1. スウィングガールズ
遊び心がいっぱいの楽しい映画だ。「上達する課程にリアリティがない」といった意見が多いようだけれど,「そんなつまらんことをいちいち説明する必要はない」と監督は考えたのだのだろうし,実際私もそう思う。「上達する課程」など説明せずとも,素人だった出演者が実際に演奏しているのだから,演奏のリアリティとやらは十二分に生まれているでしょうに。まあ,こういうことを言うと「事前知識が必要な映画など邪道」と言われそうなので念のため言っておけば,そういう「宣伝織り込み済み」みたいな人を食ったようなところも,この映画の遊び心の発露のひとつ。いってみれば,ウォーター・ボーイズが「ストレート」なら,スウィング・ガールズは,ひと捻り加えた「カーブ」のようなもの。変化球に対して「曲げるなんてずるいぞ」って感じる人もいるかも知れないけど,でもこれ「スウィング」だよ。曲がって当然,怒るのが野暮ってもんだ。 [地上波(字幕)] 7点(2005-11-06 21:34:08) |
2. スーパーサイズ・ミー
この映画の最大の功績は,みんながファストフードに対してなんとなく直感的に感じていた危うさを,視覚的に共通体験化したことなのではないだろうか。「1日3食・1ヶ月間マックだけを食べつづける」というアイディアを「馬鹿げている」というのは簡単だが,「カロリー」という概念すら理解していない人々に,それが何故馬鹿げているのかを説明するのは意外と難しい。だが,今日からは違う。「スーパー・サイズ・ミーを観ればわかる」と答えればよいのだから。観る人はスーパーサイズの尋常でないデカさに驚き,保守的アメリカ人の「デブ度」に驚く。アプローチこそキワモノ的だが,映像の力を最大限に利用したテーマ選びと狙いはオーソドックスだ。ムーア作品と比べて誠実な印象を受けるのも,そのあたりが大きく作用しているからだと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2005-07-15 10:09:30)(良:1票) |
3. スパイダーマン(2002)
《ネタバレ》 お気づきになった方も多いだろうが、主人公は身に備わった能力のことを"gift(神からの授かりもの)"と表現している。知ったかぶりをして言えば、これは英語では一般的な表現で、文化的な背景も含めて意訳すれば「その才能を使って"やるべきこと"をやりなさい、ということで神様があなたに与えたのですよ」というくらいの意味である。だからといって、それに関してこの映画が特に変わったことをしているわけではないのだが、しかし、そのあたりを分っているかいないかで、この映画の印象が結構左右されるのではないだろうかと思うので、ちょっと一言。私が思うに、これは「スパイダーマンになって楽しい」とか「勧善懲悪」とか、そういう映画ではないと思う。理数系に天才的才能を持ちながらカメラマンになりたい、などとぬかすような彼のような少年は、神からみれば自分の"gift"に全く無頓着な、許しがたい人間である。そこで神は、主人公の"少年"を、新たなパワーを持ち新たな使命を持った"男"として強制的に生まれ変わらせ、叔父を死なせ、「使命」を果たす道を選ばせる。しかも、与えられた"gift"が強大なだけに、使命もそれに見合った大きなものになる。となれば、必然的に彼は友人やロマンスといった「個人的な事情」も切り捨てていかねばならないだろう。この先ずっとだ。これはやはり「呪い」ではないか。「所詮はアメコミ」と言われるかも知れないが、サム・ライミは、少年が一人前の男になる課程を見せると同時に、スパイダーマンをそのような過酷な運命を受け入れて生きる男として捉えたのだ。私はそこが気に入った。ラストの言葉、特に「私は(ピーターではなく)スパイダーマンなのだ」という力強いがある種の諦観を含んだ言葉が、この映画のテーマをズバリ表している。 8点(2004-02-22 23:15:57)(良:5票) |
4. スウォーム
「B級昆虫パニック」といえば、私の中ではこの映画を置いて他にはない。しかし、今から思えば無駄に豪華なキャストだな。関係ないが、記憶が確かなら、昆虫パニックものの最駄作、C級もC級の映画に「ジ・アント(蟻)」というのがあって、これはスウォームなんかメじゃないほどヒドかったように思う。だって「蟻」といっても、壁に黒い点々が描いてあるだけなのよ。ひどいでしょ。 3点(2004-02-13 14:00:17) |
5. スミス都へ行く
《ネタバレ》 いかにもフランク・キャプラといった、直球ど真ん中映画。昔観たときには理想を謳いあげる若いスミスに共感したが、今となっては、議会制民主主義の陥穽にはまったペインに惹きつけられる。ペインはかつてスミスだった。平凡な若者の熱い理想がいつしか猟官と保身に変わったのは、彼が過ごした年月のせいだけではないだろう。「立っている限り発言し続けられる」という議会のルール。ペインはそのルールを知ってはいたが、それを信じるには彼は賢すぎ、逆にスミスは愚かであるがゆえに自由でいられた。そこに両者の大きな違いがある。彼がスミスの行動に心を動かされるシーンは、同時に彼が自分の壁を乗り越える術-「愚かになること」-を知ったシーンだ。自分の闇を克服し、「愚者」となったペイン。恐らく彼は、スミスよりも優れた政治家になったに違いないと私は思う。 9点(2004-01-30 01:45:06)(良:2票) |
6. スナッチ
《ネタバレ》 面白いけど「ロック~」には及ばないという感じ。やはり主人公の2人の影が薄いのが難点かな。恐らくブラピを活躍させたぶん割を食ってしまったんじゃないだろうか?パッケージもブラピ真ん中だし。「スター」ブラピにおいしい役を割り当てようと考えてるガイ・リッチーの姿を想像して、途中でなんか可笑しくなってしまった。とはいっても、彼らしいスピード感やコメディセンスは十分楽しめる映画だ。犬が部屋から飛び出すシーンや、アメリカ人のブラピにジプシー訛り?の英語をしゃべらせたところなんぞは人を食っている。ブリック・トップ役のアラン・フォードの怪演も良かった。 8点(2004-01-14 01:27:38) |
7. スターリングラード(2001)
くだらん。これを「リアル」というなら,スターリングラードに散った数多の人々への冒涜ですらあると思う。 [DVD(字幕)] 3点(2004-01-13 20:44:59) |
8. スリーピー・ホロウ
最初モノトーンに近い映像から徐々に暖色をつけていく演出と,悪趣味とコミカルさが入り混じった独特の世界観が美しく面白い。ストーリーは平凡だが,ユーモラスなジョニー・デップとミランダ・リチャードソンの妖艶さが良かった。 6点(2004-01-09 09:41:33) |
9. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
8点(2004-01-08 16:08:02) |
10. スター・ウォーズ
ありましたねー「渡辺徹&キョンキョン&松崎しげる」の吹き替え!個人的には,「ブルース・ブラザース」の吹き替えをバブルガム・ブラザースがやったのもヒドイと思ったが。この2つは今にして思えば文化的犯罪だと思う。 10点(2004-01-08 15:23:42)(笑:2票) |
11. ストリート・オブ・ファイヤー
7点(2004-01-08 15:20:22) |
12. スタンド・バイ・ミー
《ネタバレ》 原作の題名は「The Body」(死体),映画の原題は「Stand by Me」。また,テーマ曲は恋愛の甘酸っぱい思い出を語る名曲であるが,映画には恋愛なんぞ登場しない。何故だろうか?。少年の頃の微妙な心理とノスタルジーを描いた映画と思われがちだが,原作と違う狙いがあることを映画のタイトルは示しているのではなかろうか。確かに「もう失われたあの頃」の話なんではあるが,この映画のメインテーマは実は「少年時代への決別」だと私は思う。少年達は鉄橋を通って死体を捜しに行くが,鉄橋を渡る前は少年として描かれ,鉄橋を渡った後ではもう既に以前の彼らではない。あの鉄橋は少年から大人に至る掛け橋であり,「死体探し」は大人になるための儀式の隠喩なのだ。この映画を観て感じる喪失感とか郷愁,ほろ苦さというのは,純粋に子供の頃の思い出に対するものというよりは,ズバリ「大人になった時」つまり初体験のそれに近い。スタンドバイミーという曲がこの映画とマッチするのは,いわば当然のことなのである。 7点(2004-01-08 12:48:04)(良:1票) |
13. スピーシーズ/種の起源
4点(2004-01-08 12:21:44) |
14. スターシップ・トゥルーパーズ
バーホーベンの嫌味さが爆発。「インビジブル」でもそうだが,この人の映画は徹頭徹尾無機質で冷く,しかもアホである(そこが好きなのだが)。ハインラインの原作も素晴らしいが,キッチュでシニカルな演出で,戦争賛美派マッチョ・反戦派の双方のくだらなさを冷笑するのが実にバーホーベンらしく,原作とはまた違う味わい?の傑作となった。 [映画館(字幕)] 10点(2004-01-06 13:09:06) |
15. 素晴らしき哉、人生!(1946)
「素晴らしき哉,人生!」という邦題は最初どうかと思ったが,観終わったあとの今では,このタイトル以外には考えられない。この映画は希望を失ったとき,心が沈んだときに贈られる最高のクリスマスプレゼントだ。当時,F・キャプラの理想主義は相当馬鹿にされたりしたらしいが,キャプラの映画が時を越えて我々の心に訴えてくるのに対し,キャプラを笑った人間はいったい何を残せたと言うのか。「現実味がない?」それがどうした。「現実」なら映画に求めずして腐るほどあるのに,それを「子供だまし」と混同して冷笑を浴びせるのは間違っていると私は思う。60年前の観客と,今日の我々は同じである。その昔と同じくラストシーンに胸を打たれ,涙する者が居るということにも私は感動する。 10点(2003-12-24 12:01:09)(良:4票) |
16. 砂の器
下に「よい映画だが"引く古さ"を感じる」といったコメントがありましたが,私も同感です。野心的で骨太な好作だと思いますが,それを古さがスポイルしている感があります。私は古くてもそれを感じさせない映画が好きなのでこの点数としました。リアルで観たなら満点つけたかも知れませんが。 6点(2003-12-17 19:08:43) |
17. ステラ
《ネタバレ》 私の涙腺が緩む数少ない映画の中のひとつ。知り合いにも「ぜひ!」と勧めまくり。ペット・ミドラーがいいですね。 クリスマスのシーン、娘を突き放すシーン、ラストシーンでは涙で画面が....泣ける。 7点(2003-12-17 12:35:13) |