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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2594
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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81.  トロール 《ネタバレ》 
北欧の寓話に登場する“トロール”が、現代のノルウェーに出現してパニックを引き起こすというプロットを半笑いで見ながら、一体どんな映画だと懐疑的に鑑賞を始めた。 が、割と早々に本作の立ち位置は判明する。 ああ、なるほど、これは北欧ノルウェー産の“怪獣映画”なんだなと。  想定外に真っ当な怪獣映画であったことは、嬉しい驚きだった。 「ゴジラ」シリーズをはじめとする日本が誇る特撮映画を愛好してきた者のとしても、本作には充分に楽しみがいのある“特撮精神”の心得があり、日本の特撮に対するリスペクトも存分に感じられた。 無論、本作そのもののクリエイティブに特撮技術が用いられているわけではないけれど、きっとこの映画の制作陣は、日本の「ゴジラ」や、ハリウッドの「キングコング」を愛し、憧れているのであろうことはしっかりと伝わってくる。  そういうリスペクト精神を前提として、北欧の寓話や神話ではお馴染みの“トロール”を、未知なる巨大生物として描き出し、ノルウェー産怪獣映画に仕上げてみせたことはユニークだったし、独自性のあるエンターテイメントを生み出していたと思える。  また、個人的には、おそらく初鑑賞だと思われる“ノルウェー映画”に対する新鮮味も感じられることができた。 どこまでリアルなのか分からないが、ノルウェーの国防総司令部的な施設が洞窟を利用した秘密基地みたいな場所だったり、広大な自然環境や、公用語であるノルウェー語の響きの新鮮さだったりと、随所に垣間見える“お国柄”が、なかなか馴染みの薄い国の映画らしくで印象的だった。   ストーリーが収束する最終盤に至るまで、独特の雑多感も含めて楽しい映画だったことは間違いないし、最後の最後まで自分の中での高評価は確信されていた。 が、しかし、最終的な物語の帰着と、登場人物たちの言動の描かれ方が、ラストあまりにも残念だった。  人間のかつての蛮行や、現代の人間社会の自然破壊に起因して、目覚め、怒りの進行を展開するトロールが、太陽の光を浴びて絶命するクライマックスの展開自体は極めて良かった。 それは、「ゴジラ」や「キングコング」など、怪獣映画史の数々の傑作を踏襲するものであり、王道的とも言える描写だったと思う。 だが、それを目の当たりにした人間たちの描写があまりにもお粗末だった。 大怪獣の悲しい最期を見て、人間たちが自分たち自身の過ちを認め、悔い改めてこそ、映画的な余韻が深まるというものだが、本作のノルウェー人たちはそういう感情がほぼ皆無で軽薄に見えて仕方がない。 せめて主人公だけは、浮かれる人々の中で、悲しみに沈むなり、虚無感を感じるなりの描写で終わってほしかった。  そういう人間たちの情感も“お国柄”と言ってしまえばそうなのかもしれないが、もう少しで愛すべき怪獣映画として記憶に残りそうだっただけに、ラストの数カットのせいでそうならなかったことが、ただただ残念だ。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-12-24 17:45:53)(良:1票)
82.  ドント・ブリーズ
“最凶盲目爺さん”が織りなす恐怖と狂気。貧困による若者の絶望と犯罪。 デトロイトを舞台にして、現代社会が抱える“病”とそれに伴う“鬱積”が、一軒の古屋敷の中で渦巻き、恐怖と悲劇のるつぼと化しているようだった。 両者に同情の余地はあり、だからこそ両者ともに罪と罰を叩きつけられる。完全に是となる者が存在しないサスペンスホラーの構成が新しい。  盲目の屈強な老人が、暗闇の中で襲ってくる様は、恐怖体験としてフレッシュであり、その“モンスター性”にも独自性と魅力があったと思う。 “悪しき者”のアンチヒーロー化は、実にサム・ライミ(製作)らしいと思えた。 盲人役を演じたスティーヴン・ラングは、「アバター」で悪役軍人を憎らしく演じた様が印象的に記憶に残っているが、あの軍人が盲目になって襲ってくると想像すると、そりゃあ恐ろしい。  というわけで、盲目の老人が襲ってくるというアイデアを礎にして、アクション性とサスペンス性を散りばめた上で、確固たるホラー映画として成立させていることは、映画作品としてとても独創的だったとは思う。 ただし、ストーリー展開的には、どうしても粗というか、無理が生じていることを否めない。  逃げ場がないとはいえ、舞台は一般的な家の中なわけだから、いざとなったら如何様にも脱出は可能に見える。 盗み目的で侵入した若者たちが、自ら積極的に袋小路に入り込んでいるように見え、序盤から「お前らは馬鹿なのか?」やや鼻白んでしまった。 そして、最凶爺さんの方も、流石に超人的すぎてリアリティラインの境界を見失ってしまった。 元軍人という設定で、身体的な能力の高さや、玄人的な銃器の取り扱い、殺人に対する躊躇いのなさ等は理解できるが、盲目の状態であのような異様で綿密な“企み”を遂行できるわけがない。 ただシンプルに、実は何人もの侵入者を返り討ちにしていたということであれば許容範囲だったが、あそこまでいっちゃうともはやファンタジーだ。  まあしかし、そのぶっ飛び方が良い意味でも悪い意味でも常軌を逸しているポイントであることは確かで、それが老人のモンスター性を高めているとも言える。 もはや彼は、憎しみの権化として「人間」という領域を逸脱した悪魔的な存在であり、それを劇中で速やかに呑み込めさえすれば、心ゆくまで楽しむことができる恐怖映画だと思う。  僕自身は、そのリアリティラインの境界を呑み込みきることが出来なかったので、完全にこの映画を楽しみきるには至らなかった。 けれど、悪魔的な存在性へと高まった盲目爺さんが、主人公を追ってカリフォルニアで新たな恐怖を展開する“逆・ホーム・アローン2”的な続編があるのならば、それはそれで観たい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-21 17:45:34)(良:1票)
83.  トランスフォーマー/最後の騎士王
「もはやナニがナンだかわからん!」のは、今に始まったことではなく、シリーズ3作目あたりから大体同じ印象をすべての鑑賞者が持っているはずだ。 このブロックバスターシリーズのファン、非ファンに関わらず、その“ワケの分からなさ”もしくは映像的膨大な物量の中で展開されるストーリーの“どうでもよさ”自体を受け入れられないような人は、そもそもこの映画を観るべきではない。その場合、非難されるべきは作品ではなく、鑑賞者の方だろう。 というわけで、前作(完全蛇足の中国観光映画)に対して、映画産業全体における危機感も含めて「0点」を献上した僕も、あらゆることを「覚悟」した上で、この150分に渡る超大作の鑑賞に至った。  先ず序盤から大いに戸惑う。「あれ?(録画リストから)間違えてキング・アーサーを再生してしまったのかな」と。 恐らくは、同年製作の「キング・アーサー」より多大なバジェットをかけていそうな暗黒時代の合戦シーンにあんぐりとした。 ただし、結果的にはこの大仰な大風呂敷の広げ方が、一辺倒だった当シリーズのエンターテイメント性に多様性を生んだとも言えると思う。  まったくもって「強引」極まりないが、謎の金属宇宙生命体であるトランスフォーマーと地球の因縁を、人類史を遡ってこじつけたことで、「ダ・ヴィンチ・コード」的なミステリーとアドベンチャー要素が加わっている。 その他にも、スパイ映画、宇宙人侵略映画、カーアクション映画、潜水艦映画etc様々な要素を増し増しに盛り込んで、胸焼け必至のボリュームでまとめ上げている。 サービス過剰の執事ロボットや、侵略者に慣れ過ぎちゃって平然とタイマンで交渉に臨んじゃうレノックス大尉など、惰性だろうとなんだろうと5作目まで続けてきたからこそ辿り着いた娯楽性も確実に存在する。  この映画世界はまさに「カオス」そのものであり、何を見せられているのかも分からなくなってくる。 が、マイケル・ベイ監督をはじめ製作陣は、そんな作風に対してとうの昔に開き直っているので、内容がどうであれその“映画づくり”においてはもはや迷いなどはなく、ワケのわからないものをワケのわからないままに堂々と作り込んでいるように感じる。 結果として、観ている側も「コレはこういうものだ」と納得せざるを得ない気持ちになってきた。  どうやら大風呂敷は更に広がり、トランスフォーマーたちとの因縁は地球という惑星そのものの誕生まで遡って、「エイリアン:コヴェナント」的な展開を目論んでいるようだ。 もう、どこまでも好きなだけ突き進めば良いと、諦観半分で応援したくなる。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-14 17:54:20)(良:1票)
84.  トリプルX 再起動
2002年(15年前!)の第一作目は、低迷していたアクションスター型アクション映画に一石を投じる文字通りの快作だった。 その成功の要因は、やはり主演のヴィン・ディーゼルという俳優の特異性にあったと思う。 「ワイルド・スピード」シリーズが世界的大ヒットコンテンツとなった今となっては、もはや彼の特異性には「愛着」しかないけれど、当時はまさに売り出し中、モロに悪役面で豪腕を振り回すヴィン・ディーゼルのアンチ・ヒーローぶりは、新鮮で、エキサイティングだった。  そのヴィン・ディーゼルが降板し、代わりにアイス・キューブが主演を務めたシリーズ第二作目は未見だが、最大の見どころであった主演俳優が交代してしまっては、その苦戦ぶりは想像に難くない。 そしてその第二作からも12年の月日が過ぎ去った上でのまさかのシリーズ最新作には、当然ながら“今更感”は拭い去れない。 けれど、もはやアクションスターとしての絶対的な地位を確立したヴィン・ディーゼルが、「xXx」として復帰している以上、相応の娯楽性自体が復活していることは言うまでもない。  そして何と言ってもこの「再起動」は、競演陣が豪華だ。 サミュエル・L・ジャクソンが相変わらずのノリの良さで唯一シリーズ皆勤賞の指揮官役を喜々として怪演する。その傍らにはネイマール! アジアからは、絶好調ドニー・イェンとトニー・ジャーが参戦し、圧倒的な説得力を備えた体技の数々で、娯楽性に華を添えてくれる。 それに、コケた前作の屈辱を呑み込んだ上で再登場したアイス・キューブは、なんていいヤツなんだ!と思わずを得ない。  ストーリーテリングの目論見自体は、「ワイルド・スピード」シリーズの成功の二番煎じ狙いであることは明らかだし、サミュエル・L・ジャクソン演じる指揮官ギボンズのキャラクター性にも、“ニック・フューリー”の焼き直し感は否めない。 決して志の高い映画ではないことは間違いないが、そんなこと誰も求めていないこともまた然り。  そういう意味で、この映画を観ようとするファンが「観たいもの」をしっかりと観せてくれる作品だと思う。
[インターネット(字幕)] 6点(2017-12-24 01:22:47)
85.  ドクター・ストレンジ
マーベル・コミックのクロスオーバー作品である“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”のシリーズ第14作目にして、“フェイズ3”の2作目なんて聞くと、もはやファンですら混乱してしまいそうで、完全に一見さんお断りの雰囲気を醸し出している。 ついに「魔術師」まで登場してしまっては、この世界観のリアリティーラインが一気にぶっ飛びそうだが、その「異質」さが、逆に一見さんを“アリ”にしてくれているようにも感じた。 故に、特にMCUシリーズのファンにとっては、大いに賛否が分かれる作品に仕上がっていると思う。  アメコミ自体への造詣が深いわけではないので、当初は「ドクター・ストレンジ?何だそれ?」といったところだったが、MCUにベネディクト・カンバーバッチが参戦となれば、当然劇場に足を運ばぬわけにはいかない。 そして、傲慢で屈折した性格を持つ天才外科医なんて役どころが、カンバーバッチにマッチしないわけがなく、髭を蓄えた白髪交じりの魔術師の立ち振舞も、他のマーベルヒーローとは一線を画す格好良さがあった。 ある意味では、そのビジュアル的な娯楽性を達成できている時点で、アメコミ映画としては「成功」と言ってもいいのかもしれない。  しかしながら、これまでのMCUシリーズ各作品において(すべてとは言わないが)ストーリーテリングの巧さとエンターテイメントとしての手際の良さによって高揚感を与え続けられてきたファンとしては、少々稚拙なストーリー展開に思わず眉をひそめてしまった。 冒頭からクライマックスに至るまで、終始ストーリー運びが唐突に感じた。 天才外科医だった主人公が、交通事故を起こし、天職を失い、絶望し、彷徨い、偶然に怪しい呪術の存在を知り、学び、魔術師になる。その一連の流れがあまりに短絡的で、都合いい。「そういう運命だから」という一言で済ませようとするような乱暴さすら感じてしまう。 主人公をはじめとする各キャラクターの行動理由についての描写も非常に薄い。 何やらわけの分からぬ固有名詞を連発してそれっぽいことを述べて、強引に事を運んでいるように見えてならなかった。  ラストの主人公が勝利するくだりは、魔術師らしい狡猾な“とんち”が効いていて小気味よかったが、あのような展開がまかり通るのならば、それを活かしてもっと巧いストーリーテリングが構築できたのではないかと思える。 序盤の都合のいい展開も、時空を超越した魔術師の仕業だった〜なんてオチであれば、楽しかったのにと口惜しさが残った。  とはいえ、前述の通りMCUシリーズの中でも個性的な作品であることは間違いない。 ストーリーの稚拙さはあるが、場面場面の愛らしさを含め、奇妙で歪でかわいい映画と言えなくもない。  「魔術師」の登場に対してリアリティーラインの崩壊を危惧したけれど、考えてみれば、古来より「科学」と「魔術」の境界線は紙一重であり、実は今もそれは変わりないのかもしれない。(「ドラえもん のび太の魔界大冒険」で出来杉くんも同様のことを言っていた) ならば、科学の粋を集めたアイアンマンと魔術師のドクター・ストレンジが同一世界に居たとしても全くおかしくはないのだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2017-02-27 23:40:07)(良:1票)
86.  トランセンデンス(2014)
世界随一の科学者の頭脳がインストールされた人工知能。 そこには、オリジナルの“人格”が生きているのか、全く別物なのか。 人類を遥かに凌駕する程に進化した人工知能の“暴走”は、一体誰の思いが結実したものだったのだろうか。  社会構造の機械化、コンピューター化が進む世界における危機意識は、昔からSF映画で描き出されてきたことで、今作もその潮流を汲む作品の一つと言える。 愛する者の頭脳をインストールした人工知能を渦中に置き、人類とコンピューターとの関係性を抉り出そうとした興味深いSF映画だったとは思う。  今作を観ていて思い出されたのは、「地球爆破作戦」(1970年製作)という映画だ。 超高性能の人工知能が、プログラミングされた「目的」=「平和」を遂行するために、人類を支配下に置こうとする恐怖を描いた傑作SF映画である。 人類と人工知能との攻防を描くという点はもちろん、真の意味で世界を滅亡させようとしているのは一体どちらかというテーマ性も極めて類似していると思う。  今作ではそのテーマ性に、普遍的な夫婦愛が加味され、より多感なドラマ性が生まれていたと思う。 繰り返しになるが、興味深いSF映画であったことは間違いないし、決して嫌いな映画ではなかった。 が、しかし、映画としての芳醇さというか、観客を引き込む本質的な魅力みたいのものが、大事なところで足りなかったと思う。  この映画の主人公は、人工知能に生前の頭脳をインストールされた天才科学者の夫ではなく、彼を誰よりも愛し失意の中で“禁断”の進化を選んだ妻であろう。 であるならば、もっとこの妻の愛情とそれ故の狂気を深く描き出すべきだったと思う。 そうしたならば、ジョニー・デップ演じる“人工知能”の夫の中の「人格」の有無がもっとスリリングに、もっとエモーショナルに際立ったのではないか。  実際、そういう風に描き出そうとはしていたのだとは思う。 ただそれに見合う演出力とイマジネーションが、長編デビュー一作目の今作の監督には明らかに備わっていなかった。 監督のウォーリー・フィスターは、クリストファー・ノーラン組でずっと撮影監督をしてきた人物なので、その技量は申し分ない。当然ながら今作でもビジュアルセンスの確かさは光っていたと思う。  ただし、映画として人々の記憶に焼き付けるためには、撮影技術とは違うベクトルの創造力が必要不可欠だということだろう。 例えば、人工知能の「意思」が雨粒となって地上に降り注ぐシーンなどは、クリストファー・ノーランならば、これまで観たことがない新鮮味と神々しさに溢れるシーンに仕上げたに違いない。 また夫が妻の“嘘”を見破るシーンが、序盤と終盤で対比的に描き出されるのだが、その差異の描き方もちょっと中途半端で分かりづらかった。こういう部分も、一流の映画監督であれば感動のポイントとして逃さないだろう。  もしくは、ジョニー・デップをキャスティングしていなければ、もっと適正なバランス感覚で仕上がったのかもしれない。 人工知能の夫としてのビジュアルは殆ど映し出さないくらいの低予算方針で撮ったならば、逆に味わい深いSF映画として仕上がったのではないだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-15 23:32:05)
87.  ドラゴンボールZ 神と神
「オラ、ワクワクしてきたぞ!」 このアニメの主人公が過去に何度も何度も発してきたセリフである。 孫悟空という主人公が終始一貫追い求めてきたものは、「最強」という称号などではない。 自分よりも“強い者”と出会い、それに打ち勝つことだ。  前作から実に17年ぶりの劇場版作品。原作者鳥山明が初めて直接ストーリーに関与した今作には、原点回帰ともいえる要素が色濃く表されていた。 アニメーション映画としてのクオリティーは別として、この漫画・アニメシリーズによる“高揚感”がDNAに刷り込まれている世代の者にとって、久方ぶりに描き出された世界観は、ただただ楽しく、嬉しいものだったと言える。  勿論、難点はいくつもある。 “破壊神ビルス”というこれまた次元を超えた難敵が登場したわりには、舞台となる場所はブルマ邸の庭先に過ぎず、描かれるストーリーの大部分は“ブルマの誕生日会”なので、あまりに派手さがない。 また、ビルスの怒りを抑えようと孤軍奮闘するベジータの“キャラ崩壊ぶり”もいささかやり過ぎなように思える。  ただ、そういった難点すらも、長年のファンにとってはもはや微笑ましく見える。 誕生日会であれなんであれ、レギュラーキャラクターたちが勢揃いした様は、その描写を見ただけで嬉しい。 “キャラ崩壊”のベジータも、彼が長らく地球に住み着いて辿り着いた人格だと思えるし、恥もプライドもかなぐり捨てて、家族と仲間たちを守ろうとする滑稽な姿は、もはや感動的ですらあった。  何よりもこの映画作品には、“3・11”の大震災を受けた偉大な漫画家の熱い意思が表れている。 それは、多少ふざけすぎていたとしても、久しぶりに一堂に会した仲間たちとの時間を“楽しいものにしたい!”という思いであり、それを見た子どもたち、そしてこの作品に熱狂し大人になったかつての子どもたちを再び笑顔にしたいという熱い思いだろう。  この映画はおそらく初めて、孫悟空が相手に勝てないまま終幕する。 それも、上には上がいて、この世界は、この宇宙はもっと“可能性”に溢れているという漫画家からのメッセージに違いない。 “可能性”、それは即ち“未来”。 孫悟空という主人公はこれから先も、いくつも可能性に出会い、打ち勝ち、新しい未来に立ち続けることだろう。  成る程、「ドラゴンボール」という作品がいつまでだっても風化せず、愛されるわけだ。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-02-09 00:26:16)
88.  ドライブ・アングリー3D
この映画をクソ真面目に「否定」することしか出来ない人は、映画ファンとして勉強不足だと言わざるを得ない。 なぜならば、これこそが、もはや一つのジャンル映画として確立しつつある、“ニコラス・ケイジ映画”なのだから。  勿論、端から「期待」なんて言葉は持たずに某動画配信サービスで鑑賞を始めた。 すると、序盤から想定外の“おかしな”テンションの高さに、ニヤリとしてしまった。 「あれ?これはもしかしたら中々の馬鹿映画かもしれない」と、別の意味の「期待」が膨らんできた。  ニコラス・ケイジ演じる主人公が、ショットガン片手に問答無用に暴れまくる。 その凶暴さは、明らかに常軌を逸していて、この主人公が“フツーの人”ではないことは容易に理解できる。 どうやらその凶暴さの動機は、愛する娘を謎のカルト教団に殺され、残された孫娘を救い出すため……ということらしいが、はっきり言ってそれに見合った悲愴感など全く漂わせずに、襲来する悪漢を蹴散らし、行きずりの女とのセックスに興じる様は、ニコレス・ケイジ史上に残る無頼漢ぶりかもしれない。  その主人公の無頼漢ぶりに“悪ノリ”するかのように、映画の核心となると或る「設定」が明らかになり、「暴走」は益々激しさを増し、それと同時にストーリーは益々どうでもよくなってくる。  主人公のキャラクター性も良いが、それを上回るくらいに脇のキャラクター達も立っている。 アンバー・ハード演じるヒロインは、絶妙なビッチ感を漂わせつつ、ダイナーのウェイトレスを好演していた。 そして何と言っても、ウィリアム・フィクトナー演じる「監査役」が最高だった。得体の知れない独特のキャラクター性が、映画の重要なアクセントになっていたことは間違いなく、娯楽性を高める要因となっていたと思う。  物理的におかしな激しさを見せる銃撃戦とカーアクションに眉を潜めてしまったら負けだ。 映画全体の馬鹿馬鹿しさに対して、ストレートに「馬鹿だ!」と大笑いできた者の勝ち。 それが、“ニコラス・ケイジ映画”を楽しむための鉄則だろう。
[インターネット(字幕)] 6点(2013-11-13 22:41:32)(良:1票)
89.  トランス(2013)
冒頭、ヴァンサン・カッセル率いる強盗団がオークション会場を急襲する。主人公のジェームズ・マカヴォイも含めて、その面々の面構えが絶妙で惹き付けられた。 俳優の表情というものは、勿論映画づくりにおいて最重要なポイントで、それがきちんと押さえられている映画は、ある程度信頼していいと思う。  そういう映画なので、終始面白く見れたことは間違いない。入り組んだストーリーテリングに絡む人間描写に引き込まれ、観客として最後まで謎を追い求められたのだから、この手の映画として“悪くはない”と断言出来る。 しかし、映画が終わり立ち返ってみれば、大いに腑に落ちない要素が目白押しの映画であることも間違いない。  こういう人間の「記憶」をサスペンスの中核に据えた映画は、観る者を幾重にも重なる謎へ一気に引き込むけれど、許容範囲をしっかりと設けておかないと、際限がなくなり一気にリアリティに欠けるものになってしまう。 ダニー・ボイルらしい繊細且つ大胆な映画世界の中で濃厚なサスペンスが繰り広げられていたけれど、残念ながら少々行き過ぎてしまっている。  決して納得が出来ない話ではないのだけれど、こういう顛末なのであれば、主人公をはじめとする中盤までの人物描写が、導き出される「真相」に対してあまりにアンフェアだったと思う。 結果、クライマックスにかけてこれほど主人公の人格が“急降下”していく映画も珍しく、最終的に誰にも感情移入が出来ないまま、映画自体が突っ走ってしまった印象を覚えた。  なんだかんだ言って、結局、ヒロインが最も悪魔的な行為をしているんじゃないかと思えるし、そうなるとあのエピローグは極めて無責任で、嫌悪感を覚えてしまった。  まあしかし、脳味噌を吹き飛ばされたヴァンサン・カッセルが喋り出したり、昨今の娯楽映画には珍しくヒロインの強烈なフルヌードが唐突に映し出されるなど、想像以上に個性的な映画であることは確かだ。 故に、ルックの秀麗さに反して完成度が高いとは言えないが、無下に否定も出来ない。  タイトルに相応しく、良い意味でも悪い意味でもとても「倒錯的」な映画と言えると思う。
[映画館(字幕)] 6点(2013-10-20 23:07:32)(良:1票)
90.  トランスポーター
「運び屋」と銘打っているくらいだから、「TAXi」よろしく強引なカーアクションが問答無用に展開するB級アクションなのだろうと高をくくっていた。 B級アクションであることは間違いなかったけれど、想像以上にジャンルを無視した“ナンデモアクション”が荒唐無稽に展開され、失笑と馬鹿笑いの間で思いのほか楽しめた。  ジェイソン・ステイサムという俳優は、初期のガイ・リッチー監督作品でのブリティッシュマフィアの役柄の印象が強く、これほどまでアクションスター然としたパフォーマンスを見せるとは思わなかった。 アクションスターとしてのスタンスは、かつてのジャン=クロード・ヴァン・ダムらを彷彿とさせるもので、もはや“古臭さ”さえ感じるが、逆にあの時代のアクション映画で育った者としては、面白さを感じてしまうことを否定できない。 思った以上に鍛え上げられた体躯から繰り出される格闘アクションにも充分に説得力があり、香港映画ばりに舞台環境を駆使した闘い方には、リアリティなんて無いが素直に面白かったと思う。 偉そうに運び屋のプロとしての口上をのたまう割には、おおよそプロらしくない人間味を早々から曝け出してしまうキャラクター性も馬鹿らしくて良かった。  ストーリーに目を向けてしまうと、粗なんて突っ込みきれないほどあり、まともに見られたものではない。 が、主人公の無骨だけれど人間味のある格好良さや、アジア系ヒロインの可愛さも相まって、映画に溢れるあらゆる“粗”を“見て見ぬふり”をさせてくれるB級アクション映画としての娯楽性は充分に備わっていると思う。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-02-05 09:25:38)
91.  トロン
映画の善し悪し以前に、この時代にこの題材をチョイスし世界観を構築したマニアックさが凄い。  ビデオゲームがようやく市民権を得始めた時代に、その電脳世界に入り込んで、そこに存在する擬人化されたプロムラミングと攻防戦を繰り広げるという設定を当時一体どれだけの大衆が完全に理解できたのだろうか。 黎明期のコンピューターグラフィックスはつたなく、アニメーションの表現にも達してしない。  それでも不思議と画面に惹きつけられるのは、そういった表現に対する革新的な挑戦があったからだと思う。  決して現代の“ユーザー”が満足できる映画世界が堪能できるとは言えないが、こういう挑戦的な映画娯楽の可能性を広げる礎になったことは間違いないと思う。  そういう意味も含めて、このオリジナル作品の後に、2010年の最新続編を観ると、いろいろな部分で感慨深さが残る。それはそれで、良い映画体験だ。
[DVD(字幕)] 6点(2011-12-26 00:00:48)
92.  トランスフォーマー/リベンジ
冒頭からいきなり繰り広げられる“トランスフォーマー”たちの怒濤の攻防。 人類の軍隊も加わって、もうどれが味方でどれが敵方なのか訳が分からなくなる程、爆発的で目まぐるしいCGシーンに興奮を通り越して、笑ってしまう。 その時点で、この映画の目的は達成されていると言っていい。  だから、その後に展開されるストーリーがどんなに稚拙だろうが、登場人物たちの安いドラマがちょくちょく挟み込まれようが、さらなる続編のための強引な伏線を見せられようが、非難するべきではない。 そういった容易に想像できるマイナス要素を安直に非難することこそ、浅はかだとさえ思う。  大の大人たちが、子供時代の「想像」を莫大な資金をもってして大真面目に具現化したこの"勢い”だけの映画を、その瞬間だけ単純に楽しめるかどうかで、人生の充実は変わってくると思ったり、思わなかったり。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-09-26 20:29:04)(良:1票)
93.  逃亡者 木島丈一郎<TVM>
最初は、さすがに“スピンオフのスピンオフ”はやりすぎじゃなかろうか、と思った。だけれど、結果的には、なかなか面白い「番外編」に仕上がっている。「木島丈一郎」というキャラクター自体は、「踊る~」の世界観に対して強引過ぎる感が「交渉人~」の時からあったのだけれど、そこは流石、演じる寺島進の巧さがカバーしている。しっかりと“主人公”として成立しているのは、演者の能力の高さ故だと思う。 ストーリー的にも、序盤はありきたりなチープさが目立ったが、木島と少年とのロードムービー的要素を含みながらの展開には、まとまりがあったと思う。 スピンオフらしい小ネタも楽しみつつ、ラストでキレイに「交渉人 真下正義」の導入部につなげてみせたことが、ファンとしては嬉しい趣向だった。 個人的には最悪だった「容疑者~」よりは、よっぽど面白い作品であると思う。 「交渉人 真下正義」のDVD化を劇中時期のクリスマスに合わせ、さらにそれに合わせて、このスピンオフ作品を発表してくるあたり。相変わらず、このシリーズの制作サイドは商売がうまい。
[地上波(字幕)] 6点(2005-12-19 19:34:49)
94.  トロイ(2004) 《ネタバレ》 
エンターテイメント映画としては、おそらくほとんど問題はないと思う。ただそこに史実的な男たちのドラマという要素を入れるとしたら、何だか物足りないというのは正直なところだ。登場人物たちの心情がいまひとつ描ききれていなかったように思う。どこか人物描写が希薄だから、アキレスの己の宿命に対する葛藤が単に優柔不断に見えたり、盲目的に愛を貫き通すパリスが軟弱なアホ王子に見えたりするのだと思う。「歴史に名を残す」という男たちの思いを群像的に描く上でこの人物描写の弱さは、痛いところだ。その影響が、明らかにスゴイはずの映像世界のパワーをも弱めているようで、益々残念である。 しかしながら、やはり圧倒的なビジュアルに裏づけされる娯楽性は大したもので、大スペクタクル映画としての要素は存分に備わった作品であることは確かだ。トロイの木馬、アキレスの唯一の弱点という史話的に非常に有名なエピソードをそつなく抑えたクライマックスは見事だと言える。
[映画館(字幕)] 6点(2004-06-03 19:18:45)
95.  トイ・ストーリー
今や当たり前のように作られているフルCGのアニメーションは、クオリティも高く革新的であった。しかし、個人的にはやはりディズニー映画といえば古典的なアニメーションに愛着があるので、作品に深みは感じなかった。技術の高さは嫌というほど分かるが、内容は子供向けという域を出ていないと思う。
6点(2003-10-28 10:26:40)
96.  トレイン・ミッション 《ネタバレ》 
この監督×主演俳優コンビの映画を観るのもこれで3作目。実際は通算4回目のタッグであり、余程この両名は気が合うのだろうと思う。 そして、毎度のことながら、このタッグによる映画、掴みは良い。 過去、「アンノウン」「フライト・ゲーム」と観てきたが、導入部分、特に冒頭シーンのシークエンスは両作とも白眉だった。主演リーアム・ニーソンの持ち前の物憂げな表情と、不穏を煽るビジュアルセンスが相まって、一気に引き込まれる。 今作では、老サラリーマンの日々の出勤前のシーンが幾年分も折り重なるように映し出され、このオープニングの数分間の描写で、主人公の男が積み重ねてきた「日常」の価値と、それと表裏一体の鬱積めいたものが伝わってくる。  ああ、何か良質なサスペンスが観られるかもしれない。と、期待は最高潮となる。 が、そんな期待感は、ストーリー展開と共に、アクション性が暴走し、事の真相が詳らかになると共に、徐々に確実に「脱線」していく……。  さすがに4度も共に仕事をするだけあって、この監督と主演俳優の相性自体は決して悪くはない。 ジャウマ・コレット=セラ監督のビジュアルセンスは長けているし、どんなにアクション俳優化したとしてもリーアム・ニーソンが名優であることは揺るがない。両者が表現者として持つ繊細な波長はよく合っていると思える。  となると、致命的なのはやはり脚本のまずさだろう。過去作も含めて、ストーリー展開がチープでお粗末だ。 同じようなジャンル映画であっても、もう少しだけ気の利いた脚本が備わっていれば、正真正銘に「面白い」映画になり得ると思う。現状でも充分に「観れる」娯楽映画ではあるだけに、勿体無い。  阿呆な陰謀チームの肩を持つわけじゃないけれど、最終的にそこまで無茶苦茶するんなら、ごちゃごちゃと面倒でリスキーなことをせずに、最初から“脱線プラン”でいけよという話だ。 まあその場合、主演俳優はリーアム・ニーソンではなく、スティーヴン・セガールになってしまうがね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-04 17:25:54)(良:1票)
97.  ドラゴンボールZ 復活の「F」
マッスルパワーの亀仙人が強すぎるぞッ!  が、往年のファンとしてそれは嬉しすぎるサービスカットだ。悟空たちがあれだけ際限なく強くなっているのだから、不老不死(自称)の亀仙人が密かに修行して強くなっていてもなんら不思議ではない! ただし、あのように亀仙人はじめ各キャラクターの活躍シーンを用意してくれるのであれば、ちゃんとヤムチャとチャオズも連れて来てあげて欲しかった。 ヤムチャの繰気弾とチャオズのどどん波のシーンがあればもっと盛り上がったろうにと思う。 というか天さんよ、いつからあんたはチャオズに加えてヤムチャの保護者的立場になったのだ?  というわけで、映画としてのストーリーの稚拙さや工夫の無さなどはもはやどうでもいい。 孫悟空はじめキャラクターが勢揃いし、再び地球の危機を救う。 そして、対峙する悪は、満を持して復活した原作最恐の悪役フリーザ。 悟空対フリーザ。その構図が再び見られただけで、往年のドラゴンボールファンとしては、懐かしさとともに嬉しさが先行してしまうことは否めない。  ストーリーテリングがあまりに雑過ぎるので、映画単体としての低評価は免れないけれど、“彼ら”が闘うシーンを再び見られるだけで、一定の満足感は得られる。 「ドラゴンボール」とは、もはやそういう伝説的な娯楽なのだと思う。
[ブルーレイ(邦画)] 5点(2015-11-13 12:56:19)
98.  トランスポーター3 アンリミテッド
良い意味でも悪い意味でも、「これぞトランスポーター」と言える映画だった。  ジェイソン・ステイサム演じる主人公の、プロフェッショナル精神をガンガン押し付けてくるわりには、あらゆる面で突っ込みどころ満載のキャラクターが健在。 致命的な「粗」とも取られかねないキャラクター描写の脆弱さを、圧倒的なアクションパフォーマンスと、ジェイソン・ステイサムならではの愛嬌で、「娯楽」の一つの要素としてまかり通しているのは、彼のアクション俳優としてのスター性によるところが大きい。  そういった主人公のある意味“ブレない”キャラクター性が安定しているので、シリーズのファンであれば充分に楽しめる映画には仕上がっているとは思う。  ただし、そのような贔屓目で見たとしても、いただけない部分が確実にある。 一つは、ストーリーのネタが一作目とあまりに類似し過ぎている。「運び屋」として運ぶものが、何やら訳ありの女一人という設定は、一作目と同じでありあまりに工夫が無い。  そして二つ目は、その運ばれる女、つまりはヒロインという位置付けの女優に魅力が無さ過ぎた。 無名のロシア系女優が、例によってリュック・ベッソンに見初められて大抜擢に至ったようだが、あまりに個人的な趣味趣向に走り過ぎてしまっている。 赤毛を携えたミステリアスな風貌は、「フィフス・エレメント」で同じくベッソンに抜擢されたミラ・ジョヴォヴィッチを彷彿とさせなくはないが、よくよく見れば見るほどそばかすだらけの顔が気になってしまい、ヒロインとして受け入れることが出来なかった。  終盤になる頃には、何とかヒロインのキャラクターに感情移入することは出来ていたので、この新人女優の可能性そのものは否定はしないけれど、やはりこの手アクション映画のヒロインには、分かりやすいチャーミングさが必要だと思う。  悪党チームの巨漢要員にK-1王者セーム・シュルトがキャスティングされていたのに笑ったのと、ステイサムのジャケット&Yシャツアクションは馬鹿馬鹿しさと新鮮味が相まって良かった。  というわけで、決して褒められる映画ではないが、なんだかんだと見所は備えている映画だと思う。  あ、首筋の「安」タトゥーの意味については深入りしません……。
[インターネット(字幕)] 5点(2013-09-27 17:02:16)(良:1票)
99.  トータル・リコール(2012)
「アンダーワールド」シリーズのレン・ワイズマン監督による映像世界は流石に流麗で、アクションシーンにもメリハリがあり良かったと思う。これが、何のバックボーンもない新作SFアクション映画であれば、もう少しシンプルに好評を得ることも出来ただろう。 しかし、この映画が「トータル・リコール」のリメイクである以上、そういうわけにはいかない。  22年前にポール・バーホーベンが描き出したあの“特異”な映画世界と比較せざる得ない状況では、やはり今作に対しては「凡庸」という言葉が常に先行してしまう。 オリジナルとの大きな違いとして、今作の舞台は火星ではなく、荒廃した地球の表と裏という設定になっている。 貧富の格差をあからさまに表したこの舞台設定を結ぶ通勤電車“フォール”の存在は剛胆で良かったけれど、オリジナルの広大な世界観に比べてしまうと、どうしてもこぢんまりとした印象を覚えてしまう。 詰まるところ描かれているものは、圧政に対しての小規模な反乱に過ぎず、SF映画としての迫力に乏しかったと思う。  完全に「ブレードランナー」を意識した街並や小道具の造形は秀麗ではあったものの、バーホーベンの毒っ気溢れた世界観に比べると「フツーだな」と思ってしまう。 あの“顔面割れおばさん”を演じた女優に「二週間よ」という台詞を言わしたり、売春婦の"三連おっぱい”などバーホーベン版を彷彿とさせるオマージュ的描写が随所に挟み込まれていたことは、オリジナル作品に対してのリスペクトが感じられて好感は持てたけれど。  監督のリアルな奥方でもあるケイト・ベッキンセールが、オリジナルでシャロン・ストーンが演じた“鬼嫁”役を演じ、彼女にとっては珍しい“悪役”を楽しんでいた。 相変わらず美しいので、しつこく主人公を急襲する悪役ぶりをずっと観ていたい気もしたが、さすがに最後まで引っ張り過ぎなような気もした。おかげで敵ボスの存在感が薄れてしまっている。 だいたい、ベッキンセールの役は結局のところ職務に意欲的な公務員であり、よく考えれば決して悪党ではないというキャラ設定も中途半端だったと思う。  今思えば、オリジナル作品主演のシュワルツェネッガーは、あの馬鹿っぽさが適役だったんだなあと思い知った。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-02-06 13:50:30)(良:1票)
100.  ドラゴン・タトゥーの女
決して「駄作」だとは思わない。しかし「傑作」と呼称するには明らかに何かが足りない。流れ始めたエンドロールを見据えながらそういう印象を覚えずにいられなかった。  まず期待に及ばなかったのは、ストーリーの顛末だ。 イントロダクションの段階では、斬新なミステリー展開を期待したが、実際繰り広げられたミステリーは想定外に古典的だった。そのありふれたプロットに、拍子抜けしてしまったことは否めない。 そして、仰々しくミステリーの風呂敷を広げた割には、明かされた「真相」は“ありきたり”の範疇を出ず、驚きに欠けていたと思う。  また、主人公二人を始めとするキャラクター描写にも物足りなさを感じた。 ダニエル・クレイグとルーニー・マーラの主人公コンビが醸し出す雰囲気は非常に良く、滲み出る二人の空気感だけで、言葉にならない期待感が膨らんだと言っても過言ではない。 彼らはとても“頑張っていた”と思う。ただそれが、そのまま「もの凄く良い演技」という印象には直結しなかった。 それはやはり、人間描写そのものの薄さにあると思う。彼らのバックボーンを含めた人物描写が希薄なので、行動原理に理解が及ばず、すんなりと感情移入出来なかったことが致命的だったと思う。 特にルーニー・マーラ演じるリスベットというキャラクターは、その風貌から言動まですべてがエキセントリックで印象的だったけれど、彼女が現在に至る経緯や成長過程があまりに明確にされないので、人間味を感じることが出来なかった。 ルーニー・マーラは、見事な役づくりとそれに伴うパフォーマンスを見せたと思うが、そういう人物描写の薄さからキャラクターとして「好き」になるには至らず、単なるエキセントリックガールに映ってしまったことは残念だ。  監督の卓越した映画術によって、全編通してしっかりと作られていることは分かる。しかし、何かしらの「特別感」がこの映画からは伝わってこなかった。  今作は三部作の原作の第一章であり、映画としても三部作構成で企画されている。今作で乗り切れなかった分、続編での挽回に期待したい。  それにしても、あの“モザイク”は無い。「20年前のAVかよ」と思わず突っ込みを入れたくなり、大いに興が冷めてしまった。無名女優が己の未来を切り開こうと、体を張って熱い演技を見せているのだから、そのあたりをちゃんと汲んだ映像処理をしてほしい……。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-14 11:17:53)(良:1票)
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