21. トゥルー・クライム(1999)
イーストウッドとしては、軽いフットワーク(?)で創り上げた作品で、「許されざる者」のように崇高さなどもちろんないが、その語り口のうまさはさすがでこういう作品世界こそが彼の持味だと思う。 8点(2000-06-03 23:13:04) |
22. 遠い空の向こうに
いつも空を飛ぶ夢を与えつづけてくれるジョー・ジョンストン監督の会心作。 8点(2000-04-12 23:56:54) |
23. トランスポーター
ハード・アクションとしては確かに良く出来た作品だが、何かとひっかかる部分もある。何故、主人公は車のトランクの中に警官を閉じ込めたのか。結果的に彼らを爆死させてしまった訳だが、映画はその部分にあまり深く触れようとはしない。その後、弔い合戦であるかのようにアジトへ殴り込みをかけるのも、犠牲者に対して自責の念に苛まれてというよりも、自分の命を狙われた腹癒せにしかみえてこない。地元の刑事に執拗に職務質問されるという序段の細やかな描写があるが、運び屋という特徴あるテーマが生かされていたのはこの辺りまでで、以降、話が大袈裟になってきたこともあって、なにやら荒唐無稽な通俗スパイ・アクション映画のようになってしまったのが残念だ。 7点(2003-04-23 11:14:39) |
24. トリプルX
新しいタイプのアクション映画ということだが、その出来はかなり荒っぽい。アクションと言うよりも、むしろアクロバットと言ってもいいようなスポーツ感覚の作品だとも言える。そのスタントたるやなかなかのもので、雪山での雪崩チェイスなどは、近年の数々のスペクタクル・シーンの中でも、とりわけ驚嘆に値するほどの迫力ある映像となっている。しかし、スケールを感じるのはこのシーンぐらいで、「007」を意識している割にはいかにもB級的な安っぽさが目立つ。全体的には水準以上の作品と言っていいが、V・ディーゼルにはカースタントだけではなく、やはり肉体を生かしたアクションを望みたいものだ。 7点(2002-11-23 17:12:10)(良:1票) |
25. とらばいゆ
瀬戸朝香扮する麻美は気が強くて身勝手で、いくら仕事のためとは言え、周囲の意見にまったく聞く耳を持たない女流棋士。不調続きでランク落ちの危機に瀕し、優しく気遣う夫との関係もギクシャク状態。妙に優しくされる事がかえって彼女のイライラを募らせ、何かにつけ八つ当たりして、ほとんど意地を張っているとしか思えない気分を、瀬戸が巧みに演じる。それにしても彼女の妹ともども、自分の都合だけで生きているような女たちに対して、夫や恋人(元彼も含めて)といった、ここに登場する男たちのなんと優しいことか。夫の本当の優しさに気づき、やがて自我に目覚める主人公という定石通りに話は進むが、ひとつ間違えると嫌味で不愉快な作品になるところを、大谷健太郎監督の明るくテンポの良い演出と、出演者それぞれの好演で補っている。 7点(2002-08-26 00:36:31) |
26. 突入せよ!「あさま山荘」事件
長野県警と警視庁本部との衝突・軋轢・面子争いといった内部対立や、言葉の解釈の行き違いなどで起きる混乱ぶりといった、不慣れな事への懸命さの空回りといった、当時、恐らく実際にそうであっただろう事を、原田真人監督によって迫真力をもって克明に描ききった力作となっている。今、こういった群像劇を撮らせたら、おそらく彼の右に出る者はいないだろう。それほど極限状況下に置かれた男たちの、まさにその瞬間に生きているという生々しさは、まさに実録だからこそのリアリティを感じる。 7点(2002-06-21 00:42:12) |
27. ドリヴン
クラッシュした弾みでタイヤが高く舞い上がり、やがて観覧席に落下するというシーンを、上空からワンカットで捉えたショット。あるいは雨粒が風防ガラスに当たる様を、わざわざCGで克明に再現したり、さらには、レーシング・カーが夜の街をド派手に走りまくるという(おそらく映画史上前例がない?)シーン等々。レーサーたちを主人公にした作品というのは、どこをどうヒネってもお定まりのストーリーにしかならない訳で、後は如何にして観客の興味を引くような趣向を展開するかがポイントとなる。そういう意味では、未だ誰も見た事の無いアクションを常に追い続けているR・ハーリン監督らしさが随所に発揮された作品だと思う。 7点(2001-09-02 11:24:13)(良:1票) |
28. トーマス・クラウン・アフェアー
クライマックスにはスリリングで面白いトリックが施されていて、なかなかオシャレで粋な作品ではあるものの、肝心のブロスナンとルッソに俳優としての魅力を感じていないので、作品にのめり込むところまではいかなかった。それはオリジナルのマックイーン版に深い思い入れがあるから、余計そう感じるのかも知れない。(とりわけ、F・ダナウェイの登場シーンのカッコ良さは忘れられない!)ただ、最近のJ・マクティアナン監督としては出来の良いほうで、同じN・ジュイソン監督作品の「ローラーボール」のリメイクをマクティアナンが、どう料理しているかが楽しみだ。 7点(2001-07-15 01:49:29) |
29. ドレッサー
刻々と老いさらばえていくシェークスピア役者(その声量の凄さは、走り出そうとしている列車をも停車させるほど!)と、その付人がそれぞれの人生を語る。他者を寄付けぬ二人の間に醸し出される、カミソリで切りつけあっているような緊張感が作品全体を覆う。 7点(2001-01-14 18:44:41) |
30. トゥームレイダー2
P・ブロスナン=ボンドの「007」シリーズにしても本作にしても、最近のアクション映画の大半がアクロバッティックで見かけだけは派手だが、胸のすくような活躍というよりも、まるでサーカスまがいの曲芸でも観ているかのようだ。要はアクションに移る時の“タメ”がなく、全てが“段取りアクション”になっていて、ただ映像が流れているだけだから、そこに興奮もなければカタルシスも生まれない。つまり“見せ場”が“見所”になっていないので、ほとんど印象には残らないということ。そして世界中を舞台にしているシリーズの割には、作品的な大きさや広がりといったスケール感がまったく感じられないし、A・ジョリーに至っては女サイボーグじゃないかと思われるぐらい表情の変化に乏しく、とりたてて魅力は感じない。(パート1で父親に相対したときの人間味のある表情は印象的だったが・・・。) 6点(2003-10-30 23:36:16)(良:1票) |
31. ドリームキャッチャー
同じS・キング原作の「スタンド・バイ・ミー」の4人の少年たちに特殊な予知能力を持たせて、20年後に地球を侵略するエイリアンと対峙させたら・・・という一つのアイデアから誕生したのが本作の大雑把なストーリー・ライン。確かに序盤からのミステリアスな展開には、久々にワクワク・ドキドキ・・・なのだが、話が進むにつれて強引で回りくどい設定ばかりが目に付いて、結末は意外にショボくて極めてありきたりだ。山小屋での恐怖感溢れる密室サスペンスから、一気に「インディペンデンス・デイ」の巨大UFOの攻撃を彷彿とさせる侵略SFへとトーンが変わり、かなり生々しいエイリアンの描写など、それなりに見せ場も用意されてはいるが、肝心の主人公たちの特殊な能力が、ストーリーそのものにどれほど生かされているのかと言った、多くの疑問も感じた作品でもある。 6点(2003-05-05 23:53:24) |
32. DRIVE
1時間ぐらいで終わりそうな話の内容を、無理矢理引っぱっているような印象を受ける作品だ。(そのひとつひとつのシーンのなんと長いことか。)しかも“ドライブ”というタイトルからはまったくかけ離れた展開をみせる。せっかくのキャラを集めたのに、偶然とは言え自らの進むべき道を次々と発見し、早々とフェイドアウトしてしまうのは余りにも勿体無いし、これでは堤真一と関わり合う必要性がないし、同乗する意味も薄れてしまう。さらに、仲間を裏切って金を持ち逃げした筧利夫に、彼らが最後まで会うことがないという設定にも不満が残る。結論を言えば、面白くもあり、面白くもなし。SABU監督作品は初見だが、場面場面で勝負する人のようで、このようなツッコミなど意に介していないのだろうけど・・・。 6点(2002-10-12 16:47:58) |
33. トータル・フィアーズ
いかにも大作っぽくて、緊迫感溢れるストーリーでありながら、画面からそれがさほど感じられないのは、やはり作り手側の“核”に対する認識の甘さと、フィル・アルデン・ロビンソン監督の演出の緩さによるものに他ならない。いくら広島・長崎に投下されたものより小さいとはいえ、車やヘリが砂嵐に遭った程度の描写では「恐怖」を感じようがないではないか。やはり核の破壊力とその後の凄惨な状況というものをしっかり描くべきで、被害者意識丸出しの「パール・ハーバー」では見事にそれをやってのけていたではないか。ひとつの都市が破壊されていても、そんな事がまるで無かったかのように、いとも簡単に仲直りの共同声明が発表され、それを恋人と遠くから眺めるB・アフレックのニヤけた顔・・・という、この何とも締まらない作品を象徴するかのようなエンディングではある。 6点(2002-09-23 23:26:44) |
34. ドラキュリア
ドラキュラをテーマにした作品は数多く作られているが、本作は現代に甦った吸血鬼との壮絶バトルを、まさに最新SFXと今風の味付けで描いた作品。これはアクション映画なんだと割り切って観ればそれなりに良く出来てはいるが、それならなにもドラキュラでなくてもいいんじゃないかなと思ったりもする。かつてのF・F・コッポラ版ほど凝らなくてもいいけれど、やはりドラキュラ映画の神秘性やロマンの香りといったものをもう少し意識して作って欲しかった。 6点(2001-10-20 23:03:06) |
35. 閉ざされた森
《ネタバレ》 次々と事実が変化していくことにより、再現シーンも同様に変化していく。(「HIRO」のように最近の一種の流行りか?)いったい何が、そしてどこまでが真実なのか最後の最後まで解からない仕掛けになっている本作、“結局全部ウソでした~!”って結末には正直シラけてしまう。酒やご馳走が並べられた途端、お開きになった宴会みたいで、C・ニールセンより、必死になってストーリーを追い、煩雑な人物名をも整理していた我々観客こそイイ面の皮だ。ビールを飲みたくなるのはこちらの方で、消化不良を起こしてしまう程の後味の悪さ。本国では“リピーター続出”などと冗談のように書かれていたが、リピートするほど面白い話では決してありません。 4点(2003-10-16 00:11:43) |