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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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21.  怪盗グルーのミニオン危機一発 《ネタバレ》 
 前作に比べてヌルいです。前作もヌルかったかもしれませんが、今作はそれに輪をかけてヌルいです。何しろ前作で「幸せになりました」ってところから、今回は「もっと幸せになります」ってだけの映画ですから。   グルーはすっかり丸く優しいパパに、3人の女の子達はそれぞれに暮らしを謳歌し、ミニオン達は相変わらず楽しそうで、この幸せそうな世界に、あと足らないものは、と言ったら?   という事で、この映画は新登場の一人の女性、エージェントのルーシーの視点で描かれてゆく感じです。この世界に仲間入りをしてゆく、この世界に受け入れて貰える女性の話というのが本体のように思えるのですよね。  そのために陰謀だの戦いだのはほんのエッセンス程度。前作では一応核として存在した敵役との攻防も今回は隅に追いやられ、物語は主にグルーとルーシーがその関係を築いてゆく事に費やされます。  グルーを一方的に倒し誘拐するという冷徹な登場の仕方をするルーシーは、仕事仲間となり、協力して信頼関係を築き、私生活に触れ、恋をして、と。そのルーシーの変化は単なるアニメキャラを越えて、一人の人間の移ろいゆく心を見る感じで魅力的です。  特にグルーのお見合いデートに遭遇したルーシーの、彼の名誉を守るための可笑しくも健気でカッコいい一連の行動には「なんていいオンナなんでしょ」って。   血の繋がりの無い者同士が集まって家族を形成してゆく『グルー』の世界が、今回、嫁として、母として迎えられる存在のための映画となったのは必然的な流れだったのかもしれません。見事な愛すべき世界への補完でした。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-16 23:05:45)(良:1票)
22.  神さまの言うとおり 《ネタバレ》 
 『悪の教典』みたいに殺されてゆく者にちっともキャラクターが与えられていない、という訳ではなくて、多くの登場人物にそれなりの特徴なり感情表現なりが存在しているのでまだ興味を持って見る事ができました。   でも、不条理な出来事に対して中途半端に理屈・理由付けをしている、論理性を求めているような気がして、それが必要なのかどうかという点で疑問。  非現実的な事件が起きている、その外側の世界の描写がどうしても冷めてしまうんですよね。巨大なキューブが空に覆いかぶさるとか、中継されているとか、「神の子」として崇められてゆくとか、ひきこもりを動かすとか、しまいには神様の登場だとか、それ、要りますか?  それらの要素が酷く映画を安っぽいものにしてしまっている気がします。そういう外側の視点を入れるのならば、もっと綿密に構成されているべきですし、中で起きている事に対する説得力のある考察が必要だと思います。  それが単なるエッセンス程度の半端なものであるがゆえに、中と外との不条理の対比が明確化されず、全体が絵空事と化してテーマがボヤけてしまう、という感じ。   主演の福士蒼汰くんが弱いかな。『フォーゼ』でのコミカルな演技は面白かったのですが、映画では演技がいつも一緒みたいな感じで。つーか、キャラが『僕が処刑される未来』と同じじゃない?みたいな。どちらも「生」を見失ってるし。  ヒロインの山崎紘菜ちゃんは「このコ大丈夫ですかいな?」って思っちゃうTOHOシネマズの予告前のアレに比べるとちゃんと生きてたので良かったです。アレはスタイリストさんとかメイクさんとか照明に問題があるのかな・・・   半端な描写で余計な事を考えてしまう映画で(世界中で起こった事だとすると、他の国でもだるまさんや招き猫だったのか否か、とか)、冒頭からいきなり事件が起きて否応なく巻き込まれてゆく簡潔な展開に比べ、映画が進むにつれてどんどん雑音が多くなってしまう感じが残念でした。不条理なままじゃダメ?
[映画館(邦画)] 5点(2014-11-21 22:53:01)
23.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
 予告編の印象から、もっとバカっぽい映画かと思ってたらとても熱く燃える映画でした。   まるで統一感のない魑魅魍魎状態のキャラ達が支離滅裂、ドタバタなところから銀河を守るって共通の目的でぐわーっとまとまってゆく、その熱さ。  アライグマとか木人間とか、ネタにしか思えないじゃないですか。だけどこれがちゃんと熱いの、感動させるの。  主人公にしても、冒頭の母に対する想いがちゃんとクライマックスからラストで回収されて、カセットテープに収録された全編を彩る懐メロの意味にも感動して。   VFXを駆使した燃えるシチュエーションの戦闘シーンもたっぷり、飽きさせるようなヘタな脇道もなく、混ざり物だらけのように見えながらとても純度の高い娯楽映画なのでした。  こういう、作ってる人間が「こういうのがやりたいんだ!」っていうのがハッキリ見えてくる映画はいいなあ。   【追記】4DX版見てきました。やっぱりドッグファイトとの馴染みは最高です。画面に合わせて前後左右にガンガン揺さぶられる状態は臨場感抜群で突入シーンでの盛り上がりがこれ以上無いってくらいな高揚感。一方で格闘シーンなんかは微妙かも。三人称視点のもの1つ1つに衝撃を与えてる状態ってワリと不自然。水や風はそこそこ、光や煙の演出は蛇足っぽく、シャボン玉は上手く画面に合って。でも、何と言っても「泣かせる揺らし」があるのがこの映画での4DXの最大の特徴かも。『スター・ツアーズ』にだって「泣かせる揺らし」ありませんものね。
[映画館(吹替)] 10点(2014-09-14 19:46:45)(良:1票)
24.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
 今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。   暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。   加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。  「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。   シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。   原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票)
25.  鑑定士と顔のない依頼人 《ネタバレ》 
 「愛すらも偽れるのか?」とクドく語られておりましたし、家具を動かした云々だの、あのパーツがポツリポツリと出てくるあたりの不自然さからして、主人公が騙されているのは明白で、だけど、ああいう本当に愛の無い騙し方でしかなかった、っていうのは意外でした。もっと逆の、温かい方向で騙されてるのかな、とばかり思ってました。   となると「二次元コンプレックスのおたくがリアルに興味持ったらリアルは容赦なくおたくから何もかも奪っちゃったのでした、リアルは甘くないのです」みたいな教訓めいた切ない話しか残らないわけで。   美しい肖像画一点一点の視点、決して鑑賞者に偽る事なくこちらに向けられた視線、それに魅せられてゆく男の姿、それを捉えるウットリするような映像の美しさ、二次元を愛し(絵画やアニメやマンガだけでなくて、もちろん映画ってメディアも含む)、主人公に気持ちをシンクロさせてゆく観客に対して冷水を浴びせる意地悪さ。   意味ありげなカフェの窓辺の女性もポイントになるのは単に記憶力のみという激しい肩透かしっぷり。   上手くノせられたと舌を巻くべきなのかもしれないけれど、ここはやっぱり性格の悪い映画だなぁ、と思いたいです。   ラストで回想の中の回想という創作上のタブーを犯してまで描いたのは「それでも愛の思い出を抱きしめて余韻を生きる主人公の姿」ではなかったような気がするんですよね。  警察署の前で逡巡した上で被害届を出さず、その人が現れるのを待ち続けた主人公ではありますが、時系列の最後は施設で廃人のようになって無表情でリハビリに励む姿なわけですから。いっその事、死なせてあげた方がまだ幸せなんじゃない?って。  私にはあのラストもひたすら残酷に思えたのでした。こんなんじゃ、ますます二次元に逃げたくなっちゃいますよ。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-26 21:19:57)(良:1票)
26.  華麗なるギャツビー(2013) 《ネタバレ》 
 この映画のオリジナルな良さ、という点においてなんか微妙な感じがして。   秀逸なのは街の人々の生と死を見おろす眼科医の看板の目なのですが、あれは原作から存在しているものなので(ちゃんと宝塚版にも存在してますし)、忠実な映像化以上のモノではない気がしますし。   バズ・ラーマンのチカチカするような賑やかな画、あの紛い物みたいなインチキくさい作りが好きではあるんですが、それが今回は必ずしもいい方向に転んでいるとは思えないんですよね。  今回はむしろちゃんとした時代設定の元で、忠実にアール・ヌーヴォーからアール・デコへ至る美術で飾られた世界が見たかったです。   ガチャガチャと賑やかなせいで、妙に全体がペラペラな印象で、ギャツビーがやたら幼稚な人間に思えてしまいました。  金や地位に群がる連中の空疎なから騒ぎは(過剰なくらいに)描けていても、その間に吹く虚しいすきま風や本心から求めていたものに関する描写は通り一遍な感じが無きにしもあらず。  ギャツビーが手を伸ばし掴もうとしていた緑色の光、あれがもうちょっとだけギャツビーと観客を誘う役割を担っていたら良かったように思います。   それにしても最近のディカプリオはどうもジャック・ニコルソン化してきているような気がして仕方ないです。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-14 21:15:06)
27.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
 「上映時間が長いのと、絵がちょっとヘタなのが難点だけど、味はあるし、静とダイナミズムとのメリハリがあって、なんか悲劇的な部分のウエイトが大き過ぎる気はするけれど、それでもこの素晴らしい世界ってテーマはいいんじゃないかと思いました。」   という感想で済むんですよ、作品部分のみをきっちりと切り取れば。だけどジブリの看板ぶら下げて、大量の資金を投入して、大量のアニメーターと下請けスタジオがこれを組み上げた、ってのがメジャーメディア作品としてどうしたって耳に目に入っちゃうわけじゃないですか。  となると「で、これなの?」って。   もちろんタッチの縛りそのものは作品世界を決定付けるものとして大切ですが、大勢のウデのある人々がわざとヘタな味を出してるわけじゃないですか。色がちゃんと塗れてないのも線がカクカクしてるのも全部わざと。それはこの作品にとって果たして最良なのか、最高なのか?って。   子供文学のアニメ化作品で言えば『まんがこども文庫』の作品ごとの凄まじいタッチとか、東映が積み重ねたまんが祭りの諸作とか(あ、『ワンピース』とかの近作は別として)、いや高畑作品で言えば『赤毛のアン』第一話の衝撃とか、そこら辺を確かに経た、積み重ねた日本のアニメーションが、その叙情性ではともかく、物量主義によるこのタッチでこれが到達点です、って言われてもねぇ。  『SHORT PEACE』と真逆のベクトルのようで実は同種の「これみよがしのテクニックによるジャポニズム」臭く感じられてしまいましてねぇ。  大体「記号化された悪しき描写」はこれだけやってみせた世界にもしっかりと刻まれてしまっていて、結局はその呪縛から逃れられてないじゃん、って。   大予算&CGでショボい特撮を再現してみせた『マーズ・アタック!』みたいなモンで、お月様からの使者だけに『ムーン・アタック!』とでも形容しましょうかね。
[映画館(邦画)] 6点(2013-12-27 21:41:19)
28.  ガッチャマン 《ネタバレ》 
 ぼくがおたくになったのは『ヤマト』でも『ガンダム』でもなく、『ガッチャマン』のせいです。なのでぼくは『ガッチャマン』にとくべつなおもいいれがあります。『ガッチャマン』はいつもてつじゅうメカとたたかうおはなしでしたが、そのはいけいにはかなしいドラマがたくさんありました。それにすっかりみりょうされました。   そんな『ガッチャマン』がえいがになるというのでたくさんのふあんとちょっぴりのきたいをいだいていました。   今日見たえいがは、なんだかとてもざつでいいかげんなつくりでした。えいぞうやエピソードがとびとびでちっともつながってなくて、いちいちとうとつです。でもしんせつにセリフでぜんぶせつめいしてくれます。だからとてもセリフがいっぱいです。  あと、たいへんなときにラブラブなおはなしをしたり、ピンチのときになぜかてきから目をそらしたり、しんじゃいそうなぎりぎりの時までおはなしすることにむちゅうだったり、やっぱりゆとりせだいというのはちがうんだなぁってかんしんしました。   いろいろなことをつっこみたいえいがでしたが、なんといってもいちばんこまったのは、まったくちっともぜんぜんおもしろくないということでした。つくりてのあいがないというのはかなしいことなんだなあとおもいます。   やっぱりぜったい『ガッチャマン』のほうがおもしろいとおもいます。今日みたえいがはたぶん『ゆとり戦隊アホレンジャー』とかいうえいがだとおもいます。   それで『ガッチャマン』のえいがはどこでやっているのでしょうか?  それともえいがになるってゆめで見たのだったかな?
[映画館(邦画)] 1点(2013-08-24 22:50:50)(笑:6票) (良:3票)
29.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
 このところ、仕事中にぼーっと考えていた(仕事自体はルーチンワークなもので)事を幾つかの作品に分けて文章化しようかと。なのでこの作品については全面改稿します。   『風立ちぬ』にはジブリ作品としては初?、暗喩でなく明確にセックスを描いた初夜のシーンがありますが、思わず苦笑してしまったアレは絵として『風の谷のナウシカ』でテトを守るためにナウシカが胸を開いて中に導くシーンと全く同じなわけで。   つまりあそこはエロティシズムとは無縁の子を守る母の視点、「ここに来てお母ちゃんのおっぱいを吸いなさい」って事で。   宮崎アニメの女性像は明確に2つに分類されます。少女と母。男が守るのは常に少女の方で、その男を内包するのが母の役割。  そして、母ポジションのキャラはいつもおっぱいが大きく描かれてます(モンスリーとかクラリスとかナウシカとかドーラとかオソノさんとかエボシ御前とか。ちなみに悠子とかリサとかの母親失格な母親キャラのおっぱいは小さく描かれてるんです)。もちろん、少女から母へと役割を転じてゆく『ハウルの動く城』のソフィーのように両者の間に存在するキャラもおりますが。  毎度ロリコンとマザコンを明確に打ち出す宮崎アニメの潔さ(笑)   男は外では常に夢を追い、だけど家に帰ったらママの大きな胸に抱かれて眠りたい、今回の映画はそういう願望の集大成ってところでしょうかねぇ。なので、ゼロ戦がどうの、戦争がどうのではなくて、もっとそれ以前の話。普遍的なようでミニマムかな。  それが宮崎アニメの魅力なのかもしれないですし、そしてそれを頂点とする今の日本のアニメの限界。   よくアニメファンは海外アニメを見て「外国人は萌えが判ってない」とか言いますけど、盲目的にソコに停滞しちゃってる童貞臭漂わせた状態が正しいとでもいうのでしょうかねぇ?
[映画館(邦画)] 6点(2013-07-22 15:00:31)
30.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
メイン3人は性格の違いこそあれ、いずれも「メモを取る事によって計画を立てる人間」だったりします。そのメモは設計図でありシノプシスでありプロットであり台本であり、つまりそれぞれが「そういう人を演じる事」を常に前提として生きている訳です。日頃から演技をして生きている3人が、更に違う人間の演技をするハメになるというのがこの映画のポイントで、そして見どころなんじゃないかな、って。誰だって多かれ少なかれ日常の中で自分を演じている訳で、でも、じゃあ演じる必要のある無しってどう判断すればいいんだろう?自分にとって大切な事はその演技の中と外とどちらに存在するんだろう?と。そんな日常の中の「人間としての演技」を面白おかしく拡大してヒネって見せてくれるこの映画、大変に楽しませてもらいました。記憶を無くした殺し屋、彼が模索する「自分」に対する違和感が生み出す笑いを香川照之が絶妙な演技で醸し出します。脚本上の仕掛けも上手く機能していてスキが無く。ただ、ちょっとヤクザ部分にザラついた感じがしてしまったのは荒川良々という、およそヤクザの親分には見えない人を起用したためでしょうか。逆に妙なリアリティが出てしまって、このお伽話の世界からややハミ出しているようにも思いました。あと、堺雅人は毎回困った笑顔だけで通っちゃう役柄ばかりですね。も少し幅は無いのかな? 何はともあれ見終わって素直にああ面白かったと思えたこの映画、脚本と、そして何と言っても香川照之の勝利ではありました。
[映画館(邦画)] 8点(2012-09-28 23:39:14)(良:1票)
31.  崖っぷちの男 《ネタバレ》 
画面から片時も目が離せないって感じでとっても面白かったです。何も判らない状態から1つ1つ映像を重ねて1つ1つ謎が明らかになっていって。その薄皮を剥いでゆくようなエピソードの積み重ねに惹き付けられます。そして事実が(ほぼ、大体)明らかになってからは上手く行くのかどうかのサスペンスにハラハラして。ツッコミどころは多めですしクライマックスが結局は力技と運による解決っていうフツーな状態になってしまっていたのは残念でしたが(せっかくあそこまで作戦練ったのだから、あくまでその作戦の枠の中でスッキリ終わらせて欲しかったな)、オチの「そう来たか!」ってところまで含めて単純に「ああ、楽しかったわぁ」って。サム・ワーシントンってちっとも顔が覚えられないくらいにジミな感じがしないでもないのですが、こういう題材にはむしろ合ってるかも。一見弱々しい自殺志願者って。個人的には『ショーシャンクの空に』や『ダイ・ハード2』で個性的なカオを見せてたウィリアム・サドラーが今回もまた個性的なカオで印象に残りました。主役が一つ所からほぼ動かないサスペンス映画としては『裏窓』の系譜に分類されるのでしょうか。こちらはずっと窓の外側でしたけどね。
[映画館(字幕)] 8点(2012-07-08 13:07:03)(良:1票)
32.  カウボーイ&エイリアン 《ネタバレ》 
インディ・ジョーンズと、その元ネタとなったジェームズ・ボンドが共演し(初代との共演が『最後の聖戦』ならば、こちらは最新ボンド)、『未知との遭遇』のように空を見上げる人々、空の光、『宇宙戦争』のように巻き上げられる人々、父と子の物語、言葉でのコミュニケーションが上手く取れない人々が意識で連帯してゆく、ついでに女性としての魅力に薄いヒロイン等、この映画はスピルバーグ的エッセンスで溢れています。が、いかんせん映画そのものの出来がとても薄味。物語的に面白い仕掛けがある訳でもなければ、刺激的で斬新なビジュアルがある訳でもなく(西部劇とSFという、ビジュアル的に大きなハッタリをカマせる設定なのに!)、予想の範囲を下回る凡庸な物語が退屈に続いてゆくばかり。大スターを起用したビッグバジェットの映画ではありますが、この脚本ならば低予算のB級映画でも大丈夫なレベルでしょう。クレジットされていた大勢の脚本家達(調べたら8人!)は一体何をしていたのやら。「このカウボーイ、敵か味方か?」って予告編のキャッチフレーズに『エキセントリック少年ボウイ』の「♪敵か味方か、カーボウイ♪『敵かなぁ?味方かなぁ?』」って松ちゃんのキャラを思い出しましたが、そもそも映画の方は敵も味方もへったくれもなくって、人物の背景に興味を持てるだけの物語でもなかったのに萎えました。スピルバーグ諸作リンクな部分だけは楽しめたので、点数はこんな感じで。
[映画館(字幕)] 5点(2011-10-30 16:19:51)(笑:1票)
33.  神様のカルテ 《ネタバレ》 
櫻井クンのおばさんパーマがヘン!っていうのが予告編での印象でしたが、本編見たらキャラごとヘンでした。文学志向の強い浮世離れした医師って設定で通すのが、いくらなんでも無理過ぎ。そのヘンさに付き合う形で妻もヘン、住まいの人々もヘン、って。時代錯誤も甚だしく、幾らなんでも今時あり得ないって!って状態で。よくもまあ、あんな虫酸が走るようなセリフを平然と吐けるモンだって、ツッコミ入れるよりちょっと気持ち悪く感じるレベル。それに呼応するように物語もまた今時こんな古臭い題材のみでよくもまあ物語1つ作れるなぁ、って状態で。医術と情の間で揺れ動く医師、患者への思い入れ、患者死んじゃって悲しい、って、いやいや、それは今の時代に普遍性とかいう言葉でまかり通るようなモノではありませんよ?みたいな。とにかく、キャラにちゃんと魂が入ってない気がするんですよ。映画見ていて、いつまで経ってもキャラに愛着も共感も湧かないの。みんなの生い立ちや生活環境が説明不足過ぎって点も問題があるんですが、そういうつまんないキャラとして設定した上で、でも実は、ってところをちゃんと組み立てる事ができてない感じで。この映画である程度、活き活きと生きたキャラになってるのって看護師ばっかり。池脇千鶴の、ちょっと生々しい存在感なんか良かったです。んで、あとは風景を捉える映像が良かった、って、それだけ。こういうダラダラした映画を作るんでなくてさ、もう少し今の時代に見えてるリアルな医療の現場の問題ってのをしっかり反映させて欲しかったと思います。自分も医療とか病院とか医師とかに悩まされた経験があるワケで、なんかこの映画、とってもヌルく映るのよ。
[映画館(邦画)] 4点(2011-09-01 21:18:33)(良:1票)
34.  カンフー・パンダ2 《ネタバレ》 
前作は擬人化された動物達が、なんだか妙にマジメにカンフー映画してみましたって感じがどうもしっくり来なかったのですが、今回はアクションシーンに高低差やスピード感を駆使した様々なパターンを盛り込んで全く飽きさせません。前作が『酔拳』のアニメ版ならば、今回は『プロジェクトA』のアニメ版みたいな感じで、スケールも大きくなって。ただ、主人公を苛ませる過去の暗い記憶は、映画全体のトーンを重くしてしまっている感じがしますし、そういうドラマを堪能するほどにはキャラクターに魅力があるとは思えないのですよね。それは前作でも感じた事なのですが、今回、前作で既に作られたイメージがあるためか、パンダ以外にキャラクターをもう少し掘り下げてくれるという事は殆どしてくれてなくて。タイガーの過去が思わせぶりに暗示されはしても、それはまた続編で?みたいな状態ですし。元々ジャック・ブラックって人があまり好きではないがゆえに、その人に寄ったキャラクター造形であるって時点で上手く馴染めないのかもしれませんが。一方で映像表現に関してはもはや言う事のないレベルではあります。影絵タッチのオープニングとエンドクレジットの雰囲気もいいですし、本編の描き込まれたCG世界を3Dで駆け抜ける感じも見事。ドリームワークスアニメーションの3Dは効果的な見せ方を判っている感じで常に他より一歩先んじているように思えます。競いあって成長してゆくアメリカのCG業界は凄いなぁ。
[映画館(吹替)] 7点(2011-08-21 14:35:18)(良:1票)
35.  カーズ2 《ネタバレ》 
メーターが大変にウザいキャラなんで、そんなのが主役になっちゃってる状態が見ていてツラく。マックイーン主役でいいじゃん。前作では擬人化されたクルマに人間的なドラマを語らせるほどキャラにちゃんとした魅力が生まれてないって感じがしましたが、今回もまた同じ。擬人化されたクルマが演じるスパイアクションって、別にクルマである必然性がない気がします。キャラが単にクルマなだけで、この作品ならではの独自性のある、魅力ある物語が展開する、って訳ではないので、ワリとダレ気味。会話が空回りする、展開が空回りする、そんな要素ばかりで構成されていたら、そりゃイライラもします。黒幕は誰だ?みたいなミステリー要素はまるで謎として機能しちゃいない、無駄とも言える状態でしたし。上映時間をもっと切りつめてタイトにまとめたらまだ良かったと思うのですが。3Dの立体感は、ピクサーもやっとこさこのレベルまでは来たか、って感じなものの(『カールじいさん』『トイストーリー3』と、3Dの必然が薄かったですからねぇ)、もう少しレースシーンにちゃんと活かして欲しかったです。マックイーンと共に、レースの存在があまりに傍流過ぎちゃってて。日本語吹き替え版で見たので、エンドクレジットで大音響でフルに流れた『ポリリズム』が唯一の感動ポイントでした。
[映画館(吹替)] 5点(2011-08-02 21:07:16)
36.  ガメラ対大悪獣ギロン 《ネタバレ》 
ゴーゴーダンス。68年のメキシコオリンピック、中山彰規選手が鉄棒で金メダル。「嬉しいと眼鏡が落ちるんですよ」の崑ちゃん。当時の流行りモノで彩られた、時代を映す映画でした。子供の頃にテレビで何度も見たこの映画、ガメラとギロンがマトモに戦っているように見えなくて、モタモタしていてイラついてくる映画、ってシリーズの中でも自分の評価は低かったのですが、今見ればその時代性や造形に興味津々。低予算なのは判るとしても、スクリーンプロセス画面でずーっとスクリーンに同じ汚れが付いたままなのはさすがにどうなのよ?とか、それでもミニチュアセットは予算がないなりに頑張ってるとか。真っ二つに割れた宇宙船を溶接して中に子供を入れて地球まで送り届けるガメラの頭の良さは、もはや怪獣とかいうレベルじゃないって感じですが、考えてみれば平成ガメラだって『ガメラ3』の時には昭和ガメラ並みに人間臭い頭脳になっちゃってましたしねぇ。だけどギロンって大悪獣って前置きが付いてますが、実際は彼には善悪の意識もなく、単に本能だけで行動していたような感じで、なのでちょっと可哀想。悪い事してないのにボコられて。タレ目で意外と可愛いカオしてますしね。だけどだけど、やっぱり最終的にはダルい映画だって事は子供の頃も今も変わりませんでした。船越英二の出てくる部分なんか、本当は必要じゃないですもんねぇ。
[DVD(邦画)] 4点(2011-06-05 14:33:26)
37.  GANTZ:PERFECT ANSWER 《ネタバレ》 
今回も前作同様、また楽しませて頂きました。原作を知らないがゆえに、何がどうなってそういう事になってるの?っていう興味をずーっと引っ張って行って。もっとも、今回、そのワクワク感があったのは松ケン復活までの前半部分までかなぁ。星人との戦いの描写が少な過ぎではありましたが、地下鉄内での戦闘なんて笑っちゃうくらいの頑張りっぷりで。それが後半の、由里子嬢がターゲットになって、ってあたりから、ワクワクではなくてイライラが生じてきて。それまで星人をターゲットにしていたGANTZが彼女をターゲットに指定する意味が説明されてはいても納得はできなくて。そこで生じる葛藤や仲間割れもドラマになってゆかず、由里子嬢の「すげー生命力だな、おい」って末のドラマもニノがなんとなく流してしまってる感じで「それでいいの?」みたいな。あとね、蛇足ですが同じ週に『婚前特急』を見てしまっていて、清純なフリして猛禽なヒロイン、六股目だよねー、って感じに見えてしまったのがなんともかんとも・・・。で、結局のところ、星人って何? GANTZって何? ついでに山田孝之の存在意義って? っていうのが全然語られないままに終わっちゃったりするんですが、じゃあ、納得できなかったかって言うとそうでもなくて。死人が甦るっていう部分を始めとして結局のところファンタジーなワケで、最後も寓話としてキレイにオチてるんじゃない?と。前後編を通じて今の時代を映すファンタジーとしてイイ感じの作品として成立していると思いました。色々ガチャガチャとした映画ですが、ココロを語ってますもんね。
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-09 20:36:59)(良:1票)
38.  ガリバー旅行記(2010) 《ネタバレ》 
散りばめられた映画パロディとか様々な固有名詞の羅列によってアメリカンナイズされてゆく世界とか、笑えはするのだけれども、本当に見たいのはこういうモノとは違うよね・・・って感じで。現代アメリカを基準に翻訳された物語は、視野がアメリカのライフスタイルに限定されるがゆえにあまりに表現の幅が狭く、その上ジャック・ブラックという俺様的個性の強い存在が更にそれを狭めているようで、普遍性などとは無縁の一発芸映画。ここまで矮小化されて一過性の作品として送り出されてしまうと、もう少しちゃんと作ろうよ、って思ってしまいます。ファンタジーですからサイズの違いによる質感の差なんてところまで拘ってケチ付けるつもりはありませんが、CGのレベルがやたらに低い(お姫様を救って掌に乗せるシーンやロボットに吊り下げられるシーンでの不自然な合成っぷりは前世紀レベル)あたりも「ちゃんとしてない映画」って感じを醸してしまって。それに短すぎな上映時間はキャラクター造形もドラマも世界の背景も全てが申し訳程度にしか描かれず、映画全体が目の前をササッと通り過ぎていったようで。ガリバーが触れる驚異の世界を、最新技術できっちりがっつりと見せてくれる「ちゃんとした映画化」が良かったんだけどなぁ。それでも退屈はしなかったのでこの点数で。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-21 20:59:28)
39.  GANTZ 《ネタバレ》 
あんまり期待していなかったのですが、かなり楽しめました。グロな描写は全く好みではありませんけど、原作を読んでいない事もあって、単純に「一体どうなってるんだろう?一体どうなるんだろう?」ってワクワクできたのが良かったのだと思います。そりゃ、不自然と言うかツッコミどころは多々ありました。転送されるタイミングに差があるのが意味不明とか、博物館での戦闘で松ケンが前に出てるニノがジャマ!って言ってたけど、あんだけのサイズの敵に対してジャマもへったくれもなくね?とか。千手観音を動かすのならば、ハリーハウゼンへのリスペクトの1つも入れて欲しいところですしねぇ。手以外、ちっとも動かねーでやんの。CGのレベルは全体的に低めだし。特に転送時に体が上下に動くと途端に不自然になっちゃう。だけど、特異な状況に置かれて否応なく戦いを強いられる人々の物語、その不条理っぷりはドキドキさせられますし、絶対的に不足気味ではあっても、一人一人に与えられたドラマにも興味が湧きますし、そして、最初から最後まで全く退屈しませんでしたし。現代社会での個人の繋がりの希薄さを象徴しているのかな?みたいな感じの寒々しい描写の数々が良い感じでした。もっとも、友人が「ヒロインの事を気に入って作品的にも評価しちゃうんじゃね?」とか言ってましたけど、まあ、その通りさー。ぴったりコスがね、なんとも。お兄ちゃん達のムキムキモードは笑っちゃうケド。
[映画館(邦画)] 8点(2011-02-14 21:36:55)
40.  川の底からこんにちは 《ネタバレ》 
シニカルなコメディに思えつつ、実はポジティブな開き直り映画。「しょーがない」が口癖なヒロインの、主体性ゼロで、周囲に流されに流され、どんどんダメになってゆく様はブラックな笑いの世界ではありますが、満島ひかりの存在感によってダメ人間的な鬱陶しさは回避され、共感と愛着を抱けるキャラになっています。周囲みんながダメで、世の中のせいにしたところでダメなものはダメで。落ちるとこまで落ちたヒロインがコロリと開き直ってオバちゃん達の前で本音を曝け出すシーンでの不器用な喋り、そして新しい社歌の熱唱、それはもちろん笑えるネタなのですが、なんと言うか熱く感動的な笑い。それまでネガティブな笑いだったものが、ここでポジティブな笑いへと転化する、その切り替わりが良いです。「しょーがない」のは変わりないけれども、「しょーがない」から諦めるのと「しょーがない」から頑張るのとでは、当然後者の方がマシだよね、っていう、シジミのパック詰め工場から現代の疲れちゃった日本に向けた熱いメッセージ映画なのでした。父親を亡くしたり、叔父の店の後継者話でアレコレ、って状態の今の私にとっては、とても他人事とは思えない映画ではありました。もっとも私は「中の下」ではなくて「下の上」くらいかな?と思ってたりしますが。
[映画館(邦画)] 8点(2011-02-07 21:27:14)(良:2票)
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