時は実際に魚津市役所がアナウンスするとの噂もある。映像面では魚津駅の大雨が印象的だった。 登場人物に関しては、芋生悠という人が全く可愛くない役だったのは残念だ(本人がよければいいが)。またレギュラー化した突撃ユーチューバーが「オカルト特集第3弾!」と言っていたので、この人が犬鳴村と樹海村から無事に生還できた世界での話かも知れない。せっかくなので、この人のYouTubeチャンネル「アッキーナTV」で定番だった「ハロー!アイムアッキーナ!世界の皆さんこんにちは〜!ども、アキナです!」をフルバージョンでやってもらいたかったがそうでもなかった。同行のミツキちゃん(演・莉子)も愛嬌があって可愛いので、次の機会にまた生き返って出てもらうのもいい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-07-23 09:44:01)(良:2票)
55.  ヒトコワ2 -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
全5話のオムニバスである。 【ペットモニター】 最後にニッと笑ったが、すぐ真顔に戻ったので許されたかどうかわからないのは困る。しかし、ペット愛が他の全てに優先する人格を表現しようとしたエピソードと考えれば、やはり許されたのだということにはなる。ただしペットを貶められただけで殺人というのも単純すぎるので、そもそも不倫の件で恨みがあったことにして補強したと解される。 【ヘビと初恋】 小公園は埼玉県越谷市。オチがないようなのは困惑する。目撃者が他にいないと知って自らダークサイドに落ちたと見える(悪人メイク)がそれだけか。 【二人の約束】 男に対する女の執着が異常なのかと思っていると、その後にもう一段の展開がある。題名の印象からは、男が約束を守らないのが問題だということになるが、実はそれよりも、束縛を嫌っていきなり凶行に出るのが異常だということか。妻が妊娠中なのをいいことに遊び回っていたところ、浮気はしない約束のはずだと妻に咎められ、逆に妻が浮気して妊娠したのだろうと言いがかりをつけて殺したが、その後に遊びと思って付き合った相手までが、一途な遊女よろしくしがみついて来たので排除したとも取れる。 【自転車をとめないでください】 埼玉県越谷市で撮影したことを執拗にアピールしている(映像中に文字情報が多い)。「こうかい」だけでなく、その前のも「とめると」がブレーキの意味だったか。つまんねー。 【共通の趣味】 盗撮が異常なのかと軽く思わせておいて、実はさらに異常な性癖だったという展開かも知れないが、両者のつながりが弱いため単に散漫な構成に見える。彼氏が合鍵を提供したので入れたのはいいとして、入るタイミングが変だ。  「ヒトコワ」シリーズの2つ目である。初回の時点で2と3は見ないと書いておきながら、結局全部見てしまったのは阿呆だ。暇なのか。 別に怖くもなく面白味もないが、それほど極端にバカみたいなのはないとはいえる。しかし展開の意外性を優先したためか物語の芯になるものを素直に受け取れず、独自の解釈(上記)を理屈で考えて辻褄を合わせるのが面倒臭い。 また今回最悪だったのは、好意的になれる登場人物(男でなく)が誰もいなかったことである。それがなければC級ホラーなど見る意味もなく、芸能事務所のプロモーション上の意義もないことになる。個人の好みで今回は当たりがなかっただけかも知れないが。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-06-04 13:40:36)
56.  サーチン・フォー・マイ・フューチャー 《ネタバレ》 
同じ監督の「七子の妖気」(2012)に続けて見た。今回は山形県の庄内地域を中心に撮影しており、地元の地方銀行が支援する形になっていたらしい。ちなみに田園に孤立するタワーマンションは庄内ではなく内陸地方の上山市にあるが、山形駅からわざわざここに行くのは「ミクに近づいた」どころかかえって遠くなっている。 上記「七子…」はいかにもマイナー映画だったが、今回は時間も少し長く、2015年の第9回「田辺・弁慶映画祭」で受賞もしたとのことである。その映画祭自体がマイナーなようでもあるが、“インディペンデント映画の登竜門”として扱われていたのは間違いなく、一つ前の第8回では「ひとまずすすめ」「天使の欲望」「独裁者、古賀。」「ファンタズム」といった、見たことのある映画が多く出品されていたことに改めて気づいた。第10回の「ポエトリーエンジェル」も見たことがある。  物語としては、要は主人公の男が同行者に引率されて元彼女を探す話だが、同姓同名の人物がいたりして少し意外感のある展開ではある。主人公には全く共感できないが、それまでの閉塞状態から抜けて視界が一気に開けたところまでで終わりになり、取ってつけたようなハッピーエンドでなかったのは悪くない。主人公が探していた元彼女の名前が題名と関係づけられていたことは、エンドクレジットの漢字を見るとわかる。 劇中で主人公が見た単館系映画というのは上記「七子…」だったようで、それを「お客様」の目からすればクソ映画だと主人公がけなしていたのは、そういいたくなることの意味はわかる。しかしそこで同行者が、そういうことしか言えないのはつまらない奴だ(意訳)と主人公を評していたのには共感した。映画限定の話とすれば内輪ネタのようでもあるが、悪いところでなくいいところに目をつけろというのは、人間の生き方全般に広げて考えてもその通りだと思うものはある。  登場人物としては、主人公の男はどうでもいいとして(見なくていい)、同行者の劇中監督(演・山本真由美)の方は、視界が一気に開けたところで目に入った人物として非常に魅力的に見えた(少々わざとらしいが)。また個人的には、百間堀端とナイトスポット白ばらにいた「もう一人のミク」(演・近藤奈保妃)も好きだ(少し惚れた)。ほかエンドクレジットの「スペシャルサポーター」として、上記「七子…」に妖怪役で出演していたユウコさん(チャンベビユウコ)の名前が見えたのは嬉しい。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-03-19 09:57:02)
57.  七子の妖気 《ネタバレ》 
10年前に岐阜県の下呂温泉で撮った妖怪映画(違うか)である。 撮影のあった旅館「望川館」(ぼうせんかん)は当然いまも営業しており、現時点では「まん延防止等重点措置」(1/21~3/21)の期間中のため制約も多いが、宿泊に関してはガイドラインを守りながら通常営業をしているとのことである。ちなみに映画と関係ないが下呂温泉には「温泉むすめ」の下呂美月(げろみつき)というキャラクターがいるようで、「日本の各温泉地に宿る下級の神さま」であるから妖怪ではないらしいが、下級といってしまうとほとんど妖怪だ。  映画としては、面白いかというとそれほどでもなく個人的には笑えるところもない。やたらに男連中の裸体を見せられるのが煩わしく、その点「お湯かけ婆」には一瞬期待したが可愛く見せようという気もないらしかった。最後の打開策もかなり適当だったがそういうのにいちいち突っ込んでも仕方ない。 物語的には、異質に思われたものをただ排除するのでなく、共通点を認め合って理解し合い共感し合い、互いに尊重しながら共存できる関係を作ることが大事であって、その中で個人の自己変革も促されるという話か。そのためにも温泉という場が役に立つという意味だったかも知れないが、そうだとしてもそんなことにまでこの映画で思い至る人間がどこにいるかということではある。 一応は温泉PRという目的を果たしながらまとまった形で作ってあり、それほど悪くもなかったが、どこを褒めればいいかわからない映画だった。  出演者としては、最初に出た全裸の男が監督だったかも知れないがそれはどうでもいいとして(見なくていい)、男湯を占拠していた妖怪サビナシ役のユウコという人は「チャンベビ」という女性音楽ユニット(3人女子バンド)のメンバーである。このバンドは現在も活動中のようだが、YouTubeを見るとこの映画の前後らしい動画がいろいろ上がっていて、「新潟県粟島のテーマソング」「帯広の豚丼ソング」その他いろいろ聞ける。岐阜市の柳ヶ瀬の商店街でユウコさんがこの映画のPRをしている動画に和まされたので、他の人々には申し訳ないが、今回の出演者の中ではこの人が一番好きになった。その点では見てよかったと思った。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-03-12 10:26:08)
58.  怪談新耳袋 劇場版 《ネタバレ》 
8話オムニバスである。[]内は点数。 【夜警の報告書】 冗長。要は気の持ちようだ、というのはこの手の現象の本質の一面ではあるかも知れないが、それだけでいいともいえないということだ。[3] 【残煙】 単に意味不明。不可解な出来事を表現したいのなら、不可解な出来事だったと納得できるよう作らなければならない。車中の3人はみな見たことのある人ばかりで豪華キャストに見える。最年少で長身の人は「なぞの転校生」(1998)で宇宙人役だった人だ。[2] 【手袋】 手袋だけというのは映像的に格好悪い。なお「夜毎」を「よまい」と読むのは正しいか。[3] 【重いッ!】 だから何だ、とは思うが母親の顔を見ていると気の毒にはなる。[2] 【姿見】 だから何だというのか。そもそも予告編でネタバレしているではないか。[2] 【視線】 脈絡のない話。主人公は10年後に女優になっていたいと言っていたが、堀北真希という人のその後の経過を思うとそれなりの感慨がある。この頃はまだしょうもないホラーなどに出ていたわけだが(可愛いが)、この13年後に引退した時点では最高に存在感のある女優(女性俳優)になっていた。[3] 【約束】 怪人物のビジュアルと、本来の住人がそれをどう思っていたかの説明が感覚的に整合せず納得感がない。ラストは不要だ。[3] 【ヒサオ】 和服と黒電話がわざとらしい。関西弁もわざとらしいが悪いともいえない(京都の話か、深泥池を思わせる)。締めのエピソードらしく、泣かす気満々で作っているのはかえって反発を感じるが、役者が作り出す人物像のせいで否応なしに引き込まれてしまうのは仕方ない。見ているのがつらい話なので褒める気はしない。[6]  特に怖いところはない。原作は一通り読んだはずだが元ネタを思い出すものがない。本来は実話系怪談だが、とても実話とは思えないほど脚色されているようで、特に2話目は実話ではありえない話に見えてしまっている。ちなみに実話怪談では「死ねばよかったのに」タイプのオチがあってはならないことは常識だが、だからといってエピソードとしての締めもなく、ぶった切って終わりでいいともいえないわけで、その意味で特に4、5話目はまともな出来とは思えない。 なおキャストに名の知れた役者が多いので、その後の新人タレントばかり出る安手オムニバスホラーよりは金がかかっていたように見える。
[DVD(邦画)] 3点(2022-02-19 09:19:39)(良:1票)
59.  着信アリ Final 《ネタバレ》 
前回は台湾だったが今回は半島方面に進出している。結果的には東アジア3国にわたる国際展開を意図したシリーズだったことになるが(大日本帝国か)、当時の風潮からすれば今回のが本筋で台湾は枝葉だったようでもある。場所は釜山なので半島の隅をかすっただけだが、それなりに名所やホテルも見せていて観光宣伝的ではあった。ちなみにロケ協力で国家情報院の名前が出ていたのは何だったのか。 ストーリー的にも、最後にネット民とネチズン네티즌が協力して主人公を救うなど両国民の共感を誘う形に作ってある。また序盤で死んだ男の着衣がASIAN CAN CONTROLERZというブランドなのもアジア重視の表れのようだが、デザインが旭日旗なのはまずいのではと思った。ただ現地で旭日旗が問題化されたのは2011年以降とのことなので、この頃は特に何とも思われていなかったらしい。  今回は悪役が次々死んでいくのがわかりやすく、転送すれば死なないという新設定もドタバタ展開に生かされている。しかし後半は主人公のドラマがかったるい上に、もともとのアメちゃん少女や手話の男との関係も付けなければならないので面倒臭くなり、また最後の海など取ってつけたようでかえって後味が悪い。そもそも10歳だったはずの少女がPC内に潜んで情報通信ネットワークを悪用するなど当初の性格づけがどうでもよくなっている。 これまで3つ連続で見たが(※本来の動機は2のテンテンちゃん)、この程度に見せておけばそれなりに受けるだろう、という思惑で作った低位安定シリーズという印象だった。Finalといいながらいつでも復活可能にできていたようだが、実際これで終わったのは穏当というしかない。なお3作共通の着信メロディは単調なので憶えやすいが、単純に単調で無味乾燥なのが低位安定ホラーを象徴している。  出演者に関しては、堀北真希という人が可愛いのはわざわざ書くまでもないとして、黒木メイサという人は時代を遡ってもあまり印象が変わらないようだが、実は堀北真希と同年で、この頃まだ17歳くらい?だったらしい。 また童顔女子(真理)役の上脇結友という人は子役時代からの役者で、現在は一児の母とのことらしい。劇中ではこの人の役柄が恐らく最も普通の人の位置付けであり、序盤で悪役が死んでいくのが痛快だと思った展開も、この人が危なくなったあたりで微妙になったかも知れない。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-02-12 09:47:43)
60.  着信アリ2 《ネタバレ》 
「幽幻道士」シリーズのテンテンちゃんが出演しているのは知っていたが、今回は映画全体が台湾との関連で作られていて、話に出るだけでなくちゃんと台湾ロケを敢行していたのが意外だった。映像的には猥雑な東南アジア的イメージで見せているようだったが、完成直後の「台北101」という当時世界一の超高層ビルもちゃんと映っている。山際の傾斜地にある「虎林街272巷」という寂れた街は実在のようだった(台北市信義区)。なお劇中の老婆が日本語を話していたのは戦前生まれの設定だからと思われる。  内容的には、最初の陰鬱な雨の場面には期待させられたがその後は別に怖いところはない。中盤で台湾に行ってからは普通のサスペンスドラマのようだったが特に旅情を誘う場面はなく、終盤の炭鉱場面(北海道で撮影)はやたらに出たり入ったりで大してスリリングでもない。薄っぺらい人間ドラマも白々しいので泣く気にならず、アクセサリーを落として拾って落として拾う展開も大概だった。 設定に関しては、かかってきた電話を取った他人も被害者になる、という法則を新たに加えてラストに生かしていたが、しかしそもそも携帯電話を呪いに使う必然性がいつまで経っても感じられない。携帯電話の前は固定電話(公衆電話)だったのはいいとして、さらに遡って戦前の台湾(伝染病の後)では何か別のものを使っていたのかも説明されていないのではないか。何にせよ小学生くらいの児童が普通に使える通信手段でないのでは基本設定に無理があるというしかなく、どこまでも適当感のあるシリーズである。 ちなみに序盤で主人公がコンタクトを外してからの出来事は何だったのか。また前回の洗濯物(回想場面でまた出ていた)と似た印象の場面として、主要人物の前面をホールスタッフが横切ってお辞儀したのが目立つ割には意図不明だったが、こういうのも原作では何か意味があったのか。  出演者について、テンテンちゃんは当然もう美少女ともいえないが昔の面影は残している。この人が無惨に殺されるのは日本国民が受け入れがたいだろうという配慮があったのか、代わりに日本人役者のオヤジが死んでいた。ちなみにブタも安らかな顔で死んでいた。 ほか台湾で出た子役がコミカルな演技をしていたのは笑った。
[インターネット(邦画)] 4点(2022-02-12 09:47:41)
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