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1.  奇跡の2000マイル 《ネタバレ》 
入口の訓練のところで、ラクダをしっかり撮っているのがいい。大きさ、質感、じっとしているからこその迫力。動きが少ないので、カメラを振ったりカットを割ったりしてごまかすこともできません。いざ旅が始まってからは、主人公はシンプルに「ただ進む」。あえて動機や心理状態を説明しないぶれのなさ。また、わざとらしい危機も起こりません。野生のラクダも出てきますが(本当に危険なのかどうかが主人公目線=観衆目線ではよく分からないのが、かえって怖い)、解決は一瞬。この広大な砂漠にいること自体がすでに十分危機なので、そこに何か人工的なものを盛り込む必要はないのです。それがかえって生々しい過酷さを伝えています。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-04-21 00:55:45)
2.  エマニュエル・ベアール 赤と黒の誘惑 《ネタバレ》 
エマニュエル・ベアールが少年に恋愛指南!という素晴らしすぎる設定なのですが、もう入口から意味不明なドギツメイクと下品な口調にげんなりしてしまいました。話が進むうちに、その辺も変化していって本来のベアールが・・・と何とか期待するも、それもなし。何でわざわざそんなもったいないことをするのかなあ。あと、一つのテーマになっているっぽいのが、ずばりSMです。ですが、それも入れたかったから入れた程度というか、つまみ食いレベルというか、大して機能していません。最後は唐突に切ない過去のお話っぽくまとまりますが、それもちょっと無理があります。
[DVD(字幕)] 4点(2023-03-22 01:06:28)
3.  キラー・エリート(2011)
設定から進行から人物関係から、もうすべてがぐちゃぐちゃで行き当たりばったりなのですが・・・。ただし、ジェイソン・ステイサムの身のこなしの美しさだけはどこまで行ってもさすがであって、それを鑑賞するというだけの目的と割り切れば、そこそこ楽しめます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-07-11 02:36:13)(良:1票)
4.  ドリフト(2012) 《ネタバレ》 
サーフィン映画だと聞いていて、だとするととにかくサーフィンシーンがたくさん見られると思っていたのですが、かなり違っていました。どちらかといえば、サーフィンを対象にショップを発展させようとする、つまりはビジネス映画なのです。もっとも、ビジネスを成功させたいというのは誰でも考えているところなので、それで作品を成立させようとすれば、相当にネタを仕込む必要があるのですが、ここではそれほど見当たりませんでした。ドラッグがどうのこうので危ない雰囲気になるのも、ストーリー上の壁になるべきはずなのですが、それも機能していませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2022-06-14 01:44:39)
5.  マグダラのマリア 《ネタバレ》 
最後の字幕が、つまりこの作品の動機なんですね。つまり、長年(何世紀も)娼婦とされてきたマグダラのマリアが、2016年に至って遂に使徒と同列されたということ。よってこの作品では、イエス達の伝道を影ながら見守る(?)みたいな従来のイメージではなく、イエスにスカウト(?)されたら一気に教団の中心に位置し、ほとんどナンバー2並になっている。それはまあ、斬新で興味深いんだけど、肝心のマリアの描写自体が、イエスから何を伝えられ何を感得したのかとか、その辺の内面が描写されてないんだよな・・・。●それとやっぱり、ホアキンのイエスというのがいかん!彼がやってしまうと、苦難に立ち向かう選ばれし神の子というよりも、長年修羅場を経験してすでにどんな場面でも何とでもできる堂々たるキャリアのオッサン、にしか見えないのですよ。よって、処刑のシークエンスも妙に唐突です。
[DVD(字幕)] 5点(2022-02-03 01:10:59)
6.  ホテル・ムンバイ 《ネタバレ》 
テロリストについては、背景も目的も説明一切なし。作戦らしい作戦もなし。単純に、目の前で動くものをひたすら撃っていくだけ。奪われたものを取り返すとかもっともらしいことを言いつつ、どう見ても関係なさそうな老人や従業員まで当たり前に撃っていく。だからこそ、終わらない恐怖感が迫ってくる。●従業員や客側には、救世主もいなければ技術も武器もない。ただ隠れ、様子を窺い、隙を見て移動し、可能なら逃げる、というだけ。そこがさらに生々しさを感じさせるし、それゆえに「諦めないこと」の重要性を普遍性をもって伝えている。「ひたすらテレビを見守るしかない主人公の妻」にすら、その立ち位置が考えられている。●そして周到なのがそれらを支える脚本であり、導入部では、様々な登場人物を一気に手際よくストーリーに組み込み、またその後も出し入れのタイミングが絶妙で、作品を一気に最後まで見せ切ることに成功している。またよく考えられているのは、客側の代表を、そこはかとなく鼻持ちならない存在に描写していることで、そうであるからこそ、「そういう客でも守る」従業員の職業理念の崇高さが際立っている。●そして、実は一番強烈だったのは、すべてが終わってまだ現場では騒ぎが続いている中、誰からも構われず誰も構わず、いつものようにスクーターで帰っていく主人公の姿なのです。
[DVD(字幕)] 7点(2021-11-18 01:35:41)(良:1票)
7.  エイミー(1997) 《ネタバレ》 
よくまとまってはいますし、周りの人たちの変なキャラもいい感じ(車の修理ばかりしている2人組がツボ)なのですが・・・何かいろいろちぐはぐで、素材を生かし切れていないのです。まず、母親は常時ヒステリックな割に具体的な愛情を感じる場面がなく、少女が喋れなくなったのも4分の1くらいはこの母に原因があるのでは?と思ってしまいます。歌の兄ちゃんや少年はまだしも、頑固お婆ちゃんや変な姉ちゃんと少女が打ち解けている(っぽい)のも経過不明。精神科医や児童福祉局も含めて、登場人物をちょっと詰め込みすぎちゃったのでしょう。最後は追跡サスペンスみたいになって、主題の歌やそれに伴う心理描写がどこかに行ってしまっている。そうそう、少女の歌がやたらプロっぽいのも気になりました。●ただし、最後の多視点解明のトリッキーさはなかなかインパクトあり。そう、年少者の心理に何があるかなんて、大人からは想像もつかないんです。そこに焦点を定めた点には大いに意味があります。
[DVD(字幕)] 6点(2021-09-09 01:02:16)
8.  LION/ライオン 〜25年目のただいま〜 《ネタバレ》 
映画としては、無難に、そして上品に、そして巧みにまとまってはいるのですが、それ以上の重みがありません。主人公が故郷に帰っていく過程についても、何かの旅路があるのかと思っていたら、ひたすらネットを見てるだけだったからなあ・・・。手法としてはそうでも、心理的な遍歴はもう少し何かなかったんでしょうか。主人公の彼女も、ただの彼女というだけにしか描かれておらず、ルーニー・マーラの投入がもったいない。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-03-15 00:35:54)
9.  ハクソー・リッジ
あえてライフルを拒否し、衛生兵を志願しながら戦場へ赴いた主人公・・・なんですが、一番まずいのは、肝心の衛生兵としてのトレーニングが何も描かれていないし、知識や技術についてもふれられておらず、主人公が何を身につけたのかが分からないということ。なので、そもそも何をしに戦場に行ったのかが分からない。したがって、いきなり覚醒して仲間を助け始めても、説得力がなくて、何じゃそりゃという感じなのです。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2019-03-11 00:32:01)
10.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
しかしまあ、「ただ追いかけるだけ」の作品に、ここまで壮大な手間暇をかけるとは・・・そのぶっ飛び度はまことにあっぱれです。背景の説明がほとんどないとか、無意味に登場するセクシー美女軍団とか、いろんなところで妙にずれたり歪んだりしているのにも好感です。●それと、いかにもな大迫力の映像の洪水に目を奪われがちなんだけど、随所でロングショットを挿入して、位置関係とか地形とか遠近感を把握できるようにしているところにも、丁寧さを感じます。
[映画館(字幕)] 7点(2017-06-28 02:51:51)(良:1票)
11.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
何というか、途中からはあっけにとられるほどの自己完結ぶりなんだけど、終わっていろいろ回想してみると、その循環構造こそが、ある種の出口のない恐怖を煽り立てるという、なかなかタチの悪い(褒め言葉)作品なのです。自分という存在がどこまでも拡がって、重なったり分裂したりするんだけど、それはどこまでも自分・・・というような妄想状態を具現化した1つの実例がこれ、と考えると、ちょっとぞくっとします。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-02-20 22:04:04)(良:1票)
12.  サルート・オブ・ザ・ジャガー 《ネタバレ》 
何とも不思議な作品です。ルールの説明はおろか、「リーグ」とは何ぞやとか、そもそも人々はどういう生活をしているのかとか、そういった説明は一切なし。登場人物はひたすら、殴る、蹴る、武器で闘う。試合が終われば、何かに取り憑かれたかのように次の試合へ。その迷いのなさと確信ぶりは、試合中の描写よりも、むしろその合間の移動や休憩中にこそ醸し出されています。見ているときは「え?説明それだけ?」になるのですが、そのインパクトは、見終わった後にこそ重量感をもって押し寄せてきます。あと個人的には、壁一面に並んだ貸し出しベッドがツボでした。
[DVD(字幕)] 6点(2016-12-05 00:57:21)(良:2票)
13.  美しい絵の崩壊 《ネタバレ》 
長年の友人だった二人の母親が、それぞれ相手方友人の息子と恋愛に陥ってしまう・・・となれば、どれだけ重層的な心理の綾が構築・展開されるのかと期待してしまうのですが、案に相違して中盤前には早々に互いにネタばらしがされ、全員が相互に状況を知っている状態になってしまう。あら何とももったいない。そのまま作品は何事もなかったように(!)、淡々と進行していくのですが、終盤に今度は新たな枠組みでのひねりが待ち構えています。ただ、そのラストの崩壊に突入するためには、導入部分でもっと葛藤や波乱が必要でしたね。それを抑え込んだ収束感があってこそ、終局部分の展開も重くなるはずです。
[DVD(字幕)] 5点(2016-10-24 01:21:12)
14.  華麗なるギャツビー(2013)
ラーマン&ディカプリオによるリメイク作といえばもちろん「ロミオ&ジュリエット」が思い浮かんでしまうのだが、あの古典をグシャグシャに崩しまくった「ロミジュリ」は、まあ、それはそれで面白くはあった。こちらの方は、ただひたすらゴテゴテした絵面があるだけで、一体何が作りたかったのか分からない。必然的にディカプリオも、演技力や表現力を発揮する場はなく、ただ画面内に存在しているだけ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-09-29 00:09:02)
15.  シャーロック・ホームズ(2009)
人物像が原作と全然違うのはまあ仕方ないとしても、画面の一つ一つがいちいち撮り方に慎みがなく、18世紀イギリスの気品をまったく感じさせないのです。前半でせっかく出てきた洞察力や想定力なんかが、後半は何も使われていないのも問題。つまり、テーマが存在していません。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2016-05-10 01:45:42)
16.  イエスマン "YES"は人生のパスワード
初期設定の面白さはさておき、そこからほとんど予想できるような展開だったのが、何だかなあ。あと、周辺人物をいろいろ配置している割に、ほとんど上手く機能していないのが気になりました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-31 00:42:40)
17.  ブラッディ・ガン 《ネタバレ》 
銃や馬や砂漠という彩りは完全にウエスタンチックなのですが、舞台はオーストラリアです。主人公が拳銃ではなくライフルにこだわり、遠距離からでも一撃必中を誇り、なのでガンガン派手な撃ち合いをするわけでもないところが新鮮です。また、少し触れる程度とはいえ、白人による先住民虐殺をきちんと映像化している点も興味深いですね。そろそろ終わるかなというところでいきなり主人公が完全捕獲されてしまい、どうなるのかと思ってしまいましたが、そこからの落とし方も上手く決まりました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-28 01:00:16)
18.  マッドマックス2
主人公は何のために闘っているのか?とか、敵は何でコスプレ軍団なのか?とか、根本的なところがほとんど解決されないままに終わってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-09-08 00:06:49)
19.  別離(2011) 《ネタバレ》 
●ミステリーとして見た場合は、証拠の現実感が素晴らしい。扉の位置関係、階段の汚れ、病院到着の際のやりとりなど、どちらに有利な証拠もそれなりにある。目撃証人も2人ほどいるが、どっちに有利な結果になるのか、どちらの結論にも転びそうである。見ている側も、行きつく先が見えないまま否応なく巻き込まれるという仕掛け。●ドラマとして見た場合は、各登場人物の心理のぶつかり具合が見事。どこかでバランスが壊れて破綻しそうになりながら、元に戻ったり、また別の問題が起こったりして、解決した部分とそうでない部分を残しながらラストに収束していく。その設定に応えた役者陣の演技力も特筆すべき。●伏線を随所で撒いていながら、回収しているものもいないものもある。その手法がもたらす先の見えなさが、日常生活の中での生々しい不安定性を表現することに成功している。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-07 01:46:50)
20.  マッドマックス
勝手に単純イケイケアクションを想像していたのですが、こんなに鬱々とした作品だったのですね。どうみてもカーアクションが先にありきで、それ以外の部分は付け足しです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-09-08 02:32:48)
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