1. 君がいた夏
今さらながら初見。タイトルはすごくいい感じ。ノスタルジック感満載の青春映画かなと期待したのですが、少々期待はずれでした。皆様ご推奨のジョディ・フォスターが、私にはやたら元気ではすっぱなアメリカン姉ちゃんにしか見えない。もっと主人公の印象に残るような、濃厚なドラマがあってもよかったんじゃないかと。デビッド・フォスターのいかにもな音楽で盛り上げてはいましたが、どうにも薄味な気が。まあ青春時代の思い出なんてこんなもの、と言ってしまえばそれまでですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-01-30 02:04:37)★《新規》★ |
2. 魚影の群れ
個人的に「舐めたらいかんぜよ」か深窓の令嬢かというイメージの夏目雅子が、まったく埒外のド田舎の市井の娘を見事に演じていたように思います。wikiによれば超多忙なスケジュールで、なおかつ体調が優れない中での撮影だったそうですが、そういう様子を微塵も感じません。さすがプロというか、生粋の女優さんだったんですね。 で、無骨で単純な物語もいい感じ。緒形拳は土着の漁師にしか見えないし、佐藤浩市もこんな時代があったんだなあと思わせてくれます。ただ、十朱幸代のシーンだけは冗長でやや退屈。佐藤浩市が現場復帰するまでの幕間つなぎ、といったところでしょうか。 しかし古い映画の宿命ですが、もう出演者の大半が鬼籍に入っているわけで、一抹の寂しさが残ります。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2024-12-01 21:15:05) |
3. 金田一耕助の冒険
カネと会社の勢いにモノを言わせ、有名どころをかき集めてとことん内輪でふざけまくって作りましたという感じ。制作の現場は盛り上がったかもしれませんが、見ているこっちはドン引きするばかり。大林監督の作品をすべて見ているわけではありませんが、若かりしころとはいえ、この作品はかなり汚点の部類に入るではないかという気がします。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2024-11-17 23:04:27) |
4. 96時間
《ネタバレ》 「絶望的状況→一縷の望み→クリア!」のループ。途中で主人公が倒れたり娘が犠牲になったりしたら元も子もないわけで、ハッピーエンドは最初から予想できます。それにしても、よくぞこれだけのバリエーションを考えるものです。それを楽しむだけで十分でしょう。後には何も残りません。 リーアム・ニーソンは、こういう理不尽な犯罪に巻き込まれ、単身知恵と暴力で立ち向かう作品の主演がやたら多い気がします。もはや「リーアム・ニーソン系」と呼んでもいいほど。マーケティング的に成績がいいのか、それとも本人が好きなのかな。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-08-09 23:54:15) |
5. 鬼畜
噂には聞いていましたが、たしかに見ているとだんだん辛くなります。岩下志麻とか緒形拳とかも、さぞかし演じていて辛かったんじゃないかと思います。 特に中盤以降、緒形拳は〝解決〟に向けてある意味で一直線に突っ走るわけですが、他に方法があったんじゃないかと誰もが思うところでしょう。クソマジメな言い方をすると、経済的貧困もさることながら、知識の貧困・情報の貧困も悲劇を招くということで。前者はどうしようもない部分がありますが、後者なら自助があれば共助・公助で救われるはず。そうオトシマエをつけることが、この陰惨な物語を自分なりに浄化する唯一の手段かなと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-05-24 23:18:01) |
6. キングスマン
《ネタバレ》 主役が違うだけで、やってることはミッション・インポッシブルとか007とかとほとんど変わらないんじゃないかと。ちょっと毛色の違うものを期待したのですが、「痛快娯楽アクションもの」のカテゴリーから一歩も出ていない気がします。それに主要登場人物がどんどん減っていって、終盤はわずか数人だけのドラマになってしまいました。わかりやすいといえばわかりやすいですが、なんか寂しい感じも否めません。 ただその終盤、「威風堂々」が流れるシーンだけは好き。どんでもなくグロいわけですが、ふざけ度合いが勝っていて笑えます。「痛快娯楽アクションもの」の面目躍如といったところでしょうか。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-02-21 02:25:02) |
7. 9人の翻訳家 囚われたベストセラー
密室における神経戦のような静的なサスペンスかと思いきや、中盤以降はやたら動的になって驚き。いくつも伏線があって、いかにもフィクション風の出来すぎな展開に、最後はすっかり冷めてしまいました。嘘くせぇんだよと。 まったく余談ながら、今ほど多様化された時代に、文学にしろ音楽にしろ、世界的ベストセラーというものはなかなか生まれにくい気がします。かつてのマイケル・ジャクソン的な存在や作品は、今ではほとんど思い浮かびません。言葉や文化の壁がある文学の世界は尚更で、そんなにセキュリティをガチガチにしてまで世界同時発売にこだわる必要はあるのか、という気がしないでもありません。実際、海外小説の海賊版など見たこともないし、読みたいとも思わないし。こんなことを言い出すと身もフタもありませんが。 [インターネット(字幕)] 5点(2022-01-09 04:06:52)(良:1票) |
8. キャッシュトラック
《ネタバレ》 個人的に久々のジェイソン・ステイサムに期待したんですが、全編にわたってジトッと暗い。前半でそれなりにセリフのあった面々が、終盤で特に見せ場もなく消えていくし。 だいたい起点となった犯行について、なぜステイサムが協力することになったのか、つまりステイサムチームとイーストウッドチームの関わりがよくわかりません。このシーンは何度も繰り返し出てきますが、結局モヤモヤしたまま。それにしても、イーストウッドはパパとそっくりですね。もしパパが監督していたら、ステイサムと役柄が逆だったのかな。 結論、私が見たいジェイソン・ステイサムはこれではなかった。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-12-19 01:32:34) |
9. 疑惑(1982)
《ネタバレ》 これはもう日本映画界の最高傑作と言っていいんじゃないでしょうか。多くの方が指摘するとおり、主役2人の火花を散らすような迫真の演技がすばらしい。それに、入れ代わり立ち代わり現れる有名な役者もいい。それぞれクセのある役どころで楽しませてもらいました。颯爽と登場してあっさり消える丹波哲郎は、シリアスな全編における唯一の笑いどころでしょうか。 裁判の終盤における逆転劇はいささか弱い気がしましたが、そのあたりはもうどうでもいい感じ。徹頭徹尾悪女であり続ける桃井かおりと、弁護士としては凛としていながら私生活ではけっして浮かばれない岩下志麻を見れれば十分。しかも、最初は反目し合っていても最後は打ち解けるというパターンはよくありますが、最後までバチバチですからね。ものすごくリアルというか、重厚感があります。 [インターネット(邦画)] 9点(2021-08-27 01:27:31) |
10. THE GUILTY ギルティ(2018)
これはもうアイデアの勝利でしょう。映画というよりラジオドラマを聞いているような感覚に近い。一連の事件をふつうの映画のように撮ったとしたら、おそらくありきたりの、2時間ドラマレベルの話だと思います。しかしそれを、すべて見る側の脳内イメージだけで展開するというのが面白い。またその様子が、脳内でイキイキと再現されるのも面白い。何でもかんでも映像が当たり前の今の時代に、音だけの情報が人間の思考や感情にどんな影響を及ぼすか、自分が実験されているようでした。言い換えるなら、人間のイマジネーションも捨てたもんじゃないなと思わせてくれます。 ただ主人公の個人的な事情については、ちょっと不発だったような。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-08-14 02:43:54)(良:2票) |
11. ギャングスターズ/明日へのタッチダウン
絵に描いたようなスポ根もの。しかしこれが実話に基づいているというから、さすがアメリカは懐が深い。少年院とスポーツといえば、日本には「サード」という名作がありますが、まるでタッチが違うのはお国柄を反映しているようにも思います。 若くて精悍でまだスリムなドウェイン・ジョンソンがいい感じ。というか、見どころはそれぐらいか。それにしてもこの邦題、安っぽいね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-03-23 02:26:20) |
12. キッド(1921)
《ネタバレ》 冒頭から「笑わせます! 泣かせます!」みたいな宣言をするあたりに、100年の隔世の感があります。さすがに今は、どんな映画でもこんなことは言いませんから。しかし親子の情愛は今も100年前も、それどころかホメロスやヘロドトスの時代から存在する普遍的なテーマでしょう。だからこそ作品は残るわけで。その意味で、まったく古さを感じずに見ることができました。別にモノクロでも、セリフがなくても、何らハンデにならないところがすごい。 で、最後は「マッチ売りの少女」のように締めるのかと思ったら、予想外のハッピーエンド。「泣かせます!」より「笑わせます!」に舵を切った感じかな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-26 01:29:33) |
13. 記者たち 衝撃と畏怖の真実
教科書的というか、記録映画としてはよくできています。そう言えば当時、イラクに大量破壊兵器があるとかないとか、けっこう話題になったなあと思い出しました。しかし多くの教科書がそうであるように、読んでも面白みはないし、読む先からスルスルと忘れていきそう。 言いたいことはわかるんだけど、どうにもインパクトが弱い。主人公の記者2人が紋切り型で、魅力がありません。最後に言い訳がましく「大統領の陰謀」の話をしていましたが、あの緊張感のカケラもない感じ。いっそミラ・ジョヴォヴィッチが銃を片手にホワイトハウスにでも乱入してくれれば、もう少し「おおっ!」となったかも。あり得ませんが。 でもリチャード・シフは相変わらず渋いです。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-12-16 21:04:03) |
14. 恐怖の報酬【オリジナル完全版】
他の方も指摘しているとおり、前半はオムニバス形式で落ち着きません。後半からようやく筋が見えてくるわけですが、最後に加わった殺し屋風の男の参加理由は今でもわかりません。セリフをギリギリまで削ぎ落としたようで、このあたりは勝手に想像しろということでしょうか。 しかし運搬が始まってからは、いろいろどうでもよくなります。とにかく生きるか死ぬかの瀬戸際の連続なので。CGでも特撮でもなく、よくこんなシーンを撮れたなと驚くばかり。このあたりは十分に堪能させてもらいました。終盤はなぜかホラー的になったし。 で、最後の最後に出てきたオッサンは何者でしたっけ? ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、見る側の集中力と記憶力を試すような終わり方でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-25 01:47:31) |
15. キャスト・アウェイ
《ネタバレ》 非日常を堪能させてもらいました。しかし悪魔的なことを言えば、「でもフィクションでしょ?」という冷めた感覚も終始付きまといます。わざわざ実在の物流企業を登場させてリアリティを出そうとしているようですが、あの状況下で4年も生き永らえることは本当に可能なのか。「すごい」と言ってしまえばそれまでですが、脚本家の指先1つで1年でも10年でも書き換え可能なので、今ひとつ信憑性がありません。 むしろ興味深かったのは、帰還後の浦島太郎状態。ここはものすごくリアリティがありました。しかしさんざんステーキを食った後に天丼が出てきたようなもので、胸焼け感も否めず。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-10-19 01:37:21)(良:1票) |
16. きっと、うまくいく
《ネタバレ》 深刻な問題も含みつつ、終始明るい雰囲気なのがいい。大方予想できるオチも、雄大な景色と相まって爽やか。突然始まる妙なダンスも、なぜか違和感のない不思議。これが歴史と伝統を誇るインド映画の実力でしょう。 しかし超カッコいい主人公に親友がいて、彼女がいて、イヤミな同級生がいて、頭の古い教師がいるという設定は、日本の「学園モノ」の定番でもあります。日本人が日本語で演じるとクサくて見ていられない感じになりますが、外国人が外国語で演じると魅力的に映るのはなぜなんでしょうか。このあたり、ぜひそのへんの文化人様に研究論文など書いていただきたいものです。 ついでに言うと、ヒロインがもう少し美人ならよかったなと。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-17 02:04:58) |
17. キリング・フィールド
《ネタバレ》 超久しぶりに再見。かなり昔に見たときは「怖!」と感じるばかりでしたが、今回はちょっと違いました。印象に残ったシーンは大きく2つ。 1つは、クメール・ルージュに全員捕まって妙な施設に連れて行かれたとき、プランが先方の幹部らしき人物に必死に食い下がって助命嘆願するシーン。すぐ脇ではあまりにもあっさり処刑が行われていて、彼自身も次の瞬間にズトンと殺れれてもおかしくなかったはず。演出だとわかっていても、仲間のために危険を顧みない姿はグッと来ます。 もう1つは、マルコヴィッチがプランの写真の現像に失敗して怒り狂うシーン。やはり演出ですが、仲間のためにここまで真剣になる姿は美しい。ある程度年齢を重ねて汚れてくると、こういう純粋な行動原理につい涙腺が緩みます。 それに比べ、意外に印象が薄いのが主人公。ニューヨークに帰って写真をばら撒くことしかできなくて、一方で賞を取って講演をして、プランの生存を知って現地へ飛んで抱擁。演出の意図は違うでしょうが、いずれもシラけた空気が漂います。ちょっと美味しいとこ取りが過ぎる気が。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-10 02:11:10)(良:1票) |
18. 飢餓海峡
《ネタバレ》 タイトルのイメージから、格差だ貧困だ今こそ共産主義だ的な説教臭い作品ならイヤだなと思っていたのですが、さにあらず。最初から最後まで重厚でサスペンスなエンターテイメントでした。 とにかく、1つ1つのシーンやセリフにまったくムダがない感じがいい。すべて有機的に絡み合い、重みがあり、リアリティもあって、結末までグイグイ引っ張ってくれます。特に、何を考えているかよくわからない三國連太郎と、正義感溢れる高倉健のやりとりには迫力があります。 プロット的には「砂の器」とよく似ていますが、かの作では加害者の父親役だった加藤嘉が、本作では被害者の父親役。こういう枯れた老人役で、右に出る人はいないんじゃないでしょうか。今ならMr.オクレくらいかなと。 ただし、肝心の「飢餓」の意味が今ひとつよくわからない。貧しいといえば日本人全員が貧しかったわけで。三國連太郎の生い立ちもセリフだけで済まされたので、「それがとうした」という感じ。このあたりが、「砂の器」とちょっと違うところです。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2020-06-02 02:00:42) |
19. キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け
《ネタバレ》 絶体絶命のピンチに追い込まれた主人公が、その状況をいかに切り抜けるかが見もののはずですが、なんとも締まりがありません。交通事故については、しょーもない〝敵失〟であっさり放免。また粉飾についても、口八丁で身売り契約を成立させて逃げ切ったらしい。いやいや、さすがに買う側だって事前に精査するはずだし、損失を隠していたとすればどうあがいても犯罪でしょう。このあたりが甘々で、違和感が残ります。 強いて言えば、しばしば登場する「正しいことをしろ」というのがキーワードかなと。それが主人公にとっては法的な正義ではなく、家族や投資家の利益を守ることだと言いたかったのかもしれません。それにしても甘いし、とても「マンハッタンの王」には見えません。原題の「アービトラージ(裁定取引)」も、何を意図したのかよくわかりませんが。 同じく金融界の大富豪がクルマがらみで転落していくという意味では、デ・パルマ監督の「虚栄のかがり火」と似て非なるものがあります。豪華キャストでありながら大コケにコケた作品として有名ですが、個人的にはこちらのほうが辛口で好みです。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-02-22 03:07:21) |
20. キネマの天地
見たことのある顔が、ずいぶん若返ってゴロゴロ出てくるだけでも楽しい。プラス、いかにも「男はつらいよ」と「蒲田行進曲」を下敷きにした人間関係やセリフもいい感じ。特に渥美清の1人語りは、もう〝話芸〟の域だと思います。まさに顔見世興行的な作品。 しかしそうであるがゆえに、ストーリー的には王道すぎてどうということはありません。「蒲田行進曲」を聞いて思い出すのは、やっぱり小春ではなく小夏です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-08-31 13:12:48) |