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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  団地 《ネタバレ》 
現在大流行中の福田雄一監督の“アドリブ”コメディとは一線を画す“計算し尽くされた脚本と演出”に基づく正統喜劇。因数分解すると、人情もの、社会風刺、シュール、SF、ファンタジー、寓話と多種多様な要素が混在しているものの、決してとっ散らかった印象はありません。ただし、終盤の超展開には唖然とするかもしれませんが。さて、本作最大の魅力は何と言っても俳優の皆さんによる見事な演技にあります。表情、動き、言いまわし、間の取り方。熟練の技術に魅了され、何度吹き出したことでしょう。本来、喜劇役者というものは“自分は笑わない”ものなのですよね。もちろん若手の方々も含め、漏れなく素晴らしい役づくり。斎藤工さん怪演でした。ただ、ここは藤山直美さんに言及しないワケにはいきません。一見、ごくごく普通のおばちゃん。それでいて、どこか滑稽で、味わい深く、そして可愛らしい。主役であるにも関わらず、主張し過ぎない空気感が絶妙でした。これが長年舞台を踏んできた役者の地力、生まれついての喜劇人の血というものなのでしょう。もう山下ヒナ子にゾッコンであります。ご主人が「お前と漢方薬があればそれでええ」と言っていましたが、なるほど納得。息の合った漢方薬づくり。精根尽きて寄り添う2人が何とも愛おしく、理想の夫婦に思えました。夫婦が“連れ添う”とは、こういう事なのですね。人間の美しさと醜さが等しく、そして正確に描かれている映画に大拍手。無粋な理屈を捏ねない至福のハッピーエンドに絶賛を送らせてください。タイトルも、主要キャストも、さほど“惹き”を感じない装丁ですが(失礼)、これは傑作も傑作。コメディ好きなら観ないまま死んだらいけませんよ。
[インターネット(邦画)] 9点(2020-08-15 08:28:55)(良:3票)
2.  タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら 《ネタバレ》 
ジャンル”あるある”を逆手にとったパロディ映画は時々目にしますが、『殺人鬼もの』をコメディに、いやラブコメディに仕立て上げるとは、この切り口は新鮮でした。スプラッターホラーお約束の醜男に、お馴染みチェーンソー振り回し。なるほど殺人鬼のディテールをそういう流れで再現しますか。よく考えますな。でも本当に凄いのは、人が死にまくるのにきちんと笑えること。クダラナイのもテクニックのうちと。もちろん、コメディの肝は人物造形。主役2人は絶品の愛されキャラで、感情移入しまくりでした。ホント、人は見た目で判断してはいけませんね(でも悪そうな人は大体悪人なんですよ)。風体はまさに猟奇殺人鬼のそれ。なのに中身は善人、しかも友情に厚いというギャップに萌え、好意と善意が悪い方にしか転ばぬ運の悪さに身悶えしながら観入りました。ですから、溜まりに溜まったアンラッキーの負債をチャラにするラストの多幸感たるや、もう!全非モテ男、感涙必至なのであります(ただし、『果報は寝て待て』な解釈はご法度。デイルは、優れた人間性が正当に評価されたのです。知性も高いですし。原石は磨いて宝石に。市場に出されて、初めて価値がつくという教訓です)。危うく10点を献上するところでした。もうホント大好きです。ただ、肯定前提で注文をつけさせてもらうなら、敵役の大学生がちょっと可哀想でね。彼に殺人鬼の血筋をあてがうのは筋悪。無理して悪者に仕立てなくても、このお話は成立したと思うのです。徹頭徹尾、大学生たちの思い込みと勘違いだけで物語を組み立ててくれたら最高でした。さて、これだけのナイスキャラを一作で終わらせるのは勿体ないような。続編は、セラピスト志望のヒロインも含めて、殺人鬼ファミリーもので如何でしょうか。
[インターネット(字幕)] 9点(2020-04-25 11:49:17)(良:1票)
3.  ダージリン急行 《ネタバレ》 
序盤は意外と退屈しました。淡々と進む『真っ当なロードムービー』の様相。でもこれがウェス・アンダーソン監督の“リズム”であり“やり口”。案の定、3人のイカれ具合が露見していくに連れ、画面に釘付けになりました。結果的には今回も、監督の“センス”に見事にノックアウトされた格好です。京都修学旅行で木刀を求めるが如き感覚でのキング・コブラ購入、高級ベルトの執拗なやり取り、包帯をとったら普通に痛々しい顔など、思わず腹を抱えるネタ要素に加え、ビル・マーレイの無駄遣い、すぎむらしんいちが描きそうな瞳大きく唇厚い小顔客室乗務員の美女ぶりにも痺れましたが、やはりウェス・アンダーソン作品最大の魅力は、観客の予想の斜め上を行く脚本の出鱈目さ(失礼)でしょうか。コメディで子供を死なせる必要があったのかと。でも人生をきちんと描くのであれば人の死を禁忌とするのはかえって不自然なこと。事件、事故、病気。思うように行かぬ人の寿命。普段意識せずとも、死は常に私たちの隣に居ます。父の死、助けられなかった子供の命。2つの死と、母親の(愛ある?)身勝手さを目の当たりにして、3兄弟は悟ったのでしょう。何せ人生観が変わる異国の地NO.1のインドですから(完全な思い込み)。そう、“家族の絆”は美しく大切ですが、執着しても仕方がありません。全ては流れのままに。だから最後、ダージリン急行という名の人生の列車に乗るために、彼らは余計な荷物を捨てたと。うん、納得出来ます。共感します。何が幸せかは、実はとってもあやふやなこと。母が虎に食われずに生きている。息子が生まれる。それだけでどれほど幸せなことか。彼らは確かに成長しました。ただし、シガラミは捨てても、ホイットマンブラザーズは、もう少し常識を身に着けた方が良いとは思いますが。
[DVD(吹替)] 9点(2016-12-31 23:59:59)
4.  タイヨウのうた 《ネタバレ》 
ドラマの積み重ねが足りない。主人公の演技がまるで素人。不満が無い訳ではありません。でもそれ以上に胸を打つものがある。人は何故生きるのか。生きたいと願うのか。少女の姿に心が震えました。人は想う生き物。苦しみを、悲しみを、切なさを、怒りを、そして喜びを。その想いを表現したいと思う。誰かに伝えたいと願う。感じたことを胸の中に締まっておけばいいのに、そうすることが出来ない。それが人だと思います。何故なら、生きているから。想うことは、生きている証だからです。ある者は気持ちを、言葉に換える。ある者は文章に、ある者は書に、踊りに、絵に、彫刻に、料理に想いを乗せる。その方法は一様ではありません。人の数だけ手段がある。塚本の場合は、サーフィンかもしれない。主人公の場合は勿論、歌です。自分が感じていることを表現したい。それは、自分が今此処に存在していることの証明に他なりません。生きている。生きている。生きている!私は此処にいる!!そう強く叫びたい。人はそういう生き物だと思いました。本作はいわゆる難病もの。しかし難病だから泣けるのではありません。少女が死ぬから悲しいのでもありません。彼女の想いが心に届くから涙するのだと思います。主人公の死の悲しみよりも、生きていることの素晴らしさで胸がいっぱいになる。それは爽やかな余韻に繋がります。ラスト、笑顔で海へ駆けて行く塚本。いろんなことを感じ、想って、生きていきたい。自分は今、生きている。
[DVD(邦画)] 9点(2007-09-09 17:14:25)
5.  ダイ・ハード
『ダイ・ハード』を観ると、思い出す奴がいる。あいつとの最初の出会いは、確か雑誌の広告ページだった。“モノマネタレントの○○さんも愛用”みたいなキャプションが付いていた気がする。商品は何だったか忘れた。でもそいつの困った顔が心に焼き付いた。再会はテレビのバラエティ。モノマネ番組だ。色モノばかりの中でも、一際色モノばかりを集めたようなコーナーにあいつは出てきた。白のタンクトップに、おもちゃのマシンガン。在り得ないくらいに華奢な肉体からは、全盛期の春一番を髣髴とさせる「お前、大丈夫か?」感が漂っていた。冷静になれば、全く似ていないことは分かる。でも“激似”なのだ。奴が発した言葉は「ハーンス!」。その一言で、司会の今田は笑い転げていた。勿論テレビの前の自分ものた打ち回った。その後も何度かバラエティで見かけたが、あいつの台詞は決まって「ハーンス!」か「ホーリー!」。そしていつも困っちゃうんだ。あいつの名前は知らないし、知りたくも無い。でもあの困った顔だけは忘れられない。そこで気が付いた。本家ジョン・マクレーンの困った顔が『ダイ・ハード』の魅力だと。中年男の悲哀に、そしてどんな状況でも諦めない男の姿に共感するんだと。最高のアクション映画と愛すべき中年ヒーローに、そしてちゃんと食べられているか心配なあいつに乾杯だ。そして、日本版のマクレーン刑事に命を吹き込んだ野沢那智さんにも、心を込めて献杯を。(2010年10月30日)
[地上波(吹替)] 9点(2007-05-08 18:26:32)(笑:3票) (良:2票)
6.  たそがれ清兵衛 《ネタバレ》 
貧困と日々の生活に追われる中、自分の身なりにまで気が行き届かなくなる清兵衛。そんな暮らしぶりでも、2人の娘の成長を見守ることに喜びを見出すことができる。成り行きとはいえ朋江の為に死合いをしたこと、彼女を慮って再縁話を断ったこと。様々な出来事、そして立ち居振る舞いから、清兵衛の実直な性格と清い心が感じ取れます。ですから清兵衛に強く思い入れることができます。藩命の名のもと、立会いを受けざるを得なかった清兵衛が抱いたであろう憤り、無力感、悲しみ、諦め、やるせなさ…。そして生死の境を目の前に朋江に胸の内を告げ、返事を聞いた時に感じたであろう後悔、失望、恥ずかしさ…。清兵衛の複雑な心情が伝わってきて、切なくも心を打ちます。メインキャストはもちろんのこと、全編にわたり“人”を丁寧に描いている印象を受けました。(本作の真田広之と宮沢りえは文句なく素晴らしかった!)自分は運命という言葉が好きではありません。でも縁という言葉は好きです。清兵衛と朋江がこのように再び出会い、結ばれたのもすべて人の世の縁という気がしました。良作だと思います。ただ、エンディングの井上陽水だけはいただけません。
[DVD(邦画)] 9点(2006-08-30 18:11:59)(良:2票)
7.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
どうしようもない孤独と閉塞感に精神を病んでいく主人公トラヴィス。女性との交際失敗を引き金に、トラヴィスは現状を変える為のある計画を立てる。孤独と苛立ちをロバート・デ・ニーロが、怖いほどの演技で表現しています。もし未見でしたら、ぜひとも観ていただきたい。ただし、「観てよかった」とは思わないかもしれません。それでもなお、お勧めします。(以下ネタバレを含みます。間隔を空けて3度観たうえでの感想です。)孤独と現状に対する苛立ち。自分がどうしたいのかもわからない。タクシードライバーとして様々な人を乗せることで、一層トラヴィスの心は擦り切れていきます。失恋もそれに拍車をかけます。現状を変える何かをしなければならない。他の選択肢は現れません。目的を定め、体を鍛え始めるトラヴィス。このときは精神的に安定していたことでしょう。目的は何でもいいのです。「大統領候補殺害」でも「売春から少女を救う」でも。目的を果たした後、トラヴィスは自殺を試みます。また血の海の中で、自らのこめかみに人差し指の銃を突きたてて見せます。トラヴィスは結果を求めておらず、またその行動の意味さえ失っていたのかもしれません。この狂気の行いには共感できるはずもなく、また結果ヒーロー扱いされる様にも納得がいきません。この部分を捉えると、単に暴力的で嫌な話に思えます(初見で自分はそうでした)。トラヴィスの行動ではなく、そこに至った心の動きにこの作品の意味があり、ロバート・デ・ニーロがそこに在ることに価値があるのだと思いました。上手く言葉にできません。でも良いのです。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-26 17:48:36)
8.  大河への道 《ネタバレ》 
通常の時代劇ではなく「もし伊能忠敬を大河ドラマにするならこんなプロットにしてみては如何ですか」と提案形式にしたところがミソ。目先を変えることが目的ではなく「ね、伊能忠敬を主人公にしなかったら大河ドラマにならないでしょ」が言いたい訳で。そう、本作は伊能忠敬没後にその意思を継ぎ日本地図を完成させた者たちが主役でした。なんと伊能忠敬はキャスティングさえ無し。思い切ったものです。歴史に名が残らぬ「庶民」にスポットを当てた物語は確かに大河ドラマ的ではないものの、むしろ私たち「庶民」の胸を打つ感動の逸話でした。遂に日本地図が完成しお披露目の時。大広間に敷かれた「大日本沿海輿地全図」に圧倒されます。まさに百聞は一見にしかず。地図を一目見れば、地図製作に費やされた膨大な時間や途方もない労力が瞬時に分かるというもの。この偉業に敬意を評さぬ者など居るはずもなく。しかもお上を欺き命を賭してまで大業をやり遂げたのは偏にこの国の民の為。その理念、いや意地と執念に自然と頭が下がり目頭が熱くなりました。これは掛け値なしに良いお話。本当に劇中劇そのままで大河ドラマにして欲しいくらい。タイトルは『日本地図』あるいは『伊能忠敬』で何の問題もありません。 それにしてもこの手の人情喜劇をやらせたら中井貴一は本当に上手い。安心して観ていられます。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-04-12 21:37:19)
9.  大怪獣のあとしまつ 《ネタバレ》 
クセスゴコメディの旗手・三木聡監督作品。庵野秀明監督のようなリアルシミュレーション路線の怪獣映画のはずないと踏んでいたのですが、まるで『シン・ゴジラ』のノリでビックリ。でもかの作品ほどシリアスでもなければ、リアリティを追求している訳でもありません。全体的に緩くテンポも良くありません。正直言って退屈しました。これが三木作品の味と言ってしまえばそれまでですが、何とも中途半端な印象でした。監督お得意のナンセンスならナンセンスなりに、しっかりコメディに振り切ればいいのに。世間の低評価も頷ける残念な仕上がりに思えました。極めつけはラスト。今までの努力を無にする筋悪の結末です。しかしエンドロールを眺めながら反芻するうちに奥底から旨味が溢れてきたような。『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』とは別物。というより真逆の立ち位置。『シン』シリーズが偉大なオリジナルへのリスペクトに満ちた『大人の遊び』とするならば、本作は空気を読まぬ『子どものツッコミ』に他なりません。「ウルトラマン、怪獣と戦ってくれるのは有り難いけど街中は避けてよね。迷惑だから。ついでに倒した怪獣の後始末もよろしく」なんて、如何にもませたガキの言いそうな台詞ではありませんか。かくいう私もそんなガキでした(恥)。これだけのために、わざわざ『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』の二番煎じという不名誉な迷彩を纏ったと。ある意味極めてハイブローな『お遊び』なのでは。やはり三木聡は一筋縄ではいきません。では何監督はこんな分の悪い賭けに出たのでしょうか。その答えはエンドクレジットに隠されていました。文化庁の補助金入り。要するにお上の意向が色濃く反映されていたのです。「大災害からの復興は滅茶苦茶大変なんだから。ほんと無理ゲーみたいなもんよ。政府に任せられても困るわけ。だからみんな、せめて税金くらい気前よく払ってよね」そう観客の深層心理に訴えかけていたのではないかと。その企みが見事に空振っている点も監督の計算に違いなく、そんな裏事情を妄想してニヤニヤするのが本作の正しい楽しみ方と考えます。ぱっと見三木聡監督らしからぬ作風ですが、これほど三木聡監督らしい天邪鬼な映画もない気がします。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-01 00:00:00)(良:1票)
10.  旅のおわり世界のはじまり 《ネタバレ》 
言葉で語らず、情景で観客に問い掛ける、これぞ黒沢清作品の真骨頂。お馴染みサスペンスミステリーでも、ホラーでも、難解映画でもありませんが、計算し尽くされています。注意深く観察し想像力を働かせながらご覧になると、きっと楽しめると思います。以下は私なりの勝手解釈。お時間あればお目通しください。   小柄で華奢、幼さを残した表情の中に垣間見える疲労と苛立ち。見た目どおり、主人公のパーソナリティは子供以上大人未満です。そんな葉子の現在地を前田敦子が見事に体現しています。彼女のキャスティングは、まさに神レベルでした。流石元祖神7。歌手になる夢を持ちながら、今は足踏み状態でイライラ。本当は目標に真っ直ぐ向かいたい性分なのです。だから道無き道もなんのその。行き方(生き方)が分からないなら、アドバイスをもらえばいいのに、妙なプライドが邪魔をします。無理なら断るのも勇気。助けてもらうのは恥ですか?独り善がりな判断で行動し大失敗、挙げ句逃避なんて馬鹿丸出しです。自分の中の浅い知識、狭い了見だけで完結しようとするから空回り、行き詰まりを繰り返します。彼女の内面はまだ幼いのです。その端的なエピソードは、やはり山羊解放でしょう。家畜に自身を投影し、野に逃がして自由だバンザイなんて、そんなアホな。でもラスト、野犬の餌食との予想を覆し、山羊ちゃんは野生下で逞しく生きていました。これが意味するのは一体何でしょうか?常識が正しいと決めつけるのは、もしかしたら大人の悪い癖かもしれません。行動力だけは人一倍。それは紛れもなく彼女の長所です。間違いを犯し、恐怖を覚え、恥をかき、己が無力さを知り、人は成長していきます。経験は宝。行動することを恐れてはいけません。そして導いてくれる人生の先輩に感謝する事も。監督は彼女の未熟さを肯定してくれている気がしました。正確なタイトルは、『(子供の)旅のおわり(大人の)世界のはじまり』です。以下余談。ローカル遊園地のアトラクションが半端なくヤバそうで身震いしました。あれ演出なしで実在するなら、死人が出てもおかしくないような。ウズベキスタンの遊具恐るべし。
[映画館(邦画)] 8点(2019-08-04 17:16:09)(良:1票)
11.  鷹の爪8 ~吉田くんのX(バッテン)ファイル~ 《ネタバレ》 
Eテレレギュラー放送終了以来、私的にはお久しぶりの『鷹の爪団』。相変わらずみんな元気そうで、まずは何より。今回は、鷹の爪団本体の活躍はお休みで、吉田くんの子供時代の思い出にスポットをあてた、いわばスピンオフ企画。とはいえ、ギャグのレパートリーは豊富(駄洒落、被せ、お約束、コボケ、自虐、マイナー競技いじり、懐かし、集団芸、フレーズ、ナンセンス等々)かつキレキレですし、お話はシリーズ屈指の良脚本ときました。ガハハで最後にホロリとさせる見事な完成度。ちょっと観ない間に、なんかパワーアップしてなwい?という感じ(ゆーびーむ☆の言い方で脳内再生希望)。いやいや、ホント楽しめました。一緒に鑑賞していた小3の娘にも大ウケでございました。よく考えるまでもなく、今回のお話は吉田くんの作り話。でも、ひょっとしたら・・・と思えるあたりが、鷹の爪団の人徳(魅力)でしょう。もはや、ここまでくれば一発屋なんて誰にも言わせません。どんどん新作つくっちゃってください。島根県さん、スポンサーお願いしますね。
[DVD(邦画)] 8点(2018-10-05 00:28:55)
12.  ターボキッド 《ネタバレ》 
チャリ版『マッドマックス2』あるいは『北斗の拳(実写版のほう)』。それ以外の適切な表現が思いつきません。使い古された世界観、超テキトー設定、やり過ぎゴア描写。全くもってB級映画のテンプレート満載です。ザ・安普請。ただ、見捨てておけない魅力があるのも事実。おそらくそれは、主役2人のキャラクターに起因するのでしょう。ひたすら真面目な主人公、明らかに可愛いアップルちゃん。主役2人のラブストーリーが微笑ましく、血飛沫ハラワタ飛び散る“汚らしい”世紀末バトルとのギャップに眩暈を覚えました。荒地の2人鬼ごっこ。いい雰囲気で見つめ合ってゲロ。妖精バットでタコ殴り、人体串刺しユニコーン。何んだこりゃ。でもいいぞ!クライマックス、血の雨が降り注ぐ中、パラソルの下で交わしたファーストキスは、極めて映画的な美しさに溢れていました。人とロボット。血は通わずとも、通うものがある奇跡。ああ、良い映画を観たなと錯覚するのです。鉄拳カウボーイや丸ノコガイコツ男、悪の親玉隻眼ゼウス。サブキャラクターも良い味出しまくり。美術は並かそれ以下、脚本は穴だらけながら、演出と役者の技量で一本勝ちなんです。愛すべきB級映画をまた一つ見つけました。
[DVD(字幕)] 8点(2018-04-05 00:27:55)
13.  たまこちゃんとコックボー 《ネタバレ》 
廣田あいか(ぁぃぁぃ)は、所属するアイドルグループ・私立恵比寿中学において、切り込み隊長兼エース的なポジションの人気メンバーです(私的見解)。普段の幼げなアニメ声からは想像がつかないパワフルな歌声、ポップなファッションセンスに鉄道オタクと(フックの数が多いこと!)、際立つキャラクターがセールスポイント。一般的には“不思議ちゃん”(実際はそんな事ありませんが)にカテゴライズされると思われます。本作は、そんな廣田のパブリックイメージを存分に活かした作品でありました(※映画化の背景は、くるきまきさんが丁寧に解説されております。参考になります!)。現実世界とアニメ世界を行き来するファンタジー系アイドル映画でありながら、テーマは意外とシリアス。社会問題である“引きこもり”を扱い、甘々な味付けの中にも苦味が感じられる仕立て。ポスタービジュアルで想像していたスイートな茶番劇とは違いました。これは嬉しい裏切り。“夢見がち”というより“現実逃避”な主人公が苦難(?)を乗り越え成長していく展開は、王道青春映画のプロットなれど、問題解決がほとんど運と他人任せなのはご愛嬌。いや、人はひとりでは生きられない、成長出来ないというメッセージと受け取りましょうか。結末は腑に落ちるもので、ひよ子が垣間見せた悲しげな(そして諦めと納得の)表情がなかなか魅力的でした。本質的には影ある役が廣田には合っている気がいたします。“ファン向け”の範疇を出ない作品には違いないものの、真摯なつくりで全体印象は悪くありません。(以下映画に関係ない余談)さて、主演を務めた廣田あいかは、平成30年1月3日の日本武道館公演をもってエビ中から転校(脱退)します。芸能活動は継続する模様。『いつかやれると思って今を抑えるのはもうやめよう』そう語った彼女が、どの方向を目指すのか承知しておりませんが、廣田の才能と芯の強さをもってすれば、心配は要らないでしょう(謎の親目線すみません)。旅立つ彼女への餞別に+1点、お年玉で+1点とさせてください。頑張れぁぃぁぃ!そしてエビ中在校生6人へも心からのエールを。突き進め!私立恵比寿中学ー(サドンデスの中山莉子風に)。
[DVD(邦画)] 8点(2018-01-01 00:00:00)(良:1票)
14.  滝を見にいく 《ネタバレ》 
『七人の侍』や『ガンバの冒険』を引き合いに出すまでもなく、7人も主要キャラが居たならば、それぞれ個性を持たせようとするのが常識的な手法。ところが本作はまるで逆でした。「おばちゃん」で一括りに出来る没個性ぶり。何処にでもいそうな、人の良い、でも冴えない中年女性ばかりを集めました。7人集まっていても、全員で“一人”の人格と観て取れます(だからこそ、誤った選択を制止する者なく遭難したとも言えますが)。さて、この設定が意味する事とは?彼女らは、ほとんど自身の背景を語りません。大人は“楽しかった”昔話は好きですが、“辛い”そして“生々しい”今の境遇は語りたくないもの。皆それが分かっているから、あえて聞かないし、話さないのです。でも想像は難くありません。仕事、ローン、介護、人間関係、エトセトラ。3万円のツアー代金が「高い」と感じる庶民の懐具合。抱える悩みの見当はつきます。彼女らは特別な存在ではなく、スクリーンの前の“あなた”そのもの、ということ。みんな8人目のおばちゃん。そう考えると、どうして彼女らが遭難したのか理由が分かるというもの。“遭難してしまった”ではなく、深層心理的には“遭難してみたかった”だと思うのです。ちょっとハードなハプニング型・ピクニック。そもそも脱日常を求めるのが、旅の目的に他なりません。「私たち何処まで行けばいい?」「教えておじさん」「好きなところへ行けばいい」大丈夫、あなたは自由だよ。そう言って欲しいのが本心。でも現実には、日常へ戻らなくてはいけません。だからラストは「高原野菜、買わなきゃ」なんだと思います。優しく、素敵な、大人のための寓話でした。有名女優ゼロというキャスティングが見事に活かされていました。あれ?でも、やしろ優、出てましたっけ?
[DVD(邦画)] 8点(2015-11-25 00:27:20)(良:1票)
15.  鷹の爪GO 美しきエリエール消臭プラス
小島よしおの「そんなの関係ねえ!」を初めて観た時の衝撃は忘れられません。それはもう笑い転げました。長州小力も面白かったですねえ。でも綺麗にブラウン管(いや液晶画面かな)から消えてしまいました。『THE MOVIE3』の感想でも触れましたが、笑いの本質は瞬発力。短命なのは運命です。毎度お馴染みの定番ギャグを繰り返していては、飽きられてしまうのは必然。しかしその一方、長い歳月愛され続ける名作コメディも存在します。それは優れたメッセージと豊かな物語性を有したもの。本作は即時的なギャグ映画から普遍性を有するコメディへの移行を図ったターニングポイントと考えます。定番の味(バジェットゲージ、無闇に高品質なCGなど)を堅持しつつ、シリーズ随一の良脚本を用意。エンディングもお洒落に凝ったチャレンジ作品。例えるなら“突き押し相撲”から“四つ相撲”へのスタイル変更でしょうか。相撲の本道は突き押しですが、硬軟対応できる組み相撲の方が力士の寿命は長かったりします。無難な方向へ舵を切った事に一抹の寂しさを感じるのは事実です。しかし、弱肉強食のエンターテイメント業界で生き残るには、手段を選んでいる暇はありません。大切なのは、総統や吉田くん、菩薩峠にフィリップ、デラックスファイター、大家のおばちゃんら愛すべきキャラクターたちが生き残ること。私は本作を支持したいです(ただし、今や国営放送でレギュラーを持ち、すっかり大金持ちになったFROGMANが札束風呂に入っていたら、ちょっと考えなおしますが笑)。この際ですから、『男はつらいよ』を目指してみては如何でしょう(タイトル的には007ですが)。悪フザけのフラッシュアニメがギネスに名を刻むなんて痛快でしょ。点数は少しオマケしておきます。
[DVD(邦画)] 8点(2014-07-03 18:59:03)
16.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 
小学生の頃、初めて通販を利用して手に入れた本が『宮崎駿・大塚康生の世界』でした。そこで本作の存在を知ったワケです。何せ生まれる前の映画。当時レンタルビデオなど無く、セルビデオは高級品。動くホルスを目にすることなく、実に30年以上の歳月が過ぎ去りました。この度、W●W●Wのおかげで積年の夢を叶えられたのですが、観賞前は期待よりも不安の方が勝っていました。想像の傑作に太刀打ち出来るものかと。しかしそんな心配は無用だったようです。何と言っても、アニメーションの質の高さに驚かされました。45年前の作品が近年製作のアニメに全く見劣りしていません。本作の技術が最高水準である証。ご指摘のレビュワー様もおられるように、中でもヒルダの表情の表現が絶品でした。グルンワルドを倒した後のこと。呪縛から解き放たれた少女の心象を表す作画の繊細さ(特に眉の動き)に、胸を打たれました。このワンシーンだけで、本作を傑作認定したいほどです。アクションシーンで多用された“止め画”の手法は、経費削減の為かもしれませんが(参考文献:藤井青銅著『愛と青春のサンバイマン』笑)、世界観が完璧ゆえ、芸術的な演出のひとつと捉える事ができます。作画・動画・背景といった基本的なアニメ制作技術は10点満点です。ただし、演出については少しばかり不満が残ります。太陽の剣を鍛え上げる過程、グルンワルドを倒した瞬間。カタルシスを得られるはずのクライマックスが些か物足りないのです。子供向けの“冒険活劇”を謳うならば、子供が観たいと願う決定的な場面を真正面から表現して欲しいと感じました。本作を子供の頃に観られた人は幸せだと思います。でも私の場合、きっと縄付きの斧を振り回すガキになっていたと思うので、これで良かったのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-21 00:29:47)
17.  団塊ボーイズ 《ネタバレ》 
旅立ちはピクニック気分の軽いノリ。覚悟も決意も、すったもんだもありません。それも当然。これはレジャー。とことんおバカな男だらけの珍道中です。笑わせてもらいました。ですから愚連隊一味とのいざこざには、ちょっと戸惑いました。マジでヤバいですもん。問題解決に必要なスキルも、資金も、奥の手もない男たち。はてさて、どんなオチをつけるのかと心配しましたが、これまたユルい結末が待っていました。こうも都合よく丸く納まるなんてあり得ない。でも本作の場合はコレで正解です。50人の悪党VS4人のオッサンというシチュエーションに酔うことが大事。バカ笑いしていた自分も、この時ばかりは熱くなりました。小細工弄せず正面突破。無謀がカッコ良く見える年齢はとうに過ぎたはずなのですがね(笑)。MVPはウィリアム・H・メイシー。『セルラー』でのカッコ良さとは一味違うオトボケぶりにハマりました。本来はコメディ畑で持ち味を発揮するタイプの役者さんなのでしょう。もうすっかりファンです。エンディングは溶けたアイスクリームのようで締まりが無いのがイマイチ。コレはコレでアリですが、DVD特典の“もうひとつのエンディング”の方が個人的には好みです。すっきりしているし、この後の展開を想像する楽しみもある。自分基準では7点が妥当なのですが、どうしても8点を付けたい気分。ですからメイシーの「中割れメガネ」に無理矢理+1点加点しときます。ああ、バイクに乗りたいなあ。気持ちいいだろうなあ。乗った事ないけど。
[DVD(字幕)] 8点(2010-08-17 20:56:17)(笑:1票) (良:2票)
18.  大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 
まず脚本が素晴らしいです。“絶対悪”の誘拐事件をこんなにも清々しく調理し、エンターテイメントに仕上げるとは驚きです。事件に振り回された警察関係者や心労をかけた家族はお気の毒ですが、基本的に誰も傷ついてもいないのが楽しめる所以でしょう。当たり前の事ですが、意外とこのへんの処理が適当なコメディが多いもの。素晴らしいです。欲を言えばラスト。刀自と緒方拳が事件を語る場面では、最後までシラを切り通して欲しかったと思います。それが対戦した相手に対する礼儀かと。なお当然ながら、北林谷栄の貫禄の演技無くして本作は成立しませんでした。あの器の大きさ。童子が全てを委ねてしまうのも納得でした。そしてなんとチャーミングなことでしょう。希木麒麟の存在感も見逃せません。2大女優に感服いたしました。風間トオルのうそ臭い関西弁は本来マイナスポイントですが、刀自の魅力を際立たせる効果を上げているのでまあいいのかなあ。
[DVD(邦画)] 8点(2009-04-09 20:32:07)
19.  ダイ・ハード4.0
「突き出たお腹」「オヤジ臭」「寂しくなった頭髪」が中年男三種の神器。一定の年齢を越せば、大半の男性がこの項目を満たすようになる。自然の摂理の如し。しかし本当は違う。加齢臭は仕方がないにしても、メタボやバーコードヘアーは本人の意思でどうにでもなる。にもかかわらず男たちは太り続け、ハゲを晒し続ける。若い頃の自分には理解ができなかった。特にバーコード。必死に取り繕おうとするのが憐れに思えた。ヅラや植毛はNGでも、坊主にすればいい。いつか自分も禿げてきたらそうしよう。そう心に決めていた。そんな“いつか”が我が身に迫ってきた時、何故男たちはデブでハゲで居続けるのか分った気がする。当たり前だが、1日2日でデブでハゲになる訳ではない。数十年かけてデブでハゲになるのだ。それを否定することは今までの生き方を否定するようで忍びない。そして何より“まだ途中”との想いが強いことが分かった。ちょっと頑張ればお腹は引っ込む。育毛剤だって使っている。今の姿は最終形ではなく、またスマートとフサフサを取り戻せる。そんな夢物語を抱いている自分に気付いた。“ファッション”ではないスキンヘッドには、確かな現状認識力が在る。髪の毛だけでなく、その他のシガラミを捨て去ったようにも見える。枯れすすきよりスキンヘッドの方が間違いなくカッコイイ。潔い。でもバーコードだって悪くないと思えてきた。突き出たお腹と薄くなった髪は、今まで頑張ってきた証。それに“まだ途中”なのだから、現状を卑下する必要はない。そんな風にずっと自分を騙し続けて人生を終える。情けないけど、そんなんも悪くないかなと。だから、本作のマクレーンから髪の毛が消えたことは一大事だと思う。単に俳優ブルース・ウィリスの現行フォーマットが「スキンヘッドだから」では済まされない。中年男の悲哀を捨て去り、マクレーン刑事がスーパーマンに生まれ変わるには、薄くなった髪の毛を捨て去る必要があったのだと思う。アクションエンターテイメントとして8点。でも『ダイ・ハード』には中年男の悲哀というプラスαがあった。それが無くなったのは少し寂しい。
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-04 21:55:30)
20.  大日本人 《ネタバレ》 
(松本人志の笑いは好きですが、ファンというほどではありません。また、パンフレット等解説書類には目を通しておりません。そういう立場での感想です。)序盤はおとなし目、中盤から終盤にかけて徐々にペースアップ。淡々としたリズムがボディブローのように響いて、笑いを誘います。MAXは板尾の獣と、ラストの実写。笑いを噛殺すのに必死でした。そしてこの時、本作が映画である理由が分かったような気がしました。映画(映画館で鑑賞すること)の特徴は、不特定多数で時間と場所を共有すること。隣の席には他人がいます。このことに意味がある。満員でノリノリの空気が出来上がれば、笑いは笑いを生みます。そうでない場合は他人の手前、声を出すことをはばかるはずです。つまり“笑ってはいけない”というシチュエーション。これほど“可笑しい”状況はありません。どちらにしても、映画館でしか味わえない笑いです。タイトルに“大”が付くことで若干ニュアンスが弱まっていますが、監督の日本人観を描いているのは間違いなさそうです。さらに映画論も垣間見られます。主義主張は伝わってきますし、どこを切り取っても“松本人志”を感じることが出来ます。本作は映画。それも映画館での鑑賞に意味がある映画です。正直、鑑賞直後の満足度はさほど高くありませんでした。でも思い返すとニヤニヤしてしまいます。六代目大佐藤の一挙手一投足が、あの受答えが頭から離れません。最後に公開直前に放送された番組『ゲツヨル』(5月28日放送・NTV系)について。この番組での松本の不遜な態度や、インタビュアーのヨイショぶりは目に余るものでした。何でこんなに自分でハードルを上げているのか不思議なくらい。しかし、これは本編に対する壮大な前フリ。この番組でカチンときた人ほど本編で笑えると思います。
[映画館(邦画)] 8点(2007-06-05 17:50:04)(良:1票)
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