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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  オーソン・ウェルズのフォルスタッフ 《ネタバレ》 
オーソン・ウェルズは傑作が多いが、俺の一番好きな作品はコレだ。 大酒飲みでほら吹きな巨漢の男フォルスタッフ。大嘘つきで狡賢い存在なのだが、何処か憎めないというか、愛嬌たっぷりで可愛気さえ感じるくらい。 冬の森から小屋へと入っていく中年の男と、ずんぐりむっくりな巨漢の老人。二人が何やら怪しい算段をたてている場面から物語は始まる。 愉快な会話のやり取りの多さ、物語がサクサク進む小気味良さ。舞台劇をそのまま映画のスケールでダイナミックに演じてしまう面白さ!いや、フォルスタッフにとって人生そのものが一世一代の舞台なのだろう。 特に宿における膨大なセリフのやり取りは面白すぎる。酒蔵でのやり取りも、ウェルズに絡んでくる若い二人の男とのやり取りも、珍妙な面接風景も、ウェルズの詭弁で何処に行ってもお祭り騒ぎ。フォルスタッフに絡むジャンヌ・モローも色気ムンムンです。 秋の林の中で馬を“手に入れる”シーンのやり取りもイチイチ面白い。あれだけ大口を叩いていた男が、その巨躯を必死に動かして逃げ惑うのである。 「マクベス」で引き締まった肉体と共に勇ましく戦っていたウェルズとは大違いだ。 それは戦場に勇みよく出陣した場面でも同様だ。中盤のおよそ10分に渡る騎馬同士の壮絶なぶつかり合い!泥に、血にまみれる戦場。 それを高みの見物、漁夫の利をあげようと茂みに潜む姑息というべきか、狡猾というべき姿。 彼について行く子供の従者すら騙して。 そんな男の人生も、もう一人の主人公というべき後のヘンリー5世となる皇太子・ハルが終止符を打つ。 最初はフォルスタッフと共に放蕩生活を送っていたハルだが、戦場での戦いが彼を誇り高い戦士に、王として身も心を変えていく。 戦いの後はまだ固い絆があって別れを惜しんだ二人だが、いざ王が死に次の王になるともう“嘘つき”と友情を結ぶワケにはいかなくなったのかも知れない。 ハルは、国の、それを支える人々のためにあえて友情を捨てる事を選んだのだろう。それはフォルスタッフのためでもあったのだろうが。 だがフォルスタッフにとってこの事ほどショックを受ける事は無かった。 底抜けに明るく始まった物語は、少し寂しい締めくくりを迎えてしまう。それでも、あのあっけないくらいの最期が逆にじんわりと心に染み込む傑作。
[DVD(字幕)] 10点(2014-11-30 08:45:15)(良:1票)
2.  大人の見る絵本 生れてはみたけれど 《ネタバレ》 
再見。やっぱり江戸っ子時代の小津は最高に面白い。活き活きしてるね。  初っ端から桃だか種だか分からないもんから“生まれた”赤ん坊の御挨拶(股間を抑える元気な男の子です)、泥にハマッた車輪の唸り、それを見つめるおとんと息子二人。 サボるな働け押し問答、上着を着こむのは作業が終わったから。  先に行って待っていた母と子の再会。どうやら引越して来る最中だったようだ。 子供と親と態度を変える酒屋、お近づきの印に知恵の輪と“御挨拶”を喰らわせガキを泣かせてスタコラさっさ。酷いもんだ。  父親はお得意先にペコペコ頭を下げ、それをつまんなそうに見上げる子供。友達の呼び掛けに喜んで走り寄る無邪気さ。  “変な奴”とのご対面、バイキン(黴菌)みたいな顔してやがらあ、背中に注意書き貼られてやがらあ、ガキ大将の拳骨vs下駄、パンを拭いて奪うのは思いやっているから。ここの連中は新入りに拳骨でしか挨拶できんのかww けん玉を止める兄弟の泣き声、報復する相手を見つけ歩みを止めるようなキャメラの動き、子供たちだけが知る“おまじない”、「倒れろよこの野郎」とばかりに突き合い取っ組み合い逃げるが勝ち。  喧嘩して学校サボッて怒られて、子供の視点で見つめる「大人の世界」。互いに撮った映像を披露し合う発表会、映写機が映すものを見てしまった衝撃と後悔。醜態(変顔)を晒しても愛想笑いを浮かべ、夜道をトボトボと歩く子供たちの背中が語る失望。 「その夜の妻」の時といい、背中で歩き去る場面が様になりすぎ(褒め言葉)。  昔は子供だった父親も、今では大人の目線でしか子供を見られなくなってしまったのかも知れない。子供に無くて大人に無いもの、大人になって得たものと失ったもの。  ただ、そこから「どう従うか」ではなく「どう付き合うか」という事をこの映画は教えてくれる。  庭先から見える電車の疾走、風が吹き荒ぶ中を椅子に座りつっぱね続ける意地、でも母ちゃんにはちゃんと返事する微笑ましさ。 草を食べズボンの紐で押さえつける空腹、椅子の上へ握り飯を置いて行き、遠くから見守る愛情。椅子を寄せ一緒につまみ、話し合うのは仲直りするために。 食器が置かれた食卓。食器をひっくり返すのは「いつもの通り」に戻ったことを表すため。  戦前は家族の団欒を表わしていた食卓が、戦争を経た「麦秋」「お早う」等では帰らぬ者への鎮魂を現わす場ともなっていく。 列車が通り過ぎた先で見たもの。兄弟は父を見送ることを選び、兄弟の友達もまた“おまじない”で地面に倒れ、起き上がり腕を背中にまわし共に歩いていくことを選ぶ。知恵の輪が結んだもの、知恵の輪が解けてもほころばないもの。挨拶をしに走り行く友達を待ち続けてくれるのだから。
[DVD(邦画)] 10点(2014-01-07 16:35:38)(良:1票)
3.  鴛鴦歌合戦 《ネタバレ》 
「弥次喜多道中記」に並ぶオペレッタ時代劇の傑作。前者が歌と股旅映画が融合した作品ならば、この作品はミュージカルとしてより洗練された楽しさ。歌いっぱなしの「鴛鴦歌合戦」、歌ありアクションあり何でもござれの「弥次喜多道中記」。どちらも大好きな映画だ。  正月特番で作られた1時間映画だが、みんな「演じている」という堅苦しさが無い。量産性・劇団のような俳優陣の共通は何百回と稽古を積み上げた迫力を味わえる。みんな活き活きとした表情で元気に歌いあっている。当たり前だがみんな歌が絶品。ディック峰、志村喬と歌も演技も最高の面々が揃っている。  ストーリーそのものは典型的な時代劇だが、殿様見物、微妙な三角関係、価値観の崩壊(骨董収集がガラクタの山と化す志村喬)、金か愛か、ラストの踊る様な立ち回りなど見所が多い。  特に終盤の殺陣は面白い。無駄なチャンバラはせず、身のこなしだけで刀を避け敵を投げ飛ばす。  死人が出ない喜劇タッチの面白さ。  でもちょっとは斬り込めよディックさん・・・(笑) その辺ひっくるめて誠に愛らしい存在です。  ラストの展開は多少強引かなと思ったが、エンディングのカーテンコールの見事さに唸りっぱなし。   俺にとって作品の面白さに時代は関係ないんだな・・・という事を痛感させられた映画の一つです。
[DVD(邦画)] 10点(2013-12-29 14:52:41)(良:2票)
4.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
白黒による撮影がクライマックスのパートカラーを際立たせる傑作。  「気をつけー!」の掛け声とともに軍艦マーチと共に日章旗を掲げた行進、そして「鬼子来了(鬼が来た)」の題名!この軍艦マーチは幾度も劇中で繰り返される。  一体どんなクソ反日映画がはじまるのか、どうボロクソに言ってやろうかと最低な好奇心で胸を躍らせたが(スイマセン私はそういうクソ野郎なのです)、その期待を見事に裏切ってくれた。   長い坂道を下っていく日本軍、その様子を見に子供たちが集まる。子供たちと交流する軍人。彼らは毎朝のように来るらしい。  闇夜、密室、蠢く脚と喘ぎ声が情事を物語る。急な来客に妻を隠す。日本軍に怯える恐怖を表す。 戸を開けた途端に眉間に拳銃を突きつけられ、ある“依頼”と共にズタ袋を置いていかれる。障子を突き破る日本刀の切っ先で念を押して。  集まって相談する村人たち。ズタ袋から出てきた男の口から出る驚愕の一言、布で遮られる表情、罵詈雑言をわめき死を望む者、違う訳を言って生を望む者の対比。違う訳を教えるやり取りが笑える。同じ日本語でも嘘をいいまくるwww 村の住人役の監督(チアン・ウェン)もそれをニヤニヤしながら見つめる。  前半はコメディ映画のような微笑ましい雰囲気が、やがて地獄のような凍りつくやり取りに変わる。ドアの開け閉めだけでもドキドキする。このドアにおける緊張は幾度も挿入される。 他人の叫びを拒むような演奏、暴れるので拘束されて介抱される、雪が降り始める外、防寒着でぐるぐる巻きに。怖がりながらもちゃんと世話をしてくれる優しさに男は打ちのめされていく。 死を覚悟した男に生きる勇気はなかったのだ。 武装して現地住民に襲われる幻。悪夢ではなく願望として。  兵士二人の鶏肉をめぐる会話、黒い影、銃剣で地面にサークルを描き動かないように言う。日本兵がいる事を気づかれないように振る舞うスリル、鶏の首にかけられたもの、子供も油断できない。   サーチライトが照らす中を進む緊張、ズタ袋に拘束されながら穴を開け、細い筒で水を飲ませる。 しかしよく泣く男だ。死にたがりは時間の経過とともに思考も変わっていく。彼らの反応が訳は嘘じゃないという事を物語る。  本部でのやり取りもピリピリとした緊張が。うだるような暑さでも規律によって己を戒める軍隊、存在そのものが中国に凸な隊長、そしてロバあああああああ貴様ああああああっ!  メンツ、プライド、面目、話をまともに聞く気もない上層部、“契約”電話。 この隊長が本当に策士と言いますか、確かに約束は守るクソ上司です。「どうせ○○○んだし、殺るだけ殺っとくか」というキレ者。日本刀の柄を首筋にあててのしごきも凄い迫力。「生きて帰ってきてんじゃねえよボケナスッ!」という感じでボッボコにしてます。怖ー。 ニコニコ顔で毎朝巡回してた軍楽隊も豹変するんだから怖い怖い。みんなクソ上司に「殺されたくない」という恐怖で動かされるのである。  賑やかな歓迎パーティー、穏やかな交流、どんちゃん騒ぎがある一言で凍りつく。村人の態度に苦悶の表情、徐々に不穏な空気へと変わり、壮絶な血祭と化してしまう。淡々と演奏を続ける楽隊が怖い。  駆け抜ける火、火、火、戦いの終わりを告げる遅すぎた放送・・・復讐、土砂降りの雨、痘痕だらけの面、最後の一撃とともに色づくフィルム・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:47:06)(良:1票)
5.  女狙撃兵マリュートカ 《ネタバレ》 
チュフライの傑作の一つ。 「誓いの休暇」も冒頭から“狙撃”でキッカケを掴む映画だったが、本作は狙撃に始まり狙撃に終わる。 波がうねる海原、海から砂漠に場面は移る。まるで猛吹雪の雪山のように白い砂漠を歩き続ける。砂の斜面、敵影を見つけてを迎撃態勢、走り去ろうとする敵兵を次々と狙撃していく。 兵士としての厳しい表情、彼女の呼びかけとともに指揮官が起き上がり、寝ていたい兵士たちが駆けだす!神に祈りを捧げ、遠くを進む黒い影を追跡する。指揮官はモーゼル拳銃をサーベルのように振り回して部隊を引っ張る。 駱駝は移動手段であり盾となる、長距離での撃ち合い、銃は降伏の旗や墓標・助けを呼ぶための合図。戦利品となる駱駝や情報。  たき火、夢の中に見る故郷の思い出、仲間の死、指揮官の思いやり、捕虜を連れながらの厳しい行軍、熱風が吹きすさぶ中で倒れていく兵士たち、銃を打ち捨て嘆く者も出てくる。 そんな彼らを祝福するように拡がる海原!兵士たちの表情に安堵が。 「アラビアのロレンス」が砂の海原を突き進んだ末に本物の海に辿り着いたように(映画としてはコチラが先か)。 砂漠の民に出迎えられての宴会。捕虜も一緒に宴会を楽しみ、束縛の縄を見て「ああそうだったね」という顔をするのが面白い。戦争の厳しさを忘れられる安らぎ。  会話を重ねる内に捕虜と良い雰囲気になっていく彼女、手紙、裁縫。手紙を高らかに読んでその声で目が覚めそうになる仲間、それをみて声を小さくするやり取りが微笑ましい。  浜辺で見つける船、嵐、砂漠にはなかった雨風の嵐の恐怖、無人島に二人っきりで泣き叫び弱音を見せる彼女、無人の小屋、一枚一枚服を恥ずかしそうに脱ぐ様子。味方ならともかく、相手は敵だ。 女の表情、濡れてとかれた髪、彼女の背中と投げ出された脚がエロい。荒々しくうねる海原、看病を通してどんどんデレていくマリュートカが可愛い。 彼女たちが世話になった集落にも拡がる戦火、炎のゆらめきが海の煌めきに、男の語りを彼女は黙って聞き入る。浜辺でキャッキャッウフフ。  そして訪れる最後の“狙撃”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 15:44:39)
6.  王立宇宙軍 オネアミスの翼 《ネタバレ》 
この映画は庵野の作品で最も退屈であり、最もワクワク興奮する最高のアニメの一つだ。 自暴自棄になり女の子を襲いそうになる主人公、だが女はそんな男を許し、新しい道を示してしまう。  主人公は宇宙に自分の道を見つける。あのロケットを空にぶち上げる瞬間を待ちわびる時の興奮!淡々とした言葉と空気が緊張を盛り上げ、凄まじい噴射煙がもうもうと画面を包み込み、ロケットが天高く空に上がっていく瞬間!!製作サイドと劇中ストーリーのシンクロが、そのまま作品の凄味になっているんだ。 森本レオも声を演じるという意味では“素人”同然。ナレーションに反して、シロツグの口調は不安が混じったような声だった。 その瞬間までをメチャクチャ盛り上げる坂本龍一の音楽よ!  この作品を見た後に、庵野の大阪芸術大学時代の創作の数々も見て欲しい。アマチュアとは一体・・・あんたすげえよ庵野。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-26 22:14:23)
7.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
SFアクション好きはとにかく見ろ! そんでもってトム・クルーズ好きは見たほうが良い。 ダグ・リーマンは「ボーン・アイデンティティー」で好きな監督だけど、今回も面白かった。 日本の原作がハリウッドで映画化と聞いて「ま た ハ リ ウ ッ ド か」とネタ半分に見ようと思った一ヶ月くらい前。(小畑健の漫画で桜坂洋&安倍吉俊の「All You Need Is Kill」知りました) ・・・そう思っていたら何と「ボーン・アイデンティティー」のリーマン監督じゃありませんか! そしてトム・クルーズ。こりゃあ見るしかないじゃない!向こうで“ケイジ”だとニコラス・ケイジくらいか?  この人本当に50のオッサン?アクション凄すぎバロス。この人の存在自体が一種のギャグ。 いや、キャスティングは良いと思うぜ。というより、髪型が良い! ヒロインも髪結んでて、激しい戦闘で「バサアッ」て感じだろ? very good. 俺は原作の「軍人のクセに髪多いんだよ 前髪邪魔だろうが」って部分だけ気に入らなかったから。(スイマセンね根性捻じ曲がってて)  タイムリープものは小説だと「愚者の渡しの防御」とか「時をかける少女」、 映画だと「素晴らしき哉、人生!(リプレイ)」とか「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「恋はデジャ・ブ」と色々あったね。  「清水港代参夢道中(續清水港)」とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はタイムスリップで少し違うかな。   それと原題「Edge of Tomorrow」なのね。   ま ぎ ら わ し い 。   ストーリーはオリジナルの部分も多いけど、わりかし原作に沿ってる。 その分原作を読んだ人はサクサク楽しめるし、未読でも原作を読みたくなるくらい面白かった。 つうかヒロイン殺りすぎ(色んな意味で)。  シリアスとギャグのバランスも良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:36:16)
8.   《ネタバレ》 
俺は「二十四の瞳」といった辛気臭い話よりも、「風前の灯」みたいなブラックコメディ、この作品みたいに初期の方が惹かれる。  ロードムービーのような流れで男女の恋愛と亀裂を描いていく映画。  登場人物はたった二人。  あてもなく流離う二人の間に生じる関係。  直接的な描写はせずに、女の表情と少し乱れた服だけで「情事」を感じさせるこの演出の見事さ。  たった1時間ちょっと、限られた登場人物でここまで戦後の洞察について話を膨らませられるとは・・・ラストの火事のシーンも凄い。  実験的な要素たっぷりの作品だった。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 18:35:15)
9.  OK牧場の決斗 《ネタバレ》 
スタージェスの西部劇は「日本人の勲章」がベストだが、この作品も俺にとっては充分傑作。  ジョン・フォードが「荒野の決闘」を産んで数十年。 ジョン・スタージェスは史実に基づいて「OK牧場の闘い」を描ききった。 フォードの「荒野の決闘」は人間ドラマが醍醐味であり、全体のテンポやガンファイトは今見るとそれほどピンと来るものではない。 何処までも「静」。 史実と大きく違う描写も多く、ドラマとして強調するための脚色が目立った(アープが髭でドクが髭無しってどういう事なの)。 途中「静」から「動」に移ろうとする場面もあったが、やはりフォードらしい西部開拓民への詩情を唄った物語を貫いた。  本作は「動」にこだわった粋な作りが魅力。 冒頭から「OK牧場の闘い」を唄ったネタバレすぎるリズミカルなオープニングが流れるが、ワイアット・アープを知っている者ならば既知の「常識」であり、ネタバレには成らないだろう(その人限定だけど)。 人間ドラマも途中から掘り下げが進み見応えがある(アープ兄弟の影の薄さは「荒野の決闘」の方がまだ掘り下げがあった)。 ワイアット・アープ演じるバート・ランカスターの職人気質、ドク・ホリデイ演じるカーク・ダグラスの男気がよく描かれており、二人の演技も素晴らしい。 恋人と静かに余生を過ごしたい・・・だが仲間や兄弟の危機を見捨てられない。 保安官としての義務、兄弟としての愛情・・・その葛藤。 ドクも酒に酔っても心までは酔わない。世話になった男の為なら命も賭けられる。  そして何といってもガンファイト。 ジョン・スタージェスは人間ドラマで盛り上げガンファイトで爆発させるのが巧い。 「荒野の七人」「墓石と決闘」「大脱走」は言うまでも無い。 ナイフ、銃撃、決闘! 動いて動きまくる撃ち合い! 全てが終わり、静かに別れを交わす二人の姿が印象的。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 19:04:35)
10.  黄金(1948) 《ネタバレ》 
「グリード」を彷彿とさせるジョン・ヒューストンの初期&総合的な最高傑作の一つ。  序盤20分間の「下地」を終えてからの盛り上がりよう、ストーリーの巧さは惹き込まれる。 列車からの銃撃戦、山賊との攻防、味方同士で殺し合う人間不信と疑心暗鬼にかられる人間模様。  ハンフリー・ボガートが欲望に囚われていく男を演じた点が面白い。「カサブランカ」なんてキザッたらしく臭いメロドラマよりも遥かに惹かれる。 ボガートはワイルドな方がカッコイイし余計に魅力的だ。  ジョン・ヒューストンの実父でもある名優ウォルター・ヒューストンの演技も見所。裏主人公とも言える爺さんだ。   物語はメキシコ革命直後のメキシコ。 地方では山賊がはびこり、その山賊を一掃しようと武装した連邦警察が日夜活動していた。 そんな中で「山師」を生業とする主人公3人。 貧乏続きで金を恵んでもらって日々を暮らしいたダブズ、ダブズの貧乏仲間のカーティン、喰えない爺さんハワードは山奥に眠る「黄金」を求めて旅に出る。 一攫千金で楽をしたい願い、欲望が男たちの心を壊していく。 泥にまみれ、飯をくらい、邪に土を掘り続ける男たちの力強さ。 その落盤が崩れる瞬間、それが彼らの別れ道となる。 そのシーンでかかる「あざとい」BGMが、より一層彼らの行く末を皮肉っているのだ。 山賊に追われ明日も知れぬ身で、金を全て横取りしようと企む男、 純粋に仲間のために「黄金」を求め、裏切られながらも金よりも大切な事に気づく男、 金よりも大切な「絆」を手に入れた男、それぞれの顛末の凄まじさ。 そして風と共に消えていく野望の夢の跡・・・人間の心に迫った冒険西部劇。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 18:53:13)
11.  おくりびと 《ネタバレ》 
死者を送りだす「生きる」人々 緩やかな、何処までも緩やかな映画。 にも関わらず、これほど人の神経を逆なで、魂を揺さぶる“あぶない”映画もないだろう。私はそういうあえて危険な道を行くこういう映画が大好きなのです。  霧、道を走ってくる車、喪服を着た男のセリフ、雪原。 葬式、仏の顔を覆う布をとり、手を合わせ、顔をなでて表情を整え、固く結ばれた両手を指の一本一本ほぐし、再び布団をかぶせ、衣服を下から抜き去り仏に被せる。  漆黒の喪服ですら、死者を優しく送るように何処か明るみを帯びている。撮影は「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」や「女優霊」でも知られる浜田毅。 滝田洋二とは「病院へ行こう」や「壬生義士伝」でも組んだコンビだ。  布の下に手をやり、体を清める。そして雰囲気をブチこわす本木の一言の破壊力。 師匠も“勲章”を確認。  音楽で食っていた男が、死者のためにレクイエムを奏でる存在になる。妻のために嫌々やっていた“作業”が、誇れる“仕事”になる瞬間。  葬式のPVで死んだフリ入門。  死への接近、冷え切った肉体への接触、対面した人間にしか解らない匂い、それを周りの人間の噂話で理解し、銭湯で生きている実感を、嫁に抱き着き服をまさぐる事で生きる喜びを味わう。温もりと呼吸。死んだら嘔吐も抱き合う事もできない。 社長もまた派手な咀嚼音で生きる瞬間を噛み締めている(と思いたい。つうかちょっとは自重しろよ社長)。  父を恨んでさえいた男が、同業者の“無自覚さ”によって怒る。いなくなって初めて解る存在の大きさ、拳に握られていた物の大きさ、流れる涙。 妻もまた、最後まで「生きた人間」として死者を送り続ける夫の仕事を見届ける。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-15 23:19:56)
12.  折鶴お千 《ネタバレ》 
溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。 ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。 まずファースト・シーン。 機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。 その駅から神社を見つめる一人の男。 一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。 その女性もじーっと同じ神社を眺めている。 実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。 そこから主人公の目を通して過去が語られていく。 山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。 男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。 そこに走り込んできた一人の女。 これがこの二人の出会いだ。 女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。 男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。 エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。 その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。 口に刃物を添えるところは色っぽいね。 まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。 ただそこは溝口。 簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。 いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。 小津とは違うパターンの天才。 女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。 ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。 その山田五十鈴が良いねえ。 折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。 ただ運命は彼女を追い詰める。 そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。 いい女だなぁ・・・。 それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。 我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。 まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。 まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。 そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)! 溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。 溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。 泉鏡花あああっ
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)
13.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
ボニー&クライド物はフリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」の方が粋で好きなのだが、アーサー・ペンのこの作品も大好きだ。 街でバッタリ会ったボニーとクライドが次から次へと銀行を襲っては逃げ、そして滅んでいく様を描く。 実際に起きた連続強盗事件を元に描くが、前科のあるクライドはカタギでやっていくには辛い身の上であり、何よりも銃を片手に強盗に興じる日々に充実感を得ていた。 そんな時に出会ったボニー。 彼女は退屈な毎日から抜けるため、クライドの危険な日々に惹かれてしまう。 ボニーはホームシックになりながらもクライドを愛し、クライドもそんなボニーを元気づけながら硬い絆を結んでいく。 後半から登場する運転手のC・W・モス、クラウドの兄貴バック、兄貴のヒステリーな妻ブランチ。デコボコな3人が加わり益々騒がしくなる面々。 同時に滅びの足音も静かに聞こえて来る。 直接的な性描写をせずに、キスと事後の所作だけを描いた点が良い。 匂わせるだけで二人が互いを受け入れた事がよく解るのが凄い。 ボニー&クライド一味はワイルドバンチ強盗団の如き八面六臂の大暴れ。 何処に行ってもトラブル続きの毎日。 死を覚悟するような日も稀になってくる。 俺たちは何処で何を間違えたのか。 俺たちに明日はあるのか、ないのか。 ボニーの母親たちとの別れ。もう二度と会えないとも知らずに・・・。 ラストは強烈な光景だが、妙な静けさが画面を包んでいく。 因果応報な幕引きではあるが、世の中に縛られずに好き勝手に生き、好き勝手に死んでいった者たちの無言の哀しさが伝わって来る。 罪を犯してきた二人は、真っ赤なリンゴに祈りをささげる。 一つのリンゴを互いにかじり「あの世に行っても結ばれような」という願掛けか。 車に残ったボニー、外に降りてしまったクライド。 史実では二人っきりで車ごと、映画で離れた瞬間に二人の運命は決してしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-27 21:33:20)(良:2票)
14.  思ひ出 《ネタバレ》 
サイレント時代のエルンスト・ルビッチ最高傑作を1つ選ぶとするなら、俺はこの作品を選ぶだろう。 ドイツ時代に磨かれたエレガンスな雰囲気とエロティックなやり取り、そしてメロドラマの切なさ・・・。 この映画はルビッチらしい洗練された美しさを味わえる作品の一つだ。  主人公のハインリッヒ王子の成長を美しい“想い出”と共に語る悲しき恋の物語。 乳母に育てられた王子。 彼の理解者であるユットナーは、幼い王子の遊び相手でもあった。  成長した王子は同級生、そして想いを寄せる女性たちに出会う。 そのシーンが本当に素晴らしい場面ばかりでさあ。 例えば、握手を求められるシーンでどんどん弾き出されるユットナーの様子がコミカルに描かれるし、  女性が一生懸命話しているのにソッポを向く王子のやり取りも面白い。 「あたしの膝の上に乗って」とばかりにベッドに誘ったりする彼女の姿をシカトするシーンに笑う。 そこに睨みを利かす守衛とか色んな人間が絡んだりしてさ。 ドアを開けたらその守衛みたいなオッサンが居たりして思わずクスとなってしまった。  王子がパーティーに参加する場面でも、彼女が一気飲みするならこっちもイッキに・・・に飲めないのでチビリチビリと飲んでいく。   王子の幼少時代の場面も良いんですよ。 将軍に向って一斉に「乾杯!」するシーン、一斉に帽子を脱ぐシーン。 ドラムロールと人の脚が重なる演出、幼いハインリッヒ王子が大砲の音にビックリして電車の中に戻るシーンがカワイイ。 ユットナーと結ぶ絆も深い。  青春時代のコメディタッチが、その後に待ち受ける王子の運命、それに向き合う悲しき王子の姿をより際立たせる。 掛け替えの無い友人たちよりも、一国の王の跡取りとして友人たちへの想いを断ち切らねばならない哀しみ。  だが、王としての孤独を癒すのは、一瞬でも彼の心を満たしてくれた想い出なのです。 皆さんも若いうちに良い友達に会える事を祈ります。友人て良いもんですよ、本当。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:49:12)
15.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
これぞ、役者がそこにいるだけで絵になる魂が躍るような映画だ。  加藤泰の、そして俳優としての伊丹十三の「偽大学生」「家族ゲーム」「草迷宮」に並ぶ最高傑作。  戦後の闇市における日本人と朝鮮人の対立を正面から描いた極太の作品。  左頬に刻まれた疵。安藤昇の存在感は黙っていても映える。 一方の伊丹も言葉という極太の“刃”を持って社会に切り込もうとしている。  静と動の鮮やかな対比、そして「何故みんなは黙っていられるだ。誰も動かんなら、俺がやってやらあっ」とタブーにズカズカ踏み込む勇気と危うさ。  それは映画を愛するが故に「誰も撮らんなら、俺が撮ってやらあ」と数々の傑作や問題作を残して謎の死を遂げた十三の未来を暗示するようでゾッとしてしまう。  劇中では戦場の辛い記憶や戦後の混乱、愛する女のための行動などが彼を死に急がせる。 クライマックスにおける怒涛の展開も彼の生き様を物語るようだ。  父親の伊丹万作も、その友人の山中貞雄も志半ばで早逝してしまった。 天は何故素晴らしい人間から命を奪っていくのだろう。 これが神の仕業とでもいうなら、神なんてクソ喰らえだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-23 18:09:34)
16.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 
古沢良太の佐藤祐市と組んだ「キサラギ」は両手で中指凸立てるほどうんざりするような映画だったが、山崎貴と組んだこの映画は凄く良い映画だと思う。  古沢良太、俺が悪かった。「キサラギ」散々disってゴメンよ。   この映画は西岸良平の「三丁目の夕日」を原作とするとてもノスタルジックな作品だ。本当に映画を見たなあって気分になったよ。  CGで再現されたとは思えない、実写のような雰囲気を持った下町(続編でゴジラが出た時は「この監督は馬鹿なのか」と良い意味で思ったけど) それもその筈、三丁目の住宅はセットで、各地から「当時の匂いを残す」物が掻き集められた家だ。  子供の頃から「こち亀」とか「オトナ帝国の逆襲」といったいわゆる“古き良き”と色褪せない懐かしさの共存したような作品を見てから自分には、物珍しさをそう感じなかった。 でも、茶川と淳之介が時間をかけて家族の絆を深めていくシーンはベタだけど良いなと思った。  高度経済成長といっても人々はまだ戦争の傷をかかえて生きているし、その悲劇を繰り返さないために平和な時代を一生懸命に生きていた。  金は無くても、心は豊か。 確かに過去を美化しすぎているのかも知れないけど、この映画がCGという“幻想”を使うように、今を生きる人間が過去への“憧れ”をこの映画に投影しているのでは無いだろうか。  光ばかりで闇の部分は少ない。 だが、現に「戦争なんか二度とゴメンだ」というメッセージだけは本当だと思う。闇を語るのはそれだけでいい、もううんざりだ・・・そういう映画が一つくらいあっても良いんじゃないかな。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-07 21:35:22)(良:1票)
17.  婦系図(1942) 《ネタバレ》 
「婦系圖(婦系図)」。フィルムセンターで鑑賞。 マキノ正博(雅弘)の失われたメロドラマの傑作「白蘭の饗宴」。それに続くとされる恋愛映画の逸品。 文芸映画でセリフもやたら多いが、流石マキノの演出は退屈させてくれず総集編でもところどころの演出に恐れ入る。とにかく男と女の情景の凄味!そして謎のスパイ映画要素。 古川碌波と長谷川一夫の共演は「家光と彦左」も面白かった。  夜空の花火、祭りのにぎわい、響く花火の音、料理屋。 劇中で繰り返される火のイメージ。線香花火、煙草の火。  冒頭の軽快な会話、祭りの席で話す髭面の精悍な男。 男どもにからまれる女、腕を少し捻っただけで「あ痛い!」と本音がポロリ、荒々しさを見せる女の知り合いらしき。 一度は受け取るが、知り合いから慰めの金はいらない、自分で奪ってやる!と走り出す。  祭りでにぎわう町、仲間がリキに標的を教え、ゆっくりと近づき、「とん」、とぶつかり「気をつけろい!」と去ろうとしたら腕を掴んで捕縛。すった手をそのまま差し出させて「払っとけ」。男は一瞬解放されたようで、でっちの小僧さんと勘違いされて逃げるに逃げられないのだ。   植木を持ってきた駄賃の“お礼”に、逃げ場を失った男をあえて弟子にしてしまう、荒んだ心を優しく迎え入れてしまう、財布じゃなくて味噌でもすれとススメてしまう豪快さ。 奥さんは普通の客だと思って優しく御持て成し、男の告白、窓の手すりを掴んで煮るなり焼くなり好きにしやがれという諦めの態度。 事情が判明しても夫が連れてきた男なら大丈夫だろうと飯をススめる。飯を受け取り承知。  しかしところどころセリフのやり取りが面白い 「やい、殴るぞ」「逃げるわよ」の返し、5年前の出来事をまるで赤の他人のように語るやり取り、「未来で会え 未来で会ったら一生懸命縋り付いて離れるな 俺のような邪魔者に入られないように用心しろ」等々。  いつの間にか5年、料亭での思わぬ再会、襖で顔を隠す演出、手を掴んでうなだれ男泣き?する二人。 電灯を消した中で燃え尽きる線香花火の儚き一瞬の輝き、部屋に散乱したゴミが仕事の長さを物語る。  てい(鯛)の差し入れ、髪をリボンで結んだ女、結婚を隠さなければならない苦しみ、湯気の出る風呂場が物語る伏線。これらを盛り上げるであろうシーンがいくつかカットされていて飛び飛びなのが惜しい。 綺麗になった部屋、風呂をわかしていたのは・・・「もういい」。 散らかしておく方も悪いし、勝手に捨ててしまうのも悪い。昨日燃やして見せてくれた線香花火の印象の方が強い彼女。  奥さんがこしらえた座布団、弟分だった男にかつての自分を見て思わず殴ってしまう。 新しいタンスと茶碗、月夜、花が咲き誇る木々、散歩道での“おねだり”、蕎麦屋で食べる最初で最後の外食。この蕎麦屋は再び別れの前に過ごす場所として登場する。 黙って聞いていた男が「ぬうっ」と出てくる後姿よ・・・!  別れの列車、人込みを掻き分けて追うショットが繰り返される事でスピード感を出す。  後半42分の追い込み。 いつも芸者にうつつを抜かす男に酔って一言言いに行く男気、黙ってそれを聞き続ける男の真意とは。 髪結い、忘れられない男の花火を胸元に、闇夜につける線香花火、鏡に見る表情への反応が何とも言えない、それを見て髪結いを手伝う“母親”の表情、無意識の親孝行。  あの椅子に座って別れた日と男を思いだしもがき苦しむ、空風が悲しげに吹きすさぶ演出が凄い。  会話だけで語られ迫りくる病はちょっと違和感。倒れる描写もないし、なんかまだ元気に見えるんだよなあ。弱々しい声で喋るシーンは凄かったけどさ。  「行ってやれよ!」と叫びたくなるラスト。ふと聞こえてくる女の声、男の後ろでつぶやく幻、振り返ってももう・・・室内の電気も消える、かつて花を一緒に見た散歩道・・・。
[映画館(邦画)] 9点(2014-06-14 21:58:03)
18.  オープニング・ナイト 《ネタバレ》 
「ラヴ・ストリームス」に並ぶジョン・カサヴェテス最高傑作の一つであり、ジーナ・ローランズが募らせたイライラを爆発させていくクレイジーさ・・・さながらカサヴェテス流「ガラスの仮面」ともいうべきバック・ステージ物の傑作! 「フェイシズ」や「こわれゆく女」がより鋭利な切れ味を持ったかのような作品だ。  この映画もまた、ジーナとカサヴェテスが愛を求めがならも劇中では苛立ちをぶつけまくり、舞台の上でも平手打ちといった場面が演技か本気でブチ切れているのか掴みかねるシーンが多い。 そもそも、映画というか劇そのものが演技か本気か観客を惑わす装置でもあるのだが。映画の中で進行される劇中劇は、さらに観客を惑わすために行われる。 ドアにサングラスを顔ごと打ちつけて片方を割った?シーンも、老いの恐怖に苛まれる女と若くのし上ろうとする女たちによる殴り合いも。 女は現実の自分と、そして輝きに満ちていた若き日の自分との、己との戦いにとことん疲れ果てる。そこから夫との愛を通じ過去と決別していく過程が素晴らしい。 カサヴェテスは、そうやってどんな監督よりも観客を散々惑わし、魅了してくれる人間なのだろう。  それにしても、カサヴェテス映画のジーナはどうして人が車に轢かれたり(「ラヴ・ストリームス」&「オープニング・ナイト」)車を吹き飛ばす(「グロリア」)光景ばかり目撃するのだろうか。  それをカサヴェテスの大ファンであるペドロ・アルモドバルが「オール・アバウト・マイ・マザー」でオマージュまで捧げてしまうのだから、よっぽどの事なんだろうねえ。  ダーレン・アロノフスキーの「ブラック・スワン」までこの映画を思い出させるではないかっ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:40:54)
19.  女相続人 《ネタバレ》 
日本では「ローマの休日」以前のワイラーはちょっと過小評価気味なのが解せないが、まあ日本人には少々ドギツイものがあるのかもな。俺はこういうのに逆にそそられてしまうのだけど。 「偽りの花園」と並んで最も女が怖いワイラー作品じゃないかと思う。 ワイラーの「ローマの休日」以前のドロドロとしたメロドラマは、思わずギョッとしてしまう作品が多い。 この映画も一見ヒロインが愚かなようで、実は男のダメっ振りがまざまざと刻まれた作品の一つだ。  この映画のオリヴィア・デ・ハヴィランドは「風と共に去りぬ」で良い人のままであり続けた彼女よりも魅力的に思えた。 何せ「ガス燈」のイングリッド・バーグマンがごとく今まで散々騙してきた男に復讐を実行していく過程には背筋がゾクゾクしてしまう。 男は自分の言いなりになる女のままだと思い込むが、当の本人はどんどん変わり復讐の刃をこさえて待ち構えている状況なのだから。それで本当に面白いのは、そのこさえた刃で思いきり痛めつけてやるのではなく、あえてトドメを刺さずに放置プレイでジワジワ精神的苦痛を与える戦法!さっさと楽にしてしまっては面白くない。人間嫌な事は楽しい事よりも長く感じる。それが苦痛なら尚更。生き地獄によってなぶられるのはどれほどキツいだろうか。 それを物語る、ドアの前で叫び続けるモンゴメリー・クリフトの姿が忘れられない。 彼女は、そんな姿を脳裏に描きながら家中の電気を消して過去の男の記憶も消し去っていく。  「嵐が丘」を見た人ならご存知だと思うが、あの映画でかつて愛し合った男女の関係を冷ややかに表したのがピアノの演奏だった。この映画では、女を誘惑する手段としても効果を発揮する。 父親はそれに気付き娘に警告をするが、娘は男がかけた目先の優しさに“惑わされて”骨抜き状態。そんな自分の情けなさ、怒り、父親への申し訳なさ。それが終盤の容赦の無い彼女の力になっていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 06:54:36)(良:1票)
20.  オペラハット 《ネタバレ》 
財産を相続したクーパーは世間ではドラ息子、本当は誰よりも正直者で優しい男。  本当の彼を知るのは、皮肉にも他人の秘密を暴き立てて生計を立てる新聞記者のジーン・アーサーのみ。  クーパーとアーサーは金ではなく、心からの信頼で固く結ばれる。 疑い深い新聞記者がだ。  「スミス都に行く」のジェームズ・スチュアートもそうだが、フランク・キャプラは最後の最後まで人を信じようと努力し続ける映画を撮り続けた。そんなキャプラの暖かさが滲み出た作品の一つ。とにかくクーパーファンは見て損無し。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-08 02:01:23)
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