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にじばぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3272
性別 男性
自己紹介 監督別鑑賞作品数

成瀨巳喜男 69
溝口健二 34
川島雄三 41
小津安二郎 37
石井輝男 24
豊田四郎 19
石井岳龍 18
矢崎仁司 12
西川美和 8
山下敦弘 15
今泉力哉 21
フェデリコ・フェリーニ 24
ミケランジェロ・アントニオーニ 14
ピエル・パオロ・パゾリーニ 16
ルキノ・ヴィスコンティ 17
ジャン=リュック・ゴダール 36
フランソワ・トリュフォー 24
ルイ・マル 17
ジャン・ルノワール 15
ジャック・ベッケル 13
ジャン=ピエール・メルヴィル 11
ロベール・ブレッソン 12
イングマール・ベルイマン 27
アルフレッド・ヒッチコック 53
ジム・ジャームッシュ 15
ホウ・シャオシェン 19
ウォン・カーウァイ 14
ジャ・ジャンクー 9

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1601.  スワロウテイル
キャスティングであるが、豪華キャストとかのふれ込みで、一昔前、「邦画大作」として、話題を振りまいた作品。  「豪華キャスト」とか言われているが、そのキャストの大半が、テレビドラマを中心に活躍する俳優・女優ばかりで、映画としてはちょっと違うのでは?とか思ってた。 それで、今まで観てなかったのであるが。  浅野忠信の出演映画を観ることにハマっているので、この映画をレンタルしたのだが、あまりの「チョイ役」に、ダマされた感、大アリ。 セリフも全くないし、ちょこっと映ってる程度。 その程度で、出演者一覧に、「浅野忠信」っての載せるのは詐欺同然だと思った。  「浅野忠信の出演作チェック」が主な目的でこの作品を借りたので、浅野忠信が超チョイ役だった為、大して楽しめなかった。  返還前の香港や、夜の台北などを見てきた私にとって、この映画は、「アジアの近未来的な雑然とした都市の雰囲気」を、十分に演出できていた様には思えなかった。 その点も不満。  それと、「2時間29分」というのは、あまりに長い。 せいぜい半分程度の上映時間で十分だったのでは?と感じた。  CHARAが好きな人や、渡部篤郎辺りのファンにとってはいい映画だとは思う。 ただし、浅野忠信ファンがこの映画を観ても、裏切られ感が残るのは間違いない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-08-30 23:52:14)
1602.  [Focus]/フォーカス(1996) 《ネタバレ》 
浅野忠信出演作の中でも、観たかった映画ベスト5に入る作品だった。 ようやく今回、観る機会を持てた。  かなりマニアックな映画で、好みは間違いなく分かれるであろう作品。  ただ、73分という短めな上映時間の中で、無駄なシーンがほとんどなく、息つく間もなく、次々にシーンが進んでいく様は、観ている者を釘付けにすること間違いなしだ。  浅野忠信がオタクに扮し、切れているところはスゴイの一言であるが、一部、 「それは、ちょっとオタクのしゃべりじゃないだろ?」 と、個人的にはツッコミたい部分もあった。 ただ、それはほんの一部分でしかないし、後半、物静かなオタクから豹変し、全くキャラが変わってしまう辺りの演技は、「さすが浅野忠信」って感じだった。  あと、ディレクターの様な人から、しつこく質問を受けて、狼狽したり、困惑したり、怒ってみたり・・・と、この辺りの一見すると見過ごしてしまう様な、「絶妙かつ細かい演技」は、浅野忠信にしか出来ない、計算し尽されたレベルの高さを感じた。  しかし、「主人公の死で決着をつける典型的な映画」であるので、そういった映画が大嫌いな私にとっては、不向きな映画でもあった。 決して、他人に自信を持って推薦できる類いの映画ではないが、それとは逆に、「一度は観て欲しい邦画の異色作。」としてオススメしたい。  何より、浅野忠信の凄さが凝縮されている日本映画である。
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-08-30 23:50:18)(良:1票)
1603.  茶の味
いやぁ~~~、この映画はサイコーだった!! 現代日本映画ココにありき!の傑作movie!! ちょーオススメしたい映画だ。  かつて、この予告篇を映画館で見た時、その特殊効果(CGの演出)シーンばかりが強調されていたので、全編にわたってCGばっかりなのかなぁ、、、という印象を持った。  しかし、実際の内容は、予告篇で感じたイメージとは全く異なっており、とても幸せになれる、気持ちのいい映画だった。やはり予告篇だけじゃ、映画は分からない。  大好きな浅野忠信も、その魅力を発揮しまくっているが、その他の出演陣もいい味を出している。特に、映画、『鮫肌男と桃尻女』に続く、“怪演”をしてみせた我修院達也(旧俳優名、若人あきら)は素晴らしかった!ソロアカペラ『三角定規』は奇妙奇天烈!! 「すごい!」の一言だ。  あと、“リトルテンポ”のテーマ曲も最高! この映画の、ほのぼの感も最高! おっしゃる通り、とっても「ピースフルな物語」だった。  理屈じゃなく、こういう「雰囲気」で楽しむ映画は、最高に好きだ。
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-30 23:41:46)
1604.  地球で最後のふたり
私が生涯観てきた作品の中でナンバー1の作品。  この映画を観て以来、監督のペンエーグ・ラッタナルアーン、撮影のクリストファー・ドイルの「ふたり」に、強い関心を持った。  内容としては、それほど難解なものではない。むしろシンプルなストーリー展開だ。(最後の部分とか、一部、解釈の分かれそうなシーンはあるが。)  この映画を観たのは、2004年の夏だった。 渋谷のミニ・シアター「渋谷シネ・アミューズ」の、レイトショーでの公開だった。 2004年と言えば、その年の2月に、10日間ほど、タイに旅行に行った年でもある。  タイに行った直後に、タイの映画に出会ったわけである。 私はこういったパターンに弱い。その映画が描く土地や舞台が、自分が過去に行ったことのある場所だったりすると、大抵は惹かれてしまう。 (ラストエンペラーは中国の紫禁城が主な舞台であったが、とても気に入った。それは、過去に自分が紫禁城に行った経験がある為だと思われる。)  監督のペンエーグ・ラッタナルアーンの影響か、それとも撮影のクリストファー・ドイルの影響か、もしくはその両者の組み合わせの妙による影響かは分からないが、とにかくこの映画の醸し出す雰囲気に酔いしれてしまった。  基本的には、ラブストーリーなのではあるが、自殺願望の強いバンコク滞在の神経質な日本人が主役であったりと、決して爽やかとは言えない。主人公ケンジの部屋の中が、かなりの時間を費やして描かれており、開放的でもない。  しかし、中盤から後半にかけて、海辺のシーンや屋台のシーン、ドライブするシーンなどが登場する。室内の鬱積した雰囲気から一気に解放される感じである。こういう展開は、最高に好きだ。特に、ヒロインの住む家の撮り方なんて最高だ。タイのパタヤの緑が刺激的である。  ただ、そう言った個人的好みの流れの中で、苦手なシーンもある。 それは、日本のVシネマ的ノリの、日本人ヤクザが登場するシーンだ。このシーンは、監督が意図的にねらって挿入したと思われるが、私個人の感覚からすると、「雰囲気ぶちこわし的蛇足シーン」としか、感じられなかった。  しかし、その部分で多少のマイナスはあるにしても、私が今まで観てきた映画の中で、ナンバーワンの映画であることに変わりはない。
[映画館(字幕)] 10点(2007-08-30 23:37:05)
1605.  突貫小僧
フィルムセンターにて鑑賞。 小津安二郎の“幻の短篇”的意味あいがあるので、そういった観点から 言えば、観る価値のある作品。 内容は取るにたらないもの。 “現存する小津作品の全制覇”という目的でもない限り、観る価値はそれ 程あるとは思えない。  
[映画館(邦画)] 3点(2007-08-29 01:10:57)
1606.  錆びたナイフ
フィルムセンターにて鑑賞。 小津安二郎の幻の短篇『突貫小僧』と2本立てであった。 『突貫小僧』目当てで行ったので、本作『錆びたナイフ』はオマケ的に観た流れ。 したがってあまり期待せず観たのだが・・・ やはり、何の変哲もない日活映画であった。 期待を良い意味では決して裏切らない、裕次郎ファンでないと退屈間違いナシの 歴史に埋もれるべくして埋もれた小品。
[映画館(邦画)] 5点(2007-08-29 01:06:51)
1607.  貸間あり
“初川島雄三”を「フィルムセンター」で体験してきました。 川島作品といえば、『幕末太陽傳』『洲崎パラダイス 赤信号』『しとやかな獣』辺りから入っていくのが無難なんでしょうが、貴重な本作がちょうどフィルムセンターで上映されるということで、行ってきました。 フランキー堺が主演の1950年代喜劇ということで、自分にとってはやや敷居が高かったですが、意外と楽しめました。 主演のフランキー堺、ジャズ・ドラマー出身ということですが、演技うまいですねー。 びっくりしました。 そして変に体格も良いです。  そして脇役で強い個性を発揮していた桂小金治。 こちらも落語家ですが、自然な演技で素晴らしいです。 若い頃も同じ様な顔してたんですね。  ヒロインの淡島千景ですが、個人的には好みに合わなかったです。 なので、男性出演陣に共感できず。 あのパーマは、現代的センスで見てしまうと、ひいてしまいます。 完全におばはんパーマです。  ところで本作、冒頭から凄いハイテンションです。 よほど集中していないと流れについていけないくらいのスピード感。 その後も、ドタバタ喜劇的な色合いのジョークが連打されていき、観ているこっちはノックアウト気味です。 これを「息もつかせぬ笑いの連続」と取るか、「テンション高すぎ、スピード早過ぎで疲れる」と取るかは、ほんと好み次第。 私は両方でした。  笑いのセンスとしては、正直合わない部分が多かったです。 しかし、登場人物が全てクセ者ぞろいで、各キャラクターが実によく作りこまれています。 その為、後半はいつの間にか“川島ワールド”に引き込まれたのも事実。 特にフランキー堺の演ずる主人公が、実に人間味があってよかったですね。  “サヨナラだけが人生だ” 何度となく本作で繰り返される“川島監督の座右の銘”といわれる名文句。 実に奥深い言葉でした。
[映画館(邦画)] 7点(2007-08-24 07:11:26)
1608.  (ハル)(1996)
森田芳光の監督作品を観るのはこれで3本目。 『家族ゲーム』は最高に面白かったが、『の・ようなもの』はそれほどでもなかった。 果てして、本作『(ハル)』はいかがなものか?! 本作の評価によって、私の森田芳光に対する評価が固まる気がする・・・ そんな予感あり。  主演は深津絵里と内野聖陽。 深津絵里は今とそれほど変わらない感じ。 それとも、ファンでないからその違いに気付かないだけなのか?! それに対し、内野聖陽は若い!の一言。 内野聖陽と言えば、フジテレビのいわゆる“月9”ドラマ『不機嫌なジーン』が印象的。 竹内結子と共演し、独特でいて不自然な演技をみせた、あの内野聖陽だ。 本作『(ハル)』における内野聖陽は、髪も短く、セリフ回しもごく自然。 自然すぎて、面白味に欠けてしまったほどだ。  でも、待てよ? そもそも彼に面白味を要求するのは間違っているのかな? 彼は一応、二枚目俳優なんだし。 だけど、『不機嫌なジーン』の彼の印象が強過ぎるので、それはある意味仕方ないのかも。 ということで、内野ファンの方、どうかお許し下さい。  深津絵里の妹役で登場した戸田菜穂。 深津絵里の方が若く見え、彼女の妹役というのが何とも不自然に感じた。 というか違和感ありまくり。 というか姉妹にしては似てない。 でも、この頃の戸田菜穂より、今の戸田菜穂の方が綺麗だな。  本作は、いわゆる“ネット恋愛モノ”のハシリで、当時の時代背景を考えれば、その独創性は高く評価すべき。 しかし、時代背景そのものを、決して洗練されているとは言い難い映像と音楽で見せるばかりに、今観るとあまりに古臭くなってしまっている。 “1980年代から90年代にかけての邦画の古臭さ”が異常に臭うのだ。  だが白眉なシーンもあるにはある。 それはラストシーン。 カラーからセピア色に変わるあのシーン。 あれは意外と好き。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-08-24 07:00:18)
1609.  宗方姉妹
まず“宗方姉妹”の妹の方を演じた高峰秀子。 高峰秀子の出演作は『浮雲』をはじめ、意外と沢山観てきているが、本作での高峰秀子は最強のインパクトであった。 「本作における彼女は、彼女らしくない」と、批判の声も聞こえるようだが、いやいやかなり良かった。 特に、「~であった。」と、寅さんばりの独り語りをみせるところが秀逸。 ここに、彼女の特異な才能を見出すことができた。  次に姉の方を演じた田中絹代。 溝口作品で沢山観てきた女優だが、今まではどうも魅力を感じなかった。 特に、“女性として”の魅力を。 ところが、本作では不思議と、その“女性として”の魅力を感じることができたのだ。 あの慎ましやかな女性像。 現代の男にとっては憧れですね。  そして、その姉妹二人から想いを寄せられる色男役に上原謙。 終始、ニヤついた演技を見せている。 ずっと、いつでもニヤついているのだ。 ニヤつき頻度は、私が今まで観てきた映画の中でもナンバー1。 しかも、そのニヤつきが板についているから凄い。 さすがは上原謙。 ニヤつき上原謙。  上にも書いたように、高峰秀子が独り語りで、様々な魅力あふれる小話を披露する。 その中でも、最も私が心奪われた小話を、ここに引用してみよう。  ある寒い日、二人は皇居のお堀端を歩いていた。 男は手をつなぎたかった。 だけどつなげなかった。 二人は若かったのだ。 いつまでも歩いていたい二人であった。 しばらくして男は女に訊いた。 男「ねぇ、寒くないかい?」 女「いいえ。」 そして女はショールを肩に上げながら言った。 女「あなたは寒くないですか?」  最近、これに似た淡い経験をしたばかりなので、妙に心に沁みた。 人は自己の経験とオーバーラップするシーンを、映画の中に見出したりすると、妙に感動するもんですね。 誰もが経験する自分の中の青春の1ページ。 それと似たようなシーンが、映像として刻まれている作品。 そんな作品を観た時、自分ならではのオリジナルな感動を味わえるのだ。 そして、それが映画の持つ固有の魅力なのだろうと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2007-08-24 06:58:10)
1610.  幕末太陽傳
満を持して、川島雄三監督の代表作にして、日本映画を代表する傑作『幕末太陽傳』を鑑賞することができた。 川島監督の作品はいくつか観てきたが、やはり本作のパワーとスピード感は別格だった。 日本映画史に名を残し、「日本映画ベスト10」といった企画等で常連である本作。 その実力を目の当たりにすることができた。  川島監督にハマりつつあるが、それと同時にフランキー堺にもハマりつつある。 フランキー堺の丸っこい体に似つかわしくない、その軽やかな動きに脱帽。 あの動きは確かに“芸術”の域にまで達している。 そして、とぼけた表情に、スピーディな軽い語り口。 外見的には決して二枚目ではないのに、劇中の女性に惚れられる役回りが多いが、確かにそれを納得させる人間的魅力を感じる。 ちなみに本作には、石原裕次郎も出演している。 主演はあくまでフランキー堺だが、石原裕次郎もさすがの存在感。  その他のキャストも実に豪華。 南田洋子、金子信雄、山岡久乃、岡田真澄、菅井きん、西村晃、二谷英明、小林旭・・・などなど。 特に岡田真澄のインパクトが大。 「若い頃は痩せていて、晩年とは全く違う感じだった」と誰かに聞かされた記憶があるが、確かにその通りであった。  本作は、幕末の品川遊郭を舞台にしているので、沢山の女性が登場する。 その中でも中心的役割を演じた女性が南田洋子。 ご存知、長門裕之の奥さん。 これがとても美しくてビックリ! 南田陽子って、こんなに綺麗だったんだぁ・・・と感心してしまった。 これなら長門裕之も惚れるハズ。  フランキー堺の魅力あふれる演技と、豪華な脇役陣、美しい女性たち、そして「古典落語」を題材にした数々の面白いエピソードなど、見所を挙げればキリがない。 劇中の騒々しさとラストの静けさとの対比や、味わいのあるラストシーンも素晴らしく、“日本映画を代表する1本”という肩書きに偽りはなかった。
[DVD(邦画)] 9点(2007-08-24 06:49:14)
1611.  波影 《ネタバレ》 
物語は少女のあどけなさが残る大空真弓演じる女性が、雨の中でお墓参りをする場面から入っていく。 恐ろしく沈鬱なムード。 岡崎宏三のカメラが、その沈鬱なムードを際立たせている。 陰影の効いた、少し暗い感じのするモノクロ映像だったが、悲哀たっぷりに海を臨む墓地を映し出しており、文学的なムードと相まってとても美しい。  画面は一転して、明るめの雰囲気に。 そこで若尾文子が登場。 いやー、美しい。 艶かしい。 実に着物が似合っている。 お尻の線が色っぽ過ぎる。 今まで私が観てきた若尾文子出演作の中で、最も美しい若尾文子がそこにいた。 白状すれば、今までは若尾文子がそんなに好きではなかったし、大して美しいとも感じていなかった。 それが、本作で簡単に覆ってしまった。 本作では、若尾文子の美しさが見事なまでに映し出されている。 “ベスト オブ 若尾文子”な作品。 本作の魅力を一言で表現すればこんな感じだろうか。  若尾文子演じる雛千代は、悲しい過去を持ちながらも、とても明るく、誰に対しても優しい。 どんなに辛くて困難な状況でも、悪態をつかず、常ににこやか。 まるで、自分の幸せを全て分け与えてしまっているかのようだ。 雛千代は、娼館(置屋)で女郎をしているのだが、そこの女将さんの娘と懇意になる。 その娘を演じたのが、上に書いた大空真弓である。 娼館で勤める身なので、年下の娘に対して敬語を使う雛千代。 それに対して、娘はタメ口。 だけど、二人の雰囲気は悪くない。 悪いどころか、とても仲むつまじいのだ。 冒頭で雛千代が亡くなるという悲劇的結末を先入観として観ているこちらとしては、明るすぎるこの二人のやり取りが、むしろとても哀しいものに見えてくる。 この哀しき二人のやりとりを「美しい」とみるか、「陰鬱で辛い」とみるかは人それぞれであろう。 しかし、少なくとも私は、あまりにも哀れに感じてしまい、観ていて辛さばかりが先にたってしまった。 もしかすると、私と同じ様に感じていた人もいたのではないだろうか。 ここにDVD化されていない理由の一端があるんじゃなかろうか。 そんな気がした、あまりに哀しすぎる二人の仲むつまじきシーンであった。
[映画館(邦画)] 5点(2007-08-23 12:39:34)
1612.  直撃!地獄拳
日本映画史に名を残す“鬼才”監督、石井輝男初のアクション作品。 石井輝男作品は、今まで沢山観てきたが、どの作品も熱かった。 しかししかし・・・ この作品の熱さはハンパじゃない!! 千葉真一の「コォォォォォーーーーオオオ」の気合いの入れ方が熱い熱い!(関根勤が千葉真一のマネをする時にやる、アレそのままです。笑) 笑いころげる程の熱さ。 そして千葉真一の顔も濃くて暑い。 こんなに熱くて笑えるアクション映画を観たのは初めてだ。 日本が世界に誇れるアクション映画である! ハァーーーーーアアアアアーーーーアチョーーー!! 劇中の千葉真一は、“甲賀忍法”の使い手なのだが、何故か「ヌンチャク」が登場する。 このヌンチャクさばきが凄い!! 凄すぎる! 速い! とにかく速いのだ。 速すぎて笑えてしまう程に。 何故、速いだけで笑えてしまうのか?? それは石井輝男作品に共通する不可思議な面白さによるものだ。 バカらしいことを、凄い技術と真剣さと真顔で演じることの面白さ。 それが石井輝男作品に共通する独特の面白さであり、その独特の面白さは、本作において特に強く発揮されている。 しかし速ぇなー、あのヌンチャクさばき!  さて本作は豪華キャストでもあったりする。 津川雅彦、安岡力也、倉田保昭、室田日出男、真田広之などなど。 若い頃の安岡力也が出演していたが、これがやたらに弱い役で最高。 千葉真一に一方的にやられっぱなし。 あのガタイであんなに弱いとは思えないが・・・ そして“日本のドラゴン”こと倉田保昭。 凄い身のこなしと筋肉。 本場のカンフー映画で活躍したその実力を、まざまざと見せ付けられた。 本作は、石井輝男作品に共通する“シリアスさと笑いの不思議な融合”を分かりやすく堪能できる貴重な作品である。 とにかく熱いこの作品。 DVDも発売されていない模様で、鑑賞することがやや困難な状況なのが惜しい。 埋もれさせておくには惜し過ぎるアクション・ムービーの傑作だ。  追記:2007年にDVDが発売されたようですね!嬉しい!
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-14 13:53:33)(良:1票)
1613.  しとやかな獣
川島雄三にだいぶ親しみを感じつつある今日この頃。 つい最近まで川島雄三という重要な監督を知らなかったことが不思議な程だ。 本作は『幕末太陽傳』や『洲崎パラダイス 赤信号』や『雁の寺』などの作品と並ぶ川島監督の代表作の一つである。 主演は若尾文子であるが、溝口健二監督の『祗園囃子』で一躍脚光を浴び、その後増村保造監督のもとで活躍をしたことが知られている。 しかし、本作の監督である川島雄三監督の作品にも多数出演していることを忘れてはならない。 川島作品における彼女は、極めて悪女的な振る舞いをする。 そして知的でもあり魅惑的でもある。 本作における彼女も、それに違わず強烈な悪女っぷりを披露していた。 そしてこれは川島作品に共通することだが、脇役陣の個性の強さが際立っている。 伊藤雄之助演ずる一家の父親は、浜田ゆう子演ずる実の娘を女衒ばりに扱う強烈なキャラクター。 そしてそれを見守る山岡久乃演ずる妻は、一見すると慎ましやかなのだが、金のためなら何でもする傍若無人な夫をことごとくフォローし、どんなことにも冷静に対応する悪辣ぶり。 父親、母親、息子に娘と、どれもが常軌を逸している。 そしてそこに絡んでくる息子の元恋人役が若尾文子なのであるが、この奇天烈な家族4人を向こうに回しても、一歩も引けをとらないその悪女ぶりが凄すぎる。 浜田ゆう子のちょっとしたお色気シーン、伊藤雄之助の娘を金銭で売る悪辣ぶり、山岡久乃の怖いくらいの冷徹な振る舞い、息子の過激な言動と暴れっぷり、そして若尾文子のハマり過ぎて怖い程の悪女ぶりと、個性豊かな登場人物たちが、団地の狭い一室を舞台にところ狭しと暴れまわる。 最近DVDが発売されたらしい。 知名度がそれ程高いとは言えない本作が、DVD発売されたのにはそれなりの理由があろう。 おそらくそれは口コミによる評判の高さであるに違いない。 川島雄三が後世に残した、異色密室家庭劇の傑作である。
[DVD(邦画)] 6点(2007-08-14 13:49:43)
1614.  河内山宗俊
本作『河内山宗俊』は、夭折の天才監督、山中貞雄の現存する数少ない作品の一つである。 他の現存する2作品である『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』と『人情紙風船』は鑑賞済み。 したがって、現存する山中貞雄作品はこれで全て観たことになった。 本作『河内山宗俊』は、『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』や『人情紙風船』の2作品と比べると、少し知名度や一般的評価が低い気がする。 そんな中、最後に観たので、それほど期待していなかった。 しかし、なんと、山中貞雄作品の中では、個人的に一番のお気に入りとなった。 かなりの傑作である。 本作のメインキャストとして、河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人が出てくる。 この二人は『人情紙風船』や、溝口健二の『宮本武蔵』と『元禄忠臣蔵』でもコンビを組んでいた。 そんな中で、本作における二人は最も魅力的だった。 二人とも最高の俳優である。 まずは河原崎長十郎。 冒頭での将棋シーン。 最初はお茶らけている河原崎長十郎。 しかし、最後に真顔で凄んでみせる。 この時の迫力にゾクゾクした。 そして中村翫右衛門。 相変わらずのひょうひょうとした自然な演技。 素晴らしく魅力的だ。 ラスト近く、口にくわえた爪楊枝を捨て、原節子演じる娘を救うため、立ち上がる。 この時の男意気。 しびれるねぇ・・・ 本作には、小津安二郎作品でお馴染みのミューズ、原節子がヒロイン役で出演している。 ちなみに本作は、原節子の最も若い頃を見ることのできる貴重な作品らしい。 小津作品に出まくっている頃の原節子と比べると、当たり前だが大分若く、純情可憐な感じ。 小津作品では比較的大柄に感じられる彼女だが、本作では小さく見えた。 この時、彼女は15歳だったらしいが、二人の男を振り回す魅惑的な少女として、十分に存在感を発揮していた。 先にも書いたが、本作における河原崎長十郎と中村翫右衛門の二人の掛け合いは、絶妙で素晴らしい。 そして全編に渡って「男意気とは何たるか」を堪能できる素晴らしく良くできた傑作である。 山中作品はどれも素晴らしいが、私は特に本作『河内山宗俊』を高く評価したい。 82分という短い尺の中に凝縮された、いつの時代にも共通する「男の生き様の何たるか」を堪能できる作品である。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-14 13:30:46)(良:1票)
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