21. アレックス
《ネタバレ》 色々な意味で不快な映画。 悲劇をそのまま描写すれば、平凡なドラマも自動的にリアルで素晴らしいテーマ性を備えると思っている監督の安易な発想。そして、その脚本の弱さをカバーするためと、「幸せであった時期を強調するため」だけに採用されているであろう、必然性の薄い時間軸の逆転。手持ちカメラで撮ったり、グルグル回転させてりゃ、その場の臨場感や酩酊感を誘うと勘違いしている鬱陶しいだけのカメラワーク。 すべてが安易な方法論ありきで作られた映画で、本当の意味でのリアルな物語を撮ろうとする動機や衝動が感じられない。 [ビデオ(字幕)] 0点(2006-06-17 01:02:57) |
22. 穴(2001)
《ネタバレ》 残念ながら色々な意味で期待はずれ。良かったのは導入部の演出だけ。あの叫ぶシーンがあまりにもインパクトがあったので、もの凄く期待して見始めたのだが、まるで期待していたような展開ではなかった。 前半はミステリー的な展開なのに、後半、真相に近づくほど話が矮小化し、下らないサスペンスホラーに堕していく。そもそも、自分が鍵を隠していたことを言い出せなかったとは言え、あそこまで状況が逼迫するまで言わないというのはどう考えても無理がある。 [ビデオ(字幕)] 3点(2005-10-19 19:55:31) |
23. AKIRA(1988)
原作共々、リアルタイムで見てきた世代としては、その病的なまでに描き込まれた緻密な絵柄と、底の読めないストーリーには非常にインパクトがあった。 勿論、今見ても、その独特な終末的世界観の雰囲気やリアルなキャラ描写、目に見えない超能力の表現の上手さなど、世界に誇れる作品である事に疑問の余地はない。 ただ、根底にある「人類進化の可能性」というテーマが少々大仰過ぎたため、一見さんには何が言いたいのか伝わりにくかった事と、アニメ化する上で二時間枠の中で言いたい事をすべて詰め込むのは無理があったというマイナスが大きい。 あまり難しい事は考えずに、金田と鉄雄の友情物語として見た方が楽しめるかも。 [映画館(字幕)] 8点(2005-10-01 09:54:03) |
24. アサシン(1993)
無難に出来ている作品ではあるけど、「存在を抹消された人間が、裏の世界で殺し屋としての第二の人生を歩む」とか、「その任務の過程で恋に落ちる」とか、「愛する人と任務のどちらを選択するのか」とか、どこかで一度は見たような、よくある設定。良くも悪くも、始まりから終わりまで、すべてがお約束と予定調和の集合作品。 それが悪いとは言わないけど、全体的にやっている事が生温く、表沙汰に出来ない危険な任務に携わっているという緊張感や、組織の非情さが描かれていないので、普通の女性としての束の間の幸せと、それを失わなければならなくなった時の辛さや悲しみがイマイチ伝わって来ない。 恋人役の男にも何か秘密があるのかと思えば、本当にただの一般人で、ラストなんて完全にほったらかし。別れた後も、「何だったんだよ、あの女。トラブルに巻き込まれなかったから、まあいいか」みたいなノリで淡白すぎる。 お目付け役の男のラストシーンも、組織の掟と愛の狭間で、去っていく彼女を殺すかどうかの苦悩や葛藤をもっと描いて欲しい。一度は背中に銃口を向けるが、やはり撃てずに銃を収めた上で「彼女は死にました」と報告させないと。 もう少しキャラ描写とストーリー展開に深みが欲しい。 [地上波(字幕)] 4点(2005-09-12 03:15:00) |
25. アリス(1988)
ルイスキャロルとシュヴァンクマイエル。これほど相性が良い二人もいないでしょう。まさにシュールレアリズムの極致。特に「不思議の国のアリス」の不条理な世界観には、シュヴァンクマイエルの持つ不安感、強迫観念を内包した作品世界とも共通する部分が多い。グロテスクでありながら、どこかユーモラス、そして残酷な「子供の夢の世界」に遊びながら、自己との対話を果たす、そんな大人のための映画。ただ惜しむらくは、間延びするシーンが多い点。もう少し原作のエピソードを増やし、テンポを良くすれば極上の一品になっただけに残念。 [DVD(字幕)] 9点(2005-06-05 03:00:32) |
26. アナコンダ
これ、以前にビデオで見てたのすっかり忘れてて、テレビ放送もしっかり見てしまった(w。つまり二回も見ている訳です、オレは。 まあ、この手のB級映画としては割と丁寧に作ってあって、見ている間はそれなりに楽しめる。アニマルパニック映画(?)の系譜としては及第点。 ただ、さすがにストーリー展開もオチも何もかもが、あまりにも予想通りで、笑っちゃうほど。はっきり言って、時間つぶし以上の価値は無いです。二回も見ている訳ですが、オレは。 [地上波(吹替)] 4点(2005-05-21 22:08:48) |
27. アビス/完全版
《ネタバレ》 深海版「エイリアン」かと思えば、深海版「風の谷のナウシカ」でしたね。 「自然愛」というあまりにもストレートで単純なテーマが幼稚だし、今どき、「人類こそが地球にとっての寄生虫」で、それを「人類以外の存在」が滅ぼすというストーリー展開も陳腐。 ラストで巨大な宇宙船(?)が海中から上がってくるシーンでは、「♪らんらんらららんらんらん~」というBGMが聞こえてきそうでした。 あと、完全版を見たから当然かも知れませんが、無駄に長すぎです。 4点(2005-03-07 17:47:40) |
28. アメリカン・ゴシック
《ネタバレ》 館の住人の異常性は演技の巧さもあって、鬼気迫るものがあり、生理的な嫌悪感を見る者に与える。ただ、基本的にやっている事は、よくある「殺人鬼ホラー」のパターンと何も変わりは無く、全体的に展開がスローなのでイマイチ退屈。 あんな孤島に住んでいる地点で普通じゃないと分かるのに、この手の映画のお約束として、襲われる男女が不用心過ぎる。 ラスト間際のダークな展開もちょっと狙いすぎな感じ。あの女性が狂うのが唐突過ぎじゃない?それまでの伏線(赤ちゃんを死なせてしまったトラウマ)も露骨だし、設定のための設定という印象が強い。 PS.ところで、飛行機って何で無くなってたんでしたっけ?近くで留守番してた人も。あの住人に殺された? 4点(2005-02-26 21:40:29) |
29. 穴/HOLES
空から靴が降ってきたり、主人公の家族が「靴の匂い消し」の発明に躍起になっていたり、無数の穴を掘らせる矯正施設に入れられたりと、最初はそのシュールな展開から、単なる不条理コメディかと思っていたが、少年達に穴を掘らせる行為にはちゃんと理由があるし、登場人物の繋がりや伏線も考えられていて、それなりに楽しめるものになっている。あまり感動という側面に押し付けがましさを感じない点が好印象。 ただ、どの作品にも言える事だけど、この程度の内容なら、もう少し時間を短めにして欲しいところ(90分前後)。テンポが悪くなっている場面が多々見受けられ、無駄に間延びしてしまっている。 5点(2005-01-08 06:55:01) |
30. アンデッド
《ネタバレ》 期待ハズレ。まさか、おバカ映画とは思わなかった。それにしても皆さん、おバカ映画に理解があるんですね~。個人的にはおバカ路線でも良いんですけど、どんなジャンルでも、やっぱりやってる事が中途半端な作品ってのはダメですね。何でも徹底すべき。 この作品もホラーに対する愛は感じるものの、真面目さとおふざけの味付けが中途半端で、どっちがメインなのか分からなくなっている気がします。おバカで行くなら、とことんおバカに徹してくれれば良いんですが…。 例えば、こんな「宇宙人オチ」をまともに持ってくるなら、最終的にもっと破綻させて欲しいんですよね。地球を救いに来た宇宙人までゾンビになってしまうとか、それを見ていた仲間の宇宙人が「ダメだコリャ」とか言って、地球を丸ごと破壊して去っていくとか。それでもゾンビは死なないので、ゾンビが宇宙全域に散らばっていくという、スペクタクルかつファンタジックな終わり方にするとか(笑)。どうです?より、壮大におバカじゃないですか? 3点(2005-01-06 08:37:30) |
31. アンスピーカブル
《ネタバレ》 また自分で登録しておいて言うのも何ですが、色々な意味で微妙な作品。 犯罪者のデータを収集しようとする女性犯罪研究家と連続殺人鬼の心の交流を描く、ほのぼのサスペンスドラマ(笑)。 「ブレインスキャン」という、人間の脳内の記憶を映像化するというSF並のハイテク装置が出てきますが、これがまったくストーリーとの繋がりに欠ける設定。またサスペンスとしては、「連続殺人鬼の動機」という点が見所のひとつでしょうが、結局、宗教色の強い抽象的な動機へとスライドしていってしまいます。 全体的に作品としての方向性が定まっていないというか、オカルト要素と科学捜査による論理性との整合性が取れていない内容。 PS.ちなみに私が間違えてこの作品をレンタル屋で2回借りてしまったことはアンスピーカブルです。 4点(2004-10-08 02:32:13)(笑:1票) |
32. 悪霊喰
「罪喰い」としなかったのは、日本人にはピンと来ないイメージになってしまうからでしょうか。ジャンル的にもホラーとは言えませんね。もう少し、主人公の「罪喰い」として生きていかなければならない葛藤や苦悩を中心に描いて欲しかった。いまひとつ「凄絶さ」に欠けてます。「罪喰い」の作り方(?)や存在理由に関わる部分に、人間の弱さや欲望を肯定するような必然性が弱いです。「人間でありながら人間を超越した者」としての凄味も感じられません。その辺の演出がイマイチ。「ベルセルク」でも読んで勉強しましょう、監督さん。二時間無いのに、それ以上に感じてしまうテンポの悪さと、中途半端な安っぽいCG演出もマイナス。 4点(2004-09-20 09:53:36) |
33. アンタッチャブル
映画的誇張もあるだろうが、これが実話に基づいているというのが凄い。「私よりも公」、「利より理」という高潔な精神性は「武士道」にも通ずる部分が多い。義に生きた彼らの行いは、ただ生きていることよりも、もっと価値のあるものがあるということを教えてくれる。 8点(2004-07-14 23:25:35) |
34. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 惜しいな~。全体的に退屈させないテンポの良さや、陰鬱な雨の中で繰り返される動機不明の殺人等、先が読めないサスペンスフルな展開は最高。ただ、それも途中まで。オチがよくある多重人格モノのワンオブゼムで、脳内妄想と知ってからは真面目に見る気が失せてしまった。「嵐の山荘」系ミステリーの大好きな自分としては、本格系を期待していただけに、論理的解決を必要としない、ああいうオチには正直ガッカリ。また、他の方も言ってますが、他人の人格の中で行われていることなのに、残った人格が殺人者でないという、心理学者の判断が曖昧でいい加減。肝になる部分だけに、ここら辺の検証はしっかりとして欲しかった。結局、ラストもこれまたよくあるアンハッピーエンドのパターンで、「あ、やっぱりね」って感じ。もうひと捻り何かが欲しいところ。ネタバラシまでは8点、その後は4点で、平均して6点献上。 6点(2004-06-27 01:59:36)(良:1票) |
35. ア・フュー・グッドメン
法廷ものとしては複雑過ぎず、簡単過ぎずでバランスが良く、安心して見ていられるが、その反面、各キャラを活かし切れていない中途半端さもある。特にデミムーア演じる少佐と、もう一人の男(笑)の存在理由が薄く、実質、これと言った活躍をしていない。自ら名乗り出ていながらさっさと自殺してしまう中佐のイベントも意味不明(自らの信念に反すると思うからこそ、証言台に立とうとしたんじゃないの?)。ただ、それぞれの登場人物が事件を通して、それぞれの立場に拠った信念とプライドをぶつけ合う姿には心打たれる。博打のようなディベートによって、大佐を追い込んでいく展開もドラマチック。特に、「上官の命令は絶対である」→「手を出すなと厳命した」→「ならば暴行が行われたはずがない」とする論理展開が秀逸。 7点(2004-06-14 17:16:48) |
36. 青の炎
《ネタバレ》 <原作は途中挫折> やはり内容的に暗すぎる。こういう救いの無い悲しい話は、泣けても「感動する話」とは次元が違うし、ひたすら鬱になるだけなので苦手。そのくせ何が言いたいのか、いまいちテーマがはっきりしないというのも気になるところ。最大の難点はラスト。あそこで自分が死んでも、家族を苦しめる結果になるのは変わらないんだから、それなら生きて自分のしたことの正統性を法廷で述べ、そして罪を償ってから家族のために第二の人生を歩むという、多少は救いのある終わり方にして欲しかった。また、恐喝してくる同級生が出てくる辺りからドラマも安っぽくなっていく。いかにも計画を破綻させるためだけの存在という感じで、ミステリーやサスペンスとしてもつまらなくなっている。 4点(2004-03-19 22:25:50) |
37. アルマゲドン(1998)
一流の駄作。何から何まで出来レースのような脚本に興醒め。途中に何度も訪れる機械類のトラブルや爆弾の解除など、まさにその典型。トラブルのためのトラブルにしかなっていない。ストーリーの途中で爆弾が出てきてタイムリミットが迫ったって、何の緊張感も伝わらない。結末が分かりきっているのに見せられる時間稼ぎのシーンとあまりにも安易な感動の押し売りには、ほとほとウンザリ。アメリカには「自己犠牲の精神」を語って欲しくない 。 1点(2004-03-06 12:07:35)(良:1票) |
38. 悪魔のいけにえ2
チェーンソー専門店があるのがスゴイ。あと、車載電話が出てきたのにビックリ。「2」って、意外と新しい作品だったんですね。内容的には完全に前作の自己パロディ。まさに笑いと狂気は紙一重。 6点(2004-02-21 11:41:50) |
39. 悪魔のような女(1996)
何ともフツーのサスペンスミステリー。ラスト辺りのどんでん返し(と言うほどのものでもないけど)もオーソドックス過ぎて、コメントのしようがないくらい。リメイクらしいけど、もう少し現代風にアレンジしようよ。さんざん引っ張っといて、あんなオチでは…。 3点(2004-01-12 18:55:29) |
40. アメリ
独特な演出センスが光る作品。特に絵本や絵画のように美しい色合いを意識した映像は一見の価値がある。内容的には色々な解釈ができるだろうが、私としては好意的に、「人の出会いや運命なんて、ほんの些細なことでどうとでも変化してしまう。だから前向きに行こうよ」と解釈した。確かにアメリのやっていることは、見方を変えればほとんどストーカーで、不法侵入といった犯罪行為もしている。だが、そう解釈してしまうとひたすらつまらない自己中心的な社会不適応者の女の話でしかなくなってしまう。ここはやはり、「運命なんて自分も他人も含めて、たいしたことないんだ。だから気軽に生きていこう」と解釈すべき映画でしょう。 7点(2003-10-13 14:26:20) |