161. 秋刀魚の味(1962)
“名匠”小津安二郎の遺作。 1962年の作品だが、小津の完成された力量が冴え渡る“見事なまでに美しいカラー作品”であった。 小津の代表作『東京物語』については、ラストの笠智衆が一人佇むシーンには圧倒されたものの、それ以外は、“まぁ、こんなもんか”といった感想だった。 そんなわけで、特別に期待して観たわけではなかった本作。 ところがところが、開始早々10分程で、完全にこの作品の持つ魅力に引き込まれてしまった。 冒頭にも書いた様に、本作は初期のカラー作品でありながら、質感を含めその美しさは圧倒的なもの。 機械的にただキレイなだけの現代映画と比べても、その質の違いからか、全くひけをとらない美しさ。 その端整な映像の数々を観ているだけでも飽きさせないものがあった。 登場人物について。 主演は小津作品でお馴染みの笠智衆。 “背中で感情を語る”彼にしか出来ない演技には脱帽。 そして、笠智衆に続いて本作で中心的な役回りを演じた当時21歳の岩下志麻がとにかく美しかった! 和服姿の似合うこと似合うこと。 また、彼女の兄役を演じた“中井貴一”の父である佐田啓二も、このたんたんとしていて渇いた感じの小津作品に完全に同化していて面白い。 そして、石井輝男作品でお馴染みの吉田輝雄。 本作でも好青年的イメージは健在。 石井作品では、ドロドロとした世界の中の唯一まともな人間というのをよく演じていたが、本作では、作品の一登場人物としてすんなり納まっているところに面白味を感じた。 『秋刀魚の味』を観たおかげで、今日は思いもがけず久しぶりに、ほのぼのとしていい日曜日を過ごすことができた。 やっぱり、“OZU”は凄かった。 [DVD(邦画)] 8点(2007-09-02 11:22:42) |
162. おかあさん(1952)
『浮雲』では、高峰秀子と森雅之が繰り広げる皮肉の応酬に多少なりともゲンナリしてしまったが、本作は全くの正反対な作品だった。 観た後は何とも言えない、ほのぼのとした気分に浸ることができた。 ラストシーンの、香川京子が魅せる“ウィンク”に脱帽。 岡田英次の演ずる劇中の青年が羨ましい。 そして観ている私も、まるで自分が“ウィンク”されたかの様にポッとなってしまった。 自分も男として生まれた以上は、本作における香川京子の様な可憐で可愛らしい女性から、一度は“ウィンク”されたいものである。 他にも舌をペロっと出すシーンがあったりと、噂に違わず本作は“香川京子を最も可愛く映し出した作品”であった。 香川京子目的で観た本作であったが、肝心の内容の方も素晴らしかった。 『浮雲』でもそうであったが、成瀬巳喜男の映画に出てくる東京の風景はとてもリアルだ。 どこかの花町を描いているわけでもなく、どこかの豪邸を描いているわけでもない。 むしろその様なものは他の古き日本映画で観ることが可能である。 しかし、成瀬巳喜男の映画に出てくる古き良き東京は、いわば『サザエさん』の実写的様相を呈していて、庶民の生活をそのままリアルに伝えている。 街の風景もそうだし、家の中の景色もそうだ。 自分はこんな昔の東京を見たことがある訳でもないのに、何故だか懐かしい気持ちでいっぱいになってしまった。 香川京子の存在といい、こういった懐かしすぎる東京の風景といい、茶の間の景色といい、全てが感動的なまでに懐かしきベールに包まれていた。 そしてそれを観ているこっちの方も、心洗われるのだ。 『浮雲』で成瀬巳喜男に対してゲンナリしてしまった諸氏に、是非ともオススメしたい作品である。 『浮雲』も日本映画史に残る傑作だが、こちらも対極に位置する形で、成瀬巳喜男の誇る傑作中の傑作だと言って間違いないであろう。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-02 11:16:17)(良:1票) |
163. 山椒大夫
本作はヴェネチア国際映画祭で賞もとった国際的にも評価の高い作品である。 個人的には『残菊物語』と並んで溝口作品の中では最もお気に入りな作品となった。 オープニングのキャスト表示からして胸躍る。 重厚な音楽と共に、これから溝口作品が始まることを教えてくれる。 これからも溝口作品を観るにつけ、まるで『男はつらいよ』のオープニングを観るかの様に、条件反射的に胸躍ってしまうに違いない。 そして宮川一夫撮影による芸術的な映像美は言うまでもなく美しい。 単に美しいだけでなく、その映像を通してその世界に引き込まれていくような感覚を覚える。 この感覚がクセになってしまったので、もはやそう簡単には溝口映画から抜け出せそうにない。 そして出演陣では、香川京子に目を奪われた。 美しいというか、かわいいというか。 他の作品で何度か香川京子を観たことがあるが、この作品の香川京子が一番魅力的だった。 足の先まで可愛らしかった。 『ワンダフルライフ』での“おばあちゃん”香川京子を観てしまっているだけに、少々気分は複雑だが(笑)、今だ存命でいらっしゃるのは嬉しい限りだ。 『残菊物語』でもそうであったが、正直、中盤でダレル部分があるにはある。 しかし、これも『残菊物語』と同じく、“ラストの怒涛な展開”がそんな不満を木っ端微塵に吹き飛ばしてくれる。 本作のラスト15分はそれだけ凄まじい印象を残し、涙無しでは観ることができなかった。 こういったラストの怒涛な盛り上がりが、更に溝口作品へのハマりを助長する。 ますます溝口から抜け出せない。 困ったもんだ。 むちゃくちゃ忙しい毎日なのに、困ったもんだ。 あー、困った。 溝口健二には困った。 これから一つでも多くの、美しすぎる溝口作品を観ていきたいと思う。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-02 11:10:09)(良:1票) |
164. 切腹
《ネタバレ》 「異色時代劇」というフレコミがあったが、まさしく「異色」以外のナニモノでもなかった。 そもそも、始まりからして奇妙。 一人の汚い身なりのお侍が、でっかい屋敷の玄関先で切腹をしたいと押しかけてくるシーンから始まる。 これから何かすごいことが始まるぞ~っていうのが、このシーンの異常な緊迫感から感じ取ることができる。 前半は特に秀逸で、ぐんぐんと物語りにひきこまれてしまった。 モノクロもいい効果を生んでいる。 空気が引き締まって見えるのだ。 中盤辺りは少し中だるみ感があったり、仲代達矢と丹波哲郎の決闘シーンは少しリアリズムを欠く演出がなされていたりと、全体的にみれば今一歩の感は否めない。 しかし、先が全くよめない素晴らしい脚本と、画面にみなぎる緊張感は素晴らしいの一言だ。 チャンバラ(殺陣)部分がイマイチで、それ以外の部分が素晴らしい、まさしく「異色」な時代劇。 それにしてもこの作品の丹波哲郎、かっこいいな~。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-01 20:33:46) |
165. 運命じゃない人
渋谷のユーロスペースにて、映画『運命じゃない人』を鑑賞した。 この映画、前知識ほとんど無しで観にいったんだけど、かなり楽しめた。 カテゴリは「ヒューマン」となっていたけど、サスペンスっぽい部分もあり、スリリングな展開も楽しかった。 「一つの場面を複数の視点から繰り返し映し出す」というのがこの作品の最大の魅力である。 そしてエンドロールが流れ・・・ 「え?!これで終り・・・ははは。。むむ??何?え?おいおい!」 という感じに最後はなれるはず。 ネタバレ無しの代わりに、かなり分かりずらい作品紹介となってしまった。 だけど、ネタバレしてしまうと確実に面白さ8割減の映画だ。 久しぶりに観た「しっかりと楽しめる邦画」だった。 最後まで油断させない細かい作りは一見の価値アリ! 中古チケットショップで映画鑑賞券を購入。 価格は1330円だった。 「回数券」をバラ売りしたものらしい。 半額デーとかだと、安かったとしても館内が混雑しているので微妙だが、この1330円は価値のある1330円だった。 [映画館(邦画)] 8点(2007-09-01 20:19:35) |
166. 猫と庄造と二人のをんな
本作を選んだ理由、それはもちろん大好きな香川京子目的。 しかもハスッパで不良な役を珍しく演じていると評判の作品なので、ずっとレンタルするのを楽しみにしていた。 そして監督は豊田四郎。 恥ずかしながら、初見の監督だ。 なので、こちらも楽しみであった。 いつもながら、初見の監督の作品を観る瞬間というのはワクワクする。 主演は40代の頃の森繁久彌。 雰囲気としては、渥美清のキャラクターに間寛平のシャベリを混ぜ合わせたノリ。 (例えが適切でないと思いますが、分かりやすいかと思い、敢えてこの表現でいかせて頂きました。) その母親役に浪花千栄子。 何度か観たことのある女優だが、相変わらず小気味がよくて切れ味のある凄い演技をする女優だ。 あっぱれ。 そしてその妻役(先妻)に山田五十鈴。 これがまた陰険な役を自然な感じで演じており、凄いの一言。 口元をひきつらせつつ、嫌味を言うところなんぞ、気持ち悪いくらいに自然に演じている。 そしてそして、森繁の後妻役に香川京子。 いやー、本作を観て良かったぁー! 終始、下着か水着です。 その露出の多い肌を、森繁が撫で回す。 うーん、いいねー、いいなー。 つい先日、75歳になる彼女のトークショーに行ってきたばかり。 そんな彼女の若い頃の作品を観るにつけ、古い作品を観た時にしか感じることのできない、“時間の経過が織り成す不思議な感覚”を堪能することができた。 本作は、終始喜劇的なノリで進んでいくのだが、最後はとても恐ろしい顛末へと向かっていく。 それでも表面的には喜劇的体裁。 だけど、それだけに余計に怖い。 感情むきだし欲望むきだし意地むきだしの女性3人を前にして、森繁はこうつぶやく。 「やっぱり畜生(猫)が一番だよ」 と。 人間の愚かさと狡猾さを、猫と対比しつつ、喜劇的な手法で表現してみせた本作。 豊田四郎監督の凄さを一発で体感できた。 しかし最後は怖かったなー・・・ [ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-01 00:19:03)(良:1票) |
167. 茶の味
いやぁ~~~、この映画はサイコーだった!! 現代日本映画ココにありき!の傑作movie!! ちょーオススメしたい映画だ。 かつて、この予告篇を映画館で見た時、その特殊効果(CGの演出)シーンばかりが強調されていたので、全編にわたってCGばっかりなのかなぁ、、、という印象を持った。 しかし、実際の内容は、予告篇で感じたイメージとは全く異なっており、とても幸せになれる、気持ちのいい映画だった。やはり予告篇だけじゃ、映画は分からない。 大好きな浅野忠信も、その魅力を発揮しまくっているが、その他の出演陣もいい味を出している。特に、映画、『鮫肌男と桃尻女』に続く、“怪演”をしてみせた我修院達也(旧俳優名、若人あきら)は素晴らしかった!ソロアカペラ『三角定規』は奇妙奇天烈!! 「すごい!」の一言だ。 あと、“リトルテンポ”のテーマ曲も最高! この映画の、ほのぼの感も最高! おっしゃる通り、とっても「ピースフルな物語」だった。 理屈じゃなく、こういう「雰囲気」で楽しむ映画は、最高に好きだ。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-30 23:41:46) |
168. 宗方姉妹
まず“宗方姉妹”の妹の方を演じた高峰秀子。 高峰秀子の出演作は『浮雲』をはじめ、意外と沢山観てきているが、本作での高峰秀子は最強のインパクトであった。 「本作における彼女は、彼女らしくない」と、批判の声も聞こえるようだが、いやいやかなり良かった。 特に、「~であった。」と、寅さんばりの独り語りをみせるところが秀逸。 ここに、彼女の特異な才能を見出すことができた。 次に姉の方を演じた田中絹代。 溝口作品で沢山観てきた女優だが、今まではどうも魅力を感じなかった。 特に、“女性として”の魅力を。 ところが、本作では不思議と、その“女性として”の魅力を感じることができたのだ。 あの慎ましやかな女性像。 現代の男にとっては憧れですね。 そして、その姉妹二人から想いを寄せられる色男役に上原謙。 終始、ニヤついた演技を見せている。 ずっと、いつでもニヤついているのだ。 ニヤつき頻度は、私が今まで観てきた映画の中でもナンバー1。 しかも、そのニヤつきが板についているから凄い。 さすがは上原謙。 ニヤつき上原謙。 上にも書いたように、高峰秀子が独り語りで、様々な魅力あふれる小話を披露する。 その中でも、最も私が心奪われた小話を、ここに引用してみよう。 ある寒い日、二人は皇居のお堀端を歩いていた。 男は手をつなぎたかった。 だけどつなげなかった。 二人は若かったのだ。 いつまでも歩いていたい二人であった。 しばらくして男は女に訊いた。 男「ねぇ、寒くないかい?」 女「いいえ。」 そして女はショールを肩に上げながら言った。 女「あなたは寒くないですか?」 最近、これに似た淡い経験をしたばかりなので、妙に心に沁みた。 人は自己の経験とオーバーラップするシーンを、映画の中に見出したりすると、妙に感動するもんですね。 誰もが経験する自分の中の青春の1ページ。 それと似たようなシーンが、映像として刻まれている作品。 そんな作品を観た時、自分ならではのオリジナルな感動を味わえるのだ。 そして、それが映画の持つ固有の魅力なのだろうと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-24 06:58:10) |
169. 直撃!地獄拳
日本映画史に名を残す“鬼才”監督、石井輝男初のアクション作品。 石井輝男作品は、今まで沢山観てきたが、どの作品も熱かった。 しかししかし・・・ この作品の熱さはハンパじゃない!! 千葉真一の「コォォォォォーーーーオオオ」の気合いの入れ方が熱い熱い!(関根勤が千葉真一のマネをする時にやる、アレそのままです。笑) 笑いころげる程の熱さ。 そして千葉真一の顔も濃くて暑い。 こんなに熱くて笑えるアクション映画を観たのは初めてだ。 日本が世界に誇れるアクション映画である! ハァーーーーーアアアアアーーーーアチョーーー!! 劇中の千葉真一は、“甲賀忍法”の使い手なのだが、何故か「ヌンチャク」が登場する。 このヌンチャクさばきが凄い!! 凄すぎる! 速い! とにかく速いのだ。 速すぎて笑えてしまう程に。 何故、速いだけで笑えてしまうのか?? それは石井輝男作品に共通する不可思議な面白さによるものだ。 バカらしいことを、凄い技術と真剣さと真顔で演じることの面白さ。 それが石井輝男作品に共通する独特の面白さであり、その独特の面白さは、本作において特に強く発揮されている。 しかし速ぇなー、あのヌンチャクさばき! さて本作は豪華キャストでもあったりする。 津川雅彦、安岡力也、倉田保昭、室田日出男、真田広之などなど。 若い頃の安岡力也が出演していたが、これがやたらに弱い役で最高。 千葉真一に一方的にやられっぱなし。 あのガタイであんなに弱いとは思えないが・・・ そして“日本のドラゴン”こと倉田保昭。 凄い身のこなしと筋肉。 本場のカンフー映画で活躍したその実力を、まざまざと見せ付けられた。 本作は、石井輝男作品に共通する“シリアスさと笑いの不思議な融合”を分かりやすく堪能できる貴重な作品である。 とにかく熱いこの作品。 DVDも発売されていない模様で、鑑賞することがやや困難な状況なのが惜しい。 埋もれさせておくには惜し過ぎるアクション・ムービーの傑作だ。 追記:2007年にDVDが発売されたようですね!嬉しい! [ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-14 13:53:33)(良:1票) |
170. この日々が凪いだら
《ネタバレ》 最後の最後まで沈鬱な気分で見ていた。 けどラストで一気に晴れた。 途中、自身の辛い過去の影響でかなり滅入ったが、そんな辛いこともありながらのあのラストだからまあオッケーかな。 人生辛いことが多いし、うまくいかないこともあるけど、最後に良いことがあればいいじゃん的な単純さはある。 でもその単純さが大事。 終わり良ければ全て良し。 明日から少しだけ踏ん張れる気がした。 あ、そうそう!書き忘れそうになったけど、羊文学の音楽はやっぱりとても素敵だった。 羊文学の音楽が確実にこの映画を一段上に引き上げている。 音楽が映画に与える影響は大きいね! [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-17 22:36:02)《更新》 |
171. Calling
《ネタバレ》 愛と再生の物語。 妻が病んでしまい、奇行の数々を行うも、夫はそれを黙って受け入れた。 それは妻に対して愛があるから。 そしてついに妻は静かに微笑み、再生の一歩を踏み出す。 妻がもし病んでしまったら、ここまでのことが出来るか? でもここまですれば、妻は再生するのかもしれない。 そんなことを考えさせられる映画だった。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-06-01 08:59:25) |
172. 居酒屋兆治
《ネタバレ》 情緒あふれる函館を舞台に語られる、切ない男女の物語。 こんなにもお互いのことを思い続けるなんてことが出来るのか。 だからこそ別れが格別に切ないわけで。 ラスト、店で酒を一杯飲み干す高倉健。 味わいのある演技だなぁ。 これは高倉健だからこそのシーンだね。 他の出演者たちも多士済々で豪華なメンバー。 それぞれ人間味があって、楽しくて存在感のある演技をしている。 高倉健と大原麗子の話だけでは、ここまで楽しい映画にはなっていないはず。 この映画の魅力は、脇役の活躍あってこそのものだ。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-05-20 21:43:29) |
173. 赤い私と、青い君
《ネタバレ》 ひじょーに前向きな内容、こういうのは大好物。 音楽も素敵だ、音楽センスの良い日本映画大好き。 小説に熱意を持つ男女ふたりの物語。 あやしいびみょーな関係ながら、付き合ってはいなさそう。 付き合っちゃえばいいのになー。 二人とも美男美女とまではいかないまでもブサイクでもなくちょうどいい塩梅。 そのふたりが小説や就職活動について語り合う。 会話の内容は気持ちがこもっていて、なかなかに引き込まれる。 映像も綺麗だし、全体的にレベルの高い日本映画だ。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-05-18 21:58:14) |
174. ゆけゆけ二度目の処女
《ネタバレ》 行き場のない当時の若者。 若いからエネルギーだけはある。 だけど生きたいと思うエネルギーはない。 ひたすら死にたいと思ってはいるが、飛び降りる勇気もない。 一つのビルから決して出ないのは、行き場のない閉塞感を示しているのかな。 ギリギリ1960年代の作品だが、この時代にこの雰囲気の映画を撮ったのはすごい。 上映当時は、かなり先進的というか前衛的な作風だったのだろうと想像できる。 [DVD(邦画)] 7点(2024-05-11 12:00:44) |
175. 紅の流れ星
《ネタバレ》 ラスト、一人でブラブラ歩いている浅丘ルリ子を渡哲也が見つける場面。 さすがに偶然が過ぎるだろ!と言いたい。 もう少しどうにかならなかったのかな? マニラなんかに行きたくないのは分かるけど、好きな男を警察に通報する女の気持ちは分からない。 ベッドの上で恥をかかされたお返し? いや、やっぱり分からない。 最初から最後までノンストップのストーリーで飽きずに見ることができた。 ヤンチャな渡哲也、浅丘ルリ子の綺麗な髪とスタイルが印象深い。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-04-21 00:35:21) |
176. シノノメ色の週末
桜井玲香が主演なんだけど、岡崎紗絵ばかり見ていた。 女子高出身の3人組が廃校となった母校を10年ぶりに訪ね、過去と現在と未来の話に盛り上がるという内容。 ただし、桜井玲香に関するネタがほとんどなので、桜井玲香のファンでもない限り満足はできないかも。 つまり岡崎紗絵ファンの私には物足りない内容だった。 内容はシンプルなので小難しいことを考えずに楽しめる映画としては評価できる。 青春時代の話に花を咲かせ、仕事の悩みを打ち明け合ったりする、女子3人組の同窓会を覗き見しているような楽しさはあった。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-31 17:18:23) |
177. ほつれる
《ネタバレ》 リアルさという点においては近年の日本映画の中でも随一。 不倫と離婚という内容を描いているので、とにかく雰囲気が暗い。 しかもその内容を徹頭徹尾リアルに描くので、居心地というか気分が優れない。 まるで負の一大イベントを体験している感じ。 体験したくもない嫌な人生のイベントを、否応なく体験させてくれる稀有な映画。 エグいぐらいにリアルに。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-24 21:38:26)(良:1票) |
178. マイム マイム
《ネタバレ》 終盤の音楽の使い方が実に独創的だ。 ダンスミュージックを爆音で流し続け、セリフはもはや聞き取れない。 とても印象的な演出だ。 これぞ映画っていう感じの魅力。 原作は既読だ、映画は脚本だ、そういった実にくだらない議論を吹き飛ばす、映画ならではの演出と魅力が炸裂。 セリフはもはや脇役でテンポの良い音楽が爆音で流れる。 実にいい。 主人公の女の子は結構かわいい。 それに比して、相手の男が特徴のない大学生で全く魅力がない。 二人が会話するシーンは何度も出てくるが、面白みは感じられない。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-15 19:48:17) |
179. 砕け散るところを見せてあげる
《ネタバレ》 UFOのくだりが理解できない。 意味が分からない。 猟奇的な父親役に堤真一は似合わない。 だけどこの映画良いところもある。 それは何だか唯一無二の変わった映画であること。 なんやかんやケチをつけながら見入っている自分がいた。 そして純愛ものだ、そこも好き。 しかし作品名のインパクトが凄いね。 砕け散るところを見せられちゃうのかよ。 すげー怖いわ。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-03-09 22:14:41) |
180. 夜、鳥たちが啼く
《ネタバレ》 なんか中途半端な関係だけど、居心地がいいしずっとこのままでいいかも。 ってなわけで、なかなかゆる〜くていい感じの日本映画だ。 この監督(脚本)はラブシーンがしつこいのであまり好みではないのだが、本作もそのシーンは健在。 中央線で通勤途中に見ていたが、急におっ始めたので周囲を気にしながらの鑑賞を余儀なくされた! 松本まりかって幸薄な女性を演じるとピタりとハマる。 女性としての魅力も勿論あるけど、すいも甘いも知ってる感じ。 おばさんでもないけどピチピチでもない感じが絶妙にいい。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-02-28 20:17:40) |