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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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61.  カリフォルニア・ダウン
これは、父と娘の関係がうまく描けなかった作品の一例でしょう。というか、このいかにも中途半端な人間関係は、作品を盛り上げるのに大した貢献をしておらず、およそ余計なだけ。 離婚して他の男性と新しい生活に入ろうとしている元妻、そして娘。なーんだかお互いに気を使って、ぬるーい関係。それとは別に何やら暗い過去があるらしいのだけど、それにしてもヌル過ぎて、作品を通じヨリを戻していく過程ってのが、およそ無いに等しい。まあ、この主人公の筋肉男ロック様に、影のある役は似合わないから、この程度の踏み込みでよいのかも知れませんが。 しかしその新しい夫というヒトが、娘から嫌われるためだけに登場するのもよいとしても、あからさまに「アイツは私を見捨てて逃げた!」ってのも、どうなんでしょ。要するに、この娘は「父たるもの、私を助けて当然」だと、ここで宣言してしまう。あるいは、父のおかげでレスキューについて妙に詳しいらしく、ここにもヘンな父親礼賛の姿勢のレールが引かれてしまってる。この設定だって、もうちょっと「イザという時」に出し惜しみするなりしていれば、もう少し盛り上がったのでは、という気も・・・。 で、主人公はムキムキにも関わらず、基本的には肉体よりも乗り物を駆使して、家族の救出に向かう。中盤、他人のピストルを奪う場面もあったのに、それを後で使う訳でもなく、比較的すべてが順調。この大災害にどれだけ多くの人々が巻き込まれたか、という「人数のスペクタル感」を削ぎ落してまでも(これ自体、寂しいものはあるけど)、主人公の個人的な枠内に作品を限定して、そこに熱いなり冷たいなり狭いなり、あるいは怖いなり、個人に関わる描写をこれといって盛り込めなかったのは、これはさすがに、イタイでしょう。CGは確かに見事ですが、ちと虚しい。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2016-04-10 10:35:56)
62.  仮面/ペルソナ
いかにもヘビーな音楽が、「この映画、難解だよ~」って、言ってますね。  何もだからって身構えることはなくって、例えば、「ああ、この映画は、観ながらストーリーを追う必要はないんだな」、とか。  でもやっぱりわかりにくいのは、主に二人の女性しか出てこないんだけど、この二人にあまり特徴的な差がなくって、最初観たとき、ちと混乱しました。ストーリー追わずに画面に集中、とか言いながら、この程度かよ、自分は。ま、髪の長い短いあたりを目印にして、かろうじて区別する。  いや、混乱する理由はもうひとつあって、片方の女性は精神的な病で静養中の患者、もう片方の女性は看護婦、という立場なのに、看護婦の方がしきりに過去を語る。どっちがカウンセリング受けているんやら。  いや、実際、この映画は、この二人を融合するように、いやむしろ一人の人物を分裂させたように描いているみたい。なーんてことは、本作についてもうアチコチにアレコレ書かれているので、そちらを読んでください。私にはよくわかりません。 ただ、ラストが近づくにつれ、二人のやりとりは、血をすするやらシバキ倒すやら、愛憎のイメージそのものと化していきます。んで、終盤はセリフがなくなり、よそよそしい空気の中、二人それぞれの姿が描かれる。 なんだかこれが、「映画の中へ帰っていく」というイメージ。では本作は、映画から飛び出してきた世界だったのか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-04-04 21:04:00)
63.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
これは、宮崎駿監督がニュー・シネマ・パラダイス(特に完全版の方)を作ったらこうなっちゃうよ、という作品でしょうかね。 向うが映画への愛なら、こちらは空への憧れ、いや、空を飛ぶ飛行機の「美しさ」への憧れ。それも、この作品の主人公たる二郎さん、トト君よりもかなりタチが悪い。トト君の場合、ベースとして幼少期以来の映画への愛があったとしても、そこにアルフレードさんとの交流があり、少女エレナとの恋愛がある。だけどこの二郎さん、基本的に飛行機のことしか頭にない。それでも女性には優しかったりして、それも別に打算がある訳じゃなく本当に優しくって、それでもやっぱり飛行機のことばかり考えている、こういうヒトが一番、罪作り。 終盤で、病の奥さんが最後に布団をかけてくれたことにも気づいていない。この場面で、奥さんが寝顔から眼鏡をはずすのが印象的でした。そういや作品自体も、子供時代の二郎さんが眠って夢を見ている場面から始まったんでしたっけ。このヒト、何かとよく寝てる。そして飛行機の夢ばかり見てる。 何よりこの二郎さん、最後にはすべてを失いながら、まるで後悔も反省もしている気配がない。ニュー・シネマ・パラダイスより、はるかにはるかに重症です。 これが宮崎駿というヒトの一面なんだろうなあ、と。ホントに怖いヒト、その怖さが、他人を感動させる。 という自覚症状に向き合い、それを描ききった、総決算のような作品、なんですかね、これは。
[DVD(邦画)] 9点(2016-04-04 19:13:59)(良:1票)
64.  カオス(2005) 《ネタバレ》 
深夜放送をほとんど手違いで録画してしまったのを、一応は観とこうか、と観てみたらこれが面白かったりするから、映画は怖い。 結構、丁寧に伏線を散りばめながらオハナシが作られているもんで、かえって、ジェイソン・ステイサムが爆死したあたりで真相がほぼ予想できちゃったりもするのですが(そうなると、予想が当たって欲しい気持ちと外れて欲しい気持ちが、ざっと6対4くらい)、だからって作品がつまらなくなるワケじゃない。よくできたミステリは再読に耐える、とも言われる通り、やっぱり、「それをどう描くか」に作品の魅力がかかってる。意外な真相に驚かされたミステリに対して感じるのは、心地よい敗北感。しかし、真相が予想できてなお、その心地よい敗北感を感じることだって、あるんです。 伏線はうまく張られているし(真相への手がかりという意味に限らず)、それに、登場人物が主役も脇役もいい顔してます。ジェイソン・ステイサムの意志が強そうでいてどこか影のある顔、ウェズリー・スナイプスのふてぶてしい存在感のある顔。ライアン・フィリップは修羅場を潜り抜け顔に傷を作ってだんだんいい顔になっていき、後半、作品の中心に収まっていく。その他の警察の人々も、イイ感じにストーリーに絡んで。ただ、女性刑事を演じてたジャスティン・ワデルという女優さん、とてもカッコよくて綺麗な方なのですが、それだけに何となく、このヒトだけこの物語の中で収まりが悪い気もするのですが。 それにしてもカオス理論って、そんなんだっけか?
[地上波(吹替)] 7点(2016-04-03 12:17:39)(良:2票)
65.  カウボーイ 《ネタバレ》 
ジャック・レモン演じるホテルマンが一念発起、強引に牛追いの仲間に入ったはいいけれど、住む世界があまりに違い、何かとトラブルに見舞われる。出だしこそ、いかにもコメディタッチですが、牛追いの生活は生死紙一重の厳しい世界。何ともガサツな連中で、主人公も戸惑いが多いのですが、そりゃガサツにもなろうってもの。そういう牛追いの生き様が、グレン・フォードの表情、行動、セリフに、よく描かれています。死んだ仲間への弔辞なんか、何ともいいんですね。暴れ馬を押さえつける場面、グレン・フォード自ら演じているのでしょうか。猛牛との対決はさすがに代役でしょうけれど、危険さがよく伝わる迫真の場面です。もちろんスタンピード・シーンもあります。という数々の場面があってこそ、ジャック・レモンがだんだんガサツになっていくところも説得力があるのですが、まあ結局のところ、牛追いの世界にこれぞという合理的なルールがある訳じゃないんですね。でもやっぱり、牛がいてこそ自分たちの生活があり、牛を大事に思う気持ちが、互いの気持ちを通じ合わせることにもなり、牛追いの仕事のおかげでまた生活に楽しみも見出せる。ラストはまたホテルに舞台を戻してユーモアたっぷり。シャレてるんです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-12-12 09:29:07)
66.  限りなき追跡 《ネタバレ》 
主人公のロック・ハドソン、映画始まって早々、乗っていた駅馬車が悪党どもの襲撃を受け、許嫁を拉致される。彼本人も射殺され。って、それじゃあ映画の先が続かないので、とりあえず何故か、彼は死んでませんでした、ハイ。死んでなかったのでとりあえず彼は、悪党どもの追跡を始めます。というこの時点でもう、だいぶ理不尽な作品ですね。そこがスゴイところ。悪党のリーダー・スレイトンは、これはもうかなりのワルといった感じで(フィル・ケイリーという俳優さんですが、ちょっとチャールトン・ヘストンに似ていなくもなく)、お坊っちゃん顔のロック・ハドソンでは到底かなわないだろう、と思うのですが、さにあらず。主人公の方には(スレイトンを恐れて簡単には協力者が得られないにも関わらず)気がついたら妙な仲間が増えてきて、一方のスレイトンの方は仲間割れやら何やらでだんだん分が悪くなってくる。よせばいいのに、人質交換的に、主人公の許嫁を解放してしまい、逆に一度は殺そうとした元仲間を呼び戻すも、あっというまに射殺(この場面、許嫁と再会した主人公を画面が映しつつ、画面外からの銃声で表現される。これがなかなかのインパクト)。こうなりゃもう、悪党には滅びの道しか残っていない。主人公にタコ殴りにされた挙句、銃を拾い上げ一発逆転!と思いきや、卑怯にも後ろからの投げナイフ攻撃で、あわれ昇天。あの不敵な表情の悪党が、だんだんダメダメになっていって、ダメダメな斃され方で終わっちゃう、という感じ。もちろん主人公の執念の追跡劇が見どころの映画ではありますが、一方なーんかものすごく皮肉も効いている、不思議な味わいのある作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-09-30 23:26:19)
67.  ガンマン大連合
一体どこが大連合なのやら、というのはさておいて、これは出色のマカロニウェスタン、シビれます。フランコ・ネロ演じる主人公ヨドは武器商人、彼がメキシコ革命軍のモンゴ将軍から受けた依頼は、トーマス・ミリアン演じるヴァスコとともに、サントス教授なる人物を連れ帰ってくること。このサントス教授という人、非暴力主義を唱えつつも、メキシコ革命において勢力の一角をなす人物で、シンパがいたりする。という訳で、ヨドとヴァスコのつかず離れずの関係に、さらに教授シンパのオネーチャンが絡み、そしてさらには、彼らを付け狙うジャック・パランスの、これでもかというくらいワルそうな顔。さまざまな人物が見事に個性と存在感を発揮し、いろいろなエピソードで映画を盛りあげてくれます。いやホント、みんな、いい顔してるんです。だから盛り上がる。なぜヨドがコインを自分にくれたのかヴァスコがこだわるのも、いくつかの伏線にもなってて(あるいは、大した意味は無いともいえる)、面白いところです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-07-23 22:39:18)
68.  狩人の夜
不思議な作品。内容的には、一種のサイコサスペンスでして、宗教の仮面を被ったシリアルキラーたるロバート・ミッチャムが、隠された金を目当てにやってきて、未亡人を洗脳してしまう。そして金のありかを知る子供たちを執拗に狙い、子供たちは身の危険を感じて・・・ってな感じ。だけど、サイコサスペンス路線へ一直線、という訳ではなくって、もっと奇妙な味わいがあります。サスペンス描写に的を絞るんなら、もっと子供の視点に限定することで(つまり子どもたちの知らない「何か」が行われていることを匂わせることで)ロバート・ミッチャムの怪しさなり、迫りくる危機なりを描くこともできたと思うのですが、そして実際、本作にもハラハラドキドキな場面が描かれてもいるのですが、必ずしもその方面へと徹底した作品では無いようです。サスペンスというよりも、一種の寓話であるかのような見通しの良さがあり、それがまた、何とも言えない不気味さにつながっているのが、本作の特徴。ラストも、解決したという感じがあまり無く(というより、安易な解決を求める我々を揶揄しているかのような)、かなりキモチワルイ作品です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-26 23:20:52)
69.  ガタカ
生まれつき「劣等」の烙印を押された男は、他人になりすまし宇宙飛行士を目指す。わずかな痕跡からも人物同定がなされてしまう未来社会。異分子である彼は、ひたすら「自分自身の存在を消すこと」によってのみ、存在が許される。うわーコレ、ツラい。何がツラいって、我々も社会生活を乗り切っていくにあたって多かれ少なかれ、そういう不自由、偽りの仮面を被って素の自分を隠し続ける不自由の中に、生きてる訳ではないですか。何とも身につまされますなあ。そういえば、同様に身につまされ系設定のSF作品『TIME/タイム』も、同じくアンドリュー・ニコル監督の作品でしたね。まあ何にしましても、本作の主人公、別に我々のように穏便に暮らしたいがために自分を消している訳ではなく、宇宙飛行士となる夢のために敢えてこの苦難に身を投じている、というところにドラマが生まれます。打ち上げられるロケットが遠くに垣間見える。この「垣間見える」ということが、主人公の憧れの気持ちを実によく表現しています。現実世界以上に厳しい設定の世界でありながら、ラストはいささか甘いものであるかも知れませんが、ただ甘いだけではなく、そこには犠牲を伴うという苦さもあって、余韻が残ります。それにしてもジュード・ロウ、「他人になりすまされる」役が、良く似合う・・・?
[CS・衛星(吹替)] 9点(2015-05-19 22:39:09)
70.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
冒頭、車から降りた少年は、まず木漏れ日を見上げ、次に視線を上から下に移動して草陰に動く「何か」を見る。この何気ない動きがいいですね。彼は小人の姿を見ることを望む。まあ、この「見たい」って欲望が、なかなかにイヤラシイ感じもしちゃうのですが、何度かもう少しで姿を目にしそうになりながら果たせない。この繰り返しが、ついに少年と小人の少女アリエッティが正面から顔を見合わせる場面を盛り上げるのだけど、このシーンが本当にイイんですね。ゾクッとくるのです。このゾクッとくるのは、イヤラシサとは違った感じ。見つめあった瞬間に風が吹き、背景の花が揺れる、あの美しさ。これぞアニメーションの魅力とでもいいたくなります。またこの場面に限らず、随所で見られる、とことんまで細かいアリエッティたちの動きにも作者のこだわりが感じられ、これも作品の感動に結びついています。そして、人間から隠れつつ人間に依存するだけの弱い存在と思われた小人、そのひとりであるアリエッティが、心臓病を抱え手術を前にした少年に、勇気を与える存在となること。「借り」とか「貸し」とかいう表現が妥当かどうかはわかりませんが、エエ話ではないですか。
[地上波(邦画)] 8点(2015-05-04 17:01:29)(良:2票)
71.  怪盗グルーのミニオン危機一発
子供がしきりに「ミニオンはどうしてみんなゴーグルみたいなのをつけてるんだろう」と気にしているのだけど、その前に、そもそもアレはどういう生物なのか、という疑問を持つのが先だろう、と。でもそういう疑問は持たない。いいことです。この第2作、1作目よりもさらにナンセンスを徹底。一応、第1作は子供たちとの交流だったから第2作は女性との交際、という訳なんでしょうが、正直どうでもよくって、とにかくバカバカしくって気持ちいい。「ウソ臭い動きをリアルに描く」CG描写もまた楽し。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2015-01-15 22:26:16)(笑:1票)
72.  艦隊を追って
アステア演じる水兵さんは元ダンサーで、元パートナーのジンジャー・ロジャースとばったり再会。彼女のお姉さんはいかにもダサい(というか、マニア向けというか)音楽教師、しかしそれなりの格好をすると(予想通り)美人になって、アステアの同僚が一目ぼれ。で、騒動とも言えぬ他愛のないアレコレが巻き起こる訳ですが、オハナシ自体はあまり飛距離が無く、無難に収束してしまいます。例えば、アステアがロジャースのオーディションを援護射撃しようとして逆にブチ壊しにしちゃうエピソード、もっと引っ張ってもっと盛り上げてもよさそうなもんですが、その場限りのギャグに終わっちゃう。他のエピソードも大体そんな感じ。でもこれはもちろん、ダンスミュージカル。物語に緊張感がない分、物語に束縛されることなく、のびのびと、歌がダンスが、たっぷり繰り広げられて、やっぱり観てるだけでつい顔がほころんできます。さらには澄ました顔でピアノの見事な腕前を披露するアステア(ホントにスゴイんだこれが)。憎いね、このヒト。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-27 20:47:08)
73.  カールじいさんの空飛ぶ家
この映画、たまらないほど面白くって、本当によく出来ていて、こうも出来すぎていると、観てから日が経つにつれ、ちょっと腹立ってくるというか、何かケチのひとつもつけたい気持ちになってくるんですが、いやいやここは、最初のあの感激を大事にしようではないか、と。素晴らしいです。面白いです。家が飛ぶんです。そりゃわかってるってか。家が飛んで冒険の旅に出るファンタジー。と思いきや必ずしもそううまくはいかない。空を飛ぶ自由どころか、途中からカールじいさんはむしろ、家に体を縛り付け、不自由極まりない。うまく飛ばなくなった家は、しかし、古い昔の思い出(家財道具)を捨て去ることにより、再び空に舞い上がり、自由を手に入れ新しい旅が始まる、というのが本作のキモ。勿論、思い出をただ乱暴に捨て去るのではなく、亡き妻との大事な思い出(椅子)は、そっと丁寧に置いて行く優しさが、ホロリときます。たとえ直接には願いが叶わず冒険の目的地には達し得なかったとしても、何らかの形でそれが実現する、ってオチもいい。作中に登場するアイテムがモチーフとして繰り返し使用される物語運びも上手い。上手過ぎて、やっぱり腹立ってきた(笑)。とにかく、一種の寓話ですけれども、作品が理屈っぽくならないのは、やはり奇想天外な映像の魅力ですね。家を吊り上げる大量の風船は壮観だし、擬人化された犬たちのやりとりも楽しいし。 ※初めて「自分の子供に勧められて」観た映画です。
[地上波(吹替)] 9点(2014-10-09 22:45:44)
74.  顔のないスパイ
脚本家出身の監督らしく、脚本がよく出来ています。だからアクションも映えるし、サスペンスとしても上々。まず登場人物の行動である「アクション」が先行し、物語の真相たる「意味」がそれを遅れて追いかけ、後から与えられる「意味」が次の「アクション」を多義的でサスペンスあふれるものとする。要するに、物語が、「あ~そうだったのか~」と思った時にはすでにその先へと進んでいて、とにかくワクワクさせられるんですな。で、激しく追い上げる「意味」がついに、クライマックスにおいて「アクション」に追いつく。だから盛り上がる。たとえその真相が、荒唐無稽で「そんなんありえへんやん」というものであったとしても。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-07 08:50:48)
75.  蒲田行進曲
ウチの子供たち(小学生と幼稚園児)が、この作品、やたら好きなんですけどね。一体、何考えてんですかね。本作、いかにも“舞台”なんです、と言わんばかりに、オーバーな演技が目立ってしまうのですが、これはきっと、舞台ならではの役者の熱っぽさを、映画にそのまま、取り入れようとしたものでしょう。“役者バカ”を描いた作品なのだから。これに呼応して、映画の描写もまた負けじとコミカルでオーバーな演出となっていて、滑稽でどこか哀しいバカ騒ぎ。何よりも魅力なのはやはり、登場人物たちの愚かしいまでの一途さ、ひたむきさ、ですね。物語の中心にいる3人もさることながら、蟹江敬三監督や清川虹子ママの存在も、負けず劣らず忘れ難い。みな一途、素敵なまでにバカ。それにしても、蒲田行進曲、なのに東映京都。なのにやっぱり松竹。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-23 23:05:32)
76.  GANTZ:PERFECT ANSWER
前作は、「設定」というものに引きずられて硬直化してしまった、という印象。敵の奇抜さで何とか魅力を保ったものの、映画全体を通じて「本作の設定はこうなんです」と念を押され続けた挙句、そのまま終わっちゃった、という感じ。それに比べると、このPERFFECT ANSWER(なんだそうです)、話が変則的に広がり出して、その点では確かに楽しいのです。ま、敵キャラの魅力という点では前作の方に軍配が上がるかも知れませんけれども。電車の中や商店街といった日常に非日常的戦闘を持ち込む面白さは、前作以上でしょう。ただ。オチをつけようとした本作でより鮮明になってしまったのが、やはり、「死んでも生き返る」という“可逆性”の、つまならさ、です。まあ、神話性の体現として映画のクライマックスに一人くらい生き返る作品にまでケチはつけませんけれども、さすがにこのGANTZという作品、ここまで図式的にやっちゃうとマズいでしょう。盛り上がるものも盛り上がらない。映画の魅力って、基本的に、“変化”とか“非可逆性”とかの方にあって(引き返せない、取り返しがつかない)、それと対立しそれを強めるためにこそ“不変””可逆”が映画の中に配置されるのではないですかね(その逆も、ありうるかも知れませんが)。と言う訳で、このGANTZというオハナシ自体、どうも、映画というものと相性が悪いように感じてしまった次第。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2014-03-30 17:41:51)(良:1票)
77.  崖っぷちの男
ホテルの窓べりに立つ自殺志願の男。中空高い窓べりが舞台の宙ぶらりん状態、文字通りのサスペンスです。片や、窓の向こうの室内に詰める、彼を説得する警官たち。片や、地表から彼を見上げる野次馬の群衆。その両者との関連の中で描かれる彼の姿は、衆人環視の中の「開かれた密室」とも言うべきものですが、そこにさらに、同時進行的に進められる、とある計画が、もうひとつの流れとして加わってくるのがミソ。空の密室に閉じ込められた主人公の不自由さに引き換え、こちらの「とある計画」が、準備良過ぎるやろ、というくらいに完璧な装備で豪快に進められていく、この自由さが気持ちいい。もちろん、こちらも様々な障害にぶつかり、ハラハラさせられる訳ですが。そして何よりも、ずっと身動きとれない不自由な立場にいた主人公が、クライマックスでは飛び回りまくって、もう何でもアリアリの大活躍を見せる。それまでの展開とは対照的にここで主人公の大活躍が見せる最高の自由さこそ、痛快極まりない最大の見所ですね。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-03-29 10:42:09)
78.  怪盗グルーの月泥棒
性格のあまりよろしくない怪盗グルーが、子供たちとの交流の中で心を開いていく、という鉄板路線ではありますが(かつ、その過程の描かれ方は類型的で、コレといった特徴もありませんが)。一方で、怪盗グルーには、そういう定番の顔以外にも別の面があって、まず、ミニオンという連中(『親指スター・ウォーズ』のような顔してます)のリーダーとしての側面があって、銀行サマに頭を下げて出資をお願いするあたりはまさに中小企業の社長さん、だんだんグルーがタコ社長に見えてくる……ってな訳はありませんが、しかし、銀行サマの中の描写では、銀行の柱を銅像が支え、中には押しつぶされてる銅像もいたりする。このあたり、子供向け作品にしては、世知辛いというか辛辣というか。あと怪盗グルーのもうひとつの顔としては、宇宙旅行を夢見た少年時代の顔もあったりして。そういういくつかの顔が交錯しながら、月泥棒という壮大なミッションに挑む、という物語。さらには泥棒稼業のライバルとして、敵役のベクター(宮台真司のような顔してます)ってのが登場して、素晴らしいまでの粘着質を発揮し、とにかく楽しませてくれる作品です。もっとも、月を盗む、なんていうのは、壮大過ぎてかえってチープな感じのするネタですが、CGもそれを受けて、全体的にまるでミニチュア特撮を思わせるような、チープさを感じさせる描写をあえて取り込んでいて、なかなか芸が細かいです。
[地上波(吹替)] 7点(2014-02-02 08:26:16)
79.  仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z
仮面ライダーとスーパー戦隊の揃い踏みでも充分キツかったけど、さらに宇宙刑事と来た日には、もう好きにしてチョーダイ、と。さらにはキョーダインらしき2人やら(フォーゼの映画版でも見かけたが)、チョイ役登場も甚だしいイナズマンやら(外見はイナズマンより“せんとくん”に似てる気が)、果てはエンドクレジットの後には、あの泣き顔ロボットまで。いや何が来ても、もう驚きませんけれども。ただ、タイトルの極端な大風呂敷とは裏腹に、主な登場人物はかなーり限定され、小さくまとまってます。で、ラストでヤケクソのようにヒーローたちがウジャウジャ出てくるのですが、ここでも、全員登場させるのは見苦しいためか、はたまたスタントマンを集めきれなかったのか、ヒーローたちはお行儀よく、数回に分けて登場します。再度の組ともなると、もう夜になっちゃってます(ったって、ロケを一日でやった訳じゃないと思いますが)。夜なのに、ゴーバスターズの何たらいうマシンに召集をかけると、挿入される出動シーンの映像は使いまわしなもんで、ここだけ一瞬、昼間。このあたり、なかなか潔いですね。だからどうということもありませんが。さあ、洪水のように現れるヒーローたちの中に、あなたが昔お気に入りだったあのヒーローを、見つけることができるかどうか。ウォーリーを探せの要領で、どうぞ。
[DVD(邦画)] 3点(2014-01-05 16:17:02)
80.  カンパニー・メン
会社を解雇される人たちのお話が並行して描かれます。もちろん解雇されたら誰だってシャレにならないけれど、エリートである程、立場が上である程、その落差も大きくなる。中心的に描かれるのは、真っ先に解雇される中堅社員。演じるはベン・アフレック、冴えない役をやらせたら天下一品ですね。この時点で閉塞感バリバリの実に身につまされる作品が約束されております。奥さんや子供たちがしっかりしているが故に(だからこそ主人公もホントはもっとしっかりしなければならないが故に)切羽詰まった辛さが滲み出てます。中盤、主人公が家中のガラクタを出してきて妻の前で弱音を吐く場面で、ただでさえ曇った主人公の顔にはさらに木陰がかかり、ドヨ~ンとしているのに対し、涙を浮かべて彼の顔を見上げる妻の顔には明るい光が当たっていて、勇気づけられるのですね。いいシーンです。いい奥さんです。で、その後どうなるかってえと、脇役のケヴィン・コスナーが美味しい役柄を持って行っちゃうのですが(笑)。結局のところ、不安の現代に生きる我々、大きな成功を手にせず小さな不安の数々を抱えて生きるか、成功を手にしてひとつの巨大な不安を抱えるか。このラストがハッピーエンドと言えるか否かは、価値観にもよるし、気の持ちようにもよる訳で。そういう意味では、主人公がどんな選択をしようと、ハッピーエンドにでも何にでもなり得る、ということですな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-30 17:02:09)
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