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1.  コクリコ坂から 《ネタバレ》 
時代を描き切れいていない。 この一言に尽きると思います。  確かに、作画などは前作と比べれば雲泥の出来ですが しかし「ただそれけだけ」です。  バンカラ的、歌声喫茶風なやり取りなど 時代性を表す演出は随所に盛り込まれていますが  悲しいかな、宮崎吾朗氏はその世代ではない。 監督を補佐している若いスタッフ(麻呂氏とか)も違うでしょう。  その時代を知っているからこそ 描きたい、作りたいと思える熱意の様な物が この作品からは全然感じられない。  だから違和感を感じるのです。  例えばある場面では泥臭いバンカラな若者が 有る場面では完全に現代風のある意味で綺麗で冷静な若者に摩り替わる。 「はぁ?」 こういう所が随所に見て取れるのです。  場面設定や背景も妙に小奇麗過ぎる。  未舗装の道を車がひっきりなしに通るその横を歩けば 砂埃が舞う訳ですし、服も汚れるのです。目も痛くなる。咳も出る。 ズボンをはたけば、けむが出るぐらいに汚れるのです。  またこの時代は夕方ともなれば青ッパナを垂らした子供(私の世代)が そこら中の通りに群れていたはずです。  そういう描写も殆ど有りませんでした。  あと、カルチェラタンという部室棟を存続させたいという話ですが  カルチェラタンを汚いまま、ありのまま残すべく 学校側へ存続運動を展開してゆくなら分かりますが  建物を綺麗に掃除して外観も補修して立派にして ある意味では「残して貰うべく運動する」などという事は 当時のバンカラ的な気風から言っても真逆です。  擦り切れた学帽を被り、わざとヨレヨレの学生服を来て 通りを睥睨して歩き、大人には無茶な議論を吹っかけ 未熟でも中身で勝負するのが当時のバンカラ学生でしょう。  つまり、建物の見てくれなどはどうでも良く そこに集って何かをしている部員達の行動が尊いのです。 部の歴史や、その蓄積が尊いのです。  そういう部分がまるで取ってつけた様で 本当に未消化に終わっていて、私はどうにも納得が行きませんでした。  確かに父親である宮崎監督の意図する所からは はみ出せないのでしょう。監督の方から色々と指定も有るのでしょう。  しかし、そこを抗ってでも喧嘩してでも 自分のやりたい様にやるのが、アニメ監督の責務なのでは無いでしょうか?  それが出来ないなら辞めた方が良いですよ。
[地上波(邦画)] 3点(2013-01-12 00:27:57)(良:1票)
2.  最後の忠臣蔵 《ネタバレ》 
主君、大石内蔵助の密命で討ち入り直前に「世に隠れて、自分の隠し子を育て、守って欲しい」 と、言われ、逐電した大石家の家士、瀬尾孫左衛門  この作品の秀逸な所は江戸を代表する人形浄瑠璃である 曽根崎心中を武士道の裏側に織り込んで描いている事です。  主君大石内蔵助の娘である可音は成長するにつれ 孫左衛門へ家来以上の気持ちを抱くように成る。 そして、孫左衛門もそれに気付いている。  自分が長年愛おしみ育てた主君の娘 しかし、1つ屋根の下、この先不意に我が物にしたとしても おかしくは無かろう。  しかし、それすれば 武士道という自らに強いている不文律を完全に破る事に成り 武士としての自分も、そして主君の娘である可音も  2人を取り巻く物(価値観、矜持、そもそも自分がいまおめおめと生きている意味) すべてが、自壊(死ぬ事よりも酷い状況)せざろ得ない。 と、孫左衛門は思う。  「その物思いの行き止まりに、いつも聞こえて来る挽歌の様な物が、あの日観た曽根崎心中だった」  何もかも捨てて、2人で逃げる所まで逃げ、想いを果たし、刺し違えて死ぬ。 と、いう願望。  つまり、孫左衛門は主命と、自分の本意の狭間を 少なくとも、可音の気持ちを知ってしまった後 常に揺らぎながら日々を過ごしていた。  しかし現実は 主命により、どれだけ周りから蔑まれても 事の一切を明らかにも出来ず、勝手に死ぬ事も出来ない。  死に遅れたという無念、その一方では可音と結ばれたいという衝動 しかし、出来ない。出来うる訳が無い。  たらいに入れた可音の足を指の叉まで丹念に洗う孫左衛門 それにうっとりと身を任せる可音。  これは1つ間違えば、何時でも主人と家来という垣根は破られる それを自覚しながら、決して超える事の出来ないギリギリの境界線上で 2人は生きざろ得ない。  そういうジメジメとした不条理で愚直な武士道 それと表裏している華々しく形式美的な武士道 この両方を見事に描いていると私は思いました。  しかし、こんな事は今の若い人にはピンと来ないでしょうね。 ましてや、外国人に理解できる訳が無い。  演出も少々、最後はくどく成ったかも知れませんが (私はラスト、寺坂が駆けつけるのは孫左衛門が絶命した後でも良かった気がします)  最後の切腹のシーンはとても見事ですし 総体的に見て、1度見て損は無い作品だと思います。 
[DVD(邦画)] 8点(2012-11-29 23:12:14)(良:2票)
3.  ALWAYS 三丁目の夕日‘64
前作の2作品も感想は書かなかったのですが 実は密かにファンでも有りました。  しかし、こういう昔を懐かしがって楽しむという ある意味でジジむさい事に抵抗が有ったので  (と、言うより、そういう事を言う事自体が中年の証なのかも知れませんが)(笑) あえて感想は書かなかったのですが  しかし、この作品は完成度が高かった気がします。  まず、取って付けた様な時代性を表すエピソードやギミック (腰にぶら下げたタオルとか)が かなり影を潜めて、殆ど違和感なく見れた事が1つ。  そしてやはり、3作目という事で、かなり脚本は練られて作られていて 続編にありがちなマンネリ感や失速感が全然無かった事。  そして、オープンセット自体も前作の使いまわしではなく ちゃんと5年間分の進歩と、時代性を考慮して作られているのが良かったですね。  また、意図的に配役(新しい登場人物も含め)などの主客を交代させているのが ある意味では前2作品より、完成度が高く成った原因の1つの様に思えます。  1作目では鈴木オート夫妻とその周辺の人々の戦前~終戦直後の話や 借金のカタに人身売買も絡めた水商売や、不遇な出自など まあ、要するに前時代的な物珍しさを、前面に押し出した脚本でしたが  (自分の父親、母親(ちなみに茶川夫妻とほぼ同年齢です。)も言ってましたが、こういうのは「だから何だ?」なのだそうです。それに「美化し過ぎ」「思い出したくも無い事もたくさん有るんだ。」とも言ってました。)  しかし、今作品では鈴木家と茶川家それぞれの家族における 個別のエピソード(まあ、どうしても人情話に成るんですけど)の方へ 大きく方向転換している。  家族性や時代性というのは ある意味では「男はつらいよ」シリーズにも通ずる永遠のテーマですが まさかそういう事を考えているのでしょうかね?  まあ、観てみたい気もするのですが それをやる為には今作品以上の完成度、ギミック 時代性を考慮した巧緻な脚本と場面設定が無いと 間違いなくズッコケますよ。  ともあれ、今回は8点にさせて頂きます。 ちなみに前2作品はどちらも点数を付けるとすれば5点です。 つまり、この3作目はそれほど完成度が高い。  欲を掻かずに綺麗に終わる事もまた このシリーズの最終的な評価に繋がると私は思います。 
[DVD(邦画)] 8点(2012-10-24 23:04:30)
4.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
先ほど観終わりました。  途中までは非常にスリリングで どう展開して行くか分からず、面白かったのですが  「主人公が殺し屋の一味で、事故の後遺症でそれを忘れている」 と、いうネタが割れてしまってからは一気に見る気を無くしたというか 余りに都合が良過ぎる展開に、ドッチらけてしまいました。。。。  なるほど、どうりで殺し屋を敵に回してある程度抵抗出来たり 危機を回避できる能力がそれで証明される訳ですが  元々この主人公が何の罪も無い人々を爆弾テロの巻き添えにして 大金せしめ様とした極悪な首謀者、と、いう所は変わらないのです。  例え、結果的にそれを止め様としたとしても 元々がトンでもなく冷酷非情で、卑劣な人間である事には何ら変わりが無い。  私はちょっと前の映画ですが 大まかな展開や作品構成がハリソン・フォード主演の 「フランティック」という作品にかなり似ていたと思いました。  あと、みなさんも言う通り、確かにボーンシリーズに展開が似てなくも有りませんね。 ただ、ボーンの場合はCIAに半ば強制的に作り出された秘密エージェントであり 私利私欲の為に要人を暗殺していた訳では有りません。  逆にその国家に対し復讐をして、自分が殺してしまった人間の関係者には 真摯に謝罪しています。 これが非常に秀逸なプロットに成っているのです。  しかし、本作の主人公は事が終わると、自分の犯してきた罪に対して何の後悔もなく 偽パスポートを使い、嬉々としてヒロインと逃げて行きます。 ほんと、開いた口が塞がりません。  また、彼の所属していたという暗殺専門組織の事も、詳しく語られずじまいに終わっている。 やれやれです。この辺りの安普請は何とも覆い隠し様が有りません。  同じリーアム・ニーソン主演の「96時間」は非常に良く出来た作品だったので この作品の不出来は本当に残念です。 
[DVD(吹替)] 3点(2011-10-30 23:39:54)
5.  ゲド戦記
私は宮崎アニメの大ファンなので、過去最低点をあえて付けさせて頂きます。  1口に言えば見たくなかった映画でした。 先日この作品を見て、未だに不快感が残っています。  友人からも見ないほうが良いと、言われていた映画でしたが コクリコ坂などと、また性懲りも無く、この息子さんが新作を作っているので 今回あえて見る事にしました。  はっきり言いましょう。 この監督にはアニメ映画監督としての才能は1カケラも有りません。 内容ウンヌン以前の話です。  父親である宮崎駿監督の映画初監督作品は あの「カリオストロの城」です。 それを考えればこの作品がどれだけ酷く  そしてまた、父親が身を削って築いてきたジブリと言うブランドに どれだけ泥を塗ったのか分かるはずです。  貴方はそれすら分からないのでしょうか? 父親の地位の継承や金が目当てですか??つまりは世襲したいだけの話????  普通の神経の人間なら世間にここまで酷評されれば、恥ずかしくて身を引くのが普通です。 才能を試すのは1度で十分のはずだ。  別のプロダクションに移って1から、下積みから修行して また監督業を始めるというなら兎も角  こんな酷い作品を作っておいて またすぐに新作を作って売り飛ばそうという暴挙をやっているのは 一体何故なのでしょう?  あと、父親である駿氏がコクリコ坂の脚本を手がけたというのは本当の話でしょうか? ジブリのスタッフはそれで納得しているのでしょうか?  私は憤りを抑え切れません。 もし、吾郎氏のやっている事を駿氏が容認しているとすればもうジブリは終わりです。 もう私は2度とジブリの作品は見たくありません。 
[地上波(邦画)] 0点(2011-07-17 23:24:36)(良:2票)
6.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
いや、私は見た直後にレビューするのをモットーにしてまして いまテレビでこの映画がやってたものでレビューします。(笑)  中々面白かったです。 フジ主催の映画は海猿とか、毎度おなじみの何とか捜査線とか ドッチらけるのが多いんですが この映画は当たりですね。ドラマの延長ではなく、キチンと映画として撮られています。  ともかく、皆さん言ってる様にテンポが良い。 それでいて航空業務における技術的なギミックなども ふんだんに盛り込まれていて飽きさせない。  そしてその裏側もまあ、極端なんでしょうけれども 赤裸々にコミカルに描かれている。  何より力まずサラリと撮っている所が非常に良いです。  あと、秀逸なのは配役ですね。 この人をココにというのがキッチリと詰められていて 全然違和感が無い。  私的に好きなのは管制塔で双眼鏡握ってる、クールなお姉さん役の宮田早苗さんです。  あと、凸凹コンビのグランドスタッフ田畑さん。 この人も良い俳優さんに成りましたね。  一見温厚そうなサラリーマンで 実は短気な菅原大吉さんもいい味出してます。  なんていうのかな、出来の良い舞台劇を見ている様で 主役級を喰ってしまっている脇役陣というのでしょうか。  はっきり言ってこの映画 時任さん以外は主役級が全部脇役に喰われていたと思います(笑)  欲を言えば現場に口を出す無能な上役見たいなのが居ると 筋立てにアクセントが出来て、もっと面白かったのかも知れませんが  最後までスリリングでコミカルな風合いを保ちつつ、一気に観れた辺りは 最近2,3年の日本映画の中で1番面白かった作品です。  今回はオマケの8点にします。
[地上波(邦画)] 8点(2011-02-05 23:37:58)
7.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
え-と、さっきやってたんで書き込みます(笑)  他の人も言ってますが人物描写が甘過ぎますね。 これじゃあとても感情移入出来ない。  少なくとも大人向けでは無い事を理由にする以前に 基本的な部分が煮詰められてないと思いました。  まず、オズについてシステム的なギミックや趣味性が独りよがりというか これで他者の共感を得られると思ってしまう所が痛い。 私は最後まで違和感が有りました。あんなアバターは嫌です。  直感的に理解出来る部分が有ったとしても、細部が非常に説明不足で 例えば原発の制御や、人工衛星の制御をオズで一元化するというのであれば それに足る理由付けや、大きな未来観や世界像が無いと非常に陳腐に成ります。 「その方が合理的で便利だから」では全く納得出来ません。  その他、暗号をノートに列記して解読していますがこれは何故でしょう? 何故、ノートに書き写す必要が有るのか??? 計算ならパソコンの計算ソフトの方が早いでしょう。  製作者側の未熟さと言ってしまえばそれまでですが そういう勘所をおざなり、曖昧にしたまま、勢いで物事を片付け様としても共感は出来ません。 その他、終盤のご都合主義などもいただけませんね。  ただ、そういう目の荒さを除けば非常に勢いがある作品です。 特にラブマシーンの描き方などは斬新ですね。シナリオ自体の目の付け所も悪くない。  問題は細部に拘ってないという事です。話の勢いでカタをつけ様としてしまっているので 最後が花札のコイコイに成ったんでしょう。(笑)  それと、ネットワークの全体像や最後は衛星が落ちてくる、じゃあ軌道をずらそう キーボードを乱打して鼻血が。。。これはどこかで聞いたお話ですよね。  いえ、某作品のマネは良いんですが それがが未消化のままに散りばめられているのでかなりイライラします。  もっと作品のシークエンスをキッチリと煮詰めて 独自性に溢れた作品であれば随分と印象が違ったのかも知れません。
[地上波(邦画)] 5点(2010-08-07 00:19:39)
8.  それでもボクはやってない
この作品は裁判も含めた日本の司法制度という物の不備を描くだけでなく 人が人を裁くという正義や法律の原点原理が いかに不完全で嘘っぱちな物かを明らかしにた作品でしょう。  また、日本の場合、江戸時代からの大岡裁きとも言うべき 「まず、お上に対して恐れ入れ、罪を素直に認め、恐れ入るなら許してやる」 こういう封建的俗習に元付いた起訴便宜主義が、未だに当局側で罷り通っている。  逆に考えればこれは犯罪者側にとってはオイシイ話です。 軽微な犯罪なら、被害者に相応の示談金を払い 後は素直に「ハイハイ」と従っていれば、自動的に検パイ(検事裁量の起訴猶予)に成り、釈放だからです。  逆に、今回の主人公の様な冤罪被害者にとっては非常に不利です。 やってもいない犯罪を「やったと言え、やったと言えば許してやる」 と、言われて否認すれば、お上に楯突いた事となり、当局は何が何でも有罪に持ち込もうとする。  警察側の意図でワザとズサンな証拠集めと捜査が成され 有罪を前提とした誘導尋問や、証拠の歪曲が行われた後、検察が強引に起訴に足る証拠固めをする。  裁判所は裁判所で有罪に都合の良い証拠だけを、裁判官の独断で取り上げ それを合理的根拠として強引にコジ付け、有罪判決を下す 全てが可及的速やかに効率重視で、一方的に進められて行く。  これでは有罪率99.9%もうなずけます。話に成らないのです。  何故、欧州などの先進国には死刑制度が無い国が多いのか? つまり、人が人を裁くという行為がいかに不完全で理不尽な行為であるかを 裁判員や裁判官自身が認識し、だから死刑判決の様な重い責任は負えない。こういう事ではないでしょうか?  そもそも、海外の裁判員制度は素人の国民でも裁判に参加させる事で 民意を判決に反映させる事が出来るという、公平原理の大儀名分からですが しかし内実は当局側の責任分担(責任逃れ)として作られた制度とも言えます。  翻って考えれば日本の様に死刑制度が有る国が 今までよくも無神経に、こんな司法制度を続けて来たものだと 再認識させられる作品でも有ります。   話は変わりますが電車内の痴漢被害は 「満員電車という、馬鹿馬鹿しい電車の乗り方を無くすだけで0に成る」とは思いませんか??  まあ、これも司法制度と同じく、効率重視の社会倫理の中では馬鹿げた方法だと 一笑に付されてしまうのでしょうけれど。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-15 03:56:31)(良:3票)
9.  刑務所の中 《ネタバレ》 
一見するとほのぼのとした「刑務所ライフ」を描いた様にも見える映画ですが 私はちょっとそら恐ろしい気がしました。  刑務所の実態を形式的に表した作品としては非常に良く出来ていると思いました。 しかし、本当の実態は多分こんな物では無いと思います。  主人公達を「5匹の犬の生活」と題され始まる刑務所生活。 朝起きてから寝るまでのほぼ全てを管理され、人権や尊厳の殆どを制限される生活。 それは自身が囚人(犬)であるからに他なりません。  多分、専属の栄養士が献立を立てて作っているであろう刑務所の給食。 主人公達はこれを何よりの楽しみとして皆嬉々として食う。 それに無常の喜びを感じる。美味いという。果たしてそうでしょうか?  消しゴムを床に落としただけで看守に「それを拾う許可」を求めなければ成らない囚人。 元々見ず知らずの5人が同じ雑居房という狭い檻に入れられ寝起きし ほぼ生活の全てを規則ずくで縛られる毎日。私ならとても正気では耐えられません。  つまり、この檻の中の5匹は文字通り犬に成り下がる事でしか 生きて行けない状況に追い込まれたと言う事です。 自分が犬だからこそ規則ずくめの中の「僅かな自由」を楽しめる。  そしてそれは自分達がその生活に慣れたのでは無く。 「それ」を刑務所から強制される事で慣らされただけなのではないでしょうか?  この生活において犬になり切れない者は 非常なストレスや自我との強烈な葛藤に見舞われるでしょう。 だから私は刑務所の実態はこんなものでは無いと思います。 もっと後ろ暗く陰湿な苛めや暴行など、表に出ない形の実態が数多く有ると思う。  また、管理する側の看守も囚人を人間として扱わない事を日々訓練し、それに慣れてしまう。  名古屋であった看守のリンチ殺人などがクローズアップされ、検察が渋々公開した資料では 名古屋にある4つの刑務所だけで過去10年間に260名が死亡し そのうち変死とされた囚人がなんと120名以上もいたそうです。  この監督はもしかすると映倫に引っ掛からない様に わざとこの作品をほのぼのと作ったのかも知れません。 それほど日常の細々とした描写はリアルに描かれています。  ただ、その本音が何処に有るのかは巧妙に韜晦された作品だとも思います。  
[DVD(邦画)] 7点(2009-03-29 17:51:07)
10.  攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society〈TVM〉 《ネタバレ》 
攻殻のOVAを2つも作った後だからでしょうか。話が非常に込み入ってます。 これ作ってる側も麻痺してるんでしょうね(笑) この手に免疫無い人がいきなり見たら多分付いて行けないかも知れません(笑) ただ逆に言えば105分に良くこれだけの内容を盛り込めたとも思いました。  セカンドで気に成ってたんですがやはり素子は9課から去ったんですね。 そこから2年間が経過したという設定ですが トグサが9課のリーダーとなり 元々のポジションから言えばリーダーに成るはずだったバトーは素子の影を追って今ひとつ煮え切らない。そしてトグサともギクシャクしている。 この辺りはイノセンスともオーバーラップしますね。 神山流ですがバトーのキャラを良く表していると思います。  まー兎も角、細かい。そしてギッチリと詰め込んである。これ神山さんの性格なんでしょうかね。 しかしながらセカンドでも感じましたがOVAファーストの様な切れ味の有る演出やプロットは見当たらない様な気がしました。  ストーリ的にも国家的な陰謀と巨悪、そして体制へのフラストレーション。 いや、OVA見てないで初めてこれ見る人は有る程度新鮮かも知れませんが OVA1,2と見て来た人には少し食傷気味かと。 もっと肩の力抜いて前作と超え様とかあまり考えずにわざとズラした筋立てとか無理ですかね?  ちょっと脱線しますが私も長年押井アニメ見て来て感じるのは 押井さんは劇場版パトレイバー2とかでも主人公の2人はホンの付け足しに登場させるのみで あとは自分のやりたい様に作ってしまう毒気というか我侭さというか もっと言えば理不尽さが有ります(笑)  それがイマイチ足りない気がするんですよね。 いえ、以前神山監督が「押井アニメをトコトコンマネして作ってやる」とか言ってた気がするんですが やはり1味足りないのはこの毒気の部分ではないかと。 そんな気がした一作でした。     
[DVD(邦画)] 7点(2008-02-01 02:49:23)
11.  戦国自衛隊1549 《ネタバレ》 
ともかく話を広げ過ぎて全然収集付かなく成ってるのもお構い無しにテレビ的な流れ作業で撮っちゃった映画ですか? そんな気がしました。  辛うじて見れるのは先発の自衛隊が石油精製所とか作って歴史を変えるウンヌンと言う所までで あとはもう時代考証などお構いなし。最後はアングリと開いた口が塞がらない映画に仕上がってます。  こういう映画作るのは勝手ですがこれが字幕付いて諸外国とかで上映された日には日本映画の本質そのものが笑われそうですよ。 なんかこれのハリウッドバージョンウンヌンと話が進んでる見たいですが止した方が良いです。 世界に恥じ晒すだけです。  なんと言うのでしょうかね。 製作者側に目が無いと言うより巨額な予算掛けて作ったけど酷い出来だった。 しかし元は取る算段で全てが回って行くというか。。。それ以外考えないっていうか。。。 というかこれ角川映画がプロダクションしてるんですよね。  いや~酷い。あらゆる意味で。 それしか言い様が有りません。。。
[地上波(邦画)] 2点(2006-07-01 00:13:55)
12.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
いま見終わりました。素晴らしい映画だと思います。 しかし同時に相当不快でもある。 私を含めて子を持つ親がこの作品を見て憤りを感じない人は居ないのでは無いでしょうか。  ですが口惜しくもこの監督さんは日本を そしてこの現代社会の本質を良く知っている。 親から見捨てられた子供がどう社会から孤立するか。またどうやって追い詰められて行くか。  鏡を見上げながら歯磨きをする子供。子供を見下ろしはしてもまるで無関心な大人。 冷たく事務的に催促してある日呆気なく止まるライフライン。 裕福で鷹揚な大家。ガサツで高圧的なコンビニ店長。 そして揃いも揃って無責任で甲斐性無しでどうにもならん親達。 確かに陳腐じゃない。リアリティーが有る。  だから非常に不愉快だが認めざろ得ない。 またこれだけ重い題材を普通にサラリと撮ってしまっている所に 作り手の非凡なセンスが光っていますね。  最後に死んだ妹の亡骸を飛行場に埋める明のシーンがこの作品の演出らしい演出でしょうか。 また説明がましいのはこの部分のみですが 明が「以前にも福祉事務所を頼ったらみんなバラバラに成って大変だったからもう嫌だ」 と、さりげなく言わせています。  ラストを見れば彼らはたぶん全員が窮して死んでも自ら警察や福祉事務所には助けを求めないのでしょう。 東アジア随一の先進国と言いながら内実は余りにも未熟で悲しいぐらい平和な日本。 しかしこの子達はこれで良いんだ。死んでもそれまでは自由である方が幸せだ。 だがそれなら最初に実際の事件をモチーフになんて言うな! と、一喝して終わりに出来ない所がこの作品の憎い所であります。  逆にそういう反応が有るからこそあえて冒頭のテロップは入れたんでしょう。 入れる事により確かに注目度は大きく成り観る人間も多く成る。 しかし出来上がった作品が愚にも付かない駄作ならこの監督さんの評価は大きく下がりますよ。  つまりそこがこの監督さんの世間に向けて仕掛けた部分であり カンヌをはじめとした多くの海外映画賞受賞に到った経緯でも有る。 そして低劣なマスコミネタで終わるはずだったこの事件をどういう形であれ当時大きく社会問題化させた。 その功績も含めて今回は9点献上します。 
[DVD(邦画)] 9点(2006-06-02 20:38:38)
13.  CASSHERN 《ネタバレ》 
皆さん点数低いですね^^; いや、分からなくも無い感じですが 私はこれ意欲作だと思いましたよ。 確かに荒唐無稽な部分も多いですがそれを補って余りある独特な勢いというのでしょうか。 オリジナリティーというのでしょうか。 それを強く感じました。  オープニングのフルCGから始まってロボットの描き方、戦闘シーンなどは 過去の日本映画には無いクオリティーと勢いを感じます。 特に少しデフォルメしたロボを集団で影絵の如くガッチャンガッチャン動かすシーンなどは鳥肌立ちました。。。このシーンだけでも製作者の非凡さが分かりますが ストーリ展開は兎も角として実写CGにおける表現方法の多彩さは相当センス高いと思います。  ようするにこの監督さんはやりたい事が山ほども有ってそれを泣く泣く2時間に凝縮したんでしょうね。 点々とツギハギ感が感じられるのも本当は10時間で取っても足りないのを無理矢理2時間にしたからでしょうか(笑) 脚本から撮影から何から全部1人でやってる所を見てもまあ、相当実験的というか。よくこれだけ撮り切れたというか。。。 こういう人は優れた相棒とか見付かると良いんですけどね。往年の押井、伊藤コンビ見たいに。  今回のは無我夢中というか少し1人よがりで観客が置いてけぼり食ったんで酷評されてますが 私は今後少し腰を落ち着けてジックリ製作スタッフ選りすぐって作品作りすれば大化け。。。  いえ、ちょっと偉そうに言いましてすいませんが ホント、そんな気がした1作でした。 点数が7点なのはストーリー的に少し弱いからと やはりキャシャーンに拘らなかった方が良かったという事で7点です。  あとウタダヒカルの旦那っていうのが逆に思い切り足枷になってますね^^; まあ、旦那じゃ無きゃこんな抜擢はされなかったとか言うのはその通りだと思いますが どういう経緯であれ出来上がった作品までその色眼鏡で見てしまうのはチト酷かと思います^^;      
[DVD(邦画)] 7点(2006-06-01 20:53:49)(良:1票)
14.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 
久しぶりに見たので書き込みます。  この作品は今でもある意味宮崎アニメの頂点に有る作品だと思います。 この頃のキャラクターは活々飄々として余裕たっぷりです。  これは作画の大塚康生氏に寄る所が大きいと思いますが パンクでジャンケン、カーチェイスと手榴弾、崖のぼり、ワイヤーロープ、謎とプロレス。 どれもどうやって観客を驚かすか笑わせるかを逆に彼等が手ぐすね引いて待っている。  観客が観ているのでは無く作品の中のキャラクター達が観客に観せて居るんです。 だから1度観ても2度目、2度観たけど3度目。 何度も観て分かっているはずなのにまた観てしまう理由でしょう。  もう2度と戻りっこ無い時間の流れの中でこの作品だけはいつまでも色褪せない。 凄い事だと思いますね。  ここからは生臭い話なので興味の無い方は飛ばして下さい。 宮崎監督自身あれだけの才能も持ちながらも長く不遇の時代を経て 貧乏暇なしのアニメというジャンルを切り開いてこられたパイオニアです。 監督が居なければ今の世界的な日本アニメというジャンル分けは無かったでしょう。 ただしかしその仕事も今は壮年期に入っている。刈り入れの時期に入っているかの様です。  最近の作品がこの頃の。。。と、いうのは禁句かも知れませんが 他の作品と見比べてもやはり宮崎アニメの頂点がココに有るのは間違い無いと思うんです。 それをもう1度新しい形で観たいと思うのはファンの我侭でしょうか。    
[DVD(邦画)] 10点(2006-05-19 04:12:32)
15.  うる星やつら 完結篇
4以降の作品観てなかったんで最近借りて見ました。 原作を下敷きにして良く作ってあると思います。  何より声優さんがやはり最後と思うのでしょうかね。 他のシリーズより明らかにリキを入れて演技されてたのが印象的でした。  この作品を観ると「うる星」の原点が何処に有るのか良く分かります。 ココで止めてけば良かったんですが。。。 まあ、あの頃の人気を考えるとそうも行かなかったんでしょうけれど。  ともあれ漫画やTVシリーズ長く観てた人は1度観て損の無い作品なのでオマケで8点にします^^;
[DVD(邦画)] 8点(2006-05-19 02:57:03)
16.  うる星やつら いつだって・マイ・ダーリン
すいません。。。フォーエバー以降の奴見て無くてDVDで借りたんですが 途中で(15分ほどで)耐えられなくて観るの止めました。。。  作画が全然違うとこれほど違うのかを見せ付けられた作品でした。。。
[DVD(邦画)] 3点(2006-05-19 02:41:27)
17.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
先ほど見たんですがこれ感想書こうかどうか迷いました。 いや、並のアニメじゃないのは分かるんですがやはり往年のキレとかクオリティーはかなり無くなってしまった気がします。。。  なんというかその。。ある種割り切って作っちゃったって感じですかね。。。 冒険活劇で見せ場もソコソコ、観客を裏切らないストーリー。。。 でもそれじゃあ観客は満足出来ない訳なんですよ。 魔女の宅急便とラピュタと千と千尋を足して2で割った映画じゃ満足出来ないんです。 才能はやはり無限じゃないしそれを実感してるのは他ならぬ宮崎監督なのでは無いですかね。  いや、生意気な事言いました。すいません。 でも先生がこれ満足して出したとは思えないんで。どう思われてるのか気に成りました。 出し物は確かに幾つか新しいアイデアも盛り込まれてるんですが それが全部過去の作品とダブって見えてしまうんですよ。  また、今回は登場人物が全然立ってない。悲しいぐらいに立ってない。 この辺は千と千尋のほうがまだ良かった気がしますね。 あと演出や世界観やバックボーンというのは千尋を発展させた2部作品かと思える程根源的な部分が似通ってしまっている。 私はこの路線に拘り過ぎだと思いますけどね。 拘る余りラストがまったく弱く成ってしまったし。  往年のファンが見ると少し悲しく成る作品だったかと思いました。 次回作のゲド戦記に期待します。   
[DVD(邦画)] 5点(2006-05-12 02:41:30)
18.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 《ネタバレ》 
押井映画最高傑作の1つにして日本アニメ界の金字塔。。。  まあ、余り言ってしまうとアレですが私が定期的に何度も観る映画の1つです。 ともかくこの作品は当の押井氏も言っている様に原作の「うる星」が無ければ出来なかったとか もしこの「うる星」の世界観無く多元世界を描いたら多分「アヴァロン」に成ってたのかも知れませんね(笑)  さて、作品の内容ですが正に押井さんそのものでして 逆に言えば押井さん以外はこんな映画は作れません。 文化祭前日を永遠に繰り返す事で永遠に現実から逃れられる代わりに現実へは戻れない。 しかし良く考えれば帰るべき現実など本当に存在するのか?いや、そんな物は本当は要らないのでは? 世界全体で同じ夢を見ればその夢は現実に成り得る。だから夢を観続ける。しかしそれで良いんだろうか? こんな事がテーマの1つに成ってます。  アヴァロンでは現実を虚構の果てに辿り着く理想の仮想世界として描いてますが 押井さんのアイデンティティの中ではつまり自分が現実として暮らすこの世界の非現実さは何よ? ああ、夢なら覚めて欲しい。どうすれば本当の現実へ行けるの?こういう事なんだと思います。 これはファンの方なら数々の作品観て分かってらっしゃると思いますが。  温泉マークを初めこの世界の不条理を議論し少しずつ謎を解き明かす事で真理を得て最後は現実世界へ帰還する。 つまり不条理から抜け出したいのなら自分がそれを本当に望み戦わない限り永遠に抜け出る事は出来ない。  タイプは違いますが宮崎駿監督がある意味押井さんの対極に居る人で 雑誌の対談とか見ても喧嘩はしてますがやはりお互いを認め合わざろ得ない。(と、私は勝手に理解しております。。。) 例えるなら紙の裏表の様な関係なのかも知れません。  話が脱線しましたがつまりいま我々が暮らすこの現実を現実として受け入れてしまっている非現実さ。 これをうる星の世界観とカフカやダリの啓示に透過させながら作った事がこの傑作を生んだんだと思います。 
[DVD(邦画)] 10点(2006-04-22 20:26:48)
19.  太陽を盗んだ男 《ネタバレ》 
いま見終りました。素晴らしい作品です。 まず1つ言いたいのはイデオロギーうんぬんと言う前にこの映画は1級のエンターテイメント作品ですね。  主人公は奇異な行動で知られる中学の理科担当の教師で昔は爽気を持って授業をしたが今はまったくやる気が無い。 そんな時に事件が起こる。天皇に会わせろと62式機関銃(たぶん)を引っさげ彼の担当のバスをバスジャックする老人。 それを阻止しようとする頑健でタフで有能な角刈り警官。 彼は否応無しに渦中へ巻き込まれますが反面そのどれもが彼にとっては非日常的で刺激的だった。 よし!俺もやろうと決意する。  原子力発電所に忍び込み核燃料を盗み出し濃縮しやがて銀色に輝くプルトニウム239を精製するのに成功する。 このプルト二ウムを作ってゆく過程が凄いです。。。これでよく映倫通ったもんだと思いました。 それぐらいリアリティーたっぷりです。  兎も角主人公は原爆を完成させ国家を相手に交渉を始めますが 実は自分自身がこの国の戦後体制に冒されて居るのを知る。 この国に不満は有るがじゃあこの国をどう変えたいのか? それは主人公自身にも結局分からない。仕方なく部屋に帰り所無く原爆を抱えて眠る主人公。 この辺りの演出も非常に素晴らしいですね。  いうなれば原爆作成は彼の自己表現であり他者との繋がりを作る道具だったのかも知れません。 その繋がりに選んだのがバスジャックのタフな警官といつも聞いていたラジオ番組のディスクジョッキー。 しかし対立と葛藤の中、最後はそのどちらも死んでしまう。 また彼自身も放射能被爆により先が短い事を知る。。。  しかしまあ、この監督さんは凄いですよ。まったく。 自分が拘りたい所は徹底的に拘りますがその分粗も多い。 後半のカーチェイスやヘリ襲撃場面、ムチャな原爆奪還、「細かい部分はええんじゃ!!」っていう監督さんの声が聞こえて来る様でした(笑) ラストの原爆爆破シーンは同時の映像技術では難しかったのでしょう。これで良かったと思います。 ともあれこの戦後社会を一刀両断した切り口の鋭さをはじめ これだけの内容を1本の映画にみごと収め切った事には驚嘆を禁じ得ません。 このジャンルでは正に日本映画史に残る作品だと思いました。 
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-22 14:44:09)
20.  砂の器 《ネタバレ》 
いま観終わりました。素晴らしい作品ですね。 日本社会の暗部とでも言うのでしょうか。 この映画では「らい予防法」や日本におけるらい病患者の国家的な囲い込みについて何も描かれていません。 と、言うよりこの映画を作った製作者側が意図的に描かなかった。 1974年当時これを描けば即発禁に成ったでしょう。だからこういう手法を取ったと思われます、  明治以降この法律によってらい病が発覚した者は強制的に隔離所へ隔離され男性は強制断種(去勢) 女性はもし妊娠していた場合強制的に中絶させられました。 これは当時患者保護と国家保全の為の善意であるとされました。  また60年以上も前にハンセン病(らい病)特効薬(プロミン)が発見されて患者を隔離する必要すら無かったのに 日本政府はなんと平成8年(1996年)に到るまでまでこの「らい予防法」を撤廃しなかった。 それは明治以降行われてきた余りにも酷い隔離収容所の実体が戦後明るみに成るのを 厚生省を初めとした政府官僚が恐れたからです。 だから戦前からの患者がほぼ死に絶えてしまった1996年にやっと初めて実体が公に成った。 ですが明治期以降の酷い虐待が行われていた隔離所の具体的な実体については今となってはもう殆ど分かりません。  この映画に出て来る刑事や警察官は実に誠実で正義感に溢れています。 またらい病に苦しむ親子を助けた三木という警察官は非常に親切で面倒見が良い。 しかし裏を返せばこの警察官の善意により諸国を放浪していたらい病患者が囲い込まれ 強制的に惨い隔離所へ送り込まれたのです。 10歳の子供が自ら嘘を言い戸籍を消し生きている父親に会えなかったのはなぜか? 尋ねてきた警察官に別れて以来待ち望んでいた息子を知らないと言わざろえなかったのは何故か?  それは戦後もらい予防法により患者の家族や親類に到るまで調べられもし発病の疑いが有れば 即隔離所へ送られていたからです。らい病の潜伏期間は長い人で数十年に及ぶので患者の家族や親類は回りの人間からはもちろんの事 当局による監視まで有ったそうです。  だから製作者側は殊更に正義の警察官を強調し警察官の行った善意で戦後体制を皮肉った。 映倫の許認可を出す人間はどういう気持ちでこの映画を見たのでしょう。 ともかくそれがこの映画におけるもう1つの真意でも有ります。 
[DVD(吹替)] 8点(2006-04-19 23:52:50)(良:2票)
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