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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  映画大好きポンポさん 《ネタバレ》 
映画の編集は人生の選択が如し。確かにその通りですが、普段私が意識するのは『選んだ方』ばかりです。『選ばなかった方』=切り捨てた可能性に目を向けることはしません。思うにそれは恐ろしいから。己が人生と向き合ってきた自信がないからとも言えます。その点、主人公は立派でした。自身の編集に腹を括っている。捨てたシーンに責任を負っている。それがきっとジーンが映画監督になれた所以でしょう。本当は誰もが自分の人生を決める監督であらねばならないはずなのに。でも意外とできない(できていない)のは、それでも生きられる恵まれた環境にいるからかもしれません。多分エリート銀行員アランの満たされぬ理由も同じです。 ポンポさんは、まるでドラえもんでした。夢を叶えるためのお膳立てをしてくれ道標も示してくれる。多分誰にだってポンポさんは居る(居た)のだと思います。親や先生、憧れのスターだったり、一冊の本だったり。それぞれのポンポさんの助けを借りて若者は我が道を選ぶ。いろんな意見があるでしょう。でも行き先を決めるのは私。行き方を決めるのも私。もちろん全責任は私です。やはり私は私の人生の監督に違いありません。 人生は短い。限りある時間をどう使うかが課題。まさに日々編集の真っ只中であります。人生が80分の映画なら、私の場合50分経過したところ。そろそろエンディングの予想がつく頃合いです。素材は万全、最善の結末を目指す編集で悩み中と言いたいところですが、現実は違います。撮り忘れた素材ばかり。今から撮り直しますか。でもそれが困難を極めるのは劇中でも例示されておりました。そう素材は撮れるときにちゃんと撮っておかないと駄目なのです。じゃなきゃ選びようも、悩みようもない。編集素材のことを人生では『経験』『資格』『技能』あるいは『思い出』と呼びます。我が手にある編集素材の貧弱さに震える50歳の冬。でも悲観することはありません。今だから撮れる、これからじゃないと撮れない画だって必ずあるのですから。今なお素材集めに四苦八苦する計画性のない私ですが、それでも諦めません。一応『監督』ですから。さあ己が作品の完成を目指しましょう。傑作でなくても、誰からも褒められなくても。 今年は年始に『かがみの孤城』へ10点献上したばかり。しかも同じアニメ作品。気分的には採点が辛くなるところですが、どうしても満点を回避する理由が見つかりませんでした。
[地上波(邦画)] 10点(2023-02-14 18:27:49)(良:1票)
2.  エイリアン2/完全版 《ネタバレ》 
絶対に行かないと誓ったエイリアンの棲む惑星に、再び赴くことを決めた主人公。一生悪夢に悩まされ続けるより、対峙して打ち負かす道を選びます。エイリアンの殲滅を自身の目で確かめたかったのだと思う。でも普通は出来ないこと。一度死の淵を見た者が取れる選択ではありません。リプリーの芯の強さが伺える。絶望の地で待っていたのは、少女レベッカとの運命の出会いでした。リプリーが地球に残してきた娘と同じ年頃。今は亡き我が子の姿を、彼女に重ねていたであろうことは想像に難くありません。だから最後の最後までリプリーは諦めない。母とはそういうもの。クイーンエイリアンにも同じような事が言えます。一人の女と一匹のメスの最終決戦は、もはやエイリアンVS人間の概念では捉えられない。子を奪われ怒り狂う母と、子を守るため死力を尽くす母との決闘です。痛く、切なく、そして強い母の性が見えます。全てを終えたリプリーに抱きつくレベッカ。「ママ」の一言に涙しました。クイーンも恐怖の対象ではなく、哀れだと思えました。劇場公開版も十分面白いですが、完全版は格別の出来。ヒューマンドラマの色を濃くしています。1作目と併せて鑑賞しましたが、4時間超の大河ドラマを観ているようでした。掛け値なしに面白かった!伏線の張り方も丁寧でそつが無く、前作を十分踏まえた見事な脚本。キャラクター造形も魅力的ですし、文句の付けようがありません。楽勝で10点です。
[DVD(字幕)] 10点(2008-01-12 02:12:22)(良:1票)
3.  エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 《ネタバレ》 
松本人志に『新春かくし芸大会』用に長編コントを一本お願いしたらこんなん出来ましたみたいな作品(※あくまで表面的には。また映画監督としてお仕事をお願いしたら絶対こうはならないはずです。ここ重要!)何と言いますか、要するにやりたい放題でした。最初は眼の前で繰り広げられる『狂気の祭り』をどう受け止めたらよいのか戸惑ってしまいましたが、途中から馬鹿負 けした気がします。“小指の力こぶ”で私の中の常識や羞恥心のタガが外れました。こうなれば締めたもの。あるがままにわがままに我が身と心を狂気に委ねることができました。たぶん百回観ても理屈を理解できる気はしませんが、大した問題ではないでしょう。自分の人生を愛おしく思え、パートナーにキスしたくなったなら、この映画のメッセージをきちんと受け取れていると思います。最近私が観た映画の中だと『映画大好きポンポさん』と基本的に言ってる事は同じですかね。大好きな映画には違いありませんが、とても他人に勧められる作品でないのが辛いところ。それでもアカデミー賞受賞とか関係なく満点を差し上げたい気分ですが、社会風潮に配慮し過ぎなところやマグナム○ィルドを振り回したハイセンスを装った悪ふざけの分、点数を差し引いておきます。
[映画館(字幕)] 9点(2023-03-18 22:38:08)(良:1票)
4.  SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム 《ネタバレ》 
子供の頃、必ず訊かれる将来の夢。自分の世代、小学生男児なら「プロ野球選手」が定番でした。そりゃあもう猫も杓子も。本当になりたいというより、そう言っておけば無難だから。そんな空気が確かに在ったと記憶しています。B-hackの歌詞も基本は同じ。エンターテイメントとして、耳触りが良いように、夢や希望を“盛っている”ワケです。目指すは正社員なんてシビアな現実、要りませんもの。魂の叫びではなく、単なる歌詞。少なくとも、今の彼女たちにとっては。だから同窓会気分でB-hackを再結成出来たとも言えます。しかし、人の心はそう単純に出来ていません。営業を終えた彼女たちが落ち込んでいたのは、水着を着させられたからでも、観客が少なかったからでもありません。歌詞に、若き日の自分に、痛めつけられたのです。ステージとカメラの距離は、希望に満ちた歌詞と、現実の彼女たちとの距離。なんて遠いのでしょう。「あの頃の自分、調子に乗ってたな、てへ」で済ませるには、彼女たちは若過ぎました。ウケ狙いの歌詞でも、土台にあるのは本当の夢。種火は燻ったまま。消火も消化も終わっていません。だから苛立つのです。何がロイヤル・ストレート・フラッシュだ。ワンペアも儘ならないのに。今ある自分の手札に愕然とします。結局、B-hackはもう一度晴れ舞台に立てませんでした。それもそのはず。身の丈というものがあります。今の彼女たちにとっての分相応は、法事の宴会ということ。でも場所なんて関係ありません。酔っぱらいの前で吐き出した思いは正真正銘。ガキの気取ったライムより、不格好でも血の通った言葉の方が、何倍も何十倍も沁みるというもの。泣けました。その思いは、こんにゃく父ちゃんにも届いた様子。やるじゃん。スゴイよ(エンディングも必聴!)。さて、現実の問題。手札は最悪。どうしましょうか。ポーカーで勝負にならないのなら、七並べは如何でしょう。大富豪なら革命だって起こせます。ポーカーの価値観に縛られるから、苦しくなるんじゃないかと。ルール変更は卑怯ですか。いえいえ、生きるための知恵です。法事で場違いラップを披露できるクソ度胸があれば、きっと彼女たちは大丈夫でしょう。それよりデブニートとガリ貧相の方がよっぽど心配。デブ、お前はまずちゃんと働け。あとガリは女を見る目があるな。見直したよ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-11-27 18:26:11)(良:2票)
5.  SR サイタマノラッパー 《ネタバレ》 
唐突なラストにア然とするのと同時に、心が締め付けられました。まさかこんな“途中”で幕切れとは。最後はてっきり感動のライブが待っていると思っていたのに。でもよく考えてみれば、人生とはそんなもの。志半ばにして終わるのが常。それに何も積み重ねていない奴らに、晴れの舞台などあろうはずもありません。そもそも表現者として、観客に届けたい“思い”があったのかさえも疑わしい。しかし居酒屋でのデブニートのラップには、訴えかけるモノがありました。無様です。情けないです。カッコ悪いです。それよりちゃんとバイトしろよって話。でも心に響きました。負け犬の遠吠えだとしても、吠えるのを諦めるよりは100倍マシ。たった一人でも心を揺さぶる事が出来たのなら、もしかしたら観客の心にも届くのかもしれない。それがこの映画が伝えるささやかな希望でした。馬鹿は諦めが悪いもの。でもその馬鹿が羨ましい。そして愛おしいのです。絵に描いたようなダメ人間に感情移入が叶うのは、奴らの本質が腐っていないから。仲間と上手くやりたいのなら同意できなくても適当に話を合わせておけばいい。でも奴らにはそれが出来なかった。その純粋さは、捨てちゃいけない。一度手放したら二度と手に入らない宝物だと思うから。ラストシークエンスや謎の小声先輩タケダのエピソード等、サプライズが感動に直結する見事な脚本と、リアリティある人物造形に強く共感する、痛痒さ満載の笑って泣ける青春讃歌。素晴らしいです。大好きです。遅ればせながら、続編も必ず観ます。
[DVD(邦画)] 9点(2013-06-16 17:58:39)(良:1票)
6.  エンジェル ウォーズ
この映画はプロレスだ。本物の、リアル“プロレス”だ。現役プロレスファンは勿論のこと、かつてのプロレス者も是非劇場へ足を運んで欲しいと思う。プロレスについて長く考えた人、深く考えた人は、この映画の意味がよく分かると思う。私たちが何故プロレスを愛したのか、愛しているのか、その答えがこの映画の中にある。惜しむらくは、自分が40歳目前のオッサンだということ。出来ることなら20年前に本作に出合いたかった。限りなく満点だが、満点は付けられない。それが私の20年の道程だ。マイナス1点の大人の自尊心。それが悲しくもあり、嬉しくもある。
[映画館(吹替)] 9点(2011-05-01 22:50:23)
7.  映画ドラえもん のび太の恐竜2006 《ネタバレ》 
『ドラえもん』は、押しも押されもせぬ国民的アニメ。その事に誰も異論はないと思います。であるが故に重い十字架を背負っていると思う。マンネリ化を打破し、“末永く愛され続けるために”断行された声優陣及び作画の一新。10年先、20年先を見据えた大改革でした。その是非を問うたのが本作だったと思います。ココでオリジナル劇場第1作目のリメイクを持ってきた覚悟たるや凄まじいと思いました。旧作品との比較は避けて通れない。ならばいっそ、徹底して比べて欲しい。そんな製作者の意気込みが伝わってくるようです。賭けだったと思います。オリジナルと同等のクオリティならば、思い入れのある方が支持されて当たり前。オリジナルを超えて初めて評価される。そんな分の悪い賭け。果たしてその結果はどうか。自分は諸手を挙げて支持したいと思いました。いや両手じゃ足りない。両足も挙げちゃいましょう。オリジナルへのリスペクトを失わず、されど新作の色を出していく。これぞあるべきリメイクの形だと思いました。特に終盤の展開が素晴らしい。前作で物足りないと感じていた部分を大幅に変更。自力での問題解決にスッキリしました。ラストも注目。何故ボールを抱くのび太のシーンを削ったのか。そこに監督の意思を感じずにはいられない。のび太たちの成長も、ピー助との切ない別れも、それまでのシーンで十分描けたという自信があったのだと思う。だからラストカットは、成長した子供たちの笑顔で十分だった。どんなに名シーンだろうと、“本作では”必要がなかったのだと思います。新ドラシリーズは大丈夫。そう思わせるだけの覚悟と愛情が本作には詰っていました。自分も一ファンとして、旧シリーズ同様の愛情を新シリーズに注いでいきたいと思います。敬意を込めてオリジナルよりも上の点数を付けさせてください。
[DVD(邦画)] 9点(2008-07-22 20:15:02)(良:3票)
8.  エル・マリアッチ
脚本だけなら特筆するような作品ではありませんが、ロケーションとキャスティングの素晴らしさが本作を特別な映画に仕上げています。得も言われぬ良い匂い、画面の端々から色気を感じます。本来はハンデとなる低予算もプラスに作用している気がします。刺さる人には堪らないでしょう。出来の良し悪しでは測れない味のある映画。こんなの大好きなんです。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-22 19:11:20)
9.  エクストリーム・ジョブ 《ネタバレ》 
大筋は『こんなはずじゃなかった』系コメディ。基本バカ設定ですが、人生の悲哀がスパイスとして絡んでくる王道の人情ドラマでもあります。刑事映画必須のアクションパートも上々でした。そして何より、主役となる麻薬捜査班が秀逸。5人のキャラクターバランスの良さは、ザ・ドリフターズのよう。高木ブーと仲本工事がいるから、志村と加藤が活きるワケです。長さん、いや班長が困る様子がイチイチ可笑しくて。お人形は顔が命。そしてコメディはキャラが命。人物造形の味付けは抜群でした(キムチ味か?いやカルビ味だ!)。ほぼ完璧ともいえるコメディドラマ様式で、物語中盤まで大いに笑い転げました。このままの勢いでラストまで突き進んでくれれば10点間違いなしだったのですが、マフィアの事務所が移転したあたりで失速したように感じます。悪評の流布~フランチャイズ化による転調で、今までの楽しいリズムが崩れ、グダグダになってしまいました。この変化を取り入れるなら、最終的に『人気回復、フランチャイズ成功』まで持っていかないと軸がブレます。本職蔑ろで商売に精を出してしまうギミックが物語の肝ですから。班長にはずっと「こんなの初めてだ~」で電話に出て欲しかったなあ。また、敵役のキャラクターが弱いのも気になります。極悪非道でも、オトボケ路線でも構いませんが、マフィアの親玉にも5人に負けない熱量が欲しいです。敵役のキャラが際立っていれば、クライマックスのカタルシスも倍増したでしょう。惜しい。実に惜しいです。とはいえ、本作は久々に現れたポリスコメディの秀作に違いありません。5人の活躍をもっと観たいです。ぜひ続編を作ってくださいな。ちなみに日本語吹替え版を鑑賞しましたが、お顔と声が合っていません。でもミスマッチ具合が逆に面白くて。コメディだから許される妙かもしれませんが、心地良い素敵なお声に聞き惚れてしまいました。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-09-06 20:57:40)(良:1票)
10.  HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス 《ネタバレ》 
インスパイア?オマージュ?パロディ?いえいえ、そんな小洒落た言い方は正しくありません。ただの“パクリ”です。スパイダーマンを筆頭に、モテキ、トイストーリー、ベストキッド、タイムボカン…よくもまあ恥ずかしくもなく、人気作からエッセンスをつまみ食いしたものだと感心します。でも不思議と厭らしくありません。格好悪いとも、ズルいとも思いません。むしろ清々しい。それは偏に「真面目」だからです。奇しくもママンがプラトニック狂介に言い放った台詞と同じ。堂々たる演技。真摯な演出。おいなりさんにフィットさせてイチイチYES(夏色のナンシーかッ)。木根尚登やHIKAKINといった完全な悪ふざけから、カンヌ俳優・柳楽優弥まで、高低差が激しいクレイジーなキャスティングに納得してしまうのも、誠実だから。馬鹿馬鹿しい事をひたむきに。おフザけだって全力で。そんな素敵なサムシングが本シリーズには在るのです。たぶん、誰からも評価されようなんて思っていないでしょう(これで好意的な評価を期待しているのなら、どうかしています)。ごく一部の好事家(変態ともいう)に向けて送られた渾身のラブレター。嬉しいかな、悲しいかな、私の心にはドストライクでありました。「ツマラナイ」「見る価値なし」貶し言葉が全てホメ言葉に転化してしまうのですから、変態映画ってのは、ある意味“最強”なのかもしれません。(以下余談)前作の感想で、変態仮面に高得点を付けけることを娘に知られたくないと思った私ですが、まだまだ覚悟が足りないようです。そもそもお父さんが本作を観ている事自体、(父の威厳的な観点から)子供に知られるワケにはいかないのです。「何?これ新作?」とレンタルDVDケースを長女が手に取った瞬間の絶望感たるや筆舌に尽くせません。(アプリ登録で1枚何でも無料キャンペーンと“シールが貼ってあるDVDはレンタル厳禁”の家訓が仇となりました。幸いにもタイトルを確認される前に、玄関のチャイムが鳴り難を逃れましたが…回覧板よ有難う!)続編が制作された暁には、必ず劇場鑑賞することを(危機管理的見地から)ここに誓います。
[DVD(邦画)] 8点(2016-09-30 00:28:24)(笑:1票)
11.  エスター 《ネタバレ》 
怖い・気持ち悪い・腹立たしい、の3拍子揃ったA級ホラー。なんといってもエスター役のイザベル・ファーマンが素晴らしい。あの目つき、表情、口ぶりの忌々しいこと。そして恐ろしいこと。反社会性人格障害は、人格障害の中でも殊更タチが悪い。一般人が対処できるものではありません。でもそれ以上に悩ましいのは、彼女への攻撃が許されぬこと。子供は弱者です。社会的にも肉体的にも。どんなに憎くても、大人が手を出したら負け。悪者にされる。実際、母親はエスターに手を上げたことで貴重な時間を奪われ、大切なものを失った。この制約は大きなストレス。ですからエスターの正体には驚いたものの、同時に安堵もしました。心置きなく戦えるから。反撃の許されぬ自衛など無意味です。交戦力を持たぬ者は逃げるしかありません。でもエスターがこれほどのタマとは思いも寄らない訳で、逃げ遅れたことを責めるのも酷かなと。ただし、多分に自業自得な側面はあります。まるで猫の子でも貰ってくるような気軽さで、エスターを家族に招き入れてしまった。これは軽率を通り越して罪です。おそらくはエスターが指摘したように、今いる2人の子からは得られぬ喜びを彼女に求めたのでしょう。子を持つことは、その子の全てを受け入れること。利発さと芸術の才だけ望むことはかないません。人の親なら重々承知のはずなのに。この両親は、養子をもらう覚悟を理解していなかった。ですから、仮にエスターが良い子だったとしても上手く行かなかった気がします。それにしてもイザベル・ファーマン。本作では某デ○夫人みたいに見えますが、素の彼女は普通にチャーミングなんですよね。この化けっぷりには舌を巻きます。本物の女優でした。これからが楽しみ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-06 19:55:48)(良:2票)
12.  エスケープ・フロム・L.A.
前作に当たる『ニューヨーク1997』(邦題)を鑑賞済みである事が、本作を味わい尽くす上上での重要な要件。本作単独で観るのと、『ニューヨーク1997』の後日談として観るのとではまるでコクが違う。「牛丼並盛」と「牛丼特盛つゆだく玉入り鬼盛紅生姜」くらい違う。前作の設定と脚本を踏襲しているのですが、それがイチイチ面白いのです。監督は山田洋次かと思いました。自分が配給会社の宣伝マンなら『スネークはつらいよ・LA恋のコウモリグライダー』という邦題を提案します。そして上司から怒られます。終末世界にバカ要素がいい具合にブレンド。チープなCGが華を添えます。ラストの取って付けたような文明批判がこれまた芳しい。悪くない。悪くないです。これくらい思いっきりバカをやってくれた方がスッキリ楽しめるというもの。前作もバカでしたが、本作は大バカです。いわゆるB級映画のテイストが好きな人には、タマラナイ映画だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2010-05-07 20:14:54)(良:2票)
13.  えびボクサー 《ネタバレ》 
面白いかと聞かれると正直どう答えていいか困ります。気軽に人に勧められる映画ではありません。バカ映画には違いないでしょう。でも、そんじょそこらのバカ映画とは一緒にしたくない。そんな気持ちがある。観終わってじんわり沁みてきました。まず気に入ったのは、キワモノ設定に逃げていないこと。スベって当たり前。むしろ設定を免罪符にして、失笑路線に逃げているB級映画がなんと多いことか。でもスベリ笑いは狙うと寒い。それはもう凍える。危険な「スベリ」に安易に手を出して、火傷している人や映画ほど痛々しいものはありません。かく言う自分も霜焼けだらけです。その点、本作は真面目でした。冗談ではなくホントに。バカは真摯に取り組んでこそ光りかがやく。主人公のシャツを見れば分かる。一世一代のプレゼンショー。中年男のシュルダータイツ姿の味わいを知ってくれ!オヤジ最後のマイクアピール。そんな告白知らんがな。相棒の呟きは観客の心の声です。でも主人公の想いは胸に届きました。えびの世話を通じて、彼は必要とされる喜びを知った。使い捨てでは得られない温くもりを感じた。やっぱり100回のゴムより1回の生なんです。スミマセン。カッコ付け過ぎました。でも心意気はそう。それが愛でなくて何なのか。ちょいポチャ娘も成長しました。傷ついた分、大人になった。背伸びして染めた髪はもう元に戻して大丈夫です。ダメ人間はどこまで行ってもダメかもしれない。でも動き回れば何処かに辿り着く。そこは南の島かもしれないし、おデブいや失礼、ダイナマイトバディの腕の中かもしれない。もし今が最低だと思うなら、とりあえず全力で走ってみよう。そう思えただけで大収穫です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-04 18:59:03)(良:1票)
14.  エンド・オブ・ザ・ワールド<TVM>(2000) 《ネタバレ》 
完全版を鑑賞。正直、「3時間半は流石に長いだろう」と思っていましたが、なかなかどうして、飽きずに観られました。最初の1時間はほぼ現状説明に費やされます。核戦争後の世界。人類は滅亡の危機に瀕しているという。だのに悲愴感や滅亡への恐怖が感じられません。木々は青々と生茂り、人々の生活も日常の中にある。昨日と変わらぬ今日が来たように、今日と変わらぬ明日が来るだろう。そう思えるのです。しかしこの認識が途方も無く甘かった事に気付かされます。スカイダイブした後にパラシュートを付けていない事に気付いたような。“楽観”は決して悪ではありません。生きていくための知恵。でも現状認識を鈍らせ、想像力を狂わせる作用も孕んでいる。楽観も過ぎると、しっぺ返しを食らうかもしれない。人類滅亡を描いた物語でありながら、死体がほとんど出てこないのは特筆モノ。直接的な“死”を扱う描写は驚くほど少ないです。多分製作費に起因するのでしょうが、結果的にコレが良かった気がする。壊れた大橋。人のいない街。それで十分伝わりました。取り返しのつかない過ちを犯したことが。死体を出さずに、観客に死を意識させることに成功していると思います。それに結果を見せなければ結果を想像出来ないようなら、核戦争は絶対に防げないとも思う。それにしてもこの邦題とDVDパッケージはナイ。日本の配給会社の苦心の程が想像出来ますが、B級C級パニックものを期待したであろう観客の精神的ダメージは大きいでしょう。シュワちゃん主演のオカルトアクション映画の題名にも被ってるし。
[DVD(字幕)] 8点(2008-09-23 19:53:35)
15.  X-MEN:ファイナル ディシジョン 《ネタバレ》 
ミュータントを“人間に戻す”新薬「キュア」の登場によって、ミュータントと人間、それぞれの思惑がますます顕になる3作目。自らの能力を忌み嫌う者、受け入れる者。人間との融和を図る者、敵対の意思を表す者。ミュータントはそのアイデンティティを問われます。人間側も同じ。曖昧にしてきたミュータントの位置付けを、明確にせざるを得なくなる。実に面白い構図です。現実の差別問題や、他生物との関わり方と照らし合わせてみるといい。“人間とは何者か”という物語の根幹に行き着きます。ただ、それは鑑賞後のお楽しみ。まずは目の前で起きていることを存分に楽しみましょう。ミュータントの多彩なサイキック能力。その映像表現の見事なこと。極上のイリュージョンを見ている感覚でした。迫力満点。そして美しい。スクリーンで観なかったことを後悔しました。ただ、ドラマは不十分だと感じました。ジーンとローガンの恋愛話をクライマックスにするなら、もっと木目細かな心理描写の伏線が必要でした。それに締め方もぬるい。今回の件で、ミュータントと人間の間に大きな軋轢が生まれたはず。一度恐怖を体験した人間が、その源を放置するとは思えない。人間は、それほどお人好しではありません。何事も無かったような平穏な結末に違和感を覚えました。並みのアメコミ映画なら問題にしません。見た目が派手ならそれで満足。ただ本シリーズには奥深いドラマ性も求めたい。それが可能な優れたコンテンツと考えます。エンドロール前後のシーンについて。クレジット前のワンカットは絶品でした。見事な余韻を作り出しています。ただ、最後のシーンは要らなかったと思う。驚愕の事実は、艶消しでもあります。続編の布石としての要素の方が強い。こうなったら、責任を持って3部作を超える続編をつくってもらいましょう。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-31 19:22:49)(良:3票)
16.  X-MEN2 《ネタバレ》 
X-メンVSマグニートのミュータント対決は、表面上のぶつかり合い。その裏にあるミュータントVS人間の構図が本シリーズの本質です。それが強調される第2作目。敵対するX―メンとマグニートが一時手を組み、危機を乗り越える展開は巧みだと思いました。全ミュータントの命が、悪の親玉の力によって救われる展開はお見事。しかしすぐさま状況は一転。やはり敵は敵だと再認識させられます。シビレる巻き返しでした。ラストの主要キャラクターにの死は、物語を盛り上げる上での常道手段。ただ、あのシチュエーションで死ぬ必要があったでしょうか。無理やりエピソードを突っ込んだ気がしました。(次作での復活はあるのかな?)多彩なミュータントの能力と比べると、主役の能力は実に平凡。しかも本作では同一の能力者が現れる始末。主役の能力にスペシャル感が全く無いのも、めずらしいと思います。でもそれがいいところ。アメコミ原作の映画では一番好きなシリーズかもしれません。
[地上波(吹替)] 8点(2008-01-26 21:11:09)(良:2票)
17.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
夢で再現される彼女との思い出は、ただの電子信号です。でも実際に体験した記憶。それを消去するということは、自分の人生の一部を消去することと同じ。大切なのは未来。そのためには過去を捨てよう。その理屈も分かります。実際、捨てなければ生きていられないような辛い記憶もある。未来志向は否定しません。でも未来だけが尊いとも思わない。未来と同等に過去にも価値があります。今自分が在るのは、過去の自分があるから。良い経験もあれば、そうでない経験もある。嬉しい楽しい思い出と一緒に、辛くて悲しい記憶もある。その総てで自分は出来ています。どれが大切で、どれが不要かは分からない。どの経験も大切な心のピースです。心にトゲが刺さったら痛い。最悪、それが元で死ぬこともあります。でもトゲごと包み込んで自分の血肉に換えれば大丈夫。トゲも自分の一部です。主人公と彼女は、もう一度やり直す決心をしました。再び辛い目に合うのは承知の上です。どんなにマイナスが多くても、プラスの魅力には勝てないということ。棘を恐れて薔薇を避けるのは、その美しさを知った人間には出来ないことです。だから経験は何ものにも代え難い。苦味や渋みも旨みのうち。捨てるのは、やっぱりもったいない。嬉しさ半分、苦しさ半分で上等。2人の選択に胸が熱くなるのは、人生を肯定してくれているからだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-06 18:26:07)(良:3票)
18.  エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 
夫とは離婚。金はない。職を探そうにも学歴はないし、スキルもない。あるのは世間の偏見と、まだ手がかかる3人の子供。ままならない日々の生活。そんな状況から何故、彼女は大金を手にすることが出来たのでしょうか。まず彼女は必死だった。子供を養うため、なりふり構わなかった。子供がいなかったら、彼女の成功は無かったでしょう。3人の子を育てる彼女の苦労は、察して余りある。でも子供はハンデではありません。(彼女の口から、グチらしいグチが出なかったのは立派。)そして最も重要なこと。それは彼女が自分の価値を見誤らなかったことです。もし彼女が単なる下働きのつもりであったなら、もっと早い段階で手打ちをしていたはずです。家計を支える当面の目的は果たしているのだから。でも彼女は気付いた。自分には被害者の願いを叶える力があることを。彼女にとってこの案件は、手段(金を得るための仕事)から目的(被害者の救済と自身の存在価値を見出すこと)に変わっています。本件を手段のひとつと捉える女弁護士と主人公とでは、その成果に差が出るのは当たり前です。彼女は大金を“手に入れるべくして手に入れた”のです。もちろんパートナーの存在なくして、成功は無かった。それを一番分かっているのが他ならぬ主人公です。ですからパートナーと連れ立って原告のもとへ調停結果の報告に行ったのです。見事なサクセスストーリーでした。実に天晴れ。もちろん、オッパイも天晴れ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-09 18:06:53)(良:1票)
19.  エブリバディ・フェイマス! 《ネタバレ》 
これ、ホントはダメな話なんです。結果はどうあれ、お父さんのエゴで歌手を誘拐しちゃってるし。(しかも相手の善意を利用。ひどいっ)動機も共感できません。でも「子を想う親の心」にはどうにも弱い。それに誰も不幸になっていないのがイイ。誘拐された歌手とお父さんの相棒は結局くっついてハッピー。娘もあのプロデューサーに食われることなく(っていうか食おうとするのか?この娘を?!)、心からの歌をTVで歌うことが出来てハッピー。そしてお父さんも起訴されずにハッピー。ついでにプロデューサーも大儲けでハッピー。損をした人がいないなんて奇跡(笑)。そして何より本作を「良い話」にまで押し上げているのが、お父さんの素晴らしさ。正確にはあの“顔”の良さです。W字ひげの人間味あふれるステキな顔。かわいい。あややよりもずっと可愛い。誘拐はダメですが、“ちゃんと”計画はずさんだし、マイケル面は笑えるし、どうにも憎めません。ラッキーマヌエロも奇跡的に良い歌。繰り返しますが、お話的にはダメな話なんです。でもこんな話大好きだ!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-25 21:35:56)(良:1票)
20.  es[エス](2001) 《ネタバレ》 
私たちは社会生活を営んで生きています。それは少なからず何かを演じて生きているということ。ある人はサラリーマンを。ある人は学生を。意識しようとしまいと、“こうあるべき”という役割を演じて生きているのが、社会的動物たる人間です。本作では、心理学の実験として「看守」と「囚人」の役割が被験者に与えられます。当然、被験者は初め役割を演じます。報酬を得られる単なる実験として。しかし教授という神のもと、与えられた役割という大義名分のもと、次第に自己より役の占める割合が増していきます。物事を決めるのは自己ではなく役割。それはとても心地よい状況のはずです。なぜならそこには自己責任が存在しないから。でも、自分に都合の悪い決定だと逆に息苦しく感じることもある。勝手なものです。でもそれは日常生活でもごく普通に行われている心の動き。心の安定に必要な行為です。だからこそ、本作で起こった事象にはリアリティがあります。社会と隔離された密閉された空間。そこでひとつの社会を形成してしまっている状況。思考を停止させるのになんと好条件なことか。役割が自己を食い尽くしていく恐怖があります。普通の人間に潜む狂気が一番恐ろしい。
[DVD(字幕)] 8点(2006-08-07 17:58:22)(良:3票)
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