1. アナイアレイション -全滅領域-
《ネタバレ》 アーティストな才能をもった宇宙人が地球上に壮大なインスタレーションを創作しようとする映画。 ほんと、この宇宙人すごくアートの才能あるよ。 シマーというアトリエの中では、美しい花々をひとつの株に咲かせるという斬新な作品、人間の形をした植物という作品…。 廃墟となった基地の中には、人間の体を破壊していろいろな素材で飾り立てた華麗なるウォールアートを残し、 灯台は灯台の色であるオフホワイトに合わせて、オフホワイトを基調としたコケのようなものを漆喰のようなもので装飾している。 浜辺のガラス状の樹々は美しく、ヴェントレスおばさんの口から出てきたイルミネーションアートもなかなかのレベルだ。 人間の声をまねる熊さんや、生まれたての超合金みたいな宇宙人がレナやレナの夫の見た目をまねて見た目も動きも本人になっていくという行為は、地球上生物へのオマージュだろう。 灯台の中でレナとあらゆる動きをシンクロさせている様子は、アヴァンギャルドな舞踏芸術。 そう、この宇宙人は、地球にやってきてアートで一旗揚げたかったのだ。 ただ、描写していることに一貫性がないのがいまひとつ。 生き残ったはずのレナの夫はオマージュ作品だが、レナもどうやらウィルス感染みたいに、宇宙人に体をのっとられている。 オマージュ作品を作るプロセス(あの鋼鉄みたいなボディから人間に変化する)だけでなく、ウィルス感染みたいなことも起きていて どっちつかずになっている エイリアンみたいに卵から産まれたフェイスハガーが人間の顔にくっついたらお腹からエイリアン生まれちゃう、とか、 ゾンビ映画みたいにかまれたり血を体内に入れたらゾンビになっちゃうとか、プロセスは印象的なものを1つだけに絞らないと、 全体のまとまりがよくないです。 ビデオの中でお腹の中に蛇らしきものが蠢く映像が映っていたが、エイリアンみたいにお腹に謎の生物が寄生するという現象を見せておいて、その後同じ現象が誰にも起きないってのも、じゃぁなんのために「後から来る隊員へ」なんて書いてわざわざメモリーカードを残すのかっていうことになります。 そこをきちんとやっておけば、アート好きな宇宙人が地球で個展を開こうとして奮闘しているドラマなんだなと受け止めることができたのに、残念です。 (とりあえず、宇宙人となったレナ夫と、宇宙人に体をのっとられたレナは 宇宙人のアートの才能を受け継いで、今後は夫婦でアート作品を続々と作り出して、世界的に有名なアーティスト夫婦として知られることになるでしょう、たぶん。) [インターネット(字幕)] 4点(2021-06-24 08:31:46) |
2. 嵐の中で
《ネタバレ》 ヒロインのベラは夫ダビドとラブラブ。娘グロリアもかわいい。幸せいっぱい。 でも、その世界では、20年前にある少年ニコが、近所のおっさんの妻殺し現場を見てしまい、あわてて路上に飛び出して車に飛ばされ死をとげている。 ところがある嵐の夜、ベラは古いTVとカメラを通して、そのニコと対話できちゃう。 「今外に出ちゃだめ!死んじゃうから!ダメ!絶対!」と死を回避させちゃう。 設定は無茶ですけど、結果としてニコ少年は死ななかったが、ニコ少年が死ななかった世界(厳密にいえば、ニコ少年が死なないままニコ青年に成長し、そしてヒロインと結婚してるという展開になってる、トンデモな平行世界)で 死なないで済んでそのまま大人になったニコと暮らしていた、平行世界の別の自分と入れ替わっちゃう、もとの世界のほうのベラ。 なんで結婚してるの? と思ったら、ニコ少年はTVを通して見た20歳くらい年上の女性(ベラ)を慕って いつまでも駅のホームで待っていたのだ。 その駅は、古いTVを通して話した彼女の背後に見えた駅名が書かれた看板(盗んだもの笑)のあった駅だったから、彼女とつながるものはそこしかないと信じ、そこで待っていたのだ。 彼はやがて30近くなる。すっごいイケメンに。 (そして、そのイケメンは、この平行世界に肉体転送されちゃった、ニコが死んでる世界に生きていたベラを助ける刑事の男だと判明してビックリ) そして見つける。20年前TVで話をしたその女性を。 (でも、この女性は、ヒロインが過去を改変したせいでできた平行世界の住人なので、少年の死亡事件もないし、なんの少年との接点もない。知ってるのは青年ニコだけ。) 平行世界では、イケメンになった彼が、20年前に対話し命を救ってくれた女性と愛し合い、結婚して、幸せに暮らしていた。 (で、イケメンニコ青年の妻である、平行世界のベラは、もととなっている世界のベラと、相互転送になっちゃったからさぁ大変。 もとのベラは、「ダビドどこ~!グロリアどこ~!」って混乱してましたが、平行世界のベラだって、もとのベラの世界に送り込まれて「ニコどこ~!ダビドってだれ~!」ってなってたでしょうね。そこは描かれてませんでしたが。 ニコの死亡事件にからむ、近所のおっさんの殺人事件(近所の主婦と再婚するために、妻を殺して死体を隠ぺい。それが成功)の解明につながり…そして、さらに、ダビドには浮気癖があっていつも同じホテルを利用していることも判明。 かくして嵐の夜再びベラは平行世界から、もといた世界に戻… ってなーい!!!笑 なるほどこっちの世界は2つ目の平行世界ですか…。 この2つ目の平行世界は、もとの世界ととても同じなところが多い。 ベラはダビドの妻という立場だし、娘グロリアもいる。 そして近所のおっさんは殺人の隠ぺいに成功して不倫相手と再婚してる。 そこらへんはもといた世界と同じ。 しかしベラは、夫の浮気癖を知った(ホテルの棒マッチの伏線と回収はうまい)ので、おそらく夫の浮気を離婚事由にして娘を連れてシングルマザーになるだろうなという雰囲気。 そして近所のおっさんが隠した妻の骨のありかも、平行世界でチェック済みなので、自ら見つけて警察に通報。 浮気夫に、不倫&妻殺し夫、悪者を一掃するというすがすがしい2つ目の平行世界…。 しかもこの2つ目の平行世界には死なずに青年になったニコが刑事として生きている。 つまり、もとの世界のベラは、1つ目の、ニコ青年と結婚してる世界から脱出したけど、もとの世界に戻れたのではなく もといた世界と酷似したまた別の平行世界に転送されたんですね。 この2つ目の平行世界では、この刑事ニコは、ベラのことを知らない様子。 おっさんの妻殺し事件は起きたけど、ニコはそれを目撃したりうっかり事故で死なないで済んでいた、ラッキーな世界? グロリアは、1つ目の平行世界ではダビドとグロリアがいないことに困り果てていたけれど ダビドが浮気性のクズだと分かった時点で、グロリアさえ取り戻せればいいっていう感じだったんですよね。 だから、別にもといた世界に戻れてなくても、グロリアがいれば2つ目の平行世界でもOKってことですか。 それにこの2つ目の平行世界では、1つ目の平行世界でちょっと惚れかけていた(でもグロリアに会いたくて、さよならした) イケメンニコ青年がいる。 最愛の娘を取り戻し、浮気性のクズ夫の本性をあばき離縁、そしてイケメン年下ニコ青年と人生やり直し。 これはもう、もとの世界よりこっちにいた方が断然ベラは幸せですね。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-22 19:18:26) |
3. アメリカン・ハッスル
《ネタバレ》 2013年にこの映画の存在を知った時から、エイミーアダムスの”ノーブラおっぱい半見えブラウス”が気になる作品でした。 あれから7年、ようやく鑑賞。(ノーブラおっぱい半見えブラウスも) この作品の中で胸糞悪いキャラナンバー1は、ジェニファー・ローレンス。 ベイルの電話を盗み聞きするは、出しゃばってベイルの仕事を計画していない方へ持ってくは、子供を人質にしてベイルを縛りつけて離婚にも応じないは(この子供を利用して自分の立場を守るあたりが特に胸糞悪い)、エイミーアダムスに勝ち組アピールするは、(そのくせ完全な勝ち組でもないことを分かっているから浮気するは)、浮気相手に大事な情報もらして夫の命を危険にさらすは…とんでもないアバズレ女。 それに対して、エイミーアダムスの純粋なこと…。 ダメダメ男のベイルに尽くし、計画的にクーパーに惚れてる演技して再三体を求められたって、どんなに演技のためとはいえそこだけは絶対断るほど貞節だし(強引に襲われたときは出生の秘密を明かすみたいな形で相手を興ざめにさせて操を守ったし)。 おとり作戦に参加するにあたっては、何かあったら一緒に逃げるBプランも用意しようと、二人の未来もしっかり想定する賢さも相当だけれど、「でも息子ガー」とウジウジするベイルに「息子さんも一緒で逃げるのよ」と、会ったこともない彼氏の子供も愛する覚悟ができているその愛情と包容力たるや、もう女神。 (まぁその二人にはさまれて、息子可愛さになかなかハッキリすっきり(離婚に応じない妻には別居しかないのに普通に帰宅しちゃう)してくれないベイルも結構イライラしますが。) でも最終的には、ジェニファーがマフィア男に惚れこまれて離婚に応じてくれたので、泥沼にならずに非常に良い展開。 (浮気相手の女性に嫉妬して、離婚して二人を幸せにさせてなるものかと意地でも離婚に応じないたちの悪い妻には、他の男を与えないと話が進みませんよねやっぱり。) そしてベイルとエイミーは一緒に暮らしてめでたしめでたし… (どうやら息子とも暮らせてるようで、元妻は2週に1度の面会権って感じのようです) ぶっちゃけ、品も聡明さもなく着飾ることしか能のない口の悪い出来損ないのゲスな実の母より、賢くて誠実で愛情あふれるエイミーのほうが、息子にとっても生育環境はずっと良いので、めでたし要素がいっぱいなのが痛快!! その他のキャラを見ても、ブラッドリー演じる身勝手な刑事は、手柄をほめてもらえず、 善人だけど州民のためならルール違反も犯すことウッカリ罠にはまっちゃったジェレミーは逮捕されても減刑。 それぞれ相応なオチになっていたと思います。 (200万が警察から振り込まれた先がデニーロの口座じゃなくてベイルの口座だったことは、エイミーがあの送金係の女性を仲間にしていたおかげだと思うと、ジェレミーに禊を済ませることができたのもエイミーのおかげなわけで、ホント、エイミー、女神。 関係を公にしづらい男女の話は、バッドエンドが多いので個人的に貴重な八ッピーエンドの作品リストを作っているのですが (たとえば「〇〇〇・〇ッ〇〇」とか「ヴェ〇〇〇〇の〇〇〇〇」とか)この作品も新規追加にします。 ちなみに、実話をもとにした作品とはいえ、ジェニファー演じた妻は実際は当時50歳で、マスコミに詐欺で稼いだ金で暮らす女として報道されて翌年自殺したとか。 聡明なビジネスパートナーのエイミー演じた女性も、詐欺のことは知らなかったとか。 それだとドラマ性がないので、大胆に脚色してハッピーエンドにしたのは大成功だと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-10-30 11:49:26) |
4. アラジン(2019)
《ネタバレ》 ディズニーってほんと、女性の地位向上のごり押しがうざいんです。 スターウォーズの7以降はディズニーが権利買って仕切ってますが、男性の騎士(ナイト)とお姫様を守る(アミダラ姫やレイア姫)というルーカスが作り上げた古き良きお伽話の形式美をぶっ壊してくれちゃって、主人公がコ汚い女性に置き換えてしまったように。 「アラジン」でのジャスミンは、冒頭から 「私、王様になれるようにいろいろ勉強してきたの!お父様の後を継げるわ!」 と、強気アピール。 イヤな予感がしましたが、案の定、オリジナルにはない 「私は男に屈しない~!!負けない~!!」 みたいなテンションの歌まで挿入される始末。 オリジナルでは、王様がジャスミンとアラジンの結婚を許す形だったのが、王様がジャスミンに王位をゆずって、自分で法律を「王族じゃなくても結婚できる」に変えて、アラジンと結婚しなさいみたいな展開。 私は女性蔑視ではない。 でも、オリジナルのジャスミンは、好きな人と結婚したい、もっと世界を見たい…そんな、ツンデレのチャーミングなキャラ。 実写版は、いちいちディズニーごり押しの女性の地位向上というメッセージ性が頭にひっかかってきて、集中できなかった。 まぁ、これでアカデミー賞の何かの部門を狙ってるなら、女性の地位向上を目指しているアカデミーに受け入れやすくしてるのかもしれないとは思ったわけですが。 でもウィル・スミスを使ってる時点でアカデミー賞は無理だと分かってたんじゃないかな。 黒人差別を訴えて、夫婦そろって授賞式のボイコットを呼びかけた張本人だから、ブラックリストに入ってるから。 (ブラックな黒人なだけに) 案の定ディズニーの実写だと「ライオン・キング」や「マレフィセント2」はノミネートされたけれど、「アラジン」はノミネートすらなかった。 ※私個人はウィルのジーニーは気に入ってるし黒人差別も反対だが、ボイコットはやり過ぎだったな…。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-09-19 08:59:10)(良:1票) |
5. アリス・イン・ワンダーランド
《ネタバレ》 まぁもともとアリスの原作も、ナンセンスで意味不明なわけなので、この映画の中身も意味不明で構いません。 ヘレナ・ボナム=カーター、若い頃に「眺めのいい部屋」のお嬢様役とか「十二夜」のお姫様役をやっていた当時の姿が私の彼女のデフォルトイメージなので、バートンと事実婚状態になってからはすっかりバートン色に毒々しく染められているなぁと、バートン映画に出ている彼女を見るたびに思う。 アカデミー賞でも美術賞と視覚効果賞を受賞しただけあって、この映画は中身ではなく、映像のユニークさを楽しむものだと思います。 赤の女王の顔にしてもそう。 [DVD(字幕)] 4点(2020-06-19 13:16:26) |
6. あなただけ今晩は
《ネタバレ》 コントと見るなら9点。ラブコメとしてみるなら3点。 ただ、どっちにしても長すぎて冗長。 ネスターがヨレヨレになって市場から戻ってベランダから部屋に入って洋服を脱ぎ彼女のベッドに入る・・・というただそれだけのシークエンスも、それだけのための尺が長すぎて。もっともっと編集して、キレよくテンポよく見せてほしかった。 個人的には映画「ロリータ」を徹底的にパロってるあの、ハート型のサングラスの娼婦が出てくるたびに気になってしかたなかった。 ファッションもヘアスタイルも行動もとことんパロってる。 そのキューブリック監督の「ロリータ」が公開されたのが「あなただけ今晩は」が公開された前年1962年なので、ワイルダー監督はこのロリータ娼婦にけっこうな思い入れがあったのではないか? 「みなさんが昨年劇場で見てオオオーってなった、あのロリータが娼婦になったよ~ははは」みたいに。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-22 15:52:16) |
7. あるスキャンダルの覚え書き
《ネタバレ》 ジュディおばあちゃんには「一生のレズ相手が欲しいのは分かるけど、ソッチの人じゃないひとをコッチにさせようとが強引なことはやめましょうよ」と世間は言うのだろうけど、彼女にとってはソレはムリだというのも理解できる。 ソッチの人がたまってるバーとかでナンパすれば簡単に見つけやすいはずなのに、「そういうのはいやだ純粋な出会いで結ばれたい」というこだわりがあるのだと思う。 ケイトには「だんながもう年取ってアッチがごぶさただからって、未成年の生徒に手出すのはやめましょうよ」と世間は言うのだろうけれど、彼女にもソレはムリだというのも理解できる。 彼女の美貌をもってすれば成人男性とのエッチもむずかしくはないはずなのに(実際、学校の同僚男性は彼女に惹かれていて後は彼女次第だったはず)「そういうのはいやだ、本当に自分が好きだと思った相手としたい」というこだわりがあるのだと思う。 二人の悪い面を指摘するのは簡単だし、やれ狂気だの怖いだのとこの作品を評価するのも簡単だろう。 しかし人間というのは、自分の感情(特に性愛の方面の)を抑えることはまことに難しい生き物。 だからこそ、タブーな性愛をテーマにした映画はゴマンと作られ続けているわけだが、この映画で特筆すべきところは、そういうタブーな性愛のエピソードを主人公1人だけのお話しとして描くよくある”1点モノ”ではなく、2人の主人公がそれぞれが違う相手(どちらもタブー)への性愛を抑えられず、突っ走っていくサマが、自然と絡み合い進行していく”2点セット”になっているとこだと思う。 二人の安定した演技力も助けとなり、この2点セットの形をなすことで、よくある”レズ作品”や”教師&生徒のR指定作品”と一線を画した、独特な<タブーな性愛映画>になることに成功したと言える。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-01-21 12:14:54) |
8. ある天文学者の恋文
《ネタバレ》 ジェレミーアイアンズ、うーん、もう恋愛担当のキャラはムリがある。 「ダメージ」(1992)でジュリエットビノシュと、年増の義理父&若き息子嫁のタブーな恋愛を犯すキャラをやったときは、まだよかった。 でも68歳。どうみてもむりだ。 あのクリントイーストウッドだって、かなりおじいちゃんになってからも、恋愛担当キャラをやっていたが、65才で「マディソン郡の橋」の恋愛担当キャラをやって以来自重しているというのに。 あと、不倫相手を自分が死んだあとも寂しくないようにとか、ひとりぼっち気分にさせないために、とかいって、あれやこれや演出を考えて時間差のコミュニケーションをとり続けてようとしたわけですが、いずれはそのネタも尽きるわけで、結局はエイミーは、ひとりぼっちになるわけですよ。 それを、わずかな期間だけ引き延ばして、思わせぶりなプレゼントしたりしても、それってどうなん、と思うわけ。 彼女の幸せに役立つか?ってなるわけ。 人間って愛する人を失っても、それによって気づくこととか、成長して強くなるとか、いろいろ得るものだってあるでしょう。 だから時間差コミュニケーション(期限あり)をとってズルズルと博士の存在を感じさせ続けているより、ダンボールに、長文の手紙と遺品の指輪と彼の家の相続書類とかぜんぶまとめてブッこんで、「はい、これが博士からの全部です」って弁護士からセットでゴソっと受け取ればいいって話になる。 その中に、母親のこととかもまとめて書いておけば、もっとスムーズに彼女も実家に戻ってただろうにって話しになる。 まぁそれを言ったら話しがそれで終わっちゃうわけですが。 それから、博士の娘が「あなたみたいに愛される女性、うらやましい」って言ってたけど、そうか?68歳のおじいちゃんに手紙やDVDで粘着されて、うらやましいか?って思ったり。 とりあえず、トルナトーレが、「自分が若いオナゴとデキたら、こんなふうなロマンチックな終わりかたとかサイコーやなぁフフフゥ♪」って色ボケが始まっちゃったのだと思っておきます。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2018-04-17 12:32:08) |
9. アデル/ファラオと復活の秘薬
《ネタバレ》 ちょ!ちょっと待てい!評価が低すぎてビックリなんですがッ!! いや、リュックベッソンてのは、そもそもはこういうハチャメチャアドベンチャーが大好きなんだと思う。 「フィフス・エレメント」も、彼が子供のころ作った話で、リュックは そもそもああいった「なんじゃそら!」的なヒロイン活劇がお好みなんだろう。 で、このアデルの話にしても、そういった問答無用のハイテンション冒険ストーリーに仕上がっていて、フィフスエレメントと同じくらい大好きな作品。 留置されている教授の脱走を手助け出すために、アデルが食事係や修道女や医者に変装してしのびこんでは失敗するシークエンスは何度見ても彼女がキュートで仕方ない。 教授がギロチンにかけられる寸前に、翼竜にサっとつかまれて救出されたその勢いでうっかりギロチン台に頭を乗せてしまった死刑執行人の上にギロチンの刃がドーン!って、ブラックすぎて強烈だ(笑) ヒロインの妹の傷を治してもらうべくルーブル美術館にしのびこんだ場面では、傷あとを巻く包帯のために、仲間のミイラが巻かれた包帯をほどかれてクルクル回るところは、時代劇で悪代官に帯をほどかれて「あ~れ~・・・おたわむれを~!」ってやってる着物娘みたい。 ドサクサにまぎれてアデルの妹が覚醒する前にチュっとするとか、おちゃめな色ボケじじいのファラオも笑えるではないか。 そのファラオが従者たちと共に”散策”で美術館の外に出て、中庭を眺めながら「ここにピラミッドを建てると良いな」などとさりげなく言うのだが、実際今のルーブル美術館の中庭にガラス張りのピラミッドがあるので、「実はこのピラミッド、ファラオの命令だった!?」なんていう時代を超越させるギャグにも心底笑った。 この映画はそもそもドタバタ・ハチャメチャ・アドベンチャーコメディ。 アデルに品性や誠実性を求めてどうする! (第一、アデルは最初から誠実キャラではない。それを証拠に、最終的には自由人アデルは一人旅に出かけ、彼女に片思いしていた青年は彼女の妹とハッピーエンドになる予感をさせる形で終わっている) とにかくこの作品はつべこべ言わずに無心でャグの荒波に乗っかったもの勝ちだ。さぁあなたは乗れるかな? [CS・衛星(字幕)] 10点(2016-07-12 12:32:46)(良:1票) |
10. アバター(2009)
《ネタバレ》 100デシベルで叫ばせて頂きます。 「私は公開時に劇場で3Dで見たときは映像にのけぞっただけだった。 しかしあれから7年・・・ TVで2Dで見たら、不覚にも泣いて中味に感動しまくったじゃないかぁ~~!!」 はい、そうなんです。劇場で見た時は、ただただパンドラ星のユニークさや3Dで存分に楽しめるように計算されつくした映像にのけぞっただけでした。 しかしTVで、小さな画面で2Dで見ることで、そうした映像にいい意味で気が行き過ぎず、内容に集中できたようです。これは予想も期待もしていなかった状況。 見終わって思い返してみれば、この映画で語られているのは ●「自然破壊をするのはアカン」というメッセージ。 さらに話し合いによる共存主義者(グレイス博士グループ)VS軍事力で制圧・支配主義者(大佐グループ)の対立を描く事で ●「話し合いをせず、武力で解決しようとするのはアカン」というメッセージ。 さらにさらに人間達が戦闘機で先住民ナヴィの女子供も無差別に殺戮していく展開は ●「テロによる市民への攻撃およびその居住地域への侵略はアカン」というメッセージ。 このようにいたってシンプルで当然至極なメッセージばかり。それらは、これまで作られてきた映画で既にイヤと言うほど語られてきて、使い古されたメッセージでもあります。 なのに! なぜこうも激しく心を揺さぶられるのか?劇場で見た時より、TVの小さい画面で2Dで見た時の方が、涙腺を緩めさせられるのか? おそらく小さいTVで2Dで見る事で、映像にだけ気がとらわれなくなり、そうしたメッセージをダイレクトに感じ取れるようになったためだろう。 私だけではなく多くの人達が「分かってはいるけど、やっぱ便利なほうが快適」と思って数々の直接的あるいは間接的な環境破壊を招く暮らし方をしている。 そして、話し合いより武力を重視している国が存在していて、それらの国の脅威をどこかで感じはいるけれど「とりあえず自分は巻き込まれてないし、今日という日を楽しく過ごせればオッケー!」と思って自分の周囲5m以内の平和を満喫している。 そうした『分かってはいるけど、とりあえず見てみないフリ』している問題は、おカタい人達がコメントしているニュース番組で語られていると、心に住む悪魔によって良心が仮眠状態にさせられていて、真正面から受け止めることはできない。 しかしその『分かってはいるけど、とりあえず見てみないフリ』している問題が、娯楽映画ゆえに自らすすんで軽い気持ちで乗り込んだこの「アバター」の世界で、鮮やかに突きつけられることで、「ニュース番組じゃないから今大丈夫ね」と悪魔がのんびり油断していたために良心はハっと目覚め、心が揺り動かされるのではないだろうか。 難しい歴史の勉強も、分厚い教科書を読むとなるとやる気がうせるが、面白いマンガで描かれるとグイグイ引き込まれ、理解し、楽しめる構図と似ている。 さぁあなたも アバターのユニークな世界に乗り込んで 良心の扉を開けてもらい、心を揺り動かしてもらいませんか? (鑑賞するなら最初は2D、その後3Dの順番が絶対オススメ) 補足①:ジェイクが最後、人間をやめてナヴィとなった4つ理由。 1)ネイティリとずっと一緒にいたいから (そりゃ当然だ) 2)自由な脚で駆け巡ることもできるから(あなたがもし不自由な体なら、その動機を否定できないはず) 3)軍人出身なのでつい『武力で解決』という大佐側についてしまい、ナヴィの村を襲わせるきっかけを作ってしまった。それを悔いているからこそ、ナヴィの敵である”人間”を完全に離脱することを選んだ 4)だってエイワが彼を選んだから(ネイティリが彼を木の上から矢で射ようとした際に矢の上にエイワが留まった時、エイワは「この男はナヴィを率いる者となるであろう」と言っていた。(たぶん)) 補足②:革新的な要素やユニークなものが沢山つめこまれたこの傑作映画が、アカデミー賞では、「ハートロッカー」のプロデューサーが作品賞に投票する審査員たち(これまでアカデミー賞で作品賞を取った映画のプロデューサーたち)に「アバターではなくハートロッカーに投票してくれ」という裏工作のメールを送信していたことにより、不当にあの駄作「ハートロッカー」に票が集まり、最優秀作品賞を奪われたことは、本当に許しがたい事件である。 アカデミー賞の前哨戦であり、アメリカ、アジア、ヨーロッパの映画記者による”客観的かつ公平な評価”で賞が与えられるゴールデングローブ賞では、監督賞、作品賞ともに「アバター」であることを、ここでしっかりと明記しておきたい。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2016-02-14 12:51:36) |
11. あなたを抱きしめる日まで
「あなたを抱きしめる日まで」なんて、再会場面が描かれるようなカンチガイ邦題でだまされました。原題どおり「フェロミナ」にしとけばよかったものを。「あなたを抱きしめる日まで何なんだよ?」と、その思わせぶりな邦題に対して、シスターヒルデガードの自己正当癖と勘違い信仰とカネ儲け主義と同じくらいイライラしました。本編のなかでマーティンの顔と、行方不明のアンソニーの幼少時代の映像がつながって出てくるので、見るものは「ひょっとしてマーティンがアンソニー?」と勘違いしやすいのでは。この邦題はひょっとしてよりその勘違いを促進させる魂胆だったのか。いずれにしても私はヒルデガードがほんとむかつくので(実在人物だし)、謝罪もせず、フェロミナに罵倒もされず、人権団体に訴えられることもないですんじゃってることに、ほんと、後味の悪いエンティングでした。”許される者の苦悩”なんて、あの、ねっからの神の名のもとでの自己正当化で100%凝り固まってるヒルデガードは、良心のカケラもないので、「許されて良かったーホッ」と思ってるとしか思えない。罪悪感がないものは、許されることの苦悩なんてないんです。そして彼女を許しちゃったフェロミナは、あれだけ修道院でイヤな目にあわされても神様を信じて、そしてヒルデガードを許しちゃうなんて、よっぽど修道院時代に、キチガイシスターどもに、「あなたは悪い人間だ。いのればすくわれるぞ」と、マインドコントロールされ洗脳されたんだろうなと、感じてしまう。最後でヒルデガードが悪魔にでも乗り移られたあげくに、稲津に打たれて爆死すればスッキリ見終えられたんですが。マーティンが「神はなぜ性欲を与えておいて、それを拒ませるテストをする?まるでひまつぶしゲームを楽しむみたいに」と言っていたが、そのセリフが一番共感できる。実際、神は人間を作っておいて、堕落したからって、人間作った自分の責任も感じず、反省して人間を正しい道に導くんじゃなくって、洪水起こして全員殺してキレイサッパリ、初期化!とかするような存在なので、神への信仰なんてくそくらえっていうマーティンだけがこの映画の救いだ。それにしても、アンソニー。家族にはアイルランドのことも実母の話もしなかったのに、ケルティックハープのバッジをつけ、最後は生まれた土地に埋めてもらいたがったなんて、ずーーっとフェロミナへの思いは抱き続けていたのですね。実話なだけに、なんてかわいそうだと思います。どの時代も犠牲になるのは子供ですね。(親がフェロミナを修道院に捨てたという意味で、フェロミナも同様に) [DVD(字幕)] 2点(2015-05-23 13:43:05) |
12. アーサー・クリスマスの大冒険
《ネタバレ》 この映画は、アーサー&おじいサンタVSアーサーの兄&父という構図になっている。 次期サンタとしてプレゼント配布作戦持に最新移動飛行機の司令官をしているアーサーの兄と、現サンタであるアーサーの父の両方は「世界中の何億の子供の、たった一人のプレゼントを届け忘れた事は大した問題じゃない」というサンタ族らしからぬ不誠実さを持つ者として描かれる。(この兄と父の不誠実さは、最新型移動飛行機や最新機器を駆使したプレゼント配布作戦で描かれたように”現代社会において、便利さと引き換えに失った心”の象徴でもあるのだが) 対して、主役の次男坊アーサーと今は引退したおじいサンタ(アーサーの祖父)は「一人の子を失望させてはならぬ!」という兄・父と対照的な”心”を持ったものとして描かれている。 最新機器を使えば配布忘れのプレゼントもすぐ届けられる兄&父二人の助けを得られない為、旧式のトナカイ&カンで届けようとする二人。 この構図をしっかり軸としてもっている説得力ある作品なので矛盾点や疑問点は浮かばない。 作品にスピード感があり道中で迷ったアフリカや南米でのシチューエションなど、世界一周しているようなワクワク感でエンターテイメント性もたっぷりだ。 ちなみに最後にかかる歌、あれはジャズの「Make someone happy」という歌で、おじいサンタをやった声優が歌ってるそうな!この映画はずっと前に見たが、その時はその曲を知らずスルーしていた。でもつい最近ジェイミーカラム(「グラントリノ」のエンディングを歌った人でその映画をきっかけに好きになった)の最新アルバムにあった「Make someone happy」が印象的で好きになった。で、その歌を好きになった後にまたこの映画を見たら、エンディング曲で「あれ?アレンジが全然違うから気付かなかったけど、これ、あの曲では?!」と一人で盛り上がってしまった。 それが分かると、まさにその曲は歌詞の内容からしてこの映画のエンディングとしてぴったりの選曲だと感じる→「♪Make someone happy.Make just one someone happy.And you will be happy too. (誰か一人でも幸せにしてみて。そしたらあなたも幸せになるから」 ちなみにこの曲、スティービーワンダーや最近レディガガと一緒にジャズアルバムを出したトニーベネットもカバーした名曲。この曲で、本編の後の余韻も楽しんでみて。 [CS・衛星(吹替)] 10点(2014-11-30 13:05:15) |