1. アイリッシュマン
シネマート心斎橋へ喜び勇んで出かけました。物語は戦後米国裏社会ギャングものとしてあるある話であります。 パチーノ>ペシ>デニーロ>>>>カイテル。 ホッファを演ずるパチーノはお下品で退く事を知らない唯我独尊振りで、「パチーノと言えばスピーチ、スピーチと言えばパチーノ」面目躍如のシーンには「アル様素敵!!!!」叫びたい衝動に。いやぁ、こういうお姿を拝めただけでも鑑賞の値打ちがあります。 ブファリーノを演ずるペシは往年の狂犬の如き切れ味は無い静かな面持ちながら、絶対服従を強いる凄味は物凄い存在感。 二人の板挟みに身悶えるシーランを演ずるデニーロは流石の名演だけど、何かが物足りない歯痒さがありました。 ハーヴェイ・カイテルの影の薄さが残念なところ。 無法の限りを尽くしたギャングが心身ともに老い衰えて孤独のうちに廃れ行く姿がうら悲しい。 VFXで若返ったお顔を観ながら、70代レジェンドの面々は100まで現役を続ける事が可能である事に嬉しくなっちゃいました。 [映画館(字幕)] 9点(2019-11-24 22:16:21) |
2. あの日の声を探して
《ネタバレ》 本作で生々しく描かれているチェチェンでの攻められる側と攻める側の陰惨さは、そのまま今のウクライナで起こっている事なのですね。同じプーチンだし。孤児とロシア兵がシンクロするラストシーンが見事。ため息しか出ません。お目当てアネット・ベニングは何か思うところあっての出演だったのでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2022-05-21 13:47:06) |
3. アイム・ノット・シリアルキラー
《ネタバレ》 昼食摂りながらの鑑賞は無謀でした。即停止、仕切り直し(恥・省) ゲテモノ作品かと思いきや、しっかりとした筋立てでした。 ソシオパス≠シリアルキラー、尚且つ、妻を守る為に生きる、その為の殺戮行為≠シリアルキラー 脚本にも携わっているクリストファー・ロイドは流石の名演熱演怪演。 もんの凄いシーンには息が止まりました。掘り出し物の一品です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-04-27 16:12:07) |
4. アンコール!!
「年金ズ」の面々に、リタイアした勝ち組さんが自治体が支援するナントカ大学に入って優雅なお時間を過ごされているのが思い浮かびます。この方々が間違っても歌うことないヘビメタやセックスがどうたらは映画ならではでしょうが、アーサーならずとも「何じゃこりゃ」で白けます。冒頭のシーンで予想した通りの展開だったありきたりな物語。しかし、キャスティングが奇跡的でテレンス・スタンプとヴァネッサ・レッドグレイヴは鑑賞歴中でのベスト熟年カップル。皺くちゃになっても瞳の色は若かりし頃と同じで「血と怒りの河」「わが命つきるとも」の溢れ出ていた魅力そのままに齢を重ねた姿に感動しました。お二人に点数の全てを。 [インターネット(字幕)] 8点(2019-01-07 13:34:14) |
5. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
《ネタバレ》 会議室で起きている事件の中で決断に尻込みするリーダーの有り様が生々しく描かれており、手に汗握る展開に見入りました。80人を護る為に蔑にされた1人の命。事実を捻じ曲げた大佐の行為に正義と善の違いを痛感します。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-24 13:20:12) |
6. アメリカン・ハッスル
《ネタバレ》 絵に描いたような善人の市長を騙す事に心痛めるアーヴィンの詐欺師らしからぬ葛藤が興味深い。詫びを入れに行った際の修羅場は「裏切るくらいなら裏切られるほうがマシだよなぁ」と言った人の事が思い浮かび、司法取引の一端である他人を売って自身の罪をチャラにしてもらう制度の胸糞悪さが際立っていた。特筆すべきはデ・ニーロでワンシーンのみの登場ながら、小賢しい詐欺師どもを瞬時に抜き差しならぬ状況に追い込んだ存在感は流石。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-26 01:12:34) |
7. ANNA/アナ(2019)
ヘレン・ミレン目当ての鑑賞。綿入れはんてん着て火鉢にあたっているのが似合いそうなヘアメイクに苦笑ですが、有り余る貫禄で美味しいところを全部持っていったのは流石! キリアン・マーフィ、ルーク・エヴァンス共にいい面の皮だったのを初めとして筋立てが既視感満載だったなぁと思っていたら、エンドロールでの監督名に「やっぱりねぇ、さもありなん」 ご親切な作りで話が分かりやすく、「あれだけ人殺しといて自由に暮らしたいって、ド厚かましいクソ女」を封印して観るぶんには楽しめた作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-05 00:04:43)(良:1票) |
8. アラジン(2019)
アニメ版未見。「バグダッドの盗賊」(1940年・イギリス)に多大な影響を受けていると思われる本作。ストーリーは及ばず、映像美は79年間の技術進化で流石の迫力だけど、あの時のように心底見惚れるというものではなかった。ウィル・スミスの安定感ぶりとジャスミンの心折れない歌力に+1点ずつ。 [映画館(字幕)] 7点(2019-07-17 22:01:06)(良:1票) |
9. アブノーマル・ウォッチャー
《ネタバレ》 大家のオッチャン。変態だけど見た目は上品・善良・普通の人間、ではなく、見た目そのものがこれ以上ない程気色悪い変態。やる事もこれまた気色悪さマックスの変態。ハズレ作品かと思ったけれど、変態が暴走するだけ、ではなく、出産間近の若夫婦の不倫ドラマが上手く絡まり合ってなかなかの見応え。旦那の浮気現場(そもそも自宅に引っ張り込むのはアカンでしょ)を覗き見するオッチャンの表情が何とも言えない気色悪さ。怒っているのかそそられているのか。迷宮入りしてしまうっぽい展開に無理筋を感じた矢先のラストショット。オッチャンの満面の笑みに驚愕。この結末も無理筋そのものだけど記憶に留まりそう。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 20:35:04) |
10. あなたの旅立ち、綴ります
御年83歳シャーリー・マクレーンの画面に映える美しさは驚異的。この所お馴染みのクセが凄いキャラクターも貫録で演じています。仕事一筋、友達はお金だけ人間がふと味わう寂しさが滲み出ていた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-23 23:54:00)(良:1票) |
11. アル・パチーノ ブロークン 過去に囚われた男
《ネタバレ》 全編にわたって出ずっぱりのパチーノ。ゴッドファーザーⅢを遥かに上回る黄昏感に満ちており、まさかの台詞「World is yours」に何とも言えない思いに。救いのある結末であっても心晴れることのない作品。パチーノファンの方なら一見の価値はあるのでは。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-30 16:12:08) |
12. アリスのままで
50歳を過ぎてから人や作品の名前が出てこない、仕事中に「今、何をしようと思いついたのか?」が数分後に思い浮かぶ事があり「若年性のアルツやわぁ」と笑いを取ってるのですが、本作は笑い事ではなく、築いたものが少しずつ失われてゆく恐怖のリアルさに身につまされるものがありました。家族のありかたも含めて奇をてらわない誇張のない演出とジュリアン・ムーアの表現力が見事。監督の思いを代弁したかのようなスピーチが胸に沁みます。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-21 23:21:25) |
13. アルゴ
《ネタバレ》 実話ベースという事で、珍作戦なれど007やMIPとは違う現実味があった。飛行機がイラン領空を出るまでヒリヒリする緊張感に包まれ、結末にホッとするものの、彼ら6名が残されている同僚の事を案ずるシーンが一度たりともなかったのが減点。 [DVD(字幕)] 7点(2016-05-02 19:55:14) |
14. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 アリの一穴から大惨事へと。多くの命が失われるであろう惨状が想像出来る列車の凶暴さがひしひしと伝わってきました。めでたいラストですが、見ていてこっぱずかしくなりました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-24 03:26:24) |
15. 明日に向かって笑え!
2001年、農協設立の為に募った出資金158,653ドル。皆のなけなしのお金を銀行とつるんだ男に奪われる。そこには預金封鎖が絡んでいて、アルゼンチンの方々には身につまされるお話かと。アルゼンチン版オーシャンズ11という宣伝文句ではありますが、今作の奪還作戦はスタイリッシュとは無縁。でも、勇敢なバカは人生を切り開く、を示した一致団結で前進するジリジリ具合が見応えありました。ピーター・オトゥール、オードリー・ヘップバーン登場にリディアの後押しを感じてしんみりと。 悪方2人の描写が淡泊、単純な物足りなさを割り引いても、まずまず楽しめた作品でした。 何とか捻り出したかのような邦題に苦笑。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-05-11 14:47:59) |
16. PITY ある不幸な男
本編とは無関係ながらギリシア(ポーランドじゃないよね)の海の色の得も言われぬ美しさに+1点。 本郷功次郎を思わせる弁護士の怪演、全編通してニコリともしないアップショットが普通じゃ無いと思えるものでした。 大変ヅラ・しんどいヅラ・忙しヅラ・被害者ヅラは世間に溢れていますが、弁護士の不幸ヅラは強烈でした。 不幸の本質が明らかになってゆき、予感を超えた結末に、いくら映画でも絵空事過ぎるのが何だかなぁといったところ。 音楽の使い方も今一つに感じました。 [DVD(字幕)] 6点(2023-03-06 00:55:59) |
17. 悪なき殺人
5人の男女それぞれの視点で章区切りに描かれ最終的に全員が繋がりを持っていた脚本はなかなかお見事。ただ、愛しても愛して貰えないやるせなさが深みを持って描かれてなく「そういう事だったのか」以上の感慨の無い作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-12-15 16:45:12) |
18. アトミック・ブロンド
リスト奪取と二重スパイの発見というありきたりな筋立ての中で主人公が如何なる魅力を発揮するか。シャーリーズ・セロンはアクションはもとより決して腹の内を見せないエージェントを好演しています。こだわりのアクションに見合ったストーリーをと思ったのでしょう。「三十九夜」が浮かんだスパイグラス(エディ・マーサン 好演に+1点)が目を惹いたのですが、詰め込まれ過ぎた話に集中しようとしても彼女の大立ち回りに阻まれて分かろうとするのを諦めました。キレッキレアクションが持ち味のソフィア・プテラとの一騎打ちを期待していたのですが。どういう意図でああいう関係にしたのか意味不明です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-05-02 02:51:44) |
19. 雨粒の小さな歴史
ストーリー的には見るべきものがあるのですが、役者の目つきを始めとする演出のジットリへばりつくような重苦しさに耐えての鑑賞でした。大学生の自主製作というのが驚きで、その才能に敬意を表して+2点です。 [DVD(邦画)] 6点(2020-11-29 01:49:34) |
20. アイロ 北欧ラップランドの小さなトナカイ
ラップランドを舞台にアイロと名付けられたトナカイ誕生からの1年が描かれたネイチャードキュメンタリー。雪の上に生れ落ち、5分で立ち5分で歩き5分で泳ぎ走らなければ生きてゆけない、半数は生まれて1年以内に死んでしまうというのに驚きです。静寂を湛える大地でトナカイをはじめ、グズリ、オオカミ、キツネ、リス、オコジョの営みが愛らしい。どうやって撮影したのかと驚く映像美に癒され、寒くて引っ張り出してきた毛布にくるまった暖かさに有難みを感じているところです。 [DVD(字幕)] 6点(2020-10-19 10:45:55) |