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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1.  ボッカチオ'70
「デカメロン」で有名な14世紀の作家ジョヴァンニ・ボッカチオがもし現代を背景にしたものを描いたら・・という発想から作られた4編のオムニバス。この企画に集まった面々が凄い。観る前から7点以上は確定!(笑)    ■「レンツォとルチアーナ」 マリオ・モリチェッリという監督のことはよく知りませんが好印象を持ちました。仕事場の人、人、人。休みの日のプールも人、人、人。家に帰ってもお出かけしても二人っきりになれない若いカップルは理由あって会社に内緒の新婚さん。現代社会の縮図をカップルの働く会社に見立てて二人の奮闘を描く。ヒロイン、マリサ・ソリナスが小さくてめちゃ可愛い。 ■「アントニオ博士の誘惑」 出だしからフェリーニ色炸裂。幻想的な色使いとコミカルな音楽がフェリーニの世界に誘う。でっかいアニタ・エクバーグが『甘い生活』を道徳的に許せない描写と批判した人たちを挑発するかのように男の欲望を炙り出す。 ■「仕事中」 ヴィスコンティは『山猫』の前に没落貴族を描く。旦那の浮気に妻は怒らない。そして何もかも捨てて仕事をするとさらりと言い出す。しかし一人になったときに見せる一粒の涙が一切の説明もなしにすべてを語る。金と物に溺れる貴族社会に嫁いできた妻は自らの没落を察知している。ロミー・シュナイダーが美しい。 ■「くじ引き」 デ・シーカはイタリアの持つ陽気さの中に女の苦難をさらっと描く。ラストで見せる男たちの陽気で滑稽な様を大団円で見せる。強い女、ソフィア・ローレンが女を魅せる。  総評、女の可愛さ、女の強さ、女の妖艶さ、女の弱さ、とくとご覧あれ!
9点(2005-03-11 12:44:32)
2.  僕の村は戦場だった 《ネタバレ》 
『惑星ソラリス』を観たとき水面の映像の美しさにやられた。タルコフスキーの映画の水の描写はどれも美しいが『惑星ソラリス』は格別に美しい。特別な撮影方法があるんだろうが、それは色に関連したものだと勝手に思っていました。しかしこの作品『僕の村は戦場だった』はモノクロなのにソラリスに匹敵するぐらい水の映像が美しい。神々しいと言ったらいいのか。そして作中に元気な水と死んだように動かない水が出てきます。戦争前と戦争中の対比をイワン少年の表情と水の描写で現す。壮絶な戦闘シーンを描かなくても、この対比がそれ以上の効果をもって戦争の恐怖と悲劇を描き出しています。戦争は終わります。映し出されるのはドイツ将校の幼い子供たちの死骸とイワン少年の写真。大人たちがしでかした戦争で亡くしたものの大きさを静かに、そして痛烈に描いています。
9点(2005-02-07 13:32:33)(良:3票)
3.  炎628
美しい音楽とおぞましい効果音、そして激しい爆撃音が同時に流される。それらの音をバックに終始リアルな戦争の悲劇が描かれる。悲劇という言葉で片付けるにはあまりにすさましく、あまりに恐ろしい事実。悲しんでる余裕すら与えない人間の非情を描く。人間はここまで残酷になれるものなのかと目を背けたくなる。血が飛び交うなどのスプラッター系の直接的な描写はありません。ただ自分と同じ人間が実際に行ったという事実に目を背けたくなるのです。ヒトラーでさえも同じ人間なのだということを表すラストシーンで戦争の本質に迫る。非常に完成度の高い作品です。
8点(2004-12-02 10:27:47)(良:1票)
4.  炎のランナー
映像がすごく綺麗です。中学生のとき映画館で見たので20年以上前になるのですが、はっきりと覚えています。印象的なシーンも数々あります。内容は濃いのですが、映像と音楽だけでも十分楽しめるのではないでしょうか?
8点(2003-05-29 18:48:26)
5.  ボビー・フィッシャーを探して
子に才能があるのならその才能を伸ばしてやりたいと思うのが親の常。でもそのせいで才能を壊しちゃうことだってある。才能を開花させたとしてもそれがその子にとっての幸せに繋がるとは限らない。これ、ぜひうちのヨメさんに見せたい(子の習い事にのめりこむところがある)。でも映画見ない人なので見てくんない。これと『武士道シックスティーン』は見事に「好きこそものの上手なれ」を見せてくれてるんだけどなあ。まあとにかく、仮に少年に対してひどいことをやってたとしても、みんなこの少年に対しては真剣なのだ。またこの子がそのことを重々承知しているところが健気で泣けてくる。何気に映し出される情景の一つ一つがまた素晴らしい。公園のストリートチェスをする人たちの描写ひとつとってもそのシーンごとにかもし出されるのは幸福感であったり躍動感であったりあるいは疎外感や郷愁感であったりとさまざまな顔を見せる。季節の移ろいをことさらに目立たすこともなく、あくまで背景として、それでもはっきりと脳裏に印象付けているのもいい。何もかもがシーンに、少年の心情に、ぴったりとはまる背景のように感じられた。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-26 13:41:46)(良:2票)
6.  ボルト
ピクサーの頭脳(社長と監督)を移植されたディズニーの作品。なるほどはじめて見る外の世界に驚きながらの冒険譚といえばピクサー諸作品『トイストーリー』『バグズライフ』『ファインディング・ニモ』『カーズ』に共通する。CGアニメーションの技術はピクサーの真骨頂。犬の毛一本一本がゆらめく描写は凄い。そこにディズニー『わんわん物語』で研究に研究を重ねたリアルな犬の動きが加わる。そしてあきらかにディズニー実写映画『三匹荒野を行く』にオマージュを捧げているような内容。またこの単純なストーリーがいいのだ。冒頭のアクションも良かった。縦横無尽に動くボルトを適格に画面に収め続けるアニメーションならではのスピード感が素晴らしい。娘と見に行ったんだけど、偽ボルトと抱き合う女の子を影から覗き見るボルトを大泣きで見ていた娘を私がまた盗み見て泣くという、もうここまでくると映画で泣いてるのかどうかもわかんないことになっちゃってるんだけど、素直に良かったなあと。この涙は映画館ならではなんだろうね。
[映画館(吹替)] 7点(2011-07-20 13:54:15)(笑:1票) (良:1票)
7.  ボルベール/帰郷 《ネタバレ》 
死んだはずの母親が帰ってくる。このあたり、従来のアルモドバル映画にはない軽やかなコメディ演出を堪能させてくれる。初期作品にはコメディも多くあるのだが、どれもこれも毒が盛られている。対して今回は直球のコメディ(序盤だけだけど)。その背景にレイプと殺人があるってところが考えてみれば凄いんだけど、そんな負の背景はどっかに置いといてって感じでずんずん進んでゆく。終わってみれば『ハイヒール』同様に母と娘の物語で、『オール・アバウト・マイ・マザー』同様にたくましく生きる母がいて、『バッド・エデュケーション』同様に過去が今を作るという構図があり、というあいかわらずのアルモドバル映画であった。過去が今を作るということは今をどう生きるかが未来を作ってゆくということでもある。難局を感じさせない肝っ玉母ちゃんのように生きるペネロペ・クルスを見れば、悲惨な背景とは裏腹に爽やかな感動を覚えるのも当たり前ということだ。それにしても、やっぱアルモドバル映画のペネロペ・クルスはいいねえ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-12 15:10:52)
8.  ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン
ホウ・シャオシェンは『珈琲時光』のときに小津の真似をせずに自らの演出スタイルで東京を描いたように、今回もけしてラモリスの真似をせずに今のパリを描く。長回しで見せる現代の喧騒を静かに見守る赤い風船。いつもの彼の映画のように物語以上に物語の根底となる生活が描かれる。小さな苛立ちや不安が生々しく、それでいてそれらを支える優しさやその中を生きる力強さがしっかりと映し出されている。そしていつもの彼の映画のように電車はこの映画のために適格に動き、建物はこの映画のために完璧にそこに立ち、光はこの映画のために最適な量で差し込む。そうとしか思えないように作られている。風船もまたラモリスの風船がそうであったように抜群の表情を見せてくれる。 
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-15 16:17:02)
9.  暴力団(1955)
モノクロであることを最大限に活かした映画。光と影のコントラストに魅入る。ラストシーンの光を帯びたスモークに立つ人影にはしびれた。さらにサーチライトが出てくるのだがその強烈な明暗の美しさは圧巻。刑事がギャングのボスの女に執着する流れがいまいち説得力に欠けないこともないが、そんなのどうでもいい。とにかくモノクロの美が半端ないです。大音量を使った拷問シーンの流れで殺しのシーンを無音にしているのにも唸った。演出が洗練されている。かっこいい。ある女に関わるサスペンスの見せ方はヒッチコック映画みたいだ。いやはや知らなかった。こんなのが(まだ見ぬ傑作が)まだまだごろごろしてると思うと嬉しくなる。
[映画館(字幕)] 7点(2011-03-07 14:27:56)
10.  棒の哀しみ 《ネタバレ》 
神代監督の遺作。ちゃかさないハードボイルドを根底に置きながら一人の男のドラマを描き出す。奥田瑛二サイコーなんですけど。永島暎子も素晴らしい。ヤクザ映画だと今なら断然北野武(黒塗りの車が連なって走るシーンは『アウトレイジ』を彷彿させる!)なんだけど、武にあの永島暎子は撮れないんだろうなあ。そう思うとこれが遺作だなんて惜しいよなあ。奥田の延々と淡々と続く独り言が映画を牽引しているんだけど、それダメじゃんってことにならない。その独り言を徹底することで独特の世界観を作っている。しかも奥田以外は台詞が必要最低限ってところもミソ。一匹狼で組を持つこと自体いやがってるのに組長となり、自ら傷をおうことをいとわない破滅型なのに死は向こうから遠のいてゆき、掃除も洗濯も傷の手当も自分のことは自分でするのに誰もがタバコの火をつける。そうなるしかないことのいわゆる人生の諦めみたいなものが独り言によく表れていると思う。
[映画館(邦画)] 7点(2011-02-15 16:20:48)
11.  ぼんち
これより一昔前の映画ならば、封建的社会や男尊女卑の慣習の中で痛めつけられながら強く生きる女、あるいは生きられなかった女が描かれるんだろうけど、いつからか女は感情的な生き物から現実的な生き物として描かれるようになった。一人の男が多数の女を囲うという構図、市川崑だと『黒い十人の女』も同じ構図なんだけどこれもやっぱり女が一枚も二枚も上手。男は情けないというよりも優しい。だからといって女たちは男の優しさに翻弄されるわけでもなく、もちろん封建的社会や慣習に翻弄されるわけでもない。むしろ社会、慣習に翻弄されるのは男。豪華女優陣はさすがに目を引くが、ぼんち市川雷蔵がいい味出してる。
[映画館(邦画)] 7点(2010-08-26 15:16:40)
12.  ホット・ロック
ドートマンダーをレッドフォードがするってところが全くしっくりこなかったんだけど、見ているうちに気にならなくなるどころかレッドフォード以外あり得ないとすら思えてきた。と言っても原作のドートマンダーとはやっぱり違うんだけど、これはこれでありだなと。お話もわりと原作どおりなんだけど原作にある軽快さまでも再現しているのに恐れ入る。けして大袈裟にならない。計画通りにいかないことがシリアスに転化されずコミカルに転化される。ちょっとシリアス方向へ、あるいはもうちょっと緊張感を、という欲望を抑えて、またコミカルになりすぎないその絶妙な塩梅でもって愛すべき犯罪者たちを活き活きと描いている。原作とは違うラストシーンの長い長い徒歩シーンがまたニクイ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-10-01 17:35:01)
13.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
小学生だった頃に市民会館で『ふたりのイーダ』という反戦映画を見たのだけど、この作品は私の中に今でもなんともいえない「怖さ」を伴う記憶を残している。下の弟の頃は『はだしのゲン』アニメ版だったか。今ならなんだろう、それとももう反戦映画って見ないのかな?上にあげた2作とこの『火垂るの墓』に共通するのは子供が主人公であるというところ。戦争の最大の被害者は子供なのだ。この作品もそのことをまず訴えているのに、兄の行動への批判があがってしまうのは、おそらくは作り手と鑑賞者の間にある戦争への関わり度の差異の表れなんじゃないだろうか。原作者の野坂昭如はもちろんのこと、監督・脚本の高畑勲も戦争経験者である。私の世代だとまだ戦争を経験した人から戦時のことを聞いたことがあったし、実際親が戦争を経験している。そこにすら差はあるはずなのに、今後もこの差は広がる一方。そのことをふまえた映画作りということも考えなければいけないのかもしれない。例えば、戦争がいつまで続くかわからない中での生活への不安がおばさんにどんな影響を及ぼしていたかとか、落ちてくる爆弾から逃げ延びる日常が少年にどんな影響を及ぼしているのかを説明しなくちゃいけないのかもしれない。この作品で最も衝撃的なシーンは母親の死です。自分の母がモノのように穴に放り込まれることを想像してください。子供にとってこんなつらいシーンはないと思う。兄はこの不幸を乗り越え、この不幸を妹に降りかからせないために行動を起こすのである。妹の笑い声を常に聞いていたい、ただそれだけだったに違いない。「戦闘」ではなく一番の被害者である子供から見た戦争の話はこれからもなくてはならないと思う。あと、先にあげた2作品との違いは原爆を扱っていないこと。原爆がなくたって戦争は惨いということを知らしめるうえでも貴重な作品だと思う。
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-02-19 16:10:06)
14.  ホンジークとマジェンカ
これまで様々なトリック映像を見せてきた幻想の魔術師カレル・ゼマンは、晩年まるでアニメーションの本質を悟ったかのように紙芝居的な切り絵アニメーションを世に送る。子供に絵本を読み聞かせる際に、あまりセリフを感情豊かにせずに淡々と読んだほうが、子供の想像力を促して良いというのを聞いたことがあるが、表情や背景に変化の無い切り絵というのはまさに観る者の想像力との共同作業にて作品をより豊かなものへと変えてゆく。この『ホンジークとマジェンカ』は彼の遺作となるが、そのストーリーも実に奇を衒わないシンプルかつストレートなおとぎ話。クロニクル(年代記)は偉大な英雄を語り継ぐが、けしてそこに語られることのない愛の物語は、童話として、おとぎ話として語られなければならず、そしてその物語こそが、真に大切なことを語っている、というゼマンの思想を感じることができる。子供たちのために視覚からくる情報量をなるべく減らす。実写映画にも当てはまる映画の真理です。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-20 12:04:59)(良:1票)
15.  僕のスウィング
主人公の少年は都会では味わえない本来の人生の素晴らしさを短い夏休みに体感します。音楽を聴き、音楽を奏で、そして歌い、踊る。草花に触れ、昆虫に触れ、森を歩き、川を泳ぎ、仲間と語らい、異性を想う。老人の話に耳を傾け、大切な人の死に涙する。少年はその貴重な体験を体に染み込ませたから文字で記された日記を手放した。少女が日記を持ち帰らなかったのは文字が読めないからじゃない。今を生きることが大切だから過去の記録はいらない。死ねば持ち物すべてを焼くという風習もそういうことなんじゃないだろうか。本来の「生」の素晴らしさをジプシーの生き方の中に見出そうとした美しい映画。今は夏休み。映画を観ている場合ではない。子供を海へ山へ連れ出そう!
[DVD(字幕)] 7点(2006-08-08 14:25:23)(良:1票)
16.  北北西に進路を取れ
ヒッチコックの作品の中で最もスペクタクルに富んでいる。それゆえにヒッチコックらしくないと言われることもあるらしいが、全編、巧みでユーモア溢れる演出が満載されており、スペクタクルも<=大味>ではなく見事にサスペンスを盛り上げている。その一番の代表がセスナに追っかけられるシーン。一面畑の広々とした、それでいて寂しい空間にぽつりと立つ主人公。ヒッチらしからぬ長ーい間が緊張の色を徐々に濃くしてゆき、一気に「静」から「動」へと加速する。スペクタクルといってもいわゆるスペクタクル映画と言われるものと比べたら迫力には欠けるかもしれないが、そのことを逆手にとってラストではクライマックスのピークでいきなり端折って列車の中に切り替えてしまうなんて演出はもう参りましたとしか言いようがない。ヒッチコック作品には個人的というか生理的に苦手な演出ってのがあって、それは悲鳴を上げたときの忘れられない恐怖の顔のアップだったり、とにかく精神が普通じゃないときの人物の見せ方にインパクトがありすぎるってことだと自分では思ってるんですが、この作品はそういうのが無いので、素直に楽しめたという意味ではヒッチコック作品で一番かもしれない。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-07-06 18:20:49)
17.  ポーラX
この作品の予告編がものすごいインパクトを持っているんですが、本編は期待しすぎたせいか予告編以上の感動がなかった。でも予告編にインパクトがあるってことは、それだけ印象的な画が間違いなくあったってこと。映画に嫌われて8年の空白をあけてようやく帰ってきたカラックスのこの作品の主人公はこれまでのカラックスの作品同様、身体の一部を損傷します。指の怪我から別の世界への旅立ちが始まります。終盤には杖無しでは歩けず、視力も失いかけてゆきますが、前作『ポンヌフの恋人』の男女の損傷を一人で背負っていることになります。さらに舞台を華やかなフランスの中にある難民問題を抱える闇の部分とすることで、主人公をとことん落としてゆきます。新進気鋭の謎の作家として世間を賑わし、手のひらを返したように「妄想と混乱の産物」「ただの模倣」と酷評を受ける様からも、まちがいなくカラックス自身を被せています。自分の魅力が未熟さにあることを悟り、ある意味開き直って作ったような気がします。アレックス三部作が青くて痛かったように、この作品にはカラックスの絶望がストレートに表現されている。これまでの作品でスクリーンにみたてたウィンドーガラスを木端微塵にしてしまう辺りにこだわりを感じます。と同時に映画との決別の意味かとも思えて、次回作も見たいと思っている者としては気が気じゃないです。駄作と評されていようが私にとっては惹かれる作品であり、惹かれる作家です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-15 20:05:03)
18.  ボーイ・ミーツ・ガール
カラックスが自らの本名である「アレックス」を主人公に与え、前衛的手法と古典的題材でもって「ゴダールの再来」とまで言わしめた、弱冠23歳での長編デビュー作。目元のどアップを画面に被せたり、リズムを切る画の無いカットといった懲りすぎともとれる様々な技法は意識的にヌーヴェルバーグをなぞっているように思う。パーティシーンでの「はじめに言葉ありき」というパーティ客のセリフとアレックスのことをアレキサンデルと呼ぶパーティ主という描写はタルコフスキーの『サクリファイス』からの引用かと思ったら、『サクリファイス』は86年でこの作品より新しいので、タルコフスキーもカラックスも別の何かから引用しているのかもしれません。ピンボールとロックがヴェンダースを彷彿させるのも私の思い過ごしかもしれません。しかし美しいモノクロはノワールを彷彿させるし、見知らぬ男女の回転するキスシーンは(特にアメリカの)恋愛映画を彷彿させます。女の部屋の一面がガラス張りなのはまさにスクリーンを彷彿させます。ラストではそのスクリーンの向こうに観客までいます。ヌーヴェルバーグ、中でもゴダール的に料理した作品だと思いました。瑞々しさよりも痛々しさが上回るところがカラックス風味といったところでしょうか。 //追記(09.6.2)「はじめに言葉ありき」は新約聖書からの引用でした。いやはやお恥ずかしい・・・。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-11 18:09:23)
19.  ポゼッション(1981)
何かにおびえる視点の定まらない目、何かにとりつかれたようなトリップした目、壮絶な演技を見せてくれたアジャーニがとにかく凄い。アジャーニ自身、自分が怖くてこの映画を観れないらしい。保母さん役と二役してますが、まるで別人です。100点満点の200点の演技。内容はたしかに難解ではあるが、観ている間は先の読めない展開にひきつけられて、難解であることがさほど気にならない。相手を所有したい、そして所有されたいという愛のカタチを夫の長期不在時も維持するための不倫。夫が帰ってきたことで崩れるバランス。そんな恋愛世界が繰り広げられるのかと思いきや、目に見えるはずのない妄想、そして魂の実体化、人間の体に棲みつく善と悪、そして輪廻転生とアンジェイ・ズラウスキー監督の脳内映像がめまぐるしく展開していく。あのタコおばけはきっとヨーロッパの神話に出てくる怪物です。(スンマセン、凄くテキト-なこと言ってます。)ピンクの靴下のおっさんは...それはヒミツです。(スンマセン、ホントは全然わかりません。)
7点(2004-06-30 12:09:07)(笑:1票)
20.  ぼくんち
原作とは別個もん。なにもサイバラワールドを作らなきゃならないってこともないし、原作が伝えたかったことを映画でも伝えなきゃならんってこともない。設定だけを借りてきた別個もんと割り切らなきゃ。映画『ぼくんち』はどこまでもマンガチックな世界と人物で作られる。どんなに深刻な展開に行こうともシリアスさを回避する。むしろ弱者で笑いをとる。漫画では許せることも実写では許せないということがある。だからよりマンガチックな世界と人物を持ってきて、さらにコメディ色を前面に出してとにかく笑いに転化することに漫画以上に苦心する。でもそれだけならば映画作品として面白くならないだろう。そこに阪本順治の常にリアルで生々しい世界が画面に同居するから面白くなる。と同時に原作から解き放たれる。カメラも落ち着いている。海の見せ方もいい感じだ。そこに鳳蘭と観月ありさという貧乏が似合わない日本人離れした長い手足を持つ親子が立つ。なかなかいい画だ。ちぐはぐさも込みで。
[DVD(字幕)] 6点(2011-08-04 16:13:47)
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