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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  ヒックとドラゴン
満点!
[映画館(吹替)] 10点(2010-08-13 14:09:38)(良:1票)
2.  127時間 《ネタバレ》 
主人公があの場を去る際に、一瞬振り返って「thank you」という言葉を口にする。そこに残した身体の一部に対して言ったようにも聞こえるが、私はその数日間に起こった出来事すべてに対しての感慨だと感じました。卒業式を終えて校門を出る際に、校舎を振り返って覚える感慨に似ている。実話がベースになっているようですが、自分の腕を切り離した直後に本当に「thank you」と言えたのかどうかは分かりません。でも、その気持ちは分かる。彼が過ごした葛藤の時間があまりに濃密だから。死の恐怖に直面しながら自己との対話を続けることで明らかになる自分自身。彼の人生の中で、最も切迫して、最も正直に、最も真摯に自身と向き合った時間だったと思います。だから、あの脱出は単純な生還とは違った意味を持つ。ひとつの出来事が価値観や人生観を変える。その究極版が本作だと思います。身動きできない状況の描写の中で、手を変え品を変えて演出される主人公の心象描写が素晴らしい。ダニー・ボイルさん、見直しましたね。私の中では彼の最高作です。でも、本作が私の人生の益になったかと訊かれるとちょっと違う。徹底した一人称視点のストーリーには痛みや渇きを感じるほどに共感するが、仮に自分があの状況に陥ったら違う感慨を持つと思うから。また、あの事故が結果的に彼を良い方向へ導いたとしても、自分で経験したいとはこれっぽっちも思わないから。私だったらどのように決断するかも考えたくない。考えるだけで痛い。そういう意味で、実はSF映画ほど距離のある映画。その距離感と感情移入のギャップが異彩を放つ作品でした。
[映画館(字幕)] 9点(2011-07-12 21:37:25)(良:2票)
3.  ヒート 《ネタバレ》 
お互いの面が割れたという開き直りもあったのだろう。いきなりデ・ニーロの車を止めカフェへ誘うアル・パチーノの大胆さに驚いた。そして、その会談は見応えがあった。銃を向け合うのは犯罪の現場だけ。そんな協定でもあるかのように、彼らはお互いの仕事観を語り合う。嘘は言わない。そして、歩み寄る接点が無いことが分かる。でも、そんなことは、最初から分かっていたことだ。実質的には、それを確認しあっただけだ。だた、この会談には大きなプラスアルファがあった。彼らはお互いを観察し、理解した。追う側と追われる側に分かれているが、その本質は同じである。さらに、同じ資質を持つが故に、それぞれが抱える苦悩まで共有したように感じられた。危ない橋を渡り続けるために、身近に人を寄せ付けなかったデ・ニーロ。何度も結婚しているが、毎回同じ理由で家庭を壊してきたアル・パチーノ。デ・ニーロが言った喩えを借りるなら、これも同じコインの表裏だ。この会談の別れ際、二人は、まばたきしたら見逃すくらいの微妙な笑顔を見せる。そこに多くの言葉を重ねるよりも深いコミュニケーションを見た。話は平行線だったけど、お前のことは分かった、という哀しい合図。それは、エンディングでアル・パチーノがデ・ニーロの手を取るシーンへダイレクトに繋がって行く。名優と言われる二人の貫禄が、徹底したプロの男たちの世界を見せてくれる。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-09-29 01:22:41)(良:2票)
4.  評決 《ネタバレ》 
法廷劇としての爽快さはありません。主人公はダメな弁護士と言っても良いくらいで、実質的には負けています。評決が勝訴になったのは、証拠として採用されなかった証人の言葉を陪審員たちが受け入れたからでしょう。ラッキーな結果ですが、最終弁論で陪審の「良心」に訴えた主人公の「気持ち」が功を奏したとも言える。本作を見る限り「正義」の行使は単純では無く、社会派と言われる監督の作品らしい見応えを残します。 見どころは主人公の演技です。アル中弁護士が楽勝と思われた裁判で地獄を見るような目に遭います。思い通りに事が運ばないもどかしさや、ギリギリのところで踏みとどまる執念が鑑賞側の緊張感を保ちます。焦り、気負い、苛立ち、後悔、と云った喜怒哀楽からは外れた微妙な感情が渋い演技の中に封じ込められて表現される。彼は「ハスラー2」で初めてオスカーを手にする訳ですが、個人的には本作がベストパフォーマンスです。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-27 01:14:20)(良:2票)
5.  ヒドゥン(1987) 《ネタバレ》 
これはもう、いわゆるB級映画の傑作でしょう。破壊衝動の塊みたいな悪の宇宙生物の性格設定が突き抜けている。あのナメクジに何か賞をあげたいです。ロック好きでカセットテープを堂々と万引き(?)するシーンが笑える。カントリーソングが掛かっているラジカセを、おもむろに叩き壊すのも笑えた。スピード狂で最初のフェラーリを乗り潰し、2台目も行くのか?!、と思ったら流石にそこまでは予算が無かったようです。ストーリーはかなりシンプルだけど、最後まで退屈させずに走りきる。そのシンプルさゆえに、細かいツッコミどころが少ないことが功を奏しているんじゃないかな。宇宙生物の描写にも、それほど手間とお金を掛けているように見えない。それでも充分に見応えがあるのが凄いところだ。現代の映画は、この作品の作り方をもっと参考にすべきですね。シンプルな構造という意味ではスピルバーグの『激突!』とか、最近では『シューテム・アップ』とかが似た感じです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-09-05 03:54:30)
6.  百万円と苦虫女
憲法に移転及び職業選択の自由が定められている。でも、この映画の彼女のように、その自由を最大活用する人は滅多にいない。この映画は、どこへ転居しても同じで逃げないことが大切、なんて説教くさいことを言ってるようで、その反対のことを訴えていると思う。人はもっと、自分が暮らす場所を探求すべきなんだ。家族同居でなければ、ほとんどの人が職場と家賃で住まいを決めるが、彼女の行動は逆。まず、住み始めてから仕事を決め、その土地を住みながら検分する。100万円貯まる頃に面倒なしがらみが生じていたら、あっさり引越し。たぶん、これを繰り返すうちに、100万円貯まっても引っ越したくない土地が現れるという発想だ。暮らしにくければリセット可能。これって、幸せの探求と同義だと思う。だから、他人から苦虫女と思われたって、どんどん引っ越せばいいんだ。人が暮らす場所は、その人にとってどんな必然性を持った場所なのか? そんなことを考えさせてくれる、ちょっと変わったロードムービーでした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-07-04 02:22:43)(良:1票)
7.  白夜行-白い闇の中を歩く- 《ネタバレ》 
それなりに東野圭吾の著作を読んでいますが、ここまでは「白夜行」が最高です。映像化される際の私の興味は、どこまで原作を再現できるかに尽きます。もちろん、私が受けた印象に近いかどうかという意味ですけど、アレンジなんかして欲しくない。 ドラマや邦画版に比べて、本作は原作に近い雰囲気を再現していると思いました。でも、やはり肝心の部分が物足りない。「白夜行」の妙味は、原作で云うところの亮司と雪穂の接触シーンを一切排除して物語が進行するところにあります。そこにサスペンスの醍醐味と、二人の関係の深さと闇が象徴されると思っているのですが、映像制作者はそう思わないようです。ちょっと理解に苦しみます。「白夜行」の映像化は、まだ途上ですね。 本作に関しては、現場刑事のバタ臭さに韓国映画らしい良さを感じました。前言を覆すようですが、自分の息子を現場検証に使って亡くすアレンジも悪くないと思いました。でも、秘書室の女と刑事の死体が養母の自宅庭から発見されることによって、女には疑惑の目が向けられるはずで、そこに綻びを覚えます。原作の学生時代がごっそりカットされている為に、闇の中を歩かねばならない必然が乏しいことも気になりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-24 00:48:59)
8.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
死を身近にしたことで人生のバランスを崩した人たちが、静かに次のステップを踏むまでのストーリーでした。死後の世界はあるのか? それは誰もが一度は抱く疑問。その根底には、亡くした人や自分の死を想う時の不安がある。証明できない限りは正解も無いが、その不安が現実の生き方に影響を及ぼすのも事実。本作は、その興味でストーリーを牽引するが、死後の世界を強引に証明するという類いの作品では無かったです。マット・デイモンの霊能は、他者の苦しみに共感する能力として描かれる。センシティブな感覚の延長であって、他者の人生に割り込んだりしない。本人がその能力を嫌うことは、死後の世界をあたり前に捉えることへの懸念としても機能していると思います。私が本作から感じたものは安心感でした。子供の頃、いつかは自分も死ぬという事実を認識したとき、形容したがい恐怖を覚えた。それが、人生も半ばを過ぎた今では、ある程度は受け入れられる。人は生まれてから死ぬまでの時間を使って、死を受け入れる準備をするのだとも思う。この映画の死後概念はそんな心境への道程を、そっと照らしてくれる印象でした。さらに、死後の世界を、そこに縋るのではなく現実を生きるための認識として捉えることが本作のテーマなのでしょう。ラストシーンでマット・デイモンが手袋を外して握手した心境もそこに通じます。本人が「呪い」と呼ぶ能力でも、スタート地点を共有できる人とは分かち合える。その予感は生きることへの希望でもありました。死や死後を扱いながら、宗教色がなかったことがとても良かったと思います。イーストウッドの語り口は言うに及ばず、彼に監督を依頼したスピルバーグもいい仕事をしました。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-19 19:06:38)
9.  白夜行 《ネタバレ》 
本作を観終えたとき、原作を読み終えたときと同じように心がざわついていた。悪くないと思う。少なくとも、キャラの性格を読み違えていたとしか思えないドラマよりは原作の味わいを享受できる。しかし、どうにも納得できないことがある。映画は原作とは離れて評価されるべきではあるが、私の原作解釈との違いに言及させてください。以下、ネタバレしますのでご注意。言いたいのは、原作を読んで感じた雪穂と亮司の関係に対して本作の解釈が随分と違うこと。原作には描かれない二人のコミュニケーションをモールス信号にしたのは映画なりの工夫だったが、それによって伝えられるのは雪穂が痛めつけたい相手の名前のみ。まるで亮司を犯罪マシーンとして扱うためのアレンジである。その流れのまま亮司は自殺する。犯してきた罪への呵責であろう。とてもわかり易いのだが、少なくとも原作では雪穂が自身の野望のためだけに亮司を利用していたとは思えない。原作には、亮司が雪穂をサポートするための準備を周到に進める描写がある。殺人と強姦だけではなく複雑な内容も含まれる。コミュニケーションの方法は示されないが、二人は密に情報を交換し、二人で計画を練り、二人で実行してきたはずなのである。亮司は事故死するが、事故さえなければその関係が終わるような空気も無かった。被害者の息子と容疑者の娘として表立って接触できない二人の関係を読み解くヒントは雪穂の「私には太陽に代わるものがあった」という言葉だけであるが、それが本作のような関係だったとはどうしても思えない。解りやすい映画にはなったが、個人的にはテーマに連なる最も大切な部分に安直な回答を嵌めたように思える。「太陽に代わるもの」と捕らえていたのは亮司も同じ。明かされないコミュニケーションの中で、目の前にある障害の排除以外に二人が何を話していたのかは想像するしかない。二人はどこかへ行き着くために犯罪を重ねていたと私は思う。二人で太陽の下に出られる場所を捜していたと思いたい。原作には白夜行の行き先を想像させられたが、本作の白夜行には目的地がありません。
[映画館(邦画)] 7点(2011-02-07 21:05:37)(良:2票)
10.  人のセックスを笑うな 《ネタバレ》 
不思議な面白さを持った映画でした。描かれるのは美大生の男女とその美大の女性講師の恋愛模様だけど、ストーリーは無いに等しい。三角関係のドロドロって感じでもない。永作博美演じる講師がユニークな人柄だけど、その生き方がテーマという訳でもない。長まわしのカメラがこの三人の遣り取りを写し続けるが、ほとんどのシーンが次の展開に繋がって行かない。でも、これが不思議と飽きない。ギャラリーでお菓子をつまむシーンや、ストーブに灯油を入れるシーンなんかがその代表で、味があって記憶に残る。演出の主眼が言葉や仕草の日常性の抽出に置かれているってことなのでしょう。鑑賞後に良く考えられていたと気付いたのが画角。アップにしたら被写体の特定部分が強調されて味が薄れるし、離れすぎると見えなくなる。興味を持って、客観的に見える距離感とでも言うのだろうか。そこに神経を使ってました。のぞき見感覚の演出ですね。タイトルは逆説的にのぞかれた方の言葉なのでしょう。主演3人の演技力によるところが大きいのでしょうが、私はその「のぞき」に引き込まれたクチです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-18 13:34:47)(良:1票)
11.  秒速5センチメートル
以前から思っていたことだけど、この映画を観て再確認したのがアニメーションという手法の特殊性。実写に比べて重みや深さで劣ることもあるが、絞ったテーマを「ピュアに抽出」して表現できるという特性を持っている。例えば第一話の雪で列車が遅れるシーンは「焦りと不安感」が切実に表現できていると思うけど、仮に絵がそのまま実写になったらどうだろう? 列車や駅のディテール、他の乗客の表情といった情報まで目に入ってきて、主人公の心情にどこまで肉迫できていたかには疑問符が付きます。不必要と思われる情報を自由に割愛できるからこそ、伝えたいことだけに焦点が絞られて、演出意図を浮き彫りにできる。もちろん、上手く演出された時に生きる特性ですが…。 ストーリー自体はどこにでもあるお話です。成就しなかった初恋は当事者の人生に何らかの痕跡を残し続けるものです。その誰にでもあるお話を、アニメーションならではの「抽出」によって見応えのあるものに昇華した作品だと思います。 個人的にはキャラクターが喜国雅彦氏が描くマンガに似ている気がして、いきなりお下劣な冗談を言い出さないか最後まで不安でした(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-05 03:44:13)
12.  緋牡丹博徒 《ネタバレ》 
5年越しのレビューみたいですねw ストーリーは物凄くステレオタイプでした。約半世紀前の作品なので、そう感じるのは仕方ない。藤純子さんも特に美しいと思わなかったのです。可愛いとか綺麗って感じでは無いですね。ひたすら凛々しい。そんな感想です。私は寺島しのぶさんが苦手でして、彼女の面影が浮かんだことも関係しているかな…。 でも、楽しかったです。この時代の映画は主演を映画スターらしく撮ることに執心していて、そういう姿勢は現代にはありません。なんだか、安心して観られるのです。そんな心地良さがありました。 お竜さんの親の仇のスタンスが深かったです。健さんとお竜さんとの、云わば三角関係です。本作ではヒールですが、健さんやお竜さんより共感しました。フツーの人の弱さです。 それと、健さんのいい加減な応急処置にほっこりしました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-10-26 00:32:28)
13.  ビバリーヒルズ・コップ 《ネタバレ》 
米国内の地域色と格差、管理体制への揶揄、お堅いけれど正義を愛するビバリーヒルズの刑事たち、その刑事たちを煙に巻きながらも彼なりの敬意を払うアクセル、等々。バランス良く纏まった刑事ものだと思います。悪党どもの機密保持体制などに疑問を持つけど、当時はそれくらいの穴は気にならず、却って分かり易いストーリーでした。オープニングの「heat is on」はお気に入りの楽曲ですが、観直すと全体を通してBGMがうるさいく感じられました。それにしても、エディ・マーフィってデビューからこの3作目までで全てを出してしまった感じです。それ以前には無かったキャラなんだけど、飽きるのも早かった。
[映画館(字幕)] 6点(2014-04-02 02:54:04)
14.  人斬り 《ネタバレ》 
岡田以蔵を主人公に、武市半平太、坂本龍馬との三角関係を描いた作品。この3名の話は幕末ものによく登場しますが、私が観たものは、以蔵をナイーブで線が細い人物とした作品が多かった。本作では勝新が豪胆に演じていて新鮮でした。でも、使い捨ての道具のように扱われるあたりはしっかりと演出されています。勝新の演技力にも改めて感心しました。裕次郎とのツーショットは過去に見た記憶が無いので、貴重なのかも知れません。 でも、本作の一番の収穫は初めて見る俳優・三島由紀夫でした。異様な迫力。違和感とも言える存在感です。役者専業で無いことが良い方向へ働いていると思います。薩摩の人斬り・田中新兵衛を演じ、最後は自刃します。嫌でも彼の実際の人生の最期が被ります。彼が切腹したのはこの作品の公開から約1年後。その時、彼の脳裏にはこの映画のロケがよぎったのかも知れません。 私は五社監督を昭和後期の邦画をダメにした張本人と思っていますが、本作は様式への過剰な拘りも見られず楽しめました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-01-07 01:03:21)
15.  秘密(1999) 《ネタバレ》 
心の中は他者からは見えず、そこは基本的に秘密の世界です。ティーンの肉体に40歳の心が宿ったことを世間に隠すときも、見えない心を秘密にします。しかし、世間を欺くために共犯だった夫婦にも、見えない心は秘密の領域として疑心の対象となる。直子が旦那にセックスしようと言ったのは、疑心を取り除くための最終手段だったけど、一線は越えられなかった。その時、直子には藻奈美になりきる選択肢しか残されていなかったのだと思う。この追い込み方は東野圭吾らしく良く練られています。原作は、藻奈美の中身は直子のままなのではないかという疑惑を残して終わりますが、本作はそれを認めてしまった。物語の設定自体を「秘密」としてタイトルに重ねた原作は深い余韻を残したので、本作のアレンジには首を傾げます。あれでは直子がスッキリしたかっただけですね。そんな心理劇とは別に、本作は直子が藻奈美として活動領域を拡げて行く一方で、盗聴を企てることしかできない親父の鬱屈が響きました。若者の生活時間の流れに取り残された親父の焦りが、嫉妬として現れていたように思います。それは世界が広がって行く年代が限られていることの証しのようでもあり、中年親父に哀愁を覚えたのでした。
[DVD(邦画)] 6点(2011-03-09 22:14:09)(良:1票)
16.  ヒーローショー 《ネタバレ》 
デパートの屋上を舞台にした青春コメディかと思っていたら、笑えるほど正反対。いや、笑うシーンなんて皆無に近い。色恋沙汰から始まった諍いがエスカレートして殺人に至る。この話の展開のさせ方が秀逸で、登場人物たちの日常の延長上に非日常がぽっかりと口を開けて待っていた印象だ。つまりはリアルってことなんだけど、集団心理に乗ったやり過ぎや、勢いでやったことへの怯えの描写がとても身近に感じられる。その非日常を包み込んでいるのは未熟な若さだ。漫才師を目指すユウキは、痛々しい空気に包まれている。受動的で主体性がない性格が誰からもリスペクトされず、その裏返しで相手によっては虚勢を張ったりもする。彼が発する言葉も受ける言葉も、全てが痛々しい。芸が寒いことも痛く、これはほとんど完璧なヘタレである。もう一人の勇気は、配管工をしながら石垣島でレストランを出すことを夢見ている。好きな女がいるが、バツイチの子持ちだったことが今回の騒動の直前に発覚し、その憂さが過激な暴力に繋がった。こちらは上手く流れに乗れない若者の典型と思える。後半はこの二人が連れ立って行動することになるが、二人の情けない現実を再確認する以上に意味のある展開がない。希望の欠片も見えず、閉塞した状況を連ねたまま終わる。その終わらせ方は潔いが何も解決していない。この二人だけでなく登場した男どもはみな半端で、見習いたい奴など一人もいない。どうも井筒監督は彼なりのリアリズムと物差しで同世代の若者を写す鏡を作ろうとしたようだ。「お前らは、こんなもんだ」という具合に。そして「お前らの晴れ舞台=ヒーローショーは、こんなケンカのことかい?」と。乱暴だけどこの監督なりのエールと思えば納得はする。若気の至りって奴は昭和からあまり様変わりしていないようです。
[映画館(邦画)] 6点(2010-06-14 00:05:45)(良:1票)
17.  ビルと動物園 《ネタバレ》 
主演は坂井真紀。「実録・連合赤軍」が良い例だけど、最近観た彼女が出ていた映画はほとんどがイタイ役回りだった。映画界がよってたかって彼女をいじめているような印象。いつの間にこんな芸風の女優さんになったのだろうと思っていたところで、この主演作を観ました。あらら、相変わらずイタイ役だ。30歳手前のOLと卒業間近の音大生のラブストーリー・・・らしい。というのは、20代の男女の恋愛モノといえるような描写がほとんど有りません。コミュニケーション下手で地味な二人の生活が連なります。音大生が窓拭きのバイトをしていた「ビル」で出会い、初めてのデートが「動物園」ということから付けたと思えるタイトルは作品世界を何も象徴しない適当さで、映画全体がその覇気の無さで支配されている(って、ちょっと言いすぎか…笑)。でもこの起伏が少ない映画、自分は好きです。口当たりの良い演出を入れようなどとは微塵も思っていない重さと暗さが、主人公の現実だと思うし、本当にそれを淡々と切り取るだけですが、小細工がない分、痛みがリアルに届けられます。男の自分より、同性の方こそ共感する部分があると思います。劇的な展開が無いストーリーに苦言を呈する方もいるはずだけど、製作者はそれを確信犯でやっているので良しとしますね。ということで、自分の中では坂井真紀がますますイタイ女優として定着してしまいました。応援していますので頑張ってください。彼女の父親役の渡辺哲さんが頑固で嫌なおっさんなのだけど、このお話では重要な役割を演じていて、その存在感が光っていました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-02-03 23:43:07)
18.  HERO(2002) 《ネタバレ》 
初見より評価があがりました。私はワイヤーアクションが嫌いですが、CGに慣らされた目には多くのアクションを役者の身体能力を活かした「撮影」で対応していることに好感を覚えました。単調になりがちな対決(というより演武)シーンに、背景や色調でメリハリを付ける。その演出自体はストーリーに何ら関係が無いけれど、これは「中国歴史おとぎ話絵巻」。絵本を楽しむように観るという意味で楽しめる。弓矢以外では主に自然の表現に使われているCGは、爆発やビルの崩壊などに使われるより効果的だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2008-10-06 02:05:16)
19.  HERO(2007) 《ネタバレ》 
テレビシリーズは見ていないけど、ストーリーは分かった。最後の法廷シーンでキムタクが長々と喋るシーンはカッコ良かった。HEROとは正義を守る者って意味なのね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2008-08-15 12:55:10)
20.  ヒミズ 《ネタバレ》 
斜めに構えているように見えて、実はとても繊細な主人公の内面が徐々に分かってくる。彼はスレている訳ではなく、中学生らしい「普通」を奪われていたのでした。世界に一つだけの花と教師が言う。なにをアホなことを言ってるんだと思う。でも、ラストで彼女が同じ言葉を発した時には違った響きを持っていた。彼を、彼女を、その言葉通りに応援したい衝動が走った。小さくとも確かな希望があれば、深い絶望も乗り越えられる。愚直ともいえるストレートなメッセージでした。 原作が描かれたのは震災前。舞台は監督のアレンジでしょう。中学生の家庭環境における絶望と、被災者の絶望を重ね合わせるていることには抵抗がありました。私はあざといと思いました。それと、やっぱりちょっと不自然に殴り過ぎ。そこはマイナスポイントです。 ちなみに、本作中に最も殺されるべき奴がいるとしたら、あの親父じゃないかと思います。主人公の殺人を善行とは言わないが、殺人を重ねる必要は無かったでしょう。罪を償う制度があることに意義を覚えました。 主演のお二人、お疲れさまでした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-02-16 03:58:45)
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