21. 弾丸を噛め
《ネタバレ》 馬に乗っての長距離耐久レースがメインの緩い西部劇。 参加者8人にはそれぞれ背負ってきた人生、思惑があって――。 西部劇の殺るか殺られるかのヒリヒリした緊張感を期待して見るなら、のんびりしていて退屈。 しっかり描ききれてないようなところも幾つか。 あれだけ傍若無人だったカーボがあっさり好青年に変身、サムがレースに参加した理由、サムとルークの結びつきなど。 これでは、サムとルークにどこかの小学校の運動会みたいに仲良く一緒にゴールされても、感動しろってのが無理。 一番良かったのが、持病があるのに参加して家族もなく名前も知られずにレース途中で死んでいった老カウボーイの哀愁。 それ以外は心に響かず、豪華キャストなのにもったいない。 人間様には賞金のかかった意義あるレースかもしれないが、馬にとってはただの動物虐待。 馬がセリフをしゃべれて馬目線で描いたほうが共感できそう。 [地上波(吹替)] 3点(2015-03-29 23:45:03) |
22. ダイ・ハード2
《ネタバレ》 管制塔のシステムを乗っ取って、着陸待ちの航空機を次々に墜落させていくテロ。 鎮圧に向かった特殊部隊との激しい銃撃戦も、空砲を使った偽装戦闘だったことから、すべてテロの一味だと発覚。 そんな窮地の中、主人公が前作に続いて獅子奮迅の救出劇。 インパクトのあった前作を見ていれば、戦闘はマンネリ気味で新鮮味は感じないものの、エンターテイメント性は変わらず。 真っ暗な雪の中を何を目印に着陸させるのかと思えば、テロ一味の乗った機の爆破炎上が誘導灯の役目とはうまくできている。 序盤にテログループに一機墜落されているので万々歳ではないはずだけど、オールオッケーのようなエンディングがハリウッドらしい。 前作の尾を引いた嫁と嫌味なTVレポーターのバトルが地味に笑える。 [地上波(吹替)] 6点(2014-12-27 00:12:59) |
23. 奪還 DAKKAN アルカトラズ
《ネタバレ》 セガールの体が重そうで、アクションが俊敏に見えない。 設定やストーリーも雑。 サーシャが潜入捜査官だとあっさりニックに白状して、たいした山場もない。 潜入捜査官が実はニックだとかの捻りもないので、どこにも意外性がない。 派手な銃撃戦や爆破をやってりゃいいってもんじゃない。 [地上波(吹替)] 3点(2014-11-28 00:15:56) |
24. ダラス・バイヤーズクラブ
ガリガリに減量した体が本物の患者に見える。 共感はできなかったけど、役者は幾多の賞に値する熱演。 [DVD(吹替)] 5点(2014-11-11 22:07:06) |
25. ダイヤルMを廻せ!
《ネタバレ》 ヒッチコックの代表作の一つと評されてはいるが、それほどでもないような。 グレース・ケリーのようなか細い女性が、男の背中をハサミで一刺ししただけで死んでしまったシーンには唖然。 背広にコートという厚着の上からだから、刺さっても何針か縫うだけの軽傷で終わりそうなのに、もうちょっと現実味のある殺し方をしてほしい。 二つしかない自宅の鍵をめぐって、真犯人が墓穴を掘ってしまう展開はなるほどと思わせる。 が、もともと舞台劇というのもあって、セリフによる説明が多くて単調に感じるところも。 沈着冷静な犯人がコロンボに出てきそうなタイプだったが、刑事がコロンボならもっと面白くなっただろうに。 [地上波(字幕)] 5点(2014-11-09 21:52:33) |
26. ダーティハリー
《ネタバレ》 甘っちょろく規則通りに追いかけていては捕まえきれない悪もある。 逃げのびて舌を出す鬼畜どもに対する歯がゆい思い。 悪党をやっつけるためには手段を選ばない鬼刑事がいてくれたら…。 そんな願望を叶えてくれる存在がアウトロー刑事のハリー。 シンプルなストーリーだけど、人気の要因はそこにある。 ラストで凶悪犯をなぶるように仕留めるハリーに溜飲が下がる。 [地上波(吹替)] 6点(2014-10-29 22:43:00) |
27. 大丈夫日記
重婚をごまかそうとしてのドタバタコメディ。 エレベーターの中での鉢合わせを乗り切ったのはちょっと笑えた。 が、ストーリーがシンプルなので、90分を同じ調子でやると少しダレてくる。 いかにもドタバタコメディというコント風の演出が肌に合わず。 コメディで笑いのツボがズレていると厳しい。 主演のユンファはマフィア物のシリアスなイメージがあったので、その落差は良かったのだけど、吹替えがコント赤信号のリーダーではその効果も台無し。 やるならシリアスなタッチでコメディを描いたほうが笑えるのに。 [地上波(吹替)] 4点(2014-10-24 22:38:21) |
28. 黄昏(1981)
《ネタバレ》 エセルのすべてを包み込むような人柄が素晴らしい。 慈愛にあふれ、ボケの入ってきた夫を常に気に掛け支えている。 妻、母、祖母、どの立場であっても理想的で、大好きにならずにはいられない。 対して、ノーマンは老人の嫌なところをしっかり見せてくれる。 プライドが高く自分の非を認めず、嫌味ったらしい冗談を好み、無神経な言葉で相手を傷つける。 プライドの高さゆえに老いを恐怖して目をそらし、虚勢を張ってしまう。 ノーマンがかまどの失火で少年を理不尽に怒ったのは、その最たるもの。 子供だったら普通それだけで祖父のことが大嫌いになるもので、たとえ祖母のとりなしがあってもすぐに許せるほどの寛容さはないはず。 大人でもそうした老人を理解してあげるのは人生の機微を味わってからなのに、随分と物分かりのいいできた子供のようだ。 ノーマンがチェルシーと違って少年と打ち解けたのは、年を取って子供と同じ目線に立てるようになったから。 同じレベルで釣りを楽しみエキサイトしているが、チェルシーとは厳格な父の立場を崩せずそうした関係が築けなかった。 私生活で不仲だったフォンダ親子を重ねれば感慨深いものがあるものの、作品だけを見つめるならばノーマンとチェルシーの描写は物足りない。 チェルシーが母に父の不満を吐露している場面があったが、セリフが説明的に感じた。 セリフで全部説明するのではなく、そうした二人のこじれた関係がはっきりわかる出来事をサイコロゲーム以外にも積み重ねてほしかった。 そうすれば、もう少し娘の気持ちにも感情移入できた気がする。 志賀直哉の『和解』には感動した覚えがあるのに、この父と娘の確執と和解は心に入ってこなかった。 ヘンリーとジェーンの実話を映画化したほうがよかったような…。 『12人の怒れる男』の若かりしヘンリー・フォンダと本作を重ねて、「老い」というものを考えさせられる。 誰にでも人生の黄昏はやってくるし、それをどう迎えるかというのは逃れられない課題でもある。 静かでじんわりとくるタイプの物語ではあったけど、観るタイミングがズレていたのかも。 もう少し年を取れば、また観てみたい。 [DVD(吹替)] 5点(2014-10-11 21:54:10) |
29. 太陽を盗んだ男
《ネタバレ》 突っ込みどころが満載で、荒唐無稽な漫画のよう。 一人でプルトニウムを盗み出し、設備もろくにないちゃちな自室で原爆を作る。 製作の過程で爆発のアクシデントが起こってガイガーカウンターが跳ね上がっても、鎮火すればなぜかすぐに収まってしまう。 放射能漏れなんぞ知ったことかとばかりの破天荒なトンデモ系ストーリー。 警察の警備網を一人で破って原爆を取り戻すという、ジャック・バウアーでも困難なことを一介の教師がやってのける。 菅原文太が何発弾をぶち込まれてもゾンビのように迫ってきて、挙句に沢田研二が屋上から落とされて奇跡的に無傷で着地したときは、思わず吹き出してしまった。 サスペンスというより計算されずに偶発的にできたコメディのようで、当時の制作サイドにはそんなつもりはなかっただろうけど、今の時代に観るならばどうせならはっきりブラックコメディとして狙って撮ってくれたほうが面白かった。 あの時代の中で犯人の持っていた孤独感、無力感、閉塞感や、絶対的な力を持った時の高揚感は伝わってくるものの、全般的にハチャメチャすぎて肩肘ついてニヤけてしまう。 勢いだけで乗っていくほど前のめりにはなれなかった。 [DVD(邦画)] 4点(2014-09-25 20:51:59) |
30. タッカー
実在の人物がモデルで、いかにもハリウッドが好みそうな題材。 常にポジティブな思考、困難にへこたれない情熱、果敢な行動力で突き進む主人公。 新車発表の直前まで修理調整でドタバタしてるシーンはちょっと笑える。 BIG3の妨害も敵味方のはっきりした描き方。 よくあるパターンなので新鮮味はないが、わかりやすく安心して楽しむことはできる。 [ビデオ(字幕)] 5点(2014-04-28 01:39:57) |
31. たそがれ清兵衛
清貧の武士は好感が持てるが、感情を揺さぶられるようなストーリーでもなかった。 期待しすぎたのかも。 [ビデオ(邦画)] 5点(2014-04-19 19:09:44) |
32. Wの悲劇
《ネタバレ》 「顔ぶたないで。私、女優なんだから」「私、お爺さまを殺してしまった!」 印象的な場面をネタにしたWの悲劇ごっこが流行った記憶が。 ストーリーは野心を抱いた女優の業を描いた『イヴの総て』を思い起こさせる。 薬師丸の人気絶頂期の作品だけど、ここでの存在感では三田佳子に押されている感じ。 [地上波(邦画)] 5点(2014-03-01 15:21:38) |
33. 旅立ちの時
リバー・フェニックスのスター性が十分にうかがえる。 ただ、ストーリーが少し物足りないので、泣くところまではいかない。 弟があまり出てこなかったが、家族のつながりを出すならもっと絡みがあってもよかった。 [DVD(字幕)] 6点(2014-02-28 21:30:16) |
34. ターミネーター2
《ネタバレ》 どこまでも追いかけてくるT-1000が夢に出てきそう。 作品世界に取り込まれて思わず力が入って疲れてしまうほど。 エンターテイメントの要素がぎっしり。 1にあった恋愛色の代わりに、少年とターミネーターとの間に生まれた友情が胸を打つ。 [地上波(吹替)] 7点(2013-10-02 21:30:09) |
35. ターミネーター
《ネタバレ》 SFアクションの中のラブストーリーが効いている。 ガソリンスタンドで撮ったサラのポラロイド写真が、将来カイルへと渡るドラマをイメージさせて余韻が残る。 [地上波(吹替)] 7点(2013-10-02 21:29:05) |
36. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
《ネタバレ》 この時代にこのテンポとセンス、山中監督が夭折の天才と惜しまれるのがよくわかる作品。 左膳と女将の二人とも天邪鬼で、仲良くケンカするそのかけあいが間も絶妙で実におもしろい。 しっかりと芯のある王道の人情コメディとなっていて、本作をお手本にしている邦画やコントも少なくないような気がする。 子供にきついことを言いながら、次に場面が変わると実はとても可愛がっている様子がわかるような描写。 こうしたフリ、省略、オチのパターンは今の作品でも見かける手法だ。 ただセリフの聞き取りにくいのが難点。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-01 21:52:01) |
37. 大停電の夜に
うまく作っていてオシャレだとは思うが、おもしろいとはいえない。 複数の人間ドラマを並行して描きながらそれぞれを交錯させることで、どうしても都合のよすぎる展開に。 こうした群像劇は『ラブ・アクチュアリー』や『クラッシュ』と同じような趣向だけど、前者ほどはじけてはおらず、後者ほどエピソードにインパクトがない。 [DVD(邦画)] 4点(2013-08-28 22:36:22) |
38. ダイ・ハード
《ネタバレ》 孤立無援のビルの中、一人でテログループと対決するブルース・ウィリスはヒーローものの基本スタイル。 息もつかさぬ攻防に、主人公に感情移入して思わず力が入る。 主人公の敵はテログループだけでなく、無能で的外れな指揮官、浅はかな人質社員、配慮の足りない報道陣にもことごとく足を引っ張られる。 唯一力になっている相棒のパウエル巡査にしっかりしろと声援を送りたくなる。 自然とそういう気持ちにさせるストーリーの運び方が実に巧い。 ジョンの妻が怒り狂う犯人の一人を見て「人をあんなに怒らせることのできるのはジョンしかいない」とジョンの生存を確信するくだりはおもしろい。 緊張感の中にチラリとユーモアをのぞかせるのがいい。 パウエルが全然役に立ってないなと思いきや、ラストでお約束通りの活躍。 勧善懲悪のわかりやすい映画だけど、ジェットコースターのように最後までスリリングな起伏が楽しめる。 アクション映画のお手本のような作品だ。 [ビデオ(吹替)] 9点(2013-07-17 21:04:01)(良:1票) |
39. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 デニーロの演技が見事。 コミュニケーションがうまくとれずに孤独感に苛まれる。 好きな女に対する真心を不当に拒絶されたと思い込んで憤る。 相手の気持ちを汲む能力がなく、自分勝手な思い込みで行動するのが痛々しい。 だから周囲も距離を置き、ますます孤独感を深めていくという悪循環。 自省することがまったくないので、悪いのはいつも相手や社会というのがお決まりコース。 ヘドロのように負の感情が溜まっていく様子がリアル。 社会の底辺で暮らすどうしようもない閉塞感から抜け出したい思いも手伝って、街のゴミを片付けるという大義名分のもとに暴走。 やることなすこと終始ズレてる感じ。 ベトナム戦争の後遺症や社会の暗部が、病んだ人間を生んでいるという側面はあるけど、こういう人格障害的なコミュニケーション能力の低い人はそういうことに関わらず存在する。 日本でも問題になった通り魔事件と、犯人像に共通点がある。 鬱憤ばらしの対象が、悪人だったか、普通の人々だったか、子供だったかという違いはあるけど。 トラヴィスが殺害したのは悪事を働いている人間だったので、家出して売春していた少女の親からは感謝もされたが、本人はただ自分自身のガス抜きをしただけだし。 閉塞感や孤独感を抱えている人間は今の日本にだっていくらでもいるだろうし、そういう気持ちと折り合いをつけて生きていかなきゃいけない。 鬱屈した人間をよく描けているとは思うが、こっちまで病んできそうなブルーな気持ちにさせられるので、主人公も映画も好きにはなれない作品。 [地上波(字幕)] 5点(2013-07-04 21:02:46) |
40. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 リプリーとフィリップの間には貧富の差が大きな隔たりとしてあり、友情と呼べるものはない。 フィリップは傲慢な金持ち、リプリーは金目当ての貧乏人で、どちらにも好感が持てない。 ヨットでリプリーが本人を前に殺害計画を平然と話しているのが大胆で、嵐の前の静けさのよう。 フィリップもだんだん「こいつマジなんじゃ?」と危険を感じ始める様子がリアルで見応えがあった。 犯行は杜撰で、パスポートを偽造して声とサインを真似ただけで本人になりすます。 案の定、知り合いに出会ってバレた挙句に殺して行き当たりバッタリ状態。 指紋にも気を遣っておらず、これではあまり頭がいいようには見えない。 ところが、警察の捜査がお粗末で、指紋の鑑定がいい加減だから犯人を勘違いしてしまう。 時代が時代とはいえ攻防のレベルが低いので、犯罪ものとしては少し物足りない。 大金に婚約者とすべて手に入れて二人殺した罪悪感の欠片もなく幸福感で満ち足りている姿がふてぶてしく映る。 そんなリプリーに天誅が下るラストにはカタルシスがある。 ただ、主人公に肩入れできないとどうしてもインパクトが薄くなる。 アラン・ドロンの出世作だが、一時代を築いた正統派二枚目ぶりを発揮。 風情のある映像美とせつなく美しい音楽も堪能できるが、ストーリー自体は名作と呼ばれるに値するほどのものとは思えない。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-24 21:42:10) |