1. 他人の顔
《ネタバレ》 安部公房と勅使河原監督のタッグ、いいよなぁ。 この世界を自分なりにのみこんで、その後に、世界に実験または装置をしかけて、 そこから人間、とくに現代人の孤独を浮き彫りにしていくという、世界へのアプローチがいい。 「砂の女」では砂地獄に作られた家であり、本作でいえば顔を変えることができるという技術であったり・・ 自分の顔にコンプレックスを抱いてる男が、顔を手に入れた後、 やってみたかったこととは? そこに何とも言えぬ現代の哀しさが出てる。 もう一組、顔に傷のある女性も出てくるが、 こちらはテーマのために作られた設定のようで、未消化だった。 面白い!良作! 豆情報・・診察室のデザインは、建築家の巨匠磯崎新によるものらしい。 [映画館(邦画)] 8点(2024-12-19 22:27:53) |
2. タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
《ネタバレ》 どうやって造られたのか、考え出すと、ビビりだして、 映画に集中できない。 ホントに、良く出来てるなぁ。 新しい時代を迎えたんだなぁと当時、シミジミ。 スピルバーグ的演出も冴えて、面白い作品です。 いきなり、これだけのレベルを作ってしまうと、 CGアーティストは、大変だろうなぁと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-17 22:40:47) |
3. 誰よりも狙われた男
《ネタバレ》 これは面白い! 漫画ではNATOスパイものと言えば、「エロイカより愛をこめて」が有名だが、 映画では、なかなか日本ではお目にかかれない。 それをスパイものの名手、ジョン・ル・カレの作品なのだから、まぁ観ないわけにはいかない。 俺ってフィリップシーモアが、好きだったんだなぁと再認識しました。 ル・カレの映画化には、大物俳優が欠かせないが、シーモアが映画史上ダントツでスパイ演じさせたら最高じゃないか! と感じ入った。 内容は、ものすごく怖い話。 これ以上は言えません。皆さん、観ましょう。観終わった後、マジでビビります(汗) [DVD(字幕)] 8点(2024-09-23 23:43:16) |
4. タンゴ(1993)
《ネタバレ》 パートナーがウザいと思い、殺したいと思う男の気持ち。 よく分かります。 ルコントは、漫画家なので、面白く話を展開します。 まぁコメディですな。 内容はないです。 ただ笑いたいときに、持ってこいの一本です。 フランスの愛は、日本よりも情熱的で魅惑的です。 その分、セックスにさしてこだわりもないようです。 さすが! [ビデオ(字幕)] 7点(2024-08-23 23:37:10) |
5. 丹下左膳(2004)<TVM>
《ネタバレ》 テレビ映画の丹下左膳。 丹下って吉宗の頃なんだね。 暴れん坊将軍と大岡越前のころですな。 シリーズ物の時代劇映画って、この頃と、江戸後期から幕末にかけてと大きく二つに分けられる。 鞍馬天狗や眠狂四郎は後者。 そして、本作だが、分かりやすい丹下だね。 初めて丹下を観る人には、いいかも。 [DVD(邦画)] 7点(2024-03-16 22:50:21) |
6. 丹下左膳 百万両の壺
《ネタバレ》 丹下左膳には、鑑賞のコツがいる。 これ一本観ても、さほど面白さが分からない。 丹下左膳は何本かあるが、基本ストーリーは同じである。 ただ、ラストのこけ猿の壺についての落とし前をどうするか、 そこを職人監督が、競って面白くしてるのだ。 本作は、平成以降の丹下左膳。 ホームドラマ風の左膳である。 そして、いじめやら浮気やら、いかにも現代的。 昭和の監督たちは、こけ猿の壺の奪還作戦など、チャンバラ重視である。 自分はそっちの方が好きなのだが、今の人は好まないらしい。 スタイリッシュな豊川丹下である。 ラストの殺陣は、カッコイイ。グッド。 [DVD(邦画)] 7点(2024-03-10 21:17:28) |
7. 題名のない子守唄
《ネタバレ》 「ニューシネマ」のトルナトーレ観たさに観ると、かなり落ち込む映画。 トルナトーレの毒が、かなり前面に出てる。 子供を羽交い絞めにして、立て!と怒鳴るシーン。 あれね~、酷いセックスのトラウマかと思ってたら、もっと深い愛だった。 子守唄という題の、深い意味に気づいたとき、かなり凹む。要注意。 うわ~、人身売買って途上国のものかと思ってたら、 ヨーロッパでも、養子で金もうけをたくらむ悪党がいるんですね~ トルナトーレから、ロマンチックな部分を取り除くと、結構厳しいっすね(汗) [DVD(字幕)] 7点(2024-03-09 21:26:27) |
8. ダントン
《ネタバレ》 人類史上、最高の法廷劇といえる。 かくいう私も、民主主義の歴史ってなに?って思いました。 元理系なもので・・(失笑) ただ、ヤマ場のロべスピエールのスピーチのいかがわしさは理解できた。 なんなら自分たち委員会を裁いてみるかい?って彼が言ったとき、 議会の一人が、委員会は完璧だとか言うもんだから、 そのままスピーチが続いて、ダントンの議会での発言がなくなっちゃうんだよなぁ・・ ほんの一瞬のことで、委員会のいかがわしさが放置されてるんだよなぁ・・ ちょっと「?」のあった映画だったけど、 社会派ワイダ監督の渾身の一作。 [DVD(字幕)] 10点(2024-01-22 01:32:18) |
9. TAR/ター
《ネタバレ》 テンポが速い。展開も速い。 その中で、TARの成功の絶頂と、転落を描いている。 音楽の世界は、「セッション」や、ハネケの「ピアニスト」を観ても、そうだけど、 かなり人間を追い詰めることが多いみたいだ。 正解のない芸術の世界で、極めようとすると、こうなるのかもしれない。 ケイトブランシェットが、「キャロル」でもそうだったが、 美や品を失うことなく、果敢に女性という人間のギリギリを描いている。 観終わって見ると、女性映画もここまで来たかとの感がある。 ただし、男性監督による女性映画である。 展開が早くなければ、もっと高評価だった。 [DVD(字幕)] 7点(2024-01-02 16:22:40) |
10. 丹下左膳 飛燕居合斬り
《ネタバレ》 なんだ、丹下左膳ってみんな同じ話なの?(マキノ監督のは別として) コケ猿の壺、伊賀柳生、ハギノ、源三郎、お藤そして、小僧。 登場人物は同じなんだけど、ただ違うのは、コケ猿騒動の落とし前をどうするか、 監督によって様々なんだね。 松田定次監督なんか、何本も撮ってるし・・ 昔の日本映画って面白い実験してんだねぇ。 同じ素材でラストを監督によって、腕試しなんだな。 中村獅童や豊川悦司のも現代風な落とし前なのだろうか?ちょっと観てみたくなった。 で、今回の五社監督のも悪くない。 将軍の前で、ああも騒いで、その上での大岡越前のお裁きも納得。 なにより、コケ猿騒動としては最大級。 お藤の行動も、唸りますよねぇ。 でも、コケ猿の秘密を唸らせたのは、松田監督の1958年ものが、俺は好きだなぁ。、 そして、ああもコミカルな丹下にした山中監督の異才ぶりにも唸るよねぇ。 山中監督の丹下が評価高いのは、料理の腕だったんだね。 あれ一本観ても、良さが分からない。 [DVD(邦画)] 8点(2023-12-13 00:46:39) |
11. ダウンタウンヒーローズ
《ネタバレ》 山田監督らしく、汚いバンカラに囲まれた、凛とした女性が絵になるねぇ・・ 時代設定は、サザエさんの時代と同じころ。 懐かしい昭和の中、凝縮した面白さが詰め込まれてる作品。 松山と言えば、伊丹万作や伊藤大輔の出たところ。 ブラタモリで愛媛やってたけど、闘牛が娯楽とか、気性の荒い人が本当にいそう。 ギバちゃんの存在の説得力がありそうな町ですね。 しかし、なんだな、渥美さんのお婆さんの演技は、なんか得したって気がするねぇ♪ 山田さんのピリッとしたところが出てて、良かった。 才気ばる監督じゃないんだよねぇ、憎い。 本当に巧い。 [ビデオ(邦画)] 8点(2023-12-11 02:30:06) |
12. 太陽に灼かれて
《ネタバレ》 2023年の現在、問題大アリのロシアだが、 ロシア文化は嫌いじゃない。 ニキータミハルコフは、大好きな映画監督だ。 だが、本作で、ウクライナ侵攻を納得させるような文化の違いに気がついた。 スターリン政権下での諜報員と、かわいい女の子のやりとり。 (また、この子役が実にまぶしいくらいカワイイ) それ自体は、まぁ面白い素材ではあるかな、とは思うが、 西側ではありえない文化表現だ。 それは、こんな鈍感な女性も子どもも、普通、他の国だったら映画でも描かれない。 どんな女性や子供でも、つきあう大人の影に敏感である。 それがヨーロッパやアメリカの映画文化だ。人間への信頼に根ざしている。 ロシアの諜報員は、自分の影すらも消せるくらい訓練されているのか? 何か意味そのものが分からない存在だ。 ミハルコフの映画は好きだ。 これからも観るだろう。 だが、少し残念な気持ちになった本作である。 後記 (レビュワーさんの一人が言っているように、チェーホフの現代版のつもりで、こんな映画になったのかもしれない。 それほどのチェーホフ好きってことかも・・ミハルコフは大好きな作家だ。そう信じよう・・) [DVD(字幕)] 8点(2023-11-12 22:25:04) |
13. 騙し絵の牙
《ネタバレ》 やっぱ、騙し騙され、最後に笑うのは誰?って映画は、観るのがウキウキするね。 それを、悪人を裁かない吉田監督と大泉洋だから、なおさらテンションMAXです! 全員悪人、って前作の「羊の木」で撮ってらしたけど、 今回、全員クセモノの実社会(出版社)を舞台に、「アウトレイジ」みたいなテンポで二転三転と描いていく! 吉田監督は、本作のような娯楽作品も悪くないけど、今までの問題意識も忘れないでくださいね~ [DVD(邦画)] 7点(2023-05-20 14:33:49) |
14. 丹下左膳(1952)
《ネタバレ》 トーキーになって悪声で悩まされた俳優は数多かったらしいが、板妻の声は大好き♪ どんな無理な場面も板妻なら許せちゃう。 刀なしであんなに生き延びられるなんて、と思うが、板妻なら説得力があるね。 現代の時代劇はリアリズムに走り過ぎのきらいがあるね。 もっと伸び伸びやっていいんじゃないかなぁ・・ そして淡島千景さんがきれい。 レビュー読んでたら、「リボンの騎士」のモデルとな!? うんうん、うなづけます。美人だもの~(惚) 先に同じ松田監督の同素材のリメイク丹下左膳を観てたので、 ストーリーがすんなり入ってきました。 リメイクの方が、子役のこととか分かりやすかったし、壺の秘密が捻っていて、面白かった。 でも板妻だから、本作も好き♪ [DVD(邦画)] 8点(2023-03-01 00:05:48) |
15. 丹下左膳(1958)
《ネタバレ》 やはり時代劇、屈指のキャラクター、丹下左膳に外れなし! 痛快時代劇の決定版です。 日本映画が好きな若者なら、「丹下左膳餘話 百万両の壺」は観たことがあるでしょう。 これは、その作品をさらに美味しく盛った豪華版であります! 実に痛快! 大岡越前、柳生一族まで出てきて、もうお腹いっぱいです! さらには美空ひばりの赤胴鈴之助ばりの立ち回りまで! 将軍がいい人だったりするとこなんか、本当にいいお上のもとで みんな幸せという造りに、観てるこちらもニンマリです♪ 左膳の剣が妖刀だということが分かっていると、また味が濃くなります。 [DVD(邦画)] 10点(2023-01-16 00:12:23)(良:1票) |
16. 多十郎殉愛記
《ネタバレ》 時代劇に興味をもって、文献漁ると、誰しもが一度は目にする、あの派手な大捕物の場面。 それが伊藤監督の「長恨」の場面であることは知ることができるが、令和の今でも観ることは叶わない。 それを中島監督は、こういう形で現代映画に翻訳してくれた。 本当に感謝です。 伊藤監督がすごいことは、僕にでも分かる。 「血槍富士」の長時間にわたる押し合う殺陣シーン。 きっと「長恨」も、この映画みたいに長いシーンなのだろう。 そこも伊藤監督の魅力だ。 しかし、伊藤時代劇の面白さは、チャンバラだけでもないような気がする。 (何せ、どう頑張っても、数本しか今は鑑賞することができない) 「番町皿屋敷」で見せた、愛のもの凄さ。 「切られ与三郎」で見せた、これはシェイクスピアか!?と思わせるドラマの凄さ。 「源氏九郎」で見せた、ユニークで楽しくなるキャラクター造形。 本当にこの伊藤監督作品は、まだ勉強されてない日本映画の豊かな鉱脈だと思う。 今の日本映画をさらに面白くするためには、伊藤監督は、ものすごく勉強になると思うのだが、 レンタルビデオの時代でもどこに行ってもなく(そもそもDVD化されてない?)、 期待するのは、これからの若者たちが、ネット配信で、この監督の作品を、 多くの人に観られることができるようにすることだ。 最後に本作品に戻りますが、多部ちゃんは時代劇のために女優になったのではないか?と思うくらい、 見事にはまってます。 高良君も、若手男優の中で、彼しか起用する人いないって位、頑張ってました。 90分の長さで、お腹いっぱいの出来です。 中島監督の映画を応援する会に、これだけ多くの人がいるのも知りました。 是非、令和時代劇の発展に寄与してほしいです。 P.S.「長恨」のアクションは、youtubeでも見られますが、多十郎を観てからの方が勉強になります。 [DVD(邦画)] 7点(2022-11-16 22:32:47) |
17. 弾丸ランナー
《ネタバレ》 面白かった。 走ってるときに、すれ違った女性に 妄想抱いて走るシーンが好き💛 鑑賞後、大友克洋の「RUN」を 読み直した。 こちらもおススメ♪ [DVD(邦画)] 7点(2022-05-04 10:54:56) |
18. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
《ネタバレ》 マジか~!? この作品は、次の007(黒人女性?)へのバトンタッチなのか~!? なんや~!ジェームズボンドじゃない007なんか観たくない~!? これ、マジでフレミングの原作にあるんかいな~!? ダニエル・クレイグで女好きの絶体絶命に強い不死身のボンドシリーズは終わりか~!? これからはデジタルに強い、新しい007なんや~!? そんな気持ちで、ミサイル爆発にのみ込まれるボンドを寂し気に見送った後、 時代が変わったという気持ちでエンドロールを観終わると、 なんと!「ジェームズボンド・ウイル・リターン」との文字!!!! うっひょ~!我らがボンドシリーズ!どんな新人で復活なんや~!? 多分、幾人もの脚本家の才能が、潰れてしまうことでしょう(笑) [DVD(字幕)] 8点(2022-03-21 00:45:42) |
19. 大怪獣東京に現わる
《ネタバレ》 CGでリアルな怪獣映像があふれるなか、 怪獣がまったく画面に登場しない、怪獣映画があった~! 東京や日本各地が怪獣被害で無茶苦茶になるなか、福井のある地方の町では、 町民が勝手に興奮して、みんな感情が燃え上がるというお話。コメディですね。 最後は原発問題にまで触れ、令和の今では、多分再評価されにくい映画ではあるが、ストーリーとしては面白い。 これってコロナで都会が騒然となってるときに、意外と田舎の方では、 日本おしまいじゃねって盛り上がってたのかな、とか・・ (まぁ俺も中都会だから、何も言えないか・・失笑) [ビデオ(邦画)] 7点(2021-02-12 00:03:01) |
20. 台風家族
《ネタバレ》 台風と題名につく映画は、実は少ない。 相米監督の「台風クラブ」とこの映画くらいだ。 最低野郎たちの絡みから、それが人間味になってきて、 最後の台風の中を車を暴走するところまで、加速が止まらない映画だ。 まぁ全体の基調は、漫画だね。 だから最後の白骨のなんともいえぬチープさが不自然ではない。 でもあれだね。 長男の出演映画をみている父親の背中。 あれを表現できるのは、今じゃ藤竜也くらいじゃないかなぁ [DVD(邦画)] 7点(2020-11-21 23:52:06) |