1. i 新聞記者ドキュメント
《ネタバレ》 権力と物理的に戦う森達也を見たかった。官邸前を警備するお巡りさんとのやりとりには一触即発の緊張感が無く、森達也につっかかっていく市民も見当たらなかった。『311』で遺体収容現場にカメラを向けて、遺族の方から木っ端を投げつけられた森。『A2』でオウム真理教追い出しデモ行進に参加する市民に不躾な質問して「あんたオウム真理教の人?」と怒られた森。こういうのを見たかった。 願わくば、総理官邸に入りたいとお願いする森に「転び公妨」する警察官と、死んだふりする森達也、まさに『A』での伝説のあのシーンを自分の身を捧げて再現してほしかった。 さすがにそれができないならば、せめてあのアニメーションで転び公妨する警察官を描いてくれれば、往年の森達也ファンは手を叩いて笑っていただろう。 [映画館(邦画)] 7点(2020-03-30 15:26:37) |
2. アルキメデスの大戦
《ネタバレ》 冒頭のヤマト撃沈シーンは、『プライベートライアン』をほうふつとさせるくらい、まるで自分もヤマトに乗っているような、まるで自分もヤマトに爆弾落としているような臨場感。これをオープニングに叩きつけたうえで始まる、海軍のおっさんたちの闘い。 会議室での口汚いののしり合いと櫂の数学トークが混ざり合い、スリリングでさながら『12人の怒れる男』のようでもあった。 映画ラスト、山本によるヤマト論には大いに頷かせられた。確かに山本の使命感のおかげで、今僕はこうしてのほほんとフェースブックやれている。それもこれもヤマトの撃沈のおかげなのだろうか。うーん、ちょっと後出しじゃんけんにも思えるが、美しい後出しじゃんけんだ。 そう思うと、山本の「それがどうした」のあとの弁解も、やっぱり後出しじゃんけんに聞こえてくる。フィクションだから構わないけど。 重要なことは、彼らの思惑は80年前の古いものではなく、まったくもって現代の私たちにも当てはまるということだ。言うまでもなく、ヤマトは東京2020大会のメタファである。 人は過ちを繰り返す。しかし繰り返さないようにいろいろ頑張ることはできる。私たちはこの映画をはじめ、いろいろなコンテンツで歴史を学ぶことができる。さて私たちはヤマトから何を学ぶのか。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-30 15:03:16) |
3. アメリカン・スナイパー
《ネタバレ》 日本人は、今起きている戦争と対面するためには、テレビのニュースやユーテューブでしかない。そもそも対面しようとする日本人が少ないと思う。そんな我々が今の戦争を論じるなんてちゃんちゃらおかしい。まして集団的自衛権だとか。 しかしこの映画を観ると、今起きている戦争の現場の様子が大音量で大画面で描かれるものだから、テレビやユーテューブで知ったつもりになっている自分が、井の中の蛙であることを暴かれた。シャレにならない殺戮と葛藤と緊張が、現場では毎日繰り広げられていると思うと、いてもたってもいられなくなった。けれども、特に何もしない。 [映画館(字幕)] 8点(2015-03-04 00:55:25) |
4. ありふれた事件
《ネタバレ》 フランス語って野蛮だな。 [DVD(字幕)] 7点(2014-09-23 00:35:54) |
5. 愛の渦
《ネタバレ》 体を交わしていくうちに、それぞれの内面が浮かび上がってくると、即席で人間関係が醸成され、生々しい愛憎劇が発生する。しかも場所が場所なので、かなりデリカシーがゼロレベルな愛憎劇。我々観客も映画館でタオル一枚になるとより臨場感を持ってこの映画を楽しめたと思う。 朝になって、カーテンをバーッと開いて朝日に照らされて、恥ずかしがりながら服を着始めるところが泣ける。しかしせっかくマンションの一室のみで進められた密室劇なのだから、ラスト、ファミレスのシーンとか無くしてしまってよかった。あの朝日で十分。 脚本としては、エピソードがややつながっておらず、単発の短いクエストを一個一個クリアしていっている感じだったので、物語としてのダイナミズムは物足りない。次はメンバーを入れ替えて愛の渦2,3、・・・を撮ればよい。設定はそのままで脚本家はその都度公募するかんじで。 [映画館(邦画)] 6点(2014-08-18 23:42:08) |
6. 悪の教典
《ネタバレ》 猟銃で高校生をバカスカ打ち抜く映画なんだけど、撃たれた高校生が死んでいるように見えない。至近距離で猟銃なんだから、しかもアクションコメディなのであれば、『キルビル』や『地獄でなぜ悪い』や『ブレインデッド』よろしく盛大にやってほしかった。けれども命乞いする高校生を何のためらいもなくぶっ殺していく様子は、スカッとした。前半、もっと高校生たちを憎らしく(もしくはいとおしく)描いてくれれば、それらが殺されていくさまにエクスタシーを覚えただろう。 [DVD(邦画)] 5点(2014-05-21 01:08:48) |
7. アナと雪の女王
《ネタバレ》 エルサもアナも、とてもいとおしい。だからデレデレして9点あげたくなるが、問題提起と問題解決が唐突、安易だったから1点下げる。エルサもアナも悪くないんですよ。 「ありのー、ままでー」はもちろんそれだけで十分良いんだけども、この映画では2度歌われることでより一層泣ける。 一度目、暗い山奥で氷の城を作る時。これは決して喜ばしいシーンではない。むしろ孤独の歌であり、逃避の歌だ。 しかし二度目、エンディング、この意味が180度覆される。エンドクレジットで再び歌われると、なんと、自分の(エックスメンのような)特殊能力を「ありのままで」受け入れて生きていく決意とその歓喜の歌と昇華する。 また、「雪だるまつくーろー」も超効果的。オープニングのちびっこの頃のかわいらしく歌われているとき、このときは姉妹のなかよしのシンボルとして歌われる。で、いろいろあって、解決して、最後この歌のメロディがファンファーレのように響き渡る! これぞミュージカル。これぞディズニー。 [映画館(吹替)] 8点(2014-04-25 23:50:24) |
8. アクト・オブ・キリング
《ネタバレ》 アンワルは、最後嘔吐する。しかしアンワル以外にも虐殺した英雄たちは登場していて、彼らは結局、この映画ではなんの悔悟もないまま逆ギレどころか本気で正しいことをしたんだみたいな感じで終わっている。彼らを嘔吐させることはできなかった。 なお、現在もインドネシアには民兵組織「パンチャシュラ青年団」てのがあって、この集団はいまだに共産主義者殲滅を叫んでいる。殲滅の根拠は当時と変わらず「共産主義者は残虐だから」である。現代のはなしであることにぞっとする。こいつらまたやらかすんじゃないか。 そもそも、「人が人を殺す様子を再現した映画」にこんなにも群がり連日満員御礼となる我々だって同じだ。 虐殺を追体験したいんだ。ヒットすればするほど、それが正しいことになる。もっとヒットして、ランキング1位になって、王様のブランチでリリ子が嬉々として紹介するといいさ。 ラストのアンワル、嘔吐するが、あれは演技なのかもしれない。階段を上がっていく時なんかも、カメラはきちんと構図を考えていて、つまり「これから階段を上がるシーンを撮ります。よーい、はい!」って言ってアンワルは上がり始めているに違いない。つまりこの階段を上がる様子は、演技なんだ。そうやって上がってきた屋上で、おええええーってやられても、なんだか演技臭さがすこーしあった。ちょっとばかし盛ってない?って思った。それでも十分見ごたえある”演技”だったから、映画としては成功だ。 [映画館(字幕)] 9点(2014-04-20 23:49:24)(良:2票) |
9. 悪人
《ネタバレ》 「良い人たち」と、「悪い人たち」とを安易に二分する排中律は可能かと疑問ではあるが、道徳感がじりじりと刺激されて心地いい。 [DVD(邦画)] 8点(2011-11-06 22:28:45) |
10. アンチクライスト
《ネタバレ》 おもいっきりR18指定な映像は、とてもいたいけな子どもには見せられたものではない。それは認めるけども、僕はまだまだ物足りない。というのも、上映前に断りを入れていたが、局部については画像修正を加えているのだ。上映できるようになっただけありがたく思うべきだが、あのボカシはおおいにクオリティを損なった。決してエロ目的でなく、クウォリティ。 サイコパスを起こした女が、自分の子供を虐待し、森の奥の山小屋で殺害し、穴に埋めた、その自責の念。それとセックス大好きな性欲の念。この2面を表裏として、美しくもおどろおどろしい森の中でむき出しにしたシャルロット・ゲンズブールの渾身の演技。それを鬼の演出でひねり出させ、カメラに収めることに成功したラースフォントリアーが、なんともそら恐ろしい。 [映画館(字幕)] 8点(2011-04-07 20:39:03) |
11. あの日、欲望の大地で
《ネタバレ》 『めぐりあう時間たち』のような構成の、母、その娘、その娘の3代にわたる愛を渇望する女たちの物語。非常にうまくできている台本で、現在、過去、過去の過去が、まるで切り絵細工のように並べられている。後半いよいよそれらの散逸なストーリーが収斂されていく。あー、つながってきたなあーと思った矢先、衝撃の事件の真相がむき出しにされる。 昔母は濃厚で壮絶な不倫をしており、密会場所の事故で母は死亡。その娘も現在、行きずりの野郎どもと付き合いまくっている。そんな自分が嫌なのだろう、自分の娘にはこのヤリマンの血が引き継がれないようにと、娘を産んですぐに行方をくらます。そんな生き別れをせざるをえなかった主人公が、ラストのラスト、娘と和解し、夫の元へ足を進める。久しぶりに、99の絶望の中に光る1の希望を感じる映画であった。 [映画館(字幕)] 9点(2010-01-11 23:29:05)(良:1票) |
12. アバター(2009)
この映画は今後の3D技術のお手本となる映画であろう。言ってしまえば「カタログ」である。世界中の映画監督や映画技術士はこの映画を観て、「なるほど、こういう風に使うとこういう風に効果あるんだな」と片方の眉毛を引きつらせるのであろう。 そう考えれば、「カタログ」にふさわしい非常にシンプルなストーリーだったと言える。そのくせ、屋内、森、空、人物アップ、小道具、爆発、高速移動、暗闇でのスポットライト、そのほかいろいろなシーンでの3Dの使用例を例示している。この「カタログ」を参考に、今後多くの3D演出が開発されていくと思う。5年はもつと思う。 [映画館(字幕)] 9点(2010-01-09 12:44:41) |
13. 悪夢のエレベーター
《ネタバレ》 やはり復讐は映画を面白くするねえ。 女のひとが皆きれい。 [映画館(邦画)] 7点(2009-12-07 23:38:18) |
14. 愛のむきだし
《ネタバレ》 ものすごい映画を観てきてしまった。つかこうへいや唐十郎の演劇を見ているかのような体力を消耗する映画。始まって200分くらいたったころの、満島の聖書を読み上げるシーンが至高。ベートーベンがいい。 [映画館(邦画)] 10点(2009-03-27 00:57:08) |
15. ア・ダーティ・シェイム(2004)
醜悪。 [DVD(字幕)] 2点(2009-01-06 01:01:00) |
16. Avalon アヴァロン
《ネタバレ》 うーん、監督の言いたいことはわかるし楽しんでいるつもりだが、実写じゃなくていいんじゃないの。 [ブルーレイ(邦画)] 8点(2008-12-31 03:56:50) |
17. アヒルと鴨のコインロッカー
《ネタバレ》 おもしろかった。復讐ってきもちいい。やっぱり魅力的な女って、どこかヘンなところがある。 [DVD(邦画)] 9点(2008-12-31 03:33:52) |
18. アフタースクール
《ネタバレ》 まあ、騙されますが、うーん、その場の思いつきの騙しあいのような感じがして、途中から「どうせまただまされるんだろ?しんじねえよー」ってひねくれてしまい、素直に楽しめなくなった。そしたら話の関係が良く分からなくなってきてしまい、なかばどうでもよくなってくる。『キサラギ』のような、幸せになれるトリックではなかった。 ただ、田畑智子の唇と出会えたことが、なにより。なにより。 [映画館(邦画)] 6点(2008-05-31 01:03:21)(良:1票) |
19. 相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン
《ネタバレ》 ドラマ未見のままこれを見たのですが、水谷豊の役作りはどうも僕には合わない。ラストも西田敏行を死なせて、なんかお涙ちょーだいな空気になってしまっが、僕は引く。 [映画館(邦画)] 6点(2008-05-31 00:49:37) |
20. アタック・オブ・ザ・キラートマト
《ネタバレ》 きっとこの映画はそうやってまともに鑑賞してはならない映画なんだろう。終末観が無いということは、そのナンセンスな世界を楽しめということなんだな。 小汚い映画館でガハガハ笑いながら、「オーマイガー!」と呆れながら観るのが良いのだろう。深夜ひとりで自宅でDVDで観るものではない。 ただし秀逸なシーンが2つほど。1つは海でヨット遊びする人々に襲いかかるトマト。まるで『ジョーズ』のパクリだが、暗い海水にトマトの赤がキレイに映えた。滑稽だが不気味ではない。 そして2つめはオープニングのテーマ曲。行進曲チック。 ♪アタ~ッ!オブザキラーとめぃっとぅ! アタ~ッ!オブザキラーとめぃっとぅ! これは聴く価値あります。 もう「トマト」とは言えなくなります。「とめぃとぅ」です。 [DVD(字幕)] 4点(2008-05-31 00:26:03) |