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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1.  異端の鳥 《ネタバレ》 
むかし『LIMBO』というゲームがあって、ゲームではあるのですが個人的になんか本作に色々似てるな、と思ったのですね(特にモノクロで、かつ音楽が無い、というあたりが)。  個々の描写の凄惨さは高度ですが、全体としてはストーリーはごく淡々と進む、とゆーか、その残虐行為がごく淡々としたものに(途中から)見えてくる、とゆーか、静かな様でコレはごく「悪しき」静けさ、だとも思いましたかね。  一方で、お話(個々のエピソード)の起承転結自体には意外と因果応報な側面も無くはない…とゆーか、発端の暴虐に対する「復讐」が描かれる場面も結構多かったりするのです。ただ、此処からもやはりごく「悪しき」モノがまた感じ取れる…とゆーのが、鑑賞者としての我々さえ(少なくとも私は)その「復讐」の場面において次第にどこか確実に「胸が空く」のを覚える様になる(覚えてしまう様になる)、そのコト自体が私にはもはや一種の「恐怖」でしかなかったです。その意味でも、諸々とやはり実に恐ろしい映画だ、とも思いましたね。  もう一つだけ、コレもごく限定された時代・場所・状況設定を舞台背景にしている様に見せかけて、種々の工夫や少し非現実的なまでにショックシーンが連続する展開は本作を多分に寓話的なつくり話にも見せている、その意味では、架空と現実の「好いトコ取り」をしている様な映画だ、とも個人的には感じました(コレって、率直に相当に難しい仕事だろうな、とも)。傑作かと。
[DVD(字幕)] 9点(2022-01-30 01:55:38)
2.  イーダ 《ネタバレ》 
BWV639『主よ、われ汝に呼ばわる』という曲は、タルコフスキーの『惑星ソラリス』で使用された曲でもありますが、今作でもラストにこの曲が使われることの意味というものは、かの作品と同一だと感じました。バッハの音楽の本質は「神の光」、即ち神が人にもたらす「救い」そのものであると考えています。取りも直さず、それはまた「原罪」の象徴でもあると考えます。基より罪を背負った人類に救いを与えられるのは、ただ神のみなのだ、という点で、それは同じことを意味しているのだと。  イーダの表情というのは、全編を通して「表向きは」特に変化しません。と言いつつも、その無表情の意味するものは物語と共にドラスティックに変化してゆきます。自分が何者であるかも知らない真に無垢な無の顔付きが、いつしか自らの運命を理解したことの絶望を湛えた冷たい無の表情に変わります。彼女には、自分の親を殺した男に対して怒りを抱くことすら許されていません(何故なら彼女だけが助かった理由もまた、その男の人間性の内にあるからです)。これはあまりに残酷な運命だとは思いませんか。それから、愛を交わした後に先の事を話し出す男に投げかけた表情、そして自らの人生を決した最後の表情、これらもまた、それまでと変わらずに「無」ではあります。が、そこには彼女の心の移り変わりが実に見事に描き出されていました。この部分の演技・演出というものは、率直に極めて高度なクオリティの仕事だったと思っています。  本質はごくシンプルなテーマを擁する作品で、尺も非常にコンパクトでありますが、これほどまでに意味の深い「旅」というものを描いたロード・ムービーというのは他にあるのでしょうか(フェリーニの『道』も思い起こされますが、あれよりも更にエッセンシャルだ、とでも言いますか)。モノクロで絵画的(静物画的)な映像のエレガントさも含めて、眩いばかりに透きとおった風情を全体に纏いながらも、この上無く濃密である、という映画です。傑作かと。
[DVD(字幕)] 9点(2021-03-18 02:10:30)
3.  いつかの君にもわかること 《ネタバレ》 
主人公の置かれた状況は確かにやや特殊かと思いますが、作品のテーマ自体はごく非常に普遍的なモノだと思いました。彼が唐突に・緊急に向き合うコトになったのは、子どもをどう育てたらよいのか・どう育てたら子どもは幸せに為れるのか(⇒そもそも子どもの幸せとは何か)という、ソレこそ人の親の誰しもが生涯を懸けて追い求めるけれど、答えは結局神のみが知る…という問いかけだと思うのですね。父と子の2人のシーンも(当然)多いのですが、養親を探す上でのその問いに関わる親同士の対話シーン(=子育てに対する種々の価値観が示される場面)が思ったより多くて、でも主人公と同様に観ているコッチだってナニが・誰が正しいのか(⇒この場面における「正解」は誰なのか)なんて全然ピンと来ない…というトコロに、実に非常に共感できましたですね(若干香ばしい方も居ましたケド、大半は基本、比較的真っ当なコトを言ってる真っ当な大人だったよな…とも思うのですケドも)。  演技にせよ演出にせよ、意図的にかなり抑制してゆく方のアイデアを採用しているらしく、全編非常に静かな(静謐な)作品だと思います。がソレが一層、この問いに答えを出すコトの難しさと、そして主人公の悩みの深さ(=端的には「愛」の深さ)をも好く表現している様に思われました。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-09 13:12:47)
4.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 《ネタバレ》 
思ったホドにはインディ本人の(締め括りの)物語というワケでもなくて、結構全編ひたっすらに(年甲斐も無く)冒険しまくっているのですし、だったらそもそもこんなに長尺にする必要ある?とだって少しダケ思ったりもするのですね(⇒折角、アクションシーンが意外にもドレも降板したスピルバーグばりの良テンポで纏まってるのに)。でも、その辺り+終わり方とかも含めて最終作はコレで好かったのではないか…と(素直に)思いましたよね。重ね重ね、アクションは総じて素晴らしいテンポ&疾走感で分量も豊富、かつ細部まで非常に丁寧につくり込まれていてもう一回スローでじっくり観たい…という様な惚れ惚れする出来だと思いました。クライマックスも、1~3作目と比べりゃあだいぶん「派手」「荒唐無稽」だとは思うのですケド、コレも今風と言えば今風(の味付け)だと思います。オーラスだって、年経た二人の様子も含めて個人的にはかなり気に入ったのですよね(人生という冒険は、生きてる限り終わらないのだ!と)。一点加点しておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2023-07-03 23:50:48)(良:1票)
5.  イニシェリン島の精霊 《ネタバレ》 
まあ確かに、お話の内容的にはサッパリ訳の分らない映画…ではありましたかね。実は、時代も場所も明確なのだし(⇒前提情報無し・劇中描写ダケ、でもある程度は察せるレベル)その意味では寓意・メタファーの類を読み取るべきお話にも(大いに)見えてはいるのですケド、正直(少なくとも)私には全然伝わりませんでしたですかね⇒でも、コレは慢心に聞こえたら大変申し訳ありませんが、そもそも伝わる様につくられた作品ではねーかな…とも(個人的には)思いましたケドね。  で鑑賞後に調べてみると、いちおう各所ではコメディの部類(具体的にはブラック・コメディとかトラジコメディとかって表現)という扱いなんすよね。んでんで、そのコトについては(コレも個人的には)ごくワリとしっくり来たとゆーか、むしろ私としては(結果的には)当然の様にコメディだと見做すしかない…という様にも思ったのですよ。結局、いちばん根本のトコロでとにかく「理由が全く分らない」から⇒納得とか共感とか感情移入とかが出来ないから、だからモ~「突っ込む」しかねーのですよね⇒そーすると、なんか「お笑い」になってっちゃう…という個人的感覚がありましてですね。か、もう一つ考えられるのはただ「ドン引く」方かな…とも⇒そーすると今度はむしろ「ホラー」になってゆくコトが可能…なのかとは思うのですケド、今作に関しては(ギリ)ソッチの方ではなかった様に(コレも個人的には)見えていたのでしてね。  結局、その「コメディ」としての(純粋にジャンル的な)出来に関して二つ、こ~んな貫禄の有るマジメそーな人達が、またこ~んな上質につくり込まれた映画空間に於いて、またココまで意味不明&奇天烈なコトをやっちまうのか…という「ボケ質」のユニークさ+ハイ・ソサエティ振りがシンプルにコメディ的にかなり面白かったというコト、ともう一つ、中盤までのその感じから「あ、コレ多分フツーにコメディだな…」と思った矢先にごくごく凄惨な展開が唐突に炸裂して⇒がソレでも今作、頑なに「まだイケるだろ⁉」てな如くにコメディの範疇に踏み留まろうとし続ける、その「チキンレース」振りが(またシンプルに)面白かった+ソコには最早、ごく上質+希少な「不条理の可笑しみ」すらも感じ取れたコト、この二つを含めて下記の評価となって居ります。私からは重ねて、ナニも考えずにコメディとして観てしまえば好さそう…とダケお伝えしておきたく。。(⇒ソレはつまり、安易に理解や共感を引き出そうとせずに、どっちかとゆーと「突き放して」観た方が好いかも…とゆーコトで。。)
[映画館(字幕)] 8点(2023-05-07 22:09:10)
6.  生きる LIVING 《ネタバレ》 
大筋は、意外なホドにほぼ原作どおりのリメイクとなっていて、特に前半は細かい演出に至るまでかなり完コピに近い…と言っても好い感じですね。ただ、原作の日守新一にあたる新人職員が冒頭から配置されて⇒我々は彼の視点で主人公の様子を観てゆけばよい…という形式になっていたり、また小田切みきにあたる役の女性も(原作では中盤に出番が集中していたトコロ)全編に渡ってより多くの役割を果たす様になっていたり、その辺を踏まえると全体的に分り易さや感情移入の容易さとゆーのは増していたかな、と思います。もう一点、尺が短くなっているのはテンポを全体的に少し上げている、というコトの他に、後半のお葬式のシーンが(やはり)大幅に簡略化されていたから、だと思うのですが、原作ではこの部分は(作品における)社会批判・官僚主義への批判といった側面が強く出ているシーンだったと思いますが、だからこのリメイクではその側面は若干薄まっていて⇒よりシンプルなヒューマニズムの描き出しの方にごく注力している…という様にも見えましたかね(⇒その意味でもより分り易い・伝わり易いかと)。  もう一点、大きな違いとしてはやはり志村喬とビル・ナイそのものの「キャラ」の違い…でしょーかね。どっちも役人ですが、日本人とイギリス人だと畢竟だいぶ雰囲気自体が違いますし、更にビル・ナイはどーしたって多少「カッコ好い」のですよね。。まァある種、ゆーて他の部分(≒お話の内容的なコト)はほぼ原作どおり⇒変えても小手先のコトで済んだケド、もし主人公のキャラまで全く同じにしてしまうとなると、ソレは志村喬vsビル・ナイの真っ向勝負!というコトになる……もし私がビル・ナイだったらば、ソレは流石にちょっと避けたいかな…(いくら何でもやや「分が悪い」かな…)な~んて思ったりもしましたですかね。  重ねて、描かれるモノ自体は全く同じ=普遍的な価値観であって、だからソレは寸分も変わっていないですね。ただ、重ね重ねこのリメイクの方が(種々の側面で)シンプルに「観易い」とは言えるかと思います。個人的には、どちらを先に観ても(コレも別に)変わりは無いかと思いますかね(私としては、評点も両作品とも同じになります)。とにかくとりあえず、もし観ていないならばドッチでも好いから早く観た方が好い…とは言っておきたいですケドね(コレは、なる早でまず観た方が好いヤツだと昔から思ってますよ)。
[映画館(字幕)] 8点(2023-04-05 23:09:18)
7.  イースター・パレード 《ネタバレ》 
ミュージカルとしては頭抜けて気に入っている作品で、4月には大体毎年観てる。史上最高の二大スター競演という豪華さも然ることながら、全編通してコミカルな描写も非常に楽しい。序盤、実はバリバリ踊れるガーランドがワザと頓珍漢なことをやって(完成度の低さを見せる完成度の高さ)アステアがアタフタするのからして実にコミカル。後半も程よく甘酸っぱいラブコメディで中々に心地好い。  しかし何と言っても本作の良さはダンスと歌の素晴らしさに在る。人類で唯一、地球の重力から解き放たれたアステアの華麗なステップは正に絶品。それについていけるガーランドはダンスの出来も上々ながら、彼女はとにかく歌がこれまた絶品(軽やかに歌い上げながらも奥行きのある歌声に聞き惚れる)。加えて、助演にアン・ミラーというこれも腕達者を起用する配役は、今観ると非常にゴージャスな上に役柄上でも適切であり、とてもグッド(中盤には十八番のタップダンスもタップリあってこれにも大満足)。ジンジャー・ロジャースに平謝りしつつ、このジャンルでは一番好き。
[DVD(字幕)] 8点(2020-04-11 19:15:32)(良:1票)
8.  インターステラー 《ネタバレ》 
基本的に近未来SFは悲観的な世界観でないと映画としては「当たらない」らしいが、本作は絶望的状況の演出が極めて秀逸かつ非常にリアル(=将来ホントにこんなんなりそうな)で、観ているだけでもなんか息苦しくなるレベル。展開運びもシリアス全開で、この点も面白く&興味深く&ハラハラしながら観れると言える。  なので(個人的な)結論を言うと、そこからのラストの展開がなんか少ーし空気が違う感じがしてそこが至極残念だというのに尽きる。恐らく「愛は時空を超える」とか何とかいうのがテーマの一つなんだろうが、せっかくリアリティに徹した凝ったシナリオなのに……とは言え、流石の独創的映像表現なんかもハイ・クオリティで、全体としてSF映画としては最高レベルに高品質な傑作。観て損は無い。
[DVD(字幕)] 8点(2020-01-18 02:32:20)
9.  いとみち 《ネタバレ》 
しかし今どき、ココまで訛ってる女子高生てのは本場青森にも居るモンなのですかね?(⇒まあコレは、内向的な性格+多分お婆ちゃん子だった、というキャラあってのモノなのでしょーケドも)で、言い方はまた非常に悪いのですケド、このレベルの訛りに加えてのこのコミュ障ぶりってのは、ちょっとマジでヤバいっすね(何しろ全編通してナ~ニを言ってんだかまるでサッパリわかんない、という…)。今作はそんな女の子の成長物語としてはまずは非常にシンプルな筋ですし、本質的な話の内容・実際の展開運びとゆーのもまたごくオーソドックスだと言って好い作品には思えるのです。が、ソレを津軽の諸々+メイド喫茶という各々ごくドメスティックな要素と、前述どおりの主人公の特殊な(やや極端な)キャラで彩った演出自体は、中々にユニークでかつ本邦独自という感じの雰囲気も十分に醸し出せていたかなとは思いました(=決して月並な青春ものには為ってなかったかな…と)。あと、彼女の仕草・口調に合わせた様なごくかなりゆったりとしたテンポとゆーのも、最後まで観ると個人的にはなんかとても心地好くも感じられましたね(好い意味で素敵に田舎な空気感が在ったかな…とゆーか)。  主演の駒井蓮さんは、流石にこの人は青森出身なのだろーな…と思ったらソコはドンピシャでした(あの訛りっぷりは一朝一夕のモノではないでしょーなと)。ただ、ラストの三味線も一年稽古して自前で演奏した…とゆーのには率直にちょっと驚きましたですね。演技諸々も含めて素晴らしい仕事だったと思いますし、その他助演の方々も総じてまずまず好い出来だったかな、と。オススメ出来るか出来ないかで言えば、前者ですかね。
[DVD(邦画)] 7点(2022-07-17 00:01:58)
10.  イカリエ‐XB1 《ネタバレ》 
ごくコンパクトな尺ながら、内容自体にしてもソレを構成する幾つかの印象的なエピソードは意外とバラエティに富んでいる、とも思えました。そしてそれ以上に、映画の雰囲気とゆーか質感とゆーか、ソレは当然の如くにSFでありつつも、一方でごく物質的とゆーよりは多分に幻想的であったり文芸映画的であったり、更に部分的にはホラーぽくもあったりまた真摯な人間ドラマでもあったり、と非常に多様で独特なモノに仕上がって居たかと思います。重ねて、とてもユニークな雰囲気でしたし、不思議と強力に引き込まれる映画でしたね。観て損は無いかと。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-05-19 22:39:38)(良:1票)
11.  いちごブロンド 《ネタバレ》 
戦前~戦中あたりの古い映画の中でも、とりわけ観てホッとできる作品、とでも言いましょうか(『素晴らしき哉、人生!』的な)。決して器用だとは言えないけれどごく誠実なジェームズ・キャグニーとオリヴィア・デ・ハヴィランドが、結局は最後にささやかながらも真の幸せを手にする、此処に在るのはシンプルな人間性への称賛と信頼です。全編通してラブコメ描写も非常に微笑ましく、それでいてやるコトなすコトジャック・カーソンに出し抜かれるキャグニーの様子には、少しばかりの人生の口惜しさというモノと、それ以上に「頑張れ!」という意味での力強い共感を覚えることが出来るのです。  キャグニーの憎めないキャラも抜群でしたが、女優2人がとにかく出色な作品でもあります。「いちごブロンド」ことリタ・ヘイワースはサバサバとした小悪魔的女子を実に爽快に演じていましたし、ルックスも色気・品の好さ・若々しさ等をバランス好く兼ね備えた素晴らしいものでした。しかし、今作の主役は何と言ってもハヴィランドの方。こちらは清楚さに全振りしたエレガントな佇まいが正に絶品です。それでいて中盤、ちょっと気取って自由奔放な女を装う場面なんかは対照的に背伸びした少女的な可愛さを振りまいて、ココって私ホントに大好きですわ。女優さん目当てでぜひ観てもらいたい隠れた秀作です。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-31 23:42:11)
12.  イップ・マン外伝 マスターZ 《ネタバレ》 
シナリオの方はややダメ気味かと。 ・少し一貫性を欠き、筋がチョロチョロと二転三転して勘所がよく分からない ・雰囲気の面でも、序盤のファミリーでコミカルな感じに比べ後半がだいぶん重いのが若干チグハグ ・豪華助演陣の使い方も(お話的には)なんか雑  しかし肝心のカンフーアクションの方は、CGとワイヤーと早回しをフル活用し、かつそれらを見事に融合させた迫力抜群な出来映えがカンフー新時代を拓けるという程のクオリティ(とにかく電光石火、かつかなり「痛そう」で実にグッド)。マックス・チャンは演技もカンフーも流石の素晴らしさだが、豪華助演陣も各々の見せ場はこれも納得の風格(トニーの鋭さ、ヨーの華麗さ、バウティスタの筋肉)。
[映画館(字幕)] 7点(2020-09-27 20:25:25)
13.  稲妻(1952) 《ネタバレ》 
ドロドロと金&色の欲に塗れる人々が描かれてゆくが、そういった自分の欲望に素直な人間の方が概して世渡りは上手く、その面で潔い人間の方が却って社会的には弱くて頼りない、というのは然もあることであろう。どちらの人々にせよ、特に現代の感覚から言えば本当の意味で「幸福」からは程遠く見える。そこには、率直に「隔世の感」を覚えるのである。  一方で、亡くした夫の面影を見出せば妾の子にも情をかける次姉にせよ、自分の娘が捨てた婿に延々貢いでしまう母親にせよ、これも現代的な感覚からすれば実に人情味・人間味に溢れるというか、そこにはまた古めかしくも愛おしい魅力を感じ取れるのである。もちろん、なんとも一本気で清らかな高峰秀子もとても清々しかった。個人的には呆気無いラストも実はかなり好み。素直に観て良かったと思える古典の良作。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-04 23:59:51)
14.  怒りの荒野 《ネタバレ》 
とある青年ガンマンの人間的成長を描くという西部劇。その彼をジュリアーノ・ジェンマが演じていますが、序盤~中盤の彼の甘さ・若さというのがイマイチ心地良く観てゆけなかったというか、率直にちょっと情けなさ過ぎ or 色々と甘すぎじゃない?という感じというか。他方、リー・ヴァン・クリーフも見た目とかは今作でも最高にシブいのですが、ジェンマのヌルさに引っ張られてキャラ造形にはややキレが無い、という様にも思われます(あくまでレオーネ作品と比べたら、ですが)。  中でも、序盤はジェンマにとっての恩人であるクリーフが、後半では極悪人になる、という部分の盛上げ・葛藤が弱い。それは、クリーフが蹂躙する街の人々というのが、序盤でジェンマを苛め抜いていたしょーもない輩共だ、というのが痛恨の要因だとも思われます。老保安官とジェンマの絆とかは序盤でもっと強調するべきだと思いますし、クリーフにも後半、もっと単純に悪辣なコトをさせちゃった方が良かった様にも思われます。  しかし、肝心のジェンマの成長ぶりについては、中盤でいっとき思い上がる様子なんかにも人間らしさを感じますし、終盤は、序盤あんなに観てられなかった彼がこんなにカッコ好くなるか、というぐらいクリーフにも負けじと立派なガンマンに大変貌してくれます。ガンマン十ヶ条というのも中々良かったですね(ラストでも上手く使っていると思いました)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-08-01 00:50:55)
15.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 
全編ワンカットで2時間だから、とある戦場の「2時間」を切り取った映画かと思いきや、一ヶ所暗転して時間飛んでるシーンがあるので、約半日強の尺の物語だし、厳密にはワンカットとは言えないと思う(些末な事だが)。  作戦の内容的に(ワンカットだし)マジで全編息もつかせない展開になるかもと少々身構えたが、その実、特に前半は割とヴォルテージ高くないシーンも多く、後半も適宜息継ぎは入るため、観終わって疲れ果てた、とかいうことは無かった(まあ商業映画なんだから当たり前か)。あとWWⅠの話なので、流石に戦闘描写は(いつも見ているWWⅡのよりは)少し地味で、特に大規模戦闘なんかを楽しみにしていくとやや肩透かしを喰らうかも、とも思う。  ただし、やはり超・長回しが続くので、単純に目を切れないのもあってどんどん画面に引き込まれ(否、引きずり込まれ)、映画に文字通り「没入」できる(その没入する深さと、没入している時間の長さが、あまり体験したことの無いレベルになっていた様に思う)。ここまで2時間があっという間な映画も久しぶりだし、非常に気持ちのいい映像体験だった。良作。
[映画館(字幕)] 7点(2020-02-16 03:30:47)
16.  イエスタデイ(2019) 《ネタバレ》 
これは要するに、この国で近頃流行りの「異世界転生」の一種ですよね(私、漫画やアニメは殆ど追いかけてないので、最近のそーいうので観たこと読んだことあるのは『ドリフターズ』くらいなのですケド)。そして「知識」を持ち込むことで俺ツエ―!するうえでは、知的財産、中でも「歌」とゆーのは意外ながら好い着目点だと思います。専門分野のソレとゆーのは、よほど体系的に学習して応用が利くように実践も積んでいるとゆーならまだしも、素人レベルでは(色々と状況が異なるだろう)異世界で適応して活躍するのはかなり難しいでしょうし、同じ知的財産でも文学とかは本を数冊丸暗記でもしてないとまた厳しそうですし。歌とゆーのは、ひとりでも結構沢山持ち込めそうですし、基本自分が覚えていれば幾らでもどーにでも再現できますからね。日本の「なろう」作家さん達は「してやられた!」と思ったのではないでしょーか。  ただし、最強の切り札たる「知識」を持ち込んだトコロで、其処で幸せになれるかはまた別、とゆーのにも今作では納得しやすいです。ソレによって間違いなく「違う自分」になってしまう、このお話の中ではその変化のスピードも非常に急激で、結局主人公はソッチの方に適応できませんでした。でもそれは「やり方」の問題とゆーよりは「人の器」の問題、という様にも見えてですね…その意味では、今作とゆーのは平凡な人間が(予想どおりに)平凡で在り続けた、という私にとってはごく普通のお話に感じられました。誤解を恐れずに言えば正直、非常に部分的なアイデアは優れていたのだけど…とでも言いますか。  でも、そんな中でひとつ際立つのは、そもそものお話の根本である「ビートルズ」自体の偉大さなのだと思います(それは主人公が平凡であることで一層光り輝く様に感じられる)。ビートルズは確かに、己らの才能に身を持ち崩すこともなく、また世界的スターであることの重圧にも負けずに名曲を、歴史をつくり、また今もつくり続けているのですから。恐らくコッチの方こそが今作の真のテーマ、なのではないかと思いましたね。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-16 21:28:03)(良:1票)
17.  生きちゃった 《ネタバレ》 
人は、他者との関係性の中にしか、真の意味での幸福を見出せないのだとしたら、自分の幸福と他者の幸福というのは、ひとつ同じものかも知れないと思います(自分が他者に与えるから、他者も自分に与えてくれているのだろう、という冷徹な損得勘定ゆえに)。  その意味では、自分がいま他者に幸せを運べているのか、逆に他者はいま自分に幸せを齎してくれているのか、自分、あるいはその他者にとってそもそも幸せとは何なのか、という「疑問」とゆーのが、自分が幸せを求めるが故に他者とより深く交わるに連れ、次第に綯交ぜになってゆくと同時にどんどんと曖昧なモノになってゆき、いつしか確かに、それが何だったのかもよく分からなくなる、というのも思いがけずあり得ることかとは思っています。   大島優子が木っ端微塵なまでにどん底に不幸に描かれている、という部分には、シンプルに(痛快な)勧善懲悪を目撃した、という意味を超えて、少しばかり深めのシンパシーを覚えるのです。端的に言えば彼女は、ある種の典型的に自分勝手・自己中心的な人物であるワケですが、もう少し具体的に言うなら、彼女は自分「も」幸せになるうえでの他者へのアプローチの仕方を履き違えている、という人物かと思います。仮に、仲野太賀の愛が彼女にとってピント外れなものだったとして、だからと言って彼を確実に不幸にするだろう彼女の行為が正当化されるものだとは思いませんし、その後の浮気相手との関係性にも、本当の意味での「幸福の与え合い・共有」というものは見出せませんでした。そもそも、恐らく彼女が一番大切に思っているのだろう自分の娘(の幸福)についてだって、十分に配慮が出来ていたかというと大いに疑問です。率直に、その部分について非常に独り善がりな女性であるように見えたのですね。  もう一人、圧倒的に独り善がりな人物が、仲野太賀の兄です。あんなことをしたトコロで、一体誰が幸せになるというのでしょうか。総じて本作に登場する人物は、破滅的に不器用であったり、言葉・コミュニケーションが足りなかったり、或いは性格上の問題から、他者との幸福の遣り取りに難のある人物として描かれています。そして案の定、彼らは最終的に不幸になってゆきます。その意味では、決して観ていて気持ちの好い、という映画でないのはひとつ確実ですね(そもそも、例え彼らがそうであるからといって、みんなここまで不幸になる必要ある?というコトも含めて)。  ごく終盤まで、物語のこの重苦しさに加えて、何となく「答え」の無さそうな話だなあ、という予感もあって、面白く観れていたとは言い難かったです。ただし、ラストは比較的シンプル・簡潔にテーマ的なモノが描き出されていました。主人公の仲野太賀自身は、他者との関係性においては端的に「コミュニケーション(言葉、説明あるいは積極性)」の面にウィークポイントがある人物でした。その部分の自分を乗り越えて前向きな一歩を踏み出してゆく、というラストの内容自体は、決して悪くないと思いますし、それ自体は十分にポジティブだと思います。  ただ、コレは意図的な演出としての「カッコ付け感の排除」だと思いますが、とにかくどーにも最後まで彼はいい大人・親として「上手いことやれている」様には見えない、その部分から感じる一抹の(ただし致命的な)「頼りなさ」と、そしてここまでネガティブに描かれた物語の締めくくりとして踏み出した一歩の「小ささ=物足りなさ」故に、コレ正直「ちょっとワリに合ってないなあ」と感じてしまったのも事実なのですよね。  最終的な(個人的)評価としては、  「ネガティブ展開の方にはそこそこの見応えまでもが見い出せる(個々人の好みがあるとは言え)」  「ラストはポジティブ方面へ『振れる』が、ソレが弱くて感動にまでは至らなかった」 ということを鑑みて、いま一歩良作未満、という感じかと思いました。
[DVD(邦画)] 6点(2021-05-17 06:39:51)
18.  イップ・マン 完結 《ネタバレ》 
うーん、お話の出来がかなりイマイチだすね。。舞台がアメリカ、で結局「敵」となるのは差別意識溢れる白色アメリカン、迎え撃つのがイップ・マンはじめとする中華人脈、という構図で、我々東洋人から見ると相当にイラっとさせられる様な事件が次から次へと発生する…のだけど、エピソードの繋がりも薄いし、あまりキッチリと事を片付けずにダラダラ進んでいくので、率直にどうも盛り上がりに欠ける、というか。ブルース・リーの使い方とかもド下手だし、正直褒めるトコロがありませぬ。ある種「カンフーではよくあること」とは言え『2』『3』はもう少しシンプルに仕上げてお話の出来自体もややマシだった気がします(『マスターZ』は本作に負けず劣らずパッパラパーだったケド)。  カンフー自体の出来もどーですかね。序盤、ウー・ユエVSイップ・マンなんかはかなり凝った大規模なCGの使い方をしていましたが、ちょっと「どーみてもCG」過ぎて個人的にはこれもイマイチでした。全体として分量は悪くないのですが、目新しいモノもさほど無く、この部分の出来も『マスターZ』の方がやや上回る、のではないかと。実のトコロ(何となくですが)『マスターZ』でやりたいコト・出来るコトをちょっと出し尽くしてしまった、という様にも見えて。  ただ、ラストのスコット・アドキンスVSイップ・マンはそれでもまずまずでしたかね。話はワチャワチャしましたが結局コレが観たかった!のだし、アドキンスは流石の第一人者で中々に凄い動きでした。やっぱりまずは演者の力量をしっかりとベースにしたカンフーの方が私は好みです。  話の内容の不出来さにも絡むコトですが、敵(アドキンス)の台詞で「お前らの劣った文化を海兵隊に持ち込むな」とゆーのもワケ分からんですよね。だってオマエがやってんのは空手だろ?て実際どーいうコトなのでしょうか(中国共産党的な日米同盟の世界観、てコト?)。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-01 00:58:39)
19.  イット・フォローズ 《ネタバレ》 
一見イージーな回避方法が用意されている様に見えますが、前途は多難です。移した相手が殺されればまた戻ってきてしまうのですから、悟られずに移し、ルールを言い含め、そして何より相手にこの訳の分からない話を信じさせなければなりません。そこまで骨を折ったとしても、そいつの手際が悪かったり、割切りの出来ない善人だったりしたら(暫くはナントカなるかも知れませんが)いずれアウト、元の木阿弥です。中々に予後不良、かつ足掻く余地が残されているという意味でもタチの悪い恐るべき呪いですね。  基本的には本作はこの優れた設定そのものの怖さに頼ったホラーで、まず恐怖描写自体はどれも意外なホドに安上がりに見えます。また、じわじわと歩いて追い詰めてくる怪物を暗示させるかの様な不穏ながら非常に緩慢なテンポにしても、通常の分かり易いホラーに比べれば率直にやや玄人向けとゆーか。イマイチ盛り上がり所や展開面のアイデアを欠くよーにも思われるお話自体の出来も含めて、やや好みの割れそうな作品だと感じますし、私自身の好みからしても正直若干ストライクゾーン外れ気味ですね(もうちょっと「キレ」というものが欲しいですかね)。  ただ、統一感のある静かで陰湿で「真綿で首」な質感は、率直にこれも中々オツだな、とも思いました。特に音楽が素晴らしかったですね。作曲家は今作がお初の映画音楽、かつまだかなり若い人のよーで、今後も期待できるかも知れません。  もう一点だけ、全編通して登場人物の銃の扱い方がテキトーすぎませんか?平気で人の居る方に向けて撃ちまくるわ、中盤で庭でフツーに試射してるのとかも思わず危ねェッ!と声が出ましたよ。個人的にはそっちの方がよっぽど恐怖でしたわ。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-10-28 23:50:07)
20.  インシディアス 《ネタバレ》 
メイン部分はかなりオーソドックス、かつ非常にシンプルで分り易いつくりで、やや初心者・若年層向けな様にも感じられる。中盤以降は幾分ファンタジックかつ派手な展開になるのも、その感覚を強める様に思う。ただ、全体的な構成は、お話の進め方にせよ、徐々に盛り上げるホラー的展開運びにせよかなり巧みで、普通に結構面白く引き込まれて観れる。恐怖描写も、序盤の薄気味悪さにせよ、中盤以降の力技にせよこれもそこそこ上質で、それなりに怖いとも言える(ややマイルドだが)。  何と言うか、対象世代を広くとって何でもいいから万人受けするよーなホラー、とゆーのを、ある程度力の有る監督(チーム)に発注したら、こんなん出来てきました、て感じに思えるのですね。あまり作家性とか熱意とか、コレをやりたかったコンセプト、とかの「深み・旨み」は感じられないのだけれど、十分そこそこ観れる、というか。少なくとも監督の力量とホラー的「造詣」は大いに感じ取れます。個人的には別にそこまで好きな作品じゃないですけど。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-24 23:30:52)
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