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1.  君たちはどう生きるか(2023) 《ネタバレ》 
どんな映画か全く分からずに、それも映画館で観る、これが意外に面白かった。安心のジブリ印だし。劇中で普通ならジャンプスケアがありそうな場面でビクビクしてしまったが、ジブリなので当然そんな心配はいらない。  そしてジブリが得意な日常の描写、詳細なディテール(←重複表現)がしつこーーーーく描かれる。何の話か分からないからそのディテールに目が行ってしまう。おそらくこの映画は最初から情報を出さないプロモーションで行く企画で作られたのだろう。もしかしたらディテール表現をこれでもかと詰め込むために作られた映画なのかもしれない。  キャラクターはどれも練られていて、声優陣の演技も秀逸。キムタクもハウルと同じくジブリでは良い演技で、実はあれが素の実力だとしたら実にもったいない。  その「キャラクター」が、良く出来てはいるのだが既視感がある。生真面目で熱い少年、きっぷのいい姐さん、万能の少女、憎めないセコいヤツ、自分ではなんにもできない普通の中年男女、自らの限界を知る孤高の老人、そして異生物のような老婆・・・。いわば人間を性別と年齢で切り分けたスターシステム。昔からそうだが宮崎駿は80歳超えてまだそういう世界の見え方なのか?  世間的に評価が高いが自分はすごく苦手な、あのヌトヌトとした食べ物描写、そのぶしゃぶしゃした喰い方、そういう質感も含めて宮崎駿の集大成的作品ではあるんだろうね。大風呂敷を思わせぶりに広げたあげくクルっと丸めてはい畳みましたーという展開も嫌いじゃない。主人公の空虚さも品があって好感が持てる。君たちはどう生きるか、俺はこう生きたぞという自作戒名発表的作品なのかも。  全体的には好きだしストレートなエンタメ作品として人にもおすすめできるが、音楽だけはいただけなかった。思わせぶりなミニマムな楽曲。これがどう展開するのかと思ったら同じものが何度も、けっこうな頻度でかかる。久石譲がお疲れなら別の人に頼んだら良かったのでは?エンドロールの米津玄師の曲も本編との繋がりがピンと来ないし、手書き風フォントにするのは良いとしてバックを青にする意味がわからない。本編が詰め込み過ぎなのにラストのラストが放り投げというのはいかがなものか。
[映画館(邦画)] 7点(2023-07-19 22:00:26)
2.  ブレット・トレイン 《ネタバレ》 
設定からふざけたノリのアクション映画は嫌いじゃない。トンデモ日本が出てくる映画も嫌いじゃない。説明のために「前日譚」がぶちこまれる雑な展開や新キャラ登場時に名前を大きく出すのも面白い。しかし・・・どうもこれには(文字通り)乗れない。  面白いアクション映画を作ってやろうというのはわかる。ふざけを全力でやっていて手抜きはない。役者の演技もみんないい。ただ何だろうな?漫画だったら、小説だったら許される「書き手の癖」みたいのが映画だとどうもノイズになってくる。  とはいえすべての伏線(?)がつながってくるラスト30分からは面白くなる。画面の中で起きる事はめちゃくちゃだが、爆走する新幹線のごとく1本の線にまとまってくる疾走感が細かい疑念を吹っ飛ばす。そこに真田広之の冴えた殺陣で否が応でも盛り上がる。  ただその後、ラストシーンでまたダレる。「仲介者」はそれまで顔を見せないので突然出てきても反応に困る。ラストシーンに新顔出してどうする。最後のアレは実はこうでしたみたいな話が出るが、それ普通に時系列で出来ない?なんか、全体的に上手くない。  どうも『ジョン・ウィック』を撮った監督とも思えないんだよな。もっと構成を練って90分にまとめて、なんならコメディ仕立てにしないほうがかえって笑える作品になったかもしれない。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-06-06 22:11:25)(良:1票)
3.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
『シン・ゴジラ』には乗れなかった自分としては世評も微妙なこの映画はスルー予定でしたが、あまりに色んな人が話題にするのと、予告編がかっこいいので気になって観に行きました。うむ、予告編通りかっこいい!とこもある!  まずライダーキックが必殺技であるというのを迫力ある映像として見せているのが良い。特撮で見ていたあのキックは本当はこんなに凄かったんだなと思える。他にも新鮮なアクション、怪人やそのアジトの美麗さなど魅せられる要素は数多い。  一方問題点は挙げればきりがない。登場人物が全員思っていることをぜんぶしゃべる、しかも嘘がつけないようで裏腹なことは言わない、というのはこの監督の作家性らしいが、にしてもほんと会話が多い。そして場面展開の強引さは昭和の特撮を越える。そこまでこまけぇことに気にしないんならいっそ採石場で戦ってほしかった。  121分は今どきの映画としては長い部類ではないが、それでも長いと感じる人は多いようだ。が自分は意外と気にならなかった。それはやはり全体の玉石混交ぶりにあるだろう。良いシーンではアガるし駄目なシーンではリラックスできるのでメリハリがあって疲れない(笑)。だったら編集し直して切り詰めれば名作になりそうなものだが・・・残念ながら肝心のクライマックス、ラスボス戦が映像としてグダグダなのだ。  演じた森山未來のキャラ造形は本当に素晴らしかったのだが、そのラスボスとしての凄さはFXではなくちゃんとアクションで見せてほしい。映画全体として後半になるにつれアクションはどんどん何やってるのか分からない誤魔化しになっていくのが辛いところ。一本足したぐらいでは幸せになれない。  この映画を端的に言うと幼稚。かっこいい人物をかっこよく登場させてかっこさよさげなセリフをクールに(?)言わせる。漫画みたいなカット割りに解説セリフ。子供が考えた大人の世界。とはいえ本当に光るものはいくつもあって、これを「大人の鑑賞に耐える」レベルにまとめられなかったのは残念だ。決して駄作ではないが、とにかく惜しい!映画。
[映画館(邦画)] 6点(2023-05-01 22:21:20)(良:3票)
4.  劇場版 センキョナンデス
ラッパーのダースレイダーと時事芸人のプチ鹿島が主に政治について語るYoutube番組「ヒルカラナンデス」の選挙特番である「センキョナンデス」の劇場版。毎週観てる視聴者としてはこういう前説はもう食傷なのだが、自分で何か書くとなるとやはり外せないハイコンテクストな作品ではある。  正直言って観に行く前は「iPhoneで撮った動画配信でやってる映像がスクリーン視聴に耐えられるのか」「さんざん観てる映像や同じ話をまた聞かされるのか」という不安があった。その懸念自体はそう外れてはいないのだが、109分の映画になると大きな「ストーリー」が鮮烈に浮かび上がる。それはこの映画の編集の上手さなのはもちろんだが、取材対象である「政治家」という特殊な職にある人間のパワーが自ら紡いで突き出してくる。  この映画に登場する政治家には名優もいれば大根もいるしその中間もいる。そしてやはり政治なのでみんな政党の戦略の中で自分の役を演じざるを得ない。その葛藤が白日の下にさらされて実に面白いのだが、中盤以降この「物語」の中心をさらっていく人物が現れる。もちろん監督二人の政治的スタンスははっきりとしているし、どれほど中立を掲げてもどうしたってバイアスはかかるが、カメラの前で誰がどんな条件で自分の言葉で話をするか、それともしなかったかは明白だ。  この映画を観れば政治家という人々、我々の生活を直接左右する仕事をしている人々に興味を惹かれる。その人々が人前でありのままをさらけ出されるのが選挙であるということが分かる。だから選挙に行こう、その前の選挙活動を見に行こう、会いに行こうという気にさせられる。
[映画館(邦画)] 7点(2023-03-12 20:36:47)
5.  伝説巨神イデオン 発動篇 《ネタバレ》 
リアルタイムでなんとなく憶えていた超展開、この映画のラストだったのかと全39話と劇場版2本観てわかりました。そして全部の話がここに行き着くための1本道だということも。その1本道が映画の尺にはどうにも収まらない。映画だけ観て話が分かりにくいのは編集のせいだけではないと思う。そもそも映画には向いていない。  映画としての問題以前に『イデオン』は群像劇の成長物語なので最初はどいつもこいつもろくでなし(笑)。そして最後は全員成長してしまって葛藤がなくなるのでシェリルにとんでもない悲劇を背負わせて「嫌な女役」を続けさせる。やはり「大いなる意志」などにゆだねてしまってはダメだな。作品も現実世界も。  そしてテーマが大きすぎるせいでこの作品が根本的に持っている80年代初頭の時代性に違和感を感じてくる。女は戦いなどせず好きな男と結ばれるのが幸せなのだという価値観。終盤カーシャがイデオンを降りてしまうのは製作者がこの古さから抜け出せなかったせいだろう。  とはいえ美しい映画だとは思う。特に終盤にコスモとカーシャがキスしようとしてヘルメットに阻まれるシーンは映画史に残るキスシーンではないだろうか(未遂だが)。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-04-15 23:41:55)
6.  伝説巨神イデオン 接触篇 《ネタバレ》 
リアルタイム世代だがまったく話を憶えていないので全39話を観てから劇場版へ。『ガンダム』がTV放映版より劇場版の方がまとまっているのに比べ、こちらはかえって散漫な印象を与える。  それもそのはずで、そもそも『イデオン』にはストーリーが1本道しかなく、その中で群像劇としてそれぞれの物語と葛藤が描かれる。だからカットするなら人物ごとカットして主要キャラクターに焦点を当てないといけなかったが、この映画ではそこまでできなかった。なぜならこれは不本意な打ち切りで終わったTV版を補完する作品、をさらに前説として補完する作品であって、シーンのカットにも新作にも限界があったからだ。  まだビデオが完全に普及する前の時代、当時の製作者は「本編」が残ることを前提に編集できなかったのだろう。もしもう数年後のプロジェクトだったらこの作品では一気に最終回まで進めて続編でじっくり作る予定だった回を進められたに違いない。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-04-14 20:48:08)
7.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
いやー凄い!キモい!グロい!そして汚い(笑)。ある程度覚悟はしていたが、しょせん明らかな作りモノ、耐えられるだろうと思ったらグロはともかくスカ耐性のない僕にはきつかった。なんであんなにリアルに作り込むんだよ!(笑)  全体の作り物感や細かいギャグとオマージュで軽いノリにはなっているが、途中までの地獄展開に本当に気分が悪くなってきた。だって元のキレイな世界に戻れてもアレだしさぁ?だからあの女の子が出てきてからは本当に救われる。  ラストの展開はちょっとずるいという気がするが、いかにも一人の人間が煮しめたオタク的な情念の結晶という感じがする。他者の視点が入らないからこその突っ走り。デル・トロが喜ぶはずだよ。  一人で作ったストップモーション・アニメということでもっとカクカクしてるものと思ったら意外なほどのヌルヌル感。そこに細かく入る視点変化と表情、ライティング、そしてギャグ。7年かかったというが、よく7年でこんなの作れましたね。エンドロールはまあ予想通りではあるが、とにかく長い昨今のエンドロールに辟易している中で短すぎて物足りないと思ったのは初めてだ。あの変な曲も劇中で何度か流せばいいのに。♪ビンビンパンパン♪ビンビンパンパン  ところでみんなあの話の続きが観たいと思うんですが、続編作りますよね?今度はもっと人雇って2~3年後くらいに観せてもらえますよね?堀さん?ね?ね?
[映画館(邦画)] 10点(2021-05-22 16:52:44)
8.  クラッシャージョウ 《ネタバレ》 
子供の頃TVで観て、なんだかよく分からないがかっこよくて感動した記憶がある。今観るとやはり良く出来ている。ただ序盤の誘拐シーンの展開を飲み込むのに時間がかかる。これは唯一のプロットの欠点だろう。  作画は現代の基準では古臭く思えるかも知れないが、この3D世界をすべて手書きで描いていることに驚嘆すべき。複雑な造形をあらゆる角度から見せ、カメラ(?)を容赦なく動かす。当時の日本は(今も)本格的なSF映像を作れなかったが、アニメならなんでも作れる。作画能力さえあれば。  あとこの時代の声優の、喉を閉じないしっかりとした発声は心地よい。主人公が序盤は棒読みなのが後半になるにつれ生き生きとしてくるのはかえって展開に合っているように思える。  この作品はぜひハリウッドで実写化してほしい。80年代的コメディ感を現代風にすればメカ造形も絵コンテもほぼこのまま行けるでしょう。当たればシリーズ化できて新しい金脈になりそうなんだが。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-03-20 20:13:25)
9.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
前半1時間に繰り広げられるジブリお得意の生活描写、街の風景、背景の物体感、遠景の移り変わりetc...とてもお見事。そして申し訳ないが、これがとてもしんどい。自分はジブリのジブリ的な描写がかなり苦手なようだ。実写なら撮れば写ってしまう風景も人が描くと創造の「圧」が出る。僕の脳はその圧に翻弄されて混乱を始める。  1時間過ぎたあたりからはストーリーが転がりだして急に方向が定まる。『風の谷のナウシカ』の蠱のような飛行機や、形をどんどん変えていく城の物体感がとても良い。そして年齢が行ったり来たりその間で微妙ーに揺れ動くソフィーの造形、それに忠実に付ける倍賞千恵子の演技が凄い。さすがに10代の声は大人っぽすぎるがそこは仕方ないだろう。  観る前は知り合いに「キムタクがあまりにもキムタク」と言われたが、個人的にはまったくそんな風に感じなかった。この人普通にしゃべると本当に良い声だな。パニック演技もチャーミング。むしろ美輪明宏が変容まで美輪明宏にしか聞こえない方が気になった。あと神木隆之介ってこの頃から上手いんだな。  そして問題のラスト10分。まるで打ち切りが決まった少年ジャンプ漫画のような超展開。あらゆる残積問題をすべてキスで解決するキス魔ソフィー。バーサンになって自分の人間力に気付いたようだが、今度は女の魔力に目覚めたか。本当の魔女はお前だよソフィー。  自分にとっては上映時間の約6割が最高で、後の時間はなんじゃこれ?ということで6点にします。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-15 23:09:12)
10.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
全体が緊迫感のある会話劇で出来ていてこの詰め詰め感は魅力的だが、残念ながら脚本が力不足で台詞の言葉尻がいちいち軽い。登場人物がやたら多いので演技が玉石混交になるのは仕方ないが、特に主役級の長谷川博己と石原さとみが致命的。特に石原さとみは変な英語なんかより気の強い優秀なキャリアガールを演じた結果が蓮っ葉になるのは駄目でしょう。背伸び感が強すぎて将来の大統領とか無知無理無理。  役者で良かったのは市川実日子、高橋一生、國村隼、津田寛治。この4人は玉石混交の「玉」。もし彼らがいなかったらこの映画はかなり締まりのないものになっていたはず。  そもそも現代に怪獣が現れるという「リアリティ」がこの映画の肝だと思うのだが、その肝心の怪獣ゴジラの造形は頂けない。いくらなんでもあの目はないでしょ。動きも巨大生物のスケールにまで考えが及んでいない。とは言え、このゴジラはハリウッド怪獣映画によくある「人間に嫌がらせするためだけに現れるご都合主義的モンスター」ではなく、意図不明な謎の生物、人智を超えた災害としての怪獣である。これは本来のゴジラ、つまりは災害大国日本のリアリティを持った怪獣像でもある。  しかしどうしても許容できないのは音楽。明らかな打ち込みなのは仕方ないにしても楽曲の質は低くサウンドはしょぼく、かつ音量が中途半端。あれじゃ劇中に誰かがラジカセで鳴らしているみたいでノイズにしかならない。いっそBGMなしの方がよっぽど良かったが・・・。  この映画は傑作の部類だとは思うがノイズも多い。台詞のノイズ、演技のノイズ、造形のノイズ、そして音楽がノイズ!!!僕はどうしても減点法で映画を観る癖があるのでこのくらいの点数になってしまう。
[インターネット(邦画)] 6点(2018-09-20 00:30:48)
11.  ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 《ネタバレ》 
原作の『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは二次元漫画ならではのアート表現が魅力なのだが、この映画はそこをそのまま実写化しようとしていてかなり無理がある。特に奇抜すぎる髪型が現実の世界に現れる違和感が半端ない。最近は原作にどこまでも忠実な映画作りが流行っているが、「後ろ髪のギザギザ」みたいな漫画絵独特の表現まで実写で再現するのはもうギャグにしか見えないぞ。  配役は終始違和感が拭えずミスキャスト感が付いて回った。しかし改めて各役者の素顔を見るとみんなけっこう役にはまっていそうなんだな。結局やりすぎなコスプレがバランスを崩してしまっている。その意味で神木隆之介の康一と小松菜奈の由花子は素晴らしいバランスだった。ただ肝心の主役の山﨑賢人の顔が役に合っていない。あと真剣佑も頑張ってはいるが億泰は美形がやるべきじゃないだろ。  やり過ぎコスプレもコスプレ野郎ばかりになる終盤はそれなりに見れる世界になってくる。しかしこの終盤がとにかく冗長。漫画ならクライマックスは引き伸ばすし細かくコマを割って人物に思いのたけを言わせるが、それをそのまま映画でやると滅茶苦茶テンポが悪くなる。カメラワークや台詞も原作に引きずられ過ぎだ。特に漫画独特の説明セリフを全部しゃべってしまうのはすごく変だぞ。  とは言えそう悪い映画とも思えなくて魅力はたくさんある。原作では抽象的になりがちなスタンドバトルもちゃんと三次元で動くし(もうちょっと頑張ってもらいたいが)、なにより虹村屋敷の造形は素晴らしかった(あの中を転げ回るのだから衣装の汚しはもうちょっと意識してもらいたいが)。街はどう見てもヨーロッパだが、原作の杜王町もかなり日本離れしているのでまあ許容範囲だ。そして実写にしたことで原作が元々持っているホラーとサスペンスの要素がしっかりと実感を持ったものになっている。  興行的にコケたらしいので続編は厳しいかもしれないが、続編があればぜひ観たいのでなんとか映像表現と編集を洗練させてほしい。特に気になったのは主要登場人物全般のメイク。舞台化粧じゃないんだからアイシャドウと口紅はやめてくれ。そして伊勢谷友介の空条承太郎はNG。こいつはチート級キャラなのに重さが足りない。最後に映画化で良かったと思うのが音楽で、何度も映像の危機を救ってくれる(笑)。
[映画館(邦画)] 6点(2017-09-28 02:08:00)
12.  この世界の片隅に(2016)
ずっと観そびれていた映画,、異例のロングランでまだやっていたので2県越えて観に行きました。まあどのシーンどのシーン一分一秒に至るまで最高の面白さ、美しさ、それでいて軽快で、それでいて衝撃的。よくこんな映画が作れたものだ。この話の情景は戦後生まれとしては何度も言葉では聞いてきた話。戦中経験のある人を連れて観た人によるとごく当たり前の日常だったらしい。その光景が眼前に展開される。僕は普段はアニメが苦手なのだが、このリアリティはアニメじゃなければ実現できなかったのではないだろうか。  空襲前の街を徹底的に再現した歴史考証もさることながら、そのリアリティを実現した最大の功労者の一人は主演声優の能年玲奈だろう。片渕須直監督は制作当初から能年玲奈を配役に考えていたそうだがその彗眼には恐れ入る。結構デフォルメされた造形のすずさんがまったくあの時代の広島に生まれたああいう個性を持った一人の女性にしか見えない。  この映画は多くの映画館でエンドロールが完全に終わるまで誰も席を立たないことがあるようで、観に行った時もそうだった。それはまず映画本編の力ということが大きいが、クラウドファンディングに出資した人々の名前が流れるところでもきちんと観客をつなぎとめておく工夫がなされている。この映画の世界は片隅にまで真心が込められている。  ストーリーはディテールが説明されずにどんどんテンポよく進んでいくのでよく分からないところもある。しかし楽しむには問題がないし、深く知りたければ何度も観ればよい。すでにソフト化やネット配信も始まっているが映画館でもロングランから名画館での再演とシームレスに上映は続いている。  この映画はアニメ映画、戦争映画といったジャンル、クラウドファンディングで作られたという話題性を完全に超越している。間違いなく日本映画、いや映画そのものの金字塔だ。謹んで10点満点中27点を奉る。10点以上のボタンはどこですか?
[映画館(邦画)] 10点(2017-08-27 19:31:24)(良:1票)
13.  TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)
いま「日本が世界に誇る」という冠言葉は氾濫していて手垢で黒光りしているほどだが、本当に日本にしかない、かつ誇れるものがあるとすればそれはまず築地市場かもしれない。この映画の主人公格を務めるのは600軒の仲卸業者。彼らは7社の卸業者から魚を買い付け、小売り業者や料理店に売る。彼ら目利きのプロは世界の海を知り、料理を知り、その「仲」を取り持つ魚を選ぶ。  登場する150人の中で市場で働く人々はみな普通のおっさんやにいちゃん(一人ねえちゃんと一部おばさん)だ。ただとんでもなく格好良い。仕事に誇りを持ち仲間を愛し日々自分の目に賭ける、黄金のように光り輝く普通の人々。「市場」とは場所のことではなく彼らが居る状態を呼ぶのだろう。  この映画は「ドキュメンタリー映画が苦手な人にもおすすめ」とよく書かれていて、たしかに映像は美しく、音楽は効果的。元々むしろドキュメンタリー好きな僕にとっては少々作りすぎな感じもしたが、なにせ内容は本物なので文句はない。
[映画館(邦画)] 9点(2016-10-23 20:06:16)
14.  座頭市(1989) 《ネタバレ》 
宿場町を支配するやくざ二家を抗争させて残った方を全部斬って捨てる。黒澤の「用心棒」や座頭市の過去作品にも登場した筋書きです。それ以外にも多くの魅力的な人物が登場しますが、これが肝心の本筋にはあまり関係なく、まったく伏線になっていない(笑)。それでいて各シーンのこの魅力はどうだろう。役者の力、演技というもののパワーを感じる。鶴太郎や2~3歳の子役まで名優に見える。いろんな意味で凄い映画だ。
[DVD(邦画)] 6点(2006-06-17 18:06:15)
15.  忍 SHINOBI 《ネタバレ》 
まず映像は美しい。数はもの足りないもののアクションも悪くない、が、トレーニングを積んでいない役者の素人そのままの動きを後からデフォルメしているだけなので不自然。そして映像をことさら美しく感動的に見せようとするせいか全体的に間延びしたシーンが多過ぎる。さらに終盤にありきたりな話を挿入したおかげで忍術合戦は割を食ってあっさり流され、弦之介君などは単に強いだけの人になって「瞳術」を発揮するチャンスはまるでなし(笑)。みんなが普通になってしまったので逆に朧の「破幻の瞳」は滅茶苦茶な反則技に。技を発揮することもかなわず、恋もすれ違いにされてしまった登場人物たち。この話は荒唐無稽な忍術と古典的な悲恋、それを取ったら何も残らない話なのだが、本当に取り去って何もない話になってしまった。
[DVD(邦画)] 3点(2006-06-10 20:04:26)
16.  魔界転生(1981) 《ネタバレ》 
ここのレビューを読んで久しぶりに見てみました。序盤の変なカット割、くどくて妙な台詞、意外とけっこう棒読みなジュリー(笑)、それに比べて終盤の若山富三郎&佳那晃子大暴れの章の緊迫感は何だ。ジュリーは時に棒読みでもキレたら凄くて魔物にしか見えないし、佳那晃子は常にキレっぱなし、真田広之はアクションも演技も実に平均点が高く、若山富三郎に至ってはどう見ても最強じゃないか?十兵衛よく勝てたな。結構バラバラな映画なんだけど役者の力量でまとめあげた感じ。唯一緒形拳の武蔵だけは別にいなくても良かったんじゃないかと思えるところが難点(笑)。
[地上波(邦画)] 7点(2003-11-24 22:16:42)
17.  南極物語(1983)
ヴァンゲリスの音楽が良かったですね。小遣いためてサントラLP買いましたよ。ストーリーとかは、まあよく知られた話ですから。今だったら「プロジェクトX」とかでやってくれたらその方が感動するかもしれない。音楽で+1。
5点(2003-11-23 18:42:27)
18.  エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS
菅野美穂他共演者たちが頑張って作った世界を一言発するだけで破壊する吉野公佳の演技。見た目はそれっぽいんだけどねえ。角松かのりに+1。
[映画館(字幕)] 2点(2003-11-23 18:33:25)
19.  梟の城 《ネタバレ》 
原作の大ファンだったため、かえって敬遠していた作品。最近意を決して見てみました。結論から言うとやはり予想通り、中井貴一は重蔵のイメージではなかった。風間五平には野望のために平気で仲間を売る冷酷さ、伊賀全部を敵に回しても斬り抜ける不遜な自信というのが表現されていなかった。これでは単に可哀想なやつではないか。あと五平役の上川隆也には申し訳ないが、再三美貌を強調されるキャラとしては少し見た目に説得力が足りなかった。女性2人はほぼ原作のイメージどおり。摩利支天洞玄の永澤俊矢も良かった。映画全体にはとにかく時代背景を説明するためだけの無駄なシーンが多い。「歴史に詳しくない人にも分かるように」という配慮は無用だと思う。その分小萩に関するプロットがずいぶん省かれていて、時間上仕方ないとはいえ、これでは映画だけ見ている人にはあの2人が惹かれ合う理由が分からないのではないか。原作では死なない木さるを死なせたのはそのためだったのか。もともと司馬文学はあっと驚くストーリーがあるわけではなく、歴史に翻弄される人間描写が全て。この作品は人間描写が甘かった。映画としては3点。女優2人と永澤、あと凄みのある服部半蔵を演じた根津甚八に+1。
4点(2003-11-23 18:17:42)(良:1票)
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