1. 死霊館 エンフィールド事件
《ネタバレ》 霊は出る事をもったいぶらない。 母親が来ようが、警察が来ようが、テレビの撮影をしてようが、ウォーレン夫妻がこようが、もったいぶって出てこないという事はない。(出てくる理由があるのが後から分かるものの) それは音響をとっても同じで、怖がらせる所で、おどろおどろしい音がしっかりと鳴ってくれる。 カメラワークも然り、霊や怪奇現象の見せ惜しみはしない。 画面から観ている側に侵食せず、全てを聞かせて、見せてくれる安心感があるから、観客は安心して怖がる事が出来る。 それはどんなに怖がらせても、絶対に客には触らないおばけ屋敷の構造と似ているのかもしれない。 深層心理では「最後には助かる」と分かっている安心感。 この恐怖とは相反する感情を持たせながら、怖がらせる事ほど高度な事はないのかもしれない。 [DVD(字幕)] 6点(2017-01-29 20:25:04) |
2. 死霊館
《ネタバレ》 左右、上下反転するカメラアングルは、視覚的にも話自体にも平衡感覚を失わせる機能を果たしていた。 はっとするような恐怖表現はあまりなかったが、除霊場面のともすればコメディ、パロディにもなってしまうような全てが度を越して過剰な恐怖描写はサービス満点で、とても楽しめた。 [DVD(字幕)] 5点(2017-01-28 16:56:35) |
3. シン・ゴジラ
《ネタバレ》 アニメ的な決めゼリフ、芝居掛かった演技、大事な事を台詞で言わせてしまう脚本。 石原さとみに代表される違和感のある人物造形、舞台のような台詞回しと細かいカット割りの中でのアップの多用、それらは悪い意味で気になった。 ただそれ以上に魅力的な部分が多かった。 災害時の政府の動き、次第に波及する被害とそれに比例して事が大きくなる社会情勢は現実味があった。 攻撃を開始するまでのじれったいまでの溜めは日本という国の法制度、日本人らしさをよく表しているし、なにより緊張感を生み出している。 ゴジラの見せ方、造形も魅力的。人間の視点からゴジラを捉えながら、なめるように移動するカメラ。 見知った現実の街並みの中にいるゴジラは圧倒的な迫力と絶望感をもち、多摩川決戦で感じた高揚感は忘れられない。 そして生物としての生々しさ実在感を伝える皮膚から落ちる体液。闇夜の静寂の中から発せられた光、そして全てを破壊する光線。この一連の流れは、間の取り方も含めて圧倒的に素晴らしく、恐怖と同時に美しさ、ゴジラという一つの生物の崇高さすら感じさせる。 人類が生み出した負の側面の象徴であると同時に希望を生み出すものとしてのゴジラは初代ゴジラを彷彿とさせるし、作り手の熱い思いも感じた。 様々な災害を経験した今の日本における海外への返答であり、挑戦状。そして自らへの鼓舞。 凝固したゴジラは観光スポットになるだろう。それほど日本人、人間は良くも悪くも強かで環境に適応しやすく、たくましいはずだしそうであると信じたい。 そして人類を破壊する災厄と共存するという道を選んだ点も、震災後の現在の日本の姿とどうしても重ね合わせてしまう。 [映画館(邦画)] 8点(2016-08-01 10:41:24)(良:1票) |
4. 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド
《ネタバレ》 演技は引き続きひどいし、大声を出す事でしか感情を表現できないのか。ハンジは演技が酷いだけでなく、雰囲気や流れを悪い意味でぶったぎる存在だったし、シキシマの所作は完全にコメディだった。 前編で魅力的だった、巨人もほとんど出てこない。 演技も含め、度々あるスローや回想などの描写は、酷さを通り越して面白かったが、自分が気になったのは壁の外の景色。 海(目的)がそんなに近くにあっては、どうしても世界の広がりを感じにくくなってしまう。それはそのまま、外の広い世界(人間の可能性、希望、自由)というテーマ、核の部分の矮小化に繋がってしまうのではないか。 [DVD(邦画)] 4点(2016-06-15 16:19:13) |
5. 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
抑揚がなく大仰な演技、違和感しかないセリフ回し。 石原さとみに代表されるアニメ的なセリフ、人物描写、テンションなどを実写に持ち込んでしまっているので、門外漢の自分には、ただただ薄ら寒く感じてしまう。人間が出てくる、ドラマ部分は酷い出来であったと思う。 BGMの使い方や度々差し込まれる、フラッシュバックもどれもくどい。 ただ、巨人それぞれにある個性の描き方、表情の不気味さ、人を食べる描写はすごく良かった。 [DVD(邦画)] 4点(2016-05-30 18:34:22) |
6. 食人族
《ネタバレ》 残虐で悲惨な映像、生死が懸かる極限の状況下で、人間の尊厳、もっといえば生物としての尊厳を問うというイーライ・ロス監督の作品で描かれているテーマと共通するものを感じた。 教授たちのクルーと若者達のクルーの対比。若者達の心情を表すかのような残虐シーンで流れる不釣合いな音楽、そして若者達が追い詰められるにつれ変化する曲調など、とても丁寧に作りこまれていた。 観てはいけないものを観てしまったという感覚、原住民に対するレイプシーンでチラチラ写りこむ男性、カメラを通してみているこちらが被写体に見返される恐怖など、POV映画であることの利点、魅力を備えた、画期的で歴史的価値のある映画でもあると思う。 自分は監督の倫理観、道徳観の善し悪しは別としてこれほどまでに映画に対して情熱を持って撮っている姿勢には感銘を受けたし、筋の通った至極真っ当な映画であると思う。 ただ教授がテーマを言葉で発してしまう最後の場面は少し余分であったように感じた。 [DVD(字幕)] 7点(2016-01-18 22:56:35) |
7. 白ゆき姫殺人事件
《ネタバレ》 城野と夕子のロウソクのやり取りは余分であったと思う。二人を純粋な善人にして、それ以外の人間を軽薄に見せたいという意図が透けて見えた。殺人事件関連のそれぞれの人間の反応、行動でそこは表現するべきなのに、さらにあの場面を重ねる事は過剰な演出で、この作品が伝えようとしている、情報による意図的な悪意のある誘導、そのものを感じた。 ネットのやり取りや報道番組、同僚の人間性などとにかく人間を軽薄に描きたかったのだろうけど、一面的な人間の描き方に不快感を感じた。 [DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 15:43:01) |
8. 仁義の墓場
《ネタバレ》 力夫に感情移入できるわけないし、同情も出来ない。ただの狂っている男にしか見えない。そこには、ギャング映画のようなスタイリッシュさもないし、滅びの美学もない。ひたすら惨めで、悲惨でしかない。暴力の果てにあるものを飾らず、目をそらさず、誠実に描ききっていた。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-11 13:34:18) |
9. 十三人の刺客(2010)
面白い、つまらないは別にして見せる場面、絵作りがうまかったと思います。伊勢谷友介の存在が、この物語はあくまでエンターテインメントを貫くという姿勢をあらわしていた気がします。 [DVD(邦画)] 6点(2011-10-29 01:28:13) |
10. シャーロック・ホームズ(2009)
シャーロックホームズがスマートすぎて泥臭さ必死さが感じられず、ピンチがピンチに見えずに、盛り上がりに欠けた印象でした。たぶんそれが自分の中でいまいち面白くなかった理由です。 [DVD(字幕)] 4点(2011-02-22 18:19:11) |
11. シンプル・プラン
《ネタバレ》 金が絡むと人間の本性が見えてくるって表現は実に的を射てますね。 一つの出来事がきっかけで、今まで見て見ぬ振りしていた問題や隠していた不満、思いがすべて表に出てくる。最後には全てが崩れ、後には妙な爽快感と後悔が残る。自分の体験にもあるなぁ~と思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2011-02-19 18:13:04) |
12. 死霊のはらわたII
1が本編でこれは番外編という感じでした。コメディ的な要素が増えてて面白かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-11-29 20:03:39) |
13. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 美しい音楽に、美しい町並みや家、衣装。そして美しいカトリーヌ・ドヌーヴ。話の筋は何でもないものだと侮っていたら、ガソリンスタンドでのラストシーンでやられました。美しい別れでした。しかも、その別れを演出したのが醜い戦争というのが、なんともいえません。 [DVD(字幕)] 6点(2009-10-24 21:03:42) |
14. 死霊のはらわた(1981)
《ネタバレ》 ホントに、くどくてしつこくて気持ち悪くて、悪趣味な映画ですね。やっと倒したと思ったら最期にもう一山、二山。とどめは自分もアッシュと共に一夜を越した気分になって、どっと疲れ、ホッとした所でのあれ。見終わった後にこんなに疲れた映画は始めて。もちろん全部ほめ言葉です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-02-03 04:39:43) |
15. 地獄に堕ちた勇者ども
人間の欲望は炎のように燃え続けるということなのでしょうか。カメラワークと色の使い方が印象に残りました。いい意味で気味が悪かったです。 [DVD(字幕)] 4点(2009-01-29 23:22:51) |
16. ショーン・オブ・ザ・デッド
全てのゾンビ映画とゾンビへの愛を感じました。ショーンが最後までゾンビの存在に気づかなければ最高でした。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-09 20:39:18)(笑:1票) |
17. 死霊のえじき
《ネタバレ》 ゾンビとの戦いというより人間同士の争いがメインに置かれているような内容でした。閉鎖された空間の中で、恐怖感から発狂するミゲル、ゾンビに人間愛に近い物すらを抱く博士、自尊心は強いが部下を大切に想うローズ大尉、ただ一人の女性で精神的に限界に近い状態で戦い続けるサラ。それぞれの人間が己の中の正義や欲望を主張することによって、少しずつ少しずつ関係に亀裂が生じていき、ついにその均衡が崩れる。それは誰が悪い、間違っているとかではなく、ゾンビを飼いならすことによって生き残ることを考える博士も部下をあんな姿にされて激昂する大尉の気持ちも理解できるだけに余計にやるせなさや絶望感が増し、それがよりリアルになったゾンビメイク、殺人描写と相まって異常に強い恐怖感を抱きました。生き残った三人にしてもいつまたゾンビが忍び寄ってきても不思議でない状態、世の中的にはただ終末に向かっていくだけの状況を考えてもまた然り。今までたくさんの映画で語られている事ですが、人間同士の争いを見る度に本当に怖いのは人間の心なのかと痛感させられます。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-02-04 19:51:55) |