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1.  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 《ネタバレ》 
もうこれは、竹下景子様に尽きます。作品世界への適合度、寅さん好みの人物造形、渥美清との演技と掛け合いの相性、すべてがスーパーマドンナともいうべき魅力を発散しています。見る前からある程度想像はできていましたが、予想以上でした。そして、とらやで寅の袖を引いて囁く(というか口走る)あの一言のインパクト、さらに柴又駅の別れのシーンの、少ない台詞に込められた膨大な情報量。前半、とらやシーンを大幅にカットして投入された旅先での丁寧な積み重ねが、凝縮されて生きています。●備中高梁というところも、程良く観光地、程良く田舎で、またこの作品の舞台に合ってるんだなあ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-11-19 00:40:07)(良:2票)
2.  男はつらいよ 寅次郎と殿様 《ネタバレ》 
真野響子さんは歴代のマドンナの中でも3本の指に入るくらい好きな女優さんで、しかし、このシリーズの世界とは合わない気がしてたし、このタイトルだったらほとんど主役はアラカンだろうと予想していたのです。ところが、真野さんの持ち味を実に巧く引き出しているのに驚きました。何より、「夫が早世してそれに対する思慕の念を抱きつつ、新しい人生も朧気に考えているヒロイン」に、真野さんは実に的確にフィットしているのです。だから、「その後再婚した場合」を語る寅の「アリア」にも味わいが出ています。フラれるシーンは久々にすかっとした感じの(?)王道描写(このときのぎりぎりのところでその場を収めるさくらは、まさに神)。●考えてみると、この作品では寅さんはそれほどマドンナにのめり込んでいません。が、殿様からの例の手紙で、「あれ、俺って結婚できちゃう?しかもこんな美人と?しかも殿様のお墨付きありで?」と舞い上がってしまうわけです。ここでドキドキ感炸裂です(それにしてもこの手紙が読まれた後、なぜか一斉にどんより落ち込むとらやのメンバーのリアクションは、最高に笑える。いや喜べよ)。しかしその後で分かるのは、むしろ本当にフラれるのは殿様だったということです。そこが切なさと奥の深さを増幅しています。●というわけで、真野さんがヒロインである映画は貴重なので、点数もオマケ。あと、谷よしのさんが台詞多めなのも、ちょっと嬉しい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-08-18 02:26:17)
3.  鴛鴦歌合戦
何が一番驚いたかって、それぞれの歌が、場面や心情の表現にきちんとなっていること(曲調や歌詞も含めて)。そして、役者陣が、きちんと「歌いながら演技をしている」こと。つまり、ミュージカル映画としてはすでに完成しているのだ。それにしても、戦前からこれほどの作品を作っておいて、どうしてその後の日本にはミュージカル映画が存在しないのだろう?
[映画館(邦画)] 8点(2015-08-30 21:43:19)(良:1票)
4.  男はつらいよ 噂の寅次郎 《ネタバレ》 
大原麗子という人は、絶品の美貌と同時に程良い庶民性があり、そして人生の影のようなものも表現できて(しかもそれがとらやの中で浮いていない)、つまりこのシリーズのマドンナとしては完璧な適役なのです。そして、麗子様のキュンとするような声であんなことやこんなことを言われると、見ている方まで一緒になってどきどきしてしまうわけですが、それだけに最後の切なさ、そしてあっさり旅立ってしまう寅次郎の宿命が際立っています。●改めて見てみると、この作品は、マドンナの魅力を引き出すために脚本も集中している。冒頭恒例のとらや騒動(今回は起こっていること自体はハッピーなのも良し)から、まだ大物化する前のピン子のスパイシーなアクセント(実は麗子さんより年下だったとは・・・)、そして博父との出会いと同道というドラマが、まるで一筆で流れるように描かれて、ここぞというタイミングで満を持してマドンナ登場。以後は怒濤のマドンナ一本筋。その中でキラキラした湖面のように交錯するマドンナの光と影(離婚しそうな状態とした後という設定をフルに生かしている)。シリーズを代表する傑作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-27 01:33:08)
5.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
もっともらしく強盗に突入していながら、開始数分後には早くも1人が自発的に脱落するという衝撃の展開。人質側にもどことなく「何やってるの、この人たち?」というリアクションが漂っているのが、何とも言えない。そのままなら、とっとと小金だけ奪って逃げ去るか、とっとと警察に制圧されるかのどっちかなはずが、膨れ上がったマスコミや群衆が作用することによって、犯人も、被害者も、警察も、全部の歯車が徐々に狂い出す。誰も予測していなかった方向でありながら、必然性を持って展開する手腕が見事。●その中でも、細かい演出の芸がいろいろあって、例えば、守衛のおじさんを解放した後に女性人質と一緒に外へ出るとき、鍵を開けるのにもたつくパチーノに対し、人質女性が「こうするのよ」みたいに動作で教える、さりげない一瞬。いろんな変化がちょっとした技で象徴的に表現されている。●ほとんどの舞台は、決して広くはない銀行店舗内と、その外のわずかな範囲なのに、それを感じさせず、しかも、登場人物の表情や行動や周囲の光景まで的確に切り取ったカメラの腕も特筆すべき。
[DVD(字幕)] 8点(2011-09-17 03:00:17)
6.  オリエント急行殺人事件(1974) 《ネタバレ》 
これだけとてつもない原作なんだから、あとはしかるべき俳優を配置して、急行の内部をしっかり再現して、それをきっちりと撮れば、存分に楽しめる作品が出来上がるわけです。しかし、単なる原作頼みではなく、多岐にわたる登場人物を上手く整理して、全員を必然性のある存在にしています。犯行再現シーンの迫力はいうまでもありませんが、それ以外でも、冒頭で1人1人列車に乗っていくシーンなんかでも、タネを知ってみていると緊張します。ただし、最後はやっぱり原作通りの主犯のスピーチが見たかったなあ。●後で考えると、この作品は、「お客さんに楽しんでもらうこと」を徹底するために、巧妙に原作をいじっているのです。冒頭に誘拐事件をずばり提示して(しかも台詞もナレーションもなし!)後の展開を分かりやすくし、閂がどうのとか細かいトリックは潔く削除。殺害場面は、原作ではものの数行なんだけど、台詞を追加してしっかり時間をとる。最後はキーパーソン2人が立ち上がって、もろにカーテンコール。そうそう、乗車・尋問・犯行・ネタ割り・ラストで順番をいろいろ操作しているのも、オールスターキャストの強みを生かした周到な緻密さが窺えます。というわけで1点プラス。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-24 00:08:15)
7.  おもいでの夏 《ネタバレ》 
最初の方では、主演二人のあまりの演技の下手さにコケそうになりましたが、終わってみれば大事なところをきちんとまとめた好作品でした。特に、クライマックスのラブシーンでは、もっと二人のそれまで抑えていた感情爆発!みたいになるのかと予想していましたが、意外に淡々とした、むしろ事務的なような(!)雰囲気で、しかもそれが追憶の切なさを増幅しているというのが見事でした。それから、薬局のシーンの、どんなサスペンス映画もアクション映画もかなわない手に汗握るスリリングな7分間も忘れがたい(笑)。映画館でのエロスマイルも、アホ青春モード全開でいい感じです。綺麗さっぱりと切り上げるラストや、背景の余計な説明なしなどの点も含めて、当たり前のことを正面からきちんと撮った作品はやはり好印象です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-06-01 03:39:28)
8.  オールウェイズ 《ネタバレ》 
いい年したおじさんの純な恋愛を正面から讃美してみせた製作者のスタンスに感動。これこそが大人のラブロマンスです。主演3人はいずれもなかなかの好演ですが、特に、この種の「男勝りだけどよく見ると可愛い女性」を演じさせたら、ホリー・ハンターの右に出る人はいません。若い彼が引き寄せられるのもよく分かります。唯一の難点は、数回出てくる山中消火の場面が凝りすぎてて(特に音響)、本体のラブロマンスの部分を凌駕しかかっていること。この辺はスピルバーグの生真面目さが裏目に出たか。 
[DVD(字幕)] 8点(2005-09-12 03:09:35)
9.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
まったくの想像なんだけど、この作品はもともと、「無軌道な若者たちが、好き勝手にやってる間に収拾がつかなくなっちゃいました。さあどうなるんでしょう」というような脳天気系青春映画として作られ、また見る側もそういうスタンスで見ようとしてたんじゃないのかな。音楽からしてもそうだし、明らかに笑わせにかかっているシーンもいくつもあるし。だから、すべての予想を裏切って叩きつぶすあのラストシーンが強烈だったわけです。ただし、単に破滅ストーリーを追っただけではなく、その周りに絶妙なキャラクターの人物配置を行い(とりわけ、エステル・パーソンズ扮するブランチの物語左右力が凄い)、ラストへの展開を必然のものとしてみせたところが、この作品を他の同種の凡百のものから歴然と際立たせている。そして、あのラストシーン、目と目が合う一瞬の間に飛び交う物凄い量の感情の表現は、衝撃的であり、奇跡的でもある。思い出すだけでも怖くなるし、その後の銃弾よりもこっちの方が怖い。
[映画館(字幕)] 8点(2004-03-02 02:30:31)
10.  俺ら東京さ行ぐだ 《ネタバレ》 
もちろん吉幾三のあの曲を元に作られたのですが、単なるネタ作品と思いきや、予想外にきちんとしていました。内容としては、東京に出た息子に会うために、田舎から両親が出てくる、というそれだけです。しかしその「それだけ」が、ドラマとして完成しています。特段ひねったことは何もしていないにもかかわらず、です。一方で、大都会の真ん中で二人であたふたしながら、次はどうしようと予定を決める、といったちょっとした空間も、丁寧に拾われています。●それを支えているのは、作品全体を覆う津軽弁の徹底ぶりです(両親の二人はもちろんだが、松居直美のサポートが大きい)。これはもしかして、「博多っ子純情」に匹敵する方言映画の完成形ではないか、と思っていたら、光石研が必要もなくチョイ役で登場して、しかも九州弁を決めてしまったのにはびっくりしました。まさか、あの作品も意識して作られていたとか?●で、ラストがまた格好良いんですよ。この展開なら、最後は、息子が改心してホームに駆けつけて両親と和解して見送る、というようなことは誰でも考えます。しかしこの作品は、そんなありきたりな情緒には見向きもしません。芳恵ちゃんが代わりに見送っておしまい、です。ですが、だからこそ、彼女はすでに息子の代わりが務まるほどの関係性を築き上げた、ということが一瞬で説明できますし、今後の発展の示唆にもなっています。また、それゆえに、あの職場見学シーンの重みが、かえって増すことにもなっています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-14 23:59:48)
11.  おろかもの 《ネタバレ》 
結婚を前にした兄が浮気していて、妹がその浮気相手と対峙する、というスタート。しかし、物語はその枠組を外れない一方で、この四者間の心理の綾をフルに使いこなしています(結局、「婚約者間」でも「兄妹間」でもその話題は正面から出ない。この奥床しさと、それがもたらす奥の深さ)。また、人物造形の作り込みと、それを把握した役者の繊細な演技が作品を的確に支えています。兄はいかにもな遊び人風ではないし、逆に誰にでも優しいのがこの事態を招いている。婚約者は地味なんだけど、何に対しても動じないし、むしろ一番先を正確に読んでいる。浮気相手は、おっとり系ながら、切り返しは鋭いし、一方で漠然とした不安も抱えている。そして主人公の妹は、それらの個性を正しく受けて、見る側の誘導役として機能しています。また、演出面でも、中盤のここぞという場面での長回し数回にも目を奪われましたが、クライマックス、花嫁のスッとした僅かな移動ですべてを表現する腕!これには唸りました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-10-11 01:33:04)
12.  汚名 《ネタバレ》 
導入部はまあそれなりという感じですが、いざバーグマンが諜報活動を始めてからの怒濤の流れが凄い。男女の三角関係とスパイの潜入関係が交錯する語り口の巧みさ。ワインセラーというネタ一発をフルに活用する描写力。そのくだりを足がかりに発されるそれぞれのキャストの火花の衝突。諜報の内容がサスペンスだったのが、今度はヒロインの命が狙われていくのが課題という自然な構造的変容。そしてすべてが凝縮するあの「階段下り」!あっぱれです。●最大の貢献者は、もちろんクロード・レインズでしょう。礼儀に溢れる紳士でありながら、時折見せるあの警戒の視線。ケイリー・グラントは明らかに押されてますし、またバーグマンの美しさもそれによっていっそう引き立っています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-08 01:28:15)
13.  踊る大紐育(ニューヨーク) 《ネタバレ》 
最初から最後まで突っ走るテンションの高さであるとか、全体をきっちり24時間に収める様式美であるとかがとりあえず目につきましたが、実は歌とダンスの影で脚本もしっかりしているのではないかと思います。3組のカップルがきちんと使い分けられていることはもちろん、その絡みの中で研究家のお姉さんがミス地下鉄に裏で気を遣うところなど、何とも細やかです。また、すでに指摘されていますが、笑われ役のルーシーにも最後に配慮しているところが、作品に奥の深さと気品を保っていますね。●今の脚本だったら、最初にミス地下鉄を探し出すまであれこれステップを入れたりとか、エンパイア・ステートにたどり着くまででもハプニングがあってハラハラしたりするんでしょうけど、そんなものはなくてもよい!というかない方がよい!ということもよく分かります。●唯一、終盤入口の、それまでの話をダンスで再現、は要らなかったと思います(そこまでにダンスで十分表現されているからこそなおさら)。ここは、ケリーの独唱で悲しみのダンス、とかでもよかったんじゃない?
[DVD(字幕)] 7点(2021-01-04 01:26:38)(良:1票)
14.  男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 《ネタバレ》 
「田中裕子とジュリーへの恋愛指南」の一言で片付けられそうな気もするのだが、よく考えるとそれにとどまらない奥の深さがある。マドンナはジュリーを、当初は二枚目だから気が進まないと言い、デートしても何も喋らないのが嫌だと言う。もちろんその逆が寅さんであって、スナックでいきなり「今夜は飲んじゃおう!」とノーガード全開になってしまう描写にもそのベクトルは示されている。しかし、いざいい雰囲気になると引いてしまうのは寅の宿命でもあるし、まして結婚の心理がどうのこうのという相談には、寅は一切対応できない。もはや自分の中で処理しきれずにグシャグシャになる。あの、せっかくの相談の場から席を立ってしまう一幕に、そのあたりの心理の綾が凝縮されている。●それにしても、後にはいろいろ癖のある役や影のある役も多かった裕子さん、この「どこにでもいるような地味目のデパートガール」役の、何とも初々しく、そして神々しいこと!「おしん」で国民的女優に躍進するのはこの翌年なので、よくその前の貴重な時期を収めておいてくれたと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-02 00:57:36)
15.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 
何と今回、恒例の「冒頭、旅先から寅が帰ってきてとらやのメンバーと一騒動」がない。その分、マドンナとの関係がじっくりこってりじわじわと描写されて、まるで一般のラブロマンス映画のようです(!)。挿入音楽も、ほかの作品では聴かないような「ザ・メロドラマ」な曲の連発です。またそういう演出に、いしだあゆみがぴったりなんだな。この人の場合、あまり表情を動かさなくても、目力とさりげない動きだけで芝居ができるんですよね。そしてそして、これまでありえなかったマドンナからのこっそり手渡しメモ(おばちゃん曰く「付け文」)、この予想しないたった1枚の紙がもたらすインパクト!この作品はもうここで十分です。鎌倉のシーンはおまけです(とらやでの対面状況で、デートがどうなるかはもう予想できますからね)。●再見して気づいた点。前半の仁左衛門のマドンナへの説教が、後半に効いている。これを生真面目に受け止めたかがりは、寅に対する思い詰めた純度高いアタックを、一点集中で全力で行う。もちろん寅がそれに耐えられるわけはないのだが、その凝縮された情念の強さは、寅を通り越してとらやメンバーすら動揺させるほどであった。それは、結果としてではあれ座敷ではなく店先のテーブルで済まされる応対や、おばちゃんの「恨むわよ、あの人」の台詞に象徴されている。そうして本作のかがりは、とらやを訪れたマドンナとしては唯一の「歓迎されざるマドンナ」となった。そのあたりの冷徹なほどの厳しさが、シリーズの中でも作品のオリジナリティを際立たせている。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-10-18 02:49:11)
16.  男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 《ネタバレ》 
マドンナの登場がやたら遅く、初期作品の作り方に戻ったような感じ。ただ、藤村志保さんという典型的和風美人はこの作品世界との適合度は高いと思っていたので、これは何とももったいない。一方で、若者二人の恋愛譚は、中村雅俊と大竹しのぶという人材の力も加わり、制作側にとっても、当初の想定以上に話が広がり、異様に出来が良くなってしまったのではないだろうか。とりわけ大竹しのぶは、弱冠20歳にして、とらやの面々をコントロールするほどの求心力を発揮している(実家から戻ったシーンの存在感!)。サブゲストとしてはこれまでも桜田淳子や檀ふみという強力な例があったが、作中における磁場力はそれ以上だ。それと、もっぱらコーチを受ける立場だった青年が、最後に一言で場の色を塗り替える逆転の構図。●それと忘れてはいけないのは、パチンコ屋の杉山とく子さんではないでしょうか。最初は相互反発そのものだった寅さんとワット君が、ここで邂逅し、共鳴する。その変化の媒介を、ごく自然に(それも笑わせながら)行って、シーンの価値を高めているのです。これこそが役者の演技ですし、このシリーズは随所でこういう人たちに支えられています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-27 00:45:08)
17.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 
お千代と助教授の初対面以降、寅さんは瞬時にシフトチェンジして仲介役(引っかき回し役?)を務めるようになる。なるほど、中期以降に出てくるキューピッド系の話の源流はここにあったのか、と思いつつ、ラストはもちろんこの2人がくっついてハッピーエンドなんだろうな、と予想する。ところがまさかの逆プロポーズという剛速球が飛び出して、ここでのドラマの重さは、それまでの割とマイルドだった雰囲気との落差が大きすぎなのです。追い打ちでラストのとらやの談笑場面、もうここでのお千代の静かなるアクション(そして1人だけ笑っていないさくら)の突き抜け度は圧倒的です。そんなわけで、終盤入口までとその後の10分では、まるで別の作品のようでした。●マドンナ関係以外では、せっかく正反対の寅と助教授を掛け合わせていながら、そこにギャップや変化の表現があまりないのが惜しい。それと、とらや場面も、笑いが少ない(おいちゃんの電話場面は例外ですが)割には気まずく沈黙するシーンが多く、ちょっと暗い感じ。●このシリーズではサブゲストにもこだわりがあることが多々ありますが、前半部分、わずか数分間の登場の田中絹代のインパクトも強力。ところで、この奥様の役は、別にビッグネームを当てなくても成り立ちます。そこにあえて絹代さんを持ってきたというのは、絹代さんこそが山田監督自身のマドンナだった、のかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-06-13 00:32:17)(良:1票)
18.  男はつらいよ 望郷篇 《ネタバレ》 
これはもう完全に「さくらの物語」ですね。最初に寅に説教をかまし、寅が就職活動(?)をするとなれば本人以上に真剣に悩み、それなのに寅から理不尽に逆上されてもそれに怒るでもなく、最後に旅立つ寅を一人で見送る。後のさくらの立ち位置がここで完成されています。第1作のラストと並んで、これがあったからこそ後の長期シリーズ化につながった、ともいえるかもしれません。●長山藍子姉は出番遅いんだけど、あのミニスカワンピと浴衣の可愛さですべて許す。●それとびっくりしたのは杉山とく子小母さんの、まるでとらやの一員であるかのような作品世界へのはまりっぷり。と思ったらテレビ版ではおばちゃん役だったんだそうで、そりゃそうだ。●ラストにマドンナがとらや(の関係者)を訪れる、という王道パターンも、ここで確立されています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-04 01:22:46)
19.  オレンジと太陽 《ネタバレ》 
テーマから覚悟する重さの割に、導入部は淡々とさくさくと進んでしまうのだが、なぜそうなのかは、見ていくうちに分かるようになっている。作中で再三繰り返されるように、そしてクライマックスの神父団との「対決」シーンが顕著に示すように、主人公は、誰をも非難する意図は有していない(一方で「責任」は求めているが、もちろんそのこととは別)。考えているのは、ひたすら「家族を見つける」こと。だから、その視線は総体としての「かつての移民」を見ているわけではなくて、どこまでも1人1人を見ている。そのトーンで全体が統一されているからこそ、主人公の行動が静かな説得力を有している。
[DVD(字幕)] 7点(2018-05-05 01:49:12)
20.  男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 《ネタバレ》 
寅さんと芸者の相性の良さは、すでに第17作でも示されている。本当のことを言わなくてもよい、いつでも冗談で紛らせられる、お互いに内心に踏み込まない、という暗黙のお約束が、寅にはどこまでも心地よいのだ。しかもそこに、当時29歳・スター街道まっしぐらの松坂慶子を当て(とらやでの背の高さにはびっくり)、旅先を早々に引き上げさせることなくじっくり二人きりの時間を(見る側に)満喫させ、実は久々かもしれない寅の正面恋愛一直線を突き進ませる。しかしその世界は、ふみが寅の部屋に突入した瞬間から歪み始め、そして寅が別室へ移動した時点で崩壊する。この裏からの冷めた視線が、シリーズ内での作品のオリジナリティを輝かせている。●吉岡君初登場としても有名な作品ですが、実はマキノ佐代子さん初登場であるのも忘れてはなりません。レギュラー登場はもう少し先ですけどね。それと、源ちゃんの出生がさらっと語られているのも重要かも。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-26 03:22:07)(良:1票)
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