1. 風の谷のナウシカ
《ネタバレ》 記憶が正しければ、アニメで泣いてしまった唯一の作品です。 そして、おそらく最も数多くみているアニメです。 当時テレビで放映されたものをビデオに録画し、ビデオが擦り切れるまで見た記憶があります。この映画をかわきりに、「天空の城ラピュタ」、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」と見続けて、すっかり宮崎駿のアニメのとりこになり、「もののけ姫」あたりで彼の映画を見るのをやめました。 (「千と千尋の神隠し」だけは、嫌がるのを無理矢理連れて行かれて見ましたが。面白かったけど。) この映画が宮崎アニメの中で一番好きです。 世界観が最も好きだし、ナウシカ、ミト、クシャナ、アスベル、戦車をうばうじいさんズと、好きなキャラクターがたくさん出てくるからです。 そして、やはり一番感動したのもこの作品ですね。とくに後半はもうやばい。ストーリー構成と伏線が完璧すぎる上に、ナウシカの自己犠牲がミックスされて、後半の盛り上がりが半端じゃないです 今でも、「宮崎駿」、「ジブリ」、というワードを聞くと、真っ先に思い出すのはこれと、兄の、大ババ様のものまね。あのモノマネも脳が擦り切れるほど聞かされました・・・。 [地上波(邦画)] 10点(2012-05-17 04:03:22)(笑:2票) (良:2票) |
2. ガスパール/君と過ごした季節
《ネタバレ》 人によるかもしれませんが、僕はもう何回も泣いてしまう映画です。 こんなに映画の世界に入り込める映画は、すばらしいの一言です。 大きな感動を用意しているわけではないのですが、全編通してぐっとくる場面が次から次へと・・・登場人物たちの気持ちが手にとるように伝わってきます。 ロバンソン、本当に良い人です。 ガスパール、実は良い人です。 ジャンヌやローズ、ローズの娘との出会いを通して、二人の優しさや強さが画面からとめどなく伝わってきます。 たとえ貧しくても、辛いことがあっても、この二人のような人間でありたい、そう思わせてくれる映画でした。 これを見終わった後、邦題見るとまた泣けます。 この邦題、ありきたりですけどめちゃめちゃ良いじゃないですか~(泣) [DVD(字幕)] 10点(2012-05-06 05:19:52) |
3. 神風
《ネタバレ》 最高です。面白い。もしかすると「デスノート」のアイデアに少し影響を与えていたりするのでしょうか。 でも実際にこんなことが現実世界で起こったら防ぎようがないです。恐ろしい。 突然人が撃たれた瞬間はびっくりしました。 「これはハラキリではない。カミカゼだ。」 いや、セリフの意味はわかんないですけど、面白いです。おススメです。 [DVD(字幕)] 9点(2012-04-08 01:25:20) |
4. 火車 HELPLESS
《ネタバレ》 さすが韓国、えぐいわぁ、っと思ったら、原作は宮部みゆき。 とてもよくできたストーリーで、そしてしんどいお話です。 最近妻とサービスエリアに寄ったばかりだったので、冒頭のシーンがやたらリアルに感じられてしまいました。 主人公は3人かなぁ。婚約者とそのお相手の獣医と、獣医のいとこの元刑事。 全く予備知識なしで見始めたので、ただ婚約者が事件に巻き込まれていくだけのお話かと思っていたのです。 ちょっと予想の斜め上をいくミステリー。真相が暴かれていくのが面白くて仕方が無いです。 それにしても、婚約者の女性がしてきたことはもちろん許されないことではありますが…でも心の底から責められないなぁ。 この女性は人として当たり前の人権を手に入れるため、もうモンスターにならざるを得ない状況まで追い込まれていたわけですから… また、そう思わせてしまうストーリーと演出の説得力が凄い。 ただこの女優さん、演技は素晴らしいんですが、どうにもルックスがいまいちピンとこない。この人より一緒に働いているナースのほうが若くてかわいいのはどうしたものか‥‥韓国の女優さんきれいな人が多いんだから、他にいなかったのかなぁ。 [DVD(字幕)] 8点(2022-12-14 03:59:29) |
5. 彼女が目覚めるその日まで
《ネタバレ》 クロエ・グレース・モレッツが主演、ただそれだけの理由で見ました。 で、思わぬ拾い物。映画としてとても見ごたえのある医療ドラマでした。 どーもアメリカでは酷評されたようで評判が芳しくなかったみたいなのですが、日本人には高く評価されているみたいですね。 そしてクロエもビジュアルだけではない素晴らしい演技でした。これぞ熱演。すごい女優さんになったものです。 『レナードの朝』を思い出します。あちらが病気のアフターを描く映画なら、これはビフォーを描いた作品。病気になっていくまでの過程がやたらリアルで残酷で恐ろしくて・・・健康であることがいかに幸せかってことを再認識します。これが実話とゆーから驚きです。 あらゆる症状が紹介されていましたが、脚色ってどれくらいされているのでしょう。それとも関係者から聞いた話を忠実に再現したのでしょうか。気になるところです。 けいれん発作が起こっていなければ、最悪誤診されたまま精神病院に入れられてそのまま亡くなった可能性もありますね。最悪バッドエンドも覚悟していたのですが、回復して良かったです。とゆーかあの状態から90パーセント以上のところまで認知機能が回復するというのだから医療の力は本当にすごい。 恋人のスティーブン、離婚してそれぞれの家庭を築いている両親、厳しいだけの上司。最初はあまり良い印象を持っていませんでした。ですがスザンナの病気が進行し、病状が明るみに出るにつれ、少しずつみんながスザンナのことを第一に考えるようになり、手をとりあうようになるのが凄く良かったです。 同僚のマーゴは特に良かった。マーゴが病室を後にしたときにこらえきれず涙するシーンももちろん良いのですが、スザンナが回復したのち、スザンナが少しでも会社できつそうな表情を見せると本気で心配しているシーンに胸が熱くなります。ちょっと間を置いて、『ほんとに大丈夫?』と聞いてきたときなんか泣きそうになりました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2022-04-24 03:57:13) |
6. 感染列島
《ネタバレ》 こちらでの評価が芳しくなかったので期待していなかったのですが、予想以上によくできていました。 ドラマとして誇張されている部分はあるにせよ、このご時勢に見ると絵空事とは思えません。 大都市が廃墟みたいに荒廃しちゃっているのはやりすぎだと思いますが、病院内の様子っていうのはこれに近い状態があるのではないでしょうか。 感染源疑いのある人への差別。非難。学校でのいじめ。院内感染。買占め。軽症者は自宅療養。命の選別。ブレイム病棟の専属スタッフは家にも帰れない。ワクチンも治療薬もないので、対症療法しかできない。 この映画ではすべてフィクションとして描かれていたことが、コロナ禍においてそのほとんどが現実のものとなってしまいました。もしこの映画の公開当時に見ていたら、『そんな馬鹿な』と一笑に付していたかもしれないです。 映画としても非常によく出来ています。 まず冒頭のフィリピンでの新型鳥インフルエンザがミスリードとして効いています。これによって、中盤明かされる真実に少なからず衝撃を受けることになります。 劇中感染症で亡くなる人物に規則性が無いことも重要。夫、父、母、恋人、医療従事者と多岐にわたります。そしてそれぞれの家族の悲しみがそのたびに映し出されます。こういったひとつひとつの家族のドラマを描いている点は高く評価できます。 パニックものとして誇張しすぎている部分はありますが、買占めに殺到する人々の様子はやけにリアルで恐ろしい。 感染源の調査や主演二人のラブストーリーに時間を割きすぎたせいで冗長になってしまった感は少なからずあります。 余計なものを排して純粋なパニックものとして2時間以内にまとめていたら、歴史に残る傑作になっていたかもしれないです。 [DVD(邦画)] 8点(2021-04-26 01:12:53) |
7. 怪盗グルーのミニオン危機一発
《ネタバレ》 笑える映画ってそれだけで評価が高くなります。『笑い』って『感動』より難しいと思うんですよね。 とにかくミニオンがかわいくて面白い。 1作目では脇役に徹していたミニオンたちも、今作では準主役級のキャラクターに成長。底抜けに明るく、前向きで一生懸命なキャラクターが最高です。これは人気が出るのもうなずけますね。こーゆーキャラを生み出しちゃう人間の想像力ってすごい。 1つ1つの演出が面白いので、なんてことないストーリーでも面白く感じます。 今作も悪役、陰謀、出てきますが、どちらかというと恋愛がメイン。このシリーズに恋愛ってどうなのって思ったのですが、なかなかラブコメとしてそつなくまとまっていました。ルーシーのキャラと、中島美嘉さんの声が良かったのかな。 前作ではグルーはサイテー人間として登場したのですが、今作では最初から良いパパスタート。それが良かった気がします。アグネスの誕生会でプリンセスをしてあげて、マーゴの恋愛に目くじらたてる。大人気ないところも好感が持てます。 とにかくミニオンのおふざけが前作より多いので、わき道に逸れがちですが、それを含めて大変面白い。個人的には前作より好きです。 ブルーレイに収録されていた『ミニオンと子犬』のムービーが相当良いです。セリフが全然ないのに、ストーリーがこんなにわかるって凄い。製作陣のセンスの良さを感じます。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-11-29 20:19:39)(良:1票) |
8. 完全なる報復
《ネタバレ》 最初の5分で完全に感情移入。妻子を殺され、それでも司法の手にその裁きを委ねるクライド。そんなクライドを裏切り、『有罪率』のためだけに安易に司法取引にふみきるニック。腐った法曹の象徴。クライドの怒りと悲しみはもっともです。 彼が凶行に及んだ原因はすべて犯罪者と法曹にあります。ほぼすべての関係者が、大事なものを失ったクライドから制裁を受けていきます。一人、また一人とそのツケを払わされていくたびに、見ているこちらも溜飲を下げていきます。 負のオーラが強ければ強いほど、そこから生まれるエネルギーが強大で凶悪なものとなっていく。これぞ復讐映画の醍醐味。この映画は今まで見た復讐映画の中でもトップクラスの面白さ。 猟奇的な殺人から、スタイリッシュな犯行まで、その制裁の仕方は千差万別。そしてすべての制裁に意味がある。 正直この作品が最後まで『完全なる報復』で終われば9点~10点。ですがニックが普通に生き残っているうえに何のお咎めもなしってのは腑に落ちない。 『ラスト、ニックがクライドを射殺。しかし実際は爆弾など仕掛けられてはいなかった。囚人を勝手に射殺したことでニックは殺人の罪に。資格、権利、地位、家族、すべてを失ったニックが監獄にいれられ全ての報復が完了。』くらいのことを想像していたので、何とももやもやしたものが残る結末でした。 [DVD(字幕)] 8点(2020-09-20 20:33:12) |
9. カフーを待ちわびて
《ネタバレ》 愛すべきご都合主義の傑作。ストーリーの進行具合がどうも切ない結末に続いているような気がしていたのですが、こんな心温まるハッピーエンドを用意してくれたことに心より感謝。見て良かったです。 幸を演じるマイコさん。透明感があって素敵な人。でも終盤大事な場面でのセリフ回しがなんか不自然。 もう一人の主演玉山鉄二は文句なしのはまり役。明青という人物のかざらないかっこよさを最大限に引き出していたように思えます。 ストーリーはありきたりなラブストーリー。だからこそはまる人は絶対はまる。 まずシチュエーションが良い。あんなにきれいな人が、絵馬を見て、『お嫁さんにしてくださいますか。』って夢がありすぎるでしょう。まいったよこんちくしょー。 沖縄という舞台になじみが無さ過ぎて多少の不安がありましたが、全く問題なく万人に愛される作品となっておりました。 少しだけミステリー要素を取り入れたのもうまかったですね。すぐにオチは読めちゃいますが、『独身男には女だよ。』って一言からはじまる一連の疑惑。これによって見ているこっちはまさかまさかとちょっとハラハラしちゃいます。でも映画の雰囲気を壊すほどではない。この絶妙な匙加減。 結局リゾート計画はどうなったのだろうとか、ほったらかしにされたエピソードが気になるところではあります。 ラストのシークエンスは賛否あるみたいですが、個人的にはあって良かったと思います。 まったりした雰囲気ながらもその世界観に浸ることができて、とても良い時間を過ごせました。良作。 [DVD(邦画)] 8点(2020-06-11 01:02:56) |
10. カーズ クロスロード
《ネタバレ》 シリーズものならではの哀愁を感じられる作品。『カーズ』にしろ『トイ・ストーリー』にしろ、ピクサーがシリーズ化するのには、なにかしらの理由や目的がありそうです。 ライトニング・マックィーンの再生物語と思わせといて、クルーズ・ラミレスという才能ある若者の成長物語。このクルーズが、女性だし、名トレーナーみたいな位置づけで登場するものだから、すっかり騙されました。確かに、浜辺でのマックィーンとクルーズのやりとりは、トレーナーと選手が完全に入れ替わっていましたね。それは、『1』でいうところの、ドクとマックィーンの関係に近い。 それでも、『1』、『2』と見ていると、マックィーンは生涯現役と信じて疑わなくなってしまう。そんなファンの心理を逆手に取った今回の結末は、それぞれの門出を祝うハッピーエンドではありながらも、やはり一抹の寂しさを感じずにはいられません。マックィーンは、これからクルーズのトレーナーという第二の人生を歩んでいくのでしょう。 それにしても、ラストで、マックィーンのボディのデザインとカラーを変えちゃったのはちょっとばかし残念でしたね。ドクに対する尊敬の念はわかるのですが、ドクはドク、マックィーンはマックィーン。選手からトレーナーへ、辿る道は同じでも、それぞれのカラーが大事だと思うから。 この作品から感じる世代交代、第2の人生。寂しさと、新しい希望を同時に感じる物語。それが最高品質の映像で紡ぎだされる贅沢。 学校で『道徳』が正式な教科となり、成績がつくらしいですが、ピクサーの映画を見せておけば、みんな心がきれいになって、いじめなんてなくなるんじゃないかな。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2018-06-21 09:15:58) |
11. カルマ
《ネタバレ》 幽霊が見える女性ヤンと、そのヤンを担当することになる精神科医のジム。 『ヤンが見える幽霊は本物。』⇒『ジムは次第にその事実に気付きはじめる。』 ただ単純に、そんなストーリーを予想しながら鑑賞していたのですが、物語は思わぬ展開を見せます。 ヤンが見ていた霊は、ヤンの精神的トラウマからくる幻。ですが精神科医のジムは本物の幽霊にとり憑かれているという脚本が、単純ながら意表をつきます。 前半から挿入される回想シーン。ヤンの過去を探るための、ヤンの過去かと思いきや、実はジムの回想シーンという意外性。なかなか上手いです。 また、実際は霊ではない『イタズラ』や『幻』。そこに終盤本物の霊を登場させることで、本物の霊の存在がよりリアルに際立ちます。 ホラー演出も、邦画ホラーのようなじめじめ感が出ていて大変良いです。 更には、様々な『音』が効果的に使われていて、更なる恐怖を煽ります。 終盤ではいつの間にかヤンとジムの立場が入れ替わっているのも面白いですね。 そして、ヤンにもジムの見ている霊の存在がわかったことで、私達観客にも霊の存在が本物ということが伝わります。 唯一、締めを安易なメロドラマ風にしてハッピーエンドで終わらせてしまったのがもったいないでしょうか。 後味は良いのですが、思い切ってバッドエンドにしても良かったかもしれません。 [DVD(吹替)] 8点(2016-08-31 15:06:31) |
12. ガン&トークス
《ネタバレ》 まったりとした雰囲気の殺し屋4人が織り成すサスペンス+コメディドラマ。 これがサスペンスとしても見ごたえがあるし、ストーリータイプのコメディとしても面白い。スタイリッシュなヒットマンストーリーに仕上がっています。 飄々としたリーダー、射撃の天才ミスターパーフェクト、爆弾のスペシャリスト、パソコン担当の弟、チームとしてのキャラ分けも完璧でしょう。4人が4人とも凄腕の殺し屋なのに、やたら人情味溢れる人柄で、そのギャップがたまりません。シリアスなシーンでは完璧に仕事をこなし、めちゃめちゃカッコよく決めてくれます。 特に終盤はかなり盛り上がりますね。オペラ劇場での大仕事でクライマックスでも良かったくらいなのに、そこから更に激動のラストへ。 4人を追う刑事、ついにリーダーを追い詰める!そこでリーダーを逮捕せずに撃ってしまうとんでも刑事。ところがこのアクションがラストへの大事な伏線になっているわけですね。 結局刑事の思惑通り、リーダーのために初めて依頼以外の殺しを遂行する3人。警察署に単身乗り込むリーダー。このラストの一連のシークエンスがもうたまらなくかっこよくてしびれます。 そしてオチは痛快なコメディタッチで締めくくってくれるノリの良さ。 水と油のように相反するコメディとサスペンスという別ジャンルを、完璧なバランスで仕上げた作品。 唯一残念な点を挙げるとすれば、女子高生のエピソードがつまらないうえに、くどい、長い。ここだけが本当に惜しいですが、かなりオススメ度の高い作品です。 [DVD(吹替)] 8点(2016-02-03 02:33:04) |
13. カリフォルニア(1993)
《ネタバレ》 隣人や友人、同じ立場だったはずの者同士のパワーバランスが突然崩れるタイプの物語、この手の作品にはとにかく弱いのです。わかっちゃいるのに、だいたい想像ついちゃうのに、どうしても衝撃を受けてしまう。 評価されづらい作品かもしれませんが、僕はこういう作品すごく好きです。観ているこっちは、アーリー(ブラッド・ピット)のことがよくわかっている分、平和そうに見える、よくある微笑ましい光景が、驚くほど些細なきっかけで壊れることを知っているわけです。そんなに大きなイベントがなくとも、この映画全体を覆う、人を不安にさせるこの空気感がたまらないのです。 その空気感を創り出しているのが、言わずもがなアーリーとアデル(ジュリエット・ルイス)。特にアデルは、人の不安な感情や依存心といったものをものの見事に具現化したような存在。その二人を一般人代表のモルダー、・・・・じゃなかった、ブライアンとその恋人の目線を通して描いてくれているので、何とも言えない臨場感を味わえるのです。言わばこの二人は観客のアバターのような存在。この二人がいることで、アーリーとアデルの異質な雰囲気がよりいっそう際立っているんじゃないかと思うわけです。 とは言え、アデルには一筋の希望の光が見られるのもこの映画のひとつのポイントでしょう。ブライアンの心の変化も気にはなりましたが、この作品はやはりアデルがメインのような気がします。もう完全に破綻した4人の関係を、ヨーヨーの話や写真の話をふって、泣きそうな顔で元に戻そうとするアデルが痛々しくて観ていられない。そこに来てラストのアデルのあの独白。 最高に切なく、最高に痛々しい余韻が残りましたね。 アデルをカリフォルニアに連れて行ってあげたかったです。 [DVD(字幕)] 8点(2013-07-02 05:35:27)(良:1票) |
14. カリートの道
《ネタバレ》 普通の成り上がり系のマフィア映画かと思いきや、感動的な人間ドラマでした。この映画のアクション、サスペンスはもちろん素晴らしいのですが、何と言ってもカリートという人物の放つ魅力がたまらないのです。 裏社会で伝説のような人物になりながら、ここまで恋人や友情や信頼関係というものを大切にする人間がいるでしょうか。おそらくリアルな世界ではいないと思うわけです。これはフィクションの世界だからこそできた人物像であって、私たちが憧れるような人物像のひとつのモデルとも思えるんです。 だからこそ、カリートの一挙手一投足、ナレーションの一言一言に必要以上に感情移入してしまい、等身大のカリートをとにかく応援してしまいます。 ただ、カリートはちょいちょい失敗もします。彼は決してヒーローではないんです。ミスジャッジしちゃうんです。そしてそのミスのつけっていうのは、すぐには返ってこないのです。後半に向けて、少しずつ蓄積されていくんです。 蓄積されるのはそれだけではありません。時間が経過するほど、カリートの貯金も貯まっていきます。夢がすぐそばまで近付いてきます。彼女ともうまくいきます。子供ができ、3人の未来がよりいっそう現実味を帯びてくるのです。 そして終盤、もう夢がかなう、目の前にある、と同時に、次々と、今までの失敗のつけや、過去の亡霊が、不安要素として一気に噴出してきます。 それはサッソでありパチャンガであり、クラインフェルドであり、イタリアマフィアであり、ベニーブランコでした。 ただ、終盤は、「いったい誰が、彼の夢を砕いてしまうのか」ということが考えられないくらいカリートのハッピーエンドを本気で信じてしまいます。嫌な予感は全然なくならないのに。そして、イタリアマフィアをふりきり、ホームで彼女と再会してほっとした瞬間、最悪のデジャヴを感じるわけです。『・・あれ、このシーンって。』 そしてはっきり思い出す間もなく、最悪のラストを迎えます。 映画全体が完璧なひとつの流れを作っていて、最後はもの凄く感動的で、もの凄く最低な余韻を残してくれる素晴らしい作品です。 でもラストがやるせなさすぎて、悲しすぎて、もうこの点数が精一杯です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-05-23 14:32:49)(良:5票) |
15. カナディアン・エクスプレス
《ネタバレ》 弁護士が殺される直前のやりとりの緊迫感。 目撃者のキャロルを迎えに行ったときの、突然始まる銃撃。 ちらつく裏切り者の影。 どれもこれも一級品。予想していた以上にはらはらします。 ただ列車内でのコールフィールドの動き方には、いささか疑問が残る場面もしばしば。そもそも、自分の顔がすでに相手に割れているのであれば、検察手帳をもっと使って、車掌や乗客に協力してもらっても良いのでは・・・?あえて難しい状況にしている気が。より緊張感を出すための不自然な演出には、やはりちょっとだけ醒めてしまいます。 そういった意味では列車に乗り込む直前まではほぼパーフェクトな特上のサスペンス。 列車に乗り込んでからも、細かいことに目をつぶれば、コールフィールドのファインプレーを堪能できます。 つっこみどころはあってもお勧めできる一本です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-09 13:31:48) |
16. ガッチャ!
《ネタバレ》 サスペンスとしてもコメディとしてもよくまとまった面白い作品です。 唯一物足りなかったのはラストのキャンバス内での攻防。オープニングの「主人公はガッチャの達人」の設定が活かしきれていなくて凄くもったいないです。そこは主人公のフィールドなので、あの手この手で圧倒的な実力を見せてほしかった。 サスペンスとしては物足りないと思われる方もいるかもしれませんが、僕のような「バンビ」な人間には十分すぎるほどハラハラドキドキな内容で良かったです。またその中に織り込まれるコメディのバランスも程よく、いろいろつめこんだ割に映画としてバランスがとれています。娯楽作品としては申し分ない出来でしょう。 東ドイツに入ってからのジョナサンの単独行動は特に面白い。この映画の見所といっても良いと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2013-03-21 15:04:59) |
17. 壁の中に誰かがいる
《ネタバレ》 先に「みんなのシネマレビュー」で平均点とジャンルだけチェックしていました。 ホラー+コメディという先入観で観賞。 はじまりはじまり~。 ・・・・んーーーー!?超怖えぇ・・・。怖い。怖い。!!ひゃぁああ、見つかるー! なんで「コメディ」がジャンルにあったんだー? と、謎だったのですが、なるほど。 いつの間にか「ホームアローン」状態に。 この映画のジャンルは 「ホラーのち、コメディ」 ですね。 本当に、気づいたらいつの間にか映画のテイストが変わっていました。 後半は爽快ですらあります。 それはそうと、この映画、なかなかの好き放題っぷりです。 ですが、なかなかの掘り出し物でもあります。 個人的には大好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-13 00:17:54) |
18. 学校
《ネタバレ》 このシリーズは3作全て鑑賞しましたが、1作目が一番好きです。 「学校」というタイトルに最もふさわしいのはやはり1作目だと思います。 この映画を今見ると、現代の教育現場はかなり深刻な問題を抱えていると痛感します。 福利厚生が行き届きすぎて、学生たちや保護者への待遇が手厚くなりすぎた結果、なぜかその恩恵を自ら手放す人々が増えているという皮肉が現代社会に起きています。 何も努力しなくても簡単に手に入るものを、人は大事にできないのかもしれません。 この映画では、先生も生徒も、それぞれが努力し、協力し合って「教育」という現場を作り上げています。だからこそ、見る人の心に訴えかけるものがあるのでしょう。 「教育」とは当たり前に存在するものではなく、必要とされてはじめて存在できるものなのかもしれません。 (※映画としては9点~10点なんですが、どうしてもこの映画の萩原聖人さんの演技だけ苦手なので、8点です。) [DVD(邦画)] 8点(2012-05-07 23:25:10) |
19. 監視者たち
《ネタバレ》 韓国のサスペンスなので、ごりごりのやつかと思ったのですが、割とポップでライトな仕上がり。エンターテイメント性の高い作品でした。とはいえ、あくまで韓国映画にしては・・・、なので、仲間が死んじゃう衝撃的で辛いシーンがあったりもします。 好きなキャラだったんですけどねぇ。いいところでやられちゃって・・・。最後まで活躍してほしかったなぁ。エースだと紹介されていたし。このエースを瞬殺する影。ここまでの流れがほぼ完ぺき。非常にサスペンスフル。最高に面白い。 オープニングの採用試験からすぐ物語に引き込まれます。そしてその採用試験のときに、子豚(主人公)と犯人がニアミスしていたのも面白い。主人公が終盤、それに気づくシーンはドキドキです。 犯罪のプロ集団。警察の監視専門チーム。プロ対プロ。そしてチーム戦。否が応にも盛り上がります。 ハヤブサとかリスとかモグラとか、コードネームで呼び合うのもかっこいい。チームを動物園に見立てて、『開園』の号令で作戦開始なのがすごく良い。 そもそも尾行なんて地味な作業にスポットをあてて、かつこれだけスリリングにかっこよく見せてくれる映画はなかなか無い。 ただ、なんだろう、見終わった後の物足りなさ感は・・・。 多分、この映画、どちらかと言えば連続ドラマ向きだと思うんですよねぇ。 ストーリーの密度と映画の尺を考えれば、1人1人にスポットをあてるわけにもいかず。基本は中心人物達をメインにストーリーを構成。そしてそれはおそらく正解なんですが、この魅力的な登場人物たちを、1人1人のドラマや特性をもう少し丁寧に見たかったなぁと思う次第です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-27 06:04:55) |
20. 崖っぷちの男
《ネタバレ》 タイトルからはどんな映画か全く想像できなかったのですが、まさかのミッションインポッシブルみたいな路線。 最初は時系列も含め、何が起きているのか状況把握が大変。ですがわりと早い段階でストーリーの全体像が見えてきます。小難しすぎず、わかりやすい。軽い気持ちで見ても十分楽しめるエンタメムービーです。 登場人物は、悪人も含めみな個性があってキャラづくりは完璧。 実は父親の葬儀からこの計画が始まっているのだとわかってからは、もうずっとワクワク、ハラハラの繰り返しです。 冤罪系の映画ってやたら重かったり、深刻だったりするのですが、この映画はライトな感じ。冤罪を晴らすためだけにチームで動くっていうのは、ありそうでなかなかないんじゃないですか?だって自分には何のメリットもないのに、リスクを冒してまで他人の冤罪を晴らしてやろうなんて人はいないから。でも家族なら話は別。弟が目的のダイヤ以外には手を出させないのを見て、兄の冤罪を晴らすだめだけに動いているのだとわかり、『正義は我にあり』という気持ちで応援できるのが良かったです。 賛否両論あるみたいですが、父親のサプライズは個人的に最高でした。 欲を言えば、エド・ハリスがあの後どうなったのか、そこまで見せてくれたらベストでした。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-06-16 15:01:14)(良:1票) |