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ロイ・ニアリーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 681
性別 男性
年齢 59歳
自己紹介 点数基準
芸術点、技術点、俳優点、個人的感情移入度の4要素の比重で決めています。
芸術点とは、主に脚本、演出が映画の各要素、美術、音楽、などをどれだけ高次元でまとめ上げたか
技術点とは、撮影技術、特殊効果、音響効果など、技術的な部分のレベル、完成度。
俳優点とは、出演俳優の演技、存在感、作品とのマッチングなど。
個人的感情移入度とは、作品テーマや登場人物などが自分自身の価値観や好みに対してどの程度影響するか。
これらの比重を勘案して点数を出しています。
有る項目が0点に近くても、別の項目が突出して良ければ点数は上がります。
映画としての及第ラインは6点です。それ以下は落第点、マイナス評価です。

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1.  ロビン・フッド(2010)
経験豊かなスコットが繰り出す映像のダイナミズムは圧倒的ではあるが、完璧すぎて「決闘者」や「エイリアン」「ブレードランナー」で魅せてくれた臭覚まで刺激するような生々しさがない。欧州の人々にとっては思い入れのあるロビン・フッドなのだろうが、日本人にとっては予備知識がないと今ひとつ伝わりづらいのも残念。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-31 18:21:19)
2.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
衛星パンドラとナヴィには宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」からの影響が感じられる(キャメロン本人もインタビューで言及しているが)、この星そのものがひとつの生命体であるという視点を西洋人はどう感じるのだろうか。 また本作の筋立てですぐに連想するのが「ダンス・ウイズ・ウルブス」「ラストサムライ」あたりだろうか。侵略者である人類の描き方は辛辣だが、自らを振り返ってみれば差ほど誇張でないことがわかる。突き詰めればこれは白人文明に限らず人類が辿ってきた歴史そのものでもある。 と、ストーリーやディティールに既視感はあるものの圧倒的な映像と軽快なテンポ、演出のうまさでぐいぐいと引き込まれる。観客の自分は「悪役」であるところの人類と同種なのに、鑑賞前は不気味ささえ感じた青い肌のナヴィに感情移入してしまう。 部族の娘ネイティリのけなげさ、力強さはこれも西洋白人文化の求める強い女性像なのだろうが、ナウシカにも通じる繊細さも併せ持つ。 映像は圧巻のひと言。3D立体映像と相まってまさにそこにあるかのように画面の隅々まで完璧に構築されている。どれ程多くの才能のある人々が携わり巨額の資金が投入されたのか、目眩がするほどだ。今後当分は技術面はともかくとして、ここまで念入りで手間のかかった分厚い映像にはお目にかかれないだろう。ただ、全体のテイストは狙ったのだと思うが、何か絵画のようで幻想的。緻密ではあるがライブ感というか匂いまで感じるような生々しさというものはあまり感じられない。僕が匂いまで感じる程リアルだなと思うのは「エイリアン」や「ブレードランナー」の世界だ。 2時間半以上の長尺だが、むしろ短いと思ったくらいだった。ハヤカワSF文庫の海外作家の作品を読んでいるような感慨がある。異文化、異文明交流の物語では、その過程を丁寧に説得力をもって描くことが非常に重要だと思うのだが、「ダンス~」や「ラストサムライ」でもそうだったが、本作でも短いと感じた。現実的にこの部分をこれ以上伸ばすことは出来なかったと思うが・・・。世界が非常に丹念に作り込まれているので、観客はいくらでも想像力を広げられる。映画が終わったエンドロールの向こう側でもあの世界が続いていると感じられるし、ナヴィと星の歴史だけでも長編の小説がつくれそうだ。
[映画館(字幕)] 9点(2010-12-09 14:05:27)
3.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
正直言って僕はダニエル・クレイグになってからのジェームス・ボンドは好みにピッタリ合っている。 それ以前の、2代目以降の余りに荒唐無稽でゆるゆるなMi6のスパイには何の魅力も感じなかったのだが、クレイグ版のこのシリーズは、ボンドという男の超人的な身体能力、洞察力、戦闘力は旧シリーズを遙かに超越して「あり得ない」シーンの連続であるにもかかわらず、しかし確かにスクリーンの向こうにこの男が生きているという生々しさを感じさせる、新世代、21世紀にふさわしいアクション大作と言えると思う。 本作を観ていて既視感を感じたのだが、本作のアクションシーンの監修は「ボーンアルティメイタム」と同じスタッフなのだとか。確かにカットを細かく細かく刻んで凄まじいまでのスピード感を演出するその手法は同じだ。しかしあちこちの批評を見ていると、このせわしすぎるカット割りを好ましく思わない人もいるらしく、賛否両論のようだ。個人的にはこういう手法は好みに合っている。 惜しむらくは本作が前作の続編という扱いで、ストーリーが非常にわかりづらいというところ。まあ、アクションだけでも充分楽しめますが。
[DVD(吹替)] 7点(2010-12-09 13:34:15)
4.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
ターミネーターの面白さは、日常世界に突如現れる非日常(未来世界から来た無敵なロボット)のコントラストと、絶望的な未来を救うであろう救世主、一縷の望みである主人公ジョン・コナーが生きるか死ぬか、という緊張感にあったと思う。 しかし本作の舞台はその「絶望的な未来」である、人類文明がスカイネットという自らつくりだしたコンピュータネットワークに滅ぼされた2018年。 本作はとてつもない予算をかけてこれでもかと人類とロボットの熾烈な戦争を描いていて、ビジュアル的な派手さ故劇場ではその迫力に圧倒されるが、結局それ以上のものはない。 いくら想像力を駆使して新しいメカやアクションを紡ぎ出しても、結局は未来における未来戦争、よくあるシチュエーションなのである。T1~T3のような「日常世界に突如現れる非日常」なコントラストはなくなり、まあなんでもありの世界となってしまう。 また、新型ターミネーター、マーカス・ライトの存在がいかにも中途半端であったことと、抵抗軍の司令官が「このスカイネットの中枢部を破壊すれば戦争が終わる」と本編中盤で発言していながら、結局オチで「スカイネットの中枢は破壊したが、まだまだ世界には多くのスカイネットの基地があり、戦いは終わらない」というナレーションが入るという、どうにも納得できない矛盾があることだ。 何かターミネーターを取り巻く世界観が、宇宙戦艦ヤマトシリーズよろしく続編制作というビジネスのために無理矢理ねじ曲げられてしまったという印象を持ってしまうのだ。 そんな終わり方であることから、この先もT5、T6と製作されていくのだろうが、この後大きな物語の進展が無い限りは、また同じような未来戦争映画となってしまう。 どういうオチを付けるつもりなのか、ちょっと心配ではある。
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 13:20:51)(良:2票)
5.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
本作が高評価であった理由のひとつに舞台がインド、オールロケでスラムで生きる子供達の過酷な現実を鮮烈に描写していること、インドの暑さ、湿気、臭い、体臭、そんなものまで漂ってきそうな生々しさが非常に新鮮だったのだと思います。 連想するのが「シティ・オブ・ゴット」です。これはブラジルのスラム街でたくましく生きる子供達の生き様をオブラートにくるむことなくリアルに描いた作品でした。それのインド版というところでしょうか。  で、鑑賞前に非常に高い評価を知ってしまったのでどうしても期待が高くなってしまったのですが、結論から言うと、思ったほどではなかったかなというのが正直なところです。 基本的には社会の底辺にいた若者が自らの才覚と運命の導きによって一攫千金を得るという大筋に様々なドラマの枝葉がついているというのは、舞台がインドでなければならないとう必然性もそれ程感じません。 ただ、そんな特別新味のないストーリーでも、ダニー・ボイルの手で映像化されると此程までにスタイリッシュで、何処を切り取っても隙のない世界観が出来上がってしまうのは敬服するほか有りません。 本作は低予算ということで、ギャラの高いスターも出ていないしVFXや金のかかる派手なアクションも無いのですが、1カット1カットに非常に手間を掛け吟味に吟味を重ねて編集しているのがよくわかります。こういうところは最近好調な邦画と比べても、別次元のクオリティと言わざるを得ないと思います。 
[映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 13:05:43)
6.  インセプション 《ネタバレ》 
夢の世界が何層にも別れていて夢の中の夢と深くなるにつれて非現実的で体感時間が長くなるというアイデアは面白い。その層を上下しながら進む物語はコブ自身の妻との葛藤も絡んでいて一筋縄ではない。 コブがつくったという3層目のビルが乱立する世界は自分の夢に見た世界と似ていてゾッとさせられた。 ただ、それ以外の部分は少し物足りなさが残った。折角の非現実世界なのにハリウッドお得意の銃撃戦ばかりでは芸がない。もっと不条理で想像力を刺激されるようなアイデアやビジュアルが欲しかった。確かに街が裏返ったり突然列車が現れたりなど驚かせるところはあるが。。。欧州出身監督でリメイクされたらだったらもっと違った風味の作品に仕上がるかも。ジャン=ピエール・ジュネあたりが監督したら非常に面白い作品になるかも知れない・・・。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-08 02:07:47)
7.  月に囚われた男
ストーリーなど詳細を全く知らないまま鑑賞したのだが、それも奏功したか非常に面白かった。 ハヤカワSF文庫の良質なSF短編を読んでいるような興奮と充実感を味わえる。 全体としては低予算で、CG全盛の昨今ミニチュア特撮もうまく利用した月面シーンや、出演者も実質サム・ロックウェルひとりだけという制約された条件なのに脚本・演出次第でここまで面白くなるのかという見事な例だと思う。 このような作品を鑑賞していつもおもうのだが、予算の制約が大きい邦画界もこういう良品を見習って欲しい。プロダクション、TV局や広告代理店主導の売らんかなマーケティングの安っぽい「○○ザ・ムービー」のようなものよりも、工夫とアイデアを凝らした本作のような小品に活路があると思うのだが。
[DVD(吹替)] 8点(2010-12-08 02:04:09)(良:2票)
8.  フライボーイズ
トニー・ビル監督の経歴をみたら、「スティング」で製作をつとめていた。 「スティング」を監督したジョージ・ロイ・ヒルといえば飛行機映画の名作「華麗なるヒコーキ野郎」がある。時代設定もほぼ同じ。当然意識していたはず。 ヒルはパイロット出身だったが、ビルも同じくパイロットで複葉機マニアだというだけあって、レプリカで実機を作ってしまうほどメカニカルな面のこだわりはすごい。 しかし本作の一番の売りである複葉機同士の空中戦などではCG頼みになり、カメラワークがダイナミックであるほど「CG臭」が漂って微妙に安っぽさを醸し出してしまう。このあたりは「華麗なる~」での美しい空撮映像には逆にかなわないという皮肉な結果になっている。 ストーリーはいままでの娯楽映画、青春映画に使われてきたどこか既視感のあるシチュエーションが幕の内弁当のよろしくてんこ盛りで、スタジオ関係者はそろばんはじきやすいだろうが、目新しさはない。 まあ監督が本当にやりたかったのは複葉機が宙を舞う空中戦であり、その他の要素は添え物なのかもしれないのだが、上記のように肝心の航空アクションが微妙になってしまったため、飛行機マニアにもドラマを観に来た客にも中途半端な印象を残す作品となってしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2008-04-08 19:18:40)
9.  ラストキング・オブ・スコットランド 《ネタバレ》 
独裁政権の罪はニコラス・ギャリガンには関係のないことなのだが、はっきり言って彼の今回の災難は皆自業自得の結果といえる。ウガンダの歴史も知らずこの地を訪れ、道中や診療所では女に手を出し、アミンの接待攻勢に負けて診療所をほっぽり出してしまう。あげくにはアミンの第3婦人にまで手を出すのだ。その彼の軽薄さはアフリカに対する白人、西欧社会のスタンスを皮肉っているのではないかと思える。実際、英国植民地時代のウガンダで育ったアミンは、西洋白人文明の横暴と偽善をよく知っているのだし、製作者は逃げ出そうとするギャリガンに対しても、その薄っぺらさを喝破するようなことを言わせている。 本作は社会派の硬派な部分、アミンという人物と政権の狂気、西洋白人文明の偽善も描かれるが、同時にギャリガンが自らの浅はかな行動が元で蟻地獄に落ちていく様をサスペンスタッチで描くという娯楽性も追求しており、一級のサスペンス映画としても楽しめた。
[DVD(吹替)] 7点(2007-11-09 14:02:53)(良:1票)
10.  ツォツィ 《ネタバレ》 
このコンセプトを北米やラテンアメリカ等に置き換えでも成立するだろう。しかしこの映画、舞台は南アフリカ、治安の悪さで悪名高いヨハネスブルグ、旧黒人居住区ソウェトである。この舞台設定だけでかなり類似の不良映画よりも得をしていると思われる。そしてツォツィをはじめとするチンピラ少年達の眼光の鋭さ、独特の存在感が本作の一番の宝だ。この舞台にこのキャスト、映画の成功の半分は約束されたと言っていい。 ツォツィが乳児とのふれあいから人間性を取り戻していく過程は多少無理があるような気がするのだがぎりぎり許容範囲に収まっていると感じた。ただ、彼が最終的に人間性を取り戻すにしても、それまでに犯した犯罪があまりに重大すぎる。脅迫、強盗、ふたりを殺害し、乳児の母親を半身不随に陥らせた。監督はあえてツォツィがホールドアップするところで物語を終わりにしたが、個人的にはDVDに収録されていた銃殺されるバージョンの方がバランスは取れていたように思う。
[DVD(吹替)] 7点(2007-11-09 13:53:38)
11.  ダイ・ハード4.0
初代ダイハードが公開された頃は新鮮味があったコンセプトも今や同じようなハリウッド製アクション大作が目白押しの昨今にあっては影が薄い。超人的戦闘能力と運の良さを持つヒーローが活躍する映画はボーン・スプレマシーや007、ミッション:インポッシブルなどでもうお腹一杯なのだ。勿論本作によって新しいアクション大作映画の地平を切り開こうなどというものはなく、人気シリーズのヒーローに再登場を願って一発当ててやろうということなのだろうけど。 それにしても今作はマクレーンの不死身振りが際だっているし、あまりにも安易に人の命が失われすぎる。 物語の設定も突っ込みどころ満載、特殊効果は素晴らしいが、観客はカラクリも知っているし刺激には慣れっこで、もはや手に汗握ることはない。人気シリーズゆえの縛りか、ある程度の興収が見込める故の甘えなのか、ハリウッド的アクション映画の安全圏でお茶を濁したという感が否めないオールドスタイルな作品だった。
[DVD(吹替)] 6点(2007-11-09 13:36:34)
12.  グアンタナモ、僕達が見た真実
実話を基にしたセミドキュメンタリーといっても良い作品だと思います。 911に端を発した対テロ戦争においては日本も当然この戦争を支持し、「こちら側」からの情報でしかこの戦争を知ることは出来ませんでしたが、皮肉にも英国市民が巻き込まれたことで、相対するアフガンの視点からこの戦争の一面をあぶり出すことになりました。正義と人権を重んじる先進国であるはずの米国は、アフガンの地で逃げまどう市民から見れば空から爆弾の雨を降らせる悪魔以外の何者でもありません。そしてもし彼らが囚われなかったら、これも皮肉ですがこの捕虜収容所の実態が暴露されることも無かったかも知れません。 戦争を扱う映画には必ずもう一つの、相対する敵側の視点を考慮しない限りは単なるマスターベーションかプロパガンダ映画になってしまう危険性があると思いますが、本作はそう言う意味では「西側世界」では聖戦とされてきた対テロ戦争の「向こう側からの視点」を見事にあぶり出していると思います。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-09 21:05:22)
13.  dot the i ドット・ジ・アイ 《ネタバレ》 
犯人の動機がいかにも映画オタクが考えそうで幼稚だし貧弱なんですよね。バーナビーが延々と告白するところで一気に映研の自主製作臭が漂ってしまいました。二段オチのラストもちょっとしつこいですね。変な陰謀のオチを無くして純粋な恋愛ものだったら7点でもいいかなあ。カルメン役のナタリア・ベルベケは本当に綺麗です。
[DVD(吹替)] 6点(2007-07-09 21:24:02)
14.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
日本では地味な宣伝も足を引っ張り、GW前には早々に上映館が無くなってしまいましたが、本作に興味があったのに劇場で観れなかった人は人生で大変な損をしました。この映画は視界全てがスクリーンになるような、そして地響きがする程重低音まで再現できる優れた音響のある劇場で観てこそこの世界を味わい、乗組員と一緒に旅が出来るのです。おそらく家庭のTVやパソコンの小窓から眺めても、暗黒の宇宙、太陽の灼熱や光、重責を担うクルーの焦燥感や孤独なども他人事にしか感じられないと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-28 14:12:13)(良:1票)
15.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
この映画のディティールに対するこだわりはすごい。2027年の絶望の世界を構築するために画面の隅々まで細心の注意が払われ労力を惜しまずに手が入っており、CGIも出しゃばらず効果的に使われている。そして挑戦的な長尺カットが観るものを20年後の絶望の世界へ放り込む。スクリーンの外、エンドロールの向こう側の世界への想像力をかき立てられる。あの後、世界はどうなるのだろうか。キーと、愛娘ディランの運命は。観終わった後もそんなことばかり考えてしまう。
[DVD(吹替)] 10点(2007-03-30 19:44:34)
16.  007/カジノ・ロワイヤル(2006)
今までのハイテクスパイ兵器を駆使した、ある意味荒唐無稽な007とはきっぱり決別した硬派な作品。ボンドは超人的な能力で敵を追い詰めるのだが、ぎりぎり「もしかしたら世界に一人くらいこんな能力の奴もいるのかもしれない」というリアリティを残している。物語も最後の最後までハラハラドキドキさせるよう念入りに膨らませてあり、脚本段階から相当頭を絞ったと感じさせる。ただ、このようなキャラクターが「ボーン・アイデンティティ」などと若干かぶってしまうのが新鮮味を損なうところかもしれない。ダニエル・クレイグは予告編を見た限りではちょっと華が足りないかと感じたが、本編を観てみるとそれは杞憂だった。彼が全力で走る様は大変力強く美しい。
[DVD(字幕)] 8点(2007-01-09 00:52:20)
17.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
綿密に取材をし、遺族の了解を取り、制作者の意志、演出を極力排した特異なつくり。これは映画と言うよりセミドキュメンタリーといった方がしっくりくるだろう。驚いたのは管制センター、軍司令センターの出演者の多くが、911当日に実際に現場に勤務していた当事者であり、俳優としては勿論素人であるということだ。1時間以上もカメラをを長回しして、事前に予告せずに911報告書に基づいた情報を彼らにぶつける方法で、事件当日を追体験させるという方法をとったという。これが見事に成功しており、監督のコメンタリーを聞くまで彼らが俳優でないとはまったくわからなかった。それはあまりに真に迫った「演技」であるため、まさか素人が、映画撮影という管理された状況下でこのような表情、動きが出来るとは思わなかったからだ。監督は「ボーン・スプレマシー」もそうだが彼独特のスタイルで、手持ちカメラを振り回すことで観客をスクリーンの向こう側に叩き込もうとする。これは賛否があるようで、映画館の大スクリーンで観ると、生理的に酔ってしまう観客もいるかもしれない。今回DVDで鑑賞したが、特典に93便の乗客役の俳優達が遺族の元を訪ねるというドキュメンタリーが収録されている。これはとてもシンプルな番組だが、ある意味本編よりも重みがあり、心に刻まれる内容だった。劇場で見た人もこのドキュメンタリーも是非観ることをお勧めする。
[DVD(字幕)] 9点(2006-12-07 19:08:08)
18.  ホテル・ルワンダ
この映画はどんなホラー映画よりも恐ろしい。本当に恐ろしい存在とは、モンスターでも悪霊でもなく、人間そのものだということが良くわかる映画です。しかし家族を愛し、平和を願うセサバギナ達の存在もまた人間の一面です。この映画はルワンダで起こった悲劇に対して、国際社会がいかに無力で無関心であったか、先進国はじめ世界各国が己の国益のみに汲々として、ルワンダの人々の叫びに鈍感であったかということを告発しています。と同時に、危機に瀕した時、家族を守る男としての生き方を描いた優れた人間ドラマでもあります。戦争に限らず、危機的な状況に置かれたら、自分は家族や隣人を守ることができるのかと自らに問いかけながら観ました。 この映画は映像云々をあまり言う映画ではないとは思いますが、照明が平板で、編集がもっさりしていたのがちょっと残念でした。
[DVD(吹替)] 7点(2006-09-10 15:49:49)
19.  ジャーヘッド
現在日本とアメリカは民主主義という同じ価値観を共有している同盟国です。政治だけでなく、経済、文化でも最も強い影響を受け、地球の反対側にあっても遠くて近い国。しかし最も違うのは、アメリカはWWⅡで日本をコテンパにのした後も世界中で戦争を続けていること。かたや日本は半世紀以上、一度も戦争をしていません。もう殆どの世代が戦争体験が無い。ところがアメリカは、戦争はリアルなものとして身近にある。この映画を観ていると、主人公と僕は殆ど同世代ですが、体験する世界のあまりの違いを目の当たりにした思いです。しかし、60年間戦争をしていないという国のほうが実は少ないのかも(この先はわからないけど)。
[DVD(吹替)] 8点(2006-07-28 16:02:42)
20.  オリバー・ツイスト(2005)
原作は知らないのですが、大いに楽しめました。古典であるためなのかどうか、人物設定がやや類型的な感はありますが、テンポも良く、ぐいぐいと物語に引き込まれました。それからこの映画、美術が大変素晴らしいです。19世紀の薄汚れたロンドンの貧民街が、下水や人々の体臭まで臭って来そうな位リアルに表現されています。「ALWAYS三丁目の夕日」もそうですが、僕は美術セットに現実感があると、それだけでスクリーンの向こう側に引き込まれてしまいます。
[DVD(吹替)] 8点(2006-07-10 16:27:31)
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